(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017823
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】ドライバ一体型モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/30 20160101AFI20161020BHJP
H02K 5/18 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
H02K11/30
H02K5/18
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-97743(P2012-97743)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-226015(P2013-226015A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2015年3月4日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】月岡 靖幸
(72)【発明者】
【氏名】倉本 雅哉
【審査官】
下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−015956(JP,A)
【文献】
特開2011−239675(JP,A)
【文献】
特開平09−084302(JP,A)
【文献】
実開平04−111271(JP,U)
【文献】
特開2007−028899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 11/30
H02K 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータとステータとを有するモータ本体部と、前記ロータを駆動するための駆動回路が実装される回路基板と前記回路基板が収容されるケース体とを有するドライバ部と、前記モータ本体部と前記ドライバ部との間に配置される中間部材とを備え、
前記中間部材は、略四角筒状に形成され、前記中間部材の内周側は、前記モータ本体部と前記回路基板とを繋ぐケーブルが通過する貫通孔となっており、
前記中間部材と前記ケース体とは、略四角筒状に形成される前記中間部材の軸方向の端面と前記ケース体とが接触した状態で互いに固定され、
前記ドライバ部の発熱量が前記モータ本体部の発熱量よりも大きい場合には、前記ケース体の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された前記中間部材が前記モータ本体部と前記ドライバ部との間に配置され、
前記モータ本体部の発熱量が前記ドライバ部の発熱量よりも大きい場合には、前記ケース体の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された前記中間部材が前記モータ本体部と前記ドライバ部との間に配置されていることを特徴とするドライバ一体型モータ。
【請求項2】
比較される前記モータ本体部の発熱量および前記ドライバ部の発熱量は、前記ロータを定格出力で駆動したときの発熱量であることを特徴とする請求項1記載のドライバ一体型モータ。
【請求項3】
前記モータ本体部の、前記中間部材側の端面の温度と、前記ケース体の、前記中間部材側の端面の温度とに基づいて、前記モータ本体部の発熱量と前記ドライバ部の発熱量とが比較されることを特徴とする請求項1または2記載のドライバ一体型モータ。
【請求項4】
前記モータ本体部と前記中間部材との間に挟まれる平板状の弾性部材を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドライバ一体型モータ。
【請求項5】
前記ケース体は、略筒状に形成される筒部材と、前記筒部材の、前記中間部材側の端面と反対の端面を覆うカバー部材とを備え、
前記カバー部材は、前記ドライバ部の、前記中間部材側の端面と反対の端面を構成するカバー部を備え、
前記カバー部の内側には、放熱用の放熱板が配置され、
前記回路基板は、前記カバー部の内側面に固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のドライバ一体型モータ。
【請求項6】
前記回路基板は、支柱を介して前記カバー部の内側面に固定され、
前記回路基板、または、前記回路基板に実装される電子部品は、前記放熱板に接触していることを特徴とする請求項5記載のドライバ一体型モータ。
【請求項7】
前記カバー部の外側面には、放熱用のフィンが形成されていることを特徴とする請求項5または6記載のドライバ一体型モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ本体部とドライバ部とが一体化されたドライバ一体型モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ本体部とドライバ部とが一体化されたドライバ一体型モータが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のドライバ一体型モータでは、ドライバ部は、パワートランジスタ等の電子部品が実装される回路基板と、回路基板が収容されるケース体とを備えている。このドライバ一体型モータでは、モータ本体部とドライバ部とが支柱を介して連結されており、モータ本体部とドライバ部との間に隙間が形成されている。そのため、このドライバ一体型モータでは、モータ本体部およびドライバ部の相互間の熱伝達が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−201415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回路基板に実装される電子部品の温度が許容温度を超えると、電子部品が正常に作用しなくなるおそれがあるため、電子部品の温度上昇を抑制する必要がある。特許文献1のドライバ一体型モータでは、モータ本体部およびドライバ部の相互間の熱伝達が抑制されるため、モータ本体部で発生した熱に起因する電子部品の温度上昇を抑制することは可能である。しかしながら、このドライバ一体型モータでは、ドライバ部で発生した熱をモータ本体部へ効率的に逃がすことができないため、ドライバ部で発生した熱に起因する電子部品の温度上昇を抑制することは困難である。
【0005】
そこで、本発明の課題は、回路基板に実装される電子部品の、モータ本体部で発生した熱に起因する温度上昇とドライバ部で発生した熱に起因する温度上昇とを抑制することが可能なドライバ一体型モータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明のドライバ一体型モータは、ロータとステータとを有するモータ本体部と、ロータを駆動するための駆動回路が実装される回路基板と回路基板が収容されるケース体とを有するドライバ部と、モータ本体部とドライバ部との間に配置される中間部材とを備え、
中間部材は、略四角筒状に形成され、中間部材
の内周側は、モータ本体部と回路基板とを繋ぐケーブルが通過する貫通孔
となっており、中間部材とケース体とは、
略四角筒状に形成される中間部材の軸方向の端面とケース体とが接触した状態で互いに固定され、ドライバ部の発熱量がモータ本体部の発熱量よりも大きい場合には、ケース体の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材がモータ本体部とドライバ部との間に配置され、モータ本体部の発熱量がドライバ部の発熱量よりも大きい場合には、ケース体の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材がモータ本体部とドライバ部との間に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のドライバ一体型モータでは、ドライバ部の発熱量がモータ本体部の発熱量よりも大きい場合には、ケース体の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材がモータ本体部とドライバ部との間に配置され、モータ本体部の発熱量がドライバ部の発熱量よりも大きい場合には、ケース体の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材がモータ本体部とドライバ部との間に配置されている。そのため、ドライバ部の発熱量が大きい場合には、ドライバ部で発生した熱をモータ本体部へ効率的に逃がすことが可能になり、その結果、回路基板に実装される電子部品の、ドライバ部で発生した熱に起因する温度上昇を抑制することが可能になる。また、モータ本体部の発熱量が大きい場合には、モータ本体部で発生した熱がドライバ部へ伝達されるのを抑制することが可能になり、その結果、回路基板に実装される電子部品の、モータ本体部で発生した熱に起因する温度上昇を抑制することが可能になる。このように、本発明では、回路基板に実装される電子部品の、モータ本体部で発生した熱に起因する温度上昇とドライバ部で発生した熱に起因する温度上昇とを抑制することが可能になる。
【0008】
また、本発明では、ドライバ部の発熱量およびモータ本体部の発熱量に応じて中間部材のみを入れ替えれば、回路基板に実装される電子部品の温度上昇を抑制することが可能になるため、ドライバ一体型モータの汎用性を高めることが可能になる。
【0009】
本発明において、比較されるモータ本体部の発熱量およびドライバ部の発熱量は、たとえば、ロータを定格出力で駆動したときの発熱量である。また、本発明において、たとえば、モータ本体部の、中間部材側の端面の温度と、ケース体の、中間部材側の端面の温度とに基づいて、モータ本体部の発熱量とドライバ部の発熱量とが比較される。
【0010】
本発明において、ドライバ一体型モータは、モータ本体部と中間部材との間に挟まれる平板状の弾性部材を備えていることが好ましい。このように構成すると、モータ本体部と弾性部材との密着性を高めること、および、中間部材と弾性部材との密着性を高めることが可能になる。したがって、モータ本体部と中間部材との間の防水性を高めることが可能になる。
【0011】
本発明において、ケース体は、略筒状に形成される筒部材と、筒部材の、中間部材側の端面と反対の端面を覆うカバー部材とを備え、カバー部材は、ドライバ部の、中間部材側の端面と反対の端面を構成するカバー部を備え、カバー部の内側には、放熱用の放熱板が配置され、回路基板は、カバー部の内側面に固定されていることが好ましい。このように構成すると、カバー部の内側面に対する回路基板の相対位置精度を高めることが可能になる。したがって、カバー部の内側に配置される放熱板と、回路基板または回路基板に実装される電子部品とを確実に接触させることが可能になる。その結果、放熱板を利用して電子部品の熱を効率的に放散することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、回路基板は、支柱を介してカバー部の内側面に固定され、回路基板、または、回路基板に実装される電子部品は、放熱板に接触している。
【0013】
本発明において、カバー部の外側面には、放熱用のフィンが形成されていることが好ましい。このように構成すると、放熱用のフィンを利用して電子部品の熱を効率的に放散することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明のドライバ一体型モータでは、回路基板に実装される電子部品の、モータ本体部で発生した熱に起因する温度上昇とドライバ部で発生した熱に起因する温度上昇とを抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるドライバ一体型モータの斜視図である。
【
図2】
図1に示すドライバ一体型モータのドライバ部、中間部材およびその周辺部分を示す平面図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態にかかるケース体の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(ドライバ一体型モータの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるドライバ一体型モータ1の斜視図である。
図2は、
図1に示すドライバ一体型モータ1のドライバ部3、中間部材4およびその周辺部分を示す平面図である。
図3は、
図1に示す中間部材4の斜視図である。なお、以下の説明では、ドライバ一体型モータ1の軸方向(
図1等のZ方向)を「軸方向」とする。また、ドライバ一体型モータ1の出力側(
図1等のZ1方向側)を「前」側とし、ドライバ一体型モータ1の反出力側(
図1等のZ2方向側)を「後(後ろ)」側とする。
【0018】
本形態のドライバ一体型モータ1(以下、「モータ1」とする)は、産業用のサーボモータであり、その定格出力は、50W〜750Wとなっている。このモータ1は、モータ本体部2とドライバ部3とを備えている。また、モータ1は、モータ本体部2とドライバ部3との間に配置される中間部材4と、ドライバ部3に固定される放熱用の放熱部材5とを備えている。なお、本形態では、モータ1の定格出力に応じて、モータ本体部2の内部構造や外形が変わることはあるが、ドライバ部3は、モータ1の定格出力にかかわらず、共通のものが使用される。
【0019】
モータ本体部2は、図示を省略するロータおよびステータを備えている。ロータまたはステータの一方は駆動用磁石を備え、ロータまたはステータの他方は駆動用コイルを備えている。また、モータ本体部2は、ロータおよびステータが収容される略円筒状のケース体8と、ケース体8の後端面に固定されるホルダ9と、ケース体8の前端面に固定されるフランジ10とを備えている。
【0020】
ケース体8、ホルダ9およびフランジ10は、アルミニウム合金で形成されている。ホルダ9は、略筒状に形成されている。具体的には、ホルダ9は、モータ1の軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、外周面の形状が略正方形状となる略筒状に形成されている。ホルダ9の内周側には、ドライバ部3を構成する後述の回路基板13、14とモータ本体部2とを繋ぐケーブル(図示省略)等が引き回されている。フランジ10は、略筒状に形成されている。具体的には、フランジ10は、軸方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、外周面の形状が略正方形状となる略筒状に形成されている。フランジ10の内周側には、モータ本体部2の出力軸が配置されている。フランジ10は、モータ1を産業用機器に取り付けるために設けられている。
【0021】
ドライバ部3は、ロータを駆動するための駆動回路等が実装される2枚の回路基板13、14と、回路基板13、14が収容されるケース体15とを備えている。ケース体15は、略四角筒状に形成されている。また、ケース体15は、アルミニウム合金で形成されている。回路基板13には、駆動用コイルに電流を供給するための電界効果トランジスタ(FET)16等の各種の電子部品が実装されている。また、回路基板14には、集積回路(IC、図示省略)等の各種の電子部品が実装されている。
【0022】
放熱部材5は、ケース体15の後端面にその前側面が固定される平板状のベース部5aと、ベース部5aの後側面に形成される複数のフィン5bとを備えている。ベース部5aの前側面には、放熱用の放熱板17が固定されている。放熱板17は、アルミニウム合金等の放熱性を有する部材で形成されている。この放熱板17は、ケース体15の内部に配置されている。回路基板13は、放熱板17に固定されている。また、回路基板14は、回路基板13と回路基板14との間に配置される支柱18を介して、放熱板17に固定されている。
【0023】
中間部材4は、
図3に示すように、略四角筒状に形成されており、中間部材4の内周側は、モータ本体部2と回路基板13、14とを繋ぐケーブルが通過する貫通孔4aとなっている。中間部材4とケース体15とは、中間部材4の後端面とケース体15の前端面15aとが接触した状態で、互いに固定されている。
【0024】
中間部材4とホルダ9との間には、平板状の弾性部材20が挟まれている。弾性部材20は、ゴム等の弾性を有する弾性材料で形成されている。弾性部材20の中心には、モータ本体部2と回路基板13、14とを繋ぐケーブルを通過させるための貫通孔20a(
図2参照)が形成されている。中間部材4とホルダ9とは、中間部材4の前端面と弾性部材20とが密着し、かつ、ホルダ9の後端面9aと弾性部材20とが密着するように、弾性部材20を軸方向に圧縮した状態で、互いに固定されている。
【0025】
以上のように構成されたモータ1では、駆動用コイルに電流が供給されてロータが回転をすると、駆動用コイル等が発熱してモータ本体部2が発熱し、また、FET16等の電子部品が発熱してドライバ部3が発熱する。
【0026】
本形態では、ドライバ部3の発熱量がモータ本体部2の発熱量よりも大きい場合には、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。具体的には、アルミニウム合金または銅合金等で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。中間部材4がアルミニウム合金で形成されている場合には、中間部材4を軽量化することが可能になる。また、中間部材4が銅合金で形成されている場合には、中間部材4の剛性を高めることが可能になる。
【0027】
一方、モータ本体部2の発熱量がドライバ部3の発熱量よりも大きい場合には、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。具体的には、樹脂やゴム等で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。たとえば、ポリカーボネート(PC)で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。
【0028】
なお、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の形状と、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の形状とは同じである。また、モータ1の定格出力が比較的小さい場合には、ドライバ部3の発熱量がモータ本体部2の発熱量よりも大きくなり、モータ1の定格出力が比較的大きい場合には、モータ本体部2の発熱量がドライバ部3の発熱量よりも大きくなる。
【0029】
また、本形態では、比較されるモータ本体部2の発熱量およびドライバ部3の発熱量は、ロータを定格出力で駆動したときの発熱量である。すなわち、ロータを定格出力で駆動したときのモータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較されて、どちらの発熱量が大きいのかが判定される。また、ホルダ9の後端面9aの温度とケース体15の前端面15aの温度とに基づいて、モータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較される。すなわち、モータ本体部2の、中間部材4側の端面の温度と、ケース体15の、中間部材4側の端面の温度とに基づいて、モータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較される。具体的には、ケース体15の前端面15aの温度がホルダ9の後端面9aの温度よりも高ければ、ドライバ部3の発熱量がモータ本体部2の発熱量よりも大きくなり、後端面9aの温度が前端面15aの温度よりも高ければ、モータ本体部2の発熱量がドライバ部3の発熱量よりも大きくなる。
【0030】
なお、比較されるモータ本体部2の発熱量およびドライバ部3の発熱量は、計算または実験によって、モータ1の組立前に算出されている。また、この発熱量の算出結果に基づいて、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されるのか、あるいは、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されるのかがモータ1の組立前に決定され、決定された中間部材4がモータ1に組み付けられる。
【0031】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ドライバ部3の発熱量がモータ本体部2の発熱量よりも大きい場合には、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置され、モータ本体部2の発熱量がドライバ部3の発熱量よりも大きい場合には、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4がモータ本体部2とドライバ部3との間に配置されている。そのため、本形態では、ドライバ部3の発熱量が大きい場合には、ドライバ部3で発生した熱をモータ本体部2へ効率的に逃がすことが可能になり、その結果、回路基板13、14に実装される電子部品の、ドライバ部3で発生した熱に起因する温度上昇を抑制することが可能になる。また、本形態では、モータ本体部2の発熱量が大きい場合には、モータ本体部2で発生した熱がドライバ部3へ伝達されるのを抑制することが可能になり、その結果、回路基板13、14に実装される電子部品の、モータ本体部2で発生した熱に起因する温度上昇を抑制することが可能になる。
【0032】
また、本形態では、モータ本体部2の発熱量およびドライバ部3の発熱量に応じて中間部材4のみを入れ替えれば、回路基板13、14に実装される電子部品の温度上昇を抑制することが可能になるため、モータ1の汎用性を高めることが可能になる。
【0033】
本形態では、中間部材4とホルダ9との間に弾性部材20が挟まれており、中間部材4とホルダ9とは、中間部材4の前端面と弾性部材20とが密着し、かつ、ホルダ9の後端面9aと弾性部材20とが密着するように、弾性部材20を軸方向に圧縮した状態で、互いに固定されている。そのため、本形態では、モータ本体部2と中間部材4との間の防水性を高めることが可能になる。
【0034】
本形態では、回路基板13は、放熱板17に固定されている。そのため、FET16等の電子部品が実装される回路基板13を放熱板17に確実に接触させることが可能になる。したがって、本形態では、回路基板13に実装されるFET16等の発熱量の大きな電子部品の熱を、放熱板17を利用して効率的に放散することが可能になる。
【0035】
(ケース体の変形例)
図4は、本発明の他の実施の形態にかかるケース体25の構成を説明するための断面図である。
【0036】
上述した形態では、ドライバ部3は、略四角筒状に形成されるケース体15を備えている。この他にもたとえば、ドライバ部3は、ケース体15に代えて、
図4に示すように、略四角筒状に形成される筒部材23と、筒部材23の後端面を覆うカバー部材24とから構成されるケース体25を備えていても良い。
【0037】
カバー部材24は、ドライバ部3の後端面を構成するカバー部24aを備えている。カバー部24aの前側面には、放熱板17の後側面が接触している。回路基板13は、カバー部24aの前側面に固定されている。具体的には、回路基板13は、支柱28を介してカバー部24aの前側面に固定されている。また、回路基板14は、回路基板13と回路基板14との間に配置される支柱18を介して、回路基板13に固定されている。回路基板13の後側面は、放熱板17の前側面に接触している。
【0038】
ケース体25では、カバー部24aの前側面に対する回路基板13の相対位置精度を高めることが可能になるため、カバー部24aの前側に配置される放熱板17と、FET16等の電子部品が実装される回路基板13とを確実に接触させることが可能になる。その結果、上述した形態と同様に、回路基板13に実装されるFET16等の発熱量の大きな電子部品の熱を、放熱板17を利用して効率的に放散することが可能になる。
【0039】
なお、
図4に示す例では、カバー部24aの後側面に放熱用のフィンが形成されていないが、カバー部24aの後側面に放熱用のフィンが形成されても良い。この場合には、回路基板13に実装されるFET16等の発熱量の大きな電子部品の熱を、放熱用のフィンを利用してより効率的に放散することが可能になる。また、
図4に示す例では、回路基板13の前側面にFET16等の電子部品が実装されており、回路基板13の後側面が放熱板17の前側面に接触しているが、回路基板13の後側面にFET16等の電子部品が実装されて、この電子部品が放熱板17の前側面に接触していても良い。
【0040】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0041】
上述した形態では、ホルダ9の後端面9aの温度とケース体15の前端面15aの温度とに基づいて、モータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較されている。この他にもたとえば、モータ本体部2の他の箇所の温度と、ドライバ部3の他の箇所の温度とに基づいて、モータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較されても良い。たとえば、モータ本体部2の駆動用コイルの近傍部分の温度と、ドライバ部3のFET16の近傍部分の温度とに基づいて、モータ本体部2の発熱量とドライバ部3の発熱量とが比較されても良い。
【0042】
上述した形態では、中間部材4とホルダ9との間に弾性部材20が挟まれているが、中間部材4とホルダ9との間に弾性部材20が挟まれていなくても良い。また、上述した形態では、中間部材4とケース体15との間に弾性部材20に相当する弾性部材が挟まれていないが、中間部材4とケース体15との間に弾性部材が挟まれても良い。
【0043】
上述した形態では、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の形状と、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の形状とは同じである。この他にもたとえば、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4とケース体15および弾性部材20との接触面積が、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4とケース体15および弾性部材20との接触面積よりも大きくなるように、中間部材4が形成されても良い。この場合には、ケース体15の熱伝導率以上の熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の外形と、ケース体15の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する部材で形成された中間部材4の外形とが同じであっても良いし、異なっていても良い。
【符号の説明】
【0044】
1 モータ(ドライバ一体型モータ)
2 モータ本体部
3 ドライバ部
4 中間部材
9a 後端面(モータ本体部の中間部材側の端面)
13、14 回路基板
15、25 ケース体
15a 前端面(ケース体の中間部材側の端面)
16 FET(電子部品)
17 放熱板
20 弾性部材
23 筒部材
24 カバー部材
24a カバー部
28 支柱