特許第6017540号(P6017540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017540ステント弁を圧縮/装填するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017540
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ステント弁を圧縮/装填するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/962 20130101AFI20161020BHJP
   A61F 2/24 20060101ALI20161020BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61F2/962
   A61F2/24
   A61M25/00 520
【請求項の数】21
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2014-508797(P2014-508797)
(86)(22)【出願日】2012年5月3日
(65)【公表番号】特表2014-518697(P2014-518697A)
(43)【公表日】2014年8月7日
(86)【国際出願番号】EP2012058085
(87)【国際公開番号】WO2012150290
(87)【国際公開日】20121108
【審査請求日】2015年4月23日
(31)【優先権主張番号】11164926.5
(32)【優先日】2011年5月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513057809
【氏名又は名称】シメティス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】SYMETIS SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エッシンガー,ジャック
(72)【発明者】
【氏名】デラロワ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】エフティ,ジャン−ルク
(72)【発明者】
【氏名】マンタヌス,ルク
(72)【発明者】
【氏名】パリス,マイケル
【審査官】 姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/014834(WO,A1)
【文献】 特表2005−506873(JP,A)
【文献】 特表2002−510526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/962
A61F 2/24
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経カテーテル心臓ステント弁(10)を圧縮するための装置(40)であって、
中におけるステントの長手方向の前進に応答して前記ステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面(50)を有する中空のチャネル(42)を含み、前記中空のチャネルは、その壁を通して少なくとも1つのスロット(58)を含み;前記装置はさらに、
前記中空のチャネルの周方向周囲の外側に嵌まる部分(60)と、前記スロットにおいて摺動可能であり、前記スロットを通って突出して、前記ステント弁を前記中空のチャネル内において係合するための部分(56)とを含み、前記ステント弁に前記中空のチャネルの径方向に外側から長手方向の駆動力をかけるための移動部(44)を含む、装置(40)。
【請求項2】
前記中空のチャネル(42)は複数の前記スロット(58)を含み、前記移動部は、前記スロットにおいて摺動可能であり、前記スロットを通って突出し、前記ステント弁を前記チャネル内において係合するための、対応する数の部分(56)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記中空のチャネルの前記周方向周囲の外側に嵌まる前記移動部の前記部分(60)は、前記中空のチャネルの径方向に外側で相互接続し、前記部分(56)は前記スロット(58)において摺動可能である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記中空のチャネルの外部の前記移動部の部分はリング(60)を含み、前記スロットにおいて摺動可能な前記部分は、前記リングから内方向に延在するそれぞれの枝部(56)を含む、請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記枝部は、前記リングの面に関して傾けられる、請求項4に記載の装置(40)。
【請求項6】
前記スロットにおいて摺動可能な前記移動部の前記部分(56)は、前記スロット内において前進する薄い前縁または表面と、前記スロットの縁部に抗して摺動する長い縁部または表面とを有するブレードとして形状化される、請求項1から5のいずれか1つに記載の装置。
【請求項7】
前記中空のチャネル(42)の径方向に外側に取付けられるかまたは取付け可能であり、前記中空のチャネル(42)に関して前記長手方向の駆動力を生成し、前記長手方向の駆動力を、前記チャネルの径方向に外側から、前記移動部(44)を通して、前記中空のチャネル(42)内のステント弁にかけるよう動作可能であるドライバ(46)をさらに含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記中空のチャネル(42)の外部にねじ筋(64)によって結合され、前記長手方向の駆動力をその回転に応答して生成するためのドライバ(46)をさらに含む、請求項1から7のいずれか1つに記載の装置。
【請求項9】
前記ドライバ(46)は、前記中空のチャネル(42)の長手方向軸のまわりを回転可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記中空のチャネルは入口(52)および出口(54)を有し、前記入口は前記出口より大きな穴径を有し、前記装置は、さらに、前記出口において使用可能であるかまたは少なくとも部分的に前記出口内に挿入可能である装填チューブ(48)を含み、前記装填チューブは、(i)前記ステント弁を装填されるデリバリーカテーテルのシースの少なくとも一部、および/または(ii)前記ステント弁の少なくとも一部を受けるための穴を有する、請求項1から9のいずれか1つに記載の装置。
【請求項11】
前記中空のチャネルは入口(52)および出口(54)を有し、前記入口は前記出口より大きな穴径を有し、前記装置は、さらに、前記中空のチャネルに取り外し可能に取付け可能な装填チューブ(48)を含み、前記装填チューブは、前記中空のチャネルの延長部分を規定するように、前記装填チューブに、前記中空のチャネルの前記出口における穴径に直径がおおよそ等しい穴を有する、請求項1から10のいずれか1つに記載の装置。
【請求項12】
前記中空のチャネルの前記周方向周囲の外側に嵌まる前記移動部(44)の前記部分(60)は、前記部分(60)が少なくとも前記スロット(58)の全長に沿って前記周方向周囲の外側にあるままであるように寸法決めされる、請求項1から11のいずれか1つに記載の装置。
【請求項13】
前記中空のチャネルの前記周方向周囲の外側に嵌まる前記移動部(44)の前記部分(60)は、周方向において、前記スロット(58)の周方向幅より大きい寸法を有する、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
記移動部は、前記ステント弁の第1および第2の対向する端部間の少なくとも1つの位置において前記ステント弁を係合するように構成される、請求項1から13のいずれか1つに記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの位置は、
(i)前記第1および第2の端部の両方から、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、間隔を置かれた位置;および/または、
(ii)前記第1および第2の端部の両方から、前記ステント弁の最大長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、間隔を置かれた位置から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
記内部表面は:
(i)少なくとも1つの略円筒形の表面(50a;50c)、および少なくとも1つの略非円筒形の表面(50b;50d);ならびに
(ii)複数の別個の略非円筒形の表面(50b、50d)、から選択される少なくとも1つを含む、請求項1から15のいずれか1つに記載の装置(40)。
【請求項17】
体内の留置部位にステント弁を送給するためのデリバリーカテーテルをさらに含み、前記デリバリーカテーテルは、前記デリバリーカテーテルに関して前記ステント弁を圧縮し装填するための装填動作の結果、前記ステント弁を圧縮した形式において受けるために、封じ込め領域において少なくとも1つの並進可能なシースを有し;さらに、
使用に先立って前記デリバリーカテーテルを収納するための梱包を含み、前記梱包は、液密の谷部を有する基部を含み、前記谷部は、前記カテーテルの前記封じ込め領域が前記装填動作中において浸漬されてもよい液体を保持するように、使用に対して好適な深さを有する、請求項1から16のいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
前記梱包は、前記基部の上側面を覆うためのカバー構成要素をさらに含む、請求項17またはそれに従属する任意の請求項に記載の装置。
【請求項19】
前記カバー構成要素は、前記谷部と噛み合う1つ以上の突起を有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記カバー構成要素は、前記デリバリーカテーテルを前記谷部内で係合し、前記デリバリーカテーテルを前記谷部内において捕捉状態に抑制するための、1つ以上の突起を有する、請求項18または請求項19に記載の装置。
【請求項21】
経カテーテル心臓ステント弁(10)を圧縮する方法であって、任意の順序で、
(a)入口(52)および出口(54)を有する中空のチャネル(42)を設けるステップを含み、前記中空のチャネルは、さらに、前記チャネル内におけるステント弁の長手方向の前進に応答して前記ステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面(50)を有し、前記方法はさらに、
(b)ステント弁(10)を前記チャネルの前記入口に挿入するステップと、
(c)前記チャネルの径方向に外側から長手方向の駆動力をかけて、前記ステント弁を前記チャネル内において前記出口に向かって前進させるステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、経カテーテル送給のためのステントの分野に関し、特に、ステントを圧縮した状態に圧縮するための、および/またはデリバリーカテーテルのためにステントを装填するための方法ならびに装置に関する。いくつかの非限定的な局面においては、ステントは、ステント弁、例えば心臓のステント弁である。この発明は、ステント弁で遭遇する問題に対応して考案されたが、この発明は、経カテーテル送給のための他のタイプのステントの圧縮に対しても適用可能であってもよい。
【背景技術】
【0002】
WO−A−2009/053497は、低侵襲手術を介してステント弁を送給するための心臓のステント弁および関連の方法ならびにシステムについて記載する。ステント弁は、デリバリーカテーテルの送給先端において収容されるのに好適な圧縮した状態に圧縮可能である。圧縮した状態においては、小さなサイズにより、ステント弁を担持するカテーテルは、低侵襲手術を介して導入されることが可能である。所望の留置部位での解放で、ステント弁は、作用するサイズに拡張する。
【0003】
ステント弁、デリバリーカテーテル、および/または送給のためにステント弁を圧縮するための技術のさらなる例が、US2009/0171432、WO 2008/035337、およびWO 2009/116041において記載される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ステント弁をデリバリーカテーテルに(またはそれに対して準備ができている状態に)圧縮する作業は、ステント弁が損傷に対して繊細で脆弱であるため、複雑になる。損傷は、過剰圧縮、非一様な応力分布、座屈、圧縮中の非真円度、または弁の構成要素の組織の裂けもしくは摩耗の結果、生じ得る。変形または損傷したステント弁は、不完全に機能するか、低減された耐用寿命を有するか、または正確に留置することが困難であるかもしくは不可能でさえあるかもしれない。複雑さは、自己拡張型のステント弁の場合、ひどくなり、なぜならば、自己拡張ステント弁は、圧縮されると強い復元力を有し、したがって、ステント弁をその圧縮した状態にまで圧縮するには、大きな圧縮力の適用を必要とするからである。大きな力は、繊細なステント弁に適用するのは困難である。自己拡張ステント弁は、さらに、圧縮中に形状が注意深く制御されなければ、望まれずして非円形の形状に変形する傾向を、より多く有するかもしれない。さらなる問題は、単にステント弁の準備またはデリバリーカテーテル内への装填のために手術室内に持って入らなければならない付属機器の量およびかさ高性に関する。
【0005】
使用するのに比較的容易で直観的であり、実現するのに安価であり、かさ高くすぎず、簡便に殺菌することが可能である装置を用い、さらに、上に論じられた問題を回避するステント弁を圧縮するための技術を提供することは、依然として難しい。
【0006】
この発明は、そのような問題を念頭に置いて考案された。上記の問題の少なくとも1つに対応および/またはそれを軽減することは、非限定的な目的であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面は特許請求の範囲において規定される。
広く言って、この発明のさらなる局面は、ステント(好ましくはステント弁)をデリバリーカテーテル上に取付けるために所望のサイズに圧縮することにおいて用いるための装置を提供する。この装置は、
中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステントを漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネル(任意で、加えて、または代替的に、中空のチャネル部材または中空のチャネル本体と呼ばれてもよい)、および
ステントに長手方向の駆動力をかけ、ステントを中空のチャネル内において前進させるための移動部、の1つ以上を含んでもよい。
【0008】
任意で、装置は、以下の特徴のうちの2つ以上の特徴からなる1つまたは任意の組合せを有するように構成されてもよいが、それらはすべて任意である。
【0009】
(a)装置は、駆動力の生成のためのドライバをさらに含み、移動部は、ステント弁をチャネル内において前進させるために、ドライバからステント弁に長手方向の駆動力を伝達するように構成される。ドライバは、チャネルの外部、またはチャネル上に、例えば、径方向に外部に、または径方向に外側に、取付けてもよい。ドライバは、外部においてチャネルの長手方向軸のまわりを回転可能な部材と、回転に応答して長手方向の運動を生成するためのねじ筋および/またはヘリカルガイドとを含んでもよい。例えば、ドライバは、ねじ筋によってチャネルの外部に結合されてもよい。いくつかの実施例においては、チャネルは、(i)ドライバのためにねじ筋を担持する略円筒形の外部部分、および/または(ii)ステント弁を折り畳むための略非円筒形の内部部分を有する。略非円筒形の内部部分は、長手方向軸の1つ以上の領域に沿って直径において漸進的に低減する実質的に円形の断面形状を任意で含んでもよい。
【0010】
(b)中空のチャネルは、その壁を通して少なくとも1つのスロットを含んでもよく、移動部は、スロットにおいて摺動可能であり、スロットを通って突出してチャネル内においてステントを係合するための部分を含んでもよい。スロットは、実質的に線形、および/または長手方向に延在していてもよい。任意で、チャネルは2つのスロットを含むか、または、任意で、チャネルは3つのスロットを含むか、または、任意で、チャネルは4つのスロットを含むか、または、任意で、チャネルは5つのスロットを含むか、または、任意で、チャネルは6つのスロットを含むか、または任意でより多くのスロットを含む。移動部は、対応する数の前記部分を、各スロットに対して1つ、含んでもよい。加えて、または代替的に、中空のチャネルは、少なくとも1つのスロットがそこにおいて延在する部材を含んでもよい。例えば、スロットは、その部材の軸方向長の少なくとも50%、任意で少なくとも55%、任意で少なくとも60%、任意で少なくとも65%、任意で少なくとも70%、任意で少なくとも75%、任意で少なくとも80%、任意で少なくとも85%、任意で少なくとも90%、任意で少なくとも95%にわたって延在してもよい。代替的に、中空のチャネルは、中空のチャネル形式をまとめて規定するようにともに組付けられる(かまたは組付け可能な)複数の部材を含んでもよい。いずれの場合も、スロットは、任意で、チャネルの少なくとも一方の端部において開いていて、移動部がスロットの開いた端部から外へ摺動することによってチャネルから分離されることを許してもよい。
【0011】
任意で、中空のチャネルは複数のスロットを含み、移動部は、(i)スロットにおいて摺動可能な複数の前記部分と、(ii)チャネルの外側、例えば径方向に外側(例えばチャネルの周方向周囲の径方向に外側)に嵌まる部分とを含む。外側に嵌まる部分は、チャネルの径方向に外側において、スロットにおいて摺動可能な部分を相互接続してもよい。例えば、外側に嵌まる部分は、スロットにおいて摺動可能な部分の径方向に外側の端部を接続してもよい。
【0012】
(c)移動部は、ステントの周囲のまわりの少なくとも1つの(任意で2つ、または任意で3つ、または任意で4つ、または任意でより多くの)周方向位置に長手方向の駆動力をかけるように構成されてもよい。これは、ステント(例えばステント弁)が相対的に堅固であり、および/または損傷もしくは変形に対してより脆弱でない、1つ以上の特定の周方向位置に、駆動力を適用することを可能にし得る。例えば、力をかけられてもよい1つ以上の周方向位置は、ステント弁の継ぎ目の支持体または柱と実質的に整列されてもよい。代替的に、力をかけられてもよい1つ以上の周方向位置は、ステント弁の継ぎ目の支持体または柱と実質的に非整列であってもよい。
【0013】
(d)移動部は、ステントの軸方向長に沿った少なくとも1つの(任意で2つ、または任意で3つ、または任意で4つ、または任意でより多くの)長手方向位置に長手方向の駆動力をかけるように構成されてもよい。これは、ステントが相対的に堅固であり、および/または損傷もしくは変形に対してより脆弱でない、1つ以上の特定の長手方向位置に、駆動力を適用することを可能にし得る。例えば、力をかけられてもよい1つ以上の長手方向位置は、ステント弁の継ぎ目の支持体または柱に対応してもよい。加えて、または代替的に、1つ以上の長手方向位置の各々は、ステントのプロファイルまたは構造において谷部(例えば2つの支材間の頂点の交点に規定された谷部)に対応してもよい。
【0014】
(e)移動部は、ステントの末端部間の少なくとも1つの(任意で2つ、または任意で3つ、または任意で4つ、または任意でより多くの)特定の位置に長手方向の駆動力をかけるように構成されてもよい。これによって、「押す」力が、ステントが軸方向に座屈する危険性がより少ない状態でかけられ得る。加えて、または代替的に、それによって、「引く」力が、ステントの末端部に依存も干渉せずにかけられ得る。ステントは、ステントの末端部において1つ以上の取付け要素を含んでもよい。そのような構成は、取付け要素による係合と干渉したり、それを複雑にしたりはしない。加えて、または代替的に、位置の各々は、ステントのプロファイルまたは構造において谷部または凹み(例えば2つの支材間の頂点の交点に規定された谷部)に対応してもよい。任意で、少なくとも1つの位置は:ステントの両方の対向する端部から、少なくとも5mm、好ましくは少なくとも10mm、間隔を置かれた位置;および/または(ii)ステントの両方の対向する端部から、ステント弁の最大長さの少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、間隔を置かれた位置であってもよい。
【0015】
(f)移動部は、チャネルの外部のまわりを延在するリング、およびリングから内方向に延在または突出する1つ以上の枝部を含んでもよい。枝部は、ブレード状、および/または指状、および/またはピン状、および/またはスポーク状であってもよい。リングは、チャネルの外部のまわりで長手方向に摺動可能であってもよい。各枝部は、チャネル壁においてそれぞれのスロットを通って延在して、チャネルの内部に向かって延在してもよい。各枝部は、それぞれのスロットにおいて摺動可能であってもよい。枝部の内側端部は、実質的に自由であってもよく、または互いに結合されて、例えば、共通点(例えば中心)で出会うか、または内輪を介して結合されてもよい。
【0016】
(g)ステントとの係合のために構成された移動部の部分または表面(例えば、もし用いられた場合には、上記の各枝部)は、チャネル軸および/または(もし用いられた場合には)リングの面に関して略径方向に延在してもよい。代替的に、ステントとの係合のために構成された移動部の部分または表面は、径方向および/またはリング面に関して傾けられてもよい。1つの形式においては、該部分は、チャネルの出口および/またはより狭い(例えば、内部においてより狭い)端部に向かう方向に傾けられる。(例えば出口/狭い端部に向かう)傾斜の角度は、約5度(以上)、約10度(以上)、約15度(以上)、または約20度(以上)であってもよい。傾斜の角度は、上記の値のうちの任意の2つの間、例えば約5度と約15度との間であってもよい。傾斜は、軸方向圧縮荷重の下でのステントの座屈の危険性を低減し得る。傾斜は、径方向に内方向の代わりに、径方向に外方向にステントを適度に移動させる傾向があってもよい。適度な径方向に外方向の移動はチャネルの内部表面との接触によって迎えられ、それによって、ステントの形状が座屈を回避するように制御されることを可能にする。
【0017】
(h)中空のチャネルの内部表面は、少なくとも径方向において、実質的に固定される、および/または移動不可であってもよい。ステント弁の圧縮は、少なくとも主に(および好ましくは全体的に)チャネル内におけるステント弁の長手方向の変位の結果、チャネルの内部表面の実質的な径方向の移動なしに、達成されてもよい。
【0018】
(i)中空のチャネルの内部表面は、例えばチャネルの長手方向軸に沿って出口に向かう方向に漸進的に低減する直径を有する、少なくとも1つの非円筒形の部分を含んでもよい。加えて、または代替的に、チャネルは少なくとも1つの略円筒形の部分を含んでもよい。示された実施例においては、内部表面は少なくとも2つの非円筒形の部分を含む。チャネルへの入口に近接する内部表面の部分は、略円筒形であってもよい。チャネルの出口に近接する内部表面の部分は、略非円筒形であってもよい。
【0019】
(j)装置は、さらに、チャネルの出口および/または狭い(例えば内部においてより狭い)端部のための、またはそこにおいて使用可能な装填チューブ(任意で、加えて、または代替的に、チャネル延長部分または出口延長部分と呼ばれてもよい)を含んでもよい。装填チューブは、チャネルに取り外し可能に取付け可能であってもよく、または手によって適所に保持することによってチャネルと関連付けられてもよく、またはチャネルの出口内に挿入可能であってもよい。延長部分がチャネルから分離(例えば除去)されると、これは、デリバリーカテーテル上への装填またはデリバリーカテーテルとの係合のために、ステントの端部がチャネルの出口/狭い端部において観察されることを可能にしてもよい。ステント端部のデリバリーカテーテルへの装填/係合の後、延長部分はチャネルに関して配置、挿入、再置(例えば取付けまたは再取付け)されてもよい。いくつかの実施例においては、装填チューブはその中に穴を有する。いくつかの実施例においては、穴は、チャネルの出口端部と実質的に同じ直径を有してもよい。他の実施例においては、装填チューブの穴および/または外径は、チャネルの出口における直径より僅かに小さくてもよい。
【0020】
いくつかの実施例においては、装填チューブは、チャネルと延長部分との間において長手方向の荷重に耐える固定部によって取付け可能であってもよい。例えば、固定部はねじ切りされた固定部であってもよい。他の実施例においては、装填チューブは、出口において、または出口を通して、チャネル内に少なくとも部分的に挿入可能であってもよい。
【0021】
(k)中空のチャネルの長手方向の長さは、使用において、ステント弁が、前進させられるときに、チャネル内に全体的に収容されるように、ステント弁より長くてもよい。
【0022】
(1)使用においては、ステント弁は、全体的に、中空のチャネルを通して、一方の端部における入口から、対向する端部における出口に、送られてもよい。
【0023】
(m)ステント弁は、中空のチャネル内において、流入端が最初に前進させられてもよい。流入端は、中空のチャネルの出口から現れるよう、第1の端部であってもよい。代替的に、ステント弁は、中空のチャネル内において、流出端が最初に前進させられてもよい。流出端は、中空のチャネルの出口から現れるよう、第1の端部であってもよい。
【0024】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための装置であって:中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネル;チャネルの外部上でねじ筋によって係合されるかまたは係合可能であり、回転に応答して長手方向の駆動力を生成するためのドライバ;チャネル内のステント弁に駆動力を伝達するよう、チャネル壁においてスロットを通って突出する枝部を有する移動部;および略円筒形の封じ込め穴を設けるよう、出口において取り外し可能に取付け可能なチャネル延長部分、の1つ以上を含む、装置を提供する。
【0025】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための装置であって:中におけるステントの長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネルを含み、中空のチャネルは、その壁を通して少なくとも1つのスロットを含み;装置はさらに、中空のチャネルの周方向周囲の外側に嵌まる部分と、スロットにおいて摺動可能であり、スロットを通って突出して、ステント弁を中空のチャネル内において係合するための部分とを含み、ステント弁に中空のチャネルの外側から長手方向の駆動力をかけるための移動部を含む、装置を提供する。
【0026】
さらなる局面において、この発明は:
第1および第2の対向する端部を有する経カテーテル心臓ステント弁と;
中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネルと;
ステント弁を中空のチャネル内において係合して、ステント弁に中空のチャネルの外側から長手方向の駆動力をかけるための移動部とを含み、移動部は、ステント弁の第1および第2の対向する端部間の少なくとも1つの位置においてステント弁を係合するように構成される、装置を提供する。
【0027】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための装置であって:
中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネルと;
ねじ筋によって中空のチャネルに結合され、ステント弁を前進させるための長手方向の駆動力をその回転に応答して生成するために構成されるドライバとを含む、装置を提供する。
【0028】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための装置であって:
入口および出口を有する中空のチャネルを含み、入口は出口より大きな穴を有し、中空のチャネルは、さらに、その中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有し、内部表面は:
(i)少なくとも1つの略円筒形の表面、および少なくとも1つの略非円筒形の表面;ならびに、
(ii)複数の別個の略非円筒形の表面、から選択される少なくとも1つを含む、装置を提供する。
【0029】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための装置であって:
中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有する中空のチャネルと;チャネル内においてステント弁に長手方向の駆動力をかけるための移動部とを含み、移動部は、複数の枝部がそれから延在するリングを含み、枝部は、リングから略内方向に延在し、リングの面に関して傾けられる、装置を提供する。
【0030】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための方法であって、任意の順序で:
(a)入口および出口を有する中空のチャネルを設けるステップを含み、中空のチャネルは、さらに、その中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有し;前記方法はさらに、
(b)ステント弁をチャネルの入口に挿入するステップと;
(c)チャネルの径方向に外側から長手方向の駆動力をかけて、ステント弁をチャネル内において出口に向かって前進させるステップとを含む、方法を提供する。
【0031】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための方法であって、任意の順序で:
(a)入口および出口を有する中空のチャネルを設けるステップを含み、中空のチャネルは、さらに、その中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有し;前記方法はさらに、
(b)ステント弁をチャネルの入口に挿入するステップと;
(c)中空のチャネルに対してドライバを回転させて、ねじ筋を介してステント弁をチャネル内において出口に向かって前進させるための長手方向の駆動力を生成するステップとを含む、方法を提供する。
【0032】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための方法であって、任意の順序で:
(a)入口および出口を有する中空のチャネルを設けるステップを含み、入口は出口より大きな穴を有し、中空のチャネルは、さらに、その中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有し;前記方法はさらに、
(b)中空のチャネルのために装填チューブを設けるステップと;
(c)装填チューブをデリバリーカテーテルの少なくとも一部に配置するステップと;
(d)ステント弁をチャネルの入口に挿入するステップと;
(e)ステント弁に押す力をかけて、ステント弁の或る部分が出口に現れるまで、ステント弁をチャネル内において出口に向かって前進させるステップと;
(f)ステント弁の或る部分を出口においてデリバリーカテーテルのステントホルダに結合するステップと;
(g)デリバリーカテーテルの封じ込めシースを並進させて、ステントホルダに結合されたステント弁の或る部分をその中に捕捉するステップと;
(h)装填チューブをデリバリーカテーテル上で移動させて、装填チューブを中空のチャネルに結合し、および/または装填チューブをチャネルの出口内に挿入するステップと;
(i)ステント弁をさらに押して、ステント弁を中空のチャネルの出口に向かってさらに前進させるステップとを含む、方法を提供する。
【0033】
さらなる局面において、この発明は、経カテーテル心臓ステント弁を圧縮するための方法であって、任意の順序で:
(a)入口および出口を有する中空のチャネルを設けるステップを含み、入口は出口より大きな穴を有し、中空のチャネルは、さらに、その中におけるステント弁の長手方向の前進に応答してステント弁を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面を有し;前記方法はさらに、
(b)ステント弁をチャネルの入口内に挿入するステップと;
(c)ステント弁の対向する端部間の少なくとも1つの位置において、ステント弁に、ステント弁をチャネル内において出口に向かって前進させるための長手方向の駆動力をかけるステップとを含む、方法を提供する。
【0034】
さらなる局面において、この発明は:
体内の留置部位にステント弁を送給するためのデリバリーカテーテルを含み、デリバリーカテーテルは、デリバリーカテーテルに関してステント弁を圧縮し装填するための装填動作の結果、ステント弁を圧縮した形式において受けるために、封じ込め領域において少なくとも1つの並進可能なシースを有し;さらに、使用に先立ってデリバリーカテーテルを収納するための梱包を含み、梱包は、液密の谷部を有する基部を含み、谷部は、カテーテルの封じ込め領域が装填動作中において浸漬されてもよい液体を保持するように、使用に対して好適な深さを有する、装置を提供する。
【0035】
さらなる局面において、この発明は、使用のためにステント弁およびデリバリーカテーテルを準備する方法であって:
(a)デリバリーカテーテルを収納する、閉じられた梱包を提供するステップを含み、梱包は、保管位置においてデリバリーカテーテルを支持する基部を含み、基部は液密の谷部を有し;前記方法はさらに、
(b)閉じられた梱包を開くステップと;
(b)基部の谷部内に液体を導入するステップと;
(c)デリバリーカテーテルの少なくとも封じ込め領域を谷部において液体に浸漬しながらステント弁を封じ込め領域内に装填するステップとを含む、方法を提供する。
【0036】
この発明の特徴および利点は、そのさまざまな局面において:(i)使用するのに相対的に容易であり直観的であること;(ii)実現するのに安価であること;(iii)簡便に殺菌することが可能である装置を用いること;(iv)ステントの一方の端部において取付け領域と干渉することを回避すること;(v)ステントの座屈を回避すること;(vi)圧縮中にステント形状の正確な制御を提供すること;(v)デリバリーカテーテルへのステントの装填を容易にすること;(vi)ステントの少なくともかなりの部分の圧縮がデリバリーカテーテルのステントホルダとの係合に応力をかけることなく達成されることができること;(vii)一人のオペレータによって容易に実行することが可能であること;および/または(viii)装置梱包における適所における装填/圧縮を可能にすることによる、手術室のための補助機器の量の低減、の1つ以上を含む。
【0037】
この発明のさまざまな特徴および概念が、上に記載され、特許請求の範囲において規定されるが、付加的な特徴および利点が、詳細な実施例の以下の非限定的な説明から明らかとなる。保護は、強調がそれに対してなされようとなされまいと、ここに記載され、および/もしくは図面に示された、任意の新規な特徴または概念に対して主張される。
【0038】
この発明の非限定的な実施例が、ここで、添付の図面を参照して例示のみの態様によって記載される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】例示的なステント弁およびそのためのデリバリーカテーテルの概略図である。
図2図1のステント弁のステント構成要素の概略的な側面図である。
図3】デリバリーカテーテルに装填するためにステント弁を圧縮するための装置の概略的な破断図である。
図4図3の装置の中空のチャネルの概略的な斜視図である。
図5図3の装置の移動部の概略的な斜視図である。
図6】装置を用いる一例への概略的なガイドである。
図7】ステント弁を係合してそれに駆動力をかける移動部の概略的な側面図である(他の構成要素は図7においては図を不明瞭にしないようにするように省略される)。
図8】デリバリーカテーテルのための梱包の概略的な側面図であり、パッキングは、カバーが基部から分離された状態で示される図である。
図9図8と同様の概略的な断面図である。
図10図8の線A−Aに沿った概略的な断面図である。
図11図8の線B−Bに沿った概略的な断面図である。
図12図8の線D−Dに沿った概略的な断面図である。
図13図8の梱包の基部の平面図である。
図14図13と同様の基部の平面図であるが、デリバリーカテーテルの適所での位置決めを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
圧縮装置について詳細に記載する前に、圧縮装置の特徴および機能が十分に理解されるように、例示的なステント(ステント弁)についてまず記載する。
【0041】
図1および図2は、例示的なステントをステント弁10の形式において示す。ステント弁10は、心臓のステント弁、例えば大動脈のステント弁であってもよい。ステント弁10は、身体における経カテーテル留置のために構成されて、例えば低侵襲性技術の使用を可能にしてもよい。ステント弁10は経カテーテル大動脈弁留置(「TAVI」)のために構成されてもよい。或る特定の形状のステント弁10が例として示されるが、この発明はいかなる特定のステント弁形状にも限定されないことが十分に理解される。例示的形状がここで用いられるのは、それによってこの発明の利点を強調することが可能であるからである。
【0042】
ステント弁10は、(図1に示される)拡張された状態と、破線10′によって示された圧縮した状態との間で、変形可能であってもよい。拡張された状態は、おおよそ、留置後のステント弁の作用状態に対応してもよい。ステント弁10は、留置で、拡張された状態を完全には達成しない場合があり、生来の解剖学的構造における摩擦嵌めのための外方向の弾性付勢を維持するよう、サイズの不一致および/または僅かな圧縮に対して、許容差を見込む。圧縮した状態10′は、デリバリーカテーテル12によって収容されるべき、および/または解剖学的構造内の所望の留置部位への導入のための送給状態に対応してもよい。
【0043】
ステント弁10は、拡張された状態に向かって弾性的に付勢され、好適な径方向圧縮力の適用により圧縮した状態10′に圧縮可能な、自己拡張型であってもよい。ステント弁10は、抑制されている間、その圧縮した状態にとどまる。抑制が除去されると、ステント弁10は拡張された状態に向かって自己拡張する。代替的に、ステント弁10は、ステント弁10を圧縮した状態10′から拡張された状態に変形するために拡張力の適用を必要とする非自己拡張型であってもよい。
【0044】
ステント弁10は、ステント構成要素14および弁構成要素16を含んでもよい。ステント構成要素14は、ステント弁を生来の解剖学的構造に係留するための係留機能、および/または弁構成要素16を支持するための支持機能を提供してもよい。ステント構成要素14は任意の好適な材料から形成されてもよい。ステント構成要素14は金属製であってもよい。例示的な材料は、形状記憶および/または超弾性合金(例えばニチノール)、ステンレス鋼またはコバルトクロム合金を含む。示された形式においては、ステント構成要素14は、自己拡張型であり、形状記憶/超弾性合金(例えばニチノール)である。しかしながら、ステント構成要素14は、実質的に非自己拡張型でもあり得る。
【0045】
ステント構成要素14は、生来の解剖学的構造の所望の留置部位に関してステント弁10を係留および/または整列させるために所望される任意のプロファイルを有してもよい。いくつかの実施例においては、ステント構成要素14は、略円筒形であるか、または1つ以上の略円筒形の部分もしくは略円筒形の面の上にある部分(例えば20cおよび22a)を含んでもよい。加えて、または代替的に、ステント構成要素14は、略非円筒形であるか、または1つ以上の略非円筒形の部分もしくは非円筒形の面の上にある部分(例えば20a、20bおよび24)を含んでもよい。加えて、または代替的に、ステント構成要素14は、1つ以上の係留突起および/または1つ以上の安定化部分を含んでもよい。
【0046】
示された形式においては、ステント構成要素14は、例えば溝および/またはくびれ20cを間に規定する下位の冠部20aおよび上位の冠部20bによって規定された係留部分20を任意で含む。係留部分20は、第1の圧縮抵抗を有してもよく、セル状格子を含んでもよい。
【0047】
ステント構成要素14は、例えば、複数(例えば3つ)の継ぎ目の支柱22aを含む弁支持部分22を任意で(さらに)含む。継ぎ目の支柱22aは、冠部20aおよび20bの少なくとも1つの末端より小さなピッチ円径上に配されてもよい。継ぎ目の支柱22aは、くびれに20c対応するピッチ円径上に配されてもよい。継ぎ目の支柱22aは、部分的に、軸方向に冠部20および22の少なくとも1つと重なり、そのそれぞれの冠部を越えて軸方向に延在してもよい。継ぎ目の支柱22aはフレーム状であってもよい。継ぎ目の支柱22aは、少なくとも継ぎ目の支柱に近接する弁周縁の領域において少なくともおおよそ弁の周縁輪郭を辿る形状を有してもよい。
【0048】
ステント構成要素14は、例えば複数(例えば3つ)の羽根部またはアーチ24aによって規定された安定化部分または整列部分24を任意で(さらに)含む。アーチ24aは、継ぎ目の支柱22aの先端から延在して、丸天井のような構造をその上に規定してもよい。整列部分24は、係留部分20および/または弁支持機能22より大きな柔軟性を有してもよい。整列部分24は、係留部分20の第1の圧縮抵抗より小さい第2の圧縮抵抗を有してもよい。整列部分24は、係留部分20および/または弁支持部分22ほど(例えば径方向に)剛性でなくてもよい。
【0049】
ステント構成要素14は、ステント構成要素14をデリバリーカテーテル12のステントレシーバ28に取付けるための取付け部分26を任意で(さらに)含む。示された実施例においては、ステントレシーバ28はステントホルダであってもよく、以下にそのように指称されるが、ステント弁10の少なくとも一部を受け、および/または収容するための他のタイプのレシーバが、所望のように用いられてもよい。取付け部分26は、ステントホルダ28の相補的な部分との締り嵌め(例えば食い込み嵌め)の形成のために、1つ以上の幾何学的な開口部または1つ以上の耳部もしくは他の突起を含んでもよい。取付け部分26は、ステント構成要素14の少なくとも1つの末端部またはその近くに配されてもよい。この実施例においては、取付け部分26は、下位の冠部20aの格子目の複数(例えば3つ)の延長部分によって規定される。
【0050】
弁構成要素16は、任意の好適な天然および/または合成の材料であってもよい。例えば、弁構成要素16は、豚および/もしくは牛の心膜ならびに/または採取された天然の弁材料を含んでもよい。弁構成要素16は、閉位置に繋ぎ合わされるかまたは折り畳まれて、それを通る1つの方向においては流れを妨害し、開位置に撓んで離れて、反対方向においては流れを可能にする、複数の弁尖を含んでもよい。弁構成要素16は、弁支持部分22において、および/または少なくとも部分的に係留部分20内に収容されてもよい。ステント弁10(例えば弁構成要素16)は、ステント構成要素14のそれぞれの内側表面部分または外側表面部分を少なくとも部分的に覆う内側スカート部および/または外側スカート部をさらに含んでもよい。例えば、スカート部は、係留部分20の少なくとも一部および/または弁支持部分22の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0051】
さらに図1を参照して、デリバリーカテーテル12は、例としてのみ、ステント弁10の収容のために、デリバリーカテーテル12の封じ込め領域で少なくとも1つのシース30を含んでもよい。少なくとも1つのシース30は、ステント弁10を拡張に抗して抑制するためにステント弁10の少なくとも一部をその圧縮した状態10′において覆うために構成されてもよい。少なくとも1つのシース30は、デリバリーカテーテル12のハンドル端32での制御による作動に応答して、選択的にステント弁10のそれぞれの領域を覆うかまたは露出するように、カテーテルの軸に沿って並進可能である。ステントホルダ28は、シース30の並進中に軸方向に変位するステント弁10のどのような傾向も防止もしくは少なくとも低減するか、および/またはステント弁10の僅かな部分のみがシース30によって覆われるときにシース30から免れて跳躍するステント弁10のどのような傾向も防止もしくは少なくとも低減してもよい。ステントホルダ28は、例えば、ガイドワイヤを受けるために、中央チューブ36(または複数のチューブの組立体)上に担持されてもよい。装填先端34は、チューブ36の最遠位端部において取り外し可能に取付けられてもよい。デリバリーカテーテル12の他の設計は、例えば、シース30および/またはステントホルダ28なしに用いられてもよい。例示のデリバリーカテーテル12がここで用いられるのは、それによってこの発明の利点を強調することが可能であるからである。
【0052】
その拡張された状態におけるステント弁10の最大外径は、約25mmから約35mmであってもよい。対照的に、デリバリーカテーテルのためにその圧縮した状態10′におけるステント弁の最大外径は、有意により小さく、例えば約10mm以下であってもよい。ステント弁を圧縮するように適用されるよう必要な径方向力は、相当なものであってもよく、例えば、少なくとも50N、少なくとも75N、または少なくとも100Nであってもよい。いくつかの実施例においては、径方向力は約100Nと120Nとの間にある。
【0053】
図3図7を参照して、装置40は、ステント弁10をその圧縮した状態10′に圧縮するために示される。装置40も、圧縮プロセスの一部としてデリバリーカテーテル12にステント弁10を装填することを容易にするように構成される。
【0054】
装置40は:中空のチャネル(または中空のチャネル部材もしくは中空のチャネル本体)42;移動部44;ドライバ46;装填チューブ(またはチャネル延長部分)48の構成要素の1つまたは2つ以上の任意の組合せも含んでもよい。構成要素42〜48のいくつかまたはすべては、互いから解体可能であってもよく、装置40の使用中に組付けられてもよい。
【0055】
中空のチャネル42は、ステント弁10がチャネル42内を一方の端部の入口52から対向する端部の出口54へと長手方向に前進するのに応答してステント弁10を漸進的に圧縮するために形状化された内部表面50を有してもよい。内部表面50は、圧縮中にステント弁10の円形の形状を維持するために、断面において略円形であってもよい。内部表面50は、例えば、出口54に向かう方向においてチャネル42の長手方向軸に沿って漸進的に低減する直径を有する(例えば先細になる)1つ以上の非円筒形部分50bおよび50dを含んでもよい。そのような形状は、じょうご形と呼ばれてもよい。じょうごは、プロファイルにおいて、真っすぐな側部を有してもよく、または凹状もしくは凸状であってもよい。内部表面50は、さらに、1つ以上の略円筒形の部分50aおよび50cを含んでもよい。内部表面50は、例えば疎水性のシリコーンに基づいたコーティングで、表面50とステント弁10との間の摩擦を低減するようにコーティングされてもよい。
【0056】
示された実施例においては、略円筒形の部分50aはチャネル42の入口52に近接して設けられる。円筒形部分50aは、実質的な圧縮なしに(および自己拡張型ステント弁の場合においては、ステント弁が跳ね返って入口52から出る傾向なしに)チャネル42内へのステント弁10の初期挿入を容易にしてもよい。加えて、または代替的に、略非円筒形の部分50d(例えばじょうご形状の)は、チャネル42の出口54に近接して設けられてもよい。非円筒形の部分50dは、ステント弁10が出口54に現れるときにステント弁10の端部で先細になる(例えば円錐形にテーパした)形状を促進することにより、装填中におけるステント弁10とデリバリーカテーテル12のステントホルダ28との係合を容易にしてもよい。
【0057】
チャネル42の出口54を、任意で、デリバリーカテーテル12のシース30の先端を受けるための環状のステップソケット54aとともに形成して、シース30内への装填を容易にしてもよい。ソケット54aは、そこで受けられるシース30の(例えば遠位の)端部の外径と実質的に一致する内径を有してもよい。
【0058】
チャネル42の壁は、少なくとも径方向において、略定置状態であるかまたは固定されてもよい。ステント弁10が内部表面50に抗して耐えて、それに沿って、および/またはそれを通って前進するために圧縮するように強要されるように、ステント弁10の圧縮はチャネル42内においてステント弁10を前進させることによって達成される。
【0059】
移動部44は、ステント弁10をチャネル42内において前進させるために、チャネル42内においてステント弁10にチャネル42の外部で生成された長手方向の駆動力をかけるために構成されてもよい。移動部44は、ステント弁10をチャネル42内において前進させるために、チャネル42の径方向に外側からステント弁10に長手方向の駆動力を適用するために構成されてもよい。移動部44は、チャネル42の壁においてそれぞれのスロット58において摺動し、チャネル42の外側からスロット58を通ってチャネル42の内部に突出する1つ以上の部分(例えば枝部)56を含んでもよい。(枝)部分56は、移動部44が長手方向に並進するよう駆動されるとステント弁10を前進させるためにステント弁10の部分を係合するために構成される。
【0060】
そのような移動部44を用いて駆動力を適用することにより、駆動力がステントの対向する端部の中間の1つ以上の位置でステント弁に適用されることを可能にしてもよい。これによって、「押す」力が、軸方向圧縮荷重によるステントの部分の座屈の危険性がより少ない状態でかけられることができてもよい。加えて、または代替的に、それは、力(「引く」力または「押す」力)が、ステントの末端部と干渉することも、取付け部分26に依存したり、またはそれを用いることもなく、かけられることを可能にしてもよい。
【0061】
代替的に、移動部44は、駆動力がステント弁10の末端部において適用されることを可能にしながら、(i)ステント弁より長い中空のチャネルを通る、および/または(ii)それ自体が圧縮されるステント弁の一部に押す力をかける、ステント弁を前進させる方法という問題を解決してもよい。
【0062】
加えて、または代替的に、そのような移動部44を用いて駆動力をかけることは、ステントが比較的堅固であり、および/または損傷もしくは変形にそれほど脆弱でない、1つ以上の位置(径方向および/または長手方向)において駆動力がかけられることを可能にしてもよい。
【0063】
この例においては、駆動力は、継ぎ目の支柱22aにかけられるように意図される(図2および図7を参照)。駆動力「F」は、継ぎ目の支柱22aと各それぞれの柱22aに接続された整列アーチ24aとの間の接合点においてかけられてもよい。駆動力は、2つの近接するアーチ24a間の中空38(谷部または凹みとも呼ばれる)においてかけられてもよい。そのような技術を用いると、移動部44は、ステント弁10の(i)弁構成要素およびスカートがない位置で接触して、それに対する損傷を回避する、および/または(ii)圧縮中に密にパッキングされる係留部分20の格子構造がない位置でステント弁10と接触することが可能である。継ぎ目の支柱22aは、例えば安定化部分24より強い、駆動力を受けるための堅固な支持を与えてもよい。
【0064】
(枝)部分56は、ステント弁10の係合のために所望される任意の好適な形状および構成も有してもよい。示された形式においては、各枝部分56は、略矩形であり、および/または断面形状において略平面である。枝部分56はブレード形状を有してもよい。断面形状は、ステント弁10と接触する相対的に薄い、および/または平坦な表面を与えてもよい。断面形状は、ステント弁10と接触する第1の寸法を規定してもよく、それは、第1の寸法を概ね横断する形状の寸法より小さくてもよい。
【0065】
そのような形状は、枝部分56がステント弁10において空間を開くように割込むいかなる傾向も低減し、一方で、依然として、スロット58を通ってステント弁10に片持ち梁状に駆動力を伝達するために十分な曲げ強さを枝部分56に与えてもよい。
【0066】
図面において示された形式においては、枝部56は、略径方向(例えば、チャネル42の長手方向軸に垂直)において内方向に延在する。代替的に、各枝部分56は径方向に関して傾けられてもよい。傾斜の角度は、約5度以上、任意で約10度以上、任意で約15度以上、または任意で約20度以上であってもよい。加えて、または代替的に、傾斜の角度は、約30度以下、任意で約25度以下、任意で約20度以下、任意で約15度以下、任意で約10度以下であってもよい。(図3において矢印56aによって示されるように、枝部分56の内側先端が出口54に向かって傾斜するように、)移動部44がチャネル42上に取付けられるときに、枝部分56はチャネル42の出口54に向かう方向に傾けられてもよい。そのような構成は、圧縮中にステント弁が内方向に座屈する傾向を防止または少なくとも低減してもよい。代りに、その傾斜は、ステント弁を表面50に向かって適度に外方向に付勢し、表面50の存在は外方向の座屈を妨害する。他の実施例においては、異なる傾斜の角度および/または異なる傾斜の方向が用いられてもよい。さらに他の実施例においては、枝部56は、実質的に径方向において内方向に延在してもよい。
【0067】
示された形式においては、枝部分56の径方向に内側の先端または端部は自由であり、クリアランスをその間に規定する。ステント弁10が圧縮プロセスの一部としてデリバリーカテーテル12に装填されるなか、クリアランスは、デリバリーカテーテル12の遠位部分が収容されることを可能にする。他の形式においては、枝部分56の内側端部はともに結合されてもよい。
【0068】
移動部44は、任意で、さらに、枝部分56を担持する、および/または枝部分56がそれから延在するリング60を含んでもよい。リング60はチャネル42の外側のまわりに嵌まり、チャネルの長さの少なくとも一部に沿って長手方向に摺動可能(例えば、少なくともスロット58の範囲に対応する部分に沿って摺動可能)であってもよい。スロット58は、入口においてステント弁10を導入するために移動部がチャネル42から係合解除されることを可能にするように、チャネル42の少なくとも一方の端部(例えば入口52)において開いていてもよい。
【0069】
チャネル42は、(好ましい実施例において示されるように)スロット58が形成された実質的に単一の部材として形成されてもよい。代替的に、チャネル42は、まとめてチャネル形式を規定するようにともに組付け可能である複数の構成要素部品を含んでもよい。
【0070】
いくつかの実施例においては、移動部44は、手で直接駆動されてもよいが、好ましい実施例においては、ドライバ46によって、移動部44のための駆動力を生成し(例えば均質に)かけるための付加的な便宜および制御を与えてもよい。
【0071】
ドライバ46は、チャネル42に関して可動であり、ドライバ46に適用される相対的な運動に応答して駆動力を生成するためにチャネル42に結合されてもよい(または結合可能であってもよい)。ドライバ46はチャネル42の外部にあってもよい。例えば、ドライバ46は、手で、または好適なツールを用いることで回転される回転式部材62を含んでもよい。回転式部材62はチャネル42の長手方向軸のまわりを回転可能であってもよい。回転式部材62は、回転式部材62の回転に応答して長手方向の変位を生成するためにねじ筋64および/またはヘリカルガイドによってチャネル42に結合されてもよい(または結合可能であってもよい)。ドライバ46(例えば回転式部材)は、直接的または間接的に移動部44に抗して(例えばリングに抗して)耐え、回転式部材62が回転すると、駆動力をそれにかける。(枝)部分56は、ステント弁10に駆動力を伝達して、ステント弁10をチャネル42内において前進させる。
【0072】
示された形式においては、チャネル42は、回転式部材62のためのねじ筋64を担持する略円筒形の外部部分を有する。回転式部材62は、ねじを緩められて、例えばチャネル42の入口52において、ねじ筋64から外され解体されてもよい。そのようにねじを緩めること/解体は、チャネル42の入口内へのステント弁の挿入のための移動部の除去、およびその後の移動部44と回転式部材62との再嵌め合いを可能にする。
【0073】
装填チューブ(またはチャネル延長部分)48は、設けられた場合には、穴66を含んでもよい。穴66は、直径において、デリバリーカテーテルのシース30の外部直径、および/またはソケット54aの直径に対応してもよい。示された形式においては、装填チューブ48は、穴66がチャネル出口54と実質的に整列される状態で延長部分48をチャネル42に取り外し可能に取付けるために固定部70を担持する唇状部68をさらに含む。固定部70は、例えばチャネル42の出口端部において、チャネル42のねじ筋64とねじ筋係合するための雌ねじねじ筋であってもよい。他の実施例においては、異なる固定部70が、装填チューブ48をチャネル42に取り外し可能に取付けるために用いられてもよい。さらに他の実施例においては、固定部は用いられなくてもよく、その代りに、装填チューブ48が、所望されたときに、手またはなんらかの他の外部のホルダによって適所に保持されてもよい。さらに他の実施例においては、装填チューブは、チャネル42の出口内に少なくとも部分的に挿入可能であるように寸法決めされてもよい。
【0074】
装填チューブ48は、設けられた場合、デリバリーカテーテル12とチャネル42との間の調整を単純化してもよい。装填チューブ48は、シース30を補強し、および/またはシースでステント弁10の少なくとも一部を捕捉する前にステント弁のその部分の装填チューブ48内への圧縮を可能にしてもよい。任意で、装填チューブ48はシース30上で摺動させられてもよい。装填チューブ48は、取付け部分26とステントホルダ28との間の装填係合(loading engagement)を容易にするために後ろに(チャネル42から遠ざかるように)摺動させられてもよい。その後、装填チューブを、前方に(チャネル42に向かって)摺動させて、シース30を補強し、および/またはステント弁10の漸進的な圧縮を集めるために連続的にシース30を調整する必要なしにステント弁10の延長部分48内への圧縮を可能してもよい。
【0075】
上記の構成要素は、金属および/またはプラスチックおよび/またはセラミックスを含む、任意の好適な材料から形成されてもよい。
【0076】
単に例として、チャネル42、ドライバ46および装填チューブ48は、プラスチック製であってもよく;および/または移動部44のリング60は金属であってもよく;および/または移動部44の枝部56は(例えばステント構成要素14との金属−金属接触を回避するように)プラスチック製であってもよい。他の形式においては、枝部56は、任意でコーティングされるかまたはプラスチックのカバーを担持している、金属またはセラミックスであり得る。代替的に、移動部44のリング60および枝部56は、例えば一体的にともに成型されたプラスチックであり得る。
【0077】
装填チューブ48および/またはチャネル42は、任意で透明または半透明で、オペレータが圧縮中にステント弁10の状態を見てデリバリーカテーテル12の装填および操作を補助することを可能にしてもよい。
【0078】
例示的圧縮および/または装填プロセスが、ここで、図6に関して例示の態様でのみ記載され、構成要素の移動の相対的な方向は矢印のシーケンスで示される場合がある。
【0079】
ステップ100で、装填チューブ48は、設けられる場合には、チャネル42から分離される一方で、シース30上で摺動されてもよい。装填チューブ48がステントホルダ28を覆わないように、装填チューブ48はハンドル端(32)に向かって後方に摺動されてもよい。シース30もステントホルダ28を露出するように並進されてもよい。
【0080】
さらにステップ100において、ステント弁10をチャネル42に挿入する前に、ドライバ46を回して外し、チャネル42から分離してもよい。移動部44を摺動させて、入口52においてスロット58の開いた端部から外してもよい。その後、ステント弁10は入口52内へと手で挿入されてもよい。ステント弁10は、取付け部分26を含む端部を最初に挿入されてもよい。この例においては、最初に挿入される端部は、係留部分20および/またはその下位の冠部20aを含む。移動部によって駆動力がかけられることになっているステント弁10の部分がスロット58と実質的に(または少なくともおおよそ)位置合わせされた状態で整列されるように、ステント弁10は回転式に方向づけられる。この例においては、これらの部分は継ぎ目の支柱22aに対応する。入口52における略円筒形の内部表面部分50aは、ステント弁10が、初めに実質的な圧縮なしに、相対的に容易に挿入されることを可能にする。
【0081】
ステップ102で、移動部44を入口52において再置して、リング60がチャネル42の外側に嵌まり、 枝部56がスロット58において受けられ、継ぎ目の支柱22aの先端を係合する(図7に示される)ようにしてもよい。
【0082】
ステップ104で、ドライバ46を入口52で移動部44のリング60上に置き、回転させて、ねじ筋によってねじ筋64を係合し、ステント弁10および移動部44をチャネル42に対して保持してもよい。
【0083】
その後(依然としてステップ104において)、チャネル42に対するドライバ46の継続的な回転は、移動部44を介してステント弁10にかけられる長手方向の駆動力を生成して、ステント弁10を出口54に向かって前進させる。ステント弁10が前進するにつれて、内部表面50の非円筒形の部分50bおよび50dとの接触は、ステント弁10を圧縮した状態に向かって漸進的に圧縮する。ステント弁10が出口54に接近するにつれて、取付け部分26が出口端部54において最初に出現してもよい。
【0084】
ステップ106で、(以下に説明されるように、既に適所にない場合には)デリバリーカテーテルの遠位端部を、ステントホルダ28が露出した取付け部分26を係合し、および/またはそれと噛み合うまで、出口端部54内に導入してもよい。露出した取付け部分26がチャネルの出口端部54から突出するのを見ることができることは、取付け部分26のステントホルダ28との係合の作業を容易にする。出口54において内部表面50の非円筒形の部分50dを設けることは、出口54から突出する取付け部分26が先細になる形状を採用することを促し、ステントホルダ28との係合を容易にすることも促す。ある場合には、デリバリーカテーテルの遠位端部を、より早い段階において出口端部54内に導入して、それが既に適所において取付け部分26を受ける準備ができているようにしてもよく、または取付け部分26が一旦出口端部54に到着し始めると、それから現れる前に、導入してもよい。
【0085】
ステップ108で、ステントホルダ28に取付けられた取付け部分26を覆うためにシース30を遠位に並進させ、それによってステント弁10の端部を捕捉してもよい。
【0086】
その後、圧縮および/または装填プロセスのさらなるステップは、装填チューブ48を用いるかどうかに依存してもよい。装填チューブ48を用いない場合、そのプロセスはドライバ46の段階状の回転によって漸増的に進行して(ステップ112)、ステント弁10を短い距離だけ前進させ、その度毎に、出口54に向かってシース30の対応する(遠位)並進が後に続いて(ステップ114)、出口において新しく露出したステント弁の部分を漸進的に捕捉してもよい。その度毎に、シース30をソケット54a内において接触するまで並進させてもよい。
【0087】
代替的に、装填チューブ48を用いる場合、ステップ110で、装填チューブ48をシースに沿って摺動させてチャネル42の出口端部54と接触するようしてもよい。装填チューブ48を、(例えば固定部70を用いて)チャネル42に取付けても、または手で適所に保持してもよい。装填チューブ48は、補強または封じ込めを与えて、ステント弁10がチャネル42の出口端部54においてさらに現れる際にさらにシース30を段階的に並進させるいかなる必要性も回避または低減してもよい。代りに、ステップ112で、ドライバ46を回転させて、さらにシース30を並進させることなくステント弁10を十分な圧縮に向かって前進させてもよい。シース30は、単に、ステントホルダ28に取付けられた取付け部分26を覆ったままであってもよい。シース30は出口54から変位してもよいが、その間中ずっと、装填チューブ48内に封じ込められたままである。装填チューブ48は、圧縮したステント弁10を一時的に円筒形または円筒形に近い圧縮した状態に封じ込めてもよい。一旦、移動部44が出口54の近くでスロット58の端部において最終位置に達すると、ステップ114で、シース内において、装填チューブ48によって封じ込められたステント弁10の部分を捕捉するために、シース30をチャネル42の出口端部54に向かって再び並進させてもよい。ステント弁が装填チューブ48の穴66からシース30内へと通過するために必要とされるさらなる圧縮の量は、相対的に小さいものであり、装填チューブ48内におけるシース30の並進によって容易に達成されてもよいことが理解されるであろう。万一、補強が必要ならば、シース30を取り囲む装填チューブ48はシース30を補強してもよい。
【0088】
いずれの技術を用いても、ステント弁10は、係留部分20の少なくとも大部分(および任意で弁支持部分22の少なくとも一部)を圧縮しシース30内に装填する、実質的に圧縮した状態に到達する。ステント弁10の安定化部分24はチャネル42内にとどまってもよい。ステップ116で、装置40をデリバリーカテーテル12から遠位に摺動させることによって、装置40はデリバリーカテーテル12およびステント弁10から係合解除される。中空のチャネル24を先に出なかったかもしれないステント弁10の安定化部分24の少なくとも一部は、再拡張しがちかもしれず、なぜならば、その部分24はシース30によっては封じ込められないからである。しかしながら、安定化部分24は、径方向において相対的に可撓性があり、以下に説明されるように、後で、中空のチャネル42に対する必要性なしに、容易に圧縮することが可能である。
【0089】
装填プロセスの最終段階(これらは装置40と直接関係がないので、図6には示されない)は:
(i)デリバリーカテーテル12の装填先端34を除去し、留置先端によって置換すること;および
(ii)シース30をさらに遠位に並進させて安定化部分24を圧縮すること、の1つ以上を含んでもよい。シース30を並進させて送給先端と接触させて、留置のための使用に対する準備ができているデリバリーカテーテル12の遠位領域を閉じてもよい。
【0090】
図8図14は、デリバリーカテーテル12を保管、輸送、およびそれが用いられる現場に供給してもよい、例示的梱包120を示す。図14にデリバリーカテーテル12の位置を示す。梱包120は、任意で、ステント弁10の圧縮および/または装填のために(図9図10図13および図14において)装置40も含む。装置40は、上記の実施例の特徴の任意のものであるか、またはそれを含んでもよい。
【0091】
梱包120は、概して、基部122と、基部122を覆って梱包120閉じるためのカバー(例えば蓋)124とを含む。基部122はデリバリーカテーテル12を少なくとも部分的に受けるための谷部126を含む。示された実施例においては、谷部126は、デリバリーカテーテル12の実質的に全体を収容することが可能であるように寸法決めされる。
【0092】
この実施例の特徴は、谷部126は、概ね液密であり、ステント弁10および/またはデリバリーカテーテル12の封じ込め領域12aが、ステント弁10をデリバリーカテーテル12に関して圧縮および/または装填するよう動作中に浸漬される液体を保持することに対して使用可能である、ということであってもよい。任意で、さらなる特徴は、同じ谷部126を用いて、デリバリーカテーテル12を、(i)デリバリーカテーテル12を初めに供給する梱包120における保管位置、および(ii)ステント弁10をデリバリーカテーテル12に装填するための装填位置に保持することであってもよい。任意で、保管位置および装填位置は実質的に互いと同じであってもよい。位置の少なくとも一方(または適切には両方の位置)において、デリバリーカテーテル12は、基部の面と実質的に平行であってもよく、および/またはステント弁を装填するための使用の際に実質的に水平であってもよい。デリバリーカテーテル12を基部の面と実質的に平行に配置することは、梱包の高さを望ましいように小さく保持することを可能にすることが可能である。デリバリーカテーテル12を、基部の面と実質的に平行に、および/またはステント弁の装填中の使用の際に実質的に水平に配置することは、(i)谷部を充填するために必要とされる液体の量が望ましいように小さく保持されること、および/または(ii)装填動作中においてデリバリーカテーテル内に避けがたく捕捉されるかもしれない空気の量を低減することを可能にする。捕捉された空気は患者の体内へのカテーテルの挿入に先立って除去するべきであり、充填中において捕捉されるであろう空気の量を低減することは、そのような後の「脱気」ステップの負担を緩和し得る。
【0093】
谷部126は一様な深さを有してもよく、またはそれはその長さに沿って変動する深さを有してもよい。ステント弁10を圧縮および/または装填する、またはデリバリーカテーテル12の封じ込め領域12aを収容する、少なくとも領域126aにおいては、谷部126はステント弁10および/または装填装置40の横方向寸法より大きな深さを有する。例えば、領域126aにおける深さは:少なくとも1cm;少なくとも2cm;少なくとも3cm;少なくとも4cm;少なくとも5cm;少なくとも6cm;少なくとも7cm;少なくとも8cm;少なくとも9cm;少なくとも10cm;少なくとも11cm;少なくとも12cm;少なくとも13cm;少なくとも14cm;少なくとも15cmであってもよい。
【0094】
谷部126は一様な幅を有してもよく、またはそれはその長さに沿って変動する幅を有してもよい。
【0095】
いくつかの実施例においては、谷部126は、デリバリーカテーテル12の或る形式の部分にフィットしてカテーテルを実質的な移動に抗して抱えるように支えるソケットをともに規定する1つ以上の第1の表面部分128を含む。加えて、または代替的に、谷部126は、カテーテルを操作および/またはシースを並進させるように手動で把持またはアクセスされるよう意図される、デリバリーカテーテルの部分12bに近接するクリアランス130aをともに規定する1つ以上の第2の表面部分130を含む。加えて、または代替的に、谷部126は、領域126aのためのクリアランスを規定する1つ以上の表面部分130を含む。いくつかの実施例においては、谷部126は、1つ以上の第1の表面部分128および1つ以上の第2の表面部分130を含み、デリバリーカテーテル12が第1の表面部分128によって規定された位置にある一方で、第2の表面部分130は手のアクセスがシースを操作することを許す。
【0096】
谷部126の基部は(任意で丸くされた角を伴って)略平坦であってもよく、および/または少なくとも谷部126の基部の部分は、デリバリーカテーテルおよび/または装填装置を、下から、抱えるように、またはカップ形状で支えるように、形状化されてもよい。
【0097】
谷部126の液体容量は、設計によって選択されてもよい。いくつかの実施例においては、液体容量は、(任意で、デリバリーカテーテル12および/または装填装置40が谷部126内において適所にある状態で)谷部126のための液体の量が:4リットル以下;3.5リットル以下;3.25リットル以下;3リットル以下;少なくとも1リットル;少なくとも2リットルから選択される1つ以上であってもよい。例えば、液体の量は、デリバリーカテーテル12および装填装置40の両方を谷部126内に置くときに測定してもよい。
【0098】
カバー124は、任意で、カバー124から懸架し、谷部126と噛み合い、ならびに/または(i)デリバリーカテーテル12および/もしくは(ii)装填装置40と係合して、デリバリーカテーテル/装填装置を谷部内において捕捉状態に保持する1つ以上の尾根のような1つ以上の突起132を含む。突起132は、デリバリーカテーテル/装填装置の表面をカップ形状で支えるように構成される、凹形状のようなプロファイル134を有してもよい。
【0099】
装填装置40は、任意で、谷部126とは異なる区画内に収納されてもよく、またはそのために取っておかれた谷部126の領域136に収納されてもよい。上に説明されるように、装填装置40はカバー124(またはカバーの突起132)によって適所に抑制されてもよい。
【0100】
基部122は、付属物を収納するための、谷部126とは異なる1つ以上の区画をさらに含んでもよい。
【0101】
基部122および/またはカバー124は、任意の好適な材料、例えばプラスチックであってもよい。任意の好適な技術、例えばブロー成型または注入成形によって、基部122および/またはカバー124を形成してもよい。
【0102】
梱包120を用いるための例示的なステップは:
(a)デリバリーカテーテル12および/または装填装置を収納している梱包120を、閉じられた形式で、与えること;
(b)梱包120を開く(例えばカバー124を除去する)こと;
(c)液体を谷部126内に導入すること;および
(d)少なくともステント弁および/またはデリバリーカテーテル12の封じ込め領域12aを谷部において液体に浸漬しながらステント弁を封じ込め領域12a内に装填すること、の1つ以上を任意の順序で含んでもよい。例えば、装置40はデリバリーカテーテル12の先端に配置され、谷部126の領域126a内において操作されてもよい。
【0103】
液体は例えば塩水であってもよい。液体は体温より冷たくてもよい。例えば、液体はおおよそ室温であってもよい。
【0104】
ステップ(d)は、デリバリーカテーテルl2が実質的に水平の状態で実行されてもよい。
【0105】
この方法は、装填動作の後にデリバリーカテーテル12から捕捉された空気を除去するステップ(例えば「脱気」ステップ)をさらに含んでもよい。上に説明されたように、デリバリーカテーテルl2が実質的に水平の状態でステップ(d)を実行することは、装填動作中に捕捉された空気の量を低減してもよい。
【0106】
ステップ(d)は、図面の図6に関して上に記載されたステップを含んでもよい。
前述の記載は、この発明の好ましい実施例の単なる例示であり、保護範囲を限定しない。この発明の範囲内において、多くの等価物、修正物および改善物を用いてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11-12】
図13
図14