特許第6017616号(P6017616)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカラトミーアーツの特許一覧

<>
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000002
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000003
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000004
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000005
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000006
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000007
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000008
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000009
  • 特許6017616-飲料サーバー 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017616
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】飲料サーバー
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/04 20060101AFI20161020BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B67D1/04 C
   B67D1/08 Z
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-80496(P2015-80496)
(22)【出願日】2015年4月10日
【審査請求日】2015年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】595030295
【氏名又は名称】株式会社タカラトミーアーツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 謙二郎
【審査官】 柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−347894(JP,A)
【文献】 特開2003−267493(JP,A)
【文献】 米国特許第5586588(US,A)
【文献】 特開2002−68379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/04
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に複数の飲料容器を収容可能なタンクと、
前記タンクに収容した前記複数の飲料容器の各飲料容器に1本ずつ挿入可能で、各々が個別飲料流路の少なくとも一部を形成する複数の第1のチューブと、
前記タンク内の気体圧力を上昇させる昇圧手段と、
前記昇圧手段による気体圧力の上昇によって前記複数の第1のチューブに導入された飲料を合流させる飲料合流室と、
前記飲料合流室で合流させた前記飲料を注出する飲料注出手段と、
を備えた飲料サーバーであって、
前記飲料合流室の上流側には、前記タンクに実際に収容される前記飲料容器の数に応じて、当該タンクに実際に収容される当該飲料容器に対応する前記個別飲料流路だけを開放し、その他の前記個別飲料流路を閉塞可能な飲料流路開閉手段が設けられており、
前記飲料流路開閉手段は、前記タンクの外側に設けられており、前記タンクを開けることなく外部から前記個別飲料流路の開放および閉塞を行うことができるように構成されていることを特徴とする飲料サーバー。
【請求項2】
前記タンクと、前記飲料注出手段とが別体に構成され、前記タンクには前記飲料合流室が形成され、前記タンクと前記飲料注出手段とは、前記タンクから前記飲料注出手段まで前記飲料を導く飲料流路の少なくとも一部を形成する第2のチューブを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項1に記載の飲料サーバー。
【請求項3】
前記飲料注出手段には前記昇圧手段が形成され、前記飲料注出手段と前記タンクとは、前記昇圧手段によって圧力が上昇した気体を前記飲料注出手段から前記タンクまで導く気体流路の少なくとも一部を形成する第3のチューブを介して互いに連結されていることを特徴とする請求項2に記載の飲料サーバー。
【請求項4】
前記飲料注出手段は、攪拌により前記飲料を泡立てする飲料泡立て手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の飲料サーバー。
【請求項5】
前記昇圧手段と前記飲料泡立て手段とは、1つのモータによって駆動されることを特徴とする請求項4に記載の飲料サーバー。
【請求項6】
前記飲料流路開閉手段は、前記複数の第1のチューブに1対1で対応する複数の飲料流入孔が形成された固定部材と、手動操作可能で、前記タンクに収容された前記飲料容器の数に応じて前記飲料流入孔を選択的に開閉可能に構成された流路開閉板と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の飲料サーバー。
【請求項7】
前記固定部材には、前記飲料流入孔が仮想円の円周に沿って1つずつ等間隔に形成され、前記流路開閉板は、前記仮想円の中心に対して回転可能に構成されるとともに、前記飲料流入孔と同じ形成間隔で且つ同数の孔を有することを特徴とする請求項6に記載の飲料サーバー。
【請求項8】
前記飲料合流室は、前記流路開閉板と、内壁が半球状のカバー部材とによって区画されていることを特徴とする請求項7に記載の飲料サーバー。
【請求項9】
前記カバー部材は前記仮想円の中心に対して回転可能に構成され、前記流路開閉板は前記カバー部材に追従して回転するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の飲料サーバー。
【請求項10】
前記気体流路は、前記カバー部材及び前記固定部材の回転中心に配置されるように、前記飲料合流室を貫いて設けられていることを特徴とする請求項9に記載の飲料サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料サーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家庭でも使用できる簡易な飲料サーバーとして、ビール等の飲料缶を飲料サーバー内に配置し、高圧ガスによって缶内の飲料を注出するものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような飲料サーバーでは、開口した複数の飲料缶を飲料サーバーの密閉可能な缶収容空間に配置させるとともに、それらの飲料缶内にチューブをそれぞれ挿入する。そして、ガスボンベの開閉弁を開いて高圧ガスを缶収容空間に充満させて缶収容空間の圧力を高め、注出コックを操作することによって飲料缶内の飲料を注出させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−68379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この飲料サーバーにおいては、複数の飲料缶に挿入されたチューブを流路切換弁に接続し、複数の飲料缶内の飲料を選択的に注出するようになっている。例えば、飲料缶が2つの場合、一方の飲料缶が空になった後に、流路切換弁を切り換えて他方の飲料缶内の飲料を注出している。
しかしながら、このような飲料サーバーにあっては、飲料缶が空になる毎に流路切換弁を切り換える必要があり、注出作業が繁雑となり、不便である。
【0006】
本発明は、飲料の注出作業が容易な飲料サーバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の飲料サーバーは、
内部に複数の飲料容器を収容可能なタンクと、
前記タンクに収容した前記複数の飲料容器の各飲料容器に1本ずつ挿入可能で、各々が個別飲料流路の少なくとも一部を形成する複数の第1のチューブと、
前記タンク内の気体圧力を上昇させる昇圧手段と、
前記昇圧手段による気体圧力の上昇によって前記複数の第1のチューブに導入された飲料を合流させる飲料合流室と、
前記飲料合流室で合流させた前記飲料を注出する飲料注出手段と、
を備えた飲料サーバーであって、
前記飲料合流室の上流側には、前記タンクに実際に収容した前記飲料容器の数に応じて、当該タンクに実際に収容した当該飲料容器に対応する前記個別飲料流路だけを開放し、その他の前記個別飲料流路を閉塞可能な飲料流路開閉手段が設けられており、
前記飲料流路開閉手段は、前記タンクの外側に設けられており、前記タンクを開けることなく外部から前記個別飲料流路の開放および閉塞を行うことができるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の飲料サーバーは、請求項1に記載の飲料サーバーであって、前記タンクと、前記飲料注出手段とが別体に構成され、前記タンクには前記飲料合流室が形成され、前記タンクと前記飲料注出手段とは、前記タンクから前記飲料注出手段まで前記飲料を導く飲料流路の少なくとも一部を形成する第2のチューブを介して互いに連結されていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の飲料サーバーは、請求項2に記載の飲料サーバーであって、前記飲料注出手段には前記昇圧手段が形成され、前記飲料注出手段と前記タンクとは、前記昇圧手段によって圧力が上昇した気体を前記飲料注出手段から前記タンクまで導く気体流路の少なくとも一部を形成する第3のチューブを介して互いに連結されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の飲料サーバーは、請求項3に記載の飲料サーバーであって、前記飲料注出手段は、攪拌により前記飲料を泡立てする飲料泡立て手段を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の飲料サーバーは、請求項4に記載の飲料サーバーであって、前記昇圧手段と前記飲料泡立て手段とは、1つのモータによって駆動されることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の飲料サーバーは、請求項5に記載の飲料サーバーであって、前記飲料流路開閉手段は、前記複数の第1のチューブに1対1で対応する複数の飲料流入孔が形成された固定部材と、手動操作可能で、前記タンクに収容された前記飲料容器の数に応じて前記飲料流入孔を選択的に開閉可能に構成された流路開閉板と、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の飲料サーバーは、請求項6に記載の飲料サーバーであって、前記固定部材には、前記飲料流入孔が仮想円の円周に沿って1つずつ等間隔に形成され、前記流路開閉板は、前記仮想円の中心に対して回転可能に構成されるとともに、前記飲料流入孔と同じ形成間隔で且つ同数の孔を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の飲料サーバーは、請求項7に記載の飲料サーバーであって、前記飲料合流室は、前記流路開閉板と、内壁が半球状のカバー部材とによって区画されていることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の飲料サーバーは、請求項8に記載の飲料サーバーであって、前記カバー部材は前記仮想円の中心に対して回転可能に構成され、前記流路開閉板は前記カバー部材に追従して回転するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の飲料サーバーは、請求項9に記載の飲料サーバーであって、前記気体流路は、前記カバー部材及び前記固定部材の回転中心に配置されるように、前記飲料合流室を貫いて設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の飲料サーバーによれば、飲料合流室の上流側には、タンクに実際に収容した飲料容器の数に応じて、当該タンクに実際に収容した当該飲料容器に対応する個別飲料流路だけを開放し、その他の個別飲料流路を閉塞可能な飲料流路開閉手段が設けられているので、飲料の注出作業が容易となる。
また、タンクと飲料注出手段とを別体とすることで、注出作業が容易となる。さらに、昇圧手段が飲料注出手段に設けられたものでは、昇圧手段の操作を手元で行えるので便利である。また、飲料泡立て手段を有するものでは、飲料に泡を付加することができるので、変化に富んだ飲料の提供が可能となる。さらに、1つのモータで昇圧と泡立てを行うものでは、安価な飲料サーバーが実現できる。また、流路開閉板を用いて飲料流路を開閉するものでは、飲料流路の1つ1つに開閉弁等を設ける場合に比べて、安価な飲料サーバーが実現できる。さらに、飲料合流室の内側が半球状となっているものでは、合流時に飲料が泡立つことが防止され、不必要に飲料に泡が混入することが防止される。また、カバー部材の回転によって流路開閉板を回転させるものでは、流路開閉板の操作が簡単となる。そして、気体流路がカバー部材及び固定部材の回転中心に配置されるものでは、気体流路及び飲料流路を共にカバー部材に一緒に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の飲料サーバーの一実施形態を示した斜視図である。
図2】本実施形態の飲料サーバーにおけるタンクの内部を示した斜視図である。
図3】本実施形態の飲料サーバーにおけるタンク上部の要部断面図である。
図4】本実施形態の飲料サーバーにおける上部タンクを分解して示した斜視図である。
図5】ドーム体を上部タンクに締結する作用を説明するための断面図である。
図6】飲料容器選択機構を説明するための図で、(A)は3つの飲料容器を使用する態様を示し、(B)は2つの飲料容器を使用する態様を示し、(C)は1つの飲料容器を使用する態様を示している。
図7】本実施形態の飲料サーバーを示した平面図である。
図8】本実施形態の飲料サーバーにおける飲料注出器を示した断面図である。
図9図8に示した飲料注出器の作用を説明するための要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の飲料サーバーを図面に示した実施形態に基づいて説明する。
【0020】
《全体構成》
実施形態の飲料サーバー1は、例えば飲料缶等の飲料容器A(A1〜A3)を収容可能なタンク10と、タンク10とは別体に構成された飲料注出器30と、タンク10と飲料注出器30とを互いに連結するチューブ64a,64bとを備えている。そして、この飲料サーバー1では、タンク10に収容した飲料容器A内の飲料をチューブ64bを介して飲料注出器30に導き、この飲料注出器30で注出するように構成されている。
【0021】
《細部構成》
1.タンク10について
タンク10は樽状を成している。このタンク10は、図2に示すように、複数の飲料容器A(2点鎖線で示す)を収容する下部タンク11と、複数の飲料容器A1〜A3内の飲料を合流させる後述の飲料合流室が画成される上部タンク12とによって構成されている。
【0022】
下部タンク11には、隔壁13によって4つの空間14a〜14dが形成されている。このうちの1つの空間14dは、2つのメッシュ板13aと下部タンク11の内面とによって仕切られている。この空間14dには、氷が収容され、タンク10に収容された飲料容器A1〜A3を保冷する。また、3つの空間14a〜14cの床には本数マーク11a〜11cが表示されている。そして、複数の飲料容器Aを収容する場合には本数マーク11aから11bそして11cとこの順に設置するようにされている。
【0023】
上部タンク12は、図3に示すように、ドーム体(カバー部材)15を備えている。このドーム体15は、上部タンク12の天井璧上に設置され、その内部に半球状の飲料合流室16が形成されている。
【0024】
ドーム体15は締結リング17を上部タンク12の天井壁に固定設置される環状枠18に係合させることよって上部タンク12の天井壁に取り付けられる。
すなわち、図4に示すように、ドーム体15は下部周縁に外向きフランジ15aを有している。また、ドーム体15の下部開口には、後述する飲料容器選択機能を有する円板19が一体的に配設される。この円板19は飲料流路開閉板を構成する。一方、締結リング17は、半径方向内部に張り出す内向きフランジ17aを有し、また、外周面の3箇所にそれぞれ半径方向外方に張り出す舌片17bを有している(ただし、図4には2つの舌片17bだけが図示されている。)。そして、舌片17bの上面には、上面が傾斜面を成す凸部17cが形成されている。また、上部タンク12の環状枠18は、半径方向内方に張り出す内向きフランジ18aを有しており、その内向きフランジ18aの3箇所には、締結リング17の舌片17bが挿嵌される弧状の切欠き18bが形成されている。
【0025】
そして、締結リング17をドーム体15の外向きフランジ15aに被せ、その締結リング17の舌片17bを環状枠18の切欠き18bに挿嵌させ、所定方向に回動させる。すると、図5に示すように、締結リング17の凸部17cが楔作用によって下方に押圧され、それによってドーム体15が上部タンク12の天井壁に取り付けられる。
【0026】
その際、円板19もドーム体15によって上部タンク12の天井壁に取り付けられる。この円板19には、図4に示すように中央に空気流通孔19aと、その周縁に飲料用の孔19b〜19dが形成されている。そして、空気流通孔19aには、飲料合流室16に貫設された空気受給管15dの下端が挿通され、空気受給管15dの下端は下部タンク11に開口している。一方、孔19b〜19dには、図2に示すチューブ(第1のチューブ)20a〜20cの一端部が連通されている。この孔19b〜19dとチューブ20a〜20cとの連通のため上部タンク12の天井壁(固定部材)には3つの飲料流入孔が形成されている。すなわち、孔19b〜19dが形成された円板19と、3つの飲料流入孔が形成された天井壁とは飲料流路開閉手段を構成している。
なお、円板19と上部タンク12の天井壁との間には例えばシリコン製のパッキン40が取り付けられる。このパッキン40は上面視で円形に形成され、上記19a〜19dに1対1で対応する孔40a〜40dが形成されている。このパッキン40の下面には孔40a〜40dに連通する管状部分が付設され、この管状部分は上部タンク12の天井壁の孔に差し込まれている。これによりパッキン40の位置ずれが防止される。この管状部分に代えて、或いはこの管状部分に加えて、パッキン40の下面に例えば凹部(図示せず)を形成し、孔40a〜40dと天井壁の孔とが合致した位置で、この凹部を上部タンク12の天井壁に形成した凸部(図示せず)と嵌合させる構成としてもよい。以上のように構成されたパッキン40は、飲料合流室16からの液漏れを防止する働きをする。
【0027】
次に、円板19の飲料容器選択作用つまり飲料流路開閉作用について説明する。
孔19b〜19dが形成される円板19の回転に伴って、図6(A)に示すように、円板19の孔19b〜19dがチューブ20a〜20cに全て合致している場合は、飲料容器A1〜A3の全てがチューブ20a〜20cを介してドーム体15の飲料合流室16に連通される。また、図6(B)に示すように、円板19の孔19c,19dがチューブ20a,20bに合致している場合は、飲料容器A1,A2だけがチューブ20a,20bを介してドーム体15の飲料合流室16に連通される。さらに、図6(C)に示すように、円板19の孔19dがチューブ20aにのみ合致している場合は、飲料容器A1だけがチューブ20aを介してドーム体15の飲料合流室16に連通される。
【0028】
この飲料容器選択は、例えば、締結リング17を反対方向に回動させて、ドーム体15と上部タンク12の天井壁との圧接を解除し、ドーム体15を回動させ、ドーム体15から半径方向外方へ突出させた突出片15cを上部タンク12の天井壁に表示した本数マーク12a〜12cに合致させることによって行われる。或いは、締結リング17を回動させずに、ドーム体15を回動させるだけで飲料容器選択を行う構成としてもよい。なお、環状枠18には突起18cが立設されている。この突起18cは、突出片15cの回動範囲を規制するためのストッパーの役割を担う。
【0029】
なお、図7に示すように、上部タンク12の天井壁周縁には、フック21が鉛直軸を中心に回動自在に支持されている。また、上部タンク12は、ヒンジ22によって下部タンク11に開閉自在に連結され、それらは、胴部周面に配設したバックル23によって互いに締結される。また、タンク10の胴部には、肩掛けベルト挿通孔24が形成されている。この肩掛けベルト挿入孔24を利用して、タンク10に肩掛けベルト(図示せず)を取り付けることによって、飲料サーバー1の持ち運びが容易となる。
【0030】
2.飲料注出器30について
飲料注出器30は,飲料注出手段を構成し、圧縮空気をタンク10内に供給し、その圧力によって飲料容器内の飲料を飲料注出器30に送給させ、飲料注出器30からカップ等に注出するもので、図8および図9に示すように、操作レバー31を備えている。この操作レバー31は、軸31aに卷回した図示しないねじりコイルばねによって図8,9において反時計方向に付勢されている。
【0031】
操作レバー31の軸31a周面には、位置決め片32が突設されている。この位置決め片32には、3箇所に凹部32a,32b,32cが形成されている。一方、飲料注出器30の枠体には合成樹脂製等による弾性部材33が形成され、その弾性部材33の爪33aが位置決め片32の凹部の32a,32b,32cのいずれか1つに弾性的に係合可能となっている。そして、操作レバー31が点線で示した初期位置a、実線で示した飲料注出位置b、2点鎖線で示した飲料泡立て位置cにおいて操作レバー31を位置決めする。なお、ここでの位置決めはクリック感を持たせるためのもので、ねじりコイルばねによる操作レバー31の初期位置への復帰を妨げるものではない。
【0032】
飲料注出器30は、図8に示すように、モータ34を備えている。このモータ34は、飲料注出器30の枠体に設置されたモータ始動スイッチ35を軸31aに設置したスイッチ作動片36で作動することで起動される。この飲料注出器30では、操作レバー31の初期位置aで、スイッチ作動片36がスイッチ35のボタンに非接触状態にあり、操作レバー31が操作されると、スイッチ作動片36がスイッチ35のボタンに接触するように設定されている。
【0033】
モータ34の駆動軸には、図8に示すように、歯車37が固定して設けられている。この歯車37の偏心位置には円柱ピン38が突設されている。一方、飲料注出器30には、ダイヤフラムポンプ39が設置されている。このダイヤフラムポンプ39は昇圧手段を構成している。このダイヤフラムポンプ39のダイヤフラムを作動する作動片40には、歯車37の円柱ピン38の径よりも大きな孔(図示せず)が形成されている。そして、歯車37の円柱ピン38がダイヤフラムポンプ39の作動片40の上記孔に挿嵌され、歯車37の回転運動が、円柱ピン38の偏心運動によって作動片40の上下の往復運動に変換され、それによってダイヤフラムポンプ39が作動される。
【0034】
また、このダイヤフラムポンプ39は、操作レバー31の操作を中止したとき、すなわち、操作レバー31が初期位置aに戻ったときに、残圧によって飲料が飲料注出器30の注出口30aから流出しないように、残圧を外部に逃がす、いわゆるリリース弁機構を備えている。
【0035】
このリリース弁機構は、一端をダイヤフラムポンプ39の圧力室に連通させ、他端を大気に開放させたチューブ41と、飲料注出器30の枠体に配設された押圧アーム42と、操作レバー31の軸31aの周面に突設され、押圧アーム42を閉塞する弧状のブロック突起43を備えている。なお、上記チューブ41は、ダイヤフラムポンプ39からタンク10まで圧縮空気を導く気体流路とは別個に設けられる。
【0036】
このリリーフ弁機構によれば、操作レバー31の操作を開始してモータ34が作動されるタイミングで、ブロック突起43によって押圧アーム42がチューブ41を押し潰すことで、チューブ41が閉塞状態に維持される。そして、操作レバー31の操作を解放したとき、押圧アーム42を拘束していたブロック突起43から押圧アーム42が解放され、それによってチューブ41の閉塞状態が解放され、ダイヤフラムポンプ39の圧力室内の圧力が大気圧になる。したがって、残圧は解消され、飲料の供給は確実に停止される。
【0037】
また、この飲料注出器30は、飲料泡立て手段を備えている。この飲料泡立て手段は、例えば、飲料容器Aに入った飲料がビールのように発泡性を有する場合に使用される。この飲料泡立て手段は、飲料注出口30aの内部に回転自在に配設された泡立て羽根44と、操作レバー31が飲料泡立て位置cに達したときだけ、歯車37と泡立て羽根44とを連結させるクラッチ機構45と、操作レバー31が飲料泡立て位置cに達したときに、注出口30aの付近に配置された飲料送給チューブ46を押圧して、飲料供給量を制限する飲料供給量制限レバー47とを備えている。また、飲料注出器30は、飲料注出口30a内に、飲料を巻き散らさないよう整流状態にするための筒状体30bを備えている。
【0038】
上記泡立て羽根44は、回転軸48の一端に着脱自在に装着される。
また、クラッチ機構45は、係合ブロック49と、回転軸53と、スライド板56と、クラッチレバー58とを備えている。係合ブロック49は回転軸48に固定されている。回転軸53は、一端に係合ブロック50を有し、中間部に鍔51を有し、他端部に歯車52を有している。この回転軸53は、回転軸48と同一軸線上に位置し、軸方向に移動可能に設置されている。スライド板56は、飲料注出器30の枠体に対して回転軸48と同方向に移動可能に設置されている。このスライド板56は、アーム54を備え、このアーム54は上記鍔51に係合されている。また、スライド板56は円弧状の長孔55を有している。クラッチレバー58は、操作レバー31の軸31aに設置され、端部にピン57が突設されている。そして、クラッチレバー58のピン57はスライド板56の長孔55に挿嵌される。
なお、一方の係合ブロック50の外周には円周方向に沿って等間隔に複数の突起(凸条)50aが形成され、他方の係合ブロック49の内周には、上記突起50aが1対1で嵌合する溝(凹条)49aが形成されている。ただし、この係合ブロック50,49は互いの摩擦力又は磁力によって或いは歯車によって互いに係合されるように構成されてもよい。
【0039】
このクラッチ機構45では、スライド板56がスプリング59によって図9において左方に付勢され、所定の位置に維持される。そして、操作レバー31が初期位置aにある状態では、クラッチレバー58のピン57は、スライド板56における長孔55の左端位置にあり、アーム54は左方に位置している。したがって、係合ブロック50と係合ブロック49は非係合状態にある。
操作レバー31が操作されると、モータ34が起動され、歯車37,52を介して回転軸53が駆動される。この状態におけるクラッチレバー58のピン57は、スライド板56の長孔55の中間位置にあり、したがって、スライド板56は移動されず、回転軸53の係合ブロック50と回転軸48の係合ブロック49とは、依然離反した状態のままである。
【0040】
さらに操作レバー31が作動され、飲料泡立て位置cに達すると、クラッチレバー58のピン57がスライド板56における長孔55の右端に達し、操作レバー31のさらなる作動に伴って、スライド板56が図9において右方に移動される。そして、アーム54,鍔51を介して回転軸53が右方へ移動され、係合ブロック50の突起50aが回転軸48の係合ブロック49の溝49aに嵌合(係合)する。したがって、係合ブロック50,49を介して回転軸53の動力が回転軸48に伝達され、泡立て羽根44が回転される。同時に、第9図において2点鎖線で示したように、飲料供給制限レバー47がクラッチレバー58の突部58aによって図において反時計方向に回動され、チューブ46の一部を押し潰す。
この状態では、注出口30aに供給される飲料の量が減少され、注出口30aに供給された飲料は、泡立て羽根44の回転によって泡立てられる。このように飲料の量を少なくすることによって、より泡立てがし易くなるという効果が得られる。
【0041】
なお、飲料注出器30においては、把手60に電池収容室が形成され、後部に電源スイッチ61が設置されている。また、飲料注出器30の上面には、フック掛け62が形成されている。そして、飲料注出器30のフック掛け62を、図7に示すように、タンク10のフック21に係合させることによって、飲料注出器30がタンク10に係止される。
【0042】
また、飲料注出器30の空気送給口63およびタンク10の空気受給管15dにチューブ(第3のチューブ)64aを挿嵌させ、飲料注出器30の飲料受給口64およびタンク10の飲料送給管15eにチューブ(第2のチューブ)64bを挿嵌させる。
【0043】
3.使用方法について
このように構成された飲料サーバー1では、図2に示すように、下部タンク11に1〜3個の飲料容器A1〜A3を収容し、それらの飲料容器A1〜A3にチューブ20a〜20cの端部を挿入した後に上部タンク12を下部タンク11に締結する。そして、収容した飲料容器Aの数に対応する本数マーク12a〜12cにドーム体15の突出片15cを合わせ、ドーム体15をタンク10に締結する。
そして、肩掛けベルトによってタンク10を肩に掛けて運搬し、飲料をカップ等に注ぐ際には、飲料注出器30をタンク10から外し、操作レバー31を操作することによって飲料を注出口30aからカップ等に注ぐ。そして、泡立てが必要な場合には、操作レバー31をさらに作動させる。
【0044】
《発明の変形例》
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能であることはいうまでもない。
【0045】
例えば、上記実施形態では、飲料容器として飲料缶の場合を説明したが、飲料瓶や飲料箱を飲料容器としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 飲料サーバー
10 タンク
11 下部タンク
12 上部タンク
15 ドーム体
16 飲料合流室
19 円板
20a〜20c チューブ
30 飲料注出器
34 モータ
39 ダイヤフラムポンプ
44 泡立て羽根
64a,64b チューブ
A1〜A3 飲料容器
【要約】      (修正有)
【課題】注出作業が容易な飲料サーバーを提供すること。
【解決手段】内部に複数の飲料容器を収容可能なタンクと、前記タンクに収容した前記複数の飲料容器の各飲料容器に1本ずつ挿入可能で、各々が個別飲料流路の少なくとも一部を形成する複数の第1のチューブと、前記タンク内の気体圧力を上昇させる昇圧手段と、前記昇圧手段による気体圧力の上昇によって前記複数の第1のチューブに導入された飲料を合流させる飲料合流室16と、前記飲料合流室で合流させた前記飲料を注出する飲料注出手段と、を備えた飲料サーバーであって、前記飲料合流室の上流側には、前記タンクに実際に収容した前記飲料容器の数に応じて、当該タンクに実際に収容した当該飲料容器に対応する前記個別飲料流路だけを開放し、その他の前記個別飲料流路を閉塞可能な飲料流路開閉手段19が設けられている。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9