特許第6017723号(P6017723)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡峰 正治の特許一覧 ▶ 岡峰 正純の特許一覧

<>
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000002
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000003
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000004
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000005
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000006
  • 特許6017723-人工乳首構造 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017723
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】人工乳首構造
(51)【国際特許分類】
   A61J 11/00 20060101AFI20161020BHJP
   A61J 11/04 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61J11/00 D
   A61J11/04 A
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-151102(P2016-151102)
(22)【出願日】2016年8月1日
【審査請求日】2016年8月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513163063
【氏名又は名称】岡峰 正治
(73)【特許権者】
【識別番号】516231305
【氏名又は名称】岡峰 正純
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】岡峰 正治
【審査官】 増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−045993(JP,U)
【文献】 米国特許第5244105(US,A)
【文献】 実開昭51−065987(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0164043(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102113964(CN,A)
【文献】 実開昭54−117392(JP,U)
【文献】 実公昭47−038388(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 11/00−04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着される人口乳首構造において、容器口部に着脱自在に連結する連結部と、該連結部から延長されたドーム形状の吸口部とを備え、該吸口部の先端部分に沿って側面扇形状の肉厚部を形成すると共に、肉厚部の先端部分に沿って直線状の吸孔を形成し、該肉厚部の吸孔部分を囲むように吸口部に肉薄部を凹設したことを特徴とする人口乳首構造。
【請求項2】
前記肉厚部は側面扇形状の先端部を帯状に形成し、この帯状先端部の幅員中央部位に前記吸孔を形成し、該肉厚部に隣接する前記吸口部に前記肉薄部を凹設し、前記吸孔の長さにより前記吸口部の吸引力を調整するように構成した請求項1記載の人口乳首構造。
【請求項3】
前記肉厚部は、前記吸口部の先端部分に十字形状に設けられ、前記吸孔は十字形状に形成された請求項1又は2記載の人口乳首構造。
【請求項4】
前記肉厚部は、前記吸口部の先端部分に平面直線状に設けられ、前記吸孔は直線状に形成された請求項1又は2記載の人口乳首構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人口乳首構造に係り、特に、空気孔を設けなくても吸引が容易になり、しかも人工乳首を下向きにしても吸孔から全く漏れない人工乳首構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の人工乳首構造として、例えば特許文献1に記載の哺乳瓶用乳首や、特許文献2に記載の哺乳器等が提案されている。いずれも、空気孔の空気調節により適正な吸引調節や不使用時における吸孔からの漏れ防止を図るように構成されている。
【0003】
すなわち、特許文献1の哺乳瓶用乳首は、乳首の瓶口嵌着部に、二段構造の空気弁を設けると共に、乳首先端にドーム形状の薄膜を設け、該薄膜に切目を入れて吸孔を形成することで、吸引時の適正な吸引調節ができるように構成している。
【0004】
一方、特許文献2に記載の哺乳器では、人口乳首のキャップ部に第1の通気調節部と第2の通気調節部とを設けたものである。そして、温度の高いミルクを収容して哺乳瓶内が陽圧になっても、液体が哺乳器から漏れ出すことがないというものである。
【0005】
これら従来の人口乳首構造は、いずれも、乳首先端の薄肉部に吸孔を形成したもので、この吸孔とは別に空気孔を形成することで、吸孔から液体が出にくくならず、また、液体の漏れを防止するものである。
【0006】
また、最近の人工乳首は、乳児の使用に限らず、高齢者用としても使用する頻度が増えている。例えば、介護者による使用や、健常者がペットボトル等に装着して使用することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭51−38265号公報
【特許文献2】特許第3916543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来の人工乳首構造のように、乳首先端の薄肉部に吸孔を形成すると、吸孔にミルク等がつまり、ミルク等の出方が悪くなる虞があった。また、吸孔とは別に空気孔を設けた場合、人口乳首と容器との接続部分に空気孔を設けるので、この接続部分に不具合があると空気孔から液体が漏れ出てしまう虞は解消されていない。
【0009】
しかも、従来の吸い口構造のように、乳首先端の薄肉部に吸孔を形成する場合、吸孔の厚みによって適度に吸引できる範囲が限定されるので、乳児は乳児用の薄肉部を有する人工乳首が使用され、大人は大人用の薄肉部を有する人工乳首が使用されることになる。そうすると、使用者に適した吸引力の吸孔を形成する場合、これら吸孔部分の厚みに適するように空気口の径や構造等を調整するといった複雑な作業が必要になる。
【0010】
そこで、本発明は上述の課題を解消すべく創出されたもので、吸孔とは別に空気孔を設けなくても吸引が容易で、しかも人工乳首を下向きにしても吸い口から全く漏れずにすみ、更には、吸孔の長さを変更することで吸引力の調整が容易な人工乳首構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、容器の口部に装着される人口乳首構造において、容器口部に着脱自在に連結する連結部10と、該連結部10から延長されたドーム形状の吸口部20とを備え、該吸口部20の先端部分に沿って側面扇形状の肉厚部21を形成すると共に、肉厚部21の先端部分に沿って直線状の吸孔22を形成し、該肉厚部21の吸孔22部分を囲むように吸口部20に肉薄部23を凹設したことにある。
【0012】
第2の手段において、前記肉厚部21は側面扇形状の先端部を帯状に形成し、この帯状先端部の幅員中央部位に前記吸孔22を形成し、該肉厚部21に隣接する前記吸口部20に前記肉薄部23を凹設し、前記吸孔22の長さにより前記吸口部20の吸引力を調整するように構成したものである。
【0013】
第3の手段において、前記肉厚部21は、前記吸口部20の先端部分に十字形状に設けられ、前記吸孔22は十字形状に形成されたものである。
【0014】
第4の手段において、前記肉厚部21は、前記吸口部20の先端部分に平面直線状に設けられ、前記吸孔22は直線状に形成されたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1のように、吸口部20の先端部分に沿って側面扇形状の肉厚部21を形成すると共に、肉厚部21の先端部分に沿って直線状の吸孔22を形成し、該肉厚部21の吸孔22部分を囲むように吸口部20に肉薄部23を凹設したことで、使用者が吸口部20を銜えると、自然に吸孔22が開いて吸引できるようになる。したがって、従来のように空気孔を設けなくても容易に吸引することができる。この結果、人口乳首と容器との接続部分に不具合があると空気孔から液体が漏れてしまうといった不都合や、吸口部20を下向きにすると液体が漏れてしまうといった不都合は解消された。
【0016】
請求項2のごとく、前記肉厚部21は側面扇形状の先端部を帯状に形成し、この帯状先端部の幅員中央部位に前記吸孔22を形成し、該肉厚部21に隣接する前記吸口部20に前記肉薄部23を凹設し、前記吸孔22の長さにより前記吸口部20の吸引力を調整するように構成したことで、使用者の吸引力によって吸孔22の形状を選択できるものである。したがって、乳児の使用に限らず、高齢者用としても使用することが可能になった。
【0017】
請求項3のように十字形状に設けられた肉厚部21に沿った十字形状の吸孔22や、請求項4のように、直線状に設けられた肉厚部21に沿った直線状の吸孔22を選択することが可能になる。したがって、同じ長さの吸孔22でも、吸口部20の吸引力を細かく調整することができる。
【0018】
このように、本発明によると、空気孔を設けなくても吸引が容易で、しかも吸孔を下向きにしても全く漏れずにすみ、更には、吸孔の長さを変更することで吸引力の調整が容易になるなどといった当初の目的を達成した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例を示す平面図である。
図3】本発明の一実施例を示す縦断面図である。
図4】(A)、(B)は本発明の一実施例を示す要部拡大断面図である。
図5】本発明の他の実施例を示す斜視図である。
図6】本発明の他の実施例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、哺乳瓶やペットボトル等の容器の口部に装着される人口乳首構造であり、連結部10と吸口部20とで構成されるものである(図1参照)。
【0021】
連結部10は、容器口部に着脱自在に連結する部位である。図示の連結部10は、ネジ部11を設けた連結部10を示している(図3参照)。また連結部10は、この他、容器口部に嵌合する手段など、容器口部に着脱自在に連結する任意の手段に変更することも可能である。
【0022】
吸口部20は、連結部10から延長された部位で、従来の人工乳首の吸口部と同様に、全体に丸みを帯びた所謂ドーム形状を成している(図1参照)。使用者はこの吸口部20を噛みながら吸孔22から液体を吸引する。そして本発明の吸孔22は、吸口部20の肉厚部21に形成するものである。
【0023】
すなわち、肉厚部21は、吸口部20の先端部分に沿って側面扇形状を成す部位である。この肉厚部21の長手方向に沿って切目を入れて吸孔22を形成する(図2参照)。図示例では、側面扇形状の先端部を帯状に形成し、この帯状先端部の幅を2mmに設定し、この幅員の中央に沿って肉厚部21に吸孔22を形成した状態を示している(図2図6参照)。
【0024】
更に、この肉厚部21の吸孔22部分を囲むように吸口部20に肉薄部23を凹設している。この肉薄部23は、肉厚部21に隣接する吸口部20に凹設した部位で、図示例では、肉厚部21の周囲に形成された平面略円形状を成す部位である(図2図6参照)。
【0025】
このとき、吸口部20の厚みを1mmに設定し、肉薄部23の厚みを0.8mmに設定している。更に、肉厚部21を吸口部20の厚みから次第に肉厚になり、先端部分で2mmの厚みになるように設定している(図4(A)参照)。そうすると、肉厚部21は肉薄部23に囲まれた状態になり、吸口部20を銜えると、肉厚部21の吸孔22が開いて外気が侵入し、容器から液体が吸引されるものである。
【0026】
肉厚部21の形状は十字形状又は直線状のいずれかを選択することができる。すなわち、吸口部20の先端部分に平面十字形状の肉厚部21を設け(図1参照)、この肉厚部21に沿って十字形状の吸孔22を形成する(図2参照)。
【0027】
また、吸口部20の先端部分に平面直線状の肉厚部21を設け(図5参照)、この肉厚部21に沿って直線状の吸孔22を形成することができる(図6参照)。
【0028】
更に、吸孔22の長さにより前記吸口部20の吸引力を調整するように構成している。例えば、乳児から離乳食前の幼児では、吸孔22の長さを3〜5mmに設定する。また、高齢者や要介護者等は、吸孔22の長さを5mm前後に設定する。また、健常者がペットボトルに人口乳首を装着して使用する場合は、吸孔22の長さを10mm前後に設定するのが好ましい。尚、吸口部20のサイズは使用者により任意に変更することができる。このように、吸孔22の長さを使用者の吸引力に合わせて3乃至10mmに設定することで、乳児から大人に至るまで使用することが可能になる。
【0029】
また、同じ長さの吸孔22でも、直線状の吸孔22に比べて十字形状の吸孔22のほうが比較的弱い吸引力で吸引できることが分かった。そこで、これら直線状の吸孔22と十字形状の吸孔22とを選択することで、吸口部20の吸引力を更に細かく設定することが可能になる。
【0030】
本発明を使用する場合、通常は肉厚部21の弾性力にて吸孔22が閉じている(図4(A)参照)。この場合、吸孔22を下向きにしても液体は全く漏れない。次に、吸口部20を銜えることで、肉厚部21の吸孔22が自然に開くことになる。そうすると、吸口部20内が負圧の場合は、この吸孔22を通して吸口部20内に外気が侵入し吸口部20内が常圧になる。吸口部20内が常圧の場合、吸口部20を噛みながら液体を吸引すると、吸孔22が開口すると共に、肉薄部23が変形して吸口部20から液体が吸い出される(同図(B)参照)。
【0031】
一方、本発明の吸口部20を下向きにした場合、吸口部20が負圧の場合は吸孔22が強く閉じた状態になる。また、収容した液体の温度が高いなど、吸口部20が陽圧になっている場合でも、肉厚部21の弾性力が作用して吸孔22を閉じるので、液体の漏れを防止するものである。
【0032】
尚、本発明の吸口部20の構成は図示例に限定されるものではなく、肉厚部21や肉薄部23の形状や厚み等は、本発明の要旨を変更しない範囲で自由に設計変更できるものである。
【符号の説明】
【0033】
10 連結部
11 ネジ部
20 吸口部
21 肉厚部
22 吸孔
23 肉薄部
【要約】
【課題】空気孔を設けなくても吸引が容易で、しかも人工乳首を下向きにしても吸い口から全く漏れずにすむ人工乳首構造を提供する。
【解決手段】容器の口部に装着する人口乳首を構成する。容器口部に着脱自在に連結する連結部10を設ける。該連結部10から延長されたドーム形状の吸口部20を設ける。吸口部20の先端部分に沿って側面扇形状の肉厚部21を形成する。該肉厚部21の長手方向に沿って切目を入れて吸孔22を形成する。該肉厚部21の周囲に平面円形状の肉薄部23を形成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6