【文献】
EE Times Japan,”「筐体を震わせて音を伝えます」、KDDIが新感覚スマートフォンを展示”,日本,EE Times Japan [オンライン],2011年10月 5日,全頁,[検索日 2015.12.22], インターネット:<URL:http://eetimes.jp/ee/articles/1110/05/news025.html>,URL,http://eetimes.jp/ee/articles/1110/05/news025.html
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記音発生部は、人間の耳の対耳輪下脚から対耳珠までの間の距離に相当する長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する幅とを有する領域よりも広い領域が振動する請求項1から13のいずれか一項に記載の電子機器。
前記音発生部は、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成する請求項1から14のいずれか一項に記載の電子機器。
前記音発生部は、その振動領域において、当該音発生部の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該箇所の各々において、前記振動の振幅の値が時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変動する請求項1から17のいずれか一項に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明を実施するための実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、気導音と振動音とを利用者に伝える電子機器の例として、携帯電話について説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1及び
図2を参照しながら、実施形態に係る携帯電話1Aの全体的な構成について説明する。
図1は、携帯電話1Aの正面図である。
図2は、携帯電話1Aのa−a断面を模式的に示す断面図である。
図1及び
図2に示すように、携帯電話1Aは、ディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、圧電素子7と、マイク8と、カメラ12と、パネル20と、筐体40とを備える。
【0011】
ディスプレイ2は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro−Luminescence Display)、又は無機ELディスプレイ(IELD:Inorganic Electro−Luminescence Display)等の表示デバイスを備える。ディスプレイ2は、文字、画像、記号、及び図形等を表示する。
【0012】
ボタン3は、利用者からの操作入力を受け付ける。ボタン3の数は、
図1及び
図2に示す例に限定されない。
【0013】
照度センサ4は、携帯電話1Aの周囲光の照度を検出する。照度は、光の強さ、明るさ、又は輝度を示す。照度センサ4は、例えば、ディスプレイ2の輝度の調整に用いられる。近接センサ5は、近隣の物体の存在を非接触で検出する。近接センサ5は、磁界の変化又は超音波の反射波の帰還時間の変化等に基づいて物体の存在を検出する。近接センサ5は、例えば、ディスプレイ2が顔に近づけられたことを検出する。照度センサ4及び近接センサ5は、一つのセンサとして構成されていてもよい。照度センサ4は、近接センサとして用いられてもよい。
【0014】
圧電素子7は、電気信号(音信号に応じた電圧)が印加されると、構成材料の電気機械結合係数に従い伸縮又は屈曲する。すなわち、圧電素子7は、電気信号が印加されると変形する。圧電素子7は、パネル20に取り付けられ、パネル20を振動させるための振動源として用いられる。圧電素子7は、例えば、セラミック又は水晶を用いて形成される。圧電素子7は、ユニモルフ、バイモルフ、又は積層型圧電素子であってよい。積層型圧電素子には、バイモルフを積層した(例えば16層又は24層積層した)積層型バイモルフ素子が含まれる。積層型の圧電素子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる複数の誘電体層と、該複数の誘電体層間に配設された電極層との積層構造体から構成される。ユニモルフは、電気信号(電圧)が印加されると伸縮する。バイモルフは、電気信号(電圧)が印加されると屈曲する。
【0015】
マイク8は、音入力部である。マイク8は、入力される音を電気信号へ変換する。スピーカ11は、気導方式で音を出力する音出力部である。スピーカ11は、例えば、ダイナミックスピーカであり、電気信号を変換した音を、耳を携帯電話1Aに接触させていない人へも伝えることができる。スピーカ11は、例えば、音楽を出力するために用いられる。
【0016】
カメラ12は、ディスプレイ2に面している物体を撮影するインカメラである。カメラ12は、撮影した画像を電気信号へ変換する。携帯電話1Aは、カメラ12に加えて、ディスプレイ2の反対側の面に面している物体を撮影するアウトカメラを備えてもよい。
【0017】
パネル20は、圧電素子7の変形(伸縮又は屈曲)にともなって振動し、利用者がパネル20に接触させる耳の軟骨(耳介軟骨)等にその振動を伝える。パネル20は、ディスプレイ2及び圧電素子7等を外力から保護する機能も有する。パネル20は、例えば、ガラス、又はアクリル等の合成樹脂により形成される。パネル20の形状は、例えば、板状である。パネル20は、平板であってよい。パネル20は、表面が滑らかに湾曲する曲面パネルであってもよい。
【0018】
パネル20の背面には、接合部材30により、ディスプレイ2と、圧電素子7とが取り付けられる。圧電素子7は、パネル20の背面に配置された状態で、筺体40の内表面と所定の距離だけ離間している。圧電素子7は、伸縮または屈曲した状態でも、筺体60の内表面と離間しているとよい。すなわち、圧電素子7と筺体40の内表面との間の距離は、圧電素子7の最大変形量よりも大きいとよい。圧電素子7は、補強部材(例えば、板金又はガラス繊維強化樹脂)を介してパネル20に取り付けられてもよい。接合部材30は、例えば、両面テープ、又は熱硬化性あるいは紫外線硬化性等を有する接着剤である。接合部材30は、無色透明のアクリル系紫外線硬化型接着剤である光学弾性樹脂でもよい。
【0019】
ディスプレイ2は、パネル20の短手方向におけるほぼ中央に配設される。圧電素子7は、パネル20の長手方向の端部から所定の距離だけ離間した近傍に、圧電素子7の長手方向がパネル20の短手方向と平行になるように配設される。ディスプレイ2及び圧電素子7は、パネル20の内部側の面に、平行に並べて配設される。
【0020】
パネル20の外側の面のほぼ全面には、タッチスクリーン(タッチセンサ)21が配設される。タッチスクリーン21は、パネル20に対する接触を検出する。タッチスクリーン21は、指、ペン、又はスタイラスペン等による利用者の接触操作を検出するために用いられる。タッチスクリーン21を用いて検出されるジェスチャは、例えば、タッチ、ロングタッチ、リリース、スワイプ、タップ、ダブルタップ、ロングタップ、ドラッグ、フリック、ピンチイン、及びピンチアウトを含むがこれらに限定されない。タッチスクリーン21の検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。
【0021】
タッチスクリーン21は、音を聞くためにパネル20に接触する耳介軟骨等の物体を検出するためにも用いられる。タッチスクリーン21は、パネル20に接触する耳介軟骨等の物体のパネル20に対する押圧を検出するためにも用いられる。
【0022】
筐体40は、樹脂又は金属を用いて形成される。筐体40は、ボタン3、照度センサ4、近接センサ5、マイク8、スピーカ11、カメラ12、およびパネル20等を支持する。
【0023】
図1から
図4を参照しながら、実施形態に係る携帯電話1Aによる音の出力についてより詳細に説明する。
図3は、パネル20の形状の例を示す図である。
図4は、パネル20の振動の例を示す図である。
【0024】
圧電素子7には、出力する音に応じた電気信号が印加される。圧電素子7には、例えば、外耳道を介する気導音によって音を伝える所謂パネルスピーカの印加電圧である±5Vよりも高い、±15Vが印加されてもよい。これにより、利用者が、例えば、3N以上の力(5N〜10Nの力)でパネル20に自身の体の一部を押し付けた場合であっても、パネル20に十分な振動を発生させ、利用者の体の一部を介して伝わる振動音を発生させることができる。圧電素子7に印加される電圧は、パネル20の筺体40に対する固定強度、又は圧電素子7の性能等に応じて適宜調整可能である。
【0025】
電気信号が印加されると、圧電素子7は長手方向に伸縮又は屈曲する。圧電素子7が取り付けられたパネル20は、圧電素子7の伸縮又は屈曲に合わせて変形する。これにより、パネル20は、振動し、気導音を発生させる。さらに、利用者が体の一部(例えば、耳介軟骨)をパネル20に接触させた場合、パネル20は、体の一部を介して利用者に伝導する振動音を発生させる。すなわち、パネル20は、圧電素子7の変形にともなって、パネル20に接触する物体に対して振動音として知覚される周波数で振動する。
【0026】
例えば、圧電素子7に、通話の相手の音声、又は着信音、音楽等の音データに応じた電気信号が印加されると、パネル20は、電気信号に対応する気導音及び振動音を発生させる。圧電素子7及びパネル20を介して出力される音信号は、後述するストレージ9に記憶されている音データに基づくものであってよい。圧電素子7及びパネル20を介して出力される音信号は、外部のサーバ等に記憶され、後述する通信ユニット6によりネットワークを介して取得される音データに基づくものであってもよい。
【0027】
本実施形態において、パネル20は、利用者の耳とほぼ同じ大きさであってよい。また、パネル20は、
図3に示すように、利用者の耳よりも大きなサイズであってもよい。この場合、利用者は、音を聞くときに耳の外周部のほぼ全体をパネル20に接触させることができる。このようにして音を聞くことにより、周囲音(ノイズ)が外耳道に入り難くなる。本実施形態では、少なくとも、パネル20は、人間の対耳輪下脚(下対輪脚)から対耳珠までの間の距離に相当する長手方向(又は短手方向)の長さと、耳珠から対耳輪までの間の距離に相当する短手方向(又は長手方向)の長さとを有する領域よりも広い領域が振動する。パネル20は、耳輪における対耳輪上脚(上対輪脚)近傍の部位から耳垂までの間の距離に相当する長手方向(又は短手方向)の長さと、耳珠から耳輪における対耳輪近傍の部位までの間の距離に相当する短手方向(又は長手方向)の長さを有する領域が振動してもよい。上記の長さおよび幅を有する領域は、長方形状の領域であってもよいし、上記の長手方向の長さを長径、上記の短手方向の長さを短径とする楕円形状であってもよい。人間の耳の平均的な大きさは、例えば、社団法人 人間生活工学研究センター(HQL)作成の日本人の人体寸法データベース(1992−1994)等を参照すれば知ることができる。
【0028】
図4に示すように、パネル20は、圧電素子7が取り付けられた取付領域20aだけでなく、取付領域20aから離れた領域も振動する。パネル20は、振動する領域において、当該パネル20の主面と交差する方向に振動する箇所を複数有し、当該複数の箇所の各々において、振動の振幅の値が、時間とともにプラスからマイナスに、あるいはその逆に変化する。パネル20は、それぞれの瞬間において、振動の振幅が相対的に大きい部分と振動の振幅が相対的に小さい部分とがパネル20の略全体に一見ランダム又は規則的に分布した振動をする。すなわち、パネル20全域にわたって、複数の波の振動が検出される。上記のように圧電素子7に対して印加される電圧が±15Vであれば、利用者が例えば5N〜10Nの力で自身の体にパネル20を押し付けた場合であっても、パネル20の上述した振動は減衰しにくい。このため、利用者は、パネル20上の取付領域20aから離れた領域に耳を接触させても、振動音を聞くことができる。
【0029】
本実施形態では、ディスプレイ2がパネル20に取り付けられている。このため、パネル20の下部(ディスプレイ2が取り付けられている側)は、剛性が上がり、パネル20の上部(圧電素子7が取り付けられている側)と比べて、振動が小さい。このため、パネル20の下部において、パネル20が振動することによる気導音の音漏れが低減される。
【0030】
携帯電話1Aは、パネル20の振動により、気導音と、利用者の体の一部(例えば耳介軟骨)を介する振動音とを利用者に伝えることができる。そのため、携帯電話1Aは、ダイナミックレシーバと同等の音量の音を出力する場合、空気の振動により携帯電話1Aの周囲へ伝わる音を、ダイナミックスピーカのみを有する電子機器と比較して、少なくすることができる。このような特徴は、例えば、録音されたメッセージを電車内のような近くに他人がいる場所で聞く場合等に好適である。
【0031】
さらに、携帯電話1Aは、パネル20の振動により利用者に振動音を伝える。そのため、利用者は、イヤホン又はヘッドホンを身につけていても、それらに携帯電話1Aを接触させることで、イヤホン又はヘッドホン及び体の一部を介して、パネル20の振動による振動音を聞くことができる。
【0032】
さらに、携帯電話1Aは、パネル20の振動により音を伝える。そのため、携帯電話1Aが別途ダイナミックレシーバを備えない場合、パネル20が発する音を外部に伝えるための開口部(放音口)を筐体40に形成する必要がない。このため、防水構造を実現する場合に、構造を簡略化することができる。携帯電話1Aは、ダイナミックスピーカの放音口等の開口部を筐体40に形成する必要がある場合、防水構造を実現するために、気体は通すが液体は通さない部材によって開口部を閉塞する構造を採用してもよい。気体は通すが液体は通さない部材は、例えば、ゴアテックス(登録商標)である。
【0033】
図5を参照しながら、携帯電話1Aの機能的な構成について説明する。
図5は、携帯電話1Aのブロック図である。
図5に示すように、携帯電話1Aは、ディスプレイ2と、ボタン3と、照度センサ4と、近接センサ5と、通信ユニット6と、圧電素子7と、マイク8と、ストレージ9と、コントローラ10と、スピーカ11と、カメラ12と、姿勢検出ユニット15と、バイブレータ18と、タッチスクリーン21とを備える。
【0034】
通信ユニット6は、無線により通信する。通信ユニット6によってサポートされる通信方式は、無線通信規格である。無線通信規格として、例えば、2G、3G、4G等のセルラーフォンの通信規格がある。セルラーフォンの通信規格として、例えば、LTE(Long Term Evolution)、W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、CDMA2000、PDC(Personal Digital Cellular)、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)、PHS(Personal Handy−phone System)等がある。無線通信規格として、さらに、例えば、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)、IEEE802.11、Bluetooth(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、NFC(Near Field Communication)等がある。通信ユニット6は、上述した通信規格の1つ又は複数をサポートしていてもよい。
【0035】
ストレージ9は、プログラム及びデータを記憶する。ストレージ9は、コントローラ10の処理結果を一時的に記憶する作業領域としても利用される。ストレージ9は、半導体記憶媒体、及び磁気記憶媒体等の任意の非一過的(non−transitory)な記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、複数の種類の記憶媒体を含んでよい。ストレージ9は、メモリカード、光ディスク、又は光磁気ディスク等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせを含んでよい。ストレージ9は、RAM(Random Access Memory)等の一時的な記憶領域として利用される記憶デバイスを含んでよい。
【0036】
ストレージ9に記憶されるプログラムには、フォアグランド又はバックグランドで実行されるアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する制御プログラムとが含まれる。アプリケーションは、例えば、ディスプレイ2に画面を表示させ、タッチスクリーン21によって検出されるジェスチャに応じた処理をコントローラ10に実行させる。制御プログラムは、例えば、OSである。アプリケーション及び制御プログラムは、通信ユニット6による無線通信又は非一過的な記憶媒体を介してストレージ9にインストールされてもよい。
【0037】
ストレージ9は、例えば、制御プログラム9A、通話アプリケーション9B、音楽再生アプリケーション9C、動画再生アプリケーション9D、及び設定データ9Zを記憶する。通話アプリケーション9Bは、無線通信による通話のための通話機能を提供する。音楽再生アプリケーション9Cは、音楽データから音を再生するための音楽再生機能を提供する。動画再生アプリケーション9Dは、動画データから動画及び音を再生するための動画再生機能を提供する。設定データ9Zは、携帯電話1Aの動作に関連する各種の設定に関する情報を含む。
【0038】
制御プログラム9Aは、携帯電話1Aを稼働させるための各種制御に関する機能を提供する。制御プログラム9Aは、例えば、タッチスクリーン21によって検出される接触に基づいて利用者の操作を判定し、判定された操作に対応するプログラムを起動する。制御プログラム9Aが提供する機能には、パネル20に接触する耳の位置に応じて音量を変更するための制御を行う機能、接触する耳のパネル20に対する押圧に応じて音量を変更するための制御を行う機能、および、耳の位置および押圧に応じて音量、音質、受話速度を変更するための制御を行う機能等が含まれる。制御プログラム9Aが提供する機能は、通話アプリケーション9B等の他のプログラムが提供する機能と組み合わせて利用されることがある。
【0039】
コントローラ10は、演算処理装置である。演算処理装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、SoC(System−on−a−chip)、MCU(Micro Control Unit)、及びFPGA(Field−Programmable Gate Array)を含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、携帯電話1Aの動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。
【0040】
具体的には、コントローラ10は、ストレージ9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、ストレージ9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。そして、コントローラ10は、データ及び命令に応じて機能部を制御し、それによって各種機能を実現する。機能部は、例えば、ディスプレイ2、通信ユニット6、圧電素子7、マイク8、スピーカ11、及びバイブレータ18を含むが、これらに限定されない。コントローラ10は、検出部の検出結果に応じて、制御を変更することがある。検出部は、例えば、ボタン3、照度センサ4、近接センサ5、カメラ12、姿勢検出ユニット15、及びタッチスクリーン21を含むが、これらに限定されない。
【0041】
コントローラ10は、例えば、制御プログラム9Aを実行することにより、パネル20に接触する耳の位置に応じて音量を変更するための制御、接触する耳のパネル20に対する押圧に応じて音量を変更するための制御、および、耳の位置および押圧に応じて音量、音質、受話速度を変更するための制御等を実行する。
【0042】
姿勢検出ユニット15は、携帯電話1Aの姿勢を検出する。姿勢検出ユニット15は、姿勢を検出するために、加速度センサ、方位センサ、及びジャイロスコープの少なくとも1つを備える。バイブレータ18は、携帯電話1Aの一部又は全体を振動させる。バイブレータ18は、振動を発生させるために、例えば、圧電素子、又は偏心モータを有する。バイブレータ18による振動は、音を伝えるためではなく、着信等の各種のイベントを利用者に報知するために用いられる。
【0043】
図5においてストレージ9が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、通信ユニット6による無線通信で他の装置からダウンロードされてもよい。
図5においてストレージ9が記憶するプログラム及びデータの一部又は全部は、ストレージ9に含まれる読み取り装置が読み取り可能な非一過的な記憶媒体に記憶されていてもよい。非一過的な記憶媒体は、例えば、CD(登録商標)、DVD(登録商標)、Blu−ray(登録商標)等の光ディスク、光磁気ディスク、磁気記憶媒体、メモリカード、及びソリッドステート記憶媒体を含むが、これらに限定されない。
【0044】
図5に示した携帯電話1Aの構成は例であり、本発明の要旨を損なわない範囲において適宜変更してよい。例えば、携帯電話1Aは、操作のためのボタンとして、テンキー配列又はQWERTY配列等のボタンを備えていてもよい。
【0045】
図6Aから
図9Cを参照しながら、パネル20に接触する耳の位置に応じて音量を変更するための制御、および、接触する耳のパネル20に対する押圧に応じて音量を変更するための制御について説明する。
図6Aから
図6Cは、パネル20に接触する耳の位置の検出について説明するための図である。
図7Aから
図7Cは、パネル20に接触する耳の位置または接触する耳のパネル20に対する押圧に応じて、音量を変更する制御について説明するための図である。
図8Aから
図8Cは、音量の変更の例を示す図である。
図9Aから
図9Cは、音量を変更する制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0046】
図6Aから
図6Cを参照して、携帯電話1Aが行うパネル20に接触する耳の位置の検出について説明する。
【0047】
携帯電話1Aは、パネル20に接触する耳の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出する。例えば、携帯電話1Aは、
図6Aに示すように、タッチスクリーン21によって耳の接触が検出される領域71に基づいて決定される位置72を、耳の位置(以下、「接触位置」ということがある)として検出する。位置72は、例えば、領域71の中心(重心)である。位置72は、領域71を含む最小矩形の頂点のいずれかであってもよい。位置72は、耳の所定の部位に対応する位置であってもよい。この場合、耳におけるその部位の一般的な位置に関する情報に基づいて、領域71との相対的な位置関係から位置72が算出される。
【0048】
この方式は、複雑な演算を行うことなく、パネル20に接触する耳の位置を検出することを可能にする。さらに、この方式は、タッチスクリーン21がパネル20に対する接触を同時に検出できる点の数が少ない場合にも適用できる。
【0049】
あるいは、携帯電話1Aは、
図6Bに示すように、物体の接触時にタッチスクリーン21の検出結果に基づいて得られる像73と、予め用意される標本74とのパターンマッチングによって、耳の位置を検出する。像73は、タッチスクリーン21の検出領域を格子状に分割し、分割されたそれぞれの領域における物体の接触の検出状態を、対応する画素の状態に変換することにより得られる。それぞれの領域においてタッチスクリーン21が検出する値が、例えば、タッチスクリーン21と物体の距離、物体がタッチスクリーン21を圧迫する押圧等によって変動する場合、像73は、多階調の画像となってもよい。
【0050】
標本74は、耳の接触時に耳が接触している領域で像73と同様のやりかたで得られるはずの像である。標本74は、携帯電話1Aの利用者の耳の接触時に得られるはずの像であってもよいし、一般的な人の耳の接触時に得られるはずの像であってもよい。標本74は、右耳の像、左耳の像というように複数枚用意されてもよい。
【0051】
標本74は、耳の所定の部位(例えば、耳珠)に対応する基準位置74aを含む。基準位置74aは、標本74の左上を基準として、(x1,y1)に位置している。基準位置74aは、一般的な人の耳におけるその部位の位置に関する情報に基づいて設定されてもよい。標本74が携帯電話1Aの利用者の耳の接触時に実際に得られた像である場合、基準位置74aは、像を解析して設定されてもよい。
【0052】
携帯電話1Aは、像73が得られると、パターンマッチングによって、像73と標本74とが最もマッチする際の両者の相対位置を得る。パターンマッチングによって、像73と標本74とがマッチしないと判定された場合(例えば、一致度が閾値よりも低い場合)には、携帯電話1Aは、耳の接触は検出されていないと判定してもよい。相対位置が得られると、携帯電話1Aは、相対位置と、基準位置74aとに基づいて、耳の位置を算出する。
図6Bの例の場合、像73の左上を基準として、標本74をX軸方向にx2、Y軸方向にy2だけシフトした場合に両者が最もマッチする。この場合、耳の位置は、(x1+x2,y1+y2)と算出される。
【0053】
この方式は、パネル20に接触する耳の位置を精度よく検出することを可能にする。さらに、この方式は、標本とのマッチングによって、パネル20に接触する物体が耳であるか否か、あるいは、パネル20に接触する物体が予め登録されている人物の耳であるかを判定することを可能にする。さらに、この方式は、耳の向き及び傾き等の、耳の接触に関する詳細な情報を検出することを可能にする。
【0054】
パターンマッチングによって耳の位置を検出する場合、標本は、基準位置を含まなくてもよい。
図6Cに示す例では、像73は、基準位置を含まない標本75とパターンマッチングされている。
図6Cの例の場合、像73の左上を基準として、標本75をX軸方向にx3、Y軸方向にy3だけシフトした場合に両者が最もマッチする。この場合、耳の位置は、例えば、(x3,y3)と算出される。
【0055】
この方式は、基準位置を含まないため、標本の作成を容易にする。例えば、耳の位置の移動量及び移動方向が必要で、耳の特定の部位の位置を特定する必要がない場合、標本に基準位置を設定しなくても、この方式によって必要な情報をえることができる。
【0056】
パネル20に接触する耳の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出する方式は、上記の方式に限定されず、他の方式を採用してもよい。
【0057】
設定データ9Zには、上記の方式のいずれか、又は他の方式によって最初に検出されるパネル20上での耳の位置(すなわち、接触位置)を示す情報が、初期座標(X,Y)として格納される。例えば、
図6Aに示す方式で耳の位置が最初に検出された場合、位置72に対応する座標が、初期座標(X,Y)として設定データ9Zに格納される。
図6Bに示す方式で耳の位置が最初に検出された場合、基準位置74aに対応する座標(x1,y1)が、初期座標(X,Y)として設定データ9Zに格納される。
図6Cに示す方式で耳の位置が最初の検出された場合、座標(x3,y3)が、初期座標(X,Y)として設定データ9Zに格納される。
【0058】
図7Aから
図8Cを参照して、通話時に携帯電話1Aが行う、音量を変更する制御について説明する。
図7Aから
図7Cに示す例では、説明を簡単にするために、タッチスクリーン21の検出領域を縦横5×5の格子状に分割した場合を示す。
【0059】
本実施形態では、携帯電話1Aは、以下に示す3つの制御のうちいずれかで音量を変更する。1つ目の制御は、携帯電話1Aが、接触位置のパネル20の長手方向における変化に応じて、音量を変更する制御である。この1つ目の制御については、
図7A、
図8A、
図9Aを参照して以下に説明する。2つ目の制御は、携帯電話1Aが、接触位置のパネル20の短手方向における変化に応じて、音量を変更する制御である。この2つ目の制御については、
図7B、
図8B、
図9Bを参照して以下で説明する。3つ目の制御は、携帯電話1Aが、押圧の変化に応じて、音量を変更する制御である。この3つ目の制御については、
図7C、
図8C、
図9Cを参照して以下で説明する。
【0060】
図7Aおよび
図8Aを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する1つ目の制御について説明する。
【0061】
図7Aに示すように、携帯電話1Aは、耳のパネル20への接触がタッチスクリーン21によって検出された場合、耳がパネル20に接触している位置を、上記の方式のいずれか、又は他の方式によって検出する。そして、携帯電話1Aは、最初に検出された耳の位置を初期座標(X,Y)として設定データ9Zに格納する。そして、携帯電話1Aは、ステップS10として、耳の位置が設定データ9Zに格納された初期座標(X,Y)の位置にある場合、デフォルトの音声(標準音声)を出力する。デフォルトの音声とは、基準となる標準的な音量に設定された音声である。ステップS10では、通話相手の声「もしもし」が標準的な音声で出力されている。
【0062】
携帯電話1Aは、ステップS12として、タッチスクリーン21によって耳の位置が初期座標からパネル20の長手方向の上側へ1個の格子分ずれた位置(X,Y+1)へ移動したことを検出する。この場合、携帯電話1Aは、ステップS14として、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から一段階大きくなるように変更する。例えば、
図8Aに示すように、携帯電話1Aは、パネル20に接触する耳のパネル20上の接触位置が、パネル20の長手方向の上側の端部に近くになる(例えば、接触位置が初期座標(X,Y)から(X,Y+1)、(X,Y+2)とずれる)につれて、パネル20が耳に伝える振動音の音量が大きくなる(例えば、音量レベルが+5,+10と大きくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。ステップS14では、通話相手の声「もしもし」が一段階大きな音量で出力されている。
【0063】
振動音の音量の制御は、コントローラ10が圧電素子7に印加する電圧(電気信号)の振幅を変化させることで行われる。コントローラ10は、振動音の音量を小さくする場合、印加電圧の振幅を、上述した±15Vから、例えば±13Vにする。コントローラ10は、振動音の音量を大きくする場合、印加電圧の振幅を、±15Vから、例えば±16Vにする。なお、上述したここで述べる振動音の音量の制御は、パネル20における圧電素子7が取り付けられた領域からの距離に応じた振動の大きさの変化とは異なる概念である。すなわち、パネル20は、圧電素子7が取り付けられた領域から遠ざかるほどその振動が減衰し、近づくほどその振動が大きくなる。コントローラ10は、上記の振動の大きさの変化とは独立して印加電圧の振幅を変化させる制御を行う。この場合、コントローラ10は、パネル自体による振動の大きさの変化の度合いよりも大きい度合いで音量が変化するよう印加電圧の振幅を変化させるとよい。
【0064】
携帯電話1Aは、ステップS16として、タッチスクリーン21によって耳の位置が初期座標からパネル20の長手方向の下側へ1個の格子分ずれた位置(X,Y−1)へ移動したことを検出する。この場合、携帯電話1Aは、ステップS18として、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から一段階小さくなるように変更する。例えば、
図8Aに示すように、携帯電話1Aは、パネル20に接触する耳のパネル20上の接触位置が、パネル20の長手方向の下側の端部に近くになる(例えば、接触位置が初期座標(X,Y)から(X,Y−1)、(X,Y−2)とずれる)につれて、パネル20が耳に伝える振動音の音量が小さくなる(例えば、音量レベルが−5,−10と小さくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。ステップS18では、通話相手の声「もしもし」が一段階小さな音量で出力されている。
【0065】
図7Aおよび
図8Aで示した例では、携帯電話1Aは、X軸方向の座標に変化があっても、X軸方向の座標の変化に関係なくY軸方向の座標に応じて音量を変更する。
【0066】
図7Bおよび
図8Bを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する2つ目の制御について説明する。
【0067】
図7Bに示すように、携帯電話1Aは、耳のパネル20への接触がタッチスクリーン21によって検出された場合、耳がパネル20に接触している位置を、上記の方式のいずれか、又は他の方式によって検出する。そして、携帯電話1Aは、最初に検出された耳の位置を初期座標(X,Y)として設定データ9Zに格納する。携帯電話1Aは、ステップS20として、耳の位置が設定データ9Zに格納された初期座標の位置にある場合、デフォルトの音声(標準音声)を出力する。ステップS20では、通話相手の声「もしもし」が標準的な音声で出力されている。
【0068】
携帯電話1Aは、ステップS22として、タッチスクリーン21によって耳の位置が初期座標からパネル20の短手方向の右側へ1個の格子分ずれた位置(X+1,Y)へ移動したことを検出する。この場合、携帯電話1Aは、ステップS24として、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から一段階大きくなるように変更する。例えば、
図8Bに示すように、携帯電話1Aは、パネル20に接触する耳のパネル20上の接触位置が、パネル20の短手方向の右側の端部に近くになる(例えば、接触位置が初期座標(X,Y)から(X+1,Y)、(X+2,Y)とずれる)につれて、パネル20が耳に伝える振動音の音量が大きくなる(例えば、音量レベルが+10,+20と大きくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。ステップS24では、通話相手の声「もしもし」が一段階大きな音量で出力されている。
【0069】
携帯電話1Aは、ステップS26として、タッチスクリーン21によって耳の位置が初期座標からパネル20の短手方向の下側へ1個の格子分ずれた位置(X−1,Y)へ移動したことを検出する。この場合、携帯電話1Aは、ステップS28として、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から一段階小さくなるように変更する。例えば、
図8Bに示すように、携帯電話1Aは、パネル20に接触する耳のパネル20上の接触位置が、パネル20の短手方向の左側の端部に近くになる(例えば、接触位置が初期座標(X,Y)から(X−1,Y)、(X−2,Y)とずれる)につれて、パネル20が耳に伝える振動音の音量が小さくなる(例えば、音量レベルが−10,−20と小さくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。ステップS28では、通話相手の声「もしもし」が一段階小さな音量で出力されている。
【0070】
図7Bおよび
図8Bで示した例では、携帯電話1Aは、Y軸方向の座標に変化があっても、Y軸方向の座標の変化に関係なくX軸方向の座標に応じて音量を変更する。
【0071】
本実施形態では、携帯電話1Aは、変更後の音量レベルを設定データ9Zに格納してもよい。そして、携帯電話1Aは、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、所定時間内に再度接触位置を検出した場合、変更後の音量レベルから上述した音量の変更処理を実行してもよい。
【0072】
図7Cおよび
図8Cを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する3つ目の制御について説明する。
【0073】
図7Cに示すように、携帯電話1Aは、耳のパネル20への接触がタッチスクリーン21によって検出された場合、耳が押圧点91でタッチスクリーン21を圧迫する押圧を算出する。耳の押圧は、種々の方法で適宜算出され得る。例えば、タッチスクリーン21が抵抗膜方式である場合、向かい合う電極同士の接触点の数と押圧とを対応付けることができる。タッチスクリーン21が静電容量式である場合、静電容量の変化と押圧とを対応付けることができる。そして、携帯電話1Aは、最初に算出された押圧を初期圧力(N)として設定データ9Zに格納する。携帯電話1Aは、ステップS30として、耳の押圧が設定データ9Zに格納された初期圧力に対応する場合、デフォルトの音声(標準音声)を出力する。ステップS30では、通話相手の声「もしもし」が標準的な音声で出力されている。
【0074】
携帯電話1Aは、ステップS32として、耳が押圧点92でタッチスクリーン21を圧迫する押圧が増加する方向へ変化したことを検出した場合、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から押圧の増加量に応じて大きくなるように変更する。例えば、
図8Cに示すように、携帯電話1Aは、押圧が強いほど(例えば、押圧がN+1,N+2と強いほど)、パネル20が耳に伝える振動音の音量が大きくなる(例えば、音量レベルが+20,+40と大きくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。ステップS32では、通話相手の声「もしもし」が一段階大きな音量で出力されている。
【0075】
図7Cの例では、携帯電話1Aが押圧の増加に応じて音量が大きくなるように変更する例を説明したが、これに限定されない。携帯電話1Aは、耳が押圧点91でタッチスクリーン21を圧迫する押圧が減少する方向へ変化したことを検出した場合、圧電素子7に印加する電気信号を制御することによって、音量が標準的な音量から押圧の減少量に応じて小さくなるように変更してもよい。例えば、
図8Cに示すように、携帯電話1Aは、押圧が弱いほど(例えば、押圧がN−1,N−2と弱いほど)、パネル20が耳に伝える振動音の音量が小さくなる(例えば、音量レベルが−20,−40と小さくなる)ように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。
【0076】
図7Cの例では、携帯電話1Aがタッチスクリーン21によって検出された押圧の変化に応じて音量を変更する例を説明したが、これに限定されない。携帯電話1Aは、タッチスクリーン21によって耳の接触領域を検出して、当該接触領域の面積の大小に応じて音量を変更してもよい。一般に、利用者が耳をパネル20に押し付ける圧力が大きいほど、パネル20に接触する耳の面積は大きくなると考えられる。この場合、携帯電話1Aは、接触領域の面積が大きいほど、パネル20が耳に伝える振動音の音量が大きくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。携帯電話1Aは、接触領域の面積が小さいほど、パネル20が耳に伝える振動音の音量が小さくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。
【0077】
図9Aから
図9Cを参照しながら、人体伝導方式を利用時に、パネル20に接触する耳の位置または耳の押圧に応じて、音量を変更するための制御の処理手順について説明する。
図9Aから
図9Cに示す処理手順は、コントローラ10が制御プログラム9Aを実行することによって実現される。
【0078】
図9Aを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する1つ目の制御の処理手順について説明する。
【0079】
図9Aに示すように、パネル20を振動させて音の出力を開始した場合(ステップS101)、コントローラ10は、パネル20に接触している物体があるかをタッチスクリーン21の検出結果に基づいて判定する(ステップS102)。音の出力を開始した場合とは、例えば、利用者による音の出力を開始するための操作が検出された場合と、通話、音楽再生、動画再生等の音を出力するための処理が開始した場合とが含まれる。パネル20に接触している物体がない場合(ステップS102,No)、コントローラ10は、ステップS102の処理に戻り、パネル20に接触する物体が検出されるまで処理を繰り返す。
【0080】
パネル20に接触している物体がある場合(ステップS102,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、パネル20に接触している物体の位置(すなわち、接触位置)を算出する(ステップS103)。ステップS103において、コントローラ10は、
図6Aから
図6Cで説明した方式等を用いて、パネル20に接触している物体の位置を算出する。そして、コントローラ10は、最初に算出した物体の位置を、初期座標として設定データ9Zに格納する。
【0081】
パネル20に接触している物体がある場合に、コントローラ10は、消費電力を削減するために、ディスプレイ2を消灯してもよい。近接センサ5がディスプレイ2への顔の接近を検出した場合にコントローラ10がディスプレイ2を消灯する制御が別の処理手順において実装されている場合には、ディスプレイ2を消灯する制御を本実施手順において実行しなくてもよい。一般に、スマートフォン等の携帯電話では、近接センサ5がパネル20への顔の接近を検出した場合に、ディスプレイ2を消灯する制御に加えて、誤操作防止のためにタッチスクリーン21による接触検出を行わない制御が行われる。本実施形態では、パネル20に接触している耳の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出するため、近接センサ5がパネル20への顔の接近を検出した場合であっても、タッチスクリーン21は有効なままにされる。
【0082】
続いて、コントローラ10は、初期座標を設定データ9Zに格納後、圧電素子7に印加する電気信号を制御して標準音声を出力する(ステップS104)。そして、コントローラ10は、
図7Aに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置が上下方向(パネル20の長手方向)に移動したかを判定する(ステップS105)。
【0083】
物体の接触位置が上下方向に移動したと判定した場合(ステップS105,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置の移動が上方向への移動であるかを判定する(ステップS106)。そして、物体の接触位置の移動が上方向であると判定した場合(ステップS106,Yes)、コントローラ10は、
図8Aに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が大きくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する(ステップS107)。その後、ステップS109の処理へ進む。一方、物体の接触位置の移動が下方向であると判定した場合(ステップS106,No)、コントローラ10は、
図8Aに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が小さくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する(ステップS108)。その後、ステップS109の処理へ進む。ステップS105において、物体の接触位置が上下方向に移動していないと判定した場合(ステップS105,No)も、ステップS109の処理へ進む。
【0084】
続いて、コントローラ10は、パネル20の音の出力を終了するかを判定する(ステップS109)。音の出力を終了する場合には、例えば、利用者による音の出力を終了するための操作が検出された場合と、通話、音楽再生、動画再生等の音を出力するための処理が完了した場合とが含まれる。
【0085】
音の出力を終了しない場合(ステップS109,No)、コントローラ10は、ステップS105以降を再実行する。音の出力を終了する場合(ステップS109,Yes)、コントローラ10は、本処理を終了する。
【0086】
図9Bを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する2つ目の制御の処理手順について説明する。
【0087】
図9Bに示すように、パネル20を振動させて音の出力を開始した場合(ステップS201)、コントローラ10は、パネル20に接触している物体があるかをタッチスクリーン21の検出結果に基づいて判定する(ステップS202)。パネル20に接触している物体がない場合(ステップS202,No)、コントローラ10は、ステップS202の処理に戻り、パネル20に接触する物体が検出されるまで処理を繰り返す。
【0088】
パネル20に接触している物体がある場合(ステップS202,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、パネル20に接触している物体の位置(すなわち、接触位置)を算出する(ステップS203)。ステップS203において、コントローラ10は、
図6Aから
図6Cで説明した方式等を用いて、パネル20に接触している物体の位置を算出する。そして、コントローラ10は、最初に算出した物体の位置を、初期座標として設定データ9Zに格納する。
【0089】
続いて、コントローラ10は、初期座標を設定データ9Zに格納後、圧電素子7に印加する電気信号を制御して標準音声を出力する(ステップS204)。そして、コントローラ10は、
図7Bに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置が左右方向(パネル20の短手方向)に移動したかを判定する(ステップS205)。
【0090】
物体の接触位置が左右方向に移動したと判定した場合(ステップS205,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置の移動が右方向への移動であるかを判定する(ステップS206)。そして、物体の接触位置の移動が右方向であると判定した場合(ステップS206,Yes)、コントローラ10は、
図8Bに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が大きくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する(ステップS207)。その後、ステップS209の処理へ進む。一方、物体の接触位置の移動が左方向であると判定した場合(ステップS206,No)、コントローラ10は、
図8Bに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が小さくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する(ステップS208)。その後、ステップS209の処理へ進む。ステップS205において、物体の接触位置が左右方向に移動していないと判定した場合(ステップS205,No)も、ステップS209の処理へ進む。
【0091】
続いて、コントローラ10は、パネル20の音の出力を終了するかを判定する(ステップS209)。音の出力を終了しない場合(ステップS209,No)、コントローラ10は、ステップS205以降を再実行する。音の出力を終了する場合(ステップS209,Yes)、コントローラ10は、本処理を終了する。
【0092】
図9Cを参照して、携帯電話1Aが行う音量を変更する3つ目の制御の処理手順について説明する。
【0093】
図9Cに示すように、パネル20を振動させて音の出力を開始した場合(ステップS301)、コントローラ10は、パネル20に接触している物体があるかをタッチスクリーン21の検出結果に基づいて判定する(ステップS302)。パネル20に接触している物体がない場合(ステップS302,No)、コントローラ10は、ステップS302の処理に戻り、パネル20に接触する物体が検出されるまで処理を繰り返す。
【0094】
パネル20に接触している物体がある場合(ステップS302,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、パネル20に接触している物体のパネル20に対する押圧を算出する(ステップS303)。ステップS303において、コントローラ10は、最初に算出した物体の押圧を、初期圧力として設定データ9Zに格納する。
【0095】
続いて、コントローラ10は、初期圧力を設定データ9Zに格納後、圧電素子7に印加する電気信号を制御して標準音声を出力する(ステップS304)。そして、コントローラ10は、
図7Cに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、押圧に変化があるかを判定する(ステップS305)。
【0096】
押圧に変化があると判定した場合(ステップS305,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、押圧の変化が一段階強いものであるかを判定する(ステップS306)。そして、押圧の変化が一段階強いものであると判定した場合(ステップS306,Yes)、コントローラ10は、
図8Cに示すように、押圧の変化に比例して音量が大きくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する。その後、ステップS309の処理へ進む(ステップS307)。一方、押圧の変化が一段階弱いものであると判定した場合(ステップS306,No)、コントローラ10は、
図8Cに示すように、押圧の変化に比例して音量が小さくなるように、圧電素子7に印加する電気信号を制御して音声出力する(ステップS308)。その後、ステップS309の処理へ進む。ステップS305において、押圧に変化がないと判定した場合(ステップS305,No)も、ステップS309の処理へ進む。
【0097】
続いて、コントローラ10は、パネル20の音の出力を終了するかを判定する(ステップS309)。音の出力を終了しない場合(ステップS309,No)、コントローラ10は、ステップS305以降を再実行する。音の出力を終了する場合(ステップS309,Yes)、コントローラ10は、本処理を終了する。
【0098】
このような制御によれば、利用者は、パネル20に耳を接触させたままで携帯電話1Aを移動させることにより、音声を確認しながら聞きやすい音量に変更することができる。したがって、利用者は、音量を変更する際にパネル20から一旦耳を離す必要がなくなり、音声の一部を聞き漏らす可能性を低減できる。このような制御によれば、従来おこなっていた、利用者が適切な音量に変更できるまで、耳を離して音量を調整後に再度耳を接触させて確認するといった時間を要する操作を繰り返す必要がなくなる。したがって、利用者は、携帯電話1Aを利用時に適切な音量に容易かつ迅速に変更することできる。
【0099】
上述の実施形態では、携帯電話1Aが3つの制御のうちいずれかで音量を変更する例を説明したが、携帯電話1Aは、これらの3つの制御を適宜組み合わせてもよい。この場合、
図8Aから
図8Cに示すように、携帯電話1Aは、接触位置の長手方向における変化、接触位置の短手方向における変化、および、押圧の変化に応じて、それぞれ音量レベルの変化量を異ならせて制御することができる。したがって、利用者は、パネル20に耳を接触させたままで携帯電話1Aの移動操作を適宜組み合わせることで、より詳細な音量変更が可能となる。
【0100】
(実施形態2)
上記の実施形態では、人体伝導方式を利用時に、パネル20に接触する耳の位置または耳の押圧に応じて音量を変更するための制御について説明したが、携帯電話1Aは、耳の位置および耳の押圧に応じて、
図10Aから
図10Cに示すように、音量だけでなく、音質、受話速度も変更することができる。
図10Aは、音量の変更の例を示す図である。
図10Bは、音質の変更の例を示す図である。
図10Cは、受話速度の変更に例を示す図である。
【0101】
この場合、
図10Aに示すように、コントローラ10は、接触位置のパネル20の第1の方向における変化に応じて、パネルが物体に伝える振動音の音量が変化するように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。第1の方向は、例えばパネル20の長手方向である。
図10Bに示すように、コントローラ10は、接触位置のパネル20の第2の方向における変化に応じて、パネルが物体に伝える振動音の音質が変化するように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。この音質とは、周波数である。第2の方向は、例えばパネル20の短手方向である。
図10Cに示すように、コントローラ10は、押圧の変化に応じて、パネル20が物体に伝える振動音の受話速度が変化するように、圧電素子7に印加する電気信号を制御する。
【0102】
図11を参照して、
図10Aから
図10Cに示すように、携帯電話1Aが耳の位置および耳の押圧に応じて、音量、音質、受話速度を変更する制御について説明する。
図11は、音量、音質、受話速度を変更する制御の処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
図11に示すように、パネル20を振動させて音の出力を開始した場合(ステップS401)、コントローラ10は、パネル20に接触している物体があるかをタッチスクリーン21の検出結果に基づいて判定する(ステップS402)。パネル20に接触している物体がない場合(ステップS402,No)、コントローラ10は、ステップS402の処理に戻り、パネル20に接触する物体が検出されるまで処理を繰り返す。
【0104】
パネル20に接触している物体がある場合(ステップS402,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、パネル20に接触している物体の位置を算出する(ステップS403)。ステップS403において、コントローラ10は、
図6Aから
図6Cで説明した方式等を用いて、パネル20に接触している物体の位置を算出する。そして、コントローラ10は、最初に算出した物体の位置を、初期座標として設定データ9Zに格納する。続いて、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、パネル20に接触している物体のパネル20に対する押圧を算出する(ステップS404)。ステップS404において、コントローラ10は、最初に算出した物体の押圧を、初期圧力として設定データ9Zに格納する。そして、コントローラ10は、初期座標および初期圧力を設定データ9Zに格納後、圧電素子7に印加する電気信号を制御して標準音声を出力する(ステップS405)。
【0105】
続いて、コントローラ10は、
図7Aに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置が上下方向(パネル20の長手方向)に移動したかを判定する(ステップS406)。
【0106】
物体の接触位置が上下方向に移動したと判定した場合(ステップS406,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置の移動が上方向への移動であるかを判定する(ステップS407)。そして、物体の接触位置の移動が上方向であると判定した場合(ステップS407,Yes)、コントローラ10は、
図10Aに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が大きくなるように設定値を変更する調整処理を実行する(ステップS408)。その後、ステップS410の処理へ進む。一方、物体の接触位置の移動が下方向であると判定した場合(ステップS407,No)、コントローラ10は、
図10Aに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して音量が小さくなるように設定値を変更する調整処理を実行する(ステップS409)。その後、ステップS410の処理へ進む。ステップS406において、物体の接触位置が上下方向に移動していないと判定した場合(ステップS406,No)も、ステップS410の処理へ進む。
【0107】
続いて、コントローラ10は、
図7Bに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置が左右方向(パネル20の短手方向)に移動したかを判定する(ステップS410)。
【0108】
物体の接触位置が左右方向に移動したと判定した場合(ステップS410,Yes)、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、物体の接触位置の移動が右方向への移動であるかを判定する(ステップS411)。そして、物体の接触位置の移動が右方向であると判定した場合(ステップS411,Yes)、コントローラ10は、
図10Bに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して周波数が高くなるように設定値を変更する高音化処理を実行する(ステップS412)。その後、ステップS414の処理へ進む。一方、物体の接触位置の移動が左方向であると判定した場合(ステップS411,No)、コントローラ10は、
図10Bに示すように、接触位置の座標値の変化に比例して周波数が低くなるように設定値を変更する低音化処理を実行する(ステップS413)。その後、ステップS414の処理へ進む。ステップS410において、物体の接触位置が左右方向に移動していないと判定した場合(ステップS405,No)も、ステップS414の処理へ進む。
【0109】
続いて、コントローラ10は、
図7Cに示すように、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、押圧に変化があるかを判定する(ステップS414)。
【0110】
押圧に変化があると判定した場合(ステップS414,Yes)、コントローラ10は、受話速度を変更するために音声バッファリング処理を開始する(ステップS415)。そして、コントローラ10は、タッチスクリーン21の検出結果に基づいて、押圧の変化が一段階強いものであるかを判定する(ステップS416)。そして、押圧の変化が一段階強いものであると判定した場合(ステップS416,Yes)、コントローラ10は、
図10Cに示すように、押圧の変化に比例して受話速度が速くなるように設定値を変更する、バッファリング音声の高速出力処理を実行する(ステップS417)。その後、ステップS419の処理へ進む。一方、押圧の変化が一段階弱いものであると判定した場合(ステップS416,No)、コントローラ10は、
図10Cに示すように、押圧の変化に比例して受話速度が遅くなるように設定値を変更する、バッファリング音声の高速出力処理を実行する(ステップS418)。その後、ステップS419の処理へ進む。
【0111】
続いて、コントローラ10は、所定時間内にさらに押圧の変化があるかを判定する(ステップS419)。所定時間にさらに押圧の変化があると判定した場合(ステップS419,Yes)、コントローラ10は、ステップS416以降を再実行する。一方、所定時間にさらに押圧の変化がないと判定した場合(ステップS419,No)、コントローラ10は、上記ステップS408、S409、S412、S413、S417、S418の処理により補正された音声を、圧電素子7に印加する電気信号を制御して出力する(ステップS420)。そして、コントローラ10は、パネル20の音の出力を終了するかを判定する(ステップS421)。音の出力を終了しない場合(ステップS421,No)、コントローラ10は、ステップS406以降を再実行する。音の出力を終了する場合(ステップS421,Yes)、コントローラ10は、本処理を終了する。
【0112】
このような制御によれば、利用者は、
図10Aから
図10Cに示すように、携帯電話1Aは、接触位置の第1の方向における変化、接触位置の第2の方向における変化、および、押圧の変化に応じて、それぞれ音量、音質、受話速度を変化させることができる。したがって、利用者は、パネル20に耳を接触させたままで携帯電話1Aの移動操作を適宜組み合わせることで、聞きやすい音声を実現する適切な音量、音質、受話速度の組合せに変更することができる。
【0113】
図10Bでは、音質を高周波強調するように高音レベルを変化させる例と、音質を低周波強調するように低音レベルを変化させる例を説明したこれに限定されない。携帯電話1Aは、接触位置または押圧に応じて、プリセットイコライジング処理、女性特有の音質と男性特有の音質への変化処理、ノイズキャンセル処理に関する設定値を変化させてもよい。
【0114】
図10Aから
図11では、音声に関するパラメータとして、音量、音質、受話速度の3つを例に説明したが、これに限定されない。携帯電話1Aは、接触位置の第1の方向における変化、接触位置の第2の方向における変化、または、押圧の変化に応じて、音声の指向性を変化させてもよい。例えば、携帯電話1Aは、接触位置または押圧の変化に応じて、振動子の方向や角度を制御することで、音声の指向性を変化させる。この他、携帯電話1Aが曲がる電子ペーパー等で構成される場合、携帯電話1Aは、接触位置または押圧の変化に応じて、曲がり具合を調整可能なアクチュエータ等により、利用者が聞き易い音声となるように、音声の指向性を変化させてもよい。
【0115】
図11の処理において、携帯電話1Aは、通話開始時にバッファリングを開始してもよいし、相手の声を検出するたびにバッファリングを開始してもよい。
【0116】
(実施形態3)
上記の実施形態では、タッチスクリーン21がパネル20のほぼ全面に配設される例について説明したが、タッチスクリーン21は、ディスプレイ2と重ならないように配設されてもよい。
図12は、タッチスクリーン21がディスプレイ2と重ならないように配設される携帯電話1Bの正面図である。
図13は、携帯電話1Bのb−b断面を模式的に示す断面図である。
【0117】
図12及び
図13に示すように、携帯電話1Bにおいて、ディスプレイ2は、パネル20の内側ではなく、パネル20と同一平面をなすように、パネル20と並べて配設される。タッチスクリーン21は、ディスプレイ2の表側のほぼ全面を覆うように配設される。すなわち、タッチスクリーン21及びディスプレイ2は、所謂タッチパネル(タッチスクリーンディスプレイ)を構成する。
【0118】
パネル20の背面のほぼ中央には、接合部材30により、圧電素子7が取り付けられる。パネル20は、圧電素子7に電気信号が印加されると、圧電素子7の変形(伸縮又は屈曲)に応じて振動し、気導音と、パネル20に接触する人体の一部(例えば、耳介軟骨)を介して伝わる振動音とを発生する。圧電素子7をパネル20の中央に配設することにより、圧電素子7の振動がパネル20全体に均等に伝わり、気導音及び振動音の品質が向上する。
【0119】
パネル20の表側の面にはタッチスクリーン21が配設されないが、パネル20は、タッチスクリーン21が配設されるディスプレイ2の近傍に配置される。
【0120】
このような構成の携帯電話1Bの利用者が、振動音を聞くために耳をパネル20に接触させると、パネル20はタッチスクリーン21の近傍にあるため、耳の一部がタッチスクリーン21に接触する。このため、タッチスクリーン21の検出領域を格子状に分割し、分割されたそれぞれの領域における耳の接触の検出状態を、対応する画素の状態に変換することにより、
図14に示すような像76が得られる。
【0121】
携帯電話1Bは、像76が得られると、パターンマッチングによって、像76と標本75とが最もマッチする際の両者の相対位置を得る。
図14の例の場合、像76の左上を基準として、標本75をX軸方向にx4、Y軸方向に−y4だけシフトした場合に両者が最もマッチする。この場合、耳の位置は、(x4,−y4)と算出される。携帯電話1Bは、基準位置74aを含む標本74を用いて耳の位置を検出することもできる。
【0122】
このように、携帯電話1Bは、タッチスクリーン21がディスプレイ2と重ならないように配設されていても、パネル20に接触する耳の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出することができる。したがって、携帯電話1Bは、携帯電話1Aと同様に、パネル20に接触する耳の位置に応じて音量を変更するための制御を実行することができる。
【0123】
(実施形態4)
上記の実施形態では、タッチスクリーン21の少なくとも一部がディスプレイ2と重なるように配設される例について説明したが、タッチスクリーン21は、ディスプレイ2と重ならないように配設されてもよい。
図15は、タッチスクリーン21がディスプレイ2と重ならないように配設される携帯電話1Cの正面図である。
図16は、携帯電話1Cのc−c断面を模式的に示す断面図である。
【0124】
図15及び
図16示すように、携帯電話1Cにおいて、ディスプレイ2は、パネル20の内側ではなく、パネル20と同一平面をなすように、パネル20と並べて配設される。
【0125】
パネル20の背面のほぼ中央には、接合部材30により、圧電素子7が取り付けられる。パネル20と圧電素子7との間には、補強部材31が配設される。すなわち、携帯電話1Cにおいては、圧電素子7と補強部材31とが接合部材30により接着され、さらに補強部材31とパネル20とが接合部材30で接着される。
【0126】
補強部材31は、例えばゴムまたはシリコン等の弾性部材である。補強部材31は、例えばある程度の弾性を有するアルミニウム等から成る金属板であってもよい。補強部材31は、例えばSUS304等のステンレス板であってもよい。ステンレス板等の金属板の厚さは、圧電素子7に印加される電圧値等に応じて、例えば0.2mm〜0.8mmのものが適宜用いられる。補強部材31は、例えば樹脂製の板であってもよい。ここでいう樹脂製の板を形成する樹脂としては、例えばポリアミド系樹脂が挙げられる。ポリアミド系樹脂には、例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とから得られる結晶性の熱可塑性樹脂から成り、強度および弾性に富むレニー(登録商標)がある。このようなポリアミド系樹脂は、それ自体をベースポリマーとして、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等により強化された強化樹脂であってもよい。強化樹脂は、ポリアミド系樹脂に対するガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等の付加量に応じて、強度および弾性が適宜調整される。強化樹脂は、例えば、ガラス繊維、金属繊維または炭素繊維等を編みこんで形成された基材に樹脂を含浸させ、硬化させて形成される。強化樹脂は、液状の樹脂に細かく切断された繊維片を混入させたのちに硬化させて形成されるものであってもよい。強化樹脂は、繊維を編みこんだ基材と樹脂層とを積層したものであってもよい。
【0127】
圧電素子7とパネル20との間に補強部材31を配設することにより、以下の効果が得られる。パネル20に外力が加わった場合に、その外力が圧電素子7に伝わって圧電素子7が破損する可能性を低減することができる。例えば携帯電話1Cが地面に落下することでパネル20に対して外力が加わると、当該外力はまず補強部材31に伝わる。補強部材31は、所定の弾性を有しているため、パネル20から伝わる外力により弾性変形する。そのため、パネル20に対して加わった外力は補強部材31により少なくとも一部が吸収され、圧電素子7に伝達される外力が低減される。結果、圧電素子7の破損を低減することができる。補強部材31が圧電素子7と筺体40との間に配置される場合、例えば携帯電話1Cが地面に落下することで筺体40が変形し、変形した筺体40が圧電素子7に衝突して圧電素子7が破損する可能性を低減できる。
【0128】
圧電素子7の伸縮または屈曲による振動は、まず補強部材31に伝達され、さらにパネル20に伝達される。すなわち、圧電素子7は、まず圧電素子7よりも大きな弾性係数を有する補強部材31を振動させ、さらにパネル20を振動させることになる。したがって、携帯電話1Cは、補強部材31を備えず、圧電素子7が接合部材70によりパネル20に接合される構造と比較して、圧電素子7の変形が過剰になりにくくすることができる。これにより、パネル20の変形量(変形の程度)を調節することができる。この構造は、圧電素子7の変形を阻害しにくいパネル20の場合に特に有効である。
【0129】
さらに、圧電素子7とパネル20との間に補強部材31を配設することにより、
図18に示すように、パネル20の共振周波数が下がり、低周波帯域の音響特性が向上する。
図18は、補強部材31による周波数特性の変化例を示す図である。
図18には、上記のSUS304のような板金を補強部材31として用いた場合の周波数特性と、上記のレニーのような強化樹脂を補強部材31として用いた場合の周波数特性とが示されている。横軸は周波数を、縦軸は音圧を示す。強化樹脂を用いた場合の共振点は約2kHzであり、板金を用いた場合の共振点は約1kHzである。強化樹脂を用いた場合のディップは約4kHzであり、板金を用いた場合のディップは約3kHzである。すなわち、強化樹脂を用いた場合には、板金を用いた場合に比べて、パネル10の共振点が高い周波数領域に位置しており、周波数特性のディップがより高い周波数領域に位置している。携帯電話機の音声通話で用いられる周波数帯は300Hz〜3.4kHzであるため、強化樹脂を補強部材31として用いた場合、ディップが携帯電話1Cの使用周波数帯に含まれないようにすることができる。尚、補強部材31として板金を用いる場合でも、板金を構成する金属の種類もしくは組成または板金の厚さ等を適宜調整することで、ディップが携帯電話1Cの使用周波数帯に含まれないようにすることができる。板金と強化樹脂とを比較すると、強化樹脂は、板金と比較してアンテナ性能への影響を低減することができる。強化樹脂は板金と比較して塑性変形しにくいため、音響特性が変化しにくいという利点がある。強化樹脂は板金と比較して、音発生時の温度上昇が抑えられる。補強部材31に換えて、板状の錘を接合部材30により圧電素子7に取り付けてもよい。
【0130】
パネル20は、圧電素子7に電気信号が印加されると、圧電素子7の変形(伸縮又は屈曲)に応じて振動し、気導音と、パネル20に接触する人体の一部(例えば、耳介軟骨)を介して伝わる振動音とを発生させる。タッチスクリーン21は、パネル20の表側のほぼ全面を覆うように配設される。
【0131】
このような構成の携帯電話1Cの利用者が、振動音を聞くために耳をパネル20に接触させると、タッチスクリーン21は耳と比較して小さいものの、耳の一部がタッチスクリーン21に接触する。このため、タッチスクリーン21の検出領域を格子状に分割し、分割されたそれぞれの領域における耳の接触の検出状態を、対応する画素の状態に変換することにより、
図19に示すような像77が得られる。
【0132】
携帯電話1Cは、像77が得られると、パターンマッチングによって、像77と標本75とが最もマッチする際の両者の相対位置を得る。
図18の例の場合、像77の左上を基準として、標本75をX軸方向にx5、Y軸方向に−y5だけシフトした場合に両者が最もマッチする。この場合、耳の位置は、(x5,−y5)と算出される。携帯電話1Bは、基準位置74aを含む標本74を用いて耳の位置を検出することもできる。
【0133】
このように、携帯電話1Cは、タッチスクリーン21がディスプレイ2と重ならないように配設されていても、パネル20に接触する耳の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出することができる。したがって、携帯電話1Cは、携帯電話1Aと同様に、パネル20に接触する耳の位置に応じて音量を変更するための制御を実行することができる。
【0134】
(その他の実施形態)
本出願の開示する実施形態は、当業者に明らかな事項を含むことができ、発明の要旨及び範囲を逸脱しない範囲で変形することができる。さらに、本出願の開示する実施形態及びその変形例は、適宜組み合わせることができる。例えば、上記の実施形態は、以下のように変形してもよい。
【0135】
例えば、
図5に示した各プログラムは、複数のモジュールに分割されていてもよいし、他のプログラムと結合されていてもよい。
【0136】
上記の実施形態では、パネル20に接触する物体の位置を、タッチスクリーン21を用いて検出する例を示したが、物体の位置を検出する検出部は、タッチスクリーン21に限定されない。例えば、物体の位置を検出する検出部は、カメラ12であってもよい。この場合、物体の位置は、カメラ12が取得する画像に基づいて検出される。
【0137】
上記の実施形態では、パネル20に接触する物体の移動を、タッチスクリーン21を用いて検出する例を示したが、物体の移動を検出する検出部は、タッチスクリーン21に限定されない。例えば、物体の移動は、カメラ12が取得する画像に基づいて検出してもよいし、姿勢検出ユニット15が有する加速度センサによって検出してもよい。
【0138】
上記の実施形態では、パネル20に接触する物体が耳であるという前提で音量調整を行う例を示したが、携帯電話1A〜1Cは、パネル20に接触する物体が耳であるか否かを判定し、耳である場合にのみ音量調整を行ってもよい。このように制御することにより、パネル20に耳が接触している場合には耳の位置に応じて音量調整を行い、パネル20に指が接触している場合には接触操作に応じた処理を実行するというように、状況に合わせて制御を切り替えることができる。パネル20に接触する物体が耳であるか否かは、例えば、標本とのパターンマッチングの精度を上げることによって判定できる。
【0139】
上記の実施形態では、携帯電話が、パネル20に対する耳の接触位置もしくは接触面積、または耳の押圧に応じて振動音の音量を変化させる例を示したが、これに限定されない。携帯電話は、例えば耳が所定時間内にパネル20に接触した回数に応じて振動音の音量を変化させてもよい。また、耳がパネルに接触している状態でカメラ12により撮像される画像又は姿勢検出ユニット15の検出結果に応じて振動音の音量を変化させても良い。
【0140】
上記の実施形態では、携帯電話は、初期座標からの位置変化に応じて、その位置変化に対応付けられた変化量をもって振動音の音量を変化させる例を示したが、これに限定されない。携帯電話は、耳の接触位置を検出すると、振動音の音量を、パネル上の位置に対応付けられて予め決定された音量に変化させてもよい。また、第1の位置の接触が検出された後第2の位置の接触が検出された場合、二つの接触が検出された時間間隔に基づいて振動音の音量を変化させても良い。また、第1の位置から第2の位置に向かう方向(ベクトル)に基づいて振動音の音量を変化させても良い。
【0141】
上記の実施形態では、携帯電話1Aとして、ディスプレイ2が接合部材30を用いてパネル20の背面に取り付けられる例を示したが、携帯電話1Aは、パネル20とディスプレイ2の間に空間ができるように構成されてもよい。パネル20とディスプレイ2の間に空間を設けることにより、パネル20が振動しやすくなり、パネル20上において振動音を聞きやすい範囲が広くなる。
【0142】
上記の実施形態では、圧電素子7をパネル20に取り付ける例を示したが、他の場所に取り付けられてもよい。例えば、圧電素子7は、バッテリリッドに取り付けられてもよい。バッテリリッドは、筐体40に取り付けられ、バッテリを覆う部材である。バッテリリッドは、携帯電話等の携帯電子機器においてディスプレイ2と異なる面に取り付けられることが多いため、そのような構成によれば、利用者はディスプレイ2と異なる面に体の一部(例えば耳)を接触させて音を聞くことができる。圧電素子7が筺体40の角部(例えば四隅の少なくとも一か所)を振動させる構成であっても良い。この場合、圧電素子7は、筺体40の角部の内面に取り付けられる構成でもよいし、中間部材をさらに備え、圧電素子7の振動が中間部材を介して筺体40の角部に伝達される構成でもよい。この構成によれば、振動する範囲を比較的狭くできるため、振動により発生する気導音が周囲に漏れにくい。また、この構成によれば、例えば利用者が筺体の角部を外耳道に挿入した状態で気導音と振動音とが利用者に伝わるため、周囲のノイズが利用者の外耳道に入りにくい。そのため、利用者に伝わる音の品質を向上することができる。
【0143】
上記の実施形態では、補強部材31は板状部材であるが、補強部材31の形状はこれに限られない。補強部材31は、例えば、圧電素子7より大きく、かつその端部が圧電素子7側に湾曲し圧電素子7の側部を覆う形状を有していてもよい。また、補強部材31は、例えば、板状部と、当該板状部から延設されて圧電素子7の側部を覆う延設部とを有する形状であってもよい。この場合、延設部と圧電素子7の側部とが、所定の距離だけ離間しているとよい。これにより、延設部が圧電素子の変形を阻害しにくくなる。
【0144】
また、パネル20は、表示パネル、操作パネル、カバーパネル、充電池を取り外し可能とするためのリッドパネルのいずれかの一部または全部を構成することができる。特に、パネル20が表示パネルのとき、圧電素子7は、表示機能のための表示領域の外側に配置される。これにより、表示を阻害しにくいという利点がある。操作パネルは、タッチパネルを含む。また、操作パネルは、例えば折畳型携帯電話において操作キーのキートップが一体に形成され操作部側筺体の一面を構成する部材であるシートキーを含む。
【0145】
なお、パネル20と圧電素子7とを接着する接合部材およびパネル20と筺体40とを接着する接合部材等を同一の符号を有する接合部材30として説明した。しかしながら、接合部材は、接合する対象である部材に応じて適宜異なるものが用いられてよい。
【0146】
上記の実施形態では、添付の請求項に係る装置の例として、携帯電話について説明したが、添付の請求項に係る装置は、携帯電話に限定されない。添付の請求項に係る装置は、携帯電話以外の携帯電子機器であってもよい。携帯電子機器は、例えば、タブレット、携帯型パソコン、デジタルカメラ、メディアプレイヤ、電子書籍リーダ、ナビゲータ、及びゲーム機を含むが、これらに限定されない。
【0147】
添付の請求項に係る技術を完全かつ明瞭に開示するために特徴的な実施形態に関し記載してきた。しかし、添付の請求項は、上記実施形態に限定されるべきものでなく、本明細書に示した基礎的事項の範囲内で当該技術分野の当業者が創作しうるすべての変形例及び代替可能な構成を具現化するように構成されるべきである。