(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
地組織とパイル糸とを有するパイル布帛であって、該パイル糸が、単糸繊度4〜10dtexのマルチフィラメントであり、地組織の1目あたり2〜6本配置されており、地組織に近いパイル糸の断面積と、パイル糸先端部におけるみかけの断面積との比が1:1.2〜1:1.8であるパイル布帛。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄用具としては、いわゆるタワシと呼ばれるものが使用されてきたが、タワシの立毛部(パイル糸ともいう)は一般的に粗く、硬い。そのため、細かな汚れが落ちにくく、また、被洗浄物が漆器や、装飾を施したガラスである場合には、塗りや装飾の剥がれ、傷つきが問題となっていた。
【0003】
このようなデリケートなものに対しての洗浄には、スポンジが多く使用されている。スポンジは、陶器やガラス製品には適しているが、フライパンや鍋裏の焦げ付きなど、硬く張り付いた汚れ落としには適していない。また、スポンジは保水性がよいため、カビや異臭等が生じやすく、また、その柔軟性がゆえに劣化も早い。そこで、このスポンジに、合成繊維等からなるパイル糸を有する布帛を貼り付けたものなども使用されている(特許文献1および2など)。このパイル糸が前述のタワシの立毛部のように作用し、焦げ付きなどを落とすのである。
【0004】
特許文献3には、モノフィラメント糸をパイル糸として用い、パイル糸を互いに交差するように配することで、剛性を低減し、被洗浄物の傷つきを防止した清掃用布材が開示されている。しかし、パイル糸の繊度が太いため、繊細な装飾や蒔絵などが施されたものに対しては、やはり、傷つきや剥離などが生じてしまう。
【0005】
前記パイル糸としては、モノフィラメント糸以外にも、マルチフィラメント糸やその混繊交絡糸などが使用される。さらに、繊度や融点の性質が異なる糸同士を組み合わせることなどにより、必要な剛性や洗浄性と傷つけにくさとを両立させる試みも多数なされている(特許文献4および特許文献5など)。
【0006】
しかし、やはり、パイル糸の太さや密度によっては、被洗浄物表面が傷ついたり、洗浄効果が十分でないなどの問題が生じたり、繰り返しの使用により、洗浄用具自体の劣化などが生じているのが現状である。これは、洗浄時にかかる力が一定でないことが一因であると考えられる。たとえば、パイル糸にかかる圧力がパイル糸の剛性よりも強い場合には、パイル糸が「く」の字に折れ曲がってしまい、洗浄力が低下することになり、また劣化を促すことになる。
【0007】
このようなことを考慮してか、特許文献6には、厚みが0.3mm減少した時の圧縮応力に着目した技術が開示されている。しかし、この圧縮応力は、パイルの長短によって大きく異なると考えられ、また、そのときの指標となる数値範囲が非常に大きいことから、具体的態様については不明な点が多い。
【0008】
また、洗浄用具においては、上記に加えて、落とした汚れを保持して被洗浄物に再び付着させないことや、使い捨てではなく繰り返し使用する場合には、使用後に洗浄用具を洗浄した時には、保持した汚れを速やかに放すという性能も求められる。しかし、これらの点についての具体的な方法は開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のパイル布帛は、地組織とパイル糸とを有するパイル布帛であって、該パイル糸が、単糸繊度4〜10dtexのマルチフィラメントであり、地組織の1目あたり2〜6本配置されており、地組織に近いパイル糸の断面積と、パイル糸先端部におけるみかけの断面積との比が1:1.2〜1:1.8であることを特徴としている。
【0017】
本発明で使用されるパイル糸3は、地組織2を構成する糸に係止され、立毛している。このとき、このパイル糸3は、
図1に示すように、地組織の1目あたり(編物の場合には1ループあたり、織物の場合には隣り合う経糸同士と緯糸同士の間に生じる空間1つあたり)に2〜6本配置されている(
図1では4本)。1目あたりでみると、地組織付近のパイル糸(換言すれば、パイル糸の根元)は非常に密集した状態で存在している。
図2には、そのうちの1本のパイル糸3のみを図示した。このように、根元の部分では、パイル糸3が互いに押し合い、その断面積Aは通常の8割程度になっている。一方、地組織から最も遠い先端部分では、パイル糸3は密集状態から解放され、さらにマルチフィラメント糸であるため単糸4ごとに広がり、みかけの断面積Bは通常より大きくなっている。この断面積の比(A:B)が1:1.2〜1:1.8であることが、本発明の特徴の1つである。断面積比は、1:1.2〜1:1.6であることが好ましい。
【0018】
前記断面積比が1:1.2より小さいということは、パイル先端部における単糸の広がりがほとんどないということである。つまり、洗浄用具とした場合に、洗浄面におけるパイル糸同士の隙間が多く、被洗浄物と接触する面積や回数が少なくなり、さらに、パイル糸が倒れやすくなったり、パイル糸が「く」の字に折れ曲がるパイル潰れが生じたりするため、洗浄性が低く、耐久性も得られない。さらには、保持した汚れが脱落しやすくなって、同じ被洗浄物に再付着しやすくなる。また、断面積比が1:1.8をこえると、洗浄面におけるパイル糸同士の隙間が小さいため、洗浄性および耐久性は得られるが、落とした汚れが洗浄面から内部へと移動することができず、再付着しやすくなる。その一方で、洗浄に使用した洗剤液等は内部に保持されやすくなり、それらを放出させるのには時間や水量が多くかかったり、洗浄用具が重たくなったりする。
【0019】
このパイル糸根元付近と先端部とで(みかけの)断面積に差があるということは、布帛全体でみれば、根元付近では隣り合う目に存在するパイル糸同士の隙間が大きく、先端部ではそのパイル糸同士の隙間が小さいと言い換えることができる。つまり、落とされた汚れは、密集したパイルの先端から空隙のある内部へと移動し、そこで保持される。一方で、ここではパイル糸同士の間にある程度の空隙があるため、保持した汚れは放出されやすい。根元付近と先端部とで同じ断面積となるような場合には、このような効果は得られない。
【0020】
前記断面積の比率は、以下のようにして求めることができる。まず、パイル布帛の断面を、電子顕微鏡を用いて撮影する。根元部分の直径と先端部分のパイル糸としての直径を算出し、ここから断面積比を算出する。なお、根元部分の直径は撮影しにくいが、ほとんどの場合で、本来の直径の80%程度となっていたため、一律に、本来の直径に0.8を乗じた数値を根元部分の直径とみなして差し支えない。
【0021】
前記パイル糸は、マルチフィラメント糸であることが必要である。洗浄面、つまりパイル先端部においてマルチフィラメント糸を構成する単糸同士が離れ、見かけの断面積が広がることにより、効率よく洗浄することができる。これにより、被洗浄物への過度の負担がなくなり、傷つき等を防止することができ、また、洗浄用具自体の劣化も低減できる。
【0022】
1本のパイル糸を構成する単糸は、3〜30本であることが好ましい。単糸数が3本より少ないとすると、単糸繊度が大きくなることになり、単糸自体が硬いため、被洗浄物の傷つけ、装飾の剥離などが生じてしまう傾向にある。また、根元付近と先端部との断面積の変化がほとんど見られなくなり、洗浄性が低下する傾向にある。30本をこえると、根元付近と先端部との断面積の変化が大きくなるが、単糸繊度が小さくなりすぎるため、パイルの倒れや潰れが生じて洗浄性が低下する傾向にある。
【0023】
また、その単糸繊度が、洗浄性に大きく影響する。単糸繊度は4〜10dtexである。4dtexより小さいと、パイル糸自体が柔らかくなってしまうため、洗浄時においてパイル糸が倒れて洗浄性が低くなり、また、使用後の回復性も小さい。単糸繊度が10dtexをこえると、パイル糸自体の剛性が高くなりすぎるため、被洗浄物を傷つけてしまう。単糸繊度は、5〜9dtexであることが好ましい。
【0024】
前記のとおり、パイル糸は、地組織の1目あたり(編物の場合には1ループあたり)に2〜6本配置されている。1目あたりのパイル糸が1本であると、パイル糸先端部におけるみかけの断面積が根元付近とあまり差がなくなり、洗浄性や耐久性が十分ではない。パイル糸が6本をこえても、本発明の効果は大きくは変わらず、織製や編製が困難になるばかりか、落とした汚れが洗浄面から内部へと移動することができず、再付着しやすくなる。その一方で、洗浄に使用した洗剤液等は内部に保持されやすくなり、それらを放出させるのには時間や水量が多くかかったり、洗浄用具が重たくなったりする。1目あたりのパイル糸は、2〜4本であることが好ましい。
【0025】
前記パイル糸の素材はとくに限定されるものではなく、ポリエステル、ナイロン、レーヨンおよび綿などをあげることができ、フィラメント糸や紡績糸などを組み合わせて用いることができる。なかでも、様々な材質の被洗浄物に対応でき、強度や耐熱性を有しているポリエステルが好ましい。
【0026】
前記パイル糸は、平方インチあたりの総繊度が21,560〜500,000dtexであることが好ましい。21,560dtexより小さいと、洗浄物に接するパイル糸のみかけの断面積が小さく、洗浄性が低くなる傾向にあり、500,000dtexをこえると、落とした汚れが洗浄面から内部へと移動することができず、同じ被洗浄物に再付着しやすくなる。また、内部に水分を多く保持して重くなったり、カビ発生などの原因となる傾向にある。とくに、27,720〜435,600dtexであることが好ましい。
【0027】
前記地組織は、平方インチ当たり196〜836個の織編目を有することが好ましい。織編目が196個より少ないと、地組織がルーズになってパイル糸が倒れやすくなる傾向にあり、さらに、そこに係止されるパイル糸の本数も少なくなるため、洗浄性および耐久性が低下する傾向にある。836個をこえると、地組織が重たくなったり、パイル本数も多くなるため、汚れが再付着しやすくなる傾向にある。とくに、252〜792個であることが好ましい。
【0028】
前記地組織の素材もとくに限定されるものではなく、パイル糸に使用するものと同様のものとすることができる。また、地組織を構成する織編糸の繊度は、33〜660dtexであることが好ましい。33dtexより小さいと、パイル糸の根元を強く締め付けることができずにパイル糸が倒れやすくなったり、パイル糸の抜けが生じたりする傾向にある。また、引き裂き強度が低下する傾向にある。660dtexをこえると、パイル糸を係止する糸が太くなるということであり、パイル糸根元付近の間隔が広くなり、結果としてパイル糸全体の密度が低下して、洗浄性が低下する傾向にある。また、パイル糸が倒れやすくなって耐久性が低下したり、得られる洗浄用具が硬くなって使用しにくくなる傾向にある。とくに、56〜550dtexであることが好ましい。
【0029】
前記単糸は、平方インチ当たり1,568〜54,000本配置されていることが好ましい。単糸が1,568本より少ないと、洗浄性および耐久性が低下する傾向にあり、54,000本をこえると、地組織が重たくなったり、パイル本数も多くなるため、汚れが再付着しやすくなる傾向にある。とくに、2,016〜47,520本であることが好ましい。
【0030】
本発明のパイル布帛の厚さは、とくに限定されず、用途に応じて設定することができるが、1.5〜8mmであることが好ましい。1.5mmより薄いと、パイル糸自体が短いため、パイル糸が吸収できる応力が小さくなり、荷重のほとんどが被洗浄物にかかってしまい、被洗浄物にダメージを与える傾向にある。また、被洗浄物の隅や隙間などにパイル糸が届かず、洗浄性が低下する傾向にある。また、8mmをこえると、パイル糸が潰れやすくなって、パイル糸の先端部分が被洗浄物に当たりにくくなって、洗浄性が低下する傾向にある。また、耐久性も低下する傾向にある。とくに、1.5〜5mmであることが好ましい。なお、本発明のパイル布帛は、ウレタンやスポンジ、発泡スチロールなどに接着するなどして使用することができる。
【0031】
また、単糸の断面が、三角形や楕円、星形のように異型断面であることが、洗浄性向上の点で好ましい。
【0032】
前記パイル糸は、地組織に対して30〜90度の範囲の角度で立毛していることが好ましい。なかでも、30〜85度であることがより好ましく、35〜85度の角度であることがさらに好ましく、40〜85度であることがとくに好ましい。立毛角度が30度より小さいと、パイル糸が倒れた状態に近く、パイル糸の側面で被洗浄物と接するために洗浄性が低下する傾向にある。また、耐久性も低下する傾向にある。
【0033】
本発明のパイル布帛は、
図3および
図4に示すように、2枚の地組織2が連結糸6で連結された二重織編地5の連結糸中央を、ナイフ7等にて切り開いて得られるものであることが、パイル糸の立毛性や、パイル糸の先端の断面形状の点で好ましい。なかでも、ダブルラッシェルなどの二重経編地をセンターカットしたものであることが好ましい。二重織物地の場合、連結糸中央を切り開いた後はパイル糸が抜けやすくなるため、パイル糸とは反対の面をいわゆるバッキングしなければならず、得られる洗浄用具が硬くなる傾向にある。
【0034】
このとき、連結糸は、1〜5針間にアンダーラップされて編成されていることが好ましい。アンダーラップが5針間以下であれば、連結糸中央部を切断した後、地組織に強く係止されているパイル糸が直立しようとする力が働き、パイル糸の角度は90度に近い角度となる。アンダーラップが5針間より大きいと、連結糸中央部の切断後も直立しようとする力が弱く、パイル糸の角度が小さくなりすぎて被洗浄物に側面で接することになり、洗浄性が低下する傾向にある。なかでも、2〜5針間であることがより好ましく、2〜4針間であることがとくに好ましい。
【0035】
本発明のパイル布帛は、洗浄用具としてとくに適しており、陶器、漆器、浴室、窓ガラスおよびフローリングなど、多様な物・場所に使用することができる。なお、本発明で使用されるパイル糸を構成する単糸の本数や繊度などは、上記範囲内で、被洗浄物の材質や使用場所に応じて適宜、選択すればよい。
【0036】
図5は、本発明のパイル布帛を製造するのに適した経編機を表している。ビームB1およびB2から解除された編糸は、ガイドバーGB1およびGB2を通ってウエル方向に捌かれる。ついで、ガイドG1、G2に導糸されて、後部編針N9で編成され、後部H7の針釜を通り後部基布C11となる。ビームB5、B6から解除された編糸は、ガイドバーGB5、GB6を通ってウエル方向に捌かれる。ついで、ガイドG5、G6に導糸されて、前部編針N10で編成され、前部H8の針釜を通り前部基布C12となる。連結糸については、ビームB3、B4から解除された編糸が、ガイドバーGB3、GB4を通って、ウエル方向に捌かれたのち、ガイドG3、G4に導糸され、前後編針N9、N10で交互に連結編成されてなる。これによって、前部(表または裏)編地と後部(裏または表)編地とが繋がれ、立体構造体となる。
【0037】
実施例
(評価項目)
洗浄性
陶器製の皿(直径約20cm)100枚を、1枚につき20秒間洗浄した時の、汚れの落ち具合を目視にて判定した。
評価1 完全に汚れが落ちている
評価2 少々汚れの付着が見えるが、問題ない程度
評価3 汚れの付着が見えるが、あまり問題ない程度
評価4 汚れの付着が少々見え、再度の洗浄が必要な程度
評価5 汚れの付着が多く、再度の洗浄が必要な程度
【0038】
表面傷つけ性
装飾が施された漆器の椀およびガラス製の皿に接するように、パイル布帛に3kgの荷重を掛けて、前後左右に500回動かした。その後、椀および皿の表面をマイクロスコープで観察した。装飾が施されている部分の総面積を100%としたときの、傷つけが認められた部分の面積および装飾が剥離した面積を算出した。なお、傷とは、表面が削り取られ凹凸が生じた状態をいう。
評価1 表面の傷、装飾の剥離などは確認できない(0%)
評価2 表面の傷が少し確認できるが、装飾の剥離までは確認できない(2%以下)
評価3 表面の傷、装飾の剥離ともに少し確認できるが、大きな問題はない程度(4%以下)
評価4 表面の傷が多く確認でき、また装飾の剥離も確認できるため、洗浄回数を減らす等行わないと問題となる程度(6%以下)
評価5 表面の傷、装飾の剥離ともに多く確認でき、使用することができない程度(8%以上)
【0039】
耐久性1
日常生活において、1日1.5時間程度の食器洗浄を行い、1ヶ月後のパイル糸の形状を目視にて判定した。
評価1 パイルの倒れ等、形状に変化は見られない
評価2 パイル糸の10%程度に、パイルの潰れおよびパイルの倒れが見られる
評価3 パイル糸の30%程度に、パイルの潰れおよびパイルの倒れが見られる
評価4 パイル糸の50%程度に、パイルの潰れおよびパイルの倒れが見られ、取替え時期が近いと思われる
評価5 パイル糸の70%程度に、パイルの潰れおよびパイルの倒れが見られ、洗浄用具としての使用が困難である
【0040】
汚れの再付着性
前記洗浄性評価において、100枚目の皿を洗う際、前の皿の汚れが付着してしまったかどうかをあわせて判定した。
評価1 汚れの再付着は見られない
評価2 汚れの再付着が多少見られるが、問題とはならない程度
評価3 汚れの再付着が多少目立つが、問題とはならない程度
評価4 汚れの再付着が目立ち、洗浄用具自体の洗浄が必要な程度
評価5 汚れの再付着が非常に目立ち、洗浄用具自体の洗浄が必要な程度
【0041】
毛倒れ性
4cm四方にカットしたパイル布帛のパイル面を上にして、1kgの荷重をかけた。この状態で温度40℃、湿度90%の条件下における48時間後のパイル糸の立毛状態を目視にて観察した。
評価1 当初の立毛角度を維持しているパイル糸が、全体の90%以上である
評価2 当初の立毛角度を維持しているパイル糸が、全体の70%以上である
評価3 当初の立毛角度を維持しているパイル糸が、全体の50%以上である
評価4 当初の立毛角度を維持しているパイル糸が、全体の30%以上である
評価5 当初の立毛角度を維持しているパイル糸が、全体の30%より少ない
【0042】
総合評価
上記評価結果をもとに、洗浄用具としての評価を行った
評価1 非常に適している
評価2 適している
評価3 適しているが、長期使用には向かない
評価4 あまり適していない
評価5 適していない
【0043】
なお、評価にあたって、パイル布帛には厚さ2cmのスポンジを接着した。実施例5の場合には、得られたパイル布帛のパイル面とは反対の面に合成樹脂シートを接着したのち、前記スポンジと接着させた。
【0044】
実施例1
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−14G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に84dtex/14fのポリエステル糸(単糸繊度6dtex)2本引き揃えを使用した。連結糸は2針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、14コース/12ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は80度、前記断面積比は1:1.2、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0045】
実施例2
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−14G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に110dtex/10fのポリエステル糸(単糸繊度11dtex)2本引き揃えを使用した。連結糸は2針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、12コース/13ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は80度、前記断面積比は1:1.2、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0046】
実施例3
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−18G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に110dtex/10fのポリエステル糸(単糸繊度11dtex)4本引き揃えを使用した。連結糸は3針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、26コース/20ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は65度、前記断面積比は1:1.4、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0047】
実施例4
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に110dtex/12fのポリエステル糸(単糸繊度9.1dtex)6本引き揃えを使用した。連結糸は4針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、36コース/22ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は55度、前記断面積比は1:1.8、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0048】
実施例5
織機で経糸および緯糸として220dtex/48fのポリエステル糸を用い、連結糸として110dtex/12fのポリエステル糸を3本用いて、二重織地を作成した。得られた二重織地の経密度は24本/インチ、緯密度は26本/インチであった。ついで、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は75度、前記断面積比は1:1.4、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0049】
実施例においては、1目あたりに複数本のパイル糸が係止しているため、根元部分の直径は小さくなっていることが、電子顕微鏡により確認できた。ここでは、一律に本来の直径の80%とみなし、断面積を算出した。また、パイル糸の先端部分は、センターカット後にパイル糸が密集状態から解放されて本来の直径を取り戻し、さらには、先端に近づくに従って単糸がバラけるように広がっているのが確認できた。
【0050】
比較例1
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−14G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に220dtex/1fのポリエステル糸(単糸繊度220dtex)1本を使用した。連結糸は1針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、20コース/16ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は90度、前記断面積比は1:1、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0051】
比較例2
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−14G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に330dtex/15fのポリエステル糸(単糸繊度22dtex)1本を使用した。連結糸は2針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、22コース/18ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は70度、前記断面積比は1:1.2、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0052】
比較例3
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸220dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に220dtex/96fのポリエステル糸(単糸繊度2.3dtex)2本を使用した。連結糸は3針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、34コース/22ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は60度、前記断面積比は1:1.4、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。
【0053】
比較例4
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−18G(マイヤー社製)を使用して、筬L1、L2は表面の地組織(編糸167dtex/48f、ポリエステル糸)を、筬L5、L6は裏面の地組織(編糸167dtex/48f、ポリエステル糸)を編成し、筬L3、L4は表裏地組織を連結して、二重経編地を編成した。連結糸として、筬L3および4に110dtex/24fのポリエステル糸(単糸繊度4.6dtex)8本(880dtex/192f)を使用した。連結糸は4針間にアンダーラップして編成した。得られた二重経編地の経緯の密度は、22コース/20ウエルであった。編成後、得られた二重経編地の連結糸の中央部をナイフで2枚に切り開き、本発明のパイル布帛2枚を得た。パイル布帛のパイル糸の角度は70度、前記断面積比は1:1.8、厚さは3.5mmであった。
評価結果を表1に示す。