(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリエチレンイミンポリマーが、直鎖状又は分岐状ポリエチレンイミンであり、前記直鎖状又は分岐状ポリエチレンイミンが、4kDaのポリエチレンイミンのHCl塩であってもよい、請求項1に記載の組成物。
前記DAB色素原又はその誘導体の析出が、前記ポリエチレンイミンポリマーを含まない組成物に比べて加速劣化条件下で約10%〜約100%減少し、ここで、前記DAB色素原又はその誘導体の析出は、45℃でのHPLCの加速劣化試験、又はKHSO4を用いたポリマースクリーニングのいずれかにより決定される、請求項1に記載の組成物。
前記DAB色素原又はその誘導体の析出が、前記ポリエチレンイミンポリマーを含まない組成物に比べて加速劣化条件下で減少すると同時に、検出条件下で前記DAB色素原又はその誘導体の析出が、前記ポリエチレンイミンポリマーを含まない組成物と同等であり、前記DAB色素原又はその誘導体と同等の析出が、前記ポリエチレンイミンポリマーを含まない組成物と比較して、適切な読み取り機によって測定したときに、測定された染色強度の平均値において統計的に有意な差が生じない、請求項1に記載の組成物。
前記安定剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムであり、前記組成物が、前記溶液中の前記DAB色素原又は誘導体の量を維持するために、ポリエチレンイミンポリマーがDAB色素原又はその誘導体を複合化するよう保存条件下で安定なままであるように構成され、前記組成物が、免疫組織化学染色に適したシグナルを生成するために、検出条件下で前記DABが析出するように構成されている、請求項1に記載の組成物。
前記DAB色素原が3,3’−ジアミノベンジジンであり、前記安定剤がメタ重亜硫酸ナトリウムであり、前記組成物が、約1mM〜約15mMの3,3’−ジアミノベンジジン、約0.1〜約6mMのメタ重亜硫酸ナトリウム、及び約0.05%(w/w)〜約0.5%(w/w)のポリエチレンイミンを含有してもよい、請求項10に記載の組成物。
保存条件が、他の試薬と流体連通していない密閉された保存容器を含み、検出条件が、組織試料に沈着され、前記酵素と接触させられた免疫組織化学染色用の前記組成物及び前記酸化剤を含む、請求項12に記載の方法。
免疫組織化学染色用の前記組成物と前記組織試料を接触させることが、前記DAB色素原又はその誘導体を含有する第一の成分溶液、前記安定剤を含有する第二の成分溶液、及び前記ポリエチレンイミンポリマーを含有する第三の成分溶液を組織試料に加えて、組織試料と接触しながら免疫組織化学染色用の組成物を形成することを含む、請求項12に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
I.序
本開示は、DAB色素原及び/又はその誘導体と、色素原、対イオンの塩、又は形成中の亜硫酸水素塩の酸化によるサルフェート産物と複合体を形成することができる1つ以上の官能基を含むポリマーを含有する組成物に関する。ある量のポリマーは、色素原の析出を十分に減ずるか、又は実質的に防止するために使用される。開示された組成物は、組織染色などの染色手順の間、色素原の沈着を増加又は改善するために使用されうる。また、開示されるのは開示された組成物を使用する方法と開示された組成物を含むキットである。
【0014】
II.定義および略語
特に断りがなければ、専門用語は一般的な用法に準じて使用される。分子生物学の一般的な用語の定義は、Benjamin Lewin,Genes VII,Oxford University Press刊,2000;Kendrewら(編),The Encyclopedia of Molecular Biology,Blackwell Publishers刊,1994);Robert A.Meyers(編),Molecular Biology and Biotechnology:a Comprehensive Desk Reference,Wiley,John & Sons,Inc.刊,1995;及びGeorge P.Redei,Encyclopedic Dictionary of Genetics,Genomics,and Proteomics,2版,2003に見られる。
【0015】
単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈内で特に明記しない限り、1又は複数を意味する。例えば、「細胞を含む(comprising a cell)」という語は1個又は複数個の細胞を含み、「少なくとも1個の細胞を含む」という句と同等とみなされる。「又は」という用語は、文脈内で特に明記しないかぎりは記載の代替要素又は2つ以上の要素の組合せのうちの1要素を意味する。波線(「
」)は結合の切断を示すのに使用され、破線(「−−−」)は結合が特定の位置で形成されうることを示すのに使用される。
【0016】
本明細書に記載のものと類似又は同等の材料は、本発明の技術を実施又は試験するのに使用されうるが、適切な方法および材料を以下に記載する。材料、方法及び例は単なる例示であって、限定を意図するものではない。
【0017】
以下の用語や方法の説明は、本開示をより良く記述するため、並びに当業者が本開示を実施する手引きとして提供される。
【0018】
類縁体(アナログ)、誘導体又は模倣物質:類縁体は親化合物と化学構造が異なる分子、例えば同族体(ホモログ)(アルキル鎖長の差などの化学構造の増分によって異なる)、分子断片一つ以上の官能基が異なる構造、イオン化の変化である。構造類縁体は、Remington(The Science and Practice of Pharmacology、第l9版(1995)、第28章)に開示されているものなどの技術による定量的構造活性相関(QSAR)を用いて見いだされることが多い。誘導体は、基本構造に由来する生物学的に活性な分子である。模倣物質は、生物学的に活性な分子などの別の分子の活性を模倣する分子である。生物学的に活性な分子は、化合物の生物学的活性を模倣する化学構造を含みうる。
【0019】
アリール:実質的に炭化水素ベースの芳香族化合物又はその基(例えばC
6H
5)が置換基として別の基に結合したもので、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセンなどに例示される環構造を有する。この用語は置換アリール化合物も包含する。
【0020】
アビジン:生物学的試料中に存在するかもしれない他の小分子を実質的に除外してビオチンに特異的に結合する任意のタイプのタンパク質。アビジンの例としては、卵白、油糧種子タンパク質(例えば、大豆ミール)、及び穀物(例えば、小麦/トウモロコシ)の中に自然に存在しているアビジン類及び細菌由来のタンパク質であるストレプトアビジンが含まれる。
【0021】
分岐状:この用語は、少なくとも3つの他の炭素原子に結合している炭素原子を含む1以上の単位を含む化合物及び/又は官能基を指す。
【0022】
色素原:顔料や色素などの着色産物に転換し及び/又は該着色産物として析出しうる物質。所定の色素原は、電子供与体であり、酸化されると着色産物になる。色素原が着色産物を生産し、及び/又は酸化のような化学的転換の際に不溶性になる特性は、IHCにとって有用である。発色性化合物の特定の例として、限定ではなく、3,3’−ジアミノベンジジン(DAB)、テトラメチルベンジジン(TMB)、2,2’−アジノ−ジ−[3−エチルベンゾチアゾリンスルホネート](ABTS)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)、テトラゾリウムブルー及びテトラゾリウムバイオレットを含む。DABは、水溶液中で高度に不溶性である褐色の最終産物(例えば、HRPなどの酵素反応を介して)を生産する色素原である。
【0023】
検出の十分条件:所望の活性を許容する任意の環境、例えば、プローブが標的と結合でき、相互作用の検出を可能にする環境。例えば、このような条件としては、適切な温度、緩衝液、並びに顕微鏡やデジタル画像処理機器などの検出手段を含む。
【0024】
接触させること:2つ以上の部分の結合を可能にする配置、特に、例えば固体及び/又は液体の両形態での直接的物理的結合(例えば、スライドに付着させた生体試料などの生体試料を、本明細書に開示の組成物を含む溶液などの組成物と接触するように位置させること)。
【0025】
コントロール:試料又は試験の妥当性を評価するためになされる手順又は試料。一例では、コントロールはポジティブコントロールなどの質コントロールである。例えば、ポジティブコントロールは、実際の試験試料と類似しているが、以前の経験から正の結果を得られることが分かっている手順又は組織や細胞などの試料である。ポジティブコントロールは、実際のどの試験試料も正の結果が得られなくても、試験の基本的条件で正の結果が得られることを確認する。特定の例では、ポジティブコントロールは、疑わしい抗原を含んでいることが以前の試験から分かっている試料である。他の例では、コントロールはネガティブコントロールである。ネガティブコントロールは、負の結果が得られることが以前の経験からわかっている手順又は試験試料である。ネガティブコントロールは、試験が測定可能な正の結果を示さない場合に得られるベースライン結果を示し、しばしばネガティブコントロールの値は、試験試料の結果から引かれる「バックグラウンド」値として扱われる。特定の例では、ネガティブコントロールは特異的な一次抗体を含まない試薬である。他の例にはキャリブレーターコントロール、即ちコントロール抗原を既知の量で含む試料を含む。このようなキャリブレーターコントロールは期待シグナル強度を有するので、実験間又は実験中の染色のばらつきを補正するのに使用されうる。
【0026】
洗剤又は界面活性剤:水の表面張力を減ずる物質。特に、洗剤又は界面活性剤は表面活性剤又は界面活性剤であり、油−水界面に集中して乳化作用を及ぼす。洗剤は、化学作用の態様によりアニオン性、カチオン性又は非イオン性に分類される。非イオン性洗剤は、水素結合のメカニズムを介して機能する。さらに、界面活性剤又は洗剤は、2つの液体の間の表面張力を減ずる。界面活性剤分子は典型的には極性又はイオン性の「頭部」と非極性の炭化水素「尾部」を有する。水に溶けると、界面活性剤分子は凝集してミセルを形成し、ここで非極性の尾部は内側を向き、極性又はイオン性の頭部は外側の水性環境に向いている。非極性の尾部はミセルの中で非極性の「ポケット」を作る。溶液中の非極性化合物は、界面活性剤分子により形成されたポケット内に隔離されるので、非極性化合物は水溶液中に混合されたままである。
【0027】
検出:例えば、試料中における(シグナル又は特定の抗原、タンパク質又は核酸などの)因子の有無を決定すること。幾つかの例において、これはさらに、定量化及び/又は局在化、例えば細胞や特定の細胞コンパートメント内での局在化を含みうる。「検出する」とは、標的分子が生体試料中に存在するかどうかを決定するなどの、何かが存在するか存在しないかを決定する任意の方法を意味する。例えば、「検出する」とは、視覚的又は機械的装置を用いて試料が具体的な特徴を示すか決定することを含みうる。特定の例では、検出は、標的に結合したプローブを視覚的に観察すること、又はプローブが標的に結合していないことを視覚的に観察することを意味する。例えば、光学顕微鏡や他の顕微鏡手段は、ここに記載の方法で色素原の沈殿を検出するのに一般的に使用される。
【0028】
増強(増強する、エンハンサー、増強、増強する〜):エンハンサー又は増強剤は、任意の化合物又は化合物の任意の組合せであり、このような化合物を有さない酵素活性と比較して、酵素の触媒活性が十分に増加する。エンハンサー又は増強剤はまた、活性コンジュゲートが受容体部位に結合する速度を増加又は加速する化合物又は化合物の組合せ、とも定義されうる。増強(増強する、増強、増強する〜)は酵素の触媒活性が、このようなエンハンサーを含まないプロセスと比べて増加されるプロセスである。増強(増強する、増強、増強する〜)はまた、活性コンジュゲートが受容体部位に結合する速度の増加又は加速とも定義されうる。増強(増強する、増強、増強する〜)はまた、病理学者が点数化するなどにより、視覚的に測定されうる。特定の実施態様では、点数は0より大きい数値から4より大きい数値の範囲であり、数字が大きいことは、視覚的検出が良好であることを意味する。より典型的には、点数は0より大きい数値から約4++まで、例えば1、1.5、2、2.5、3、3.5、3.75、4、4+及び4++の範囲である。加えて、増強(増強する、増強、増強する〜)は、酵素の見かけVmaxを決定することで測定されうる。特定の実施態様では、この用語は、0mOD/minより大きい値から約400mOD/min、例えば約15mOD/min、18mOD/min、約20mOD/min、約40mOD/min、約60mOD/min、約80mOD/min、約100mOD/min、約120mOD/min、約140mOD/min、約160mOD/min、約200mOD/min、約250mOD/min、約300mOD/min、約350mOD/min及び約400mOD/minの範囲の見かけVmax値(光学密度/分として測定)を包含する。より典型的には、Vmaxの範囲は0mOD/minより大きい値から約160mOD/min、例えば約20mOD/min、約40mOD/min、約60mOD/min、約80mOD/min、約100mOD/min、約120mOD/min、約140mOD/min及び約160mOD/minである。加えて、増強は、0mMより大きいエンハンサーの任意の濃縮を用いて行ってよい。典型的には、増強は、0mMより大きいエンハンサー濃度から約100mMまで;さらに典型的には、約0.01mMから約100mM、例えば約0.01mM、約0.02mM、約0.05mM、約0.10mM、約0.20mM、約0.50mM、約1.0mM、約2.0mM、約3.0mM、約5.0mM、約10.0mM、約20.0mM、約30.0mM、約40.0mM、約50.0mM、約75.0mM又は約100.0mM、例えば約0.01mMから約0.10mM、約0.05mMから約0.50mM、約0.4mMから約1.0mM、約0.5mMから約2.0mM、約1.0mMから約10.0mM、約5.0mMから約50.0mM及び約20.0mMから約100.0mMの範囲で行われる。一般的、及びその種の増強(増強する、エンハンサー、増強、増強する ̄)は、本願譲受人の同時係属出願、米国特許出願公開第2012/0171668号に開示されているものであり、これを援用して本文の一部とする。
【0029】
固定:細胞や組織の成分をなるべく生体の状態に近い状態で保存し、変性なしで調製手順に供するプロセス。固定は、細胞死の後に始まる自己融解と細菌分解のプロセスを阻止し、細胞及び組織の成分を安定化させて、IHCなどの次の段階の組織プロセシングに耐えられるようにする。組織は、アルデヒド(ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グルタルアルデヒドなど)などの固定液を用いて、灌流固定又は浸漬固定のいずれかで固定される。他の固定液としては、酸化剤(例えば四酸化オスミウム及びクロム酸などの金属イオン及び複合体)、タンパク質変性剤(例えば酢酸、メタノール及びエタノール)、機構が未解明の固定液(例えば昇汞、アセトン及びピクリン酸)、併用剤(例えばカルノア固定液、メタカーン、ブアン固定液、B5固定液、ロスマン固定液及びGendre固定液)、電子レンジ及びその他(例えば除体積固定や蒸気固定)を含む。洗剤、タンニン酸、フェノール、金属塩(例えば塩化亜鉛、硫酸亜鉛やリチウム塩など)及びランタンなどの添加剤も固定液に含まれうる。IHCの試料を調製するのに最も一般的に使用される固定液は、ホルムアルデヒドであり、通常はホルマリン液の形態である(緩衝液中4%ホルムアルデヒド、10%緩衝ホルマリンと呼ばれる)。
【0030】
ハプテン:典型的には抗体と特異的に結合しうる小分子であるが、典型的には担体分子との組合せ以外で免疫原性であることが実質的に不可能である分子。典型的なハプテンはオキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ジニトロフェニル以外のニトロアリール化合物、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリン、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、又はベンゾジアゼピンを含む。より具体的には、ハプテンは、2,4−ジニトロフェニル(DNP)、ビオチン、ジゴキシゲニン、5−ニトロ−3−ピラゾールカルバミド(NP)、3−ヒドロキシ−2−キノキサリンカルバミド(HQ)、2−アセトアミド−4−メチル−5−チアゾールスルホンアミド(TS)、及び4−(ジエチルアミノ)アゾベンゼン−4’−スルホンアミド(DABSYL)、又は7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−クロメン−3−カルボン酸(DCC)であってもよい。
【0031】
免疫組織化学(IHC):抗原と、抗体などの特異的結合剤又は部分との相互作用を検出することで、試料中の抗原の存在や分布を決定する方法。抗原(標的抗原など)を含む試料を、抗体抗原結合を可能にする条件下で抗体とインキュベートする。抗体抗原結合は、抗体に結合した検出可能な標識によって(直接的検出)、又は、一次抗体に対して産生した二次抗体に結合した検出可能な標識によって(例えば間接的検出)検出されうる。検出可能な標識としては、限定されないが、放射性同位体、蛍光色素(フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート及びローダミン)、酵素及び色素原分子を含む。
【0032】
インサイツハイブリダイゼーション(ISH):ハイブリダイゼーションの一種であり、標識した相補的DNA又はRNA鎖(即ちプローブ)を使用して、組織の一部又は切片における(インサイツ)又は組織が十分に小さい場合(例えば植物の種やショウジョウバエの胚)は組織全体における(ホールマウントISH)特定のDNA又はRNAの局在を明らかにする。これは、組織切片中のタンパク質の局在を明らかにする免疫組織化学とは区別される。DNA ISHは、医学的に染色体の完全性を診断するなど、染色体構造の決定に使用されうる。DNA ISH(ハイブリダイゼーション組織化学)は、組織切片やホールマウント中のmRNAや他の転写産物を測定し局在を明らかにするのに使用される。ハイブリダイゼーション組織化学では、通常、試料細胞及び組織を処理し、標的の転写産物を所定位置に固定し、標的分子に対するプローブのアクセスを増強させる。上述したように、プローブは、標識された相補的DNA又は相補的RNA(リボプローブ)のいずれかである。プローブは温度を上昇させると標的の配列にハイブリダイズし、その後余剰のプローブは洗い流される(ハイブリダイズしない余剰のRNAプローブの場合は、事前にリボヌクレアーゼを用いての加水分解後)。温度、塩及び/又は洗剤の濃度などの溶液パラメーターを操作して、あらゆる不一致の相互作用を排除してよい(即ち、完全一致のみ結合が維持される)。次いで、放射性、蛍光又は抗原標識塩基(例えばジオキシゲニン)などで効果的に標識された標識プローブの局在が明らかにされ、場合によってはオートラジオグラフィー、蛍光顕微鏡検査又は免疫組織化学などを用いてそれぞれ組織内で定量化される。
【0033】
目的とする分子又は標的:存在、位置及び/又は濃度を決定される分子。目的とする分子の例には、ハプテンでタグ付けされた核酸配列及びタンパク質を含む。
【0034】
マルチプレックス、マルチプレックスの、マルチプレクシング:本開示の実施態様は、複数の異なるコンジュゲートを用いて、試料中の複数の標的を所望により実質的に同時に又は連続して検出することを可能にする。マルチプレックスは、核酸、一般的には、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質を、両方個別に、かつ任意の及び全ての組合せで、同定及び/又は定量することを含みうる。マルチプレックスはまた、その解剖学的文脈において、細胞内の遺伝子、メッセンジャー及びタンパク質の2つ以上を検出することを含みうる。
【0035】
試料:「試料」という用語は、その中又は上に標的が存在しうる、任意の液体、半固体又は固体の物質(又は材料)を意味する。具体的には、試料は、生体試料又は生物学的物質由来の試料でありうる。生体試料の例としては、組織試料及び細胞学的試料を含む。幾つかの実施例において、生体試料はヒト対象などの動物対象由来である。生体試料とは、単細胞生物、なかでも例えば細菌、酵母、原生動物及びアメーバ、多細胞生物(例えば植物、又は、健康な若しくは健康と思われるヒト対象又は診断若しくは検査される癌などの症状や疾患を発症しているヒト対象を含む動物)を限定ではなく包含する任意の生物から得られた、又は排泄若しくは分泌された任意の固体又は液体の試料である。例えば、生物学的試料は、例えば血液、血漿、血清、尿、胆汁、腹水、唾液、脳脊髄液、水性又は硝子体の体液、又は任意の体分泌、浸出液、滲出液(例えば膿瘍や任意の他の感染又は炎症部位から得られる液体)又は関節(例えば正常な関節又は疾患を発症している関節)由来の液体から得られた生物学的液体でありうる。生物学的試料はまた、任意の器官又は組織(腫瘍生検などの生検又は解剖学的試料を含む)から得られる試料であってよく、又は(一次細胞であれ培養細胞であれ)細胞若しくは任意の細胞、組織又は器官の条件培地を含みうる。幾つかの実施例において、生物学的試料は核抽出物である。幾つかの実施例において、生物学的試料は細菌細胞質である。他の実施例において、試料は、試験試料である。例えば、試験試料は、対象から得られた生物学的試料から調製された細胞、組織又は細胞ペレットの切片である。一例では、対象は、特定の症状又は疾患のリスクがあるか又は罹患している対象である。
【0036】
特異的結合部分:特異的結合対のメンバー。特異的結合対は、それらが、別の分子への結合を実質的に排除してお互いに結合することを特徴とする一対の分子である(例えば、特異的結合対は、生物学的試料中の他の分子との結合対の2つのメンバーのどちらかについての結合定数よりも、少なくとも10
3M
−1より大きい、10
4M
−1より大きい、又は10
5M
−1より大きい結合定数を有しうる)。特異的結合部分の特定の例は、特異的結合タンパク質(例えば、抗体、レクチン、ストレプトアビジンなどのアビジン、プロテインA)、核酸配列、及びタンパク質−核酸を含む。特異的結合部分は、そうした特異的結合タンパク質が特異的に結合している分子(又はその一部)も含みうる。
【0037】
安定剤:色素原を分解、析出、及び/又は酸化から実質的に防ぐことができる化合物。一実施態様において、安定剤は、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化剤である。
【0038】
組織:器官内で同様の機能を果たす相互接続した細胞の集合。
【0039】
III.色素原−ポリマー組成物
所定の開示された実施態様は、色素原、特に、DAB色素原、及び/又はその誘導体、及び色素原、対イオン塩、又は亜硫酸水素塩酸化による硫酸塩生成物と複合体を形成することができるポリマーを含有する組成物に関する。開示された組成物は、組織染色などの比色手順において使用されうる。当業者であれば、特定のプロトコルのために有用な組成物は、異なるプロトコルのものと変わる場合があり、本明細書に開示された組成物の範囲内であることを理解されよう。更に、異なる試薬濃度又は試薬量の比率を有するような様々な任意の物質を、限定されないが、安定剤、エンハンサー、対比染色、及び/又は緩衝剤を含め、本発明によって案出された有用な組成物に含めてもよい。
【0040】
開示された組成物は、組織染色などの染色手順において、色素原の沈着、特にDAB沈着を増加させるために使用されうる。表1は、本開示に係るポリマーを含むベースのDAB色素原溶液(DAB、イミダゾール、2−ヒドロキシピリジン、及びメタ重亜硫酸ナトリウム)を様々な濃度の硫酸水素カリウム(KHSO
4)に曝露した、特定の実施例から得られた結果を詳細に示している。
【0042】
メタ重亜硫酸ナトリウムは、DAB組織染色を著しく阻害しない濃度で、酸化防止剤安定剤として使用されている。特定の作用理論に限定されるものではないが、この安定剤は、不溶性のDAB硫酸水素塩の析出物を形成すると考えられる酸化硫酸水素塩の副生成物を形成している(元素分析に基づく)。このDAB硫酸水素塩は低水溶性を有し、容易に溶液から析出する。
【0043】
ポリマー安定化DAB色素原について、熱ストレス安定性(45℃)及び硫酸水素カリウムの添加前及び添加後におけるDAB硫酸塩の析出を阻害する各ポリマーの能力を判断するため、HPLC分析を行った。試料は、残留DAB濃度(分析超遠心、「AUC」)について、内部標準としての2−ヒドロキシピリジン(AUC)と比較して分析した。2−ヒドロキシピリジン濃度は、熱ストレス又は硫酸水素カリウムの添加のいずれかによっても影響を受けないことが示された。DAB四塩酸塩が不溶性DAB硫酸水素塩の析出物を形成した場合、DAB濃度(AUC)は減少した。この析出物はプレカラムHPLCフィルターを用いて試料から除去することが可能なため、HPLCでは検出できない。熱応力は、DABの酸化を促進することが示された。これらの副生成物は、実質的な濃度になるまで溶液中で蓄積せず、そして溶液から析出した。最もDAB熱安定性があり、DAB硫酸塩の析出物の形成を最も阻害するポリマーが、有力候補となった。
【0044】
表1が示すように、色素原溶液及び開示されたポリマーの特定の実施態様を含有する組成物において、DAB硫酸塩の析出は防止された。
図1及び
図2は、特定の実施例から得られた結果を示す画像である。
図1は、DAB色素原溶液のみを含む組成物で染色した組織切片の画像であり、
図2は、DAB色素原溶液と開示されたポリマー(例えば、2wt%のデキストラン硫酸、Mw=9kDa〜20kDa、PEGなし)を含む組成物で染色した組織切片の画像である。
【0045】
A.色素原
開示された組成物は、一つ以上の色素原を含んでよい。本開示の実施態様は、特に、ジアミノベンジジン(DAB)、及び/又はその誘導体を含有する組成物の形成を対象とする。3,3’−ジアミノベンジジンなどのDAB色素原は、以前から免疫ブロット及び免疫組織化学的染色などの種々の染色手順に使用されてきた。開示された実施態様に使用されるDAB色素原の量は変えうるが、機能的には、許容される染色された組織試料を提供するのに十分な量、例えば、0.05mMから約100mMまで、より典型的には0.1mMから約15mMまで、更により典型的には約1mMから約11mMまでの量で使用され、実施例は、典型的には約5mMから約5.5mMまでのDAB色素原、及び/又はその誘導体を含む。
【0046】
B.ポリマー
種々のポリマーが開示されている組成物において使用されうる。本開示によって企図される適切なポリマーは、典型的には、ポリマー骨格と、DAB色素原及び/又はその誘導体の析出を減少させ又は実質的に防止するのに有効である少なくとも1つの、典型的には複数の官能基を含む水溶性ポリマーである。ポリマー合成に関して使用される反応性の化学開始剤は、多くの場合、ポリマー鎖の末端位置に官能基を残す。これらの基は、特に低分子量のポリマーについて、ポリマーの溶解性及び官能性に影響を与えうるが、本明細書に記載の官能性は、ポリマー骨格にまたがる官能基に関する。例示的な実施態様では、現在の開示の範囲内で、付加的な作用性を提供する官能基を有する反応性の開始剤を用いて開始されたポリマーは、開示された組成物中に含まれる。
【0047】
1.ポリマー骨格
開示されたポリマーの特定の実施態様は、ポリマー骨格を含む。ポリマー骨格は、水溶性又は実質的に水不溶性であってもよい。ポリマー骨格それ自体が実質的に水不溶性である実施態様では、ポリマー全体(例えば、適切な官能基と組み合わされたポリマー骨格)は、実質的に水溶性であるべきである。特定の開示された実施態様は、以下に示す、式1、式2、及び式3のいずれか一つを有するポリマー骨格に関する。
式1において、R
1は脂肪族、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロ原子含有部分から選択されうる。一実施態様において、R
1は、本明細書に開示される適切なポリマーの官能基のいずれかを更に含んでもよい。ヘテロ原子含有部分は、エステル、酸及びアミドから選択されうる。R
2は、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、又はヘテロアリールから選択されうる。式2、式3において、各Yは、独立して酸素、硫黄、及びNR
aから選択されてよく、ここで、R
aは水素、脂肪族、アリール、ヘテロアリール、及びヘテロ脂肪族から選択されうる。R
3は、本明細書に開示される適切なポリマーの官能基のいずれかから選択されてよく、nは1〜約100の範囲である。
【0048】
一実施態様において、ポリマーは以下の式4又は式5を有していてもよい。
【0049】
式4及び式5を参照すると、R
2は、水素、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、又はヘテロアリールから選択されてよく、R
3は、スルホネート、アミン、カルボキシル基、カルボン酸塩、又はこれらの組合せから選択されるポリマーの官能基であってもよい。R
4は、水素、脂肪族、及び(CH
2)
qNR
aR
bR
cから選択してもよく、式中、R
a、R
b及びR
cは、独立して、水素、脂肪族、アリール、及びそれらの組合せから選択されてよく、qは1〜約10の範囲であり;nは1〜約100の範囲である。
【0050】
更に、開示されたポリマー骨格のいずれかは、ハイブリッドポリマー骨格を生成するために、他のポリマー骨格と組み合わされてもよい。
【0051】
特定の開示された実施態様は、デキストラン、ポリスチレン、ポリビニル誘導体、ポリメタクリレート誘導体、ポリアクリルアミド誘導体、多糖類誘導体、ポリペプチド誘導体、核酸及び核酸骨格誘導体、ポリスチレン/マレイン酸コポリマー、ポリ(アクリルアミド/メタクリレート)コポリマー等から選択されるポリマー骨格などを含む。
【0052】
適切な水溶性部分の例としては、デキストランポリマーが含まれる。デキストランは、水、塩、及び組成物を含む電解液中で容易に溶解し、pHは溶解度にほとんど影響を及ぼさない。50%(w/v)を超えて含有する溶液のような濃縮デキストラン溶液を調製しうる。当業者であれば、デキストランは、種々の分子量を有することを理解されよう。
【0053】
他のポリマー骨格は、開示された組成物を形成するために使用されるポリマー材料それ自体が実質的に水溶性である限り、溶解性が低いか、又は実質的に非水溶性の骨格に基づきうる。ポリマー骨格のこのクラスの例としては、スチレン系ポリマー材料によって例示されるようなアリール骨格を含む。
【0054】
2.適切なポリマー官能基
適切な官能基は、生成物の形成中及び形成後の溶液中にDAB色素原及び/又はその誘導体を維持するのを容易にする任意の官能基を含む。一例として、適切な官能基としては、カルボキシレート、スルホネート(R−SO
2O
−)、サルフェート(SO
42−)、第一級、第二級、第三級及び第四級アミンを含むアミン、置換アミン、及びそのような官能基の組合せが挙げられる。アミン官能基は、脂肪族アミン、特に、1つ以上の水素原子、又は1つ以上の低級アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基で官能化されたアミン;アリールアミン、例えば1つ以上のアリール基、特にフェニルで官能化されたアミン;ヘテロアリールアミン;及びその組合せから選択されうる。一実施態様において、ポリマーはポリアルキレンアミンであってもよい。
【0055】
3.例示的なポリマー
以下のポリマーは、開示された組成物を形成するのに適したクラス及び種類のポリマーを単に例示することを意味するものであり、限定することを意図するものではない。スルホネート及びサルフェートポリマーは、DAB及び/又はその誘導体と水溶性ポリマー複合体を形成することにより、DAB硫酸塩の析出を実質的に減少させ又は防止する。また、DAB色素原の組織染色に対するサルフェート及びスルホネートポリマーの効果は、重量平均分子量(Mw)及び/又は数平均分子量(Mn)及び/又はポリマーwt%濃度などのポリマーの大きさを変えることによってコントロールしうる。ポリマーのMwが大きくなるほど、DAB色素原の組織染色は減少し、ヘマトキシリンのバックグラウンド染色は増加した。例えば、
図3〜
図8は、ポリスチレンスルホネート(PSS)ポリマーのMwの増加に伴うDAB沈着について、例示的な実施例での効果を総括的に示したものである。
図3は、DAB色素原溶液のみを含む組成物を用いて作製した染色組織切片のコントロール画像である(例えば、OPTIVIEW(登録商標)DAB溶液、ベンタナ・メディカル・システムズ社、アリゾナ州ツーソン、以下「ベンタナ」という。)。
図4〜
図8は、DAB色素原溶液と約1.5kDa(
図4)、5.1kDa(
図5)、7.5kDa(
図6)、16kDa(
図7)、及び35kDa(
図8)の分子量を有するPSSポリマーを含む組成物を用いて作製した染色組織切片の画像である。これらの例示的な実施態様で使用された全てのポリマーは、5wt%のポリマー濃度で使用した。
図4〜
図8に示すように、PSSポリマーのより高い分子量の誘導体は、DAB染色の減少、及びマトキシリンのバックグラウンド染色の増加を導く。例示的な実施態様において、低分子量のデキストラン硫酸、及びポリスチレンサルフェートは、DABの組織染色への影響を最小限に抑えながら、DAB硫酸塩の析出に対処する。
【0056】
アミンポリマーはまた、DAB硫酸塩の析出を低減又は実質的に予防するのに有用である。一実施態様において、アミンポリマーは、DAB、及び/又はその誘導体の析出を完全に阻害するために使用されうる。第一級、第二級、第三級及び第四級アミンポリマーが、本開示によって企図される。アミンポリマーは、DAB組織染色に、サルフェート及びスルホネートポリマーと同じ影響を与えることはない。作用について特定の理論に束縛されるものではないが、ポリマー濃度が粘度を増加させ得、よってDAB組織染色に影響を与えうると今は考えられる。アミンポリマーは、カチオン性ポリマーとサルフェートアニオンとの間で水溶性ポリマー複合体を形成し、これによりDABと複合体を形成し、不溶性DABサルフェート複合体を形成するのに利用できる遊離のサルフェートの濃度を低下させることによって、DAB硫酸塩の析出を実質的に低減又は防止しうる。組織染色はまた、アミンポリマーの溶解性によってもまた影響を受ける可能性があり、これは、Mw=15kDaのポリアリルアミンなどのアミンポリマーの特定の実施態様において反応緩衝液中のpHが中性のときに問題となりうる。適した例示的なアミンポリマーには、ポリエチレンイミン(直鎖状又は分岐状)、DEAE−デキストラン及びポリ(2−メチルアクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド)ポリマーを含む。
【0057】
一実施態様において、組成物は1種類の色素原、又は2種類以上の色素原、及びアミノデキストランポリマーを含む。開示された組成物を用いた特定の実施例の結果は、
図9〜
図12にまとめて示す。
図9は、DAB色素原溶液のみを組織試料に適用したコントロールで得られた結果を示す画像である。
図10〜
図12は、DAB色素原溶液と様々な分子量の4wt%のアミノデキストランを含有する組成物が組織切片に添加された、染色された組織切片の画像である。
図10はMw=10kDaのアミノデキストランポリマーを用いて得られた結果を示し、
図11はMw=40kDaのデキストランポリマーに関するものであり、
図12はMw=70kDaのアミノデキストランポリマーを用いて得られた結果を示している。アミノデキストランベースのポリマーのポリマー濃度(wt%)は、典型的には組織染色にあまり影響を与えないが、ポリマーの溶解性及びDAB硫酸塩沈殿防止を促進するためにポリマー濃度の最適化を行ってもよい。
【0058】
他の開示された実施態様において、0.05wt%〜3wt%などの様々なポリマー濃度の直鎖状ポリエチレンイミン(PEI、2.5kDaの遊離塩基又は相当する4kDaのHCl塩)を含むDAB色素原溶液は、DAB硫酸塩の析出に対処するために使用されうる。開示された本実施態様は、約4mMまでのメタ重亜硫酸ナトリウムなど、典型的にはDAB組織染色に悪影響を与えないであろう抗酸化安定剤を含むDAB色素原溶液と共に使用されうる。DEAE−デキストラン及びアミノデキストランなどのアミンポリマーの他のクラスは、約1mMまでのメタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化安定剤を添加した場合、DAB組織染色に悪影響を与えることなく、DAB硫酸塩の析出を有意に減少させることが見出された;しかしながら、典型的には、これら特定の開示された実施態様が提供する、約4mMのメタ重亜硫酸ナトリウムでのDAB硫酸塩の析出に対する保護は最小である。アミンポリマーの他の開示された実施態様は、約1mM〜約4mMの安定剤のレベルで析出を防止するために使用してもよい分岐状PEI及びポリアリルアミンを含む。しかし、一実施態様において、これらのアミンポリマーは、所望の組織試料のDAB染色を生じない場合がある。
【0059】
上記に基づき、本発明に適した特定の種類のポリマー材料の例示的なリストには、デキストラン硫酸、ポリスチレンスルホネート、ポリスチレンスルホネートマレイン酸コポリマー、直鎖状ポリエチレンイミン、DEAE−デキストラン、アミノデキストラン、ポリ(2−ビニル−1−メチルピリジニウムブロミド、ポリ(2−メチルアクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド、又はポリ(アクリルアミド/2−メチルアクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムブロミド及びそれらの組合せを含む。
【0060】
C. DAB/ポリマー比、分子量、及び濃度
一実施態様では、低分子量ポリマーはDAB染色への影響が少ない傾向にある。対比染色(例えば、ヘマトキシリン対比染色)に影響を与える機能はまた、ポリマーwt%及び分子量を操作することによってコントロールされうる。特定の開示された実施態様は、0.1mMよりも大きく約100mMまで、より典型的には0.5mMより大きく約15mMまで、更により典型的には約1mMから約11mMまでの範囲の濃度において、DAB色素原及び/又はその誘導体を含むDAB色素原溶液を含んだ組成物に関するものであり、実施例は、約5mMから約11mMまでのDAB及び/又はその誘導体を典型的に含んでいる。また、組成物が開示された実施態様は、ポリマーの分子量が1kDaより大きく約500kDaまでの、より典型的には約1kDaから約250kDaまでの、更により典型的には約1kDaから約100kDaまでの範囲を有することを特徴とする、開示されたポリマー又は均等物の1つ以上を含む。ポリマーは、ポリマー濃度が0.01重量%より大きく約10重量%までの範囲であり、より典型的には、約0.1重量%〜約7重量%である。
【0061】
ポリマーがデキストラン硫酸ポリマーである開示された実施態様において、約2重量%から約5重量%のポリマー濃度において、ポリマーの分子量は、典型的には約5kDaから約30kDaの範囲である。さらに典型的には、約2重量%〜約5重量%のポリマー濃度において、デキストラン硫酸ポリマーは約6.5kDa〜約20kDaの範囲の分子量を有する。ポリマーがポリスチレンスルホネートポリマーである場合、典型的な実施態様は、約2重量%から約5重量%のポリマー濃度において、約1kDa〜約40kDaの範囲の分子量を有するであろう。さらに典型的には、ポリスチレンスルホネートポリマーは、約2重量%から約5重量%のポリマー濃度において、約1kDa〜約35kDaの範囲の分子量を有する。例示的な実施例は、約1.5kDaの分子量及び2重量%のポリマー濃度を有するポリスチレンスルホネートポリマーを使用した。組成物は、ポリスチレンスルホネートマレイン酸コポリマーを含む場合、ポリマーは典型的には、0kDaより大きく約20kDaまでの分子量、及び2重量%より大きく約5重量%までのポリマー濃度を有するであろう。組成物は、ポリビニルスルホネートポリマーを含む場合、ポリマーは、典型的には、約4kDaから約6kDaまでの分子量、及び約2重量%より大きく約5重量%までのポリマー濃度を有するであろう。
【0062】
組成物がアミノデキストランポリマーを含む場合、0.1重量%より大きく約10重量%まで、より典型的には約0.25重量%から約5重量%までのポリマー濃度において、ポリマーは約10kDa〜約70kDaの範囲の分子量を典型的に有するであろう。組成物はDEAE−デキストランポリマーを含む場合、ポリマーは、1kDaより大きく約500kDaまでの範囲の分子量、及び0.1重量%より大きく、約7重量%までの範囲のポリマー濃度を典型的に有するであろう。他の開示された実施態様において、組成物は、1kDaより大きく約15kDaまでの分子量、及び0.01重量%より大きく約5重量%までの範囲のポリマー濃度を有するポリアリルアミンポリマーを含んでいてもよい。例示的な実施態様において、組成物は、約2.5kDaの分子量及び約0.15重量パーセントのポリマー濃度を有するポリエチレンイミンポリマーを含む。ポリエチレンイミンポリマーは、塩が典型的には、2.5kDaのポリエチレンイミン遊離塩基ポリマーに相当する4kDaのHCl塩である、遊離塩基ポリマー又は塩から選択されてもよい。
【0063】
D. DABベース製剤
DABベース液の一実施態様は、DAB色素原、一つ以上のエンハンサー、及び安定剤を含有する。一実施態様において、DABベース液は、0.1mMより大きく約15mMまでの、より典型的には0.1mMより大きく約11mMまでの範囲の濃度を有するDAB色素原及び/又はその誘導体、0.01mMより大きく約15mMまでの範囲の濃度を有するイミダゾールエンハンサー、0.01mMより大きく約15mMまでの範囲の濃度を有する2−ヒドロキシピリジンエンハンサー、及び0.01mMより大きく約2mMまでの範囲の濃度を有するメタ重亜硫酸ナトリウム安定剤を含有する。例示的なベース液は、2.5±0.1のpHで、5.5mMのDAB、10mMのイミダゾール、10mMの2−ヒドロキシピリジン、及び1mMのメタ重亜硫酸ナトリウムを含有する。一実施態様において、これらの組成物は、0mMから約10mMの範囲、より典型的には、0mM、1.37mM、2.75mM、及び8.0mMの濃度のKHSO
4を用いて試験し、DAB硫酸塩の析出が4℃一晩で誘導された。別の実施態様では、エンハンサーは、DABのベース製剤には含めず、本明細書において開示したように、本明細書で指定されたものと同等の濃度で、酸化剤製剤中に含まれる。
【0064】
特定のDAB色素原組成物は既知で市販されており、本出願で開示される実施態様において使用されているとおり、高分子安定剤を含んでいない。例えば、ベンタナ・メディカル・システムズ社は、2.3±0.1のpHで、5.5mMのDAB・4HCl、10mMのイミダゾール、10mMの2−ヒドロキシピリジン、1mMのメタ重亜硫酸ナトリウム、5wt%のPEG8000、0.05%w/vのブリジ35、及び750μMのスズ酸ナトリウム三水和物を含有するDAB色素原製剤を提供している。
【0065】
当業者であれば、メタ重亜硫酸ナトリウムが、メタ重亜硫酸ナトリウム1モル当たり亜硫酸水素ナトリウム2モルを生じる不均化を水中で起こすことが理解されよう。亜硫酸水素ナトリウム1モルにつき、DABと不溶性の塩複合体を形成しうる、1モルの硫酸水素ナトリウムを形成する可能性がある。一実施態様において、分析によりDAB硫酸はおそらくDAB一硫酸塩であると判断した。
【0066】
ベンタナ・メディカル・システムズ社が開発した新しいDAB色素原組成物の特定の開示された実施態様は、5.5mMのDAB・4HCl、10mMのイミダゾール、10mMの2−ヒドロキシピリジン、1mMのメタ重亜硫酸ナトリウム、0.15wt%で2.5kDaの直鎖状PEI(遊離塩基又は4kDaのHCl塩ポリマー)、及び0.05w/v%のブリッジ35を2.3±0.1のpHで含む。DAB色素原組成物の他の実施態様は、0.15wt%の2.5kDaの直鎖状PEI(遊離塩基又は4kDaのHCl塩)、5wt%〜7wt%の500kDaのDEAE−デキストラン、2wt%、6.5kDa〜10kDaのデキストラン硫酸及び2wt%で〜1.5kDaのPSSポリマーを含有する。
【0067】
IV. 組成物の使用方法
本開示はまた、本明細書に開示されたDAB色素原組成物を使用する方法の実施態様に関する。一実施態様において、この方法は、エピトープを含む組織試料を提供すること;標識された特異的結合部分及び標識酵素に組織試料を曝露すること;組織染色手順のために有効な量のDAB色素原又はその誘導体、有効量の安定剤、及びポリマーを含んでいない組成物と比較して、DABの析出を減らすか実質的に防止するために有効な量のポリマーを含有する組成物に組織試料を曝露すること;酸化剤及び対比染色剤に組織試料を曝露すること;及びエピトープを検出することを含みうる。
【0068】
一実施態様において、組織試料は、比色検出を用いて分析することができる任意の組織試料であってもよい。特定の開示された実施態様は、ホルマリン固定、パラフィン包埋組織試料を使用することに関する。標識された特異的結合部分は、ハプテン(例えばオキサゾール、ピラゾール、チアゾール、ジニトロフェニル以外のニトロアリール化合物、ベンゾフラザン、トリテルペン、尿素、チオ尿素、ロテノイド、クマリン、シクロリグナン、ヘテロビアリール、アゾアリール、又はベンゾジアゼピン)のような特異的結合対の第一のメンバーで標識されてもよい。一実施態様において、ハプテンは、HQ、DIG、DNP、TS、NP、DCC、及びビオチンから選択される。例示的なハプテン及びハプテンを含んでいるコンジュゲートは、米国特許第7695929号に開示されており、これを援用して本文の一部とする。特異的結合部分は、抗体又は核酸(例えばDNA又はRNA)から選択されてもよい。一実施態様において、標識酵素は、抗体又はアビジン(例えばストレプトアビジン)のような特異的結合対の第二のメンバーとコンジュゲートしている酵素である。酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼなどのペルオキシダーゼであってもよい。
【0069】
組織試料は、異なる様々な技術を用いた開示された組成物に曝露されてもよい。一実施態様において、組織試料にDAB色素原及びポリマーの別々の溶液を同時に添加することによって、組織試料にDAB色素原及びポリマーの別々の溶液を順次添加することによって、又は組織試料にDAB色素原及びポリマーを含む溶液を添加することによって、組織試料は組成物に曝露される。組成物は、本明細書に記載の開示された構成要素のいずれかを含んでもよい。開示された組成物の添加後、過酸化水素などの酸化剤を組織試料に添加してもよい。また、ヘマトキシリンのような対比染色液を組織試料に添加してもよい。組織試料内のエピトープは、その後に比色検出を用いて検出してもよい。開示された方法は、手作業で行ってもよいし、部分的又は完全に自動化してもよい。
【0070】
V. キット
本開示はまた、開示された組成物を含むキットの実施態様も企図する。一実施態様において、開示されたキットは、DAB色素原、又はその誘導体;イミダゾール、2−ヒドロキシピリジン、及びそれらの組合せから選択されたエンハンサー;メタ重亜硫酸ナトリウムなどの抗酸化安定剤;及び、ポリマーを含んでいない組成物と比較して、DAB硫酸塩の析出を低減又は防止することが可能なポリマーを含んでよい。試薬は別々に包装されてもよいし、2種以上の試薬が同じ溶液中にあってもよい。
【0071】
VI. 試料及び標的
開示された組成物は、試料中の1つ以上の標的を検出するために使用されうる。試料は、生物学的成分を含み、一般に1以上の目的とする標的分子を含むと考えられる。標的分子は、細胞表面にあってよく、細胞は懸濁液又は組織切片の中にあってよい。標的分子は細胞内でもよく、細胞溶解又はプローブでの細胞貫通の際に検出されうる。当業者であれば、試料中の標的分子を検出する方法は、用いられる試料とプローブのタイプにより異なることを理解されよう。試料を収集し調製する方法は当分野で知られている。
【0072】
本明細書に開示される方法の実施態様において、組成物と共に使用される組織又は他の生体試料などの試料は、当業者に知られる任意の方法で調製されうる。試料は、常套的なスクリーニングの被験者、又は遺伝的異常、感染又は腫瘍などの疾患を有すると疑われる被験者から得られうる。開示の方法の記載された実施態様はまた、遺伝的異常、疾患、障害などをもたない「正常な」試料と呼ばれる試料にも適用される。このような正常な試料は、他の試料との比較用コントロールとして、とりわけ有用である。試料は様々な目的のために解析されうる。例えば、試料は、科学的研究若しくは疾病が疑われる場合の診断、又は治療の成功、生存などの予後診断的インジケーターとして使用されうる。
【0073】
試料は、プローブやリポーター分子によって特異的に結合されうる複数の標的を含みうる。標的は、核酸配列又はタンパク質でありうる。本開示を通じて、標的タンパク質を参照する場合、そのタンパク質関連の核酸配列も標的として使用され得ることが理解される。幾つかの例では、標的は、ウイルス、細菌又はウイルスのゲノムからの細胞内寄生体などの病原体のタンパク質又は核酸分子である。例えば、標的タンパク質は、疾患と関連のある(例えば相関のある、偶然示唆されるなど)標的核酸配列から産生されうる。
標的核酸配列の大きさは大きく変わりうる。限定するものではないが、核酸配列は、可変数の核酸残基を有しうる。例えば、標的核酸配列は、約10の核酸残基、又は約20、30、50、100、150、500、1000の残基を有しうる。同様に、標的ポリペプチドの大きさは大きく変わりうる。限定するものではないが、標的ポリペプチドは、そのペプチド特異的抗体に結合するエピトープ又はその断片を含むであろう。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、2つのペプチド特異的抗体に結合するエピトープ、又はその断片を含みうる。
【0074】
具体的な非限定的な例では、標的タンパク質は、腫瘍(例えば癌)関連の標的核酸配列(例えばゲノムの標的核酸配列)により産生される。多数の染色体異常(転座やその他の再配列、増幅又は欠失を含む)が新生物細胞、特に癌細胞(例えば、B細胞及びT細胞白血病、リンパ腫、乳癌、結腸癌、神経癌等)で同定されている。従って、幾つかの例では、標的分子の一部分が、試料の細胞サブセットで増幅又は欠失された核酸配列(例えばゲノムの標的核酸配列)により産生される。
【0075】
癌遺伝子は、幾つかのヒト悪性腫瘍の原因であることが知られている。例えば、染色体18q11.2のブレークポイント領域に位置するSYT遺伝子が関与する染色体再配列は、滑膜肉腫、軟部組織腫瘍に共通している。T(18q11.2)転座は、例えば、異なる標識を持つプローブを使用して、同定しうる:第一のプローブは、SYT遺伝子から遠位方向に伸びる標的核酸配列から生成される核酸分子を含み、第二のプローブは3’又はSYT遺伝子の近位に伸びる標的核酸配列から生成される核酸が含まれる。これらの標的核酸配列(例えば、ゲノムの標的核酸配列)が、インサイツハイブリダイゼーションの方法で使用される場合、SYT遺伝子領域でt(18q11.2)を欠く正常細胞は、SYTの2つのインタクトなコピーを反映する、2つの融合(近接する2つの標識により作成された)シグナルを示す。t(18q11.2)を持つ異常な細胞は単一の融合シグナルを示す。
【0076】
他の例において、悪性腫瘍細胞で欠失した(失われた)腫瘍抑制遺伝子である核酸配列から産生された標的タンパク質(例えば、ゲノムの標的核酸配列)が選択される。例えば、染色体9p21に位置するp16領域(D9S1749、D9S1747、p16(INK4A)、p14(ARF)、D9S1748、p15(INK4B)、及びD9S1752を含む)が、特定の膀胱癌で欠失いている。第1染色体短腕の遠位領域を含む染色体欠失(例えば、SHGC57243、TP73、EGFL3、ABL2、ANGPTL1、及びSHGC−1322を包含する)、及び19番染色体の動原体周辺領域(例えば、19p13−19q13)(例えば、MAN2B1、ZNF443、ZNF44、CRX、GLTSCR2、及びGLTSCR1を包含する)は、中枢神経系の所定の型の固形腫瘍の特徴的な分子構造である。
【0077】
前述の例は例示の目的のためにのみ提供されており、限定を意図するものではない。腫瘍性形質転換及び/又は増殖と相関する他の多くの細胞遺伝学的異常は、当業者に知られている。標的核酸配列(例えばゲノム標的核酸配列)は、腫瘍性変性と相関し、開示の方法において実用的であり、そのために開示されたプローブを調製することができ、またEGFR遺伝子を含有し(7p12;例えば、GENBANK
TM受入番号_NC_000007,ヌクレオチド55054219−55242525)、C−MYC遺伝子(8q24.21;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000008,ヌクレオチド128817498−128822856)、D5S271(5p15.2)、リポ蛋白リパーゼ(LPL)遺伝子(8p22;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000008,ヌクレオチド19841058−19869049)、RB1(13q14;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000013,ヌクレオチド47775912−47954023)、p53(17p13.1;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000017,相補体,ヌクレオチド7512464−7531642))、N−MYC(2p24;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000002,相補体,ヌクレオチド151835231−151854620)、CHOP(12q13;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000012,相補体,ヌクレオチド56196638−56200567)、FUS(16p11.2;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000016,ヌクレオチド31098954−31110601)、FKHR(13p14;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000013,相補体,ヌクレオチド40027817−40138734)ならびに例えば:ALK(2p23;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000002,相補体,ヌクレオチド29269144−29997936)、Ig重鎖、CCND1(11q13;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000011,ヌクレオチド69165054..69178423)、BCL2(18q21.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000018,相補体,ヌクレオチド58941559−59137593)、BCL6(3q27;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000003,相補体,ヌクレオチド188921859−188946169)、MALF1、AP1(1p32−p31;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000001,相補体,ヌクレオチド59019051−59022373)、TOP2A(17q21−q22;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000017,相補体,ヌクレオチド35798321−35827695)、TMPRSS(21q22.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000021,相補体,ヌクレオチド41758351−41801948)、ERG(21q22.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000021,相補体,ヌクレオチド38675671−38955488);ETV1(7p21.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000007,相補体,ヌクレオチド13897379−13995289)、EWS(22q12.2;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000022,ヌクレオチド27994271−28026505);FLI1(11q24.1−q24.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000011,ヌクレオチド128069199−128187521)、PAX3(2q35−q37;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000002,相補体,ヌクレオチド222772851−222871944)、PAX7(1p36.2−p36.12;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000001,ヌクレオチド18830087−18935219)、PTEN(10q23.3;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000010,ヌクレオチド89613175−89716382)、AKT2(19q13.1−q13.2;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000019,相補体,ヌクレオチド45431556−45483036)、MYCL1(1p34.2;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000001,相補体,ヌクレオチド40133685−40140274)、REL(2p13−p12;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000002,ヌクレオチド60962256−61003682)およびCSF1R(5q33−q35;例えば、GENBANK
TM受入番号NC_000005,相補体,ヌクレオチド149413051−149473128)を含有する。
【0078】
他の実施例において、標的タンパク質は、疾患又は病気に関連付けられているウイルス又は他の微生物から選択される。細胞又は組織試料中のウイルス又は微生物由来の標的核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)の検出は、生物の存在を示す。例えば、標的ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質は、発癌性又は病原性ウイルス、バクテリア又は細胞内寄生虫(例えば、熱帯熱マラリア原虫及び他のマラリア原虫種、リーシュマニア(sp.)、クリプトスポリジウム、赤痢アメーバ及びランブル鞭毛虫、並びに、トキソプラズマ属、アイメリア属、タイレリア属及びバベシア属の種)から選択されうる。
【0079】
幾つかの実施例において、標的タンパク質は、ウイルスゲノムの核酸配列(例えば、ゲノム標的核酸配列)から産生される。例示的なウイルス及び相当するゲノム配列(GENBANK
TM括弧内に参照配列受入番号記載)は、ヒトアデノウイルスA(NC_001460)、ヒトアデノウイルスB(NC_004001)、ヒトアデノウイルスC(NC_001405)、ヒトアデノウイルスD(NC_002067),ヒトアデノウイルスE(NC_003266)、ヒトアデノウイルスF(NC_001454)、ヒトアストロウイルス(NC_001943)、ヒトBKポリオーマウイルス(V01109;GI:60851)ヒトボカウイルス(NC_007455)、ヒトコロナウイルス229E(NC_002645)、ヒトコロナウイルスHKU1(NC_006577)、ヒトコロナウイルスNL63(NC_005831)、ヒトコロナウイルスOC43(NC_005147)、ヒトエンテロウイルスA(NC_001612)、ヒトエンテロウイルスB(NC_001472)、ヒトエンテロウイルスC(NC_001428)、ヒトエンテロウイルスD(NC_001430)、ヒトエリスロウイルスV9(NC_004295)、ヒト泡沫状ウイルス(NC_001736)、ヒトヘルペスウイルス1(単純ヘルペスウイルス1型)(NC_001806)、ヒトヘルペスウイルス2(単純ヘルペスウイルス2型)(NC_001798)、ヒトヘルペスウイルス3(水痘帯状疱疹ウイルス)(NC_001348)、ヒトヘルペスウイルス4の1型(エプスタインバーウイルス1型)(NC_007605),ヒトヘルペスウイルス4の2型(エプスタインバーウイルス2型)(NC_009334)、ヒトヘルペスウイルス5病原菌AD169(NC_001347)、ヒトヘルペスウイルス5病原菌Merlin Strain(NC_006273)、ヒトヘルペスウイルス6A(NC_001664)、ヒトヘルペスウイルス6B(NC_000898)、ヒトヘルペスウイルス7(NC_001716)、ヒトヘルペスウイルス8のM型(NC_003409)、ヒトヘルペスウイルス8のP型(NC_009333)、ヒト免疫不全ウイルス1(NC_001802)、ヒト免疫不全ウイルス1(NC_001722)、ヒトメタ肺炎ウイルス(NC_004148)、ヒトパピロマウイルス−1(NC_001356)、ヒトパピロマウイルス−18(NC_001357)、ヒトパピロマウイルス−2(NC_001352)、ヒトパピロマウイルス54(NC_001676)、ヒトパピロマウイルス61(NC_001694)、ヒトパピロマウイルス−cand90(NC_004104)、ヒトパピロマウイルスRTRX7(NC_004761)、ヒトパピロマウイルス10型(NC_001576)、ヒトパピロマウイルス101型(NC_008189)、ヒトパピロマウイルス103型(NC_008188)、ヒトパピロマウイルス107型(NC_009239)、ヒトパピロマウイルス16型(NC_001526)、ヒトパピロマウイルス24型(NC_001683)、ヒトパピロマウイルス26型(NC_001583)、ヒトパピロマウイルス32型(NC_001586)、ヒトパピロマウイルス34型(NC_001587)、ヒトパピロマウイルス4型(NC_001457)、ヒトパピロマウイルス41型(NC_001354)、ヒトパピロマウイルス48型(NC_001690)、ヒトパピロマウイルス49型(NC_001591),ヒトパピロマウイルス5型(NC_001531)、ヒトパピロマウイルス50型(NC_001691)、ヒトパピロマウイルス53型(NC_001593),ヒトパピロマウイルス60型(NC_001693)、ヒトパピロマウイルス63型(NC_001458)、ヒトパピロマウイルス6b型(NC_001355)、ヒトパピロマウイルス7型(NC_001595)、ヒトパピロマウイルス71型(NC_002644)、ヒトパピロマウイルス9型(NC_001596)、ヒトパピロマウイルス92型(NC_004500)、ヒトパピロマウイルス96型(NC_005134)、ヒトパラインフルエンザウイルス1(NC_003461)、ヒトパラインフルエンザウイルス2(NC_003443)、ヒトパラインフルエンザウイルス3(NC_001796)、ヒトパレコウイルス(NC_001897)、ヒトパレコウイルス4(NC_007018)、ヒトパレコウイルスB19(NC_000883),呼吸系発疹ウイルス(NC_001781)、ヒトライノウイルスA(NC_001617)、ヒトライノウイルスB(NC_001490)、ヒトスプマウイルス(NC_001795),ヒトT−リンパ向性ウイルス1(NC_001436)、ヒトT−リンパ向性ウイルス2(NC_001488)を含有する。
【0080】
特定の例において、標的タンパク質(例えば、ゲノム標的核酸配列)は、エプスタイン−バーウイルス(EBV)又はヒトパピロマウイルス(HPV、例えばHPV16、HPV18)のような腫瘍ウイルス由来の核酸配列から産生される。他の実施例において、核酸配列から産生された標的タンパク質(例えば、ゲノム標的核酸配列)は、病原性ウイルス、例えば呼吸器合胞体ウイルス、肝炎ウイルス(例えば、C型肝炎ウイルス)、コロナウイルス(例えば、SARSウイルス)、アデノウイルス、ポリオーマウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、又は単純疱疹ウイルス(HSV)に由来する。
【0081】
VII. 実験例
以下の実施例は、実験例の特定の詳細を例示するために提供される。当業者であれば、本発明がこれらの実施例で例示される特定の特徴に限定されないことを理解されよう。
【0082】
一般的な手順
1.ポリマースクリーニング
ポリマーは、選択されたモル比で硫酸水素カリウム(KHSO
4)を有する一定量のポリマーを含む増強DABベース液と組み合わせることによって、DAB硫酸塩の析出の形成への影響をスクリーニングした。使用された増強DABベース液は、5.5mMのDAB・4HCl、10mMのイミダゾール、10mMの2−ヒドロキシピリジン、1mMのメタ重亜硫酸ナトリウム及び0.05%w/vのPH=2.3±0.1でのブリッジ35を含んでいた。スクリーニングを行なった硫酸水素カリウムの濃度は、2.75mM及び8.0mMであった。溶液は、室温で15秒間激しく混合させた後、DAB硫酸塩の析出を誘導するために2℃〜8℃で保管した。溶液は、物理的変化(例えば、色又は析出)をモニターした。内部標準として、2−ヒドロキシピリジンと比較したDAB濃度の変化を確認するため、候補溶液をスルホネートの添加前後に、HPLCにより分析した。
【0083】
2.免疫組織化学染色の手順
すべての免疫組織化学染色は、提案された製品添付のプロトコルに従ってVENTANA OPTIVIEW(登録商標)DAB(ベンタナ・メディカル・システムズ社のカタログ番号760から700)、又はiViewのDAB検出キット(ベンタナ・メディカル・システムズ社のカタログ番号760から091)のいずれかのコンポーネントを使用してベンタナベンチマークXT自動染色プラットフォーム上で実施した。CONFIRM(登録商標)抗Ki67の(30−9)抗体(ベンタナカタログ番号790から4286)又は抗CD10(SP67)抗体(ベンタナ番号カタログ790から4056)のいずれかを使用して、抗体のいずれかの一滴を添加し、16分間37℃でインキュベートすることによって抗原検出を行った。候補DAB色素原溶液を一滴を添加し、その後、適切な過酸化水素水溶液の一滴添加、及び8分間のコインキュベーションをすることにより、DAB IHC検出は達成された。スライドをヘマトキシリンII(ベンタナカタログ番号760〜2037)で4分間対比染色し、続いて、Bluing(ベンタナカタログ番号760〜2037)で4分間対比染色した。スライドを洗剤と水の混合物で洗浄し、勾配アルコール及びキシレン浴を通して脱水し、カバースリップで覆った。
【0084】
3.HPLC分析法
HPLC分析は、以下の方法を用いて行った。そして、
図13は、この例示的な方法を用いて得られた代表的なHPLCスペクトルを示している。
カラム:Waters Xbridge RP−C18 Column 4.6x150mm(5μ)[Phenomenex C18 Security guard column]
溶離液:A:脱イオン水、C:アセトニトリル、D:100mMの酢酸アンモニウム水溶液(pH=5.0)
流量:1mL/分
グラジエントプロファイル:
注入量:希釈していないDAB色素原溶液を3μL
検出波長:260nm
保持時間:DAB(4.94分)、2−ヒドロキシピリジン(3.65分)
【実施例】
【0085】
実施例1
候補ポリマーは、選択されたモル比で硫酸水素カリウム(KHSO
4)を有する一定量のポリマーを含む増強DABベース液と組み合わせることによって、DAB硫酸塩の析出の形成への影響をスクリーニングした。使用された増強DABベース液は、5.5mMのDAB・4HCl、10mMのイミダゾール、10mMの2−ヒドロキシピリジン、1mMのメタ重亜硫酸ナトリウム及び0.05%w/vのPH=2.3±0.1でのブリッジ35を含んでいた。想定した硫酸水素カリウムのスクリーニング濃度は0mM、1.37mM、2.75mM、及び8.0mMであった。溶液は、室温で15秒間激しく混合させた後、DAB硫酸塩の析出を誘導するために2℃〜8℃で保管した。溶液は、物理的変化(例えば、色又は析出)をモニターした。内部標準として、2−ヒドロキシピリジンと比較したDAB濃度の変化を確認するため、候補溶液を硫酸塩の添加前後に、HPLCにより分析した。結果の要約を以下の表2に示す。
【0086】
例示的なポリマー(デキストラン硫酸及びポリスチレンスルホネート)は、実質的にDABの沈殿を阻害し、他の例示的なポリマー(DEAE−デキストラン及び10kDaのデキストラン)も大幅にDABの析出を減少させた。例えば、
図14〜
図16は、ポリマーが使用されていないことを特徴とする試料と比較して、典型的なスルホネート及びサルフェートポリマーを用いて得られた結果を総括的に示したものである(
図14)。
図15は、DAB溶液及び4wt%のポリスチレンスルホネート(1.5kDa)を含む、開示された組成物を用いて染色した組織切片の画像であり、
図16は、DAB溶液及び4wt%のデキストラン硫酸(6.5kDa〜10kDa)を含む、開示された組成物を用いて染色した組織切片の画像である。
図17及び
図18の画像は、コントロール(
図17)及び5wt%、15kDaのポリアリルアミン(
図18)を用いて得られた結果を示している。開示された組成物の例示的な実施態様の更なるHPLCの結果は、表2に要約する。
【0087】
【0088】
HPLC分析は、2.75mMのKHSO
4を添加した後、PEG8000ありのDAB溶液、及びPEG8000なしのDAB溶液の両方で、溶液から同様の量のDABを失ったことを示した。ポリオール及びアルコールは、DAB硫酸塩の析出を減少させることが報告されている。例えば、1,2−プロパンジオールのような非揮発性アルコール添加物は、DAB硫酸塩の析出を阻害することができなかった。デキストランポリマーは減少したが、DAB硫酸塩の析出を完全には阻害しなかった。ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルアミド(PAA)、ポリビニルピロリジノン(PVP)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)のような他のポリマー種を試験し、DAB硫酸塩の析出の阻害に失敗した。
【0089】
実施例2
この特定の実施例は、開示された組成物中のアミンポリマーの使用に関する。アミンポリマーは、DAB硫酸塩の析出物の形成に対して広い範囲の影響を及ぼしていた。アミンポリマーは、サルフェートの対アニオンと塩を形成し、DAB硫酸塩の形成頻度を低減させ及び/又はDAB硫酸塩の粒子の大きさを減少させるのに役立つと考えられる。2.75mM又は8.0mMのいずれかのKHSO
4を添加した際、DAB硫酸塩の析出は、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)、分岐状PEI又はポリアリルアミン(PAA)ポリマーを含むDAB色素原溶液では認められなかった。このプロセスにおける直鎖状PEIポリマーの濃度(wt%)の影響を分析した。2.5kDaの直鎖状PEIを4kDaのHCl塩として使用し、色素原溶液中では0.1wt%から5.0wt%までとした(表3を参照のこと)。直鎖状PEIは、2.75mMのKHSO
4における全てのポリマー濃度範囲にわたり、DAB硫酸塩の析出を阻害した。0.1wt%のPEIで8.0mMのKHSO
4を用いたときのみ、DAB硫酸塩の析出が認められた。大きさが0.8kDaから25kDaの直鎖状及び分岐状PEIポリマーを分析した。ポリマーの分子量は、DAB硫酸塩の析出を阻害する上で、ポリマーの効果を変化させなかった。
【0090】
【0091】
アミノデキストラン、DEAE−デキストラン及び第四級アミンポリマーは、DAB硫酸塩の析出を減らすのに役立ったが、完全には阻害しなかった。アミンポリマーの濃度(wt%)は、これらのポリマーに重要であった。より高い濃度のDEAE−デキストランは、DAB硫酸塩の析出の量をコントロールするために必要であった(表4参照)。製剤条件下でのDEAE−デキストランの水溶解度の限界のため、7wt%を越えるポリマー濃度に対しての検査はできなかった。
【0092】
【0093】
DAB IHC染色に対するポリマー濃度の影響は、iView検出法(扁桃組織、Ki67)を用いて検討した。2.5kDaの直鎖状PEIを4kDaのHCl塩として使用し、DAB色素原溶液中では、0.1wt%から5.0wt%までとした。代表的な画像は20倍で示されている(
図19〜
図22参照)。より粘性の高いDAB色素原溶液は、DAB IHCの染色強度及び組織の適応範囲を減少させた。より高い粘度の色素原溶液はプレートベースアッセイにおける酵素反応速度を低下させることが良く知られている。DAB IHC及びヘマトキシリン染色の両方の染色強度及び適応範囲に大きく影響を与えたベンタナ反応バッファー(即ち、15kDaのポリアリルアミン)中では、中性pHにおいて、アミンポリマーの溶解性が問題となりうる。
【0094】
DAB IHC染色に対するアミノデキストランポリマー分子量の影響について、iView検出法(扁桃組織、Ki67)を用いて検討した。アミノデキストランポリマー安定化DAB色素原溶液は、4wt%の分子量が異なるポリマーを使用して調製した。代表的な画像は、10倍で示されている(
図9〜
図12参照)。DAB IHC染色強度は、ポリマー分子量の増加によって大きな影響は受けなかった。アミノデキストランポリマーは水溶性であり、4wt%で溶液粘度に影響を及ぼさなかった。
【0095】
アミンポリマー安定化DAB色素原溶液は、DAB IHC組織染色に影響を与えることなく使用しうる。DAB硫酸塩の析出を阻害し、組織染色への有害な影響を減少させるために溶液粘度をコントロールすることに役立つように、ポリマーの濃度(wt%)はコントロールされうる。このクラスの例示的な実施態様は、2.5kDaの直鎖状PEI(2.5kDaの遊離塩基又は4kDaのHCl塩)と、より少ない程度で500kDaのDEAE−デキストランを含む。代表的な画像は、
図23〜
図25に示されている。これらの図は、全くポリマーを含まない(
図23);7wt%で500kDaのDEAE−デキストランを含む(
図24);及び2wt%で2.5kDaの直鎖状PEIを含む(
図25)、安定化されたDAB色素原溶液で染色した組織切片の結果を示す。DEAE−デキストランは、ヘマトキシリン染色強度に軽微な影響を与える可能性があるが、デキストラン硫酸で認められるよりもはるかにわずかなものである。
【0096】
ポリマー安定化DAB(OPTIVIEW(登録商標)DAB溶液)色素原溶液を、Ki67及びCD10抗原マーカー用の扁桃組織上に染色した。2つの異なる組織ブロックについて、それぞれの抗原マーカーを検査した。5つの連続切片試料をそれぞれの条件で染色した。各試料は、DAB IHC染色強度、IHCでのバックグラウンド、及びヘマトキシリン対比染色の質について、適切な病理学者が評価した。各試料は、ポリマーを含まない市販のDAB試薬(OPTIVIEW(登録商標)DAB溶液)と比較した。IHC染色の結果のまとめは、表5で見ることができる。IHCでのバックグラウンドについては、色素原試料の間で差は認められなかった。ヘマトキシリン対比染色で、色素原試料の間で微妙な差が認められたが、対比色相及び染色強度は許容範囲内であると判断した。2.5kDaの直鎖状ポリエチレンイミン遊離塩基と対応する4kDaの直鎖状PEI・HCl塩は、Ki67の試料セットを除く全ての試料について、市販の色素原試薬に比べ、同等又はそれ以上に染色した。4kDaの直鎖状PEI・HCl塩は、CD10に対して、2.5kDaの直鎖状PEI遊離塩基よりわずかによく染色した。
【0097】
【0098】
新たなポリマーの存在下での色素原の安定性を検討するため、アミンポリマー安定化DAB色素原溶液に、45℃の熱ストレスを与えた。4kDaの直鎖状PEI・HCl塩ポリマー(2.5kDaの遊離塩基当量)で安定化されたDAB色素原溶液は、検査したこれらのポリマーについて、色素原の安定性(表6及び表7参照)が最も大きいことが実証された。≦1wt%の4kDaの直鎖状PEI・HCl塩ポリマーを添加したDAB色素原溶液は、基礎色素原溶液よりも高い安定性を示した。2.5kDaの直鎖状PEI遊離塩基ポリマーを添加したDAB色素原溶液は、ベース色素原溶液と同様の安定性を示した。分枝状PEI、DEAE−デキストラン、及び4℃のアミンポリマーは、DAB色素原の安定性の低下に伴い、副生成物を形成した。これらの副生成物について、単離、又は構造解析による確認は行なっていない。
【0099】
【0100】
【0101】
DAB硫酸塩の析出は、2.75mM又は8.0mMのいずれかのKHSO
4を添加した際、直鎖状ポリエチレンイミン(PEI)、分枝状PEI又はポリアリルアミン(PAA)ポリマーを含むDAB色素原溶液で認められなかった。分岐状PEIポリマーは、HPLC分析で認められた副生成物を形成するDABと反応するように見える。アミノデキストラン、DEAE−デキストラン及び第四級アミンポリマーは減少したが、DAB硫酸塩の析出を完全には阻害しなかった。HPLC分析の間に、アミノデキストラン及び4°のアミンポリマーで新たなDABポリマー副生成物が認められた。提示されたDAB−ポリマー副生成物について、単離又は構造解析による確認は行なわれていない。小さな単量体のようなアミン物質、即ちアミノ酸類又はエタノールアミン類(モノ−、ジ−及びトリ)は、DAB硫酸塩の析出を阻害しなかった。
【0102】
実施例3
本実施例は、開示された組成物及びサルフェート及び/又はスルホネートポリマーの特定の実施態様に関する。サルフェート及びスルホネートポリマーは、親水性のポリマー骨格が水溶性を維持するのに役立つDAB−ポリマー塩複合体を形成すると考えられている。OptiView DAB色素原溶液は、デキストラン硫酸(9kDa〜29kDa)ポリマーの可変濃度(0.25wt%〜5wt%)で調製した。1wt%未満のデキストラン硫酸ポリマー(9kDa〜29kDa)を添加したOptiView DAB色素原溶液で、析出物が認められた。より高いDABのポリマーに対する比率は、デキストラン硫酸ポリマー溶液の濃度(wt%)の低下を起こしたが、このことは、DAB−ポリマー複合体の疎水性を増加し、DAB−ポリマー複合体が水溶性を失う原因となった。2wt%を超えるデキストラン硫酸(9kDa〜29kDa)を用いたOptiView DAB色素原溶液では、2.75mM又は8.0mMのいずれかのKHSO
4を添加した際に、DAB硫酸塩の析出は認められなかった。同様の効果は、分子量の大きさが異なるポリスチレンスルホネート(PSS)ポリマーで認められた。1.5kDa又は3.1kDaのPSSのような比較的小さなPSSポリマーは、それらより大きな分子量のPSSポリマーよりも、より低いポリマー濃度(wt%)において、DAB−ポリマー複合体の溶解性が低下する傾向があった。6kDaの分子量下での硫酸デキストランポリマーはまた、DAB−ポリマー複合体の溶解性を低下させる傾向があった。
【0103】
DAB IHC染色におけるPSSポリマー分子量の影響について、iView検出法(扁桃組織、Ki67)を用いて検討した。PSSポリマー安定化DAB色素原溶液は、2wt%で異なる分子量のPSSを用いて調製した。代表的な画像は、
図3〜
図8において10倍で示されている。
図3は、OptiView DAB色素原溶液で染色した組織切片からの結果を示している。
図4〜
図8は、4wt%の安定化ポリスチレンスルホネートDAB色素原溶液(それぞれ1.5kDa、5.1kDa、7.5kDa、16kDa、35kDa)で染色した組織切片からの結果を示している。DABのIHCの染色強度及び適応範囲は、PSSの分子量の増加に伴って減少した。正味の見かけのDAB−PSSポリマー複合体のモル濃度は、ポリマーの分子量の増加に伴って減少する。低いDAB濃度が、認められた影響を引き起こすことが示されている。ポリマーの分子量の増加に伴い、ヘマトキシリン対比染色強度及びバックグラウンドが増大した。ヘマトキシリン対比染色の染色強度とバックグラウンドは、対比染色の適用中に組織pHによってコントロールされる。組織に沈着したDAB−PSSポリマー複合体は、ベンタナ反応緩衝液中で脱プロトン化され、対比染色の間に、更なるpH調整が必要になるであろう。適切なDAB IHC染色を提供するポリスチレンスルホネートマレイン酸コポリマーは、15kDaの分子量の下では認められなかった。
【0104】
サルフェート及びスルホネートポリマーは、DAB組織染色において微妙な影響を与えることがあるが、この影響は、主にポリマーの大きさ及び濃度をコントロールしうる。ポリマーが大きくなるほど、DAB組織染色は減少し、ヘマトキシリンのバックグラウンド染色が増加した。ポリマーの濃度(wt%)の組織染色への影響は、小さいポリマーほど少なかったが、ポリマー複合体の溶解性及びDAB硫酸塩の析出防止のために、最適化は必要であった。このクラスにおいて筆頭候補となるポリマーは、低分子量のデキストラン硫酸(6kDa〜9.5kDa)及びポリスチレンスルホネート(分子量=1.53kDa、Mn=1.37kDa)であった。代表的な画像は、
図14〜
図16に示した。これらの図は、ポリマーを含まない(
図14);4wt%の1.53kDaのポリスチレンスルホネートを添加した(
図15);及び4wt%の6.5〜10kDaのデキストラン硫酸を添加した(
図16)、安定化されたDAB色素原溶液を用いて染色された組織切片の結果を示している。
【0105】
新たなポリマーの存在下での色素原の安定性を検討するため、サルフェートおよびスルホネートポリマー安定化DAB色素原溶液に、45℃の熱ストレスを与えた。前述のように、より高い分子量のPSSポリマーは、多価金属を封鎖するための水浄化に使用される。多価金属汚染物質は、DABの酸化を触媒することが知られている。サルフェート及びスルホネートポリマーは、潜在的に多価金属汚染物質を含み、結果的にDABの酸化を早める場合がある。デキストランサルフェート、PSS及びPSSMAポリマーは、DAB色素原の安定性低下の原因となる機能を有することが実証された(表8参照)。デキストランサルフェート及びPSSMAポリマーは、HPLC分析中に認められたDABの副生成物を形成する傾向があった。これらの副生成物について、単離、又は構造解析による確認は行なっていない。ポリスチレンスルホネート(PSS)ポリマーは、不定量の汚染物質を含んでおり、DABの酸化速度に影響を及ぼしている。特定の場合に、PSS安定化DAB色素原溶液は、ベース液と同程度に安定していた。
【0106】
【0107】
要約すると、より高分子量のポリスチレンスルホネート(PSS)ポリマーは、多価金属を封鎖するための水質浄化に使用される。多価金属の混入は、DABの酸化速度を増加させる。デキストランサルフェート、ポリスチレンスルホネート塩、及びポリスチレンスルホネートマレイン酸(PSSMA)ポリマーは、このグループ内でのDAB硫酸塩の析出を減らすポリマーの筆頭候補であった。ポリビニルスルホン酸(4kDa〜6kDaのPVS、Na塩)及びポリエチレングリコールサルフェート(600Da)は、水溶性のDAB−ポリマー複合体を形成しなかった。小さなサルフェート単量体のような物質、即ち硫酸水素2−アミノエチルは、水溶性のDAB複合体を形成しなかった。
【0108】
開示された本発明の原理が適用されうる多くの可能な実施態様を考慮すれば、本実施態様が本発明を好適に説明する例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを認識するべきである。むしろ、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって定義される。本発明者らは、したがって、これらの請求項の範囲及び精神内にあるすべてを本発明として請求する。