(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に薄膜トランジスタおよび光電変換膜を含み二次元配列された複数の画素と、前記複数の画素のそれぞれの行に対して設けられた走査線と、前記複数の画素のそれぞれの列に対して設けられた信号線と、前記走査線の端部に接続された走査線接続パッドと、前記信号線の端部に接続された信号線接続パッドと、前記複数の画素を囲む共通配線リングと、前記走査線接続パッドと前記共通配線リングとの間に接続された第1の保護ダイオードと、前記信号線接続パッドと前記共通配線リングとの間に接続された第2の保護ダイオードと、前記共通配線リングと接続された外部電圧印加パッドと、を有するX線平面検出器用TFTアレイ基板を製造するパネル製造工程と、
前記外部電圧印加用パッドと前記信号線接続パッドとに基準バイアス電圧を印加し、前記走査線接続パッドに前記薄膜トランジスタをONする信号を印加し、前記信号線を流れる電気信号を前記信号線接続パッドから読み出して前記X線平面検出器用TFTアレイ基板を検査する検査工程と、
を具備することを特徴とするX線平面検出器の製造方法。
前記第1の保護ダイオードと前記共通配線リングとの接続部と、前記第1の保護ダイオードに隣接する前記第2の保護ダイオードと前記共通配線リングとの接続部と、の間の前記共通配線リングの電気抵抗は、前記共通配線リングの他の部分の電気抵抗よりも高いことを特徴とする請求項11に記載のX線平面検出器用TFTアレイ基板。
請求項11または12に記載のX線平面検出器用TFTアレイ基板における、走査線の一方の端部側に接続された走査線接続パッドと、前記走査線の他方の端部側に接続された前記走査線接続パッドと、の間、且つ、信号線の一方の端部側に接続された信号線接続パッドと、前記信号線の他方の端部側に接続された前記信号線接続パッドと、の間の部分と、
前記X線平面検出器用TFTアレイ基板に設けられた複数の画素を覆う蛍光体層と、
を具備することを特徴とするX線平面検出器。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、いくつかの実施形態によるX線平面検出器用TFTアレイを、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態によるX線平面検出器の模式的斜視図である。
図2は、本実施形態によるX線平面検出器の回路図である。
図3は、本実施形態によるTFTアレイの一部拡大断面図である。
図4は、本実施形態によるX線平面検出器の増幅回路の回路図である。
【0015】
X線平面検出器10は、二次元配列された複数の画素20を有している。これらの画素20は、縦横の各辺に数百個から数千個のアレイ状に配列されている。画素20をガラス基板11上にアレイ状に配列したものをTFTアレイ21と呼ぶ。各画素20は、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)41、光電変換膜(PD:Photo Diode)42、および、キャパシタ43を有している。なお、キャパシタ43を設ける代わりに、光電変換膜の容量および他の素子や配線の浮遊容量を用いてもよい。
【0016】
光電変換膜42には、バイアス電源51からバイアス線52を介して負のバイアス電圧が印加される。薄膜トランジスタ41は、信号線53および走査線54に接続している。ゲートドライバ47は、走査線54を介して薄膜トランジスタ41のオン/オフを制御する。信号線53の終端は信号処理回路48に接続している。
【0017】
TFTアレイ21の表面は、保護絶縁膜67で覆われている。保護絶縁膜67の一部には開口が形成されていて、バイアス線52、信号線53および走査線54の端部に設けられた接続パッド23,24,25などが露出している。保護絶縁膜67の表面には、蛍光体69の層が形成されている。蛍光体69の表面は、AlまたはTiO
2の反射膜(図示せず)で覆われている。また、蛍光体69および反射膜は、保護層(図示せず)で覆われている。
【0018】
バイアス電源51、ゲートドライバ47および信号増幅回路48は、たとえば回路基板22上に設けられる。回路基板22は、TFTアレイ21の背面側に配置される。TFTアレイ21と回路基板22との間には、たとえば鉛製でX線を遮蔽する遮蔽板26が配置される。TFTアレイ21上の信号線53、走査線54およびバイアス線52と、信号処理回路48、ゲートドライバ47およびバイアス電源51との間は、信号線53、走査線54およびバイアス線52上にそれぞれ設けられた接続パッド23,24,25に接続されたフレキシブル基板93によって電気的に結合されている。
【0019】
信号処理回路48は、リードアウトIC80と、差動増幅回路70とAD変換回路71とを有している。リードアウトIC80は、積分アンプ81とリセットサンプリング部82と信号サンプリング部83とリセットマルチプレクサ84と信号マルチプレクサ85とを有している。
【0020】
積分アンプ81は、信号線53に接続されている。積分アンプ81の信号線53につながっていない方の入力端子89には、基準バイアス電圧が印加される。積分アンプ81には、リセットスイッチ86が設けられている。積分アンプ81は、リセットスイッチ86が開状態のときに、信号線53を流れる電荷を積分して出力する。
【0021】
リセットサンプリング部82と信号サンプリング部83は、互いに並行に、積分アンプ81の出力に接続されている。リセットサンプリング部82および信号サンプリング部83は、それぞれリセットサンプリングスイッチ87および信号サンプリングスイッチ88、並びに、リセットサンプリングキャパシタ91および信号サンプリングキャパシタ92が設けられている。
【0022】
リセットマルチプレクサ84は、差動増幅回路70の一方の入力とリセットサンプリング部82との間に設けられている。信号マルチプレクサ85は、差動増幅回路70の他方の入力と信号サンプリング部83との間に設けられている。
【0023】
図4において、積分アンプ81およびリセットサンプリング部82および信号サンプリング部83は1つしか記載していないが、これらは、すべての信号線53に対して設けられている。リセットマルチプレクサ84および信号マルチプレクサ85は、それぞれ1つのリセットサンプリング部82および信号サンプリング部83に接続されているが、実際には、複数の信号線53に対して設けられたリセットサンプリング部82および信号サンプリング部83に接続されている。
【0024】
X線が蛍光体69に入射すると、蛍光体69中のX線を照射された蛍光体が蛍光を発する。この蛍光は光電変換膜42に入る。光電変換膜42において、蛍光は電荷に変換される。光電変換膜42には電圧が印加されているため、変換された電荷は画素20毎の画素電極に引き寄せられ、画素電極を通してキャパシタ43に蓄積される。
【0025】
本実施形態は、蛍光膜を用いた間接変換型のX線平面検出器で説明するが、直接変換型のX線平面検出器においても同様の効果が得られる。直接変換型のX線平面検出器では、蛍光膜および反射膜は使用しないでフォトダイオードである光電変換膜42でX線を直接電荷に変換する。この場合のn層、p層は印加バイアスが正の場合には逆の順番となる。
【0026】
ゲートドライバ47で走査線54を駆動し、1つの走査線54に接続している1列のスイッチング用の薄膜トランジスタ41をオンにすると、蓄積された電荷は信号線53を通って信号処理回路48に転送される。薄膜トランジスタ41を用いて一画素20毎に電荷を信号処理回路48に入力し、その電荷信号はCRTなどのディスプレイに表示できるような点順次信号に変換される。
【0027】
ある走査線54に接続された画素20から画素値を読み出す場合、まず、積分アンプ81のリセットスイッチ86を閉の状態から開の状態に変化させる。これにより、積分アンプ81がリセットされた状態から、リセットスイッチ86が開となり積分が可能な状態となる。この際、走査線54に与えられるゲート信号はOFF、すなわち、各画素20の薄膜トランジスタ41は開の状態であり、各画素20の画素値はキャパシタ43に保持されたままである。
【0028】
次に、リセットサンプリング部82のリセットサンプリングスイッチ87を閉にし、所定の時間が経過した後に開にして、リセット信号をサンプリングする。これにより、リセットサンプリングキャパシタ91に、リセット状態の信号がサンプリングされ、ホールドされる。
【0029】
このようにしてリセットサンプリングが完了した後、1本の走査線54にON信号を与える。これにより、その走査線54に接続された薄膜トランジスタ41が閉状態となり、キャパシタ43に保持された電荷が積分アンプ81で積分される。画素値のサンプリングに十分な時間が経過した後、ゲート信号をOFFとする。これにより、積分アンプ81のキャパシタに画素値に対応した電荷が蓄積される。
【0030】
画素20のキャパシタ42に蓄積された電荷の積分が終了した後、信号サンプリング部83の信号サンプリングスイッチ88を閉にし、さらに所定の時間が経過した後に開にする。これにより、信号サンプリング部83の信号サンプリングキャパシタ92に画素値に対応した電圧がサンプリングされその電圧がホールドされる。
【0031】
このようにして、各信号線53に接続されたリセットサンプリング部82および信号サンプリング部83にリセット信号および画素値信号の積分値がサンプリングされる。各信号線53に接続されたリセットサンプリング部82および信号サンプリング部83にサンプリングされたリセット信号および画素値信号は、順次、リセットマルチプレクサ84および信号マルチプレクサ85によって差動増幅回路70に伝達される。差動増幅回路70は、リセット信号と画素値信号との差分を演算する。差動増幅回路70によってアナログ演算された演算結果は、AD変換回路71に伝達され、デジタル値に変換される。デジタル値に変換された演算結果は、外部の機器に伝達され、たとえば画面上に表示される。
【0032】
画素20に入射する光の量によって、発生する電荷量が異なり、増幅回路の出力振幅は変化する。そして、増幅回路の出力信号をA/D変換でデジタル信号とすることで、直接デジタル画像にすることができる。画素20が配列された画素領域は、TFTアレイ21であるから、薄型、大画面のものが製作可能である。
【0033】
図5は、本実施形態によるX線平面検出器用TFTアレイ基板の模式的回路図である。
【0034】
次に、
図1ないし
図5を用いて、このX線平面検出器の製造方法について説明する。X線平面検出器の製造の際には、まず、X線平面検出器用TFTアレイ基板30を作成する。
【0035】
このX線平面検出器用TFTアレイ基板30は、TFTアレイ21のガラス基板11(
図1参照)よりも大きなガラス板31を有している。このガラス板31上に、TFTアレイ21を構成する信号線53、走査線54などの配線や、薄膜トランジスタ41、光電変換膜42、キャパシタ43などの素子が形成される。信号処理回路48に接続される接続パッド23(信号線接続パッド)の反対側の信号線53の端部にもパッド27が設けられる。ゲートドライバ47に接続される接続パッド24(走査線接続パッド)の反対側の走査線54の端部にもパッド28が設けられる。
【0036】
ガラス板31上には、TFTアレイ21となる部分の外周には、静電気保護用の保護ダイオード34が設けられる。互いに極性が逆となるように並列に接続された2つの保護ダイオード34が対となり、この保護ダイオード34の対がそれぞれの信号線53および走査線54の両側に設けられている。ダイオード34の信号線53および走査線54に対して反対側は、共通配線リング32に接続されている。共通配線リング32は、TFTアレイ21となる部分および保護ダイオード34の外周を囲んでいる。なお、保護ダイオードはダイオード特性を示せば通常のpnまたはpinのダイオードでもよく、またTFTをダイオード接続したものでもよい。保護ダイオードの回路は、一対の逆接続ダイオードをさらに組み合わせて保護効果を強化した回路構成でもよい。
【0037】
共通配線リング32には、外部電圧印加用パッド33が設けられている。外部電圧印加用パッド33は、信号処理回路48に接続される側とは反対側で信号線53に接続された保護ダイオード34の近傍で、これらの保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部を挟んで2か所に設けられる。つまり、外部電源印加用パッド33は、信号線53の同じ側、すなわち
図5における上側の保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部と、走査線54の同じ側、すなわち
図5における左側あるいは右側のどちらかの保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部との間に接続されている。共通配線リング32には、配線抵抗35が存在する。
【0038】
X線平面検出器用TFTアレイ基板30の製造の際、まず、ガラス板31上に金属を堆積させ、その金属の一部をエッチングによって除去して、薄膜トランジスタ41のゲート電極12となるパターンが形成される。次に、プラズマCVD法により、絶縁膜13としてSiNxが堆積される。
【0039】
さらに、その表面に、アンドープa−Si1層14、n型不純物を導入したアモルファスシリコン(n
+a−Si)層15を堆積する。次に、積層したn
+a−Si層15およびアンドープa−Si層14をエッチングし、a−Siの島を形成する。
【0040】
次に、画素エリア内外のコンタクト部に対応する領域の絶縁膜13をエッチングしコンタクトホールを形成する。この上に、Moを約50nm、Alを約350nm、そして更にMoを約20nm〜約50nmスパッタして積層し、補助電極18や信号線45、その他の配線を形成する。
【0041】
次に、さらにSiNxを堆積して保護膜17を形成する。その後、画素電極、n+a−Si層62、a−Si層16、p型不純物を導入したアモルファスシリコン(p
+a−Si)層63を順次堆積し、表面にITO層64を成膜し、フォトダイオード(PD)を形成する。このフォトダイオードが光電変換膜42となる。
【0042】
さらに、これらの表面にSiNで保護膜65,66を順次形成し、光電変換膜42とのコンタクトホールを形成する。この上にAlでバイアス線52を形成し、光電変換膜42の上部電極であるITO層64とコンタクトさせる。
【0043】
次に、これらの表面に保護絶縁膜67を形成し、接続パッド23,24,25やその他のパッド27,28および外部電圧印加用パッド33部分にコンタク用のホールを形成する。
【0044】
共通配線リング32は、ゲート電極12の形成と同じ工程内で金属をパターニングして形成される。また、保護ダイオード34は、薄膜トランジスタ41の製造と同じ工程内で半導体を積層して形成される。このように共通配線リング32および保護ダイオード34をX線検出器用TFTアレイ基板30の製造の早い段階で製造することにより、その後の工程での静電気の影響を低減できる。
【0045】
このようなX線平面検出器用TFTアレイ基板30を製造した後、TFTアレイ21となる部分の検査を行う。この検査の際には、プローブまたは他の手段により外部電圧印加用パッド33に基準バイアス電圧を印加する。
【0046】
また、信号処理回路48に接続される接続パッド23の反対側のパッド27に、所定の基準バイアス電圧が印加される。基準バイアス電圧とは、信号処理回路48の積分アンプ81の信号線53につながっていない方の入力端子89に印加されるバイアス電圧である。この基準バイアス電圧は、たとえば1.5Vである。信号処理回路48に接続される接続パッド23には、プローブその他の手段で、信号処理回路48と同等の信号読出回路(図示せず)が接続される。
【0047】
この状態で、走査線54の両端の接続パッド24およびパッド28の間に、所定の電圧を印加する。この所定の電圧は、X線平面検出器10の駆動電圧またはそれに近い電圧で薄膜トランジスタ41の逆バイアスのリーク電流が十分小さくなる電圧を選択すればよく、たとえば9Vを印加する。これにより、TFTアレイ21上のキャパシタ43から接続パッド23を介して電荷信号が信号読出回路に送られる。その電荷信号によって、TFTアレイ21上の薄膜トランジスタ41などの素子の健全性が確認される。
【0048】
TFTアレイ21の検査の際、共通配線リング32に電圧を印加しないと、TFTアレイ21の外周に配置された静電気保護用の保護ダイオード34にはリーク電流が流れる。このリーク電流は、信号読出回路に送られる検出信号値を変化させ、検査精度が悪化する。特に、微弱な電荷信号を取り扱うX線平面検出器では、その悪化が顕著である。
【0049】
この保護ダイオード34のリーク電流は、保護ダイオード34に印加する電圧を小さくすることにより減少させることができる。本実施形態では、共通配線リング32に基準バイアス電圧を印加しているため、保護ダイオード34の両端にはほぼ同一の電圧が印加される。つまり、保護ダイオード34に印加される電圧はほぼゼロとなる。これにより保護ダイオード34に流れる電流は、ほぼゼロまたは非常に小さな値となる。したがって、X線平面検出器の検査工程での検査精度を向上させることができる。
【0050】
このようにしてTFTアレイ21の健全性が確認された後、信号線53の両端に設けられた接続パッド23およびパッド27と保護ダイオード34との間、並びに、走査線54の両側に設けられた接続パッド24およびパッド28との間で、ガラス板31を配線などとともに切断する。このようにして、ガラス板31からTFTアレイ21を切り出す。
【0051】
このようにして形成されたTFTアレイ21の表面に、CsI;Tlの蛍光膜を成膜またはGOSの粉末シートを積層して蛍光体69を形成する。さらに蛍光体69の表面に、AlまたはTiO
2で反射膜を形成し、最上部に保護層を形成する。保護層を形成した後、回路基板22などと接続し、筐体(図示せず)に収めてX線平面検出器10が完成する。蛍光体69は、上述の例に限定されず他の蛍光物質を用いてもよい。
【0052】
このように、本実施の形態によれば、X線平面検出器の検査工程での検査精度を向上させることができる。その結果、不良のTFTアレイ21が次工程に流れる可能性を小さくすることができる。
【0053】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態によるX線平面検出器用TFTアレイ基板の模式的回路図である。
【0054】
本実施形態X線平面検出器用TFTアレイ基板30は、第1実施形態のX線平面検出器用TFTアレイ基板30(
図5参照)に外部電圧印加用パッド33を追加したものである。本実施形態では、外部電圧印加用パッド33は、信号線53の一方のパッド27側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部を挟む位置の2か所だけでなく、信号線53と信号処理回路48(
図1参照)との接続部となる接続パッド23側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部を挟む2か所にも設けられている。
【0055】
検査時には、いずれの外部電圧印加用パッド33にも所定の基準バイアス電圧が印加される。信号線53の一方のパッド27側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部と、信号線53と信号処理回路48(
図1参照)との接続部となる接続パッド23側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部との一方に所定の基準バイアス電圧を印加した場合、共通配線リング32の配線抵抗35の存在によって、これらの信号線53の両側での共通配線リング32の電位が異なってしまう場合がある。
【0056】
しかし、本実施形態では、信号線53の両側で共通配線リング32に所定の基準バイアス電圧を印加しているため、信号線53の両側での共通配線リング32の電位をほぼ一定とすることができる。その結果、保護ダイオード34に流れるリーク電流をさらに低下させることができる。したがって、X線平面検出器の検査工程での検査精度を向上させることができる。
【0057】
また、信号線53の端部の接続パッド23およびパッド27に印加する電圧と、走査線54の端部の接続パッド24およびパッド28に印加する電圧は異なる。このため、信号処理部のアンプに印加する電圧に影響を与える。
【0058】
そこで、信号線53の両側に設けられたそれぞれの保護ダイオード34の群に接続する部分、および、走査線54の両側に設けられたそれぞれの保護ダイオード34の群に接続する部分では共通配線リング32を低抵抗とし、信号線53側の保護ダイオード34との接続部分および走査線54側の保護ダイオード34との接続部分では共通配線リング32を高抵抗としてもよい。つまり、信号線53の同じ側に設けられた接続パッド23およびパッド27の群の内側、並びに、走査線54の同じ側に設けられた接続パッド24およびパッド28の群の内側では共通配線リング32配線抵抗を小さくし、群間の接続部分での共通配線リング32の配線抵抗を高くする。
【0059】
これは、単位長当たりの配線抵抗をパッド群内よりパッド群間を高くすることにより実現できる。たとえば低抵抗配線はAlなどの低抵抗金属で形成し、高抵抗配線はITOなどの透明電極で形成すればよい。
【0060】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態によるX線平面検出器用TFTアレイ基板の模式的回路図である。
【0061】
本実施形態のX線平面検出器用TFTアレイ基板30は、第1実施形態のX線平面検出器用TFTアレイ基板30(
図5参照)に接続配線36を追加したものである。この接続配線36は、外部電圧印加用パッド33との接続部の近傍で共通配線リング32に接続し、信号線53と信号処理回路48(
図1参照)との接続部となる接続パッド23側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部の近傍で共通配線リング32に接続している。この接続配線36の電気抵抗は、たとえば比抵抗が小さな金属などを用いて、共通配線リング32に存在する配線抵抗35よりも小さくなるようにする。接続配線36での電位降下は、1V以下にすることが望ましい。
【0062】
このようなX線平面検出器用TFTアレイ基板30を用いた場合、検査時に外部電圧印加用パッド33に所定の基準バイアス電圧を印加すると、信号線53と信号処理部との接続部となる接続パッド23側に設けられた保護ダイオード34と共通配線リング32との接続部の電位も外部電圧印加用パッド33とほぼ同じになる。その結果、保護ダイオード34に流れるリーク電流をさらに低下させることができる。したがって、X線平面検出器の検査工程での検査精度を向上させることができる。
【0063】
また、検査時に基準バイアス電圧を印加するためのプローブおよび回路を信号線53の一方の端部側分のみとすることができるため、第2実施形態に比べて、検査装置などのコストを削減することができる。
【0064】
[第4実施形態]
図8は、第4実施形態によるX線平面検出器用TFTアレイ基板の模式的回路図である。
【0065】
本実施形態は、第2実施形態と外部電圧印加用パッド33の位置が異なっている。本実施形態において、信号線53上に設けられた接続パッド23は、直線状に配列されている。外部電圧印加用パッド33は、信号線53上に設けられた接続パッド23の配列の両端に接続パッド23と同じ直線状に並ぶように配置されている。したがって、TFTアレイ21を切り出した後の製品中に、外部電源印加用パッド33が残存することとなる。
【0066】
また、外部電圧印加用パッド33と共通配線リング32との間の一部は、切り出されるTFTアレイ21内に残存することとなるため、信号線53などとは異なる材料で配線することは困難である。このため、外部電圧印加用パッド33と共通配線リング32との間は、抵抗を介して接続されることとなる。このため、若干の電圧降下が生じるが、その電圧降下の大きさはダイオード34のしきい電圧よりも低くすることができるため、実質的に、検査に影響を与えない。
【0067】
このようなX線平面検出器であっても、X線平面検出器の検査工程での検査精度を向上させることができる。その結果、不良のTFTアレイ21が次工程に流れる可能性を小さくすることができる。
【0068】
また、外部電圧印加用パッド33を信号線53上に設けられた接続パッド23と同じ直線状に配列しておくことにより、検査用プローブを簡単に接触させることができる。その結果、検査が容易になる。
【0069】
接続パッド23は、信号を処理するICの処理ビット数毎に群を形成している場合が多い。隣り合う群の間にはある程度の隙間が形成されている。このような群をなす接続パッド23の配列の両側に外部電源印加用パッド33を設けてもよい。
【0070】
さらに外部電圧印加用パッド33から信号線53に沿って端部が開放された配線が延びていてもよい。このような配線を設けることにより、信号線53を通って画素20から伝達される信号に外部の影響によりノイズが含まれる可能性が低減される。
【0071】
[他の実施の形態]
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。