(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天然ゴムラテックスをケン化処理し、ケン化天然ゴムラテックスを調製する工程(A)、前記ケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムをアルカリ処理する工程(B)、ゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄する工程(C)、及び前記工程(A)〜(C)を経て得られるリン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、任意成分としての他のゴムと、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを混練する工程(D)を含み、
前記工程(B)が、アルカリ金属炭酸塩を用いてアルカリ処理する工程であり、
ゴム成分100質量%中の前記改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるウイング用ゴム組成物の製造方法。
天然ゴムラテックスをケン化処理し、ケン化天然ゴムラテックスを調製する工程(A)、前記ケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムをアルカリ処理する工程(B)、ゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄する工程(C)、前記工程(A)〜(C)を経て得られるリン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、任意成分としての他のゴムと、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを混練する工程(D)、及び前記工程(D)により得られるゴム成分100質量%中の前記改質天然ゴムの含有量が5質量%以上であるウイング用ゴム組成物を用いてウイングを作製する工程(E)を含み、
前記工程(B)が、アルカリ金属炭酸塩を用いてアルカリ処理する工程である
ウイングを有する空気入りタイヤの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のウイング用ゴム組成物は、リン含有量が200ppm以下の改質天然ゴムと、カーボンブラック及び/又は白色充填剤とを含む。
【0016】
天然ゴム中に含まれるリン脂質を低減、除去した改質天然ゴムを用いることで、低燃費性を改善できる。また、改質天然ゴムを配合した未加硫ゴム組成物は加工性に優れ、特段素練り工程を行わなくても充分な混練りが可能であるため、素練りに伴う天然ゴムの破壊強度、耐屈曲亀裂成長性などの低下も抑制でき、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性などを効果的に高められる。また、リン脂質だけでなく、タンパク質やゲル分も低減することにより、これらの性能をより改善できる。
更に、改質天然ゴムは小石、木屑などのゴミ成分を含まず、該成分の除去工程が必要ないため、生産性にも優れる。
これらより、本発明では、素練り工程を必要としないような優れた加工性を持ちながら、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性をバランスよく改善できる。
【0017】
上記改質天然ゴムは、リン含有量が200ppm以下である。200ppmを超えると、tanδが上昇して低燃費性が悪化したり、未加硫ゴムのムーニー粘度が上昇して加工性が悪化する傾向がある。該リン含有量は、150ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、75ppm以下が更に好ましい。ここで、リン含有量は、たとえばICP発光分析など、従来の方法で測定できる。リンは、リン脂質(リン化合物)に由来するものである。
【0018】
改質天然ゴムにおいて、窒素含有量は0.3質量%以下が好ましく、0.15質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。窒素含有量が0.3質量%を超えると、貯蔵中にムーニー粘度が上昇して加工性が悪化したり、低燃費性が悪化する傾向がある。窒素含有量は、例えばケルダール法など、従来の方法で測定できる。窒素は、蛋白質に由来するものである。
【0019】
改質天然ゴム中のゲル含有率は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましい。20質量%を超えると、加工性が悪化したり、低燃費性が悪化する傾向がある。ゲル含有率とは、非極性溶媒であるトルエンに対する不溶分として測定した値を意味し、以下においては単に「ゲル含有率」又は「ゲル分」と称することがある。ゲル分の含有率の測定方法は次のとおりである。まず、天然ゴム試料を脱水トルエンに浸し、暗所に遮光して1週間放置後、トルエン溶液を1.3×10
5rpmで30分間遠心分離して、不溶のゲル分とトルエン可溶分とを分離する。不溶のゲル分にメタノールを加えて固形化した後、乾燥し、ゲル分の質量と試料の元の質量との比からゲル含有率が求められる。
【0020】
改質天然ゴムは、実質的にリン脂質が存在しないことが好ましい。「実質的にリン脂質が存在しない」とは、天然ゴム試料をクロロホルムで抽出し、抽出物の
31P−NMR測定において、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しない状態を表す。−3ppm〜1ppmに存在するリンのピークとは、リン脂質におけるリンのリン酸エステル構造に由来するピークである。
【0021】
改質天然ゴムは、例えば、特開2010−138359号公報に記載の製法などで得られるが、なかでも、天然ゴムラテックスをケン化処理し、ケン化天然ゴムラテックスを調製する工程(A)、該ケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムをアルカリ処理する工程(B)、及びゴム中に含まれるリン含有量が200ppm以下になるまで洗浄する工程(C)を含む製造方法で調製されるものが好ましい。該製法により、リン含有量、窒素含有量などを効果的に減量できる。また、該製法により得られる改質天然ゴムを使用することで、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性を顕著に改善でき、これらの性能が高い次元で得られる。また、酸で凝集させた際、残存する酸をアルカリ処理で中和することで、酸によるゴムの劣化を防ぐことができる。
【0022】
上記製造方法において、ケン化処理は、天然ゴムラテックスに、アルカリと、必要に応じて界面活性剤を添加して所定温度で一定時間、静置することにより行うことができる。なお、必要に応じて撹拌などを行っても良い。上記製造方法によれば、天然ゴムのリン含有量、窒素含有量を抑えることができる。
【0023】
天然ゴムラテックスとしては、生ラテックス、精製ラテックス、ハイアンモニアラテックスなどの従来公知のものを使用できる。ケン化処理に用いるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アミン化合物などが挙げられ、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。界面活性剤としては、公知の陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が使用可能であり、なかでも、陰イオン性界面活性剤が好ましく、スルホン酸系の陰イオン性界面活性剤がより好ましい。
【0024】
ケン化処理において、アルカリの添加量は適宜設定すればよいが、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部である。また、界面活性剤の添加量は、天然ゴムラテックスの固形分100質量部に対して、好ましくは0.01〜6.0質量部である。なお、ケン化処理の温度及び時間も適宜設定すればよく、通常は20〜70℃で1〜72時間程度である。
【0025】
ケン化反応終了後、反応により得られたケン化天然ゴムラテックスを凝集させて得られた凝集ゴムを、必要に応じて破砕し、次いで、得られた凝集ゴムや破砕ゴムとアルカリを接触させてアルカリ処理を行う。アルカリ処理により、ゴム中の窒素含有量などを効率的に低減でき、本発明の効果が一層発揮される。凝集方法としては、例えば、ギ酸などの酸を添加する方法が挙げられる。アルカリ処理方法としては、ゴムとアルカリを接触させる方法であれば特に限定されず、例えば、凝集ゴムや破砕ゴムをアルカリに浸漬する方法などが挙げられる。アルカリ処理に使用できるアルカリとしては、例えば、上記ケン化処理におけるアルカリの他に、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩や、アンモニア水などが挙げられる。なかでも、本発明の効果に優れるという点から、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが好ましい。
【0026】
上記浸漬にてアルカリ処理する場合、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.2〜3質量%の濃度のアルカリ水溶液にゴム(破砕ゴム)を浸漬することにより、処理できる。これにより、ゴム中の窒素量などを一層低減できる。
【0027】
上記浸漬によりアルカリ処理する場合、アルカリ処理の温度は、適宜設定できるが、通常は20〜70℃が好ましい。また、アルカリ処理の時間は、処理温度にもよるが、十分な処理と生産性を併せ考慮すると1〜20時間が好ましく、2〜12時間がより好ましい。
【0028】
アルカリ処理後、洗浄処理を行うことにより、リン含有量を低減できる。洗浄処理としては、例えば、ゴム分を水で希釈して洗浄後、遠心分離処理する方法、静置してゴムを浮かせ、水相のみを排出して、ゴム分を取り出す方法が挙げられる。遠心分離する際は、まず天然ゴムラテックスのゴム分が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるように水で希釈する。次いで、5000〜10000rpmで1〜60分間遠心分離すればよく、所望のリン含有量になるまで洗浄を繰り返せばよい。また、静置してゴムを浮かせる場合も水の添加、撹拌を繰り返して、所望のリン含有量になるまで洗浄すればよい。洗浄処理終了後、乾燥することにより、本発明における改質天然ゴムが得られる。
【0029】
本発明のゴム組成物に含まれるゴム成分100質量%中の改質天然ゴムの含有量は、5質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは35質量%以上である。5質量%未満では、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性を充分に改善できないおそれがある。該含有量の上限は、100質量%であってもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。90質量%を超えると、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。
【0030】
改質天然ゴム以外に、本発明に使用できるゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)(非改質)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴムが挙げられる。なかでも、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が良好に得られるという理由から、BRが好ましい。
【0031】
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含有量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、シス含有量が95質量%以上のBRが好ましい。
【0032】
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。10質量%未満であると、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは65質量%以下である。95質量%を超えると、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性を充分に改善できないおそれがある。
【0033】
ゴム成分100質量%中の改質天然ゴム及びBRの合計含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100質量%である。該合計含有量が上記範囲内であると、優れた加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。
【0034】
カーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。カーボンブラックを配合することにより、補強効果が得られるとともに、本発明の効果が良好に得られる。
【0035】
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N
2SA)は20m
2/g以上が好ましく、30m
2/g以上がより好ましい。20m
2/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。該N
2SAは、80m
2/g以下が好ましく、55m
2/g以下がより好ましい。80m
2/gを超えると、分散させるのが困難となり、低燃費性が悪化する傾向がある。
なお、カーボンブラックのN
2SAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
【0036】
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、50ml/100g以上が好ましく、75ml/100g以上がより好ましく、100ml/100g以上が更に好ましい。また、該吸油量は、150ml/100g以下が好ましく、140ml/100g以下がより好ましく、125ml/100g以下が更に好ましい。上記範囲内であると、優れた破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られ、本発明の効果が良好に得られる。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K6217−4:2001に準拠して測定される。
【0037】
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。5質量部未満では、充分な補強性が得られず、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。該含有量は、好ましくは90質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。90質量部を超えると、低燃費性が悪化する傾向がある。
【0038】
白色充填剤としては、ゴム工業で一般的に使用されているもの、たとえば、シリカ、炭酸カルシウム、セリサイトなどの雲母、水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、アルミナ、酸化チタンなどを使用することができる。なかでも、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性の点から、シリカが好ましい。
【0039】
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などを用いることができる。シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカ(含水シリカ)が好ましい。
【0040】
シリカの窒素吸着比表面積(N
2SA)は90m
2/g以上が好ましく、150m
2/g以上がより好ましい。90m
2/g未満では、充分な補強性が得られず、充分な破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られないおそれがある。また、該N
2SAは、250m
2/g以下が好ましく、220m
2/g以下がより好ましく、200m
2/g以下が更に好ましい。250m
2/gを超えると、シリカの分散性が低下し、加工性が悪化する傾向にある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
【0041】
白色充填剤(好ましくはシリカ)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。該含有量は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。該含有量が上記範囲内であると、良好な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。
【0042】
本発明では、白色充填剤としてシリカを使用する場合、シランカップリング剤を使用することが好ましい。シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィドなどのスルフィド系が好ましく、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドが特に好ましい。
【0043】
シランカップリング剤を含有する場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して2質量部以上が好ましく、6質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、また、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。該含有量が上記範囲内であると、良好な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。
【0044】
カーボンブラック及び白色充填剤の合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上、更に好ましくは45質量部以上である。また、該合計含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。該合計含有量が上記範囲内であると、良好な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。
【0045】
本発明のゴム組成物は、レジンを含むことが好ましい。これにより、補強性が発揮され、優れた破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。レジンとしては、フェノールホルムアルデヒド樹脂、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、フェノールフルフラール樹脂などのフェノール系樹脂などが挙げられる。なかでも、充分な分散性が得られ、優れた破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られるという理由から、アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂が好ましい。
【0046】
レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上である。該含有量は、好ましくは2質量部以下、より好ましくは1質量部以下である。下限未満では、補強効果や分散効果が充分に得られない傾向があり、上限を超えると低燃費性が低下する傾向がある。
【0047】
本発明では、硫黄を使用することが好ましい。硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは1.3質量部以上である。該含有量は、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下である。該含有量が上記範囲内であると、良好な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。
【0048】
本発明では、老化防止剤として、破壊強度に優れる点から、アミン系老化防止剤が好適に使用される。アミン系老化防止剤としては、例えば、ジフェニルアミン系、p−フェニレンジアミン系などのアミン誘導体が挙げられる。ジフェニルアミン系誘導体としては、例えば、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミンなどが挙げられる。p−フェニレンジアミン系誘導体としては、例えば、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン(6PPD)、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
【0049】
老化防止剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上であり、好ましくは6質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。該含有量が上記範囲内であると、破壊強度が良好に得られる。
【0050】
本発明のゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。これにより、カーボンブラックや白色充填剤を充分に分散でき、良好な加工性、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性が得られる。オイルとしては、例えば、プロセスオイル(アロマオイル、ミネラルオイルなど)、植物油脂、又はその混合物などを用いることができる。
【0051】
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは4質量部以上、より好ましくは7質量部以上である。該含有量は、好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。下限未満ではカーボンブラックや白色充填剤の分散性改善効果を充分に得られない傾向があり、上限を超えると低燃費性が低下する傾向がある。
【0052】
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、加硫促進剤などを適宜配合できる。
【0053】
本発明のゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。ここで、天然ゴムを含むゴム組成物を製造する場合、ゴム成分、充填剤などの各成分の混練り工程前に、通常、天然ゴムの素練り工程が行われる。本発明では、改質天然ゴムが使用されているため、該素練り工程を行わなくても良好に混練り工程を実施でき、所望のゴム組成物を作製できる。
【0054】
本発明のゴム組成物は、タイヤのウイングに使用される。ウイングとは、トレッドゴムの両側に配される部材であり、具体的には、特開平9−277801号公報の
図1〜2、特開平9−164810号公報の
図1〜2、特開平11−170814号公報の
図1、特開平11−301209号公報の
図1〜3及び
図5〜8などに示される部材である。
【0055】
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造できる。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でタイヤのウイングの形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造できる。
【実施例】
【0056】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0057】
以下、製造例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
天然ゴムラテックス:Muhibbah Lateks社から入手したフィールドラテックス
界面活性剤:花王(株)製のEmal−E27C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム)
NaOH:和光純薬工業(株)製のNaOH
【0058】
(ケン化天然ゴムの作製)
製造例1
天然ゴムラテックスの固形分濃度(DRC)を30%(w/v)に調整した後、天然ゴムラテックス1000g(wet状態)に対し、10%Emal−E27C水溶液25gと40%NaOH水溶液50gを加え、室温で48時間ケン化反応を行い、ケン化天然ゴムラテックスを得た。このラテックスに水を添加してDRC15%(w/v)となるまで希釈した後、ゆっくり撹拌しながらギ酸を添加しpHを4.0に調整し、凝集させた。
凝集したゴムを粉砕し、それを1%炭酸ナトリウム水溶液に室温で5時間浸漬した後に引き上げ、水1000mlで洗浄を繰り返し、その後90℃で4時間乾燥して固形ゴム(ケン化天然ゴムA)を得た。
【0059】
製造例2
40%NaOH水溶液の添加量を25gに変更した以外は製造例1と同様に、固形ゴム(ケン化天然ゴムB)を得た。
【0060】
製造例1〜2により得られた固形ゴム(ケン化天然ゴムA、B)及びTSRについて以下に示す方法により、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
(窒素含有量の測定)
窒素含有量は、CHN CORDER MT−5(ヤナコ分析工業社製)を用いて測定した。測定には、まずアンチピリンを標準物質として、窒素含有量を求めるための検量線を作製した。次いで、試料約10mgを秤量し、3回の測定結果から平均値を求めて、試料の窒素含有量とした。
【0062】
(リン含有量の測定)
ICP発光分析装置(ICPS−8100、(株)島津製作所製)を使用して、試料のリン含有量を求めた。
また、リンの
31P−NMR測定は、NMR分析装置(400MHz、AV400M、日本ブルカー社製)を使用し、80%リン酸水溶液のP原子の測定ピークを基準点(0ppm)として、クロロホルムにより生ゴムより抽出した成分を精製し、CDCl
3に溶解して測定した。
【0063】
(ゲル含有率の測定)
1mm×1mmに切断した生ゴムのサンプル70.00mgを計り取り、これに35mLのトルエンを加え1週間冷暗所に静置した。次いで、遠心分離に付してトルエンに不溶のゲル分を沈殿させ上澄みの可溶分を除去し、ゲル分のみをメタノールで固めた後、乾燥し質量を測定した。次の式によりゲル含有率(質量%)を求めた。
ゲル含有率(質量%)=[乾燥後の質量mg/最初のサンプル質量mg]×100
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、ケン化天然ゴムA、Bは、TSRに比べて、窒素含有量、リン含有量、ゲル含有率が低減していた。
また、
31P−NMR測定において、ケン化天然ゴムA、Bは、−3ppm〜1ppmにリン脂質によるピークが存在しなかった。
【0066】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
ケン化天然ゴムA:製造例1
ケン化天然ゴムB:製造例2
BR:宇部興産(株)製のウベポールBR130B(シス含有量:96質量%)
カーボンブラック:東海カーボン(株)の製FEF(N550)(N
2SA:42m
2/g、DBP:115ml/100g)
シリカ:エボニックデグッサ社製UltrasilVN3(N
2SA:175m
2/g)
シランカップリング剤:エボニックデグッサ社製Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPS323
レジン:Schenectady International社製のSP−1068レジン(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂)
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
ステアリン酸:日油(株)製の桐
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製
老化防止剤:フレキシス社製のSANTOFLEX 6PPD(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
【0067】
実施例及び比較例
表2に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を150℃で30分間加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
【0068】
なお、比較例1〜4では、天然ゴム(TSR)100質量部に対してしゃっ解剤を0.4質量部添加し、あらかじめ素練りしたものを使用した。一方、実施例1〜8では素練りを行わなかった。
【0069】
得られた加硫ゴム組成物(加硫物)について下記の評価を行った。結果を表2に示す。
【0070】
(低燃費性)
粘弾性スペクトロメーターVES((株)岩本製作所製)を用いて、温度50℃、初期歪み10%、動歪み2%、周波数10Hzの条件下で各配合(加硫物)の損失正接(tanδ)を測定し、比較例1の損失正接を100として、下記計算式により指数表示した(低燃費性指数)。指数が大きいほど低燃費性に優れることを示す。
(低燃費性指数)=(比較例1のtanδ)/(各配合のtanδ)×100
【0071】
(破壊強度)
得られた加硫ゴム組成物を用いて、3号ダンベル型ゴム試験片を作製し、JIS K 6251の「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に準じて引張試験を行い、破断強度(TB)及び破断時伸び(EB)を測定し、その積(TB×EB)を算出した。下記計算式により、各配合の測定結果を指数表示した。なお、破壊強度指数が大きいほど、破壊強度に優れることを示す。
(破壊強度指数)=(各配合のTB×EB)/(比較例1のTB×EB)×100
【0072】
(耐屈曲亀裂成長試験)
加硫ゴム組成物を用い、JIS−K−6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−デマッチャ屈曲亀裂試験方法」に基づいてサンプルを作製し、屈曲亀裂成長試験を行い、70%伸張を100万回繰り返してゴムシートを屈曲させたのち、発生した亀裂の長さを測定した。比較例1の測定値(長さ)の逆数を100とし、指数表示した。指数が大きいほど、亀裂の成長が抑制され、耐屈曲亀裂成長性に優れることを示す。
【0073】
【表2】
【0074】
表2に示す通り、カーボンブラック配合、シリカ配合のいずれにおいても、リン含有量200ppm以下の改質天然ゴム(ケン化天然ゴムA、B)を用いた実施例では、低燃費性、破壊強度、耐屈曲亀裂成長性がバランスよく改善された。
また、改質天然ゴムを配合した場合には、素練りを行わなくともゴム組成物を良好に調製できた(実施例1〜8)。