特許第6017652号(P6017652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017652フォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017652
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】フォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   B66F9/24 Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-173813(P2015-173813)
(22)【出願日】2015年9月3日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】ニチユ三菱フォークリフト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠也
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平5−319792(JP,A)
【文献】 特開2009−057126(JP,A)
【文献】 特開2007−256040(JP,A)
【文献】 特開2004−271414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
F16L 9/00 − 11/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ホースが掛け回されるプーリーと、
前記油圧ホースのうち前記プーリーと接し得る部分に光を照射する照射部と、
前記照射部によって照射された前記光の前記油圧ホースによる反射光の強度を検知する光検知部と、
前記光検知部が検知した前記反射光の強度に基づいて、前記油圧ホースの劣化を推定する劣化推定部と
を備えるフォークリフト。
【請求項2】
前記照射部が、所定の周波数の光を照射し、
前記光検知部が、前記周波数の光を選択的に検知する
請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記照射部が、不可視光を照射する
請求項1または請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記劣化推定部による推定結果に基づいて前記油圧ホースの交換時期を推定する交換時期推定部をさらに備える請求項1から請求項3の何れか1項に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記劣化推定部が、前記光検知部が検知した前記反射光の強度を、反射光と劣化の程度との関係を示す関数に代入することで、前記油圧ホースの劣化の程度を推定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のフォークリフト。
【請求項6】
前記劣化推定部が、前記光検知部が検知した前記反射光の強度と一定時間前の前記強度との変化量が閾値を上回る場合に、前記油圧ホースが劣化したと推定する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載のフォークリフト。
【請求項7】
油圧ホースに光を照射するステップと、
照射された前記光の前記油圧ホースによる反射光の強度を検知するステップと、
検知した前記反射光の強度に基づいて、前記油圧ホースの劣化を推定するステップと
を有する油圧ホースの劣化検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば倉庫で荷物の搬出入、ピッキング等を行うに当たっては、従来フォークリフトが一般的に用いられてきた。フォークリフトは、荷物が搭載されるフォークと、このフォークを上下方向に移動可能に支持するマストと、油圧によってマストを伸縮動作させるリフトシリンダと、を備えている。
【0003】
さらに、フォークリフトの一部では、リフトシリンダに加えて、他の油圧シリンダがマストに設けられたものがある。より具体的には、フォークをフォークリフトの前後方向に揺動させる動作(ティルト動作)を行うためのティルト用油圧シリンダを備えたものが知られている。このティルト用油圧シリンダは、フォークを支持するリフトブラケットに一体に設けられている。すなわち、フォークの上下動に伴って、ティルト用油圧シリンダもともに上下動する。
【0004】
特許文献1には、ホースを所定位置まで繰り出すために、光センサを用いてローラの作動位置を検出し、モータを繰り出し方向に回転させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−260968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記のようにマストに設けられた油圧シリンダに作動油を供給する油圧ホースは、プーリーに掛け回された状態で支持される。しかしながら、経年使用に伴ってプーリーと油圧ホースとの間で摩擦が繰り返されると、ゴム等で形成された油圧ホースの表面に摩耗を生じる可能性がある。このような摩耗が進行した場合、油圧ホースから作動油が漏出する等して、フォークリフトの動作に影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、油圧ホースの劣化を検出可能なフォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、フォークリフトは、油圧ホースが掛け回されるプーリーと、前記油圧ホースのうち前記プーリーと接し得る部分に光を照射する照射部と、前記照射部によって照射された前記光の前記油圧ホースによる反射光の強度を検知する光検知部と、前記光検知部が検知した前記反射光の強度に基づいて、前記油圧ホースの劣化を推定する劣化推定部とを備える。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係るフォークリフトは、前記照射部が、所定の周波数の光を照射し、前記光検知部が、前記周波数の光を選択的に検知する。
【0010】
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様に係るフォークリフトは、前記照射部が、不可視光を照射する。
【0011】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3の何れかの態様に係るフォークリフトは、前記劣化推定部による推定結果に基づいて前記油圧ホースの交換時期を推定する交換時期推定部をさらに備える。
【0012】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4の何れかの態様に係るフォークリフトは、前記劣化推定部が、前記光検知部が検知した前記反射光の強度を、反射光と劣化の程度との関係を示す関数に代入することで、前記油圧ホースの劣化の程度を推定する。
【0013】
本発明の第6の態様によれば、第1から第4の何れかの態様に係るフォークリフトは、前記劣化推定部が、前記光検知部が検知した前記反射光の強度と一定時間前の前記強度との変化量が閾値を上回る場合に、前記油圧ホースが劣化したと推定する。
【0014】
本発明の第7の態様によれば、油圧ホースの劣化検出方法は、油圧ホースに光を照射するステップと、照射された前記光の前記油圧ホースによる反射光の強度を検知するステップと、検知した前記反射光の強度に基づいて、前記油圧ホースの劣化を推定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0015】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、劣化推定部は、油圧ホースの反射光に基づいて当該油圧ホースの劣化を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態に係るフォークリフトの構成を示す概略図である。
図2】リフトシリンダを最も収縮させたときのマスト装置の断面図である。
図3】リフトシリンダを最も伸長させたときのマスト装置の断面図である。
図4】第1の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
図5】第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら第1の実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態に係るフォークリフトの構成を示す概略図である。
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係るフォークリフト1は、リーチ型のフォークリフトである。フォークリフト1は、作業者が搭乗する運転台を有する車体2と、この車体2に設けられた荷役装置3とを備えている。
【0018】
車体2には、バッテリー(不図示)、及びモータ(不図示)によって駆動される複数の車輪が設けられており、作業者の操作によって走行する。なお、以下の説明では、車両の走行する方向を前後方向と呼ぶ。
【0019】
車体2の前側には、前後方向に移動可能な荷役装置3が設けられている。荷役装置3は、複数の車輪を備えたリーチキャリッジ31と、リーチキャリッジ31上に設けられたマスト装置32とを備えている。
リーチキャリッジ31は、複数の車輪を備えている。リーチキャリッジ31は、これら車輪により、車体2に設けられたレールに沿って前後方向に移動可能とされている。なお、リーチキャリッジ31をレールに沿って進出させる制御を、リーチアウト制御という。他方、リーチキャリッジ31をレールに沿って後退させる制御を、リーチイン制御という。
マスト装置32は、アウターマスト301、インナーマスト302、リフトブラケット303、フォーク304、チェーン305、リフトシリンダ306、油圧ホース307を備える。
【0020】
アウターマスト301は、リーチキャリッジ31から上方向に延びるように左右1つずつ立設されたアウターガイド311を備える。
インナーマスト302は、これらアウターマスト301に支持・案内されることで上下方向に昇降可能とされる装置である。インナーマスト302は、アウターガイド311から上方向に延びるように左右1つずつ立設されたインナーガイド321と、インナーガイド321の上方において2つのインナーガイド321を連結し、リフトシリンダ306の動力をインナーガイド321に伝達するチェーンサポート322と、チェーン305を支持・案内するチェーンホイール323と、油圧ホース307を掛け回されるプーリー324とを備える。チェーンホイール323およびプーリー324の回転軸は、チェーンサポート322に設けられる。
【0021】
リフトブラケット303には、チェーン305の第1端が接続される。リフトブラケット303には、車体前方へ略水平方向に延びることで荷物を支持可能なフォーク304が取り付けられている。フォーク304は、リフトブラケット303に対し、車体横方向に伸びる軸回りに揺動可能に取り付けられている。また、リフトブラケット303には、フォーク304を軸回りに揺動させるティルトシリンダ(不図示)が設けられる。
ティルトシリンダは、リフトブラケット303上に設けられた油圧装置である。ティルトシリンダは、リフトブラケット303上に固定されたシリンダ部と、シリンダ部から油圧によって出没可能なロッド部とを有している。このロッド部の先端部は、接続体を介してフォーク304と接続されている。すなわち、ロッド部が前方に進出することで、フォーク304が軸回りに傾斜することが可能となっている。なお、ロッド部とフォーク304の接続の態様は上記に限定されない。ティルトシリンダは、プーリー324に支持された油圧ホース307を介して作動油の供給を受ける。
なお、ティルトシリンダの伸長によりフォーク304の先端部を上方向に傾ける制御をティルトアップ制御という。他方、ティルトシリンダの収縮によりフォーク304の先端部を下方向に傾ける制御をティルトダウン制御という。
【0022】
リフトシリンダ306は、リーチキャリッジ31上に設けられた油圧装置である。リフトシリンダ306は、リーチキャリッジ31上に固定されたシリンダ部361と、シリンダ部361から油圧によって出没可能なロッド部362とを有している。このロッド部362の上端部は、チェーンサポート322と接続されている。すなわち、ロッド部362が上方に進出した場合、インナーマスト302も同じく上方に進出することが可能となっている。なお、ロッド部362とインナーマスト302の接続の態様は上記に限定されない。
なお、リフトシリンダ306の伸長によりフォーク304を上昇させる制御を、リフトアップ制御という。他方、リフトシリンダ306の収縮によりフォーク304を下降させる制御を、リフトダウン制御という。
リフトシリンダ306のシリンダ部361には、チェーン305の第2端が接続される。つまり、リフトブラケット303は、チェーン305を介してシリンダ部361と接続されている。すなわち、チェーン305は、リフトブラケット303を起点として上方に向かって延びた後、チェーンホイール323を介して下方に向きを転じて、シリンダ部361に接続される。チェーン305の長さは、リフトブラケット303およびインナーマスト302が最も下方に位置した状態において、リフトブラケット303とシリンダ部361とを互いに接続可能な長さに設定される。
【0023】
油圧ホース307は、作動油をティルトシリンダに供給する配管である。油圧ホース307の第1端は、車体2に内蔵される油圧モータ(不図示)に接続される。油圧ホース307の第2端は、ティルトシリンダに接続される。すなわち、油圧ホース307は、車体2を起点として上方に向かって延びた後、プーリー324を介して下方に向きを転じて、ティルトシリンダに接続される。油圧ホース307の長さは、リーチキャリッジ31がリーチアウトされた状態、かつリフトブラケット303およびインナーマスト302が最も下方に位置した状態において、車体2とティルトシリンダとを互いに接続可能な長さに設定される。
油圧ホース307は、内面層、補強層、外面層からなる3層構造をなす。内面層は、油圧ホース307の最も内側の層である。内面層は、作動油に直接触れるため、耐油性合成ゴムにより構成される。補強層は、内面層と外面層の間に設けられる層である。補強層は、引っ張りによる油圧ホース307の変形を防ぐため、高抗張力鋼線のメッシュにより構成される。外面層は、油圧ホース307の最も外側の層である。外面層は、プーリー324と直接触れ、また外気に曝されるため、耐摩・耐候性合成ゴムにより構成される。各層の厚みは、例えばそれぞれ2ミリメートルとすることができる。
なお、本実施形態では、油圧ホース307の第2端は、ティルトシリンダに接続されるが、これに限られない。例えば、他の実施形態において、フォークリフト1のマスト装置32が3段以上のマストである場合、アウターマスト301とインナーマスト302との間にミドルマストが設けられる。この場合、油圧ホース307の第2端は、フォーク304をリフトするためのシリンダに接続されることがある。
【0024】
また車体2には、作業者が搭乗する運転席が設けられる。運転席には、アクセルレバー201、リフトレバー202、リーチレバー203、ティルトレバー204、ディスプレイ205、および制御装置206が設けられる。
【0025】
アクセルレバー201は、車体2の前進・後退を制御するためのレバーである。具体的には、アクセルレバー201を前方(運転席の奥側)へ倒すことで車体2が前進し、アクセルレバー201を後方(運転席の手前側)へ倒すことで車体2が後退する。
リフトレバー202は、リフト制御(リフトアップ制御及びリフトダウン制御)のためのレバーである。具体的には、リフトレバー202を前方へ倒すことでリフトダウン制御がなされ、リフトレバー202を後方へ倒すことでリフトアップ制御がなされる。
リーチレバー203は、リーチ制御(リーチイン制御及びリーチアウト制御)のためのレバーである。具体的には、リーチレバー203を前方へ倒すことでリーチアウト制御がなされ、リーチレバー203を後方へ倒すことでリーチイン制御がなされる。
ティルトレバー204は、ティルト制御(ティルトアップ制御及びティルトダウン制御)のためのレバーである。具体的には、ティルトレバー204を前方へ倒すことでティルトダウン制御がなされ、ティルトレバー204を後方へ倒すことでティルトアップ制御がなされる。
ディスプレイ205は、バッテリーの残存容量、走行速度、走行距離、フォーク304の負荷などの情報を表示する。ディスプレイ205は、例えばVFD(Vacuum Fluorescent Display:蛍光管ディスプレイ)によって実現される。
制御装置206は、フォークリフト1の制御および管理を行う。
【0026】
ここで、マスト装置32の動作について、図2図3を参照して説明する。
図2は、リフトシリンダを最も収縮させたときのマスト装置の断面図である。図3は、リフトシリンダを最も伸長させたときのマスト装置の断面図である。
図2に示すように、初期の状態では、リフトシリンダ306のロッド部362はシリンダ部361の内部に格納されている。これにより、インナーマスト302はアウターマスト301に重なるようにして、最も下方に位置した状態となる。さらに、このときリフトブラケット303およびフォーク304も下方端に位置した状態となる。
【0027】
上記の状態から、ロッド部362を上方に進出させると、図3に示すような状態となる。すなわち、ロッド部362、及びチェーンサポート322によって持ち上げられて、インナーマスト302は上方に進出する。ここで、リフトブラケット303とリフトシリンダ306のシリンダ部361とは一定の長さのチェーン305によって接続され、チェーン305の第2端はシリンダ部361に固定されている。これにより、インナーマスト302の上昇に伴ってチェーン305の第1端は上方に引っ張られる。チェーン305が引っ張られるに伴って、インナーマスト302が備えるチェーンホイール323が回転する。すなわち、このチェーンホイール323は動滑車として機能している。
【0028】
以上により、リフトブラケット303およびフォーク304は、インナーマスト302とアウターマスト301の高さ寸法の和に概ね等しい高さにまで上昇する。これにより、フォークリフト1は、高所にある貨物等を扱うことが可能となる。
【0029】
ところで、インナーマスト302の上昇に伴いリフトブラケット303が上昇すると、リフトブラケット303に設けられたティルトシリンダも上昇する。そのため、ティルトシリンダに接続された油圧ホース307は、プーリー324を回転させながら上昇する。このとき、プーリー324と油圧ホース307との間には摩擦が生じる。経年使用に伴ってプーリー324と油圧ホース307との間で摩擦が繰り返されると、ゴム等で形成された油圧ホース307の表面に摩耗を生じる可能性がある。このような摩耗が進行した場合、油圧ホース307から作動油が漏出する等して、フォークリフト1の動作に影響を及ぼす可能性がある。
【0030】
そこで、本実施形態に係るフォークリフト1は、上記のような油圧ホース307の劣化を検出するため、図1に示すように、光源41および光センサ42を備える。光源41および光センサ42は、チェーンサポート322の下方に設けられたL字型のホルダ43に取り付けられる。
ホルダ43は、チェーンサポート322から下方(鉛直方向)に伸びる胴部431と、胴部431の下端から横方向(水平方向)に伸びる腕部432とを有する。胴部431の上端は、チェーンサポート322に固定される。腕部432は、プーリー324の下方であってプーリー324に掛け回された油圧ホース307の間を通るように設けられる。腕部432は、例えばプーリー324の下方10センチメートルの位置に設けられる。
【0031】
光源41は、不可視光(赤外線または紫外線)に相当する周波数の光を照射する。光源41は、ホルダ43の腕部432に、油圧ホース307のうちプーリー324と接し得る部分に向く方向に発光面を向けて設置される。光源41は、LED(Light Emitting Diode)やレーザ装置により実現される。なお、腕部432がプーリー324の下方10センチメートルに設けられるため、光源41の光は、油圧ホース307のうちプーリー324の下方10センチメートルの部分に照射される。油圧ホース307のうちプーリー324の下方10センチメートルの部分は、油圧ホース307のうちプーリー324と接し得る部分の一例である。
光センサ42は、受光した光のうち不可視光に相当する周波数の光の強度を選択的に検出する。光センサ42は、ホルダ43の腕部432に、光源41が照射した光の油圧ホースによる反射光が入射する方向に受光面を向けて設置される。光センサ42は、フォトダイオードなどにより実現される。光センサ42が検出した光の強度は、制御装置206に入力される。
光源41および光センサ42は、油圧ホース307との距離が数センチメートルとなる位置に設置される。また、光源41および光センサ42が不可視光に対する選択性を有することで、外光による受光量の変動を防ぐことができる。
【0032】
制御装置206は、光センサ42から光の強度を示す信号の入力を受け付ける。制御装置206は、光センサ42が受光した光の強度に基づいて、油圧ホース307の劣化を推定する。また制御装置206は、劣化の推定結果に基づいて、油圧ホース307の交換時期を推定する。またディスプレイ205は、制御装置206による劣化の推定結果および油圧ホースの交換時期を表示する。制御装置206は、反射光の強度に基づいて油圧ホース307の劣化を推定する劣化推定部、および推定結果に基づいて油圧ホース307の交換時期を推定する交換時期推定部の一例である。
【0033】
次に、本実施形態に係る制御装置206の動作について説明する。
図4は、第1の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置206は、所定の周期で劣化推定処理を実行する。制御装置206は、劣化推定処理を開始すると、光源41に照射指示を出力する(ステップS1)。次に、制御装置206は、光センサ42から光の強度を示す信号を受信する(ステップS2)。つまり、当該信号は、光源41から油圧ホース307に照射された光の反射光の強度を示す。次に、制御装置206は、入力された信号が示す反射光の強度を、反射光と摩耗量の関係を示す関数に代入することで、油圧ホース307の摩耗量(劣化の程度)を算出する(ステップS3)。当該関数は、フォークリフト1の設計時に予め実験などにより求められたものである。当該関数は、反射光の強度が小さいほど大きい摩耗量を示す。これは、油圧ホース307の摩耗が進行するほど、油圧ホース307の反射率が低下するためである。
次に、制御装置206は、算出した摩耗量が交換対象となる所定の摩耗量閾値以上であるか否かを判定する(ステップS4)。摩耗量が摩耗量閾値以上である場合(ステップS4:YES)、制御装置206は、ディスプレイ205に油圧ホース307の寿命を警告する画面を表示させる(ステップS5)。
他方、摩耗量が摩耗量閾値未満である場合(ステップS4:NO)、制御装置206は、内部メモリ(不図示)に算出した摩耗量と現在時刻とを関連付けて記録する(ステップS6)。
次に、制御装置206は、内部メモリに記録された過去の摩耗量とステップS3で算出した摩耗量とに基づいて、油圧ホース307の交換時期を推定する(ステップS7)。例えば、制御装置206は、過去の摩耗量と現在の摩耗量とから油圧ホース307の摩耗速度を算出し、現在の摩耗量と当該摩耗速度から油圧ホース307の摩耗量が交換対象となる所定の摩耗量に至るまでの時間を推定する。次に、制御装置206は、ディスプレイ205に算出した交換時期を示す画面を表示させる(ステップS8)。なお、制御装置206は、現在時刻から交換時期までの期間が充分に長い場合(例えば、1か月以上)、ディスプレイ205に交換時期を示す画面を表示させなくてもよい。
【0034】
このように、本実施形態によれば、制御装置206は、油圧ホース307のうちプーリー324と接し得る部分に照射された光の反射光の強度に基づいて、油圧ホース307の劣化を推定する。そのため、制御装置206は、ディスプレイ205などの提示装置を介して油圧ホース307の寿命や交換時期などを利用者に通知することができる。これにより、利用者による油圧ホース307の交換やメンテナンスが促進され、油圧ホース307の不意の破損を防ぐことができる。
また、本実施形態に係る制御装置206、油圧ホース307、プーリー324、およびディスプレイ205は、従来のフォークリフトに備えられているものと同様である。したがって、従来のフォークリフトに光源41、光センサ42およびホルダ43を設置し、さらに制御装置206に上記処理を実行するためのプログラムをインストールすることで、本実施形態に係るフォークリフト1を容易に実現することができる。
【0035】
なお、本実施形態に係る光センサ42は、劣化していない油圧ホース307によって反射される反射光が入射する位置に設けられるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る光センサ42は、劣化していない油圧ホース307によって反射される反射光が入射する位置から少しずれた位置に設けられてもよい。この場合、反射光と摩耗量の関係を示す関数は、反射光の強度が大きいほど大きい摩耗量を示す。これは、油圧ホース307の摩耗が進行するほど、油圧ホース307の拡散反射率が摩耗により上昇するためである。
【0036】
また、本実施形態に係る制御装置206は、反射光の強度を関数に代入することで摩耗量を算出するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置206は、反射光の強度を所定の強度閾値と比較して、交換が必要な程度に油圧ホース307が劣化しているか否かを判定しても良い。つまり、他の実施形態に係る制御装置206は、摩耗量および交換時期を算出しなくてもよい。
【0037】
《第2の実施形態》
以下、図面を参照しながら第2の実施形態について詳しく説明する。第1の実施形態に係る制御装置206は、光の強度に基づいて油圧ホース307の摩耗量を算出する。これに対し、第2の実施形態に係る制御装置206は、光の強度の変化量に基づいて油圧ホース307が劣化したか否かを判定する。
なお、第2の実施形態に係るフォークリフト1の構造は、第1の実施形態と同様である。
【0038】
次に、第2の実施形態に係る制御装置206の動作について説明する。
図5は、第2の実施形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
制御装置206は、所定の周期で劣化推定処理を実行する。制御装置206は、劣化推定処理を開始すると、光源41に照射指示を出力する(ステップS11)。次に、制御装置206は、光センサ42から光の強度を示す信号を受信する(ステップS12)。次に、制御装置206は、光センサ42から受信した信号が示す光の強度を現在時刻に関連付けて内部メモリに記録する(ステップS13)。次に、制御装置206は、入力された信号が示す反射光の強度と、内部メモリに記録された過去の反射光の強度との変化量を算出する(ステップS14)。次に、制御装置206は、算出した変化量が交換対象となる所定の変化量閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。変化量が変化量閾値以上である場合(ステップS15:YES)、制御装置206は、ディスプレイ205に油圧ホース307の寿命を警告する画面を表示させる(ステップS16)。これは、油圧ホース307の外面層が破損し、補強層が露出することにより反射光の強度が大きく変化した可能性が高いためである。なお、補強層は、高抗張力鋼線で形成されるため、補強層によって反射した反射光の強度は、外面層による反射光の強度より高くなる可能性がある。
他方、変化量が変化量閾値未満である場合(ステップS15:NO)、ディスプレイ205に警告を表示させずに処理を終了する。
【0039】
このように、本実施形態によれば、制御装置206は、油圧ホース307のうちプーリー324と接し得る部分に照射された光の反射光の強度の変化量に基づいて、油圧ホース307の劣化を推定する。そのため、制御装置206は、ディスプレイ205などの提示装置を介して油圧ホース307の寿命や交換時期などを利用者に通知することができる。これにより、利用者による油圧ホース307の交換やメンテナンスが促進され、油圧ホース307の不意の破損を防ぐことができる。
【0040】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、上述した実施形態に係るフォークリフト1は、反射光を検出する光検知部として光センサ42を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るフォークリフト1は、光センサ42に代えて撮像素子を備えても良い。当該撮像素子が撮像した撮像画像は、油圧ホース307のうち光源41から光が照射された部分の撮像画像となる。この場合、制御装置206は、受信した撮像画像における光の照射部分を含む所定領域の輝度分布と、劣化のない油圧ホース307に光を照射したときに予め撮像された画像における当該領域の輝度分布との類似度に基づいて、油圧ホース307の劣化を推定する。
【0041】
また、上述した実施形態に係る光源41および光センサ42は、波長選択性を有するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る光源41および光センサ42は、波長選択性を有しなくてもよい。この場合、光センサ42に外光が入らないよう、光源41および光センサ42の周りに外光を遮蔽する遮光壁を設けてもよい。また、制御装置206は、光源41を発光させていないときの光センサ42のセンサ値が、外光の影響を無視できる程度に小さいときに、劣化推定処理を行ってもよい。
【0042】
また、上述した実施形態に係るフォークリフト1は、ディスプレイ205の表示によって油圧ホース307の交換やメンテナンスを促すが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るフォークリフト1は、摩耗量が摩耗量閾値以上である場合や、交換時期までの期間が所定期間(例えば、1か月)以内である場合に、油圧動作を制限しても良い。油圧動作の制限の例としては、油圧動作の速度を低下させることや、油圧動作を禁止することが挙げられる。制御装置206が油圧動作を制限することで、利用者は、油圧ホース307の寿命が近いことを知ることができる。また制御装置206が油圧動作を制限することで、油圧ホース307に掛かる内圧を下げることができ、油圧ホース307が内圧により破損することを防ぐことができる。
【0043】
制御装置206は、CPU、主記憶装置、補助記憶装置、インタフェースを備える。上述した制御装置206の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置に記憶されている。CPUは、プログラムを補助記憶装置から読み出して主記憶装置に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。
【0044】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェースを介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータに配信される場合、配信を受けたコンピュータが当該プログラムを主記憶装置に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0045】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0046】
1 フォークリフト
301 アウターマスト
302 インナーマスト
304 フォーク
305 チェーン
323 チェーンホイール
324 プーリー
206 制御装置
41 光源
42 光センサ
43 ホルダ
【要約】      (修正有)
【課題】油圧ホースの劣化を検出可能なフォークリフトおよび油圧ホースの劣化検出方法を提供する。
【解決手段】フォークリフト1は、油圧ホース307が掛け回されるプーリー324と、油圧ホースのうちプーリーと接し得る部分に光を照射する照射部41と、照射部によって照射された光の油圧ホースによる反射光の強度を検知する光検知部42と、光検知部が検知した反射光の強度に基づいて、油圧ホースの劣化を推定する劣化推定部206とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5