特許第6017598号(P6017598)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6017598-リジェネレイティブ燃焼装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017598
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】リジェネレイティブ燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23L 15/00 20060101AFI20161020BHJP
   F23D 14/66 20060101ALI20161020BHJP
   F23C 9/08 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F23L15/00 A
   F23D14/66 C
   F23C9/08 502
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-19783(P2015-19783)
(22)【出願日】2015年2月3日
(65)【公開番号】特開2016-142486(P2016-142486A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2016年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】503063168
【氏名又は名称】東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118898
【弁理士】
【氏名又は名称】小橋 立昌
(72)【発明者】
【氏名】高畑 実
(72)【発明者】
【氏名】笠原 正広
【審査官】 黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193946(JP,A)
【文献】 特開平10−132211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23L 15/00 − 15/02
F23C 9/08
F23D 14/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリジェネレイティブバーナーと各リジェネレイティブバーナーにおける燃料噴射室間を連通させる連絡管とを備えた自己排ガス再循環方式のリジェネレイティブ燃焼装置であって、
前記連絡管は、
一端側が前記燃料噴射室に接続される一対のスライド短管と、前記スライド短管の外周面にグランドシール構造を介してスライド自在に連結されるスライド管とを備え、前記スライド管の内側に沿って筒状の断熱部材を配置したことを特徴とするリジェネレイティブ燃焼装置。
【請求項2】
前記スライド短管の外径と前記断熱部材の内径を略等しくしたことを特徴とする請求項1記載のリジェネレイティブ燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己排ガス再循環(FGR)方式のリジェネレイティブ燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リジェネレイティブ燃焼装置は、一般に、蓄熱体と一体化した一対のバーナを数十秒間隔で交互に燃焼させ、一方のバーナが燃焼している時には、その排気が他方のバーナの蓄熱体を加熱することで排気の熱エネルギーを回収し、次にそのバーナが燃焼するときには、加熱した蓄熱体を通過させて燃焼用空気を予熱することで高効率の燃焼を得るものであり、従来捨てていた排気の熱を回収して燃焼効率を高めることで燃焼装置の省エネ化を図っている。
【0003】
このようなリジェネレイティブ燃焼装置における排ガス再循環方式は、燃焼によって生成した排ガスの一部を排ガス経路から再循環経路を経て燃料噴射室内に還流させて混合することにより、燃焼によって生成されるNOxの低減化を図るものである。この際、燃料の噴射圧による吸引(エジェクタ効果)によって排ガスを還流させる方式を自己排ガス再循環(FGR)方式と呼んでいる。自己排ガス再循環方式のリジェネレイティブ燃焼装置は、一対のバーナがそれぞれ備える燃料噴射室を繋ぐ連絡管(FGR管)を備えており、各燃料噴射室には、燃料噴射ノズルと排気煙道を兼ねる混合管が対向して接続されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−132211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自己排ガス再循環方式のリジェネレイティブ燃焼装置は、通過する排ガスの熱で前述した連絡管が加熱されて熱歪みが生じる。連絡管を流れる排ガスの方向は、一対のバーナーの燃焼の切り換えによって反転することになるので、連絡管の熱応力分布がバーナーの燃焼切り換えによって変化して、特定の箇所に繰り返し応力が生じることになる。このため連絡管は熱疲労を起こしやすい問題がある。
【0006】
従来、前述した連絡管には、熱歪みを考慮して耐熱性の高いステンレス材料が用いられている。また、前述した繰り返し応力を吸収するため或いは既設のバーナーへの取付けを容易にするために、連絡管の中間部に波付き伸縮管を設けることがなされている。しかしながら、再循環する排ガスの温度は600〜700℃になる場合があり、ステンレス材料の鋭敏化や炭化減肉によって波付き伸縮管の部分が短期間に損傷を受けやすくなっている。
【0007】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、自己排ガス再循環(FGR)方式のリジェネレイティブ燃焼装置において、熱疲労に対して耐久性のある連絡管を設けること、波付き伸縮管を設けない熱伸縮の吸収構造を採用することで、ステンレス材料の鋭敏化や炭化減肉による短時間の損傷を回避すること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明によるリジェネレイティブ燃焼装置は、以下の構成を具備するものである。
一対のリジェネレイティブバーナーと各リジェネレイティブバーナーにおける燃料噴射室間を連通させる連絡管とを備えた自己排ガス再循環方式のリジェネレイティブ燃焼装置であって、前記連絡管は、一端側が前記燃料噴射室に接続される一対のスライド短管と、前記スライド短管の外周面にグランドシール構造を介してスライド自在に連結されるスライド管とを備え、前記スライド管の内側に沿って筒状の断熱部材を配置したことを特徴とするリジェネレイティブ燃焼装置。
【発明の効果】
【0009】
このような特徴を有するリジェネレイティブ燃焼装置は、燃料噴射室間を連通する連絡管を、一対のスライド短管とスライド短管の外周面にグランドシール構造を介してスライド自在に連結されるスライド管とで構成し、連絡管の熱伸縮を熱損を起こし難いスライド構造によって吸収している。これによって、熱疲労に対して耐久性のある連絡管を設けることができ、メンテナンス性の高いリジェネレイティブ燃焼装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係るリジェネレイティブ燃焼装置の要部を示した説明図である。
図2】本発明の実施形態に係るリジェネレイティブ燃焼装置の構成例を示した説明図である。
図3】本発明の実施形態に係るリジェネレイティブ燃焼装置の他の構成例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態の要部を示している。一対のリジェネレイティブバーナーの燃料噴射室1間を連通する連絡管(FGR管)2は、一端側が燃料噴射室1に接続される一対のスライド短管2Aと、スライド短管2Aの外周面にグランドシール構造20を介してスライド自在に連結されるスライド管2Bとを備え、スライド管2Bの内側に沿って筒状の断熱部材2Cを配置している。この際、スライド短管2Aの外径と断熱部材2Cの内径をほぼ等しくしている。
【0012】
ここで、スライド短管2Aは、耐熱性を有するステンレス材料(SUS304など)で構成されるが、スライド管2Bは、断熱部材2Cによって高温に加熱されるのを防ぐので、耐熱性を有さない鋼材(SS材)などで構成することができる。
【0013】
グランドシール構造20は、グランドパッキン21と、グランドパッキン21をスライド短管2A又はスライド管2Bに保持する保持部材22,23と、保持部材22,23を締め込む締め込み部材24によって構成され、締め込み部材24の締め込みによって気密性を高めることができる。
【0014】
このような連絡管2の構造によると、排ガスの熱による熱伸縮をスライド短管2Aとスライド管2Bのスライド構造によって吸収するので、熱疲労に対する耐久性を高めることができる。この際、波付き伸縮管を用いないので、ステンレス材の鋭敏化や炭化減肉による短時間の損傷を回避することができ、また、スライド短管2Aとスライド管2Bの管厚さを厚くすることで、高温酸化などの腐食を抑えて長期間の使用が可能になる。
【0015】
スライド管2Bは、内部に断熱部材2Cを配置することで温度上昇を200℃程度に抑えることができる。これによって、汎用の鋼材(炭素鋼)を使用することが可能になり、連絡管2のコスト低減が可能になる。
【0016】
更には、スライド管2B内に配置される筒状の断熱部材2Cの内径とスライド短管2Aの外径を略等しくすることで、連絡管2内を流れる排ガス流の内部損失の増加を抑えることができる。
【0017】
このような連絡管2の構造を採用することで、比較的安価な構造であって、長期使用が可能な耐久性を得ることができる。また、グランドシール構造20は、締め込みによって気密性を回復させることができるので、長期使用時の保守性を確保することができる。
【0018】
図2は、前述した連絡管の構成を採用することができるリジェネレイティブ燃焼装置の構成例を示している。リジェネレイティブ燃焼装置100は、ラジアントチューブ9の両端に一対のリジェネレイティブバーナー10a,10bを設置している。リジェネレイティブバーナー10a,10bは、同一構造を有しており、前述した連絡管2によって連通される燃料噴射室1を備え、燃料噴射室1には、燃料噴射ノズル4と混合筒5と排気煙道3を兼ねる筒状体が対向して接続されている。
【0019】
また、リジェネレイティブバーナー10a,10bは、燃料噴射室1を囲むように給気部(排気部)7を有する空気筒6が設けられており、混合筒5(排気煙道3)と空気筒6の間に筒状蓄熱体11が設置されている。この筒状蓄熱体11は、内筒12と外筒13間にアルミナ製ボール等の多数の蓄熱体14を充填することで構成されている。空気筒6は、バーナータイル15を介してラジアントチューブ9に接続されており、ラジアントチューブ9に連通する混合筒5の先端部には、パイロットバーナー8が設置されている。
【0020】
このようなリジェネレイティブ燃焼装置100は、一方のリジェネレイティブバーナー10aが燃焼時には、給気部7から空気筒6内に供給された空気が、筒状蓄熱体11の外筒13の外周から求心状に蓄熱体14の充填部に流入し、この充填部を流れた後、内筒12内に流出して、この内筒12の一端側からバーナータイル15を経てラジアントチューブ9内に噴出し、混合筒5から噴出する燃料と燃焼排ガスとの混合気と混合して燃焼に供される。
【0021】
一方、他方のリジェネレイティブバーナー10bでは燃焼が停止状態で、当然燃料も噴射されておらず、排気状態となっている。即ち、一方のリジェネレイティブバーナー10aの燃焼排ガスは、バーナータイル15から内筒12内に流入した後、放射状に充填部に流入し、充填部を流れて外筒13の外周から空気筒6内に流出し、排気部7から流出して排気される。
【0022】
燃焼状態が切り換えられる次の時点では、他方のリジェネレイティブバーナー10bが燃焼状態、一方のリジェネレイティブバーナー10aが燃焼停止状態となり、前述の説明と逆の経路で燃焼用空気が供給され、そして燃焼排ガスが排気される。このように給気部(排気部)7は燃焼状態が切り換えられる次の時点では、排気部(給気部)7として動作する。
【0023】
以上の動作において、それぞれのリジェネレイティブバーナー10a,10bの燃料噴射室1間は連絡管2により連結されているため、燃焼状態のリジェネレイティブバーナー10a(又は10b)における燃料の噴射により生ずる負圧により、排気状態のリジェネレイティブバーナー10b(又は10a)においては、ラジアントチューブ9から、排気煙道3を兼ねる混合筒5を介して燃料噴射室1に燃焼排ガスの一部が吸引され、連絡管2を経て流れて、燃焼状態のリジェネレイティブバーナー10a(又は10b)の燃料噴射室1内に流入し、上述したように燃料と混合されて排ガス再循環燃焼が行われる。
【0024】
図2に示す実施の形態では、燃料噴射室1内における燃焼排ガスの再循環経路に網筒状蓄熱体等のFGR蓄熱体16が設置されている。このため、一方側のリジェネレイティブバーナー10a(又は10b)の燃料噴射室1内に至った燃焼排ガスは、このFGR蓄熱体16を通って熱を放出した状態で連絡管2を流れ、他方側のリジェネレイティブバーナー10b(又は10a)の燃料噴射室1内に流入する際に、FGR蓄熱体16の熱を奪って熱を回収する。従って、連絡管2を流れる燃焼排ガスの温度が低下するので、そこからの放熱が少なく、作業環境が向上すると共に、熱回収が行われるため効率も向上する。
【0025】
図3は、前述した連絡管2の構成を採用することができる他のリジェネレイティブ燃焼装置の構成例を示している。この図においては、図2の構成要素と同様な構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。図4のリジェネレイティブ燃焼装置100Aでは、炉17の適所に対を成すリジェネレイティブバーナー10a,10bを設置している。対を成すリジェネレイティブバーナー10a,10bの配置は、図に示すような配置の他、対向した配置等、適宜である。リジェネレイティブバーナー10a,10bの構成及び動作は図2のものと同様であるので、説明は省略する。
【0026】
このようなリジェネレイティブ燃焼装置100,100Aにおいて、一対の燃料噴射室1間を連通する連絡管2を図1に示す構成にすることで、連絡管2の耐久性を高めることができ、リジェネレイティブ燃焼装置100,100Aのメンテナンス性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0027】
100,100A:リジェネレイティブ燃焼装置,
1:燃料噴射室,2:連絡管(FGR管),
2A:スライド短管,2B:スライド管,2C:断熱部材,
20:グランドシール構造,21:グランドパッキン,
22,23:保持部材,24:締め込み部材,
3:排気煙道,4:燃料噴射ノズル,5:混合筒,6:空気筒,
7:給気部(排気部),8:パイロットバーナー,9:ラジアントチューブ,
10a,10b:リジェネレイティブバーナー,
11:筒状蓄熱体,12:内筒,13:外筒,14:蓄熱体,
15:バーナータイル,16:FGR蓄熱体,17:炉
図1
図2
図3