(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液体還元剤を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンク内の液体還元剤を圧送するポンプと、圧送される前記液体還元剤を内燃機関の排気通路内に噴射する還元剤噴射弁と、前記ポンプの駆動制御を行う電子制御装置と、を備え、前記内燃機関の停止時に還元剤供給経路内に残留する前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに回収する制御を実行可能な還元剤供給装置において、
前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに吸い戻すための吸い戻し手段を備え、
前記電子制御装置は、前記液体還元剤を回収する際に、前記還元剤噴射弁を開弁状態で保持するとともに、前記還元剤供給経路内の圧力が閾値以下となった場合に、前記閾値を上回るように前記吸い戻し手段を制御しながら前記液体還元剤を回収することを特徴とする還元剤供給装置。
前記電子制御装置は、前記液体還元剤の吸い戻し量が所定の基準量に到達した後に前記吸い戻し処理を終了することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の還元剤供給装置。
液体還元剤を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンク内の液体還元剤を圧送するポンプと、圧送される前記液体還元剤を内燃機関の排気通路内に噴射する還元剤噴射弁と、前記ポンプの駆動制御を行う電子制御装置と、を備えた還元剤供給装置における、前記内燃機関の停止時に還元剤供給経路内に残留する前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに回収するための液体還元剤の回収制御方法において、
前記液体還元剤を回収する際に、前記還元剤噴射弁を開弁状態で保持するとともに、前記還元剤供給経路内の圧力が閾値以下となった場合に、前記閾値を上回るように、前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに吸い戻すための吸い戻し手段を制御しながら前記液体還元剤を回収することを特徴とする液体還元剤の回収制御方法。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載された内燃機関の排気には窒素酸化物(NO
X)が含まれている。このNO
Xを浄化する排気浄化装置の一つとして、内燃機関の排気通路中に配置された選択還元触媒と、選択還元触媒の上流側で尿素水溶液等のアンモニア由来の液体還元剤を噴射するための還元剤供給装置とを備えた排気浄化装置が知られている。この排気浄化装置は、選択還元触媒中で、排気中のNO
Xと液体還元剤から生成されるアンモニアとを効率的に還元反応させ、NO
Xを窒素や水等に分解するものとなっている。
【0003】
このような排気浄化装置に用いられる還元剤供給装置の一態様として、ポンプ及び還元剤噴射弁を備え、貯蔵タンク内の液体還元剤をポンプによって圧送するとともに、排気管に固定された還元剤噴射弁を介して液体還元剤を排気管内に供給するインジェクション式の還元剤供給装置がある。
【0004】
ここで、液体還元剤として尿素水溶液を使用する場合、できる限り尿素水溶液の凍結が生じないように、凍結温度が最も低くなる濃度の尿素水溶液が用いられる。ただし、尿素水溶液の凍結温度は低くても−11℃程度であり、寒冷地等においては尿素水溶液の供給が停止されている期間において尿素水溶液が凍結するおそれがある。また、尿素水溶液の供給が停止されている期間において、尿素水溶液中の水分が蒸発して濃度が上昇し、尿素水溶液の凍結温度が上昇することによって凍結しやすくなるおそれもある。
【0005】
尿素水溶液が凍結すると、次回の始動時に長時間の解凍時間が必要になったり、その体積が膨張して還元剤供給装置の構成部品が破損したりするおそれがある。そのため、内燃機関の停止時には、還元剤供給装置内に残留する尿素水溶液を貯蔵タンク内に回収する制御が行われることが一般的である。尿素水溶液の回収は、尿素水溶液を圧送するポンプを逆回転させたり、あるいは、尿素水溶液の流路の接続を切り換えたりすることで、尿素水溶液の供給経路内を減圧し、尿素水溶液を貯蔵タンク内に吸い戻すことによって行われる。この尿素水溶液の吸い戻し動作は、還元剤噴射弁を開いた状態にするとともにポンプを一定の出力に維持した状態で一定期間実施されるようになっている(例えば、特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、還元剤噴射弁の噴孔や還元剤供給経路の途中において尿素水溶液中の尿素が結晶化して、部分的あるいは全面的な詰まりを生じていると、尿素水溶液の吸い戻し動作中に、還元剤供給装置内に過大な負圧が発生する。この過大な負圧は、還元剤供給装置内に過度の力を作用させ、構成部品を破損させるおそれがある。また、吸い戻し動作の終了時に過大な負圧が存在していると、吸い戻し処理を終了した後に貯蔵タンク内から還元剤供給装置内に尿素水溶液が再充填され、尿素水溶液の凍結や、次回の始動時の意図しない噴射を生じるおそれがある。
【0008】
したがって、本発明は、液体還元剤の吸い戻し処理後に、液体還元剤が還元剤供給装置内に再充填されにくくなる還元剤供給装置、及び、液体還元剤の回収制御方法、並びに、排気浄化装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、液体還元剤を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンク内の液体還元剤を圧送するポンプと、圧送される前記液体還元剤を内燃機関の排気通路内に噴射する還元剤噴射弁と、前記ポンプの駆動制御を行う電子制御装置と、を備え、前記内燃機関の停止時に
還元剤供給経路内に残留する前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに回収する制御を実行可能な還元剤供給装置において、前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに吸い戻すための吸い戻し手段を備え、前記電子制御装置は、
前記液体還元剤を回収する際に、前記還元剤噴射弁を開弁状態で保持するとともに、前記ポンプと前記還元剤噴射弁とを接続する前記還元剤供給経路内の圧力が
閾値以下とな
った場合に、前記閾値を上回るように前記吸い戻し手段を制御しながら前記液体還元剤を回収することを特徴とする還元剤供給装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
【0010】
すなわち、本発明の還元剤供給装置は、液体還元剤を貯蔵タンクに回収する際に、還元剤供給経路内の圧力が
閾値以下とな
った場合に、前記閾値を上回るように制御しながら液体還元剤を吸い戻すこととしている。したがって、還元剤供給装置内に過大な負圧が発生することがなくなり、構成部品の破損を低減できるとともに、吸い戻し処理を停止した後に、液体還元剤が再充填されることを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の還元剤供給装置を構成するにあたり、前記電子制御装置は、前記圧力が、一定時間以上、前記
閾値を下回る場合に、前記吸い戻し手段の出力を低下させることが好ましい。
このように吸い戻し手段の出力制御をすることにより、一時的に圧力が低下しただけでは吸い戻し手段の出力が低下させられることがないため、電子制御装置の負荷を低減することができる。
【0012】
また、本発明の還元剤供給装置を構成するにあたり、前記電子制御装置は、前記吸い戻し手段の出力を段階的に低下させて前記圧力が前記
閾値を上回るように制御することが好ましい。
このように吸い戻し手段の出力制御をすることにより、必要以上に吸い戻し手段の出力が低下して液体還元剤の回収に要する時間が延びることを防ぐことができる。
【0013】
また、本発明の還元剤供給装置を構成するにあたり、前記電子制御装置は、前記液体還元剤の吸い戻し量が所定の基準量に到達した後に前記吸い戻し処理を終了することが好ましい。
このように吸い戻し制御を終了することとすれば、吸い戻し手段の出力を変更した場合であっても、還元剤供給経路内の液体還元剤を十分に回収することが可能であるとともに、液体還元剤の回収が完了したときに、速やかに吸い戻し処理を終了することができる。
【0014】
また、本発明の還元剤供給装置を構成するにあたり、前記吸い戻し制御手段が前記ポンプであることが好ましい。
このように還元剤供給装置を構成することにより、構成部品を増加する必要がなく、コストの上昇を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明の別の態様は、液体還元剤を貯蔵する貯蔵タンクと、前記貯蔵タンク内の液体還元剤を圧送するポンプと、圧送される前記液体還元剤を内燃機関の排気通路内に噴射する還元剤噴射弁と、前記ポンプの駆動制御を行う電子制御装置と、を備えた還元剤供給装置における、前記内燃機関の停止時に還元剤供給経路内に残留する前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに回収するための液体還元剤の回収制御方法において、
前記液体還元剤を回収する際に、前記還元剤噴射弁を開弁状態で保持するとともに、前記還元剤供給経路内の圧力が
閾値以下とな
った場合に、前記閾値を上回るように、前記液体還元剤を前記貯蔵タンクに吸い戻すための吸い戻し手段を制御しながら前記液体還元剤を回収することを特徴とする液体還元剤の回収制御方法である。
すなわち、本発明の液体還元剤の回収制御方法は、液体還元剤を貯蔵タンクに回収する際に、還元剤供給通路内の圧力が
閾値以下とな
った場合に、前記閾値を上回るように液体還元剤を吸い戻すこととしている。したがって、還元剤供給装置内に過大な負圧が発生することがなくなり、構成部品の破損を低減できるとともに、吸い戻し処理を停止した後に、液体還元剤が再充填されることを防ぐことができる。
【0016】
また、本発明のさらに別の態様は、上述したいずれかの還元剤供給装置を備えた排気浄化装置である。
すなわち、本発明の排気浄化装置は、液体還元剤を貯蔵タンクに回収する際に、還元剤供給装置内に過大な負圧が発生することがなく、構成部品の破損を低減できるとともに、吸い戻し処理を停止した後に、液体還元剤が再充填されることのない還元剤供給装置を備えている。したがって、故障が少なく、効率的に排気浄化制御を実行可能な排気浄化装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、適宜図面を参照して、本発明の還元剤供給装置、及び、液体還元剤の回収制御方法、並びに、内燃機関の排気浄化装置に関する実施の形態について具体的に説明する。
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものについては、特に説明がない限り同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
【0019】
[第1の実施の形態]
1.排気浄化装置の全体構成
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る還元剤供給装置20が備えられた排気浄化装置10の全体構成の一例を説明するために示す図である。
排気浄化装置10は、排気中のNO
Xを浄化するための装置であり、図示しないディーゼルエンジン等の内燃機関の排気通路11に設けられている。排気浄化装置10は、排気通路11の途中に介装された還元触媒13と、還元触媒13よりも上流側の排気通路11内に液体還元剤を供給するための還元剤供給装置20とを備えている。
【0020】
還元触媒13は、排気中のNO
Xの還元を促進する機能を有する触媒であり、液体還元剤から生成される還元成分を吸着するとともに、触媒に流れ込む排気中のNO
Xを還元成分によって選択的に還元する触媒である。本実施の形態の還元剤供給装置20は、液体還元剤として尿素水溶液が用いられるものであり、尿素水溶液が排気通路11中で分解されることにより還元成分としてのアンモニアが生成されるようになっている。
【0021】
2.還元剤供給装置
(1)基本的構成
図1において、還元剤供給装置20は、液体還元剤が収容される貯蔵タンク21と、液体還元剤を圧送するポンプユニット30と、液体還元剤を排気通路11内に噴射する還元剤噴射弁25とを備えている。ポンプユニット30は、ポンプ23及び流路切換弁33を備えている。還元剤噴射弁25、ポンプ23、及び、流路切換弁33は、ECU40によって駆動制御が行われるものとなっている。
【0022】
ポンプ23と貯蔵タンク21とは第1の供給通路27によって接続され、ポンプ23と還元剤噴射弁25とは第2の供給通路28によって接続されている。このうち、第2の供給通路28には、第2の供給通路28内の圧力、すなわち、還元剤噴射弁25に圧送される液体還元剤の圧力を検出するための圧力検出手段として、圧力センサ31が設けられている。ポンプ23と、第1の供給通路27及び第2の供給通路28とは、流路切換弁33を介して接続されている。第1の供給通路27の貯蔵タンク21側の端部は、液体還元剤の吸い上げを可能にするために、貯蔵タンク21の底面近傍に位置している。
【0023】
流路切換弁33は、ポンプ23によって圧送される液体還元剤が流れる方向を、貯蔵タンク21側から還元剤噴射弁25側に流れる正方向と、還元剤噴射弁25側から貯蔵タンク21側に流れる逆方向とに切換える機能を有している。本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、流路切換弁33は、非通電状態で第1の供給通路27をポンプ23の入り口側23aに連通するとともに第2の供給通路28をポンプ23の出口側23bに連通する一方、通電状態で第1の供給通路27をポンプ23の出口側23bに連通するとともに第2の供給通路28をポンプ23の入り口側23aに連通するように構成されている。
【0024】
すなわち、内燃機関の運転状態においては、液体還元剤を還元剤噴射弁25側に供給するために、流路切換弁33への通電は行われない。一方、内燃機関の停止時においては、還元剤供給装置20内の液体還元剤を貯蔵タンク21に回収するために、流路切換弁33に対して通電される。
【0025】
なお、内燃機関の停止時に、液体還元剤を貯蔵タンク21に回収可能とする構成は、流路切換弁33を設ける例に限られない。例えば、逆回転可能なポンプ23を用いることによって液体還元剤を回収可能に構成することもできる。
【0026】
また、第2の供給通路28の途中には、他端が貯蔵タンク21に接続されたリターン通路29が分岐して設けられている。リターン通路29の貯蔵タンク21側の端部は、貯蔵タンク21内の気相部分に接続されている。
なお、貯蔵タンク21にはエアブリザード等が設けられており、内部の圧力が大気圧で保たれるように構成されている。
【0027】
リターン通路29の途中には、流路面積が小さくされた絞り部37が設けられ、第2の供給通路28内の圧力を高められようになっている。また、絞り部37よりも貯蔵タンク21側のリターン通路29には、液体還元剤が貯蔵タンク21側から第2の供給通路28側に流れないようにするための一方向弁35が設けられている。一方向弁35は省略されていても構わない。
【0028】
なお、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においてはポンプユニット30内に圧力センサ31が設けられているが、第2の供給通路28のどの位置に設けられていても構わない。
【0029】
ポンプ23は、ECU40による通電制御によって、所定の流量の液体還元剤を圧送する。本実施の形態において、ポンプ23は電磁式ポンプが用いられており、駆動デューティ比が大きいほどポンプ23の出力(吐出流量)が大きくなるものとなっている。本実施の形態においては、このポンプ23が、液体還元剤を貯蔵タンク21に回収するための吸い戻し手段に相当する。
【0030】
液体還元剤の噴射制御時においては、圧力センサ31によって検出される第2の供給通路28内の圧力値(以下、この値を「検出圧力」と称する。)Puが、あらかじめ設定された所定の目標圧力Pu_tgtで維持されるように、ポンプ23の出力がフィードバック制御される。具体的に、第2の供給通路28に圧送される液体還元剤を、リターン通路29を介して貯蔵タンク21に循環させながら、ECU40は、第2の供給通路28に設けられた圧力センサ31によって検出される検出圧力Puと、あらかじめ設定された所定の目標圧力Pu_tgtとの差分ΔPuに基づいてポンプ23の出力をPID制御する。
【0031】
また、液体還元剤を貯蔵タンク21に回収する場合においては、圧力センサ31によって検出される検出圧力Puが所定の下限閾値Plo以下とな
った場合に、下限閾値Ploを上回るようにポンプ23の出力が制御される。なお、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20においては、第2の供給通路28に圧力センサ31が設けられており、その検出圧力Puが還元剤供給経路内の圧力に相当するものとなっている。
【0032】
還元剤噴射弁25は、通電制御によって開閉制御が行われ、所定量の液体還元剤を排気通路11内に噴射する。本実施の形態において、還元剤噴射弁25は、非通電状態で閉弁し、通電状態で開弁する、電磁式のオンオフ弁が用いられている。ECU40は、所定の演算式に基づいて目標噴射量Qdv_tgtを求めるとともに、第2の供給通路28内の検出圧力Puが目標圧力Pu_tgtとなっていることを前提として、あらかじめ定められた噴射サイクルごとに、目標噴射量Qdv_tgtに応じた駆動デューティ比を決定して、還元剤噴射弁25の通電制御を行う。還元剤噴射弁25の駆動デューティ比とは、一噴射サイクル中の開弁時間の割合を意味する。
【0033】
3.電子制御装置(ECU)
図2は、本実施形態のECU40のうちの液体還元剤の回収制御に関連する部分について機能的なブロックで表した構成例を示している。
このECU40は、公知のマイクロコンピュータを中心に構成されたものであり、回収制御指示部41と、流路切換弁制御部43と、ポンプ駆動制御部45と、還元剤噴射弁駆動制御部47と、吸い戻し量演算部49とにより構成されている。具体的に、これらの各部はマイクロコンピュータによるプラグラムの実行によって実現されるものとなっている。
【0034】
この他、ECU40には、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等の図示しない記憶素子やタイマカウンタ、ポンプ23、流路切換弁33、還元剤噴射弁25への通電を行うための駆動回路等が備えられている。また、ECU40には、内燃機関のキースイッチのオンオフ信号や圧力センサ31のセンサ値が入力され、検出圧力Pu等の値が記憶素子に記憶されるようになっている。
【0035】
回収制御指示部41は、例えば、内燃機関のキースイッチがオフになったことをきっかけとして、液体還元剤の回収制御の開始指令Sp1を生成する。また、回収制御指示部41は、後述する吸い戻し量演算部49等によって回収制御の終了の合図が生成されたときに、回収制御の終了指令Sp2を生成する。
【0036】
流路切換弁制御部43は、内燃機関の停止時に、回収制御の開始指令Sp1が生成されてから回収制御の終了指令Sp2が生成されるまでの期間、流路切換弁33を通電状態として、液体還元剤が逆方向に流れるように維持する。
【0037】
還元剤噴射弁駆動制御部47は、内燃機関の停止時に、回収制御の開始指令Sp1が生成されてから回収制御の終了指令Sp2が生成されるまでの期間、還元剤噴射弁25を開弁状態で保持するための制御信号を還元剤噴射弁の駆動回路に対して出力する。本実施の形態において、還元剤噴射弁駆動制御部47は、流路切換弁33への通電及びポンプ23の駆動開始後、少し遅れて、還元剤噴射弁25を開弁状態にする。
【0038】
ポンプ駆動制御部45は、内燃機関の停止時に、回収制御の開始指令Sp1が生成されてから回収制御の終了指令Sp2が生成されるまでの期間、検出圧力Puが所定の
下限閾値P
lo以下とな
った場合に、下限閾値Ploを上回るように、後述のフローチャートの例に沿ってポンプ23の出力制御を行う。
【0039】
吸い戻し量演算部49は、液体還元剤の回収制御中において、ポンプ駆動制御部45によって生成される指示流量Qの値を積分することによって、貯蔵タンク21への液体還元剤の吸い戻し量を推定する。ここで求められた積分値Vが基準量Vsetに到達したときに、液体還元剤の回収が完了したものとして、回収制御の終了の合図を生成する。このときの基準量Vsetは、液体還元剤の回収の完了を検知するための基準値であり、少なくとも還元剤供給装置20内の還元剤供給経路の容量以上の値に設定されることが好ましい。
【0040】
4.液体還元剤の回収制御方法
(1)回収制御方法の概要
以下、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、ECU40によって実行される液体還元剤の回収制御方法の概要について説明する。
図3は、還元剤噴射弁25の完全閉塞時、重度の閉塞時、軽度の閉塞時、及び正常時それぞれの場合におけるポンプ23の指示流量Q、指示流量の積算値V、及び第2の供給通路28内の検出圧力Puの経時変化を示している。検出圧力Puのグラフにおいて、実線Aが正常時、破線Bが軽度の閉塞時、一点鎖線Cが重度の閉塞時、二点鎖線Dが完全閉塞時の検出圧力Puの推移をそれぞれ示している。
【0041】
(1−1)正常時
還元剤噴射弁25に詰まりのない正常な状態(実線A)においては、まず、内燃機関の停止後、t0の時点でポンプ23による液体還元剤の吸い戻し処理が開始される。このときのポンプ23の指示流量QはQ1にセットされる。これにより、第2の供給通路28内の検出圧力Puが低下し始める。また、液体還元剤の吸い戻しの開始とともに、ポンプ23の指示流量Qの積分が開始され、貯蔵タンク21への吸い戻し量が積算値Vとして演算される。
【0042】
その後、検出圧力Puが下限閾値Ploを下回るt1の時点でタイマカウントT1を開始する。このとき、還元剤噴射弁25に詰まりのない正常な状態においては、還元剤噴射弁25の噴孔を介して空気(排気)が還元剤供給経路内に導入されることから、検出圧力Puはt2の時点で速やかに下限閾値Plo以上に戻る。検出圧力Puが下限閾値Plo以上になった時点でタイマカウントT1は終了する。この場合、タイマカウントT1が第1設定値T1_threに到達することがなく、ポンプ23の指示流量QはQ1のまま維持される。そして、積算値Vが基準量Vsetに到達したt6の時点で、ポンプ23の駆動が停止されて、回収制御が終了する。
【0043】
(1−2)軽度の閉塞時
還元剤噴射弁25が軽度の閉塞状態にある場合(破線B)、t1の時点までは正常時と同様に制御が行われるが、軽度の閉塞状態においては、検出圧力Puが速やかに下限閾値Plo以上に戻ることがないため、タイマカウントT1はt3の時点で第1設定値T1_threに到達する。このままポンプ23の指示流量Q1を維持すると、回収制御の終了時に負圧が残留するおそれがあるために、t3の時点で、ポンプ23の指示流量QはQ2に減少させられる。このとき同時に、タイマカウントT2を開始し、指示流量QをQ1からQ2に変更して指示流量Qの積分を継続する。
【0044】
ポンプ23の指示流量QをQ2に減少させたことから、第2の供給通路28内の過度の負圧状態が解消され、検出圧力Puがt4の時点で下限閾値Plo以上に戻る。検出圧力Puが下限閾値Plo以上になった時点でタイマカウントT2は終了する。この場合、タイマカウントT2が第2設定値T2_threに到達することがなく、ポンプ23の指示流量QはQ2のまま維持される。そして、積算値Vが基準量Vsetに到達したt9の時点で、ポンプ23の駆動が停止されて、回収制御が終了する。
【0045】
(1−3)重度の閉塞時
還元剤噴射弁25が重度の閉塞状態にある場合(一点鎖線C)においても、t1の時点までは正常時と同様に制御が行われるが、重度の閉塞状態においては、軽度の閉塞状態と同様に、検出圧力Puが速やかに下限閾値Plo以上に戻ることがないため、タイマカウントT1はt3の時点で第1設定値T1_threに到達する。この時点で、軽度の閉塞状態と同様に、ポンプ23の指示流量QがQ2に減少させられるとともに、タイマカウントT2を開始し、指示流量Qの積分を継続する。
【0046】
重度の閉塞状態では、ポンプ23の指示流量QをQ2に減少させた場合であっても、検出圧力Puが速やかに下限閾値Plo以上に戻ることがないため、タイマカウントT2が、t5の時点で第2設定値T2_threに到達する。このままポンプ23の指示流量Q2を維持すると、回収制御の終了時に負圧が残留するおそれがあるために、t5の時点で、ポンプ23の指示流量QはさらにQ3まで減少させられる。このとき同時に、タイマカウントT3を開始し、指示流量QをQ2からQ3に変更して指示流量Qの積分を継続する。
【0047】
ポンプ23の指示流量QをQ3に減少させたことから、第2の供給通路28内の過度の負圧状態が解消され、検出圧力Puがt7の時点で下限閾値Plo以上に戻る。検出圧力Puが下限閾値Plo以上になった時点でタイマカウントT3は終了する。この場合、タイマカウントT3が第3設定値T3_threに到達することがなく、ポンプ23の指示流量QはQ3のまま維持される。そして、積算値Vが基準量Vsetに到達したt10の時点で、ポンプ23の駆動が停止されて、回収制御が終了する。
【0048】
(1−4)完全閉塞時
還元剤噴射弁25が完全に閉塞した状態にある場合(二点鎖線D)においても、t3の時点までは重度の閉塞時と同様に制御が行われるが、完全閉塞状態にあると、ポンプ23の指示流量QをQ2まで減少させたとしても、検出圧力Puが下限閾値Plo以上に戻ることがないため、タイマカウントT2はt5の時点で第2設定値T2_threに到達する。このままポンプ23の指示流量Q2を維持すると、回収制御の終了時に負圧が残留するおそれがあるために、t5の時点で、重度の閉塞状態と同様に、ポンプ23の指示流量QはさらにQ3まで減少させられる。このとき同時に、タイマカウントT3を開始し、指示流量Qの積分を継続する。
【0049】
ただし、完全閉塞状態では、ポンプ23の指示流量QをQ3に減少させた場合であっても、検出圧力Puが下限閾値Ploに戻ることがなく、タイマカウントT3はt8の時点で第3設定値T3_threに到達する。
図3の例においては、ポンプ23の指示流量QをQ3にしてもなお、検出圧力Puが下限閾値Ploに戻らなかった場合には、還元剤噴射弁25が完全閉塞状態にあって、液体還元剤を完全に回収しきることは困難であると判断し、回収制御を終了する。
【0050】
図3の例では、ポンプ23の指示流量Qを三段階で変更するようにしているが、二段階で変更するようになっていてもよいし、四段階以上で変更するようになっていてもよい。
【0051】
(2)フローチャート
次に、ECU40によって実行される液体還元剤の回収制御方法の具体例について、
図4及び
図5のフローチャート図に基づいて説明する。以下のフローチャートに示される液体還元剤の回収制御方法は、内燃機関の停止時において実行されるものとなっている。
【0052】
まず、ECU40は、
図4のステップS11において内燃機関の停止を検知すると、ステップS12において、回収制御の開始指令Sp1を生成する。次いで、ECU40は、ステップS13において、ポンプ23の指示流量の変数Nを1に設定する。変数N=1は、
図3における指示流量Q1を指示するための変数となっている。
【0053】
次いで、ECU40は、ステップS14において、流路切換弁33に通電を開始し、液体還元剤の流れる方向を、還元剤噴射弁25側から貯蔵タンク21側に切り換えた後、ステップS15において、ポンプ23の駆動を開始する。これにより、指示流量Q1でのポンプ23による液体還元剤の吸い戻しが開始される。その後、ECU40は、ステップS16において、還元剤噴射弁25を通電状態にし、開弁させる。還元剤噴射弁25の開弁を遅らせるのは、第2の供給通路28内が正圧の状態で開弁すると、排気通路11内に液体還元剤が漏出するおそれがあるからである。ただし、開弁時期を遅らせることは本発明において必須の事項ではない。
【0054】
図5に進み、次いで、ECU40は、ステップS17において、検出圧力Puが上限閾値Phiを下回るまで、検出圧力Puと上限閾値Phiとの比較を行う。そして、検出圧力Puが上限閾値Phiを下回ったときにステップS18に進み、今度は、検出圧力Puが下限閾値Ploを下回っているか否かを判別する。
【0055】
検出圧力Puが下限閾値Ploを下回っている場合(Yes判定)には、ステップS19に進み、タイマカウントTnを開始させる。液体還元剤の吸い戻し処理の開始後、初めて検出圧力Puが下限閾値Ploを下回った場合には、タイマカウントT1が開始される。あるいは、ステップS18の判別の時点ですでにタイマカウントTnが開始されている場合には、ステップS19においてはそのままタイマカウントTnを継続する。
【0056】
一方、ステップS18において、検出圧力Puが下限閾値Plo以上になっている場合(No判定)には、ステップS26に進み、ECU40はタイマカウントTnを停止するとともに初期化した後、ステップS28に進む。
【0057】
ステップS28において、ECU40は、指示流量Qの積算値Vが基準量Vsetに到達したか否かを判別する。指示流量Qの積算値Vが基準量Nsetに到達していれば(Yes判定)、ECU40は、ステップS29において、液体還元剤の吸い戻しの成功を記録する。一方、ステップS28において、指示流量Qの積算値Vが基準量Nsetに到達していなければ(No判定)、検出圧力Puの監視を継続すべく、ステップS18に戻る。
【0058】
上述のステップS18で検出圧力Puが下限閾値Ploを下回っており、タイマカウントTnが継続した状態で進んだステップS20において、ECU40は、タイマカウントTnが設定値Tn_threに到達しているか否かを判別する。タイマカウントTnが設定値Tn_threに到達していない場合(No判定)には、ステップS28に進み、上述した手順に沿って処理が進められる。
【0059】
一方、タイマカウントTnが設定値Tn_threに到達している場合(Yes判定)には、ステップS21に進み、タイマカウントTnを停止するとともにタイマ値を初期化した後に、ステップS22に進み、ポンプ23の指示流量の変数Nを現在の値プラス1とする。例えば、ここまでの変数Nが指示流量Q1を指示するための変数N1であった場合には、指示流量Q2を指示するための変数N2とする。
【0060】
次いで、ECU40は、ステップS23において、変数Nが最大値Nmaxを超えたか否かを判別する。
図3の例では、Nmaxは、指示流量Q3を指示するための変数N3でなる。この時点で変数Nが最大値Nmaxを超えている場合(Yes判定)には、ポンプ23の指示流量Qを最小にしたにもかかわらず検出圧力Puが下限閾値Plo以上に戻らなかった状態であり、ECU40は、ステップS24において、液体還元剤の吸い戻しの失敗を記録する。
【0061】
一方、ステップS23において、変数NがNmaxを超えていない場合には、ステップS27に進み、ECU40はポンプ23の指示流量Qを変更して、ステップS28に進み、上述した手順にそって処理を進める。
【0062】
ステップS24で吸い戻しの失敗を記録するか、あるいは、ステップS29で吸い戻しの成功を記録した後、ECU40はステップS25において液体還元剤の回収制御を終了して、本ルーチンを終了する。
【0063】
5.効果
以上説明したように、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20、及び、液体還元剤の回収制御方法、並びに、排気浄化装置10は、ECU40が、ポンプ23と還元剤噴射弁25とを接続する第2の供給経路28内の検出圧力Puが下限閾値Plo以下とな
った場合に、下限閾値Ploを上回るように、吸い戻し手段としてのポンプ23を制御しながら液体還元剤を回収することとしている。したがって、還元剤供給装置20内に過大な負圧が発生することがなくなり、ポンプ23や還元剤噴射弁25、絞り部37、一方向弁35等の構成部品の破損を低減できるとともに、吸い戻し処理を停止した後に、液体還元剤が還元剤供給経路内に再充填されることを防ぐことができる。
【0064】
また、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、ECU40は、検出圧力Puが下限閾値Ploを下回ってから設定時間Tn_thre以上、下限閾値Ploを下回っている場合に、ポンプ23の出力を低下させることとしている。したがって、一時的に検出圧力Puが低下しただけではポンプ23の出力が低下させられることがないため、ECU40の負荷を低減することができる。
【0065】
また、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、ECU40は、ポンプ23の出力を段階的に低下させて検出圧力Puが下限閾値Ploを上回るように制御することとしている。したがって、必要以上にポンプ23の出力が低下して液体還元剤の回収に要する時間が延びることを防ぐことができる。
【0066】
また、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、ECU40は、指示流量Qの積算値Vを液体還元剤の吸い戻し量として推定し、積算値Vが所定の基準量Vsetに到達した後に吸い戻し処理を終了することとしている。したがって、ポンプ23の出力を変更した場合であっても、還元剤供給経路内の液体還元剤を十分に回収することが可能であるとともに、液体還元剤の回収が完了したときに、速やかに吸い戻し処理を終了することができる。
【0067】
また、本実施の形態にかかる還元剤供給装置20において、吸い戻し制御手段として、液体還元剤の噴射制御時に液体還元剤を還元剤噴射弁25側に圧送するポンプ23を利用することとしている。したがって、構成部品を増加する必要がなく、コストの上昇を防ぐことができる。
【0068】
なお、これまでに説明した実施の形態は、本発明の一態様を示すものであって本発明を限定するものではなく、本発明の範囲内で任意に変更することが可能である。