特許第6017742号(P6017742)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6017742
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】内視鏡操作部および内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20161020BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61B1/00 300A
   A61B1/00 310G
   G02B23/24 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-540702(P2016-540702)
(86)(22)【出願日】2015年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2015077285
【審査請求日】2016年6月16日
(31)【優先権主張番号】特願2015-49800(P2015-49800)
(32)【優先日】2015年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 究
(72)【発明者】
【氏名】籏野 慶佑
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 尊康
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平3−97429(JP,A)
【文献】 特開2004−121413(JP,A)
【文献】 特開2006−149878(JP,A)
【文献】 特開2005−253614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の湾曲部を有する挿入部に連設された把持部と、
前記把持部に連設された操作部本体と、
前記操作部本体の背面側に設けられ、レバー軸体を有して前記湾曲部を湾曲操作するジョイスティック型の湾曲操作レバーと、
前記レバー軸体の中心軸に対して押し込み操作方向の操作軸のなす角が鈍角であって、前記中心軸と前記操作軸の交点が前記操作部本体内に位置するように前記操作部本体の正面側に設けられた吸引ボタンと、
前記操作部本体の前記吸引ボタンが設けられた正面側に前記把持部と連設するように設けられ、前記レバー軸体の前記中心軸とのなす角が90°以上に設定され、前記中心軸との交点が表面に位置するように形成された平面部と、
を具備することを特徴とする内視鏡操作部。
【請求項2】
少なくとも前記湾曲部が非操作時の略直線状態および上方への湾曲状態において、前記中心軸に対する前記操作軸のなす角が鈍角であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡操作部。
【請求項3】
前記操作軸が前記把持部の背面に対して略直角であることを特徴とする請求項に記載の内視鏡操作部。
【請求項4】
請求項に記載の前記内視鏡操作部を備えたことを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に挿入される内視鏡の挿入部に湾曲部を備え、湾曲部を操作する湾曲操作部と吸引などの内視鏡機能を操作する機能操作部が設けられた内視鏡操作部および内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生体の体内、構造物など被検体の内部の観察が困難な箇所を観察するために、被検体内に導入可能な内視鏡が、例えば医療分野または工業分野において広く利用されている。
【0003】
このような内視鏡の挿入部には、被検体内の挿入性および観察性を向上させるための湾曲部が設けられている。この湾曲部は、挿入部に連設された操作部に設けられた操作手段により湾曲操作される。
【0004】
例えば、日本国特開2008−36355号公報には、挿入部の湾曲部を湾曲操作するための操作手段として、ジョイスティック型の操作子が設けられた内視鏡の操作部としての操作装置の技術が開示されている。この従来の操作装置には、操作子のほかに送気送水、吸引などを操作するスイッチも設けられている。
【0005】
しかしながら、日本国特開2008−36355号公報の操作装置は、操作子と送気送水、吸引などのスイッチが相反してずれた位置に設けられているため、操作子を操作している状態でスイッチを押し込むと、大きな回転モーメントが生じて、操作子の所望の操作位置がぶれてしまう。
【0006】
そのため、従来の操作装置は、湾曲操作の操作子と内視鏡機能のスイッチを同時操作するときに、操作子がぶれることで湾曲部が動いて先端部もぶれてしまい、所望の視野方向が動いてしまい検査に支障をきたすという課題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、湾曲操作の操作子と内視鏡機能のスイッチの同時操作時に操作子のぶれを防止して、湾曲部が所望の湾曲状態を維持することで先端部のぶれを防止する内視鏡操作部および内視鏡を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の内視鏡操作部は、内視鏡の湾曲部を有する挿入部に連設された把持部と、前記把持部に連設された操作部本体と、前記操作部本体の背面側に設けられ、レバー軸体を有して前記湾曲部を湾曲操作するジョイスティック型の湾曲操作レバーと、前記レバー軸体の中心軸に対して押し込み操作方向の操作軸のなす角が鈍角であって、前記中心軸と前記操作軸の交点が前記操作部本体内に位置するように前記操作部本体の正面側に設けられた吸引ボタンと、前記操作部本体の前記吸引ボタンが設けられた正面側に前記把持部と連設するように設けられ、前記レバー軸体の前記中心軸とのなす角が90°以上に設定され、前記中心軸との交点が表面に位置するように形成された平面部と、を具備する。
【0009】
本発明の一態様の内視鏡は、内視鏡の湾曲部を有する挿入部に連設された把持部と、前記把持部に連設された操作部本体と、前記操作部本体の背面側に設けられ、レバー軸体を有して前記湾曲部を湾曲操作するジョイスティック型の湾曲操作レバーと、前記レバー軸体の中心軸に対して押し込み操作方向の操作軸のなす角が鈍角であって、前記中心軸と前記操作軸の交点が前記操作部本体内に位置するように前記操作部本体の正面側に設けられた吸引ボタンと、前記操作部本体の前記吸引ボタンが設けられた正面側に前記把持部と連設するように設けられ、前記レバー軸体の前記中心軸とのなす角が90°以上に設定され、前記中心軸との交点が表面に位置するように形成された平面部と、を具備する内視鏡操作部を備えている。
【0010】
上記に記載の本発明によれば、湾曲操作の操作子と内視鏡機能のスイッチの同時操作時に操作子のぶれを防止して、湾曲部が所望の湾曲状態を維持することで先端部のぶれを防止する内視鏡操作部および内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一態様の内視鏡の外観構成を示す正面図
図2】同、内視鏡の外観構成を示す背面図
図3】同、内視鏡の外観構成を示す上面図
図4】同、内視鏡の外観構成を示す下面図
図5】同、内視鏡の外観構成を示す右側面図
図6】同、湾曲部が略直線状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図
図7】同、湾曲部が上方に湾曲された状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図
図8】同、湾曲部が下方に湾曲された状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図
図9】同、第1の変形例の操作部の右側面図
図10】同、第2の変形例の操作部の右側面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の好ましい形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、構成要素毎に縮尺を異ならせてあるものであり、本発明は、これらの図に記載された構成要素の数量、構成要素の形状、構成要素の大きさの比率、および各構成要素の相対的な位置関係のみに限定されるものではない。また、以下の説明においては、図の紙面に向かって見た上下方向を構成要素の上部および下部として説明している場合がある。
【0013】
先ず、本発明の一態様の内視鏡について図面に基づいて以下に説明する。
なお、図1は、内視鏡の外観構成を示す正面図、図2は内視鏡の外観構成を示す背面図、図3は内視鏡の外観構成を示す上面図、図4は内視鏡の外観構成を示す下面図、図5は内視鏡の外観構成を示す右側面図、図6は湾曲部が略直線状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図、図7は湾曲部が上方に湾曲された状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図、図8は湾曲部が下方に湾曲された状態における操作部本体に設けられる湾曲操作レバーと吸引ボタンの配置を説明するための内視鏡の右側面図、図9は第1の変形例の操作部の右側面図、図10は第2の変形例の操作部の右側面図である。
【0014】
図1および図2に示すように、本実施形態の内視鏡1は、例えば、気管支用または泌尿器用の電子内視鏡であって、細長管状に形成された挿入部2と、この挿入部2の基端に連設された内視鏡操作部(以下、操作部と略記)3と、この操作部3から延設された内視鏡ケーブルであるユニバーサルコード4と、このユニバーサルコード4の先端に配設された内視鏡コネクタ5と、を備えて構成されている。
【0015】
内視鏡1の挿入部2は、先端側から順に、先端部6、湾曲部7および可撓管部8が連設された可撓性を有する管状部材によって構成されている。
【0016】
挿入部2の先端部6内には、ここでは図示しないが、対物光学系、CCD、CMOSなどのイメージセンサなどを内蔵した撮像ユニット、ライトガイドバンドルによって伝送された照明光を照射する照明光学系、処置具チャンネルを接続保持するチャンネルパイプなどが配設されている。
【0017】
なお、内視鏡1は、撮像ユニットを備えた電子内視鏡に限定されることなく、イメージファイバを用いた構成としてもよい。
【0018】
挿入部2の湾曲部7は、操作部3に対する術者である使用者などの操作入力に応じて、上下左右方向(UP−DOWN/RIGHT−LEFT)を含む挿入軸O周りの全方向へと能動的に湾曲させ得るように構成されている。
【0019】
挿入部2の可撓管部8は、受動的に湾曲可能な可撓性を有する管状部材によって構成されている。この可撓管部8の内部には、撮像ケーブル、ライトガイドバンドル、処置具挿通チャンネルおよび送気送水用チューブが挿通されている(何れも不図示)。
【0020】
内視鏡1の操作部3は、可撓管部8の基端を覆った状態にて可撓管部8に接続された折止部11と、この折止部11の基端側に設けられた挿入部2の挿入軸O回りの回転位置を調整自在に行える挿入部回転ダイヤル12と、この挿入部回転ダイヤル12の基端側に連設され、使用者などの手によって把持可能な把持部13と、この把持部13の基端側に連設された操作部本体14と、を有して構成されている。
【0021】
なお、本実施形態において、操作部3における長手軸としての挿入軸O(以下の説明では操作部3の長手軸を挿入軸Oとして統一して説明する)周りの方向などは使用者などが把持部13を把持した状態(図5参照)を基準として定義されており、具体的には、操作部3には、把持部13を把持した使用者などを基準とする前後左右方向(正面、背面および左右側面など)が定義されている。
【0022】
把持部13は、挿入軸Oに対して左右対称な形状に形成され、使用者などが左手または右手の何れの手によっても同様に把持することが可能となっている。
【0023】
この把持部13の先端側の正面には、処置具挿通部15が設けられている。この処置具挿通部15は、図示しない各種の処置具を挿入する処置具挿通口16を備えて構成されている。
【0024】
操作部3の内部において、処置具挿通口16には、分岐部材を介して、処置具挿通チャンネルが連通されている(何れも不図示)。また、処置具挿通部15には、処置具挿通口16を閉塞するための蓋部材である図示しない例えば、ディスポーザブルの鉗子栓が着脱自在となっている。
【0025】
操作部本体14は、把持部13の基端側において、主として左右側方および前方に膨出された略部分球状を成す中空部材によって構成されている。この操作部本体14の正面側には、内視鏡1の吸引機能、各種光学系機能などを実行するための操作ボタン類20が配設されている。
【0026】
一方、操作部本体14の背面側には、湾曲部7に対する湾曲操作を行うための湾曲操作手段としての操作子である湾曲操作レバー21が配設されている。さらに、操作部本体14の一側部(例えば、左側部)からは、ケーブル折止部17を介して、ユニバーサルコード4が延出されている。
【0027】
ここで、操作部本体14の左右形状は、挿入軸Oに対して左右対称な膨出形状となっており、この操作部本体14の先端側の左右側面には、把持部13を把持した使用者などの人差し指などを操作ボタン類20に導くガイド用凹部18がそれぞれ形成されている。
【0028】
ユニバーサルコード4は、挿入部2の内部を通じて先端部6側から操作部3に至り、さらに操作部3から延出する撮像ケーブルを含む各種信号線、ライトガイドバンドルおよび送気送水用の流体が流入される送気送水用チューブ(いずれも不図示)が内部に挿通する複合ケーブルである。
【0029】
ユニバーサルコード4の端部に設けられた内視鏡コネクタ5は、電気コネクタ部5aと、図示しない外部機器である光源装置と接続される光源コネクタ部5bと、を有している。
【0030】
なお、電気コネクタ部5aには、図示しない外部機器であるビデオプロセッサか延設された電気ケーブルのコネクタが着脱自在に接続される。また、光源コネクタ部5bには、ライトガイドバンドルが収容されたライトガイドコネクタ部5cと、送気送水用コネクタ部5dと、が配設されている。
【0031】
次に、操作部本体14における各部の構成について、より詳細に説明する。
図3および図4に示すように、操作ボタン類20は、例えば、操作部本体14に着脱自在に装着された例えば、ディスポーザブルの吸引バルブ22と、内視鏡1に関する各種機能の中から任意の機能、例えば、レリーズボタンなどを選択的に割り当てることが可能な2つのボタンスイッチ23と、を有して構成されている。
【0032】
なお、吸引バルブ22は、操作入力部材としての吸引ボタン24と、図示しない外部機器である内視鏡吸引器から延設された吸引チューブが接続されるチューブ接続部25と、を有して構成されている。
【0033】
操作部本体14の背面側に設けられる湾曲操作レバー21は、例えば、上下左右方向を含む全方向に傾動可能な所謂ジョイスティック型のレバーによって構成されている。この湾曲操作レバー21のレバー軸体27(図5参照)の突端部には、使用者などの親指などを当接させることが可能な指当て部26が設けられている。
【0034】
指当て部26は、挿入軸Oおよび仮想線Y(図3参照)に重畳するよう、操作部本体14の背面側の左右幅方向の略中央に配置されている。即ち、湾曲操作レバー21の指当て部26および吸引バルブ22の吸引ボタン24は、操作部本体14の正面側または背面側における左右幅方向の略中央に配置されている。
【0035】
なお、湾曲操作レバー21は、使用者などが把持部13を把持した手の親指によって指当て部26を操作できるように、親指の付け根よりも操作部3の基端側(図5における上方側)に設けられている。
【0036】
また、操作部3の内部において、湾曲操作レバー21の基端側には、図示しない湾曲操作機構が連結されている。湾曲操作レバー21は、湾曲操作機構による各牽引ワイヤの牽引動作を介して、湾曲部7を任意の方向に湾曲動作させることが可能となっている。
【0037】
なお、ここでの湾曲操作レバー21は、真下に傾倒することで、湾曲部7が上方に湾曲し、真上に傾倒することで、湾曲部7が下方に湾曲するよう操作方向に対する湾曲部7の湾曲方向が設定されている。また、湾曲部7の左右方向に湾曲させる湾曲操作レバー21の操作方向は、湾曲操作レバー21の左右に傾倒する方向に一致している。
【0038】
ところで、湾曲操作レバー21は、その操作方向が上下左右方向を含む全方向に傾動可能であるため、真上と真下の上下方向および真横の左右方向が操作時に分かり難い。
【0039】
そのため、本実施の形態の内視鏡1は、上述したように、吸引バルブ22の吸引ボタン24を挿入軸Oおよび仮想線Yに重畳するよう、操作部本体14の正面側の左右幅方向の略中央に配置し、湾曲操作レバー21の指当て部26を吸引ボタン24に合わせた操作部本体14の正面側に傾倒することで、真上方向に操作でき、逆に吸引ボタン24に合わせた操作部本体14の正面方向とは反対側に傾倒することで、真下方向に操作することできる。
【0040】
また、内視鏡1は、上述したように、2つのボタンスイッチ23が操作部本体14の左右幅方向の仮想線X上に並べて配設され、挿入軸Oを通る操作部本体14を2分する仮想線Yを挟んで左右対称となるよう配置し、湾曲操作レバー21の指当て部26を2つのボタンスイッチ23に沿った方向に傾倒することで、真横方向に操作することできる。
【0041】
このように、内視鏡1は、湾曲操作レバー21の上下左右の操作方向が吸引ボタン24および2つのボタンスイッチ23が上下左右の指標部となって認識し易い構成としている。
【0042】
なお、湾曲操作レバー21の上下左右方向の操作方向を認識し易くするため、操作部3の把持部13、操作部本体14などのパーティングラインおよび横ラインを上下左右方向の指標部としてもよい。さらに、湾曲操作レバー21の指当て部26自体に上下左右方向の指標部となる十字ラインを設けてもよい。
【0043】
ここで、湾曲操作レバー21および吸引ボタン24の配置について詳しく説明する。
図6に示すように、湾曲操作レバー21のレバー軸体27は、中心軸Aを有している。
【0044】
湾曲部7が非操作時の略直線状態のとき、吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bは、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aに対してなす角θが鈍角となるように設定されている。
【0045】
また、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aと吸引ボタン24の操作軸Bとの交点Pは、操作部3の操作部本体14内に位置するように設定されている。
【0046】
このように湾曲操作レバー21のレバー軸体27および吸引バルブ22の吸引ボタン24が設けられることで、湾曲部7が非操作時の略直線状態を維持するときに、湾曲操作レバー21の指当て部26に操作者が親指によって動かないように押さえる応力F1と吸引ボタン24を押し込む押圧力である応力F2が相反する方向であると共に、これら応力F1,F2が生じる方向(中心軸Aと操作軸B)のなす角θが鈍角となる。
【0047】
また、図7に示すように、湾曲部7を上方(UP)へ湾曲操作したときにおいても、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aに対して吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bがなす角θ+αが鈍角となるように設定されている。
【0048】
この状態においても、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aと吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bとの交点Pは、操作部3の操作部本体14内に位置している。
【0049】
即ち、ここでも湾曲部7が上方(UP)へ湾曲操作した状態を維持するときに、湾曲操作レバー21の指当て部26に操作者が親指によって動かないように押さえる応力F1と吸引ボタン24を押し込む押圧力である応力F2が相反する方向であると共に、これら応力F1,F2が生じる方向(中心軸Aと操作軸B)のなす角θ+αが鈍角となる。
【0050】
さらに、図8に示すように、湾曲部7を下方(DOWN)へ湾曲操作したときにおいても、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aに対して吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bがなす角θ−βが鈍角となるように設定されている。
【0051】
この状態においても、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aと吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bの交点Pは、操作部3の操作部本体14内に位置している。
【0052】
即ち、ここでも湾曲部7が下方(DOWN)へ湾曲操作した状態を維持するときに、湾曲操作レバー21の指当て部26に操作者が親指によって動かないように押さえる応力F1と吸引ボタン24を押し込む押圧力である応力F2が相反する方向であると共に、これら応力F1,F2が生じる方向(中心軸Aと操作軸B)のなす角θ−βが鈍角となる。
【0053】
このように、湾曲部7が上方(UP)および下方(DOWN)に湾曲した状態であっても、それら湾曲状態を維持するときに、相反方向であって操作部本体14内に交点Pがある鈍角で交わる中心軸Aと操作軸Bに沿った方向の湾曲操作レバー21に生じる応力F1と吸引ボタン24を押し込む押圧力である応力F2が打消し合うように湾曲操作レバー21および吸引ボタン24が配置されている。
【0054】
これに加えて、操作者の手によって操作部3の把持部13を握っているため、吸引ボタン24を押し込んだときに湾曲操作レバー21がぶれることを防止することができる。
【0055】
従って、本実施の形態の内視鏡1は、吸引操作のときに、湾曲操作レバー21がぶれ難く、湾曲部7が動いて先端部6がぶれることを防止でき、所望の視野方向に固定した状態を維持することができる。
【0056】
そのため、内視鏡1は、湾曲操作の操作子である湾曲操作レバー21と内視鏡機能のスイッチである吸引ボタン24の操作時に湾曲操作レバー21のぶれを防止して、湾曲部7が所望の湾曲状態を維持することで先端部6のぶれを防止することができる構成となっている。
【0057】
なお、内視鏡1は、特に、湾曲部7が非操作時の略直線状態から湾曲部7を上方(UP)への湾曲操作が頻繁に行われる。そのため、少なくとも、湾曲部7が非操作時の略直線状態および上方(UP)へ湾曲した状態を維持できれば良い。
【0058】
即ち、内視鏡1は、必ずしも下方(DOWN)に湾曲する状態を含まなく、少なくとも、湾曲部7が非操作時の略直線状態および上方(UP)へ湾曲する状態のときに上記の湾曲操作レバー21および吸引ボタン24を配置すればよい。
【0059】
(第1の変形例)
内視鏡1は、図9に示すように、吸引ボタン24の押し込み方向の操作軸Bを操作部3の把持部13において、湾曲操作レバー21が操作部本体14に設けられている側である背面に対して略直角π/2とすることで、吸引ボタン24を押し込む押圧力である応力F2が把持部13を握る操作者の掌によって抑えられる。
【0060】
このような構成とすることで、内視鏡1は、より吸引ボタン24を押し込んだときに湾曲操作レバー21がぶれることを防止することができる。
【0061】
(第2の変形例)
内視鏡1は、図10に示すように、把持部13に連設される操作部本体14の前面側に操作ボタン類20が設けられる凸部分の先端側となる下端側に平面部19が形成されており、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aに対して仮想線Cで示す平面部19のなす角γが90°を含み、90°よりも大きな鈍角に設定されている。
【0062】
なお、湾曲部7が上方(UP)および下方(DOWN)に最大湾曲した状態においても、湾曲操作レバー21のレバー軸体27の中心軸Aに対して平面部19のなす角γが直角(90°)を含み、直角(90°)よりも大きな鈍角に設定されている。即ち、なす角γが90°以上(γ≧90°)となるように設定されている。
【0063】
このような構成とすることで、内視鏡1は、把持部13を握る操作者の指、ここでは中指が平面部19に当接するため、湾曲操作レバー21の操作時に生じる中心軸Aに沿った応力を平面部19に当接する指で受けて操作部3が安定し、湾曲操作レバー21のぶれを防止することができる。
【0064】
そのため、本変形例の内視鏡1においても、吸引操作のため吸引ボタン24を押し込んだときに湾曲操作レバー21がぶれることを防止し、湾曲部7が動いて先端部6がぶれることを防止でき、所望の視野方向に固定した状態を維持することができる。
【0065】
以上の各実施の形態に記載した発明は、それら実施の形態および変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得るものである。
【0066】
例えば、各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、述べられている課題が解決でき、述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得るものである。
【0067】
本出願は、2015年3月12日に日本国に出願された特願2015−049800号を優先権主張の基礎として出願するものであり、上記の内容は、本願明細書、請求の範囲、および図面に引用されたものである。
【要約】
内視鏡操作部3は、把持部13に連設された操作部本体14と、操作部本体14の背面側に設けられ、レバー軸体27を有して湾曲部7を湾曲操作するジョイスティック型の湾曲操作レバー21と、レバー軸体27の中心軸Aに対して押し込み操作方向の操作軸Bのなす角が鈍角であって、中心軸Aと操作軸Bの交点Pが操作部本体14内に位置するように操作部本体14の正面側に設けられた吸引ボタン24と、を具備する。
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