(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載のシステムであって、前記システムは、前記センサに対する複数の直交励起波形を求めるように構成され、前記直交励起波形のうち少なくとも1つは、選択された前記励起周波数を含み、
前記センサは、前記複数の直交励起波形を同時送信するように構成され、
前記複数の直交励起波形は、求められた前記雑音周波数に対してすべて直交する、システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は、SNRを向上するためにDSP技法を用いるタッチセンサに全般的に関連する技術を説明する。
【0004】
一般に、本明細書に説明される対象のいくつかの態様は、センサを伴う方法で具現することができる。この態様の他の実施形態は、対応するシステム、装置、および方法のアクションを遂行するように構成された、コンピュータ記憶デバイス上に符号化されているコンピュータプログラムを含む。
【0005】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、フロントエンドインターフェース、少なくとも1つのトレースライン、フロントエンドインターフェースとトレースラインの少なくとも1つの上の第1の位置の両方に結合された少なくとも1つの送信器、および少なくとも1つのトレースライン上の第2の位置に結合された受信器を有するセンサに関連したデータ処理装置と関係するアクションを含む方法で具現することができる。この方法は、センサのフロントエンドインターフェースにおいて信号にアクセスするステップと、アクセスされた信号を、送信器から、センサのトレースラインの少なくとも1つの上の第1の位置に送信し、アクセスされた信号を、アクセスされた信号が送信される第1の位置に対応するトレースラインに沿って送信するのを促進するステップと、アクセスして送信された信号を、トレースラインから、センサのトレースラインの第2の位置に結合された受信器を介してセンサの受信器で受信するステップとを伴う。この方法は、アクセスされた信号を送信するのに使用されたトレースラインに沿って、送信器の第1の位置と受信器の第2の位置の間の距離にアクセスするステップと、アクセスされた距離に基づいて、送信信号が経験すると予想される変換を、第1の位置と第2の位置の間の距離の関数としての伝達に基づいて求めるステップと、求められた変換に基づいて、予想される相関信号を生成するステップとを伴う。この方法は、予想される相関信号をセンサの受信器で受信するステップと、受信した予想される相関信号に基づいて、送信信号が送信に基づいて経験すると予想される変換を少なくとも部分的に補償するのに用いることができる情報を識別するステップとを含む。この方法は、受信した予想される相関信号を適用することにより、送信信号が送信に基づいて経験すると予想される変換の最小部分を補償するステップを含む。
【0006】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。予想される相関信号は、アナログ信号および/またはデジタルデータに対応する相関情報に相当することができる。変換は位相シフトを含むことができる。変換は、減衰、遅延、および/または線形フィルタリングの効果も含むことができる。変換は、予想される相関信号に関する正弦波形または予想される相関信号に関する非正弦波形に適用することができる。補償は、積分期間にわたって、受信した送信信号の波形と予想される相関信号の波形の積を計算するステップと、この積の積分を計算するステップを伴い得る。この方法は、計算結果を受信器の出力に供給するステップを含むことができる。センサは、マトリクス構造のトレースラインを有することができる。この方法は、受信した送信信号の変換を、マトリクス構造の送信器と受信器の間の距離の関数としてモデル化するステップを含むことができる。この方法は、少なくとも1つのトレースラインを、第1の位置と第2の位置の間の距離に沿って分布した抵抗およびキャパシタンスを有するものとしてモデル化することにより、変換をモデル化するステップを含むことができる。送信信号が経験すると予想される変換を求めるために、この方法は、第1の位置と第2の位置の間の距離に沿って1組の変換を測定するステップと、送信信号が経験すると予想される変換を近似する、変換の組の中の1つの変換を選択するステップとを含むことができ、変換は位相シフトを含むことができ、変換の組は、1組の位相シフトを含む。送信信号が経験すると予想される変換は、少なくとも1つのトレースラインに沿って、それぞれの位置に沿ったそれぞれの位相シフトを測定すること、測定された位相シフトのうちの1つに関連する距離を、第1の位置と第2の位置の間の距離と照合することに基づいて、測定された位相シフトのうちの1つを選択すること、および、測定された位相シフトの選択されたものを、送信信号が経験すると予想される位相シフトとして割り当てることを含むことができる。送信信号が経験すると予想される変換を求めるために、この方法は、少なくとも1つのトレースラインに沿って、それぞれの位置に沿ったそれぞれの位相シフトを測定するステップと、測定された位相シフトの線形補間を利用し、送信信号が第2の位置において受信器で経験すると予想される位相シフトを近似するステップと、補間された位相シフトを、送信信号が経験すると予想される位相シフトとして割り当てるステップとを含むことができる。送信信号が経験すると予想される変換を求めるために、この方法は、送信信号の波形の同相バージョンおよび直角位相バージョンに対して相関を取るステップと、同相波形と直角位相波形のアークタンジェント関数を計算することにより、送信信号が経験すると予想される位相シフトを計算するステップとを含むことができる。センサは、マトリクス構造のトレースラインを有することができ、送信するステップは、マトリクスの2つのエッジにおいてセンサを送信信号で駆動するステップを伴うことが可能であり、抵抗−キャパシタンスの時定数が、1つのエッジにおいて送信信号でセンサを駆動することから導出される時定数と比較して1/2に低減される。送信するステップは、マトリクスの複数のエッジにおいてセンサを送信信号で駆動するステップを伴うことが可能であり、抵抗−キャパシタンスの時定数が、1つのエッジにおいて送信信号でセンサを駆動することから導出される時定数と比較して低減される。多数の複数のエッジの数は4であり得て、抵抗−キャパシタンスの時定数が、1つのエッジにおいて送信波形でセンサを駆動することから導出される時定数と比較して1/4に低減される。センサは、行と列を有するマトリクス構造に形成されたトレースラインを有することができ、行の少なくとも1つまたは列の少なくとも1つの、少なくとも1つのトレースラインは、分割されて、1つのトレースラインのおよそ半分の長さの2つのトレースラインを形成し、分割されたトレースラインは、分割されたトレースラインの第1の部分に相当するトレースラインの第1の区間および分割されたトレースラインの第2の部分に相当するトレースラインの第2の区間を形成する。第1の分割されたトレースラインまたは第2の分割されたトレースラインのいずれかの抵抗−キャパシタンスの時定数は、第1の分割されたトレースラインまたは第2の分割されたトレースラインの長さの関数であり得る。センサは容量型タッチセンサであり得る。
【0007】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、センサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、マトリクス構造に配向されたトレースライン、フロントエンドインターフェース、フロントエンドインターフェースに結合された送信器、および受信器を含む。それぞれの送信器は、それぞれのトレースラインの第1の位置に対応してこれと結合され、それぞれの受信器は、それぞれのトレースラインの第2の位置に結合される。この方法は、直交波形系列を有する、互いに直交した直交励起波形を求めるステップと、送信器のうち少なくとも2つが、それぞれの直交波形系列を送信する構成となるように、少なくとも2つの送信器のそれぞれで、直交励起波形のうちの1つを同時に送信するステップであって、センサのすべての送信器より少ない送信器で送信するステップとを伴う。この方法は、受信器のうち少なくとも2つで直交励起波形のうち少なくとも2つを受信するステップであって、少なくとも2つの直交励起波形のそれぞれが、それぞれの受信器のうちの1つで受信されるステップを伴う。この方法は、少なくとも1つの予想される受信波形に関する情報を受信するステップと、少なくとも2つの受信器のそれぞれについて、受信した励起波形を、予想される受信波形に対して相関を取るステップとを含む。
【0008】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。センサは容量型タッチセンサを含むことができる。直交励起波形は、センサの雑音と直交する。マトリクス構造は、n列のトレースラインを含むことができ、送信器のそれぞれの同時通信が1つの積分時間の中で生じることができる。この方法は、送信器のうち少なくとも2つからの、多数の同時通信の関数として多数の積分時間を求めるステップを伴うことができる。この方法は、センサの雑音と関連した周波数を識別するステップと、雑音と関連した周波数と直交する直交励起波形の少なくとも1つを選択するステップとを伴うことができる。センサは、少なくとも液晶ディスプレイと相互作用する能力を有するように、液晶ディスプレイに対する物理的近傍に配置されるように構成することができる。液晶ディスプレイは、約30kHzから135kHzのライン走査周波数を有することができる。この方法は、符号分割多重化を遂行するステップを伴うことができ、4つのトレースラインのグループのそれぞれのトレースラインが、直交波形系列用の別個の符号を伴う。符号分割多重化は、マンチェスター符号化されたアダマール系列であり得る。直交励起波形を求める方法は、変調のための第1の周波数を選択するステップと、第1の周波数の近くで疑似雑音系列を生成するステップと、疑似雑音系列用のキャリア信号を生成するステップと、疑似雑音系列を用いて、第1の周波数の近くでキャリア信号の複数のサイクルを変調するステップとを伴うことができる。第1の周波数は約100kHzであり得る。キャリア信号の数は10未満であり得る。この方法は、識別された雑音と関連した周波数を識別するステップと、識別された雑音と関連した周波数と直交する直交励起波形の少なくとも1つを選択するステップとを伴うことができる。求められた直交励起波形は、変調用周波数および変調用周波数における疑似雑音系列の両方の関数であり得る。この方法は、センサに関連した雑音スペクトルを得るステップと、センサに関連した雑音スペクトルを評価することにより、センサの雑音を測定するステップと、雑音スペクトルの評価に基づいて雑音を識別するステップと、センサの識別された雑音に対して直交する直交励起波形を作成することにより、直交励起波形を求めるステップとを伴うことができる。この方法は、センサに関連した雑音スペクトルを得るステップと、センサに関連した雑音スペクトルを評価することにより、雑音を測定するステップと、雑音の測定に基づいて雑音の識別を遂行するステップとを伴うことができる。この方法は、測定を継続し、時間フレームにわたって雑音スペクトルの最大の雑音源からの雑音を識別することにより、直交励起波形に対して直交する雑音を識別するステップと、雑音スペクトルの中で連続的に識別された最大の雑音源と関連した雑音を用いることにより、適応して直交励起波形を求めるステップとを伴うことができる。この方法は、周期的に測定し、雑音スペクトルの最大の雑音源からの雑音を識別することにより、直交励起波形に対して直交する雑音を識別するステップと、雑音スペクトルの中で周期的に識別された最大の雑音源と関連した雑音を用いることにより、適応して直交励起波形を求めるステップとを伴うことができる。識別された雑音は、冷陰極の蛍光性バックライトの動作周波数または液晶ディスプレイと関連した周波数と関連づけることができる。
【0009】
センサは容量型タッチセンサであり得る。容量型タッチセンサは、フロントエンド回路を有することができる。この方法は、フロントエンド回路の出力端において、容量型タッチセンサ向けに送信するための入力電圧を準備するステップを含むことができ、フロントエンド回路は、少なくとも1つの2段回路を含むことができ、第1段はトランスインピーダンス利得をもたらすように構成され、第2段は電圧利得をもたらすように構成され得る。入力電圧の準備は、第1段を積分器回路として構成することにより、フロントエンド回路の第1段のトランスインピーダンス利得をもたらすステップを含むことができる。この方法は、入力電圧を分割することにより、第1段で出力信号を生成するステップと、フロントエンド回路の第1段の出力信号をフロントエンド回路の第2段の電圧利得で増幅し、フロントエンド回路の第2段の出力信号を生成するステップとを含むことができる。識別された雑音は、センサの主雑音源を含むことができ、識別された雑音は、液晶ディスプレイの周波数または冷陰極の蛍光性バックライトの動作周波数と関連づけることができる。第1段が含むことができる雑音は、フロントエンド回路の第2段向けの出力信号が、第2段の電圧利得の働きによって増幅された第1段の雑音を含むことができるような雑音レベルである。第2段の出力信号における雑音は、センサの主雑音源未満であり得る。第1段は、フロントエンド回路の第2段の出力信号が、第2段の電圧利得の働きによって増幅された第1段の雑音を含むような雑音レベルで雑音を含むことができ、第2段の出力信号における雑音は、液晶ディスプレイの周波数または冷陰極の蛍光性バックライトの動作周波数から導出されるセンサの雑音未満であり得る。フロントエンド回路の閉ループ伝達関数は、安定したものであり得る。
【0010】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、マトリクス構造で列と行に配置されたトレースラインを含んでいる。この方法は、容量型タッチセンサの列をインターレースパターンで走査するステップを含む第1の走査を行なうステップを含んでおり、インターレースパターンはn個のサブフレームを含むフレームを含み、nは整数である。この方法は、第1の走査の結果として生成された情報を用いて、行から列へのキャパシタンスの変化を経験したセンサの領域を識別するステップと、キャパシタンスの変化を経験したセンサの領域の検出を用いて、第2の走査および後続の走査の的を絞るべき列のサブセットの選択を通知するステップと、第2の走査および後続の走査のために選択された列のサブセットを走査するステップとを含む。列のサブセットの走査は、第2の走査に関する信号レベルおよび雑音レベルを求めるステップと、第2の走査に関して求められた信号レベルおよび雑音レベルに基づいて信号対雑音比を求めて、キャパシタンスが変化したセンサの領域に関連づけるステップとを含むことができる。
【0011】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1の走査は、第1の走査に関する信号レベルおよび雑音レベルを求めること、および第1の走査に関して求められた信号レベルおよび雑音レベルに基づいて信号対雑音比を求めることを含むことができる。この方法は、第1の走査および第2の走査に関する信号を受信するステップと、第1の走査および第2の走査に関して受信した信号を平均することにより、第1の走査または第2の走査に関連した信号対雑音比より大きい、組み合わせた信号対雑音比を求めるステップとを含むことができる。nの値は、例えば4であり得る。フレームは約30Hzであるように構成することができ、サブフレームは約120Hzであるように構成することができ、インターレースパターンは、1フレーム当たり16列を含むことができ、1サブフレーム当たり4列を含むことができる。センサのレイテンシは約120Hzであり得る。行から列へのキャパシタンスは、フリンジキャパシタンス(fringing capacitance)を含むことができる。
【0012】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置に関係するアクションを含む方法で実施することができる。センサは、マトリクス構造で列と行に配置されたトレースラインを含んでいる。この方法は、n個(nは整数)のサブフレームを含んでいるフレームを含むインターレースパターンで容量型タッチセンサの列を走査するステップを含む第1の走査を行なうステップと、第1の走査の結果として生成された情報を用いて、行から列へのキャパシタンスの変化を経験したセンサの領域を識別するステップとを伴う。この方法は、キャパシタンスの変化を経験したセンサの領域の検出を用いて、第2の走査および後続の走査の的を絞るべき列のサブセットの選択を通知するステップと、第2の走査および後続の走査のために選択された列のサブセットを走査するステップとを含み、第1の走査が第1の測定に関連づけられ、第2の走査が第2の測定に関連づけられる。列のサブセットの走査は、第2の走査に関するターゲットの信号レベルおよび雑音レベルを求めること、ターゲットの信号対雑音比を求めること、および第2の測定と第1の測定の平均である関数を利用し、ターゲットの信号対雑音比を得るための積分期間を求めることを伴う。
【0013】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。第1の走査は、第1の走査に関する信号レベルおよび雑音レベルを求めること、および第1の走査に関して求められた信号レベルおよび雑音レベルに基づいてターゲットの信号対雑音比を求めることを含むことができる。この方法は、第1の走査および第2の走査に関する信号を受信するステップと、第1の走査および第2の走査に関して受信した信号を平均することにより、第1の走査または第2の走査に関連した信号対雑音比より大きい信号対雑音比を有する信号を求めるステップとを含むことができる。nの値は、およそ4であり得る。フレームは約30Hzであるように構成することができ、サブフレームは約120Hzであるように構成することができ、インターレースパターンは、1フレーム当たり16列を含むことができ、1サブフレーム当たり4列を含むことができる。センサのレイテンシは約120Hzであり得、列から行へのキャパシタンスはフリンジキャパシタンスを含むことができる。
【0014】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、マトリクス構造で列と行に配置されたトレースラインを含み、列はn組(nは整数)の列として配置される。この方法は、容量型タッチセンサのn組の列のそれぞれの、インターレースパターンでの第1の走査を順次に行なうステップと、第1の走査の結果として生成された情報を用いて、行から列へのキャパシタンスを含むフリンジキャパシタンスの変化を経験したセンサの領域を識別するステップと、キャパシタンスの変化を経験したセンサの領域の検出を用いて、第2の走査および後続の走査の的を絞るべきn組の列のそれぞれのサブセットの選択を通知するステップとを伴う。この方法は、第2の走査および後続の走査のために選択されたn組の列のそれぞれのサブセットを走査するステップであって、第1の走査が第1の測定に関連づけられ、第2の走査が第2の測定に関連づけられるステップを伴う。n組の列の各サブセットを走査するステップは、第2の走査に関する信号レベルおよび雑音レベルを求めるステップと、ターゲットの信号対雑音比を求めるステップと、第2の測定と第1の測定の平均である関数を利用し、ターゲットの信号対雑音比を得るための積分期間を求めるステップとを伴う。n組の列における列のそれぞれの組および対応する列のサブセットに対して、第1の走査および第2の走査は、後続の列の組および対応する列のサブセットに対する走査を始める前に行なわれる。
【0015】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。n組の列の各サブセットに関して、この方法は、積分期間において列のサブセットを走査するステップと、列のサブセットの走査の受信信号と関係する第2の測定を得るステップであって、第2の測定が、第2の測定で導出された信号対雑音比と関連するステップと、列のサブセットが、少なくとも1つの最小の信号対雑音比を有するように構成されているかどうか判断するステップと、第2の測定で導出された信号対雑音比に基づいて、第2の測定で導出された信号対雑音比が、列のサブセットに関する最小の信号対雑音比より小さいかどうか判断するステップと、第2の測定で導出された信号対雑音比が列のサブセットに関する最小の信号対雑音比より小さいと判断すると、列のサブセットの別の走査を遂行するステップと、列のサブセットの他の走査の受信信号と関係する別の測定を得て、この測定と列のサブセットの他の測定を平均して、組み合わせた測定に関連した信号対雑音比が、列のサブセットの測定のどちらかと関係する信号対雑音比より大きい特性を有する組み合わせた測定を生成するステップとの技法を含むことができる。
【0016】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、マトリクス構造で列と行に配置されたトレースラインを含み、列はn組(nは整数)の列として配置される。この方法は、容量型タッチセンサのn組の列のそれぞれの、インターレースパターンでの第1の走査を順次に行なうステップと、第1の走査の結果として生成された情報を用いて、行から列へのキャパシタンスを含むフリンジキャパシタンスの変化を経験したセンサの領域を識別するステップとを含む。この方法は、キャパシタンスの変化を経験したセンサの領域の検出を用いて、第2の走査および後続の走査の的を絞るべきn組の列のそれぞれのサブセットの選択を通知するステップと、第2の走査および後続の走査のために選択されたn組の列のそれぞれのサブセットを走査するステップとを伴う。n組の列の各サブセットを走査するステップは、第2の走査に関する信号レベルおよび雑音レベルを求めるステップと、第2の走査に関して求められた信号レベルおよび雑音レベルに基づいて信号対雑音比を求めて、キャパシタンスが変化したセンサの領域に関連づけるステップとを含むことができる。n組の列における列のそれぞれの組および対応する列のサブセットに対して、第1の走査および第2の走査は、後続の列の組および対応する列のサブセットに対する走査を始める前に行なわれる。
【0017】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。この方法は、n組の列の各サブセットに対して、積分期間において列のサブセットを走査するステップと、列のサブセットの走査と関係する信号対雑音比の測定を得るステップと、列のサブセットが少なくとも1つの最小の信号対雑音比を有するように構成されているかどうか判断するステップとを伴うことができる。この方法は、n組の列の各サブセットに対して、信号対雑音比の測定に基づいて、信号対雑音比の測定が列のサブセットに関する最小の信号対雑音比より小さいかどうか判断するステップも伴うことができる。この方法は、n組の列の各サブセットに対して、信号対雑音比の測定が列のサブセットに関する最小の信号対雑音比より小さいと判断すると、列のサブセットの別の走査を遂行するステップと、列のサブセットの他の走査と関係する信号対雑音比の別の測定を得るステップと、この測定と列のサブセットの他の測定を平均して、組み合わせた測定に関連した信号対雑音比が、列のサブセットの測定のどちらかと関係する信号対雑音比より大きい特性を有する組み合わせた測定を生成するステップとを伴うことができる。
【0018】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、液晶ディスプレイを含むシステムの中に配置されている。この方法は、容量型タッチセンサの雑音周波数を求めるステップと、雑音周波数が液晶ディスプレイの周波数の関数であると識別するステップと、センサ用の励起周波数を、求められた雑音周波数の関数として求めるステップとを含む。励起周波数を求めるこの方法は、センサ用の初期の励起周波数を選択するステップと、雑音周波数と初期の励起周波数の間の相互相関を積分期間にわたって計算するステップであって、相互相関の計算が、少なくとも1つのピークおよび少なくとも2つのゼロを有するシンク関数状の波形で表すことができるステップと、シンク関数状の波形のゼロのうちの1つにおける周波数を選択して、選択されたゼロにおける周波数と同一の周波数に決定された励起周波数を割り当てることによってセンサ用の励起周波数を選択するステップとを含む。
【0019】
これらおよび他の実施形態は、それぞれが、任意選択で以下の特徴の1つまたは複数を含むことができる。雑音周波数は、約30kHzから約135kHzの範囲内にあり得る。容量型タッチセンサは、約200Vの最大送信電圧を有することができる。容量型タッチセンサは、ユーザを通る約数十マイクロアンペア程度の電流をもたらすように構成することができる。容量型タッチセンサは、フロントエンドインターフェースを含むことができる。この方法は、容量型タッチセンサのフロントエンドインターフェースの出力端で波形を復調するステップを含むことができる。波形は、初期の励起周波数に対する雑音周波数の相互相関を伴うことができる。この方法は、センサの雑音レベルを測定するステップと、測定された雑音レベルに基づいて、センサのユーザからの接触を検出するための初期の閾値を設定するステップとを伴うことができる。この方法は、センサの雑音レベルを連続的に測定するステップと、連続的に測定された雑音レベルに基づいて、センサのユーザからの接触を検出するための閾値を連続的に調節するステップとを伴うことができる。この方法は、センサ用の直交励起波形を求めるステップであって、直交励起波形のうち少なくとも1つが、選択された励起周波数を含んでいるステップを伴うことができる。センサは、複数の直交励起波形を同時送信するように構成することができる。直交励起波形は、求められた雑音周波数に対してすべて直交するものであり得る。
【0020】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、マトリクス構造に構成されたトレースラインの行および列を備える容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、液晶ディスプレイを含むシステムの中に配置されている。この方法は、雑音周波数を識別するステップと、センサのトレースラインの少なくとも1つにわたって送信するべき励起波形を生成するステップであって、励起波形は、識別された雑音周波数に対して直交するように生成され、励起波形は、識別された雑音周波数の雑音が励起波形では除去されるように生成されるステップとを含む。励起波形の生成は、周波数領域で初期の励起波形を規定すること、および変換においてフーリエ変換を用いて初期の励起波形を周波数領域から時間領域に変換することを含む。この方法は、トレースラインの少なくとも1つにわたって励起波形を送信するステップを伴う。
【0021】
一般に、本明細書に説明される対象の別の態様は、マトリクス構造に構成されたトレースラインの行および列を有する容量型タッチセンサと関連したデータ処理装置と関係するアクションを含んでいる方法で実施することができ、センサは、液晶ディスプレイを含むシステムの中に配置されている。この方法は、雑音周波数を識別するステップと、センサのトレースラインの少なくとも1つにわたって送信するべき励起波形を生成するステップであって、励起波形は、識別された雑音周波数に対して直交するように生成され、励起波形は、識別された雑音周波数の雑音が励起波形では除去されるように生成されるステップとを含む。励起波形の生成は、初期の励起波形を選択すること、有限インパルス応答フィルタに相当するアルゴリズムを選択すること、および初期の励起波形に対して有限インパルス応答フィルタに相当するアルゴリズムを適用することにより、励起波形を生成することを伴う。この方法は、トレースラインの少なくとも1つにわたって励起波形を送信するステップを伴う。予想される波形に対して相関づけられたものとして、受信信号の強度が測定され得て、これはマトリクスのキャパシタンスに比例し得る。その測定の信号対雑音比は、積分時間の関数であり得て、より大きな信号対雑音比を達成するために、より長い積分時間を用いることができる。励起波形は、互いに直交であり、同時に送信され得て、また、他の実装形態では、励起波形は互いに直交であり、雑音に対しても直交であって、同時に送信され得る。
【0022】
本明細書に説明される対象の1つまたは複数の実施形態の詳細が、添付図面および以下の記述で説明される。対象の他の特徴および態様は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0024】
さまざまな図面の同じ参照番号および記号は、同じ要素を示す。
【0025】
タッチセンサは透明な導電性電極の配列を含むことができ、タッチセンサの電極間でキャパシタンス測定を行なうことができる。これらの電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)から作製されてよいが、銀のナノワイヤ、またはわずかに、もしくは概して不透明であるが、比較的目立たないように十分に小さい、より大規模な金属ワイヤなどの他の材料が用いられてもよい。電極は、例えばX軸と平行な行およびY軸と平行な列を有する2次元の直交格子に配置されてよい。この構造体からもたらされる全キャパシタンスは、行から列に測定すると、行が列にクロスオーバする少なくとも1つの平行板キャパシタンスと、漏れ磁場がセンサから外へ出ることができて、例えばユーザの接触と相互作用し得るフリンジキャパシタンスとを含むことができる。感知のために測定することができる1次キャパシタンスは、少なくとも行と列の間の漏れ磁場を含むことができる。例えば、m行およびn列を有するシステムでは、マトリクスの各交点で1回測定され、m×n回の測定が可能である。このタイプの測定は、「相互キャパシタンス」または「差動キャパシタンス」と称されることもある。
【0026】
センサの電極は、ユーザの指によって遮られ得て所望の信号またはターゲット信号をもたらすフリンジキャパシタンスを最大化して、一定のオフセットをもたらす可能性がある行と列の間の何らかの付加的キャパシタンス(例えば平行板キャパシタンス)を最小にするようなパターンに設計されてよい。平行板キャパシタンスは、例えば全キャパシタンスのオフセット値と見なされてもよい。マトリクスの行および列はほぼ同一平面上にあり得て、その結果、それぞれの平行板キャパシタの面積が小さい一方で分離距離も小さく、そのキャパシタンス値はかなりなものであり得る。電極のパターンは、トレースの抵抗を最小限にするために、所与のピッチに対してライン幅をできるだけ大きくとるように設計されてよく、そうしないと、大面積のセンサが採用されるとき、トレースの抵抗が重大な影響を及ぼす恐れがある。フリンジキャパシタンスは、例えば、もたらされるフリンジキャパシタンスができるだけ大きくなり得るようにパターンを設計することによって最大化することができる。
【0027】
図1は、タッチセンサ用のマトリクスの電極パターン100の一例を示す図である。このパターン100では、垂直のトレース110および関連の接続された領域は、1つの層上の導体を示し、水平のトレース120および関連の接続された領域は、別の層上の導体を示す。層110と120は互いに分離している。この実装形態では、層110と120は、互いにクロスオーバしているが、互いに接続はされていない。この構造体は平行板キャパシタンスになり、電極トレースを互いにクロスオーバするところで狭くすることにより、好ましくない平行板キャパシタンスを最小化することができ、電極トレースを他の領域で比較的広くすることにより、抵抗を最小化することができる。
【0028】
他の実装形態は、他の電極パターンを有してよい。一実装形態では、例えば、1つのパターンが、電気的マトリクスとして均一に間隔を置いた直線状のラインを有してよく、直線状のラインは、電気的マトリクスにおいて同一のフィンガピッチ(finger pitch)であって、隣接したラインが一緒に接続されてグループになり、漏れ磁場を強化するために、所与の行と列の間の周辺長を増加するように、相互嵌合パターンになっている。
【0029】
電極パターンに対して他の測定が遂行されてもよい。例えば、キャパシタンスは、各行から各列でなく、各行および列から接地に測定することができ、したがってm×n回測定するのでなくm+n回測定を行なう。
【0030】
この開示では、キャパシタンスの測定が各行から各列で行なわれる実装形態が説明される。このタイプの測定を遂行するように設計された回路があり得て、それぞれの列および行に送信器および受信器を有する。この回路の実装形態では、エネルギーが送信器から列に流れるように、列が送信電圧で励起され得て、また、エネルギーが行から受信器へ流れるように、受信器が行の電流を測定することができる。一方の軸を行として指定し、他方の軸を列として指定するのは、一般に任意のことであるが、この実装形態では、受信器には一般に行が取り付けられてよく、送信器には一般に列が取り付けられてよい。
【0031】
ユーザが容量型タッチセンサに触れるとき、少なくとも2つの異なる効果が観測される。第1に、送信器から流れるエネルギーのいくらかが、ユーザの体内に流れ込み、そのノードに対するユーザの浮遊容量を通って接地へ戻る可能性がある。この浮遊容量は、例えば、ユーザが、非導電性コーティングを介してであっても、デバイスの金属製ケースを持っている場合、またはユーザの指によって非導電性コーティングが機能しない場合に生じることがあり、というのは、センサのピッチが極めて微細になり得るので、いくつかの要素が接地されることになるマトリクスの他の要素に、ユーザの指が接近する可能性があるからである。この第1の効果により、受信器に流れる全エネルギーが低下する可能性がある。第2に、送信器から流れるエネルギーのいくらかが、ユーザの肉体を通ってユーザの指に結合されて、次いでユーザの指から受信器に流れる可能性がある。ユーザの指の比誘電率は、ほぼ塩水の比誘電率と同じであり、空気の比誘電率より大きいので、これが結合効果を高め、受信されるエネルギーが増加し得る。
【0032】
これら2つの効果は、エネルギーの流れに対して別々の応答をもたらし得る。例えば、どちらの効果が支配的かということ次第で、測定された信号とユーザの指からセンサまでの距離との間に、非単調な関係が存在する可能性がある。これが望ましくないことであり得るので、システム実現は、単調な関係を有するように、狭義増加モードまたは狭義減少モードのどちらかで動作するように設計することができる。狭義減少モードは、より高い周波数で起こり得て、より大きなSNRのために、所与の積分期間でより多くの全電荷を伝達することが可能になるので、いくつかの実装形態では好ましいことがあり、また、狭義減少モードは、センサとユーザの指の間のより大きな分離をもたらし得て、センサのカバー用のガラスをより厚くすることができる。しかし、他のいくつかの実装形態は、狭義増加モードを用いてよい。
【0033】
いくつかの実装形態では、送信波形は、例えば約100kHzの周波数を有することができる。結合が容量型であるため、電流は、所与の励磁電圧に対して周波数とともに増加し得るので、送信波形のエネルギーが主としてより低い周波数に集中していると、エネルギーがユーザに効果的に結合され得ない。エネルギーが主としてより高い周波数に集中していると、センサの内部の行または列の伝搬特性により、エネルギーが減衰する可能性がある。いくつかの実装形態では、伝搬特性は、均一のRCラインフィルタまたはローパスフィルタとしてモデル化されてよい。送信波形は、例えば、非変調搬送波の少サイクル数を含んでいることがある。この波形が狭帯域であり得るので、例えば雑音状の波形で搬送波を変調することにより、信号の帯域幅をわずかに増加するのが有効であり得る。この技法には、狭帯域雑音に対するシステムの耐性を向上し、システムが狭帯域雑音を放出する傾向を低下する効果があり得る。
【0034】
受信器は、所与の時間間隔中に受信したエネルギーの量を測定するように構成することができる。この受信器に関する一実装形態は、「ピーク検出器」としての実装形態を伴っており、これは、所与の期間にわたって受信した最大電流を測定することができる広帯域の受信器回路を指す。送信器からの信号しか存在しなければ、最大電流は、送信器から受信した信号の振幅に比例し得る。受信器の他の実装形態は、意図された信号を雑音から区別しながら電流を測定するように構成されてよい。
【0035】
センサのいくつかの実装形態では、システムの性能が、実際にはそのSNRによって制限されることがある。例えば、センサ上の接触位置が補間されるとき、測定されたキャパシタンス上の雑音が、報告された(x,y)位置上の雑音に直接対応付けられる可能性がある。極端な場合には、例えば、雑音自体が虚偽の接触を生成するのに寄与することさえある。センサの雑音に関するいくつかのソースがあり得る。例えば、顕著なソースの1つは、液晶ディスプレイ(LCD)であり得る。例えばタッチセンサがタッチスクリーンの頂部に構築される場合、LCDからの雑音が存在して、タッチセンサに結合することがある。他の顕著な雑音源は、近くのラジオ放送局(例えば振幅変調(AM)ラジオ)、および、所望の信号またはターゲット信号から周波数で都合よく分離されているが、非常に大きな振幅を有する電源からの50Hzまたは60Hzの結合を含むことがある。
【0036】
他の受信器の実装形態では、受信器の構成は、送信信号と関連した受信信号の成分のみを探すように構成することができる。これらの受信器実装形態については、入来電流r(t)および予想される電流e(t)に対して、受信器は、r(t)×e(t)の積分期間にわたる積分を計算することができる。
【0037】
いくつかの実装形態では、ピーク検出器または他のいくつかの広帯域検出器の前に線形フィルタを設置することにより、この相関を近似することが可能になり得る。これらの実装形態のうちのいくつかでは、より狭いフィルタはより長い整定時間を必要とする可能性があり、このことがシステムのフレームレートに影響を与える可能性がある。一定の間隔にわたる相関も、より狭い帯域幅を達成するのに、より長い時間を必要とする可能性がある。しかし、フィルタを用いると、一般に、利用可能な積分時間のいくらかの割合が、直前の測定の後にフィルタが整定するのを待つ間は使用されず、一定の間隔にわたる相関では、測定の間に積分器をリセットすることができる。これにより、利用可能な積分時間を完全に利用することができる。
【0038】
積分の計算は、さまざまな実装形態を有することができる。例えば、いくつかの実装形態は、シグマデルタ式アナログデジタル変換器(SD−ADC)を含むことができ、その制御ループは、行を定電圧に保つように、十分な電荷を注入してよい。その電荷を測定することにより、SD−ADCは電流をデジタル値に直接変換することができ、必要に応じて行を低インピーダンスに保つことができる。SD−ADCがスイッチ、キャパシタおよびデジタル論理を用いるので、SD−ADCの実装形態は、一般的なCMOSプロセス上の集積化に適用可能である。
【0039】
積分期間を計算するための他の実装形態は、より簡単なスイッチドキャパシタ回路を用いるものでよい。例えば、このようなスイッチドキャパシタ回路の1つは、RCローパスフィルタを効果的に構築することにより作製され得て、Cは真のキャパシタのキャパシタンスであり、Rはl/(f×Cut)の値を有するスイッチドキャパシタ抵抗(switched-capacitor resistor)の抵抗であり、Cutはテスト中のキャパシタであり、fはスイッチング周波数である。例えば、ステップ状の入力を与えて特定の電圧閾値に到達する時間を測定することによってそのフィルタの時定数を測定することにより、または、ステップ状の入力を与えて一定時間で整定させ、その時間が経過した後にステップ状入力の電圧を測定することにより、Cutを測定することができる。スイッチドキャパシタの電流が積分キャパシタを充電する一方で定電流が積分キャパシタを放電させる、スイッチドキャパシタ回路の他の類似の実装形態は、積分キャパシタを定電圧に保つ制御ループを伴う。
【0040】
本明細書の説明は、実装形態と、(1)送信波形をセンサの受信器における信号と相関を取るためにデジタル信号処理を用いる容量型タッチセンサを伴う技法と、(2)送信器および受信器を有する容量型タッチセンサ方式マトリクスに関する技法であって、送信器が直交波形を送出して、各受信器が、それぞれの送信波形に対して別々に相関を取る技法と、(3)選択的な走査により、容量型タッチセンサの信号対雑音比を局所的に改善するための技法と、(4)容量型タッチセンサ向けの送信波形の雑音排除性をもたらすための技法と、(5)容量型タッチセンサ式システム用のアナログフロントエンド回路を設計するための技法とによって規定される。
【0041】
受信器の内部の相関
本明細書では、送信波形とセンサの受信器における信号との相関を取るのにデジタル信号処理を用いる容量型タッチセンサを伴ういくつかの技法および実装形態が説明される。一実装形態では、例えば、センサシステムのアナログフロントエンド回路からの出力電圧VD0は、アナログデジタル変換器(ADC)を使用してサンプリングすることができる。次いで、その離散時間型信号の送信波形に対する相関は、VD0[k]×E[k]の積分期間にわたる合計としてデジタル的に計算することができ、この式で、E[k]は予想される受信信号である。この合計は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用し、E[k]を0、−1、または+1と選択することにより計算することができ、ここで、相関は、加算器および/または減算器によって計算されてよい。この実装形態では、導入される誤差を比較的小さくすることができ、デジタル論理で効率的に実施することができる。
【0042】
相関を遂行するために、予想される信号E[k]を求めることができる。いくつかの実装形態では、受信信号が送信信号とほぼ同一であり得て、その結果、送信されている信号に対して相関を取るのに、この受信信号を用いることができる。実際には、これらの実装形態は、少なくとも、遅延、減衰および/または位相シフトをもたらす可能性があるセンサマトリクスの特性のために、正確なE[k]をもたらさない可能性がある。例えば、センサマトリクスは、透明な導電材料からパターニングされ得る長い行および列から作製されることがある。これらの材料は、比較的大きな電気抵抗を有する可能性がある。例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)から作製されたトレースラインは、約50オーム/スクエアのシート抵抗に相当する許容最大厚さを有することができる。ユニットセルは例えば3スクエアまたは4スクエアであり得て、一般的なパターンピッチは例えば約5mmであり得る。1000mmのディスプレイに一般に用いられることになる500mmのトレースは、例えば、約100個のセル、または400スクエア、または約20キロオームの抵抗を有してよい。ITOのコーティングがより厚いと、その抵抗が減少するほかに光学的損失およびヘーズ(haze)が増加する。ITOの一般的なコーティングは、30オーム/スクエアでは、いくつかの実装形態向けには表面的に許容できない可能性がある。携帯電話および他の携帯機器上のものなどのより小さなスクリーンには、例えばシート抵抗が数百オーム/スクエアといった、より薄いコーティングを用いることができ、このようなスクリーンのラインは非常に短く、全抵抗はそれほど大きくない。
【0043】
センサは、少なくとも各行から各列と、各行または各列から接地平面(例えばLCDの交流接地された金属)とに、いくらかのキャパシタンスも有することができる。値を推定するための手法の1つでは、セルは、例えばおよそ5×5/2〜10mm2の領域を有してよく、約3の比誘電率を有する材料によって接地平面から0.5mmだけ分離されていると、約1pFの全キャパシタンスを有し得る。平行板のキャパシタンスC=ε×A/dは、約1pFよりいくぶん小さい可能性があるが、漏れ磁場が、キャパシタンスにかなり寄与し得る。これらの抵抗およびキャパシタンスのそれぞれを、ひとかたまりになった要素であると仮定すると、80kHzの周波数で−3dBに相当する積τ=RCは約2μsであり得る。
【0044】
実際には、抵抗およびキャパシタンスは、どちらも分散する傾向があり、トレースラインに沿ってほぼ均一に分散してもよい。例えば、キャパシタンス(または抵抗)は、セルの上では不均一であっても、1個のセル当たりでは比較的一定であり得て、また、セルは、ラインの全長と比較して小さくなり得て、その結果、キャパシタンスは、ラインの全長にわたってほぼ均一であり得る。したがって、値を推定するための別の手法では、センサ用の回路は、無視できるほどのインダクタンスLおよびシャントコンダクタンスGならびに所与のRおよびCを有する伝送路として解析することができる。解析の手法にかかわらず、ライン上の信号は、送信信号と比較して、減衰する(すなわち振幅がより小さくなる)傾向および遅延する(または同様な意味合いで位相シフトされる)傾向がある。受信器がこれらの効果を補償するように構成され得る実装形態が説明される。
【0045】
いくつかの実装形態では、予想される波形E[k]に対して、予想される位相シフト(または遅延)を適用して、遅延したバージョンの信号に対して相関を取ることによって補償を遂行することができる。正確な遅延は、マトリクスのすべての交点に対して異なる可能性があるが、センサの長い方の寸法のみに沿って位相を調節し、短い方の寸法の影響は無視すること(例えば、一般的な横長フォーマットの16:9のディスプレイに関して、位相を行のみに沿って調節すること)によって導入された誤差は、無視されてよい。正確な位相シフトは、例えば、複数の位相シフトに対して相関を測定し、この相関が増加して最大になる位相シフトを選択することにより、実験的に求められてよい。正確な位相シフトは、送信信号の同相バージョンおよび直角位相バージョン(例えば90度シフトされたもの)の両方に対して相関を取り、次いで、それらの相関から正確な位相シフトφ=atan(corr_q,corr_i)を計算することにより実験的に求められてもよい。いくつかの実装形態では、予想される位相シフトは、センサの既知の抵抗およびキャパシタンスを用いて計算されてよく、または少数の実験的に測定された位相シフトの間で補間されてもよい。
【0046】
図2は、抵抗−キャパシタ(RC)のラインフィルタからの減衰および位相シフトの効果に関する一例を示す図である。この図は、時間に対する電圧レベルに基づくいくつかの信号のグラフを示しており、1個のセルが2pFのシャントキャパシタンスおよび150オームの直列抵抗(例えば、センサが50オーム/スクエアのITOのコーティングを用いる場合、これは一般的であり得る)を付加し、100kHzで励起するモデル235に基づくものである。
図2に示されるように、元の送信信号205が10個のセルのライン長にわたってセンサを横切って送られるとき、受信信号210は、遅延/位相シフトされ、元の送信信号205より小さな振幅を有する。元の送信信号205が、100個のセルのライン長にわたってセンサを横切って送られると、受信信号230は、遅延され/位相シフトされ220、元の送信信号205および受信信号210より大きな減衰215および小さな振幅を有する。元の送信信号205が、300個のセルのライン長にわたってセンサを横切って送られると、受信信号225は、遅延/位相シフトされ、元の送信信号205、受信信号210および受信信号230より大きな減衰および小さな振幅を有する。
【0047】
送信波形が単一周波数でエネルギーを含んでいる場合、RCラインの効果は、減衰および位相シフトとして説明されてよい。波形がより複雑な場合、例えば、信号の帯域幅を増加し、システムの電磁環境適合性(EMC)を改善するために雑音状の符号が用いられる場合には、信号の様々な周波数成分は別々に変換することができ、信号に対して適用される変換は、より複雑になり得る。この変換は、モデル化され、または実験的に測定され、予想される波形に適用することもできる。例えば、この変換は、特定の周波数、線形フィルタリング、またはそれらの任意の組合せで、位相シフト(例えば遅延)および減衰を有するようにモデル化することができる。この変換は、予想される相関信号に関する正弦波形または予想される相関信号に関する非正弦波形に適用することができる。相関信号は、アナログ領域またはデジタル領域にあってよい。
【0048】
いくつかの実装形態では、システムは、その受信器の中で位相同期復調を遂行するという理由だけで、RCラインに沿った遅延に感応し得る。非コヒーレントな受信器(例えばピーク検出器、信号の同相バージョンおよび直角位相バージョンの両方に対する相関ならびに返されたsqrt(corr_q2+corr_i2)、またはその関数の何らかの近似を計算したシステム)は、この補正を必要としなくてよい。しかし、雑音がランダムな位相であると想定して、受信した雑音電力を1/2に弱めるためにコヒーレントな復調を用いることができる。コヒーレントな復調は、SNRを改善するのを支援することができる。
【0049】
いくつかの実装形態では、センサが2つだけのエッジ(例えば1つのエッジが行用で、1つのエッジが列用)から駆動される場合、R×Cの積は、ラインの単位長さ当りの抵抗およびキャパシタンスと、ラインの実際の長さとによって求めることができ、最悪のケースは、接触から最も遠い各トレースの終端であり得て、全抵抗がRとして定義され、全キャパシタンスがCとしてそれぞれ定義され得る。他の実装形態では、センサは4つのエッジのすべてから駆動され得て、RC時定数は、センサが2つのエッジだけから駆動される場合から低減され得る。これらの実装形態に関する最悪の場合の全抵抗は、例えば、いずれかのエッジにおいてではなく、ラインの中心で生じる可能性がある。そのポイントは、全長の半分の2つのライン、すなわちR/2の値の2つの並列抵抗、すなわち(R/2)/2=R/4によって駆動され得る。これらの実装形態については、キャパシタンスは不変でよい。このため、一端のみからでなく両端からラインを駆動することにより、時定数を1/4に減少することができ、ラインの遮断周波数が4倍増加し得る。
【0050】
一実装形態では、4の係数を生成するためのこの構成は、トレースの2つの終端を導電性(例えば銅)の電線で接続して、そのトレースをセンサのまわりの全域にわたってルーティングすることによって達成することができる。
【0051】
図3は、マトリクスのラインにわたって電圧を駆動するための対応する制御論理を有する送信器を含む回路300の一例を示す図である。回路300は、ライン320のどちらかの終端の同じ回路の同一のコピーと、それらを同一の波形で駆動するための制御論理とを含む。D型フリップフロップが、シフトレジスタ350などのシフトレジスタに配置される。この回路は、1列当たり1つの出力を有する長い高電圧シフトレジスタをそれぞれ有する送信器と、それぞれのITOのライン320を駆動するための高電圧(HV)駆動回路330とを含む。個別のシフトレジスタ350がマトリクスのそれぞれの側に接続され、2つのシフトレジスタチェーンには同一の論理入力340、345が備わっており、その結果、それらの出力はロックステップ(lock step)を辿る。
【0052】
図3では、この回路は対称であり、トレースラインは、任意選択で中央360で分割され得る。対称性により、これらの回路は両側で同一であり、分割の両側で電圧が等しく、そのポイントが分割されているかどうかにかかわらず電流は流れないはずである。トレースが接続されたままであれば、例えば、駆動回路のエラーによって電流が流れて、2つの終端は反対の電圧に駆動されるはずである。しかし、駆動回路のこのエラーは恐らく起こらないはずであり、トレースラインの抵抗を十分に大きくできるので、その結果、いかなる場合にも電流を安全な値に制限することができる。トレースラインが分割されていて、トレースに沿ってどこかに開回路の不良が生じると、トレースラインの一部分が死ぬことになる。トレースラインが接続されたままであると、単一の開回路不良でさえ、トレースラインの全長が接続されたままになるはずであるが、欠陥が生じた場所次第で、ラインの一方が他方より非常に長く(また全長の半分より長く)なる可能性がある。実際には、ラインを分割するべきかどうかという判断は、このタイプの対称の実装形態については任意であり得る。
【0053】
実装形態は、各交差について様々な波形(例えば様々な位相)に対して相関を取るために、RCラインを下ることで予想される遅延に従って用いることもできる。いくつかの実装形態は、複数の波形に対して同時に相関を取ることができる。
【0054】
図4は、マトリクスのラインにわたって電圧を駆動し、電流を感知するための、送信器および受信器を含む回路の一例を示す図である。
図4は、回路400に関して、列および行の両方向で対称の設計を示す。回路400は、各行407に少なくとも1つの送信器403を有し、各列409に少なくとも1つの受信器405を有する。具体的には、回路400は、各行407に2つの送信器403、413を有し、各ライン409または429に少なくとも1つの受信器405または419を有する。回路400の上半分では、送信器410からの電流は、上側の受信器によってのみ受信され得る。回路400の下半分では、送信器420からの電流は、下側のトランジスタによってのみ受信され得る。
【0055】
受信器側では、トレースラインは中央で分割されており、受信器のそれぞれの半分における出力は別個に処理することができる。この実装形態は、2つの送信器の列が分割された両側にある限り、それらが別々の受信器の組によって扱われることになるので、2つの送信器を同時に励起することが可能である。結果として、すべての列を、分割に非常に近いものを除いて2倍の速度で走査することができる。この実装形態は、同一の積分時間を与えられてフレームレートを2倍にする、または同一のフレームレートを与えられて積分時間を2倍にすることもできる。
【0056】
図5は、タッチセンサの表面に沿ったマトリクスの全域で各位置510に関して測定されたキャパシタンス520の3次元(3D)メッシュグラフ500の一例を示す図である。3Dメッシュグラフ500において、Z軸は測定された基線キャパシタンスを表し、X軸およびY軸は、タッチセンサの面に沿ったマトリクスの位置を表す。受信信号の強度がグラフ500のすべての交点に対して相関づけられているとき、受信信号の強度はマトリクスの長いラインに沿って低下する。グラフ500は、例えば、RCトレースラインの減衰のために、位置に対する受信信号の強度530が指数関数的に低下することを示す。グラフ500は、測定されたキャパシタンスの変動を含んでおり、これは雑音または組立体の何らかの他の機械的変形によるものである可能性がある。
【0057】
符号分割された送信波形(時分割された送信波形に対して)
送信器および受信器を有する容量型タッチセンサ方式のマトリクスに関する技法および実装形態が説明され、送信器は、直交波形を送出することができ、各受信器は、各送信波形に対して別々に相関を取ることができる。
【0058】
いくつかの実装形態では、予想される波形に対して相関づけられたものとして、受信信号の強度が測定され、これはマトリクスのキャパシタンスに比例する。その測定の信号対雑音比は、積分時間の関数であり得て、より大きな信号対雑音比を達成するために、より長い積分時間を用いることができる。いくつかの実装形態では、励起波形は互いに直交であり、同時に送信され得て、また、他の実装形態では、励起波形は互いに直交であり、雑音に対しても直交であって、同時に送信され得る。
【0059】
いくつかの実装形態では、容量型タッチセンサの信号対雑音比を改善する方法は、積分時間を増加することである。積分時間に対して、受信信号のエネルギーは直線的に増加し得るが、ランダム雑音に起因する受信エネルギーは平方根としてしか増加しない。システムのフレームレートも積分時間に応じて定められるので、これはフレームレートとSNRの間のトレードオフであり得る。他の実装形態は、時分割の代わりに符号分割を用いて、複数の送信器を同時にアクティブにすることができるようにされ得る。
【0060】
図6Aおよび
図6Bは、送信器の波形の実例を示す図である。
図6Aは時分割多重化を伴う励起による波形を有し、
図6Bは符号分割多重化を伴う励起による波形を有する。例えば、
図6Aは、送信器が互いに時分割された(例えば時分割多重化)波形620を有する送信器625、630、635、640を示す。例えば、送信器630は波形系列[0、0、1、−1、0、0、0、0]を有し、ここで、電圧対時間のグラフ615は、デジタル値1が0Vを上回る電圧を表すことを示し、デジタル値−1は、0V未満の電圧を有し、デジタル値0は0Vを表す。送信器625は波形系列[1、−1、0、0、0、0、0、0]を有し、送信器635は波形系列[0、0、0、0、1、−1、0、0]を有し、送信器640は波形系列[0、0、0、0、0、0、1、−1]を有する。この実装形態については、常に、これらの波形のうちの1つだけが非ゼロであり、これらは直交する。
【0061】
図6Bは、互いに対して直交する波形670を有する送信器675、680、685、690を示すが、あらゆる所与の時間で、複数の送信器が非ゼロ電圧を送信してよい(例えば符号分割多重化)。例えば、送信器690は波形系列[1、−1、−1、1、−1、1、1、−1]を有し、ここで、電圧対時間のグラフ665は、デジタル値1が0Vを上回る電圧を表すことを示し、デジタル値−1は、0V未満の電圧を有し、デジタル値0は0Vを表す。送信器675は波形系列[1、−1、1、−1、1、−1、1、−1]を有し、送信器680は波形系列[−1、1、1、−1、−1、1、1、−1]を有し、送信器685は波形系列[−1、1、−1、1、1、−1、1、−1]を有する。
図6Bにはマンチェスター符号化されたアダマール系列が示されているが、系列はこのタイプの系列に限定されるわけではない。一般に、任意の直交系列が用いられてよい。いくつかの実装形態では、例えば、信号の帯域幅を狭くするために2サイクル以上の搬送波を変調するように直交系列を用いることができる。
【0062】
図6Bに類似の実装形態では、各送信器が直交波形を送出し、各受信器が、1つだけの相関を遂行するのでなく、それぞれの送信波形に対して別々に相関を取る。直交波形は、一般に任意数の実装形態で生成されてよい。例えば、(ほとんどの)直交する雑音状の符号は、最大長さのシフトレジスタ系列の連続した循環シフトを得ることによって生成されてよい。いくつかの実装形態は、符号分割多重アクセス(CDMA)に用いられ得る符号のクラスを伴ってよく、または、直交周波数分割多重(OFDM)のように、直交純音(例えば単一の一定周波数の非変調搬送波)が、高速フーリエ変換(FFT)を用いて効率的に生成され、復調されてもよい。
【0063】
複数の列に対して同時に送信する主な理由の1つは、全体の送信エネルギーを増加させ、したがって雑音をそのままに信号レベルを増加することにより、SNRを改善することである。それほど重要でない別の理由は、狭帯域の付加的雑音が存在する状態で用いられ得る広帯域の符号ワードを利用することである。
【0064】
これらの符号は全期間にわたって直交である(すなわちcode_l(t)×code_2(t)の0からTまでの積分が0になる)が、これらは、必ずしも、より短い期間にわたって直交ではない(すなわち、いくらかのより短い時間わたるその積分は必ずしもゼロではない)。このことは、積分期間中のユーザの非常に短時間の接触または指の運動が、他の符号に対して擬似相関をもたらすことがあり、事実上システムの雑音レベルが上昇することを意味し得る。積分時間が増加するとき、および同時の符号の数が増加するとき、この影響はより顕著になり得る。このことが、積分時間を事実上制限し得て、許容できる同時の符号の数を制限し得る。
【0065】
したがって、説明された送信技法の実装形態を部分的に適用することができる。いくつかの実装形態では、1度に1列のみに送信する(例えば従来の時分割だけのシステム)のでなく、少数の列に対して同時に送信する、またはすべての列に対して同時に送信する(例えば単純なCDMAシステム)ことができる。例えば、マトリクスに90列が存在すると、それらの列を対で駆動することができて、フレームを45の積分時間に分割することができる。別の実例では、列を3重に(例えば1度に3列)駆動することができて、フレームを30の積分時間に分割することができる。少数の列だけに対して同時に送信することにより、積分期間は、その期間を通じてユーザの指がほぼ静止していて擬似相関が生じないように、十分短く保たれる。
【0066】
この技法向けに時分割された波形は、波形の全期間にわたって直交であるばかりでなく、例えば任意の間隔について直交であり得る。これは、ユーザの指がセンサの対応する位置にある時間またはその位置のまわりにある時間の合計に従って各受信波形に重みを加えるだけで、予想されるとおりに、測定中のユーザの指の運動が作用し得ることを意味することができる。
【0067】
直交励起波形を求めるためのいくつかの実装形態は、変調のための第1の周波数を選択するステップと、第1の周波数の近くで疑似雑音系列を生成するステップと、疑似雑音系列用のキャリア信号を生成するステップと、疑似雑音系列を用いて、第1の周波数の近くでキャリア信号の複数のサイクルを変調するステップとを伴うことができる。例えば、第1の周波数は、一般に100kHzの近くであり得て、キャリア信号の数は10未満である。センサの外部ソースからの電気雑音が既知の周波数(例えばLCDの水平リフレッシュ周波数、または冷陰極の蛍光性バックライトの動作周波数)の狭い範囲に存在する場合、すべての励起波形が、それらの雑音周波数に対して直交するように設計され得る。いくつかの実装形態では、何らかの雑音周波数に対する直交波形の生成は、少なくとも変調周波数および基本疑似雑音符号の両方に左右される可能性がある。
【0068】
いくつかの実装形態では、センサの外部ソースからの電気雑音が狭い周波数範囲に存在するものの、正確な周波数は未知である場合には、それらの周波数を測定してよく、励起波形は、測定された雑音源に直交するようにランタイムで適応して選択されてよい。雑音の周波数は、例えば、送信器の大部分またはすべてを一定の出力電圧に保ち、受信器の入来信号のスペクトルを測定することによって求められてよい。この測定は、例えば未知の周波数が変化するものと予想されるレートに相当する間隔で繰り返してよく、または連続的に実行して、未知の周波数が変化するものと予想されるレートに相当する時定数を用いて平均化してよい。
【0069】
信号対雑音の局所的改善
選択的な走査により、容量型タッチセンサの信号対雑音比を局所的に改善するための技法および実装形態が説明される。
【0070】
いくつかの用途では、ユーザがセンサに触れているときを知るだけでなく、ユーザがセンサに触れようとしているとき(例えばユーザの指がセンサから数ミリメートルにあるが、触れてはいないとき)も知ることが有用であり得る。この条件を検出する能力を有することは、「浮遊」条件と称されることがある。
【0071】
標準的な差動キャパシタンスだけを用いて「浮遊」を測定するための技法が説明される。例えば、この技法は、対象の接触動作に対する適切なフレームレート(例えば約120Hz)を維持し、出力の相関を時間に関して平均化して、「浮遊」条件に関するより低い速度およびより低い雑音信号を生成することによる「浮遊」の測定を伴うことができる。技法は、カーネルを有する各フレームの画像を予想される応答のサイズと畳み込み積分することにより、空間的に平均化することを含むことができる。例えば、ユーザがマトリクスに触れているとき、ユーザは、例えば直径約10mmのスポットを生成することができる。ユーザがマトリクスから指を移動するとき、そのスポットの強度は低下し得るが、スポットの直径は増加し得る。このため、空間分解能の低下は、この実例については許容することができる。
【0072】
追加積分時間のための特定の送信要素を選択することにより、雑音性能を改善する他の技法があり得る。例えば、(3,5)および(8,2)のセンサ要素が、浮遊状態を検出するための閾値条件(例えば浮遊閾値)を上回っていることを判断するためのマトリクスの最初の走査があり得るが、浮遊閾値は、雑音レベルに非常に近い可能性があり、間違った動作を起こす恐れがある。間違った動作を起こさないようにするために、列5および列2を追加の期間にわたって走査することができ、それらの結果は、それらの候補に関する信号対雑音を改善するために、元のデータと平均化することができる。改善された測定値が依然として浮遊閾値を上回る場合は、測定値を報告することができ、そうでなければその測定値は棄却することができる。所与の時間に触れられる、または浮上するのが列のごく一部分だけである限り、フレームレートが著しく劣化することはないはずである。受信器の数が行数より少ない他のいくつかの実装形態では、受信器は、行を選択することによって時分割多重化されてもよい。
【0073】
例えばスクリーンのサイズが大きすぎて、完全な走査では許容できるSNRおよびフレームレートでデータを返すことができないという状況に対して、単に接触に関するのみであっても他の技法を用いることができる。例えば、全体のスクリーンを短い積分時間で走査し、次いで、初期の走査によって接触があったとされる列のみを再走査することが可能であろう。例えば、直前のフレームで接触があった列を長い積分時間で走査し、マトリクスの残りをより短い積分時間で走査する、または(例えばインターレースパターンで)1フレーム当たりの走査を1回未満にすることも可能であろう。これらの手法から、初期の接触ではレイテンシがわずかに増加するが、後続のフレームについてはレイテンシが減少し得る。
【0074】
図7Aおよび
図7Bは、フレームおよびサブフレームに関するタイミング図の実例を示す図である。
図7Aおよび
図7Bは、全体のセンサの走査をインターレースパターン(例えば、フルフレームを約30Hzで走査し、サブフレームを約120Hzで走査する、といった1:4のインターレース)で遂行し、1つ前のフレームに接触のあった列(120Hzのシステムのレイテンシに関して、ユーザが以前それに触れたことがある)をフルスピードで走査することを含む選択的走査により、SNRを局所的に改善する技法を示す。
【0075】
図7Aは、サブフレーム周波数が120Hzの4つのサブフレーム720、725、730、735を有するフレーム715に対する30Hzの走査周波数での走査の一例を示す図である。
図7Aは、1サブフレーム当たり4つの列があり、1フレーム当たり4つのサブフレームがあって、1フレーム当たり16の列があることを示す。
図7Aの走査は、接触のないインターレースパターンを示す。
【0076】
図7Bは、サブフレーム周波数が120Hzの4つのサブフレーム770、775、780、785を有するフレーム765に対する30Hzの走査周波数での走査の一例を示す図である。
図7Bは、1サブフレーム当たり4つの列があり、1フレーム当たり4つのサブフレームがあって、1フレーム当たり16の列があることを示す。
図7Bの走査は、列4で接触があるインターレースパターンを示しており、ここで列3、4および5は、レイテンシを向上するために常に走査される。いくつかの実装形態では、システムのレイテンシは、一旦ユーザが触れた場合には約120Hzでよい。
【0077】
図8Aは、センサのフルフレームを走査する方法810の一例の流れ図を示す。
図8Aは4:1でインターレースされる方法810を示しており、選択性の列の第1の組が走査され、現行の接触のリスト(currently touched list)から列が走査され、選択性の列の第2の組が走査され、現行の接触のリストから他の列が走査される。この方法は、列0、4、8、...を走査するステップ(805)と、「現行の接触の」リストから列を走査するステップ(810)とを伴う。次に、列1、5、9、...が走査され(815)、「現行の接触の」リストから列が走査され(820)、次いで、列2、6、10、...が走査され(825)、「現行の接触の」リストから列が走査され(830)、次いで、列3、6、11、...が走査され(835)、「現行の接触の」リストから列が走査される(840)。この方法810では、選択性の列の第1の組は、列0から列nを含み、nは整数であり、選択された列は、列0と列nの間の4列目ごとの1列を含み、選択性の列の第2の組は列0から列nを含み、選択された列は、列1と列nの間の4列目ごとの1列を含み、選択性の列の第3の組は列0から列nを含み、選択された列は、列2と列nの間の4列目ごとの1列を含み、選択性の列の第4の組は列0から列nを含み、選択された列は、列3と列nの間の4列目ごとの1列を含む。
【0078】
図8Bは、センサの単一の列を走査する方法850の一例を示す流れ図である。方法810は、アクティブな列のすべての行を同時に走査するステップ(855)と、この列に関して「現行の接触の」ビットをクリアするステップ(860)と、次いで、この列の各行に対して読取りおよび測定を数回繰り返すステップを伴い得る別の方法880を(順次にまたは並行して)遂行するステップとを伴う。読取りおよび測定は、行iに関する測定値を読み出すステップ(865)と、この測定値が基線未満であるとき、その列に関する「現行の接触の」ビットを設定するステップ(870)との方法880を伴う。
図8Aおよび
図8Bにおけるさまざまな走査された列は、複数の走査およびそれらの走査で受信した信号の平均を有し得る。組み合わせたSNRは、単一走査のSNRより大きくなり得る。
【0079】
雑音排除性のための送信波形の設計
容量型タッチセンサ方式マトリクス向けの送信波形の雑音排除性をもたらす技法および実装形態が説明される。
【0080】
タッチセンサがLCDの頂部で使用されるおよび/または実施されると、LCDの動作から雑音の主要なソースが導出される可能性が高くなる。例えば、LCDは、約1000×1000個のピクセルを有することができ、約100フレーム/秒で動作することができ、したがって約(100フレーム/秒)×(1000ライン/フレーム)=100,000ライン/秒、すなわち100kHzのライン走査周波数を有することができる。これは、フラットスクリーンテレビおよび大きなモニタなどの大きなディスプレイに関して、かなり注目に値し得る。これは、容量型タッチセンサの励起周波数に近いものであり得て、したがって帯域内「雑音」と見なされてよい。これらの実装形態のいくつかでは、励起波形が、積分期間にわたって、「雑音」の主要なソースである信号を含んでいるLCDのライン走査周波数に対して直交するように、励起周波数を選択することができる。
【0081】
いくつかの実装形態では、送信波形が非変調搬送波であると、周波数対は、直交周波数偏移変調(OFSK)用の周波数対を選択するのに用いられるのと同一または類似の処理を用いて選択することができる。例えば、周波数fおよび2fは、それらの相対的位相にかかわらず周期1/fにわたって直交であり得る。LCDのライン走査周波数が100kHzであると、マトリクスの走査は50kHzまたは200kHzのいずれかで行なうことができ、積分期間は20μsまたは10μsのいずれかの倍数として選択することができる。そのとき、ライン走査周波数の近くの雑音は完全に除去されることになる。より複雑な波形が、周波数領域で設計され、次いでフーリエ変換される、または特定の周波数応答を目的として有限インパルス応答(FIR)フィルタ係数を選択するときと同一のアルゴリズムを用いて設計され得る。デジタル領域で相関関係が生じるので、デジタル信号が、行に流れ込むアナログ電流のほぼ正確な表現である場合に限って、これは雑音を除去し得る。例えばADCが飽和すると、これが当てはまらずに、すべての雑音が除去されない可能性がある。ADCの飽和に対処するために、ADCまでの利得は、予想される最大または最高の雑音レベルおよび最大または最高の信号レベルに対してコンバータが飽和しないように選択することができる。
【0082】
他のいくつかの実装形態は、雑音周波数を除去するために受信経路にノッチフィルタを設置することを伴ってよい。これは雑音を除去することができるが、励起波形がやはりノッチフィルタの周波数の近くにエネルギーを有する場合には、送信信号のその成分が受信器によって除去される恐れがある。これは、信号のその成分を送信するために用いられるエネルギーが利用されなかったことを意味し得る。いくつかの代替実装形態は、特に雑音周波数における成分を有しないように送信信号を設計してよく、これによって、システムは、雑音を除去する一方で、その送信された電力を十分に利用することができる。
【0083】
この手法に関して、雑音周波数が前もって分かっていると有益であり得て、一般にLCDの場合はこれにあたる。例えば、LCDは、入力信号のタイミングとは無関係に一定のピクセルクロックおよび一定のタイミングで動作することができ、その内部タイムベースの範囲内で動作するために入力信号を再サンプリングすることができる。しかし何らかの理由で雑音周波数が前もって分かっていない場合、または環境からの他のいくつかの狭帯域雑音源を除去することが必要になった場合には、この実装形態は、受信器で測定された雑音のスペクトルに従って、送信波形を適応して選択することを伴ってよい。いくつかの実装形態では、接触を検出するための閾値は、受信される雑音の大きさに従って、周囲の雑音が大きければ、接触を検出するための閾値を増加して、虚偽の接触を引き起こす可能性を低減することができるように適応して選択することができる。
【0084】
図9は、復調が遂行される前の、システムのアナログフロントエンドの出力における雑音の一例を示す図である。
図900は、電圧雑音対時間の電圧波形915の一例を含む。電圧波形915は、ランダム雑音ソースに対応する確率的な成分920と、LCDの水平のリフレッシュ周波数に対応する決定論的な成分930との少なくとも2つの付加的な成分を含んでいる。
図900は、シミュレートされた実例から得られた雑音を伴っている。
【0085】
図10は、励起波形を適切に選択して復調が遂行された後の雑音の一例を示す図である。
図1000は、受信された雑音対時間の波形1015を示す。波形1015のY軸は、ここではADC出力の相対値(すなわちSNR)が考慮されるので、ADC出力に従う任意の単位であり得る。雑音には決定論的な組成は見当たらず、確率的な成分1010のみから成るように見える。雑音の大きさは小さい(例えば約4カウントの2乗平均平方根(RMS))。
図1000は、測定されたデータの一例から得られた雑音を伴っている。
【0086】
図11は、励起波形の選択が不良な状況で復調が遂行された後の雑音の一例を示す図である。
図1100は、受信した雑音対時間の波形1115を示す。波形1115のY軸は、
図10と同様に任意の単位である。波形1115の雑音は、ランダム雑音ソースに対応する確率的な成分と、復調後のLCDの水平リフレッシュ周波数のエイリアスによる決定論的な成分1110との少なくとも2つの付加的な成分を伴っている。
図11の雑音の大きさは、
図10のものより大きい(例えば約20カウントのRMS)。
図1100は、測定されたデータの一例から得られた雑音を伴っている。
【0087】
図12は、積分期間にわたって、雑音周波数の励起周波数に対する相関の一例を示す図である。
図1200は、積分期間にわたって、雑音と励起周波数の間の相互相関のシンク関数状の波形1215を示し、優れた励起周波数のための最適選択は、波形1215がゼロとなる1210で生じる。この図のY軸は、雑音と励起周波数が等しくなる1の値に正規化されている。波形1215では、雑音周波数は135kHzであり、積分期間は励起周波数の6サイクル分である。
【0088】
いくつかのLCDパネル上のいくつかの実例の実装形態では、広帯域雑音のバーストが、フルフレーム時間の狭いスライス中に生成されることがある。例えば、ある55インチ(139.7cm)で120Hzのパネルでは、その8.3msのフレームの約150μsの間に、この広帯域雑音が生成される可能性がある。フレームが列によって時分割されるので、この雑音は、特に雑音のある列の組として測定されたキャパシタンス画像に出現する可能性がある。これらの雑音のある列は、例えばLCDのフレームレートと容量型タッチセンサのフレームレートの間のうなり周波数で、キャパシタンス画像内を移動することができる。LCDとタッチセンサが周波数ロックされると、雑音のある列は静止し得る。LCDとタッチセンサが位相ロックされると、それら雑音のある列の位置を識別することができ、その時間を通じて測定を停止することができる。これは、利用可能な積分時間がわずかに減少する可能性があるが、最悪の場合の雑音性能を改善し得る。このシステムは、LCDのピクセルクロックおよび同期信号(例えばデータイネーブル、DE)に直接接続することによって位相ロックされ得る。位相ロックするための技法が可能でない場合には、システムは、測定されたデータを調査して、雑音が最大の列を識別することにより、位相ロックされ得る。次いで、制御システムは、雑音が最大の列を所望の位置または目標位置に置くように、フレームレートを調節することができる。この技法は、LCDモジュールへの接続がなくてよい。
【0089】
いくつかの実装形態は、例えばCDMA技法に類似の技法を用いることにより、同時に複数の直交励起波形を送信してよい。このような実装形態は、雑音周波数に対して直交する励起波形をすべて選択することが可能であり得る。雑音周波数は前もって知られ得て、励起波形は、その既知の周波数に対して直交するように設計されてよい。雑音周波数が前もって分かっていない場合、受信器を使用して雑音周波数を測定してよく、励起波形は、適応して選択するなどして選択されてよい。
【0090】
励起電圧
システムの雑音性能は、一般に、例えば受信器における信号対雑音比によって求めることができる。前述のように、正確な予想波形に対して相関を取ることを含むさまざまな技法がSNRを改善することができ、全体の受信雑音を低下させるために、有効な受信エネルギーが信号から抽出されて、雑音に対して直交する波形が選択される。SNRを改善する別の技法は、送信電力を増加することであり得る。例えば、小さな容量型タッチセンサ(例えば対角線距離が約4インチ(10.16cm)のもの)は、標準的な論理電圧(例えば約3.3Vまたはそれよりわずかに高い電圧)で動作することができ、より大きなタッチスクリーン(例えば対角線距離が約15インチ(38.1cm)以上のもの)は、例えば約10〜20Vで動作することができる。SNRは電圧に応じて定められ得るので、いくつかの実装形態は、例えば200Vの最大送信電圧で動作するシステムを有することによりSNRを改善することができる。これによって放射妨害波が増加する可能性があるが、放射妨害波は、例えば高速のエッジのスルーレートを制限することにより、または送信信号を雑音状の(例えば広帯域の)符号で変調することにより緩和することができる。これによって、ユーザを通る電流も増加し得るが、その電流は例えば数十マイクロアンペアにすぎない可能性がある。この電流は、対象の周波数では約10mAであり得る感覚の閾値よりはるかに小さいものであり得る。(神経と相互作用によって)ちくちくする感覚から、(肉のI2×R加熱による)暖かい感じに変化するとき、感覚の閾値が周波数につれて増加するので、高周波では、ユーザを通る最大許容電流のさらなる増加が可能になり得る。さらに、1度に走査されるのが1列だけで、ユーザが少数の列にしか触れていなければ、平均電流はさらに低減される。これは、例えばユーザが100列のセンサの3列に触れているとすると、平均電流はピーク電流の3/100であり得ることを意味することができる。
【0091】
アナログフロントエンド
容量型タッチセンサ式システム用のアナログフロントエンド回路を設計するための技法および実装形態が説明される。
【0092】
図13は、1段のフロントエンド増幅器および2段のフロントエンド増幅器からの出力応答の一例を示す図である。
図1300は、1段増幅器の振幅応答1320および2段増幅器の振幅応答1330を示す。1段目の増幅器および2段目の増幅器は、10MHzの利得×帯域幅の演算増幅器を使用した約1V/μAの利得を有するフロントエンド増幅器であり、全キャパシタンスC=800pFおよび抵抗R=5kΩを有する均一のRCラインによる負荷がかかっている。1段増幅器の振幅応答1320には、時間領域のリンギングに対応する、好ましくない利得のピーキング1310がある。
【0093】
すべてのトランスインピーダンス利得を最前段で得ようとすると、入力で接地との間に大きなキャパシタンスがあって増幅器の安定を保つのが困難になる恐れがあるため、フロントエンド増幅器のいくつかの実装形態は、そのような試みをしないことがある。これらの実装形態は、最前段のトランスインピーダンス利得を小さくして、その後で電圧利得を稼いで性能を改善してよい。初段のトランスインピーダンス利得は、その雑音に第2段の電圧利得が掛かるので、その第1段のデバイスおよび他の雑音が支配的にならないように十分に大きく選択することができる。例えば、第2段の出力を指すことができる全雑音が約100mV RMSであると予想され、第2段が10V/Vの利得を有する場合には、第1段は、10mVより十分に小さいデバイス雑音(および、例えば電源から結合される雑音を含む他の雑音源からの雑音)を有することができる。
【0094】
図14Aは、2段のフロントエンド増幅器回路の一例を示す図である。回路1400Aにおいて、第1の増幅器IC1Aは、非反転入力端子3上の基準電圧VREFおよび反転入力端子2の入力IN0を有し、反転入力端子2と増幅器IC1Aの出力端子1の間に、第1のフィードバックキャパシタCfおよび第1のフィードバック抵抗Rfが接続されている。出力端子1にキャパシタCaが直列接続され、キャパシタCaは抵抗Raに直列接続されている。第2の増幅器IC1Bは、基準電圧VREFに接続された非反転端子5と、抵抗Raに接続された反転端子6とを有する。第2の増幅器IC1Bの反転入力端子6と出力端子7の間に、第2のフィードバックキャパシタCbおよび第2のフィードバック抵抗Rbが接続されている。
【0095】
図14Aの実装形態は、線形増幅器を用いた高品質の純アナログフロントエンドを含むことができる。この構成は、極めて一定値に近い入力電圧を維持することができ、接地に対するかなりのキャパシタンスを許容することができる。
図14Aにおいて、センサの行を入力IN0に接続することができる。この設計は、RfおよびCfによって決定される利得を有するトランスインピーダンス増幅器であり得る。この増幅器1400Aは、(単位がV/Aの)利得l/(s×Cf)を有する積分器と見なされてよく、s=j×2×π×fで、fは入力信号の周波数である。抵抗Rfは、入力上の積分器ドリフトを押さえるために、時定数Rf×Cfを積分期間より速くするように選択されてよい。例えば、約100kHzの励起周波数に対して、その時定数は約(2.2nF)×(2.2k)=4.8μsでよく、これは10μsの周期より速い。この構成は、センサマトリクスのキャパシタと組み合わせて、基本的に分圧器を形成することができ、このため、送信電圧がVtであってテスト中のセンサキャパシタンスがCutであると、増幅器IC1Aは電圧Vt×Cut/Cfを出力することができる。
【0096】
トランスインピーダンス利得をより小さくして、その後で電圧利得を稼ぐことにより、入力端において接地に対する大きなキャパシタンス(大きなディスプレイでトレースが長いとき生じることになり、この値は数百pFになり得る)が存在するときでさえ、閉ループ伝達関数を安定することができ、発振を防止することができる。いくつかの実装形態では、初段のトランスインピーダンス利得は、演算増幅器のデバイス雑音および受信器回路の内部のいかなる結合雑音も、全体のシステム雑音と比較して軽微であるように、十分に大きく選択することができる。
【0097】
例えばいくつかの実装形態では、デバイスおよび増幅器IC1Aの他の雑音は、その雑音が増幅器IC1Bの利得によって増幅されるので、システム内で生成される雑音の最も重要なソースになり得る。設計の一例では、これは、約2.2nFのキャパシタンスCf、約1.5kΩの抵抗Rfおよび約20倍の電圧利得Rb/Raに相当し得る。いくつかの実装形態では、キャパシタCaは、ユーザの指から結合される雑音が、例えば信号より10倍以上大きな振幅を有することがある約60Hzで、非常に低い利得をもたらすように選択することができる。
【0098】
図14Bは、安定性のためのキャパシタンスおよび抵抗の適切な値を有するフロントエンド増幅器を設計するための一例を示す流れ図である。流れ
図1400のこの方法では、パラメータには、単位がキャパシタンスであり得る所望の全利得Gと、増幅器の入力端においてセンサのITOトレースラインのキャパシタンスとしてモデル化され得る全キャパシタンスCinとが含まれる。他のパラメータには、励起周波数f(または広帯域の励起信号(例えば疑似雑音系列)の中心周波数)と、LCDから結合され得てアナログのフロントエンド入力を指すことができる、電流の単位の、予想される全体のシステム雑音Inとが含まれる。
【0099】
この方法は、全体の入力キャパシタンスCinと同等のCfを選択するステップ(1420)と、対象の周波数でCfとインピーダンスの大きさがおよそ等しい、例えばRf=l/(2×π×f×Cf)といったRfを選択するステップ(1425)とを伴う。この方法は、例えばCf/Gといった、所望/目標の利得を第1段の利得で割ったものに等しい比Rb/Raを選択するステップ(1430)と、全体の電圧雑音Vn(システムの帯域幅にわたって積分されたもの)を有する第1段を、In/(2×π×f×G)>>(Rb/Ra)×Vnとなるように設計するステップ(1435)とを伴う。この方法は、60Hzにおける減衰が約500:1になるようにCaを選択して、キャパシタンスCn=l/((Ra×500)×(60Hz)×2×π)とするステップ(1440)も伴う。次いで、この方法は、10×fにおいて減衰が約10:1になるようにCbを選択して、キャパシタンスCb=l/((Rb/10)×(10×f)×2×π)とするステップ(1445)を伴う。
【0100】
対象の、説明された実施形態のいくつかと、動作とは、デジタル電子的回路、または本明細書に開示された構造体およびそれらの構造的等価物、またはそれらの1つまたは複数の組合せを含むコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで実施することができる。本明細書で説明された対象の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラム、すなわち、データ処理装置で実行するために、またはデータ処理装置の動作を制御するように、コンピュータ記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラムの命令の1つまたは複数のモジュールとして実施することができる。その代わりに、またはそれに加えて、プログラム命令は、例えばデータ処理装置で実行するために適切な受信装置へ送信する情報を符号化するように生成される機械生成される電気信号、光信号、電磁信号といった人為的に生成して伝搬される信号上に符号化することができる。データ処理装置は、センサを含んでよく、センサの一部分でよく、センサを有するシステムの一部分でよく、システムおよび/またはセンサの内部に一体化されてよく、受信器、送信器、構成要素および/またはセンサまたは受信器および/または送信器またはそれらの任意の組合せに関連した論理の一部分でもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶デバイス、コンピュータ可読記憶基板、ランダムアクセスまたは逐次アクセスのメモリ配列または記憶デバイス、またはそれらの1つまたは複数の組合せであり得る、またはこれらに含まれ得る。そのうえ、コンピュータ記憶媒体は、伝搬される信号ではないが、人為的に生成して伝搬される信号の中に符号化されるコンピュータプログラム命令の送信元または宛て先になり得る。また、コンピュータ記憶媒体は、1つまたは複数の個別の物理的な構成要素または媒体(例えば複数のCD、ディスク、または他の記憶デバイス)であり得る、またはこれらに含まれ得る。
【0101】
本明細書で説明された動作は、1つまたは複数のコンピュータ可読記憶デバイスに記憶されているデータまたは他の送信元から受信したデータに対してデータ処理装置によって遂行される動作として実施することができる。
【0102】
データ処理用のさまざまな装置、デバイス、およびマシンが、プログラム可能なプロセッサ、コンピュータ、1つまたは複数のチップ上のシステム、または前述のものの組合せを例として含む「データ処理装置」として使用されてよい。この装置は、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)といった専用論理回路を含むことができる。この装置は、ハードウェアに加えて、例えばプロセッサのファームウェア、プロトコルスタック、データベース管理システム、オペレーティングシステム、クロスプラットフォームのランタイム環境、バーチャルマシン、またはそれらの1つまたは複数の組合せを構成するコードといった、対象となるコンピュータプログラムのための実行環境を生成するコードも含むことができる。この装置および実行環境は、ウェブサービス、分散コンピューティングおよびグリッドコンピューティングのインフラストラクチャなど、種々様々な計算モデルのインフラストラクチャを実現することができる。
【0103】
コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、スクリプトまたはコードとしても知られている)は、コンパイル型言語またはインタープリタ型言語、宣言型言語または手続き型言語を含む、プログラミング言語の任意の形態で記述することができ、スタンドアロンのプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、オブジェクト、もしくはコンピューティング環境で用いるのに適切な他のユニットとして含む任意の形態で配布され得る。コンピュータプログラムは、ファイルシステムのファイルに相当してよいが、その必要性はない。プログラムは、対象となっているプログラム専用の単一ファイルまたは複数の統合ファイル(例えば1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの一部分を記憶するファイル)の中に、他のプログラムまたはデータ(例えばマークアップ言語ドキュメントに記憶された1つまたは複数のスクリプト)を保有するファイルの一部分に記憶され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ、または1つのサイトに配置されている複数のコンピュータもしくは複数のサイトにわたって分散して、通信ネットワークで相互に接続されている複数のコンピュータ上で実行するように配布され得る。
【0104】
本明細書で説明された処理および論理の流れは、入力データに作用して出力を生成することによって動作を遂行するように1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能なプロセッサによって遂行することができる。この処理および論理の流れは、例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)といった専用論理回路によっても遂行され得て、また、この装置は上記専用論理回路として実施することもできる。
【0105】
コンピュータプログラムを実行するのに適切なプロセッサは、例として、汎用マイクロプロセッサおよび専用マイクロプロセッサの両方、ならびに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読出し専用メモリもしくはランダムアクセスメモリまたはその両方から命令およびデータを受け取ることになる。コンピュータの必須要素には、命令に従って動作を遂行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスとがある。一般に、コンピュータは、例えば磁気ディスク、光磁気ディスクまたは光ディスクといったデータを記憶するための1つもしくは複数の大容量記憶装置も含んでよく、または上記1つもしくは複数の大容量記憶装置とデータをやり取りするように動作可能に結合されてよい。しかし、コンピュータは、このようなデバイスを必要とするわけではない。そのうえ、コンピュータは、例えばほんの少し名前を挙げても、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、モバイル音声プレーヤもしくはモバイルビデオプレーヤ、ゲーム機、または携帯用記憶デバイス(例えばUSB(Universal Serial Bus)のフラッシュドライブ)といった別のデバイスに内蔵され得る。コンピュータプログラムの命令およびデータを記憶するのに適切なデバイスには、不揮発性のメモリ、媒体およびメモリデバイス(例えばEPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスといった半導体メモリデバイスを含む)、例えば内部ハードディスク、またはリムーバブルディスクといった磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMディスクおよびDVD−ROMディスクのすべての形態が含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足され得る、または専用論理回路の中に組み込まれ得る。
【0106】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書で説明された対象の実施形態は、ユーザに対して情報を表示するための、例えばCRT(ブラウン管)またはLCD(液晶ディスプレイ)のモニタといった表示デバイスと、ユーザがコンピュータに対して入力を供給するのを可能にするキーボードおよび例えばマウス、またはトラックボールといったポインティングデバイスとを有するコンピュータ上で実施することができる。ユーザとの対話を提供するために、他の種類のデバイスを使用することができ、例えば、ユーザにもたらされるフィードバックは、例えば視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバックといった感覚フィードバックの任意の形態であり得て、また、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。さらに、コンピュータは、例えばウェブブラウザから受信した要求に応答して、ユーザのクライアントデバイス上のウェブブラウザにウェブページを送ることにより、ユーザが使用しているデバイスとの間でドキュメントを送受することによって、ユーザと相互作用することができる。
【0107】
本明細書は多くの特定の実装形態の詳細を含んでいるが、これらは、いかなる発明または特許請求され得るものの範囲に対する制限としても解釈されるべきではなく、特定の発明の特定の実施形態に特有の特徴の説明として解釈されるべきである。個別の実施形態の状況で本明細書に説明される特定の特徴は、単一の実施形態の組合せでも実施することができる。反対に、単一の実施形態の状況で説明されたさまざまな特徴は、複数の実施形態で、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。そのうえ、各特徴は、特定の組合せで動作するものとして上記で説明され、また、最初はそのように特許請求されたとしても、場合によっては、特許請求された組合せからの1つまたは複数の特徴をその組合せから削除することができ、また、特許請求された組合せは、サブコンビネーションまたはサブコンビネーションの変形形態を対象にしてもよい。
【0108】
同様に、図面には各動作が特定の順序で示されているが、これは、望ましい結果を達成するのに、このような動作を、示された特定の順序または順番で遂行すること、またはすべての示された動作を遂行することが必要であると理解されるべきではない。特定の環境では、マルチタスクおよび並行処理が有利であり得る。そのうえ、上記で説明された実施形態のさまざまなシステム構成要素の分離は、すべての実施形態でこのような分離が必要とされるものとして理解されるべきではなく、説明されたプログラム構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品の中で一緒に一体化されてよく、または複数のソフトウェア製品へとパッケージ化されてもよいことを理解されたい。
【0109】
このように、対象の特定の実施形態が説明されてきた。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。場合によっては、特許請求の範囲に列挙された動作は、別々の順序では遂行し、依然として、望ましい結果を達成することができる。さらに、添付図面に示された処理は、望ましい結果を達成するのに、示された特定の順序または順番を必ずしも必要としない。特定の実装形態では、マルチタスクおよび並行処理が有効であり得る。