特許第6017700号(P6017700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017700
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】誘導エネルギー転送コイル構造
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20161020BHJP
【FI】
   H02J50/10
【請求項の数】13
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-543488(P2015-543488)
(86)(22)【出願日】2012年11月29日
(65)【公表番号】特表2015-535676(P2015-535676A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】FI2012051183
(87)【国際公開番号】WO2014083234
(87)【国際公開日】20140605
【審査請求日】2015年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】カリ ユハニ
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−103531(JP,A)
【文献】 特開2006−149685(JP,A)
【文献】 特開2007−124557(JP,A)
【文献】 特開2007−274551(JP,A)
【文献】 特開2009−181815(JP,A)
【文献】 特開2011−234496(JP,A)
【文献】 特開2012−199432(JP,A)
【文献】 特表2009−501000(JP,A)
【文献】 特表2009−504115(JP,A)
【文献】 特表2013−523260(JP,A)
【文献】 特表2013−540411(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102544615(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0086256(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0241617(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0052923(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0170781(US,A1)
【文献】 国際公開第2007/080820(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/046223(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/119352(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/040548(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
隣接する少なくとも2周のワイヤ周回を備える誘導エネルギー転送コイルを備える装置であって、
前記誘導エネルギー転送コイルの前記隣接する少なくとも2周のワイヤ周回が、誘導エネルギー転送中にバッテリーを垂直方向に包囲するように、前記隣接する少なくとも2周のワイヤ周回が前記バッテリーに組み合わされ
前記誘導エネルギー転送コイルの外周を覆うように配されると共に、前記誘導エネルギー転送コイルを少なくとも部分的に露出させるように配され、更にその少なくとも一部が、前記誘導エネルギー転送コイルと前記バッテリーとの間にあるように配される、第1のフェライトシールドと、
前記バッテリーをカバーするように配される第2のフェライトシールドと、
をさらに備える、装置。
【請求項2】
前記バッテリーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記バッテリーに組み込まれる誘導エネルギー転送回路を備える、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2のフェライトシールドが前記バッテリーに取り付けられる、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記装置が電子機器の一部である、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記装置が電子機器の一部であり、前記第2のフェライトシールドが前記電子機器のカバーに取り付けられる、請求項1から3のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
誘導エネルギー転送コイルが各々同心でない少なくとも2つのループを備えるように構成され、前記少なくとも2つのループは直列に接続される、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記電子機器が携帯電話機である、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項9】
装置の製造方法であって、
誘導エネルギー転送機器の中に隣接する少なくとも2周のワイヤ周回を備える誘導エネルギー転送コイルを設置することと;
前記誘導エネルギー転送コイルの前記隣接する少なくとも2周のワイヤ周回が、誘導エネルギー転送中にバッテリーを垂直方向に包囲するように、前記隣接する少なくとも2周のワイヤ周回を前記バッテリーに組み合わせることと;
第1のフェライトシールドを、前記誘導エネルギー転送コイルの外周を覆うように配すると共に、前記誘導エネルギー転送コイルを少なくとも部分的に露出させるように配し、更にその少なくとも一部が、前記誘導エネルギー転送コイルと前記バッテリーとの間にあるように配することと;
第2のフェライトシールドを、前記バッテリーをカバーするように配することと;
を含む、方法。
【請求項10】
誘導エネルギー転送コイルの内部に前記バッテリーを設置することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
誘導エネルギー転送回路を前記バッテリーに組み込むことを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のフェライトシールドが前記バッテリーに取り付けられる、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記装置が電子機器の一部であり、前記第2のフェライトシールドが前記電子機器のカバーに取り付けられる、請求項9から11のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
電磁誘導は古くから知られた現象であり、多くのアプリケーションで使用されている。電磁誘導において、時間的に変化する磁束(time-varying magnetic flux)は、閉じた導体ループに起電力を誘導する。反対に、時間的に変化する電流は変動磁束を発生させる。変圧器ではこの現象を利用し、誘導結合されたコイルを介して、回路から他のものにワイヤレスでエネルギー転送をする。一次コイルは交流電流を変動磁束に変換し、この変動磁束が二次コイルを流れるように構成される。さらに、変動磁束は二次コイルに交流電圧を誘導する。入出力電圧の比率は、一次コイル及び二次コイルでの周回数によって調整することが可能である。
【0002】
ワイヤレス充電は、電磁誘導を利用して非接触でエネルギー転送をする別のアプリケーションである。ワイヤレス充電システムは、一次コイルを備えた充電器と、二次コイルで充電される機器とを備える。充電器内の電流は、これら電磁結合されたコイルを通じ、上記の充電される機器に転送される。そして、誘導電流は追加的な処理をされ、上記の充電される機器を充電するために使用することができる。エネルギーは、誘導結合を通じ、充電器から充電される機器に伝達される。この充電される機器は、このエネルギーをバッテリー充電用として使用したり、または、電力として直接使用したりすることができる。
【0003】
携帯電話機やその他の高性能機器等、昨今の携帯用電子機器における傾向及びキーとなるセールスポイントは、機器の薄さであり、薄型化も続いている。しかし、ワイヤレス充電に適した機器の要求は、この薄型化の傾向に反する。なぜなら、これらワイヤレス充電に適した機器は、誘導コイルを必要とし、誘導コイルは機器のデザインに厚みを加えるためである。
【摘要】
【0004】
本発明は、概してワイヤレス充電システムに関連するものであり、ここでは、磁場がワイヤレスでのエネルギー転送に利用される。ワイヤレス充電システムは、例えば、電磁誘導手段によるエネルギー転送のために互いに接続された1組のコイルを備える。本発明は特に、効率を最大化するための機器内のコイル配置に関するものである。
【0005】
本発明の様々な態様は、誘導エネルギー転送用装置、誘導エネルギー転送用装置を備える機器、上記装置を製造する方法を含み、これらの態様は、独立請求項に記載されたものによって特徴づけられる。また、本発明の様々な実施形態が従属請求項に示されている。
【0006】
本発明の第1の態様によると、少なくとも2つの隣接するワイヤ周回を備える誘導エネルギー転送コイルを備える装置が提供され、ここで、上記誘導エネルギー転送コイルの上記少なくとも2つの隣接するワイヤ周回が誘導エネルギー転送中にバッテリーを垂直方向に包囲するように、上記少なくとも2つの隣接するワイヤ周回がバッテリーに組み合わされる。
【0007】
実施形態によっては、上記装置はバッテリーをさらに備える。実施形態によっては、上記装置は、バッテリーに組み込まれる誘導エネルギー転送回路をさらに備える。実施形態によっては、上記装置は第1のフェライトシールドをさらに備え、この第1のフェライトシールドは、誘導エネルギー転送コイルを誘導エネルギー伝達に利用可能とするため、誘導エネルギー転送コイル及びバッテリーをカバーするように配される。実施形態によっては、上記装置は第1のフェライトシールドをさらに備え、この第1のフェライトシールドは、誘導エネルギーを転送するために誘導エネルギー転送コイルを少なくとも部分的に露出させて、誘導エネルギー転送コイルをカバーするように配される。実施形態によっては、上記装置は、バッテリーをカバーするように配される第2のフェライトシールドをさらに備える。実施形態によっては、上記第2のフェライトシールドはバッテリーに取り付けられる。実施形態によっては、上記第1のフェライトシールドの少なくとも一部が、誘導エネルギー転送コイルとバッテリーとの間にあるように、誘導エネルギー転送コイルがバッテリーの周囲に巻き付けられる。実施形態によっては、上記装置は電子機器の一部である。実施形態によっては、上記第2のフェライトシールドは機器のカバーに取り付けられる。実施形態によっては、誘導エネルギー転送コイルが各々同心でない少なくとも2つのループを備えるように構成され、この各々同心でない少なくとも2つのループは互いに直列に接続される。実施形態によっては、上記電子機器は携帯電話機である。
【0008】
本発明の第2の態様によると、誘導エネルギー伝達手段を備える装置が提供される。ただし、この誘導エネルギー伝達手段は、少なくとも2つの隣接するワイヤ周回を備える誘導エネルギー転送コイルを備え、ここで、上記誘導エネルギー転送コイルの少なくとも2つの隣接するワイヤ周回が、誘導エネルギー転送中にバッテリーを垂直方向に包囲するように、上記ワイヤ周回がバッテリーに組み合わされる。
【0009】
本発明の第3の態様によると、誘導エネルギー転送機器の中に少なくとも2つの隣接するワイヤ周回を備える誘導エネルギー転送コイルを設置することと、上記誘導エネルギー転送コイルの上記少なくとも2つの隣接するワイヤ周回が、誘導エネルギー転送中にバッテリーを垂直方向に包囲するように、上記少なくとも2つの隣接するワイヤ周回をバッテリーに組み合わせることとを含む方法が提供される。
【0010】
実施形態によっては、本方法は、誘導エネルギー転送コイルの内部にバッテリーを設置することをさらに含む。実施形態によっては、本方法は、誘導エネルギー転送回路をバッテリーに組み込むことを含む。実施形態によっては、本方法は、誘導エネルギー転送コイルを誘導エネルギー伝達に利用可能とするため、誘導エネルギー転送コイル及びバッテリーをカバーする第1のフェライトシールドを設置することを含む。実施形態によっては、本方法は、誘導エネルギーを転送するため、誘導エネルギー転送コイルを少なくとも部分的に露出させるように、誘導エネルギー転送コイルをカバーする第1のフェライトシールドを設置することを含む。実施形態によっては、本方法は、バッテリーをカバーする第2のフェライトシールドを設置することを含む。実施形態によっては、上記第2のフェライトシールドはバッテリーに取り付けられる。実施形態によっては、上記第1のフェライトシールドの少なくとも一部が、誘導エネルギー転送コイルとバッテリーとの間にあるように、誘導エネルギー転送コイルがバッテリーの周囲に巻き付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下、本発明の様々な実施形態が、添付の図面を参照して詳細に説明される。
図1図1a−1bは、ワイヤレス充電のための平面コイル構成を示した図である。
図2図2a−2bは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイルの構造を示した図である。
図3図3a−3cは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイルの構造の断面図である。
図4図4a−4cは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器の断面図である。
図5図5a−5dは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器の断面図である。
図6】ある例示的実施形態に従う、垂直方向巻き転送コイル(vertically wound transfer coil)を備えた携帯電話機を示す図である。
図7】ある例示的実施形態に従う、2つの垂直方向巻き転送コイルを備えた携帯電話機を示す図である。
図8】ある例示的実施形態に従う、垂直方向巻き転送コイル及び別の追加的な垂直方向巻きコイルを備えた携帯電話機を示す図である。
【例示的実施形態の説明】
【0012】
以下では、ワイヤレス充電またはエネルギーの非接触伝送のために、モバイル機器等の機器に誘導エネルギーを転送する装置に関連させて、本発明のいくつかの実施形態を説明する。ただし、本発明はモバイル機器のみに限定されるものではないことに留意されたい。さらに、機器は、ワイヤレス充電または誘導ベース(inductive-based)のエネルギー伝達のための誘導エネルギー転送コイルを必要とする、あらゆる環境で、様々な実施形態を幅広く応用することができる。本発明の実施形態では、誘導エネルギー転送コイルは、機器から誘導エネルギーを受け取るため、または、機器に誘導エネルギーを伝達するために使用される。そしてそれゆえ、本明細書全体に記載されているように、この誘導エネルギー転送コイルは、一般的に誘導エネルギーコイルと称されることがある。
【0013】
誘導エネルギー転送のための装置を備える機器は、モバイル機器や携帯用機器であってもよく、また、誘導結合または磁気共鳴を使用するエネルギー/誘導結合または磁気共鳴によるエネルギーの受取り(換言すると、誘導エネルギーリンク(inductive energy link))に適したあらゆる機器とすることができる。上記機器は、例えば、携帯電話機、モバイルコンピュータ、モバイル協同機器(mobile collaboration device)、モバイルインターネット機器、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、タブレット型パソコン(PC)、電子手帳、携帯用ゲーム機、ポータブルメディアプレーヤー、デジタルスチルカメラ(DSC)、デジタルビデオカメラ(DVC、デジタル・カムコーダー)、ページャー、小型カーナビゲーション装置(PND)とすることができる。本発明はさらに、バッテリーまたは機器カバー(device cover)等の機器に取り付けるのに適したものに実装することができる。
【0014】
本明細書の「誘導エネルギーコイル(inductive energy coil)」「誘導エネルギー転送コイル(inductive energy transfer coil)」という語句が、単にコイルと称される場合がある。このコイルは、誘導エネルギーをワイヤレスで受取り及び/または伝達するために使用されるコイルである。このような誘導エネルギー伝達は、標準的な誘導結合または磁気共鳴の利用によって、実現させることができる。
【0015】
通常、誘導ベースのエネルギー転送を用いたエネルギーの非接触伝送システムを備える機器では、その機器のバッテリーの上に、換言するとそのバッテリーとその機器のカバーとの間に、従来の平面コイル(planar coil)構成がある。本明細書中の「カバー」という語句は、機器の背面カバー等のバッテリーカバーを指す。しかし、平面コイル構成は機器の厚みを増加させる。そして、多くの場合、厚みは機器の特徴として好まれない。例として、平面コイル構成は、機器の全体的な厚みを約1mm増加させる可能性がある。この厚みの増分は、その機器の全体的な厚みの10%前後となりうる。
【0016】
従来の平面コイル構成に代えて、本発明の実施形態は、垂直方向巻き転送コイルを使用する。この垂直方向巻き転送コイルは、例えば、機器のバッテリーの周囲に巻くことができる。現在の傾向にしたがうと、機器のディスプレイのサイズ(直径)は大きくなりつつあり、それゆえ、垂直方向巻き転送コイルの長さや幅に対して十分なスペースがある。本発明の実施形態では、連続的なワイヤ周回(例えば、バッテリーの周囲に巻かれているワイヤ)を含む垂直方向巻き転送コイルを、垂直コイルと称する場合がある。本明細書中で「周回」とは、バッテリー等の部品の周囲に巻かれたコイルまたはワイヤの1周分を指すことがある。
【0017】
コイルがバッテリーの周囲に配された場合、平面コイルの垂直方向空間をそのバッテリーのために使用することができ、バッテリーの体積が増加するため、大きなバッテリー容量を実現することができる。その代償として、バッテリー容量の大きさが、より薄いバッテリー及びより薄い機器の製造とトレードオフの関係になる可能性がある。バッテリー容量は、バッテリーの体積(高さ×幅×厚み)を直接的に基礎とする。例えば、あるケースでは、平面コイル構成を備える機器Yより機器Xが1mm薄くなるように(機器Xの厚みは1mm以下)、機器Xのバッテリーの周囲に配された垂直コイルを備える機器Xの場合、機器Xのバッテリー容量は機器Yのバッテリー容量と比較して3%しか減少しない可能性がある。しかし、機器Xと機器Yの両方が同一の厚みを有する場合、機器Xのバッテリー容量は、機器Yのバッテリー容量と比較して18%以上増える可能性がある。
【0018】
さらに、垂直コイルでは、リッツコイル線及び/または極太ワイヤを使用することができる。なぜなら、このリッツコイル線の厚みまたは、この垂直コイルの厚み(換言すると、このリッツコイル線の直径、または、この垂直コイルの直径)は、機器の厚みに影響を与えないためである。ワイヤの太さは、例えば、バッテリー周りの連続的なワイヤの周回数を制限する可能性がある。しかし、極太コイルワイヤの使用はコイルの損失を減らすことができ、そのため、極太ワイヤは効率的な充電を実現することができる。リッツコイル線は、最大約1MHzの周波数で使用される導体について、表皮効果及び近接効果による損失を低減するよう設計されている。リッツコイル線は、インダクタや変圧器を製造するために使用されうるが、それは、特に高周波数において、上記の表皮効果がさらに顕著であり、近接効果がよりいっそう深刻な問題となりうるからである。リッツコイルは、個々に絶縁された多数の細いワイヤのストランドをより合わせたものから成り、いくつかあるパターンの中の1つに従い、多くの場合いくつかのレベルを含む(一群のねじられたワイヤが一緒にねじられる等)。既存の平面コイルによる解決策において、その目的は、コイルの太さを最小限にし、可能な限り細いコイル線を使用することである。しかし、細いコイル線は高いコイル抵抗を生じさせ、さらには大きなコイル損失を生じさせる。さらに、極めて細い平面コイルは機能しない可能性があり、充電電流を制限する可能性がある。
【0019】
機器のバッテリーの周囲に巻かれる垂直コイルの場合、コイルとバッテリーとの間の電気回路がより小さくなる可能性がある。なぜなら、そのコイルとそのバッテリーとの間の距離がより近くなるためである。このため、コイルとバッテリーとの間の距離が長くなるような平面コイル構成の充電回路に比べて、エネルギーのロスが少なくてすむだろう。平面コイル構成のバッテリー充電回路の効率は、一般的に約85%である。
【0020】
平面コイル構成と比較した場合、垂直コイルは、ワイヤレス充電用の機器構成に関する自由度をより高くできる。上記のことは、実質的に同じ外径を有する平面コイルと比較した場合、垂直コイルのほうがより長い内径を有することに起因する。これは、図1aと図2aからも理解できる。ここで、図1aは平面コイルを示し、図2aは本発明の実施形態による垂直コイルを示す。図に示すように、平面コイル11の内径は、垂直コイル21の内径より小さい。
【0021】
本発明のある例示的実施形態と、得られうる利点は、添付の図1から図8を参照すれば理解されよう。
【0022】
図1a及び図1bは、機器の平面コイルの構造10を示す。平面コイル11は、バッテリー12の上に配され、平面コイル11は複数のコイル周回を備える。このコイル周回は、水平に巻かれ、バッテリー12の上に位置するよう配される。その結果、Z方向に連続するワイヤ周回は存在せず、互いに隣接する周回が存在する。コイル11とバッテリー12との間には遮断用(すなわち、無線電力転送アプリケーションにおいて、装置内部の材料及び部品を保護するため)のシールド13が存在する場合がある。さらに、コイル11の電気回路14が図示されている。図1aは、平面コイルの構造10の上面図を示している。図1bは、平面コイルの構造10の側面図を示している。
【0023】
図2a及び図2bは、誘導エネルギー転送機器の垂直コイルの構造20を示す。垂直コイル21は、すなわち、バッテリー22の周囲を包囲するように配される。垂直コイル21は、バッテリー22を垂直に包囲する複数のワイヤ周回を備え、複数の連続的な周回24が、バッテリー22の周囲のZ方向に互いに重なり合って存在する。磁場からバッテリー21及び機器のその他のあらゆる部品を保護するため、コイル21とバッテリー22との間、及びバッテリー22の上にシールド23が存在する場合がある。シールド23の材料はフェライトの場合がある。さらに、シールド23をより大きくして、垂直コイル21の外側及び/または下側もカバーすることができる。コイルのワイヤレス充電送受信電子機器(wireless charging transceiver electronics)を備える誘導エネルギー転送回路は図示されていない。図2aは、垂直コイルの構造20の上面図を示している。図2bは、垂直コイルの構造20の側面図を示している。
【0024】
図3aは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイルの構造30の断面図である。誘導エネルギー転送コイルの構造30は、バッテリー31、フェライトシールド32、誘導エネルギー転送コイル33を備えることができる。コイル33のワイヤはバッテリー31の周囲に巻かれ、コイル33が垂直方向にバッテリー31を包囲する。本実施形態では、フェライトシールド32の一部分がバッテリー31の上に、フェライトシールド32の他の部分が誘導エネルギー転送コイル33の周囲に配され、コイル33の内側、外側、下側がフェライトシールド32によってカバーされる。コイル33の上部はフェライトシールド32によってカバーされない。なぜなら、コイル33は上から誘導エネルギーを受け取るように構成されるためである。本実施形態では、バッテリー31の周囲に複数のワイヤ周回を形成させるため、バッテリー31の周囲において、Z方向にはワイヤ周回が互いに重なり合って存在するが、X方向及びY方向には互いに隣接するワイヤ周回が存在しない。連続的なワイヤ周回数、すなわち、Z方向で互いに重なり合う周回数は制限される。この周回数は、例えば、ワイヤの直径及び/またはサイズ、並びにバッテリー31の厚さに依存する場合がある。
【0025】
図3bは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイルの構造30の断面図である。誘導エネルギー転送コイルの構造30は、バッテリー31、フェライトシールド32、誘導エネルギー転送コイル33を備えることができる。コイル33のワイヤはバッテリー31の周囲に複数回巻かれ、コイル33が垂直方向にバッテリー31を包囲する。フェライトシールド32の一部分がバッテリー31の上に、フェライトシールド32の第二の部分が誘導エネルギー転送コイル33の周囲に配され、コイル33の内側、外側、下側がフェライトシールド32によってカバーされる。コイル33の上方部分はフェライトシールド32にカバーされない。なぜなら、コイル33が上部から誘導エネルギーを受け取るためである。本実施形態では、ワイヤの周回はZ方向に重なり合うように、そして、少なくとも2巻きはX方向に互いに隣り合うように配される。連続するまたは隣り合うワイヤ周回数に制限はない。この周回数は、例えば、ワイヤの直径、コイル33用のスペース、バッテリー31の厚さに依存する場合がある。
【0026】
図3cは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイルの構造30の断面図である。誘導エネルギー転送コイルの構造30は、バッテリー31、フェライトシールド32、誘導エネルギー転送コイル33を備えることができる。コイル33のワイヤはバッテリー31の周囲に巻かれ、コイル33が垂直方向にバッテリー31を包囲する。フェライトシールド32は、バッテリー31の上及び誘導エネルギー転送コイル33の周囲に配され、コイル33の内側、外側、下側のうちの少なくとも1つがフェライトシールド32によってカバーされる。コイル33の上方部分はフェライトシールド32によってカバーされない。なぜなら、コイル33が上部から誘導エネルギーをその方向から受け取るように構成されているためである。本実施形態では、ワイヤはバッテリー31の下方部分(Z方向において)の周囲には巻かれない。
【0027】
図4aは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器40の断面図を示す。機器40は機器ケーシング(casing )45、バッテリーカバー46、誘導エネルギー転送コイルの構造を備える。なお、この機器の他の部分は図示していない。誘導エネルギー転送コイルの構造は、バッテリー41、フェライトシールド42、誘導エネルギー転送コイル43を備えることができる。コイル43のワイヤはバッテリー41の周囲に垂直方向に巻かれ、コイル43の周回が垂直方向にバッテリー41を包囲する。フェライトシールド42は、バッテリー41の上及び誘導エネルギー転送コイル43の周囲に配され、コイル43の内側、外側、下側がフェライトシールド42によってカバーされる。コイル43の上方部分はフェライトシールド42によってカバーされない。なぜなら、コイル43が上部から誘導エネルギーをその方向から受け取るように構成されているためである。本実施形態では、誘導エネルギー転送コイルの構造の全部品が、機器ケーシング45に取り付けられる。
【0028】
図4bは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器40の断面図を示す。本実施形態では、フェライトシールドが二つの部分にある。これら二つの部分はまた、二つの異なるシールドと称される場合がある。バッテリー41、誘導エネルギー転送コイル43、コイルのフェライトシールド44は、機器ケーシング45の上に取り付けられる。コイル43のワイヤは、バッテリーとコイルのフェライトシールド44の周囲に巻かれる。コイルのフェライトシールド44は、誘導エネルギー転送コイル43の周囲に配される。そして、コイル43の内側、外側、下側はフェライトシールド42によってカバーされ、フェライトシールド部分はコイル43の周回とバッテリー41との間に配される。さらに、第2のシールド、すなわちバッテリーのフェライトシールド47がある。バッテリーのフェライトシールド47は、バッテリーカバー46、バッテリーカバー46の内側または外側に取り付けられ、デバイス40のケーシング45及びカバー46が閉じられた場合、バッテリーのフェライトシールド47がバッテリー41の上に位置する。そのため、磁場からバッテリー41と機器40のその他のあらゆる部品を保護する。
【0029】
図4cは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器40の断面図を示す。本実施形態では、フェライトシールドは二つの部分、すなわち二つの異なるシールドを備えることができる、これら二つの異なるシールドは互いにつながっている。フェライトシールドはまた、コイル43用の部分とバッテリー41用の部分とを含む、1つのつなぎ合わされたフェライトシールドである場合がある。
【0030】
バッテリー41は機器ケーシング45に取り付けられる。そして、コイルのフェライトシールド44、誘導エネルギー転送コイル43、バッテリーのフェライトシールド47はバッテリーカバー46(バッテリーカバー46の内表面)に取り付けられ、機器40のケーシング45とカバー46とが閉じられた場合、バッテリーのフェライトシールド47がバッテリー41の上に位置し、コイル43のワイヤ周回がバッテリー41を包囲する。さらに、コイルのフェライトシールド44の部分は、バッテリー41とコイル43との間にある。
【0031】
図4a〜cから分かるように、フェライトシールドは部分が異なると厚みも異なってもよく(例えば、図4b及び図4cの44)、異なるシールドは異なる厚みを有してもよい(例えば、図4bの44及び47)。シールドの厚みは、シールドの導磁度(permeance)に影響を与える。シールドが厚いほど、導磁度は高くなる。コイルをカバーするシールドの導磁度が高いほど、磁場をよりコイルに集中させることができ、バッテリーをカバーするシールドは薄いフェライトシールドを有する場合がある。バッテリーの上端部に設置されたシールドが薄いほど、薄型機器の設計及び製造が容易になる。追加の実施形態では、垂直コイルの内側、外側、下側のうちの少なくとも1つをカバーするように配されたフェライトシールの透磁性が高いほど、磁束がコイルにより集中する可能性がある。これにより、バッテリーの上部に導磁度のより低い、より薄いフェライトシールドを使用することができる。またこれは、機器のより薄い構造を利用可能とする。
【0032】
ここで、垂直コイルのシールドが、全ての垂直コイルの構造に必ずしも必要とは限らないこと、また、その他のいくつかの遮断構造による置き換えが可能であることは言及すべきであろう。さらに、シールドの配置を変えることにより、内側の1カ所のみをフェライトシールドでカバーしたり、内側の2カ所または3カ所をフェライトシールドでカバーすることができる。また、コイルの外側及び下側をカバーすることもできる。
【0033】
前述の例示的なコイル構造は、修正や組み合わせによって、さらなる本発明の実施形態を創出できることが理解されるべきである。例えば、図4a〜図4cに記載されたコイル及びフェライトの構造の様々な組み合わせは、本明細書の開示に基づいて、直接的に導出することが可能である。
【0034】
図5aは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器50の断面図を示す。機器50は機器ケーシング55、バッテリー(背面)カバー56、誘導エネルギー転送コイルの構造を備える。なお、この機器の他の部分は図示していない。誘電エネルギー転送コイルの構造は、誘電エネルギー転送コイル53とコイルのフェライトシールド54とを備えることができる。コイル53のワイヤは、機器ケーシング55のバッテリー空間58の周囲に垂直方向に巻かれ、コイル53の周回が垂直方向にバッテリー31を包囲する。バッテリー用のフェライトシールド57はバッテリー空間58の上に配され、バッテリーカバー56に取り付けられる。コイルのフェライトシールド54は、誘導エネルギー転送コイル53の周囲に配され、コイル53の内側、外側、下側がフェライトシールド54によってカバーされる。コイル53の上方部分は、フェライトシールド54によってカバーされない。
【0035】
図5bは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器50の断面図を示す。機器50は機器ケーシング55、バッテリー(背面)カバー56、誘導エネルギー転送コイルの構造を備える。なお、この機器の他の部分は図示していない。誘電エネルギー転送コイルの構造は、誘電エネルギー転送コイル53とコイルのフェライトシールド54とを備えることができる。コイル53のワイヤは、機器ケーシング55のバッテリー空間58の周囲に垂直方向に巻かれ、コイル53の周回が垂直方向にバッテリーを包囲する。バッテリー用のフェライトシールド57はバッテリー空間58の上に配され、バッテリーカバー56に取り付けられる。コイルのフェライトシールド54は、誘導エネルギー転送コイル53の周囲に配され、コイル53の内側、外側、下側がフェライトシールド54によってカバーされる。コイル53の上方部分は、フェライトシールド54によってカバーされない。機器ケーシング55は、さらに誘電エネルギー転送回路59を備え、この誘電エネルギー転送回路59は、コイル53のワイヤレス充電送受信電子機器を備える。
【0036】
図5cは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器50の断面図を示す。機器50は機器ケーシング55、バッテリー(背面)カバー56、誘導エネルギー転送コイルの構造を備える。なお、この機器の他の部分は図示していない。誘導エネルギー転送コイルの構造は、バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53を備えることができる。バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53は一緒に組み込むことができる。コイル53のワイヤは、機器ケーシング55のバッテリー51の周囲に垂直方向に巻かれ、コイル53の周回が垂直方向にバッテリー51を包囲する。フェライトシールド52は、バッテリー51の上及び誘導エネルギー転送コイル53の周囲に配され、コイル53の内側、外側、下側がフェライトシールド52によってカバーされる。コイル53の上方部分は、フェライトシールド52によってカバーされない。ある例示的実施形態によると、バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53は別装置を備えることができる。電気回路59は、コイル53のワイヤレス充電転送電子機器を備える場合があり、このワイヤレス充電転送電子機器は、バッテリー51から分離した機器ケーシング55の内側に設置される場合がある。
【0037】
図5dは、ある例示的実施形態に従う、誘導エネルギー転送コイル部を含む機器50の断面図を示す。機器50は機器ケーシング55、バッテリー(背面)カバー56、誘導エネルギー転送コイルの構造を備える。なお、この機器の他の部分は図示していない。誘導エネルギー転送コイルの構造は、バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53、誘導エネルギー転送回路59を備えることができる。バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53、電気回路59は、一緒に組み込むことができる。コイル53のワイヤは、機器ケーシング55のバッテリー51の周囲に垂直方向に巻かれ、コイル53の周回が垂直方向にバッテリー51を包囲する。フェライトシールド52は、バッテリー51の上及び誘導エネルギー転送コイル53の周囲に配され、コイル53の内側、外側、下側がフェライトシールド52によってカバーされる。コイル53の上方部分は、フェライトシールド52によってカバーされない。電気回路59は、コイル53のワイヤレス充電転送回路を備えることができる。例えば、ワイヤレス充電転送回路がバッテリー51に組み込まれる場合、別のワイヤレス充電追加カバーは不要であるが、正規のバッテリーと組込式のワイヤレス充電転送構造を有するバッテリーとを取り替えることができる。ある例示的実施形態によると、バッテリー51、フェライトシールド52、誘導エネルギー転送コイル53、電気回路59は、機器50に着脱可能に取り付けできる別装置を備えることができる。
【0038】
実施形態によっては、電気回路59等のワイヤレス充電回路は、バッテリーを直接充電するために構成することができる。また、機器は別の充電回路、例えば、有線充電のための充電回路を備えることができる。そして、ワイヤレス充電回路59は他の充電回路を介してバッテリー51を充電することができる。追加制御段階(additional regulation stage)による損失を回避できるため、充電電力をバッテリーに直接給電することにより、高い効率性を提供することができる。他の充電回路を介した充電をすることで、既存の充電ソリューションとの互換性を提供することができる。
【0039】
図6は、ある例示的実施形態による垂直方向巻き誘導エネルギー転送コイル61を備える携帯電話機60の背面図である。コイル61は、携帯電話機60のバッテリー62の周囲に巻き付けられる。携帯電話機60は、バッテリーカバーのない状態で図示されている。いずれも、フェライトシールドは図示されていない。
【0040】
図7は、ある例示的実施形態による垂直方向巻き誘導エネルギー転送コイル及び2つのバッテリーを備える、いわゆるマルチループコイル構造(multi-loop coil structure)を用いた携帯電話機70の背面図である。コイルは、同心でない2つの部分(ループ)71、73に分けられる。第1の部分(第1のループ)であるコイル71は、電話機70の第1のバッテリー72の周囲に巻き付けられる。そして、第2の部分(第2のループ)であるコイル73は、電話機70の第2のバッテリー74の周囲に巻き付けられる。携帯電話機70は、バッテリーカバーのない状態で図示されている。いずれも、フェライトシールドは図示されていない。
【0041】
図8は、ある例示的実施形態による垂直方向巻き誘導エネルギーコイル及びバッテリーを備える、いわゆるマルチループコイル構造を用いた携帯電話機80の背面図である。コイルは、同心でない2つのループ81、82に分けられる。第1のループであるコイル81は、携帯電話機80のバッテリー83の周囲に垂直方向に巻き付けられる。そして、第2のループであるコイル82もまた携帯電話機80に垂直方向に巻き付けられ、携帯電話機80の一端に取り付けられる。携帯電話機80は、バッテリーカバーのない状態で図示されている。いずれも、フェライトシールドは図示されていない。
【0042】
マルチループコイル構造は、複合的な使用事例に対応するために使用される場合がある。マルチループコイル構造において、ワイヤレス充電転送コイルは、同一または様々なサイズの複数のループを直列につないだマルチループコイルとして設計される。この種の構造を使用すれば、機器のバッテリーは、様々な位置及び/またはサイズのワイヤレス充電伝達タイプで充電することができる。1ループ転送コイルと比較すると、マルチループ転送は、ワイヤレス充電伝達タイプに関わらず、ワイヤレス充電のための機器構成に関してより高い自由度を提供することも言及すべきであろう。さらに、複数のバッテリーが使用される場合、1つのコイルは1つまたは複数のバッテリーに巻き付けることができ、厚みの増加を最小限にすることができる。
【0043】
マルチループコイル構造は、平面コイル構成を用いて実装することもできる。さらに、本発明の実施形態において、マルチループコイル構造は、垂直方向に巻き付けたコイルと別のタイプのコイル構成(例えば、平面コイル)との組み合わせとして実施することができる。マルチループコイル構造の様々なループは、機器内の様々なタスクに割り当てることができる。例えば、マルチループコイル構造の1つのループは、垂直方向に巻き付けたワイヤレス充電転送コイルである場合がある。そして、もう1つのループは、近距離通信(NFC)またはその他のあらゆるタスクを提供する平面コイルである場合がある。
【0044】
本発明のさらなる実施形態によれば、ある機器は、様々な使用事例に従って、マルチループコイルから1つまたは複数のコイルを選択可能である。ここで、上記様々な使用事例とは、例えば、マルチループの異なるループに接続する機械的スイッチまたは電気的スイッチをON/OFFすることである。上記のような構成は、シングルループコイル構造の性能を維持しつつ、電話機にタスクを実行させようとするユーザに対して、より高い自由度を提供することができる。
【0045】
一方、機器での誘導エネルギー転送コイルの垂直方向巻き付けループを、2より多く(例えば、3、4、5)にすることも可能である。1つまたは複数のループは、1または複数のバッテリー以外の他の部品の周囲の垂直方向に巻き付けることもできる。上記の他の部品の具体例は、カメラモジュール、スピーカー、マイクロホン、プリント基板、シールドカン、ディスプレイの背面、その他これに類するものである。
【0046】
さらに、誘導エネルギー転送コイルの構造をバッテリーに直接組み込むことも可能である。上記のような組み込み構造を用いる場合、誘導エネルギー転送コイルを使用せず、既存の機器の標準的なバッテリーと取り替えることができ、インダクティブ充電(inductive charging)に適した機器を実現する。
【0047】
本発明の実施形態は、本明細書に紹介したものに限定されるものではないことは当然であり、請求項の範囲内で様々に変形されうるものであることは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8