特許第6017798号(P6017798)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017798
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】排気流路用弁装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20161020BHJP
   F01N 1/08 20060101ALI20161020BHJP
   F16K 1/20 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F01N13/08 B
   F01N1/08 A
   F16K1/20 C
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-37552(P2012-37552)
(22)【出願日】2012年2月23日
(65)【公開番号】特開2013-174131(P2013-174131A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2015年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小堀 清道
【審査官】 永田 和彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−141040(JP,A)
【文献】 米国特許第3182951(US,A)
【文献】 独国特許発明第3541192(DE,C1)
【文献】 米国特許第2394471(US,A)
【文献】 特開2002−180446(JP,A)
【文献】 特開昭59−163183(JP,A)
【文献】 実開平7−29384(JP,U)
【文献】 特開2008−175113(JP,A)
【文献】 特開平10−137070(JP,A)
【文献】 特開2003−3820(JP,A)
【文献】 特開平9−195749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/00−1/24,13/08−13/10,
F16K 1/20,15/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体により第1回転軸線を中心に回転移動可能に支持され、排気流路の上流室と下流室とを連通する連通流路を開閉するための弁体と、
前記支持体により第2回転軸線を中心に回転移動可能に支持された第1リンク部材と、
前記弁体により第3回転軸線を中心に回転移動可能に支持された第2リンク部材と、
前記弁体を閉弁方向へ付勢するための付勢部材と、
を備え、
前記第1リンク部材と、前記第2リンク部材とは、第4回転軸線を中心に互いに回転移動可能に接続され、
前記第1回転軸線、前記第2回転軸線、前記第3回転軸線及び前記第4回転軸線は、軸線方向が互いに平行であり、
前記軸線と直交する平面において、前記第2回転軸線と前記第4回転軸線とを結ぶ第1リンク線と、前記第3回転軸線と前記第4回転軸線とを結ぶ第2リンク線と、により形成される角度が180度に達することを防止するストッパ機構が形成されており
前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材は、それぞれ、軸方向両側に形成された2つの側板部と、前記2つの側板部を連結する連結板部と、を備え、
前記ストッパ機構は、前記第1リンク部材の前記連結板部と、前記第2リンク部材の前記2つの側板部と、が当接することにより、前記第1リンク線と、前記第2リンク線とにより形成される角度を制限する
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項2】
請求項1に記載の排気流路用弁装置であって、
前記第3回転軸線は、前記弁体の先端側に位置している
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記第1回転軸線と前記第3回転軸線との間の距離が、前記第2回転軸線と前記第4回転軸線との間の距離よりも長い
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記第1回転軸線と前記第3回転軸線との間の距離が、前記第3回転軸線と前記第4回転軸線との間の距離よりも長い
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項5】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記第1回転軸線と前記第3回転軸線との間の距離が、前記第1回転軸線と前記第2回転軸線との間の距離よりも長い
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項6】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記弁体が前記連通流路を閉じた状態で、前記軸線と直交する平面において、前記第1リンク線と前記第2リンク線とにより形成される角度が、前記第2回転軸線と前記第1回転軸線とを結ぶ線と、前記第3回転軸線と前記第1回転軸線とを結ぶ線と、により形成される角度よりも大きい
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項7】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記付勢部材は、前記弁体及び前記第2リンク部材を閉弁時の位置関係に近づける方向に付勢することで、前記弁体を閉弁方向へ付勢する
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の排気流路用弁装置であって、
前記付勢部材は、前記第1リンク部材及び前記第2リンク部材を閉弁時の位置関係に近づける方向に付勢することで、前記弁体を閉弁方向へ付勢する
ことを特徴とする排気流路用弁装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気流路用弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される内燃機関の排気流路において、排気流路の上流室と下流室とを連通する連通流路を開閉する排気流路用弁装置が知られている。例えば特許文献1には、内部がセパレータにより上流室と下流室とに区画された内燃機関用マフラにおいて、そのセパレータに形成された上流室と下流室とを連通する開口部を開閉する弁装置が開示されている。この弁装置では、開口部を閉塞可能な弁体が、支持体により回転軸を中心に回転可能に支持されており、コイルバネにより閉弁方向へ付勢されている。
【0003】
そして、内燃機関の回転数が低いときは、上流室内の圧力が弁体に及ぼす作用力が、コイルバネの付勢力と下流室内の圧力との和が弁体に及ぼす作用力よりも小さいため、開口部が閉塞された閉弁状態となる。一方、内燃機関の回転数が増加すると、上流室内の圧力が弁体に及ぼす作用力が、コイルバネの付勢力と下流室内の圧力との和が弁体に及ぼす作用力よりも大きくなり、弁体が開口部から離間して開口部が開放された開弁状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−195749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、こうした排気流路用弁装置には、内燃機関の低回転時には連通流路を閉じることで騒音を低減する騒音低減機能が求められる一方、内燃機関の高回転時には連通流路を開いて圧損を低減する圧損低減機能が求められる。しかしながら、前述した特許文献1に記載の構成では、弁体が開弁方向へ移動するほどコイルバネの付勢力が大きくなる。このため、低回転時の騒音低減機能を重視してコイルバネのバネ力を強めに設計すると、高回転時の圧損低減機能が損なわれ、逆に、高回転時の圧損低減機能を重視してコイルバネのバネ力を弱めに設計すると、低回転時の騒音低減機能が損なわれてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、こうした問題にかんがみてなされたものであり、排気流路用弁装置による低回転時の騒音低減機能及び高回転時の圧損低減機能を共に向上させるための技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の排気流路用弁装置は、支持体により第1回転軸線を中心に回転移動可能に支持され、排気流路の上流室と下流室とを連通する連通流路を開閉するための弁体と、前記支持体により第2回転軸線を中心に回転移動可能に支持された第1リンク部材と、前記弁体により第3回転軸線を中心に回転移動可能に支持された第2リンク部材と、前記弁体を閉弁方向へ付勢するための付勢部材と、を備え、前記第1リンク部材と、前記第2リンク部材とは、第4回転軸線を中心に互いに回転移動可能に接続され、前記第1回転軸線、前記第2回転軸線、前記第3回転軸線及び前記第4回転軸線は、軸線方向が互いに平行であり、前記軸線と直交する平面において、前記第2回転軸線と前記第4回転軸線とを結ぶ第1リンク線と、前記第3回転軸線と前記第4回転軸線とを結ぶ第2リンク線と、により形成される角度が、前記弁体が前記連通流路を閉じた状態で最も大きく形成される。
【0008】
この構成によれば、支持体、弁体、第1リンク部材及び第2リンク部材が、リンク式のトグル機構を構成する。このため、弁体が連通流路を閉じた状態(閉弁状態)において、第1リンク線と第2リンク線とにより形成される角度が180度(第1リンク線と第2リンク線とが一直線に並ぶ状態)に近いほど、弁体を開弁方向へ回転移動させるために、強い外力を要する。したがって、弁体を付勢部材のみにより閉弁状態に維持する従来の構成と比較して、付勢部材の付勢力を弱めつつ、弁体を開弁するために必要な外力を高くすることができる。よって、内燃機関の低回転時の騒音低減機能を向上させつつ、高回転時の圧損低減機能についても向上させることができる。
【0009】
また、排気流路用弁装置には、前記第1リンク線と前記第2リンク線とにより形成される角度を180度よりも小さい角度に制限するストッパ機構が形成されていてもよい。この構成によれば、第1リンク線と第2リンク線とにより形成される角度が180度に達することにより弁体が正常に開弁できなくなる不具合を生じにくくすることができる。
【0010】
また、前記ストッパ機構は、前記第1リンク部材に形成された第1ストッパ部と、前記第2リンク部材に形成された第2ストッパ部と、が当接することにより、前記第1リンク線と前記第2リンク線とにより形成される角度を180度よりも小さい角度に制限してもよい。この構成によれば、部品の寸法のばらつきやガタなどの要因が制限角度に与える影響を小さくすることができるため、弁体が連通流路を閉じた状態で第1リンク線と第2リンク線とにより形成される角度を180度により近い角度に設計することが可能となり、外力に対して閉弁状態を維持する性能を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】弁装置が閉弁状態でのマフラの断面図である。
図2】(A)は実施形態の弁装置の閉弁状態での平面図、(B)はそのIIB−IIB断面図である。
図3】(A)は実施形態の弁装置の開弁状態での平面図、(B)はそのIIIB−IIIB断面図である。
図4】弁装置が開弁状態でのマフラの断面図である。
図5】(A)は従来構成及び実施形態構成のバタフライの開き荷重を示すグラフ、(B)はトグル機構及びバネの荷重特性を示すグラフである。
図6】(A)は第1変形例の弁装置の閉弁状態での平面図、(B)はそのVIB−VIB断面図である。
図7】(A)は第2変形例の弁装置の閉弁状態での平面図、(B)はそのVIIB−VIIB断面図である。
図8】(A)は第3変形例の弁装置の閉弁状態での平面図、(B)はそのVIIIB−VIIIB断面図である。
図9】トグル機構の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
図1に示すマフラ1は、車両に搭載された内燃機関(図示せず)から排出される排ガスの排気流路の一部を構成するものであり、筒状のシェル部材11の両端開口部が後蓋部材12と前蓋部材13とにより閉塞された筐体10を備えている。筐体10の内部は、第1セパレータ21と第2セパレータ22とにより、第1室31、第2室32及び第3室33の3室に区画されている。
【0013】
第1室31は、後蓋部材12と第1セパレータ21との間に形成され、第2室32は、第1セパレータ21と第2セパレータ22との間に形成され、第3室33は、第2セパレータ22と前蓋部材13との間に形成されている。そして、第2セパレータ22には、第2室32と第3室33とを連通する連通孔221が形成されている。
【0014】
また、マフラ1には、内燃機関からの排気ガスが導入されるインレットパイプ41が、前蓋部材13、第2セパレータ22及び第1セパレータ21を貫通し、その下流側端部を第1室31に開口させて設けられている。そして、第2室32におけるインレットパイプ41の外周面には、インレットパイプ41の内部空間と第2室32とを連通する複数の貫通孔411が形成されている。
【0015】
また、マフラ1には、図示しないテールパイプに接続されて排気ガスを排出するアウトレットパイプ42が、後蓋部材12、第1セパレータ21及び第2セパレータ22を貫通し、その上流側端部を第3室33に開口させて設けられている。
【0016】
さらに、マフラ1には、第1室31と第3室33とを連通する連通流路を形成するインナパイプ43が、第1セパレータ21及び第2セパレータ22を貫通し、上流側端部を第1室31に開口させ、下流側端部を第3室33に開口させて設けられている。ただし、第3室33において、インナパイプ43の下流側端部には、その端部の開口部431を開閉するための弁装置5が取り付けられている。
【0017】
図2(A),(B)及び図3(A),(B)に示すように、弁装置5は、インナパイプ43の下流側端部の開口部431に対して位置が固定されたステー51と、ステー51に一端が支持されたバタフライ52及び第1リンク部材53と、バタフライ52に一端が支持された第2リンク部材54と、を備えている。
【0018】
バタフライ52は、インナパイプ43の開口部431を閉塞可能な形状のものであり、その端部が、第1回転軸部材71を介してステー51に接続されている。つまり、バタフライ52は、ステー51により第1回転軸部材71の回転軸線(以下「第1回転軸線71A」という。)を中心に回転移動可能に支持されており、その回転位置に応じてインナパイプ43の開口部431を開閉する。
【0019】
第1リンク部材53は、その端部が、第2回転軸部材72を介してステー51に接続されている。つまり、第1リンク部材53は、ステー51により第2回転軸部材72の回転軸線(以下「第2回転軸線72A」という。)を中心に回転移動可能に支持されている。
【0020】
第2リンク部材54は、その端部が、第3回転軸部材73を介してバタフライ52の上面(開弁に伴い立ち上がる部分)に接続されている。つまり、第2リンク部材54は、バタフライ52により第3回転軸部材73の回転軸線(以下「第3回転軸線73A」という。)を中心に回転移動可能に支持されている。
【0021】
そして、第1リンク部材53と第2リンク部材54とは、第4回転軸部材74を介して接続されている。つまり、第1リンク部材53と第2リンク部材54とは、第4回転軸部材74の回転軸線(以下「第4回転軸線74A」という。)を中心に互いに回転移動可能に接続されている。第1回転軸線71A、第2回転軸線72A、第3回転軸線73A及び第4回転軸線74Aは、軸線方向が互いに平行である。
【0022】
このような構成により、ステー51、バタフライ52、第1リンク部材53及び第2リンク部材54が、リンク式のトグル機構を構成する。そして、バタフライ52は、インナパイプ43の開口部431を閉じた閉弁状態(図2(A),(B))から、インナパイプ43の開口部431を開放した開弁状態(図3(A),(B))まで、回転移動可能となっている。
【0023】
また、弁装置5は、バタフライ52を閉弁方向へ付勢するためのバネ55を備えている。バネ55は、第3回転軸部材73に取り付けられており、バタフライ52及び第2リンク部材54を、閉弁時の位置関係(角度)に近づける方向に付勢する。したがって、通常状態(バタフライ52を開弁する外力が加わっていない状態)では、バタフライ52が閉弁状態となる。
【0024】
そして、閉弁状態では、第1リンク部材53と第2リンク部材54とが一直線に近い状態で並ぶように設計されている。換言すれば、第1回転軸線71Aの軸線と直交する平面において、第2回転軸線72A(具体的には軸線と平面との交点。以下同様。)と第4回転軸線74Aとを結ぶ第1リンク線L1と、第3回転軸線73Aと第4回転軸線74Aとを結ぶ第2リンク線L2と、により形成される角度θが、閉弁状態で180度に近い角度になる(図2(A),(B))。この角度θは、バタフライ52が開弁方向に回転移動するほど小さくなるように設計されており(図3(A),(B))、閉弁状態での角度θが最も大きく形成される。このため、閉弁状態において、バタフライ52を開弁方向へ回転移動させるために、強い外力を要する。
【0025】
また、弁装置5には、第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θを180度よりも小さい角度に制限するストッパ機構が形成されている。具体的には、ストッパ機構は、第1リンク部材53に形成された第1ストッパ部531と、第2リンク部材54に形成された第2ストッパ部541と、を備える。そして、第1ストッパ部531と第2ストッパ部541とが当接することにより、第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θが180度よりも小さい角度に制限される。
【0026】
なお、本実施形態では、第1リンク部材53は、軸方向両側に形成された側板部532,533と、これら側板部532,533を連結する連結板部534と、を備える。また、第2リンク部材も同様に、軸方向両側に形成された側板部542,543と、これら側板部542,543を連結する連結板部544と、を備える。そして、第1リンク部材53の連結板部534と、第2リンク部材の側板部532,533と、が当接するように構成されている。つまり、第1リンク部材53の連結板部534が第1ストッパ部531として機能し、第2リンク部材の側板部532,533が第2ストッパ部541として機能する。
【0027】
次に、弁装置5の作用について説明する。内燃機関からの排ガスは、図1において矢印で示すように、インレットパイプ41に形成された複数の貫通孔411を介して第2室32に導入され、拡張・共鳴効果により消音される。その後、第2室32の排ガスは、第2セパレータ22に形成された連通孔221を介して第3室33に導入されて、更に拡張・共鳴効果により消音される。こうして、圧力脈動が平滑化されかつ消音された第3室33内の排ガスは、アウトレットパイプ42を介して外部に排出される。
【0028】
ここで、第1室31内の圧力がまだ低い、例えば内燃機関の回転数が低いときには、第1室31と第3室33との圧力差も小さい。このとき、第1室31内の圧力が弁装置5のバタフライ52に及ぼす作用力は、弁装置5のトグル機構及びバネ55による荷重と第3室33内の圧力とが弁装置5のバタフライ52に及ぼす作用力よりも小さい。したがって、インナパイプ43の開口部431はバタフライ52により閉塞される。
【0029】
一方、内燃機関の運転状態が変化して、例えば、内燃機関の回転数が増加して、排ガス量が増加し、圧力が所定圧力まで増加すると、第1室31内の圧力が弁装置5のバタフライ52に及ぼす作用力は、弁装置5のトグル機構及びバネ55による荷重と第3室33内の圧力とが弁装置5のバタフライ52に及ぼす作用力よりも大きくなる。この結果、図4に示すように、バタフライ52は、後者の力に抗してインナパイプ43の開口部431から離間し、開口部431は開放され、第1室31と第3室33とがインナパイプ43を介して連通される。
【0030】
このように、第1室31内の圧力が所定圧力以上となると、インナパイプ43の開口部431が開放されて連通流路(バイパス流路)が別途形成されるので、第1室31に導入される排ガスの量が増加しても、第3室33に速やかに排出される。したがって、第1室31内の圧力は高くならず、内燃機関からの排ガスの圧力が増加しても、その背圧の増加が抑えられる。また、排気流量が増加したときでも、マフラ1内の圧力上昇を低く抑えることができるため、気流騒音も低減される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態の弁装置5では、ステー51、バタフライ52、第1リンク部材53及び第2リンク部材54が、リンク式のトグル機構を構成する。そして、閉弁状態において第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θが180度に近い角度となるため、バタフライ52を開弁方向へ回転移動させるために強い外力を要する。したがって、バタフライをバネのみにより閉弁状態に維持する従来の構成と比較して、バネ55の付勢力を弱めつつ、バタフライ52を開弁するために必要な外力を高くすることができる。つまり、バタフライ52を閉弁状態から開弁状態にするための荷重を大きくしつつ、バタフライ52の開弁状態における荷重を小さくすることができる。よって、内燃機関の低回転時や初爆時における密閉性を向上させて騒音を低減しつつ、高回転時の圧損を低減することができる。また、バネ55の付勢力を弱くすることができるため、バタフライ52が閉じる際の打音を低下することもできる。
【0032】
具体的には、図5(A)に示すように、バタフライをバネのみにより閉弁状態に維持する従来の構成では、バタフライの開度(開き量)が大きくなるほど、モーメント(バタフライを排ガスが流れる方向に押したときの開き荷重)が大きくなる(破線)。これに対し、バタフライ52をトグル機構及びバネ55により閉弁状態に維持する本実施形態の構成では、バタフライ52の開き始めにおけるモーメントが大きくなる(実線)。すなわち、図5(B)に示すように、バネ55は、バタフライ52の開度が大きくなるほどモーメントが大きくなる線形特性を有しており(破線)、トグル機構は、バタフライ52の閉弁状態においてモーメントが最も大きくなる特性を有している(実線)。このため、バタフライ52をトグル機構及びバネ55により閉弁状態に維持する本実施形態の構成では、バタフライ52の開度が小さい状態でのモーメントを大きくしつつ、開度が大きい状態でのモーメントを小さくすることができる。
【0033】
また、弁装置5には、ストッパ機構が形成されているため、第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θが180度に達することによりバタフライ52が正常に開弁できなくなる不具合を生じにくくすることができる。このようなストッパ機構は、閉弁状態において第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θを180度に近い角度とするために特に有効である。閉弁状態における角度θが180度に近い角度であるほど、部品の寸法のばらつきやガタなどによる影響で実際に形成される角度が180度に達してしまうことが考えられるからである。
【0034】
特に、本実施形態のストッパ機構は、第1リンク線L1及び第2リンク線L2を形成する第1リンク部材53及び第2リンク部材54自体に形成されているため、部品の寸法のばらつきやガタなどの要因が制限角度に与える影響を小さくすることができる。その結果、閉弁状態での角度θを180度により近い角度に設計することができ、外力に対して閉弁状態を維持する性能の高い構成を実現することができる。
【0035】
なお、第1室31が上流室の一例に相当し、第3室33が下流室の一例に相当する。また、弁装置5が排気流路用弁装置の一例に相当し、ステー51が支持体の一例に相当し、バタフライ52が弁体の一例に相当し、第1リンク部材53及び第2リンク部材54が第1リンク部材及び第2リンク部材の一例に相当し、バネ55が付勢部材の一例に相当する。また、第1回転軸線71A〜第4回転軸線74Aが第1回転軸線〜第4回転軸線の一例に相当し、第1リンク線L1及び第2リンク線L2が第1リンク線及び第2リンク線の一例に相当する。
【0036】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(1)上記実施形態では、バタフライ52を閉弁方向へ付勢するための付勢手段として、バタフライ52及び第2リンク部材54を閉弁時の位置関係(角度)に近づける方向に付勢するバネ55を例示したが、これに限定されるものではない。例えば図6(A),(B)に示すように、バネ55を第4回転軸部材74に取り付け、第1リンク部材53及び第2リンク部材54を、閉弁時の位置関係(角度)に近づける方向に付勢するようにしてもよい。また、例えば図7(A),(B)に示すように、バネ55を第2回転軸部材72に取り付け、ステー51及び第1リンク部材53を、閉弁時の位置関係(角度)に近づける方向に付勢するようにしてもよい。
【0037】
(2)上記実施形態では、第1リンク部材53に形成された第1ストッパ部531と、第2リンク部材54に形成された第2ストッパ部541と、が当接する構成のストッパ機構を例示したが、これに限定されるものではない。例えば図8(A),(B)に示すように、第2リンク部材54に形成された突出部54が、バタフライ52の上面に当接することにより、第1リンク線L1と第2リンク線L2とにより形成される角度θを180度よりも小さい角度に制限するようにしてもよい。
【0038】
(3)第1回転軸線71A〜第4回転軸線74Aの位置関係は、上記実施形態で例示した位置関係に限定されるものではなく、例えば図9(A)〜(F)に示すように、種々の位置関係とすることが可能である。なお、これらの図においては、第1回転軸線71A〜第4回転軸線74Aと、これら軸線と直交する平面と、の交点を、それぞれA〜Dとする。また、これらの図においては、閉弁状態を実線で示し、開弁状態を破線で示している。
【0039】
例えば、線分BD(第1リンク線L1の長さ)と、線分CD(第2リンク線L2の長さ)と、の関係は、図9(A)に示すようにBD=CDの関係としてもよく、図9(B)に示すようにBD>CDの関係としてもよく、図9(C)に示すように、BD<CDの関係としてもよい。
【0040】
また、図9(D)に示すように、点Bの位置(第2回転軸線72Aの位置)を、点Cの円弧状の移動軌跡よりも外側としてもよい。また、図9(E)に示すように、点Bの位置を、線分ABと線分ACとにより形成される角度が90度よりも大きくなる位置としてもよい。また、図9(F)に示すように、点Bの位置を、AB>ACの関係となる位置としてもよい。
【0041】
(4)上記実施形態では、インナパイプ43の下流側端部に弁装置5が取り付けられた構成を例示したが、弁装置5の取付位置はこれに限定されるものではない。例えば、第2セパレータ22に貫通孔を形成し、この貫通孔に弁装置5を取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…マフラ、5…弁装置、10…筐体、31…第1室、32…第2室、33…第3室、41…インレットパイプ、42…アウトレットパイプ、43…インナパイプ、51…ステー、52…バタフライ、53…第1リンク部材、54…第2リンク部材、55…バネ、71…第1回転軸部材、71A…第1回転軸線、72…第2回転軸部材、72A…第2回転軸線、73…第3回転軸部材、73A…第3回転軸線、74…第4回転軸部材、74A…第4回転軸線、221…連通孔、411…貫通孔、431…開口部、531…第1ストッパ部、541…第2ストッパ部、L1…第1リンク線、L2…第2リンク線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9