特許第6017725号(P6017725)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017725関心対象における二酸化炭素分圧を決定する装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017725
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】関心対象における二酸化炭素分圧を決定する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20161020BHJP
   A61B 5/08 20060101ALN20161020BHJP
   A61B 5/01 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   A61B5/14 322
   !A61B5/08
   !A61B5/00 101K
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-505860(P2016-505860)
(86)(22)【出願日】2014年6月13日
(65)【公表番号】特表2016-517722(P2016-517722A)
(43)【公表日】2016年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2014062324
(87)【国際公開番号】WO2014198868
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2015年10月2日
(31)【優先権主張番号】13171767.0
(32)【優先日】2013年6月13日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】カールマン ジョゼファス アルノルダス ヘンリカス マリア
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−178634(JP,A)
【文献】 特表2005−507298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/1455
A61B 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心対象の循環系における血液内の血液ガス分圧を邪魔にならないように決定する装置において、
現在の本質的な自然な血液温度レベル差を示す温度関連測定値を検出する邪魔にならない温度検出器であって、前記血液温度レベル差は、異なる場所において測定された血液温度レベルの間の差である、温度検出器と、
前記温度関連測定値を考慮して前記対象の血液の酸素飽和度測定値を導出する邪魔にならない酸素飽和度センサと、
前記監視される対象の血液ガス分圧を決定する血液ガス圧プロセッサであって、前記監視される対象の血液ガス分圧が、前記検出された温度関連測定値を考慮して前記導出された酸素飽和度測定値から決定される、血液ガス圧プロセッサと、
を有する装置。
【請求項2】
前記血液ガス分圧が、二酸化炭素分圧であり、前記血液ガス圧プロセッサが、二酸化炭素分圧プロセッサであり、前記血液ガス圧プロセッサが、前記対象の現在の血液pH値に起因するpHを表す値を決定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記温度検出器が、前記対象の皮膚における少なくとも2つの測定ゾーンを監視し、前記少なくとも2つの測定ゾーンが、異なる血液温度レベルを示す、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記温度検出器が、実際の温度値を示す電磁放射線を感知する少なくとも1つのセンサ要素を有する光検出器として構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記温度検出器が、熱撮像センサとして構成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記温度検出器が、前記対象の皮膚に取り付け可能な少なくとも1つの光学的温度インジケータを更に有し、前記少なくとも1つの光学的温度インジケータが、温度の変化に応答して特性変化を示すことができる、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記酸素飽和度センサが、少なくとも2つの異なる波長部分において電磁放射線を感知することができる光学センサとして構成され、前記電磁放射線が、前記対象の組織内の血流を示す、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記酸素飽和度センサが、画像センサとして構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記温度検出器が、前記対象の皮膚に取り付け可能な接触センサとして構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサが、血液温度及び血液酸素飽和度のサイクル間変化を検出することを可能にするサンプリングレートで動作することができる、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサを同期させるクロック発生器を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
患者を換気するシステムにおいて、前記システムが、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置と、
患者換気インタフェースと、
を有する、システム。
【請求項13】
関心対象の循環系における血液内の血液ガス分圧を邪魔にならないように決定する装置の作動方法において、
前記装置の温度検出器が、対象の血液の現在の本質的な自然な血液温度レベル差を示す温度関連測定値を邪魔にならないように決定するステップと、
前記装置の酸素飽和度センサが、前記温度関連測定値を考慮して前記対象の血液の酸素飽和度測定値を邪魔にならないように導出するステップと、
前記装置の血液ガス圧プロセッサが、前記対象の現在の血液温度を考慮して前記導出された酸素飽和度測定値から前記監視される対象の血液ガス分圧を決定するステップと、
を有する方法。
【請求項14】
前記血液ガス分圧を決定するステップが、前記対象の現在の血液pH値に起因するpHを表す値を決定するステップを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
医療システム又は装置の一部であるコンピュータ上で実行される場合に、請求項13に記載の方法のステップを前記コンピュータに実行させるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者のような関心対象の循環系における血液内の二酸化炭素分圧を決定する装置及び方法に関する。本発明は、更に、関心対象の循環系における血液内の二酸化炭素分圧を決定するのに新しいアプローチを使用する患者を換気するシステムに関する。より一般的には、本発明は、バイタルパラメータの検出又は、更に一般的には、いわゆる遠隔監視アプローチさえも有しうる、邪魔にならない(non-obtrusive)監視を使用するバイタルサイン情報の検出に関する。より具体的には、本発明は、遠隔光電式容積脈波監視、遠隔酸素飽和度監視及び関連する応用のような遠隔監視の分野において応用されることができる医療撮像分野における画像処理システム及び方法に関してもよい。
【0002】
本発明は、更に、対応するコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
GB2485558Aは、侵襲的血液分析装置及び方法に関し、血液は、患者から酸素供給器に提供され、調べられ、前記患者に戻される。血液特性は、前記酸素供給器に又はから提供される血液から直接的に測定される。結果的に、前記患者の血液を調べることは、特に邪魔(obtrusive)である。
【0004】
WO98/03847A2は、血液パラメータを非侵襲的に決定する方法及び装置を開示している。前記装置は、患者の血液における温度変化を誘発する温度誘発発生器と、血液の温度を測定する温度測定手段とを有しうる。更に、血液の誘発された温度レベルに基づいて様々な血液パラメータを計算するコントローラが、設けられる。
【0005】
WO2012/077065A1は、対象の動脈血における二酸化炭素分圧を決定する方法及び装置を開示し、前記方法は、
‐対象内の動脈血の少なくとも1つのパラメータの変調を生じるステップと、
‐前記少なくとも1つのパラメータの変調中に前記対象の動脈血の酸素飽和度を導出するステップと、
‐前記導出された酸素飽和度から前記対象の二酸化炭素分圧を決定するステップと、
を有する。
【0006】
この文献は、更に、前記方法及び装置の複数の改良を開示する。この文献は、特に、動脈血酸素飽和度(SaO2)を測定し、次いで前記測定された動脈血酸素飽和度(SaO2)から動脈酸素分圧(PaO2)を導出するのに酸素解離曲線(ODC)を使用することにより患者の血液の動脈酸素分圧(PaO2)を監視することに対処する。二酸化炭素の分圧(PaCO2)の検出に関して、この文献は、いわゆるカプノグラフに対処する。カプノグラフは、CO2の分圧の吸入及び吐出濃度を監視する既知の技術である。
【0007】
PaCO2を監視する他の既知の技術は、経皮的CO2監視である。典型的には、経皮的CO2監視は、患者の皮膚に付着された電気化学的又は化学光学的センサを使用する。更に、皮膚組織は、測定された経皮的CO2圧(PtcCO2)を動脈CO2圧(PaCO2)と関連付けるのに必要とされる動脈化を促進するように加熱される。当技術分野において既知であるように、前記組織のCO2圧は、実際の動脈CO2圧とは異なってもよく、これは、このアプローチの精度を基本的に減少させる。経皮的CO2センサは、典型的には、PaCO2決定の精度のレベルを増大させる温度の増大に対していくらかの加熱を必要とする。結果的に、温度補正が、必要とされる。
【0008】
経皮的センサは、典型的には、能動的温度管理により引き起こされる前記患者の皮膚に対する、皮膚火傷のような、熱的影響により再較正及び再配置を必要とする。したがって、経皮的監視は、しばしば、不愉快であると見なされる。特に、経皮的監視は、長時間監視に適切ではない。
【0009】
多くのヘルスケア応用に対して、血液測定及び監視は、患者の(又は、より一般的には、対象の)呼吸条件を評価するのに重要である。これは、基本的には、集中治療医学、入院患者治療、及び外来患者治療にも適用されうる。特に様々な肺疾患を患う人工呼吸器を付けている患者に対して、動脈血測定は、スポットチェック測定に対する幅広く応用される基準と見なされてもよい。
【0010】
上述のように、非侵襲的監視アプローチは、前記患者の体にセンサを物理的に付着させることにより血液内のガス分圧(PaO2、PaCO2)及び酸素飽和度(SpO2)のようなパラメータを監視することを可能にする。まだ、しかしながら、これらの既知の技術は、センサ素子が前記患者の体に固定されなくてはならないので、まだ、邪魔であると見なされることができる。
【0011】
要求される準備、導入及び監督が、入院患者治療に対して病院において提供及び保証されることができるのに対し、特に家庭に留まる患者の外来患者治療は、どのような場合でも準備及び導入努力に及び監視精度に関する要求される監視性能を提供することができないかもしれない。
【0012】
家庭呼吸ケアは、典型的には家庭において非侵襲的換気(NIV)を用いて換気される慢性閉塞性肺疾患(COPD)又は神経筋疾患のような疾患を患う患者に対する適切な方策である。典型的には、これらの患者は、最初に、換気設定を評価及び最適化し、動脈血ガス波を監視するように病院に滞在する。疾患の経過、重症度及び患者の安定性に依存して、患者は、追加のチェック及びセットアップのために時間から病院に戻らなければならないかもしれない。代案において、呼吸看護師のような有資格医療スタッフは、換気構成及びパラメータを制御するように家庭における患者を訪問してもよい。また、これらの訪問中に、血液ガス監視構成は、構成され、前記患者に適用されることができる。例えば、血液ガス監視は、夜間に実行されることができ、これは、換気及び呼吸データに関するデータ取得と結合されてもよいのに対し、蓄積されたデータは、前記有資格医療スタッフによる後の分析に対して提供されることができる。
【0013】
当技術分野において既知であるように、二酸化炭素分圧監視は、カプノグラフにより非侵襲的に実行されることができる。カプノグラフは、かなり健康な肺を持つ挿管された患者に対する適切なアプローチと見なされることができる。これに関連して、カプノグラフは、動脈血二酸化炭素値の適切な標示として機能しうる呼気終末二酸化炭素(EtCO2)値の決定を目指す。しかしながら、例えば深刻な呼吸疾患を患う患者に対する、一部の応用において、及び/又は非侵襲的換気が適用され、空気が換気マスクと前記患者の顔との間の隙間を通って漏れるかもしれない場合に、カプノグラフは、十分な信頼性を提供しえない。典型的には、病院における不動の治療に対して、カプノグラフは、一方で時々の正確な値を取得し、同時に血液サンプリングに基づく値より正確ではないが、まだ診断的に決定的でありうる傾向値を永久に監視及び分析することができるように邪魔な侵襲的動脈血サンプリングと組み合わせられる。
【0014】
他のアプローチによると、経皮的二酸化炭素監視は、空気漏れ及び前記患者の深刻な呼吸欠陥により邪魔又は作用されない。しかしながら、経皮的CO2監視は、まだ、測定機器を導入し、精密かつ正確な測定を開始及び観測するために有資格医療スタッフを必要とする。頻繁に、経皮的二酸化炭素監視は、皮膚特性変化の影響を受けやすい対象に報告されている。結果的に、このような測定を実行するときに気を付けるべきである。さもなければ、不正確な値が、起こりそうになくないかもしれない。現在、二酸化炭素血液ガス監視は、家庭に滞在する外来患者に一般的に適用されておらず、したがって、非侵襲的換気を受ける患者に対する高い関連性が、認められる。
【0015】
例として、一般に既知の経皮的二酸化炭素センサは、前記患者の皮膚の血流及びガス透過率を増大させるように構成されたサーモスタット制御のヒータ要素、皮膚とセンサ膜との間に設けられた流体層、センサを覆うガス透過膜、電気化学pHセンサ及び基準電極を有するセンサ、及び温度効果及び皮膚代謝を補償する補償アルゴリズムを適用するように構成された処理ユニットから成ってもよい。
【0016】
前記センサに存在する温度と(推定される)動脈血温度との間の差は、典型的には、異なり、測定された「皮膚」二酸化炭素分圧から所望の「経皮的」二酸化炭素値を導出する場合に考慮されなければならないので、温度効果が、起こり得る。
【0017】
また、経皮的測定の場合に、温度効果は、接触センサのセンサ面に隣接した皮膚組織に適用されるわずかな加熱処理から発達しうる。センサ加熱は、動脈血ガスレベルを反映する経皮的値を得ることができるように経皮的血液ガス測定に対して重要であると見なされる皮膚動脈化を高めるのに必要とされうる。例えば、一部の現在利用可能な経皮的測定システムにおいて、動脈化に対する適切な最小センサ温度は、約42℃(摂氏)でありえ、これは、血流により引き起こされる冷却効果を補償するように最大で約500mW(ミリワット)の加熱電力入力を意味しうる。
【0018】
二酸化炭素分圧測定に対する他のアプローチは、パルスオキシメトリのような光電式容積脈波測定方法に基づくことができる。容量脈波記録法(プレチスモグラフィ)は、一般に、器官又は身体部分の体積変化の測定、特に心拍ごとに対象の体を通る心臓血管脈波による体積変化の検出を示す。
【0019】
光電式容積脈波記録法(PPG)は、関心面積又は体積の光反射率又は透過率の時変変化を評価する光学的測定技術である。PPGは、血液が周囲の組織より多くの光を吸収し、したがって、心拍ごとの血液体積の変動が、対応して透過率又は反射率に影響を与えるという原理に基づく。心拍に関する情報に加えて、PPG波形は、呼吸のような他の生理学的現象に起因する情報を有する。異なる波長(典型的には赤及び赤外)における透過率及び/又は反射率を評価することにより、血液酸素飽和度が、決定されることができる。
【0020】
対象の心拍及び(動脈)血液酸素飽和度を測定する従来のパルスオキシメータは、前記対象の皮膚、例えば指先、耳たぶ又は額に取り付けられる。したがって、これらは、「接触」PPG装置と称される。典型的なパルスオキシメータは、光源としての赤色LED及び赤外LED並びに患者組織を透過した光を検出する1つのフォトダイオードを有する。市販のパルスオキシメータは、赤及び赤外波長における測定の間で迅速に切り替わり、これにより2つの異なる波長で組織の同じ領域又は体積の透過率を測定する。これは、時分割多重化と称される。各波長における経時的な透過率は、赤及び赤外波長に対するPPG波形を与える。接触PPGは、基本的に非侵襲的技術と見なされるが、前記パルスオキシメータは、前記対象に直接的に取り付けられ、いかなるケーブルも、移動する自由を制限するので、接触PPG測定は、しばしば、不快であるように経験される。
【0021】
近年、邪魔にならない測定に対する非接触の遠隔PPG装置が、導入されている。遠隔PPGは、関心対象から離れて配置された光源又は一般に放射線源を使用する。同様に、検出器、例えば、カメラ又は光検出器も、前記関心対象から離れて配置されることができる。したがって、遠隔光電式容積脈波システム及び装置は、邪魔でないと見なされ、医療及び非医療の日常的使用に適している。
【0022】
例えば、対象、例えば、人間の患者の動脈血におけるCO2分圧は、非侵襲的人工呼吸器を介して前記患者に供給されるガス成分の濃度が、例えば、変調される間隔で前記対象の動脈血の酸素飽和度を測定及び/又は導出することにより決定されることができる。これは、酸素飽和度の導出を前記対象内の動脈血のパラメータ変調の変調(例えば、温度変調)サイクルと同期させることにより達成されてもよい。二酸化炭素分圧は、この場合、導出された酸素飽和度から決定されてもよい。これは、前記変調による動脈血の酸素飽和度の変化から前記患者の動脈血のpHを導出することにより、及び酸素解離曲線(ODC)を使用して、これらの変化からpH値を導出することにより達成されてもよい。
【0023】
血液の酸素飽和度は、酸素分圧の関数としてのヘモグロビンの合計量、すなわち酸化ヘモグロビン及びデオキシヘモグロビンに対する酸化ヘモグロビンの割合である。OHDCは、酸素分圧(pO2)と酸素飽和度との間の関係を記述する(酸素ヘモグロビン解離曲線)。
【0024】
WO2012/077065A1に基本的に示されるように、前記対象の動脈血の酸素飽和度は、パルスオキシメータのような単純かつロバストなプローブを使用して前記対象の動脈血の酸素飽和度を測定することにより得られてもよい。この測定は、例えば能動的温度変調を用いて、供給されるガス濃度の(能動的)変調サイクルと同期されてもよい。したがって、結果として生じる前記分圧の変調は、小さくてもよい(±1kPa)。これは、前記変調サイクルと同期してSpO2変調を測定することにより達成されることができる。この測定スキームの追加の利点は、生理学的プロセスによる実際のSpO2値の変化が、本質的に分離されるので、変調測定を損なわないことである。
【0025】
前記対象の動脈血は、PaO2も変調されるようなレートで変調されてもよい。酸素飽和度読取値は、異なるPaO2レベルで及び前記酸素解離曲線を使用して取られてもよく、pHが決定されることができ、最終的に、前記pHに基づいて、二酸化炭素分圧が、決定されることができる。これは、約0.2kPaの精度で前記二酸化炭素分圧の測定を提供することが証明されている。前記二酸化炭素分圧は、Guidelines for Blood Gas and pH Analysis and Related Measurementにおいて臨床・検査標準協会(CLSI)により開示されるヘンダーソン・ハッセルバルヒの式の単純化及び標準化された形式を使用して決定されてもよい。
【0026】
代わりに、前記酸素解離曲線における特定の作用点に対する近似が、得られることができ、例えば、
pH≒pKa−βPaCO2 (1)
であり、ここでpHは、前記対象の動脈血のpH値であり、pKaは、前記対象の動脈血のイオン化定数であり、pKaは、好ましくは、7.5乃至8.0の範囲内であり、βは、前記対象の個人用の係数であり、βは、好ましくは、0.04乃至0.08の範囲内であり、PaCO2は、動脈血二酸化炭素分圧である。典型的な患者において、pKaは約7.7であり、βは約0.06である。
【0027】
光電式容積脈波記録法により決定される酸素飽和度に基づいて、酸素分圧は、いわゆる酸素解離曲線(OHDC)により導出されることができる。更に、WO2012/077065A1に示されるように、光電式容積脈波記録法による酸素飽和度検出(SpO2)は、そこから二酸化炭素分圧値(pCO2)を最終的に導出するような好ましい形に拡張されることができる。このために、この文献は、酸素飽和度の測定の傍らで観測される患者の血液を能動的に変調させることを提案する。
【0028】
血液サンプリングによる血液ガス監視は、特に邪魔であると見なされ、したがって、監視される対象により不快であることが分かっている。また、対象の皮膚に取り付けられなければならないセンサを使用する経皮的血液ガス測定に対して、まだ、たくさんの準備、取り付け及び較正作業が必要であり、これも、邪魔であり、不快であることが分かっている。特に、監視されるべき対象における血流に対する温度管理及び/又は温度変調は、高価な装置及びかなりの準備及び監視作業を要求する。結果的に、血液ガス測定及び監視の応用は、限定的である。これは、特に、家庭に滞在する対象の外来患者治療に適用される。まだ、しかしながら、医療の観点から、家庭に滞在する患者に対しても血液ガス測定及び監視を可能にすることが、有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
本発明の目的は、邪魔にならずに及び経済的に関心対象の循環系における血液内の血液ガス分圧を決定する改良された装置及び方法を提供することである。このような装置及び方法を使用して患者を換気するシステムを提供することは、更に有利である。有利には、本開示の装置及び方法は、血液ガス割合及び/又は圧値を自動的に監視及び検出するのに改良を可能にするように検出された信号を処理するのに更なる改良を提供する。更に、邪魔にならない監視を可能にし、特に長期監視に適した装置及び関連する方法を提示することは、有利である。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の第1の態様において、関心対象の循環系における血液内の血液ガス分圧を邪魔にならないように決定する装置が、提示され、前記装置は、
‐現在の本質的な自然な血液温度レベル差を示す温度関連測定値を検出する邪魔にならない温度検出器と、
‐前記温度関連測定値を考慮して前記対象の血液の酸素飽和度測定値を導出する邪魔にならない酸素飽和度センサと、
‐前記対象の現在の血液温度レベル差を示す前記温度関連測定値を考慮して前記導出された酸素飽和度測定値から前記監視される対象の血液ガス分圧を決定する血液ガス圧プロセッサと、
を有する。
【0031】
本発明は、監視される対象(又は患者)内に存在する本質的な自然な血液温度差及び/又は変化が、酸素飽和度(SpO2)及び血液温度に対する実際の依存性を決定するのに使用されうるという洞察に基づく。したがって、例えば、SpO2値及び対応する温度値の間の関係は、ヘモグロビン酸素解離曲線のような形式的関係に関連して考慮されることができるので、単なるSpO2検出は、血液ガス分圧測定に拡張されることができ、前記ヘモグロビン酸素解離曲線に基づいて、所望の血液ガス分圧が導出されることができる。例えば、前記対象の動脈血内の二酸化炭素分圧の決定が、対処されることができる。更に、酸素分圧も、測定の対象であることができる。言うまでもなく、そこから推測される測定値も、導出されることができる。換言すると、前記対象の血液内の二酸化炭素分圧の決定に対処する場合に、酸素飽和度を表す値及び温度を表す値を有する値の対が、基本的に同時に検出されることができ、これは、他の形式的関係を考慮して酸素ヘモグロビン解離曲線(OHDC)から二酸化炭素分圧(PaCO2)を推測することを可能にする。これに関連して、Guidelines for Blood Gas and pH Analysis and Related Measurementにおいて臨床・検査標準協会(CLSI)により開示されるヘンダーソン・ハッセルバルヒの単純化及び標準化された形式を使用する例を示すWO2012/077065A1が参照される。更に、WO98/03847A2も、これに関して参照される。この文献は、血液パラメータの非侵襲的決定に対する装置を開示する。また、この文献は、患者の血液における二酸化炭素パラメータの計算に対処する。更に、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式の使用は、この文献に記載されている。
【0032】
しかしながら、従来技術とは対照的に、本開示の装置は、温度変化を誘導するのではなく、決定及び検出するように更に構成される。結果的に、能動的温度管理が、「受動的」温度測定により置き換えられ、これは、単純化された測定及び処理機器を可能にする。このようにして、ほとんど邪魔にならない血液ガス圧測定が、達成される。これは、特に、前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサが、邪魔にならないセンサとして構成される場合に適用される。好ましくは、前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサの少なくとも1つが、光センサとして構成される。より好ましくは、前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサの少なくとも1つが、非接触測定を可能にする遠隔光センサに配置される。
【0033】
上に示されたように、酸素飽和度検出に対する非接触光電式容積脈波記録アプローチは、近年、導入されている。これに関連して、光電式容積脈波信号が環境光及び従来の消費者レベルビデオカメラを使用して遠隔で測定されることができることを示すVerkruysse et al., "Remote plethysmographic imaging using ambient light", Optics Express, 16(26), 22 December 2008, pp. 21434-21445が、参照される。
【0034】
カメラベースの非接触生理学的測定は、所望のバイタルサイン情報を抽出するのに適切な波長における十分な光を要求する。これは、環境照明が適切にセットアップされることを保証することにより達成されることができる。睡眠時間中に、しかしながら、照明が測定中にオンにされなければならない場合に、これは、患者又は他の監視対象にとって大きな不快感であることができる。更に、照明の光スペクトルが要件を満たすことが重要である。例えば、規定された波長、典型的には赤及び赤外の光を持つことが、血液の酸素飽和度を測定するのに重要である。
【0035】
Wieringa, et al., "Contactless Multiple Wavelength Photoplethysmographic Imaging: A First Step Toward "SpO2 Camera" Technology," Ann. Biomed. Eng. 33, 1034-1041 (2005)は、異なる波長におけるプレチスモグラフ信号の測定に基づく組織内の動脈血酸素飽和度の非接触撮像に対する遠隔PPGシステムを開示している。前記システムは、モノクロCMOSカメラ及び3つの異なる波長のLEDを持つ光源を有する。前記カメラは、前記3つの異なる波長において前記対象の3つの動画を順次的に取得する。脈拍は、単一の波長におけるシーケンスから決定されることができるのに対し、異なる波長における少なくとも2つの動画は、酸素飽和度を決定するのに要求される。Wieringa, et al.によると、前記測定は、一度に1つの波長のみを使用して、暗い部屋で実行される。
【0036】
接触パルスオキシメータは、典型的には、関心対象の血管組織を通る赤(R)及び赤外(IR)(又は、より正確には、場合により近赤外)光を送る。それぞれの光部分(R/IR)は、交互に(高速切り替えで)送信及び検出されることができる。それぞれのスペクトル部分が、酸化ヘモグロビン(HbO2)及び還元ヘモグロビン(Hb)により異なって吸収されると仮定すると、血液酸素飽和度は、最終的に処理されることができる。酸素飽和度(SO2)推定アルゴリズムは、前記赤及び赤外部分に関連する信号の比を使用することができる。更に、前記アルゴリズムは、非脈動信号成分を考慮することができる。典型的には、PPG信号は、DC成分及び比較的小さい脈動するAC成分を有する。更に、SO2推定は、一般に、処理された値に適用される経験的に導出された較正係数を含む。
【0037】
典型的には、前記較正係数(又は較正曲線)は、侵襲的血液酸素飽和度測定を含む基準測定に基づいて決定される。PPG装置は、基本的に、典型的にはHbO2及びHbの比を含む血液酸素飽和度値に変換されなければならない(スペクトル)信号部分の比を検出するので、較正係数が、必要とされる。例えば、本開示を限定することを意図しないが、血液酸素飽和度推定は、以下の一般的な式、
SO2=HbO2/(HbO2+Hb) (2)
に基づくことができるのに対し、PPG装置は、間接的に少なくとも2つの波長におけるスペクトル応答からHbO2及びHbを単に検出する。
【0038】
一般に、特徴信号としての測定された強度曲線28、29は、かなり一定の(DC)部分及び前記DC部分に重なる交流(AC)部分を含むと見なされる。信号処理方策を適用して、前記AC部分は、抽出され、更に、かく乱を補償されることができる。例えば、前記特徴信号の前記AC部分は、前記対象の血管活動、特に心拍を高度に示すことができる優位周波数を有することができる。まだ、前記特徴信号、特に前記AC部分は、他のバイタルパラメータを示すことができる。この関連で、動脈血酸素飽和度の検出は、重要な応用分野である。
【0039】
上に示されたように、基本的に、動脈血酸素飽和度を表す値は、異なるスペクトル部分における前記特徴信号の前記AC部分の振る舞いを考慮に入れて計算されることができる。換言すると、動脈血酸素飽和度の度合いは、血管における異なる放射線吸収に反映されることができる。更に、酸素化度による吸収の差も異なるスペクトル部分にわたり大幅に変化するという事実を使用することができる。更に、前記信号のDC成分も、血液酸素飽和度検出に対して使用されることができる。典型的には、前記DC成分は、前記組織、静脈血、及び非脈動動脈血の全体的な光吸収を表す。一方、前記AC成分は、脈動する動脈血の吸収を表しうる。結果的に、動脈血酸素飽和度(SaO2)の決定は、
SaO2=C・(AC/DC)red/(AC/DC)infrared (3)
と表されることができ、ここでCは、較正パラメータである。Cは、AC/DC関係に適用可能な多種多様な較正パラメータを表してもよく、したがって、式(3)の厳密な代数的意味で解釈されるべきではない。Cは、例えば、固定の定数、固定の定数のセット又は調整可能な較正パラメータを表してもよい。例として、他の典型的なSaO2導出モデルは、
SaO2=C1+C2・(AC/DC)red/(AC/DC)infrared (4)
と表されることができ、ここでC1及びC2は、線形近似の較正パラメータと見なされることができる。他の実施例において、信号較正パラメータ決定は、パラメータC1を調整又は適合させることを対象とすることができる。まだ、代案において、SaO2導出は、分析ユニット内に配置された(又はこれによりアクセス可能な)値表に基づいてもよい。前記値表(又はデータベース)は、検出されたPPG信号と所望の較正パラメータとの間の関係の離散表現を提供しうる。また、この場合、適応可能な較正パラメータが、バイタルパラメータ決定の精度を改良するように使用されてもよい。
【0040】
式(3)及び(4)が、主に例示目的で提示されていると理解されるべきである。これらは、本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。実際に、当業者は、他の適切なSaO2導出モデルを決定及び確立してもよい。代替的な波長の組み合わせ、例えば緑及び赤が、検出されるべき物質に依存して使用されることができる。SaO2の測定が、詳細に記載されているが、これは、血液及び/又は組織内の物質の濃度を測定する一般概念に対する一例として理解されるべきである。
【0041】
血液ガス分圧を決定する、特に血液内の二酸化炭素分圧を決定する前記装置は、SpO2検出に対してこのような原理を使用することができる。更に、代わり又は加えて、熱カメラのような遠隔温度検出器は、前記酸素飽和度測定に対する測定側において又は近くで温度を遠隔で感知するのに使用されることができる。言うまでもなく、基本的に血液温度ではなく皮膚温度(表面温度)が前記温度測定器により検出されることができるので、前記温度検出器は、温度関連測定値を検出するように構成されることができる。しかしながら、前記温度関連測定に基づいて、血液温度レベルが、計算及び導出されることができる。
【0042】
このようにして、酸素飽和度値及び関連する温度関連値の適切な対が得られることができるので、二酸化炭素分圧のような血液ガス分圧の決定に対する適切な基準が、確立されることができる。
【0043】
本開示の他の態様によると、前記血液ガス分圧は、二酸化炭素分圧であり、前記血液ガス圧プロセッサは、二酸化炭素分圧プロセッサとして構成され、前記血液ガス圧プロセッサは、前記対象の現在の血液pH値に起因するpHを表す値を決定するように更に構成される。
【0044】
このようにして、前記装置は、酸素解離曲線を考慮して前記対象の動脈血のpH値を導出することにより前記導出された酸素飽和度測定値から二酸化炭素分圧を決定するように構成される。更に、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式は、二酸化炭素分圧を導出するときに考慮に入れられることができる。
【0045】
酸素飽和度検出は、温度検出に沿って実行されることができるので、前記導出された酸素飽和度測定値の変化が、基本的に前記温度検出器により検出された温度変化により引き起こされると仮定されてもよい。この関係を仮定して、pH値は、酸素解離曲線(ODC)から導出されることができる。結果的に、ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式をこうして、前記血液ガス分圧、特に二酸化炭素分圧は、計算されることができる。
【0046】
他の態様によると、前記温度検出器は、前記対象の皮膚における少なくとも2つの測定ゾーンを監視するように更に構成され、前記少なくとも2つの測定ゾーンは、異なる血液温度レベルを示す。
【0047】
結果的に、前記酸素飽和度センサも、これに応じて構成されるべきであり、すなわち、好ましくは、温度検出及び酸素飽和度検出は、基本的に同じ測定サイト又は少なくとも基本的に隣接した測定サイトにおいて実行される。このようにして、前記酸素飽和度値とそれぞれの温度値との間の密接な関係が、保証されることができる。これに関連して、ほんの少しの温度差が、所望の信号を検出及び導出するのに使用されることができることが強調される。結果的に、前記対象の皮膚における測定サイトを能動的に加熱又は冷却することにより血液温度レベルを変調し、能動的温度測定を実行する更なる必要性が存在しない。
【0048】
更に好適なのは、これに関連して、前記温度検出器が複数の測定スポットにおいて温度値を検出するように構成されることである。例えば、前記温度検出器が、光検出器として構成される場合、前記関心対象のかなり大きな表面部分の温度が、監視されることができる。このようにして、前記血液ガス圧プロセッサは、酸素飽和度測定サイトを囲む複数の温度測定サイトに基づいて現在の酸素飽和度測定サイトにおける実際の温度を補間する温度補間を実行するように更に構成されることができる。このようにして、まさに酸素飽和度測定スポットにおける温度効果は、全体的な血液ガス分圧決定精度に作用することができない。
【0049】
前記血液ガス圧プロセッサは、様々な最適化要件に基づいて測定スポット及び/又は測定場所を選択するように更に構成されてもよい。例えば、現在の測定において最小の二酸化炭素分圧を補償する測定サイトが、選択されることができる。換言すると、複数の測定スポット又はサイトが、監視されることができ、同時に、最適化アルゴリズムに基づいて、これらのスポット又はサイトのみが、更なる処理に対して選択され、これが、高い精度を達成しうる。
【0050】
前記装置の他の態様によると、前記温度検出器は、実際の温度値を示す電磁放射線を感知する少なくとも1つのセンサ要素を有する光検出器として構成されることができる。
【0051】
この実施例は、更に発展されることができ、前記温度検出器が、熱撮像センサ、特に熱撮像カメラとして構成される。
【0052】
基本的に、熱撮像センサは、遠隔センサとして、例えば赤外放射線を感知することができる少なくとも1つのフォトダイオードを有するセンサとして、構成されることができる。このような熱撮像センサは、前記対象の皮膚に取り付けられるように構成されることができる。しかしながら、代案において、赤外波長範囲における電磁放射線を感知する少なくとも1つのダイオードを有する熱撮像センサは、遠隔非接触センサとして構成されることができる。前記温度検出器が、熱撮像カメラとして構成される場合、複数のセンサ要素、例えばセンサ要素のアレイが、提供されることができる。このようなアレイは、例えば、CMOSセンサ(相補型金属酸化膜半導体センサ)として、及びCCDセンサ(電荷結合素子センサ)等として構成されることができる。好ましくは、前記センサアレイは、センサパネルとして構成される。更に好適なのは、これらのパネルが、赤外スペクトルにおける入射放射線を検出するように動作可能であることである。
【0053】
前記装置の他の実施例によると、前記温度検出器は、前記対象の皮膚に取り付け可能な少なくとも1つの光学的温度インジケータを更に有し、前記少なくとも1つの光学的温度インジケータは、温度の変化に応答する特性変化を示すことができる。例として、前記少なくとも1つの光学的温度インジケータは、いわゆる熱変色性物質及び材料を使用することができる。このようにして、前記関心対象における温度を「直接的に」測定することができる温度検出器の必要性が存在しない。例えば、画像処理を使用して、(色変化のような)前記少なくとも1つの光学的温度インジケータの検出された特性変化は、根本的な温度変化を導出するように検出及び分析されることができる。前記酸素飽和度測定が、ビデオカメラのような撮像装置を使用して実行されることができると仮定すると、基本的に同じ撮像装置が、酸素飽和度を示す値及び温度を示す値を検出するのに使用されることができる。ビデオデータは、温度関連情報及び酸素飽和度値の検出を可能にする皮膚特性の最小の変化の表現を含む皮膚表現を抽出するように取得及び分析されることができる。
【0054】
この実施例は、更に発展されることができ、前記少なくとも1つの光学的温度インジケータは、少なくとも部分的に透明な温度インジケータとして構成される。このようにして、温度検出及び酸素飽和度検出は、基本的に同じ測定サイトにおいて、又は互いに隣接しているそれぞれの測定サイトにおいて実行されることができる。
【0055】
前記装置の他の態様によると、前記酸素飽和度センサは、対象の組織内の血流を示す少なくとも2つの異なる波長部分において電磁放射線を感知することができる光センサとして構成される。このために、前記酸素飽和度センサは、少なくとも2つの波長部分において電磁放射線を選択的に放射することができる光源と結合される少なくとも1つのフォトダイオードを設けられてもよい。前記光源を常に切り替える又は交代させる及び対応して前記少なくとも1つのフォトダイオードを同期させることは、最終的に酸素飽和度値を導出するように処理及び分析されることができる前記少なくとも2つの波長部分における電磁放射線の交互の検出を可能にしうる。代案において、異なる波長部分に割り当てられる少なくとも2つのフォトダイオードが、使用されてもよい。
【0056】
前記装置の他の態様によると、前記酸素飽和度センサは、画像センサとして、特に少なくとも1つの特定の波長範囲内の電磁放射線を感知することができる撮像カメラとして、構成される。例として、前記撮像カメラは、可視放射線を感知することができる。前記撮像カメラが、拡張された応答性を持ち、赤外波長範囲内の電磁放射線も感知することを可能にすることは、更に有利であることができる。このようにして、赤外放射線、例えば温度を示す皮膚表現に沿った可視放射線、例えば皮膚表現が、取得されることができる。上に示されるように、一部の実施例において、撮像カメラのような単一の撮像センサが、温度検出に対して及び酸素飽和度測定検出に対して使用されることができる。
【0057】
特に好適なのは、温度検出及び酸素飽和度測定が、邪魔にならないように遠隔で実行されることである。これは、検出器、センサ又はセンサ要素が前記対象の皮膚に取り付けられないことを意味してもよい。このようにして、ほとんど邪魔にならない測定が、達成されることができる。言うまでもなく、遠隔撮像カメラを使用するこのような実施例も、前記対象の皮膚に取り付けられる少なくとも1つの光学的温度インジケータと組み合わせられることができる。
【0058】
まだ、しかしながら、一部の実施例において、前記温度検出器は、前記対象の皮膚に取り付け可能である接触センサとして構成されることができる。異なる温度レベルを検出するために、前記温度検出器は、前記対象の皮膚に取り付けられてもよい複数の温度検出器要素を有してもよい。結果的に、対象における異なる温度レベルが、検出されることができ、これは、所望の血液ガス分圧を決定するのに使用されてもよい。
【0059】
前記装置の他の態様によると、前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサは、更に、血液温度及び血液酸素飽和度のサイクル間変化を検出することを可能にするサンプリングレートで動作することができる。血管内の脈動する血液の局所的温度が、サイクル間冷却効果により心拍サイクル中に変化しうることが、観測された。結果的に、温度測定及び酸素飽和度測定を同期させることは、有益である。前記サイクル間血液温度変化が、典型的には、増大する血液体積流とともに及びそれぞれの血管、例えば、動脈と、前記測定が行われる皮膚部分との間の増大する距離とともに減少しうる振幅を持つことが、更に観測されている。
【0060】
前記サイクル間変化を検出すること及び温度測定及び飽和度測定を同期させることは、要求される測定場所及び/又は測定サイトの数を大幅に減少させるのに寄与することができる。換言すると、異なる場所における血液の温度及び酸素飽和度の測定は、少なくとも部分的に、心拍サイクル内の異なる時間的段階及び/又は時間的瞬間における温度及び酸素飽和度の測定により置き換えられることができる。観測される効果は、皮膚血流及び同様の循環パラメータを測定するのに更に使用されることができる。結果的に、本開示の装置は、患者監視における更に幅広い応用を見つけうる。
【0061】
心拍による前記患者のサイクル間熱変動が、脈動する(動脈)血液が測定されるインジケータであってもよいことが、更に観測されている。結果的に、これらの変動を検出することは、実際の測定が診断的に関連し、確実であることを保証する動脈血ガスパラメータが検出されるという標示と見なされうる。
【0062】
例えば、サンプリングレートは、約10乃至30Hz又はそれ以上の範囲内で選択されうる。ここで使用される、サイクル間変化は、心拍サイクル及び/又は呼吸速度サイクル内の温度変化及び酸素飽和度を表しうる。かなり高いサンプリングレートが可能であると仮定して、前記装置は、循環周期内の時間依存検出のために有利に構成されることができる。このようにして、高解像度測定が、達成されることができる。これは、このようにして、心拍又は呼吸速度周期内の温度変化が、対応する酸素飽和度測定値に沿って検出されることができるので、更に有利でありうる。結果的に、理論的に、温度検出に対する単一の測定サイト及び酸素飽和度測定に対する単一の測定サイトが、前述の主要な態様によって所望の血液ガス分圧を導出するのに十分であることができる。
【0063】
言うまでもなく、更に好適なのは、温度検出及び酸素飽和度測定が同期されることである。例えば、前記血液ガス圧プロセッサは、所望のサンプリングレートで測定を開始することができるクロック発生器及び/又は時間トラッカを有してもよい。
【0064】
本発明の他の態様において、患者を換気するシステムが、提示され、前記システムは、先行する態様のいずれかによる装置と、患者換気インタフェースとを有し、前記温度検出器は、前記患者の換気インタフェースに取り付けられる。本開示の前述の装置を使用して、血液ガス分圧の正確な決定が可能にされると仮定すると、換気パラメータは、改良された患者治療を可能にするように調整されうる。これは、いくつかの肺疾患を患う患者に対して特に有利である。
【0065】
これに関連して更に有利なのは、前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサの少なくとも1つが、換気治療中に前記患者に使用される換気マスクのような患者インタフェースに取り付けられることができることである。結果的に、接触監視又はほぼ接触監視が、達成されることができ、これは、単純化された検出器及び/又はセンサを可能にしうる。例えば、赤外放射線及び/又は近赤外放射線を感知することができる少なくとも1つのダイオードが、温度検出のために前記患者換気インタフェースに取り付けられることができる。更に、カメラ又はフォトダイオードのアレイのようなかなり単純な画像センサが、酸素飽和度を検出及び監視するように前記患者換気インタフェースに結合されることができる。前記温度検出器及び前記酸素飽和度センサの各々は、前記患者換気インタフェース内である前記患者の皮膚部分又は前記患者換気インタフェースの外側に配置される前記患者の皮膚部分のいずれかを監視するように構成されうる。
【0066】
本発明の他の態様において、関心対象の循環系における血液内の血液ガス分圧を邪魔にならないように決定する方法が、提示され、前記方法は、以下のステップ、すなわち、
‐対象の血液の現在の本質的な自然な温度レベル差を示す温度関連測定値を邪魔にならないように検出するステップと、
‐前記温度関連測定値を考慮して前記対象の血液の酸素飽和度測定値を邪魔にならないように導出するステップと、
‐前記対象の現在の血液温度レベル差を考慮して前記導出された酸素飽和度測定値から監視される対象の血液ガス分圧を決定するステップと、
を有する。
【0067】
前記血液ガス分圧を決定するステップは、前記対象の現在の血液pH値に起因するpHを表す値を決定するステップを更に有してもよく、好ましくは、前記対象の血液の温度関連測定値を検出することに起因する前記血液の前記導出された酸素飽和度測定値の変化を考慮した酸素解離曲線からの前記pHを表す値の導出を有する。
【0068】
本発明の他の態様において、医療装置又はシステムの一部であるコンピュータ上で実行される場合に前記方法のステップを当該コンピュータに実行させるプログラムコード手段を有するコンピュータプログラムが、提供される。ここで使用される、用語「コンピュータ」は、多種多様な処理装置を表しうる。換言すると、相当な計算能力を持つモバイル装置も、標準的な「コンピュータ」より少ない処理パワーリソースを提供するにもかかわらず、コンピューティング装置と称されることができる。言うまでもなく、このような「コンピュータ」は、医療装置及び/又はシステムの一部であることができる。更に、用語「コンピュータ」は、クラウド環境において提供される計算能力を含みうる又は使用しうる分散型コンピューティング装置を指してもよい。用語「コンピュータ」は、一般に、データを処理することができる医療技術装置、フィットネス機器装置、及び監視装置に関してもよい。本開示の好適な実施例は、従属請求項に規定される。請求された方法及び請求されたコンピュータプログラムが、従属装置請求項に規定されるように請求された装置と同様の好適な実施例を持つことができると理解されるべきである。
【0069】
本発明の好適な実施例は、従属請求項に規定される。請求された方法が、従属請求項に規定されるように請求された装置と同様の及び/又は同一の好適な実施例を持つと理解されるべきである。
【0070】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】酸素分圧pO2の関数として対象の動脈血の異なるpH値に対する酸素ヘモグロビン解離曲線(OHDC)の一例を示す。
図2】温度の関数として対象の動脈血の異なるpH値に対する酸素ヘモグロビン解離曲線の一例を示す。
図3】酸素分圧pO2の関数として対象の動脈血の異なる温度値に対する酸素ヘモグロビン解離曲線の一例を示す。
図4図3に示される曲線から推測される酸素分圧pO2の関数として対象の動脈血の異なる温度値に対する推測された酸素ヘモグロビン解離曲線(デルタOHDC)の一例を示す。
図5】本開示の一実施例によるシステムの単純化された概略図を示す。
図6】酸素分圧を検出するのに使用されうる異なる血液温度レベルを示す異なる皮膚温度レベルを示す関心対象を表すサンプルフレームを示す。
図7】本開示の一実施例による代替システムの単純化された概略図を示す。
図8図5及び7に示されるシステムのいずれかを実装されうる血液ガス分圧を決定する装置の単純化された概略図を示す。
図9】本開示による方法の一実施例のいくつかのステップを表す例示的ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0072】
酸素解離曲線の一例が、図1に示される。図1は、37℃の温度T及び25mmol/Lの重炭酸塩(HCO3-)濃度において7.3、7.4及び7.5の異なるpH値を持つ前記曲線(酸素分圧pO2と酸素飽和度sO2との間の関係)における変化を示す。これは、ボーア効果によって患者の温度Tp[℃]及び[mmol/L]単位の濃度HCO3(重炭酸イオン)を以下のように補正されることができ、
sO2=(X+150X)/(X2+150X+23400)・100% (5)
ここで
である(公称条件は、この例においてpH=7.4、T=37℃、及び濃度HCO3-=25mmol/Lである)。
【0073】
図1を参照すると、いかなる呼吸状態も持たない大人(55以下)に対して、酸素飽和度が、約97乃至100%(動脈血酸素分圧PaO2>12kPa)であるべきであるのに対し、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患う患者に対して、彼らの状態により、彼らが肺から二酸化炭素を吐き出すことができず、二酸化炭素が溜まるので、酸素飽和度が、一般に、88乃至92%(7.4<PaO2<8.5kPa)の間の範囲を取ることが、観測される。更に、87乃至89%の範囲の低い酸素飽和度は、睡眠時無呼吸により引き起こされるかもしれず、これは、気道を締め付け、肺が吸収しうる酸素の量を低減する。
【0074】
本開示の一態様によると、前記患者の(動脈)血液内の本質的な温度差を、単に補償する及び/又は変調するのではなく、使用することが、提案される。例えば(接触)オキシメータが付着される試験サイトにおいて、前記患者の血液の温度を変調する場合、温度レベルは、事前に既知である。この原理から離れて、本発明は、規定された能動的加熱及び/又は冷却により温度に作用することなしに前記温度レベルを検出することを提案した。
【0075】
図2が参照される。図2には、異なるpH値を表すいくつかの酸素飽和度曲線が示される。図2は、一定8kPaの酸素分圧における局所的な血液温度の関数として酸素飽和度を示す。8kPaの酸素分圧は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を患う患者を示す図3及び図4は、温度依存性を示す曲線を表す他の酸素飽和度及びデルタ酸素飽和度を示す。(例えば、皮膚温度により間接的に)血液温度を検出することにより、基本的に未知のパラメータは、識別されることができ、結果的に、所望の二酸化炭素分圧は、前記酸素解離曲線(時々、酸素ヘモグロビン解離曲線とも称される)から導出されることができる。
【0076】
更に強調されるのは、以下のことである。すなわち、本開示に関連して、前記患者の血液内の二酸化炭素分圧の決定であって、実際に邪魔にならない当該決定は、少なくとも一部の実施例において、酸素飽和度及び血液温度(例えば、前記対象の皮膚における温度レベルを示す血液温度)の両方が遠隔で監視及び検出されうるので、達成されることができる。能動的温度変調及び/又は温度管理が要求されないので、前記患者の皮膚に対する邪魔な接触機器の取り付け、少なくとも大きな程度で、避けられることができる。以後、本開示の装置のいくつかの実施例が、より詳細に記載される。
【0077】
図5は、血液ガス分圧、特に対象12の血液内の二酸化炭素分圧を決定する装置が使用されることができる、対象又は患者12を換気する典型的なシステム10の一実施例を示す。本開示において開示される装置が、様々な分野において使用されてもよく、幅広い応用を見つけうることは、述べる価値がある。結果的に、本開示は、このような装置を使用する換気システム10に限定されない。
【0078】
非侵襲的換気治療を持つ対象12は、前記対象の鼻及び口の上でクッション付マスク14でフィットされる。より一般的には、マスク14は、前記患者に呼吸させるために加圧ガスを供給されてもよい。例えば、前記ガスは、少なくとも2つのガス成分、例えば、酸素及び窒素を有しうる。これらは、第1のガス貯蔵器20及び第2のガス貯蔵器22により提供されてもよい。第1及び第2のガス貯蔵器20、22は、それぞれのガスの加圧タンクを有してもよく、又はそれぞれの導管と結合されてもよい。前記対象に供給されるべきガスは、弁18により混合され、前記供給されるべきガスの特性を監視するためにガス分析器16を介してマスク14に供給される。
【0079】
前記実施例は、2つの別のガス貯蔵器20、22により提供されるガス成分を示したが、前記ガスが、混合され、加圧タンクのような単一の貯蔵器を介して提供されてもよいと理解されることができる。代わりに、第1及び第2のガス貯蔵器20、22は、患者又は対象12に供給されるように周囲の空気を加圧するコンプレッサにより置き換えられてもよい。これは、対象12に供給されるように空気の酸素の濃度を増大する酸素濃縮器を含んでもよい。これは、空気をリサイクルするように前記患者から吐き出された息から二酸化炭素を除去する二酸化炭素洗浄器を含んでもよい。ガスソースに対する多くの代替的な構成が、当業者により想像されうる。
【0080】
ガス分析器16の出力は、血液ガス分圧を決定する装置30に設けられた処理ユニット36に接続されうる。処理ユニット36は、対象12に供給されるガス混合物を調整するように弁18に結合されてもよい。プロセッサユニット36は、血液ガス圧プロセッサ38を有する。二酸化炭素分圧のような血液ガス圧を決定する関連する従来のアプローチ及び装置に関しては、WO2012/077065A1が参照される。
【0081】
装置30は、決定及び導出処理を容易化するいくつかのセンサ要素を更に有してもよい。例えば、少なくとも1つの温度検出器32及び少なくとも1つの酸素飽和度センサ34が、提供されてもよい。図5に示される実施例に示されるように、原理的には、少なくとも1つの温度検出器32及び少なくとも1つの酸素飽和度センサ34は、遠隔非接触の邪魔にならないセンサとして構成されうる。例えば、温度検出器32は、光学的温度検出器として、好ましくは熱撮像センサとして、構成されてもよい。酸素飽和度センサ34は、同様に光学センサとして構成されてもよい。一部の実施例において、センサ32、34は、結合され、共通のハウジング内に配置されてもよい。同じセンサ要素が、熱(温度)情報及び酸素飽和度情報を示す波長範囲内の電磁放射線を感知することができることを仮定すると、単一のタイプのセンサが、使用されることができる。基本的に同じ時間及び前記対象の皮膚の基本的に同じ場所において酸素飽和度を示す値及び血液温度を示す値を監視することは、二酸化炭素分圧測定値の導出及び/又は推測を可能にする。
【0082】
図6は、監視されるべき患者又は対象12の熱画像の表現を示す。特に、対象12の首及び顔部分が示される。前記画像は、図5に示される温度検出器32のような熱イメージャで取得されたので、前記表現は、対象12の熱情報を含む。基本的に、皮膚温度に関連する熱情報が提供され、これは、しかしながら、対象12内の血管の温度をも示す。対象12の顔部分50において、いくつかのスポット及び/又は測定ゾーン52a、52b、52cが示されている。結果的に、温度及び酸素飽和度の異なるレベルが、測定され、所望の値を検出するのに使用されることができる。最終的に、温度の変化及び/又は酸素飽和度の変化の間の相関に基づいて、血液ガス圧値が、計算されることができる。
【0083】
図7は、換気システム10aに結合されうる、血液ガス分圧を決定する装置10bの代替的な構成を示す。例として、装置10bは、(光学的)温度検出器32及び(光学的)酸素飽和度センサ34の両方が配置されうる単一のセンサボディ又はハウジングを有する。例えば、両方のセンサ32、34は、CCD及び/又はCMOSのような同じ撮像装置を使用することができる。対象12の(露出した)皮膚における測定ゾーン52は、破線により示される。両方のセンサは、測定ゾーン52内の基本的に同じスポット又は点を観測及び監視してもよい。他の代替的な実施例を示すために、温度インジケータ要素54は、前記測定ゾーン内で前記対象に取り付けられる。温度インジケータ要素54は、温度変化を経験する場合に特性変化を示しうる光学的温度インジケータ要素54として構成されてもよい。このようにして、温度検出及び酸素飽和度検出は、一般に、同じ(画像)データセットに基づきうる。この実施例において、血液ガス圧プロセッサ38は、温度検出器(センサ)32により検出されたインジケータ要素54のいかなる特性変化からも温度変化を導出するように画像処理アルゴリズムを使用することができる。基本的にケーブル接続は、インジケータ要素54に対して要求されないので、このアプローチも、ほとんど邪魔にならないものとして患者12により経験される。
【0084】
図8は、本開示による装置10bの代替的な実施例において、温度検出器32及び酸素飽和度センサ34の少なくとも1つが、マスク14の前記患者インタフェースに取り付けられうることを示す。このような構成は、対象12といずれかのセンサ32、24との間の距離が大いに減少されうる利益を備えている。結果的に、例えば、対象12といずれかのセンサ32、24との間の相対的な運動による動きアーチファクトが、避けられることができるので、信号対雑音比は、減少されることができる。本実施例において、温度検出器32及び/又は酸素飽和度センサ34は、非遠隔センサとして構成されてもよい。結果的に、前記センサの複雑さは、測定精度を損なうことなしに減少されることができる。言うまでもなく、一部の実施例において、温度検出器32及び酸素飽和度センサ34の一方のみが、前記患者の皮膚の近くでマスク14に設けられてもよい。換気する患者は、既に、かなり邪魔なマスク14を着用しなければならないので、マスク14にセンサ32、34の少なくとも1つを追加することは、おそらく対象12により更に不快であるとは経験されない。
【0085】
したがって、図8に示される実施例に関して、本開示の主な態様が、接触センサとの関連でも有益な効果を持ちうることは、強調される。温度検出に対する多種多様な接触センサが、使用されることができる。また、(前記対象の指先又は耳たぶに取り付け可能な)接触パルスオキシメータは、使用可能でありうる。
【0086】
図9は、関心対象の循環系における血系内の血液ガス分圧を決定する方法を概略的に示す。ステップ100において、前記方法及び関連するプロセスが、開始されうる。ステップ120は、対象の血液の現在の温度レベルを示す温度関連測定値の検出を有しうる。他のステップは、前記温度関連測定値を考慮して前記対象の血液の酸素飽和度測定値の検出を有しうる。ステップ102及び104に対する指定された所定の順序は存在しない。両方のステップ102、104が、基本的に同じ時間に実行されうる。換言すると、基本的に同じ時間的瞬間に検出された値の対が、集められることができる。他のステップ106において、監視される対象の血液ガス分圧は、前記対象の現在の血液温度レベルを考慮して前記導出された酸素飽和度測定値から決定される。ステップ106は、全対象の現在の血液pH値に起因するpHを表す値が決定されるサブステップ108を更に有してもよい。好ましくは、ステップ108は、前記対象の血液の検出された温度関連測定値に起因する前記血液の前記導出された酸素飽和度測定値の変化を考慮して酸素解離曲線からの前記pHを表す値の導出を更に有する。ステップ110において、前記方法は終了しうる。言うまでもなく、前記方法は、連続的な監視プロセスにおいて使用されてもよい。もちろん、スポットチェック監視も可能である。
【0087】
例として、本発明は、ヘルスケア、例えば邪魔にならない遠隔患者監視、一般的な監視、安全監視及びフィットネス機器のようないわゆるライフスタイル環境等の分野において応用されることができる。応用は、酸素飽和度(パルスオキシメトリ)、心拍、血圧、心拍出量、血流の変化の監視、自律機能の評価、及び末梢血管疾患の検出を含んでもよい。言うまでもなく、本発明による方法の一実施例において、ここに記載されたステップのいくつかは、変更された順序で又は同時に実行されることができる。更に、前記ステップの一部は、本発明の範囲から逸脱することなしに同様にスキップされることができる。
【0088】
本発明は、図面及び先行する記載において図示及び記載されているが、このような図示及び記載は、例示的又は典型的であり、限定的ではないと見なされるべきであり、本発明は、開示された実施例に限定されない。開示された実施例に対する他の変形例は、図面、開示及び添付の請求項の検討から、請求された発明を実施する当業者により理解及び達成されることができる。
【0089】
請求項において、単語「有する」は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの」は、複数を除外しない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に記載されるいくつかのアイテムの機能を満たしてもよい。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に使用されることができないことを示さない。
【0090】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又は一部として提供される光記憶媒体又は半導体媒体のような適切な媒体に記憶/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線電気通信システムを介するような、他の形で分配されてもよい。
【0091】
請求項内の参照符号は、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9