(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液、又は、前記原液を所定の倍率までの範囲内の容量の水により希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液を、ペースト状の歯磨剤に吹き付ける工程と、
吹き付け後の前記ペースト状の歯磨剤を掻き混ぜて前記原液又は希釈化された前記白金ナノ粒子水溶液に含まれる複数の白金ナノ粒子を前記ペースト状の歯磨剤に混入させる工程と
を備えたことを特徴とする練歯磨剤の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来の歯磨剤の内で、チューブ入りのペーストである練歯磨剤は、虫歯予防用、歯を白くする用途、悪臭となる口臭を取り除く用途、歯垢(プラーク)中の各種の細菌を殺菌し又は低減・除去して歯周病(細菌感染症)を予防する用途等の、様々な用途を有する化粧品又は薬用化粧品である。
【0003】
又、歯周病予防用のリンスとして、歯垢中の各種の細菌を殺菌し又は低減し得る液体が容器内に入っており、当該容器から適量の液体を口腔内に含ませて歯ブラシによるブラッシングのし難い場所等に生息する細菌等を殺菌・洗い流すための、デンタルリンスも販売されている。
【0004】
ここで、多種多様な細菌より成る歯周病菌が、自ら作ったネバネバした状態のバイオフィルムの中に共存している状態のものが、歯垢又はプラークと呼ばれるものである。
【0005】
そこで、歯周病の一般的な予防法としては、チューブより押し出した練歯磨剤を歯ブラシに付けて、当該歯ブラシを用いて歯を念入りにブラッシングすることで、練歯磨剤中に含有される酵素によってバイオフィルムを破壊して、各種の細菌(歯周病菌)を裸状態とする。この状態で、当該練歯磨剤中の抗菌剤により歯周病菌を抗菌・低減するか、又は、その様な抗菌剤が含まれていない場合には、水で流し出すことになる。
【0006】
とは言え、練歯磨剤中の抗菌剤だけでは口腔内の細菌を完全に殺してしまうことは難しいし、単に水を口腔中に含んでその水をブラッシングで使用した練歯磨剤と共に吐き出すだけでは、歯周病菌を撃退することは難しい。
【0007】
そのため、ブラッシングした後に、殺菌剤を含んだ液体歯磨きを口腔内に含んで良く啜った後に、当該液体歯磨きを吐き出すことが、歯周病予防対策としては好ましいとされている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<白金ナノ粒子水溶液の原液、低価な白金ナノ粒子水溶液(白金水溶液とも言う。)の開発>
【0018】
粒径がナノサイズの白金の粒子(以下「白金ナノ粒子」という。)は、極めて高い殺傷能力の抗菌性・抗ウィルス性及び消臭性と言う性能を奏する貴金属の粒子である。この白金ナノ粒子の持つ抗菌性・抗ウィルス性等の性能を発揮し得る、白金ナノ粒子が水中に溶け込んだ低価格な白金ナノ粒子水溶液の実現化が希求されるところである。
【0019】
1リットルの水(例えば精製水又は純水等。)により溶解された、上記の極めて高い抗菌・消臭性能を長時間の経過と共に持続して発揮し得る白金ナノ粒子を含んだ水溶液(白金ナノ粒子水溶液)は、取引市場より入手可能な商品である。この様な1リットルの容量の水で溶解された白金ナノ粒子水溶液がほぼ完璧な「抗菌性能」及び「消臭性能」を奏する点は、信頼し得る試験測定機関に於ける厳密な測定結果により、既に実証済みの公知事実である。以下では、上記の1リットルの精製水等で白金ナノ粒子の粉が溶解された「白金ナノ粒子水溶液」を、「白金ナノ粒子水溶液の原液」という。
【0020】
上記の市場より購入出来る「白金ナノ粒子水溶液の原液」は、大腸菌等のバクテリア(細菌)に対する抗菌性を発揮すると共に、ノロウィルス又は鳥インフルエンザのウィルス又はサーズウィルス又はエイズのウィルス等の各種ウィルスに対する抗ウィルス性をも発揮することが、試験結果により実証されている。加えて、本白金ナノ粒子水溶液の原液は、アンモニア等に対する極めて高い消臭性をも発揮し得ることも、既述の通り、試験により実証されている。
【0021】
しかしながら、この「白金ナノ粒子水溶液の原液」をそのまま利用して、その用途商品たる歯周病対策用の練歯磨剤、又は、液体歯磨きを実現するには、白金は稀有な貴金属であり、そのため高価であるので、当該白金ナノ粒子水溶液の原液のコストが高くなるという難点がある。
【0022】
そこで、本願の発明者は、
図1に模式的に示す様に、1リットルの水(精製水又は純粋等)で白金ナノ粒子を溶解して成る白金ナノ粒子水溶液の原液OPLに、更に上記の水HLを加えることで、原液OPLを希釈化して水溶液中に溶解している白金の濃度値を更に小さくすることで、x(x>1)リットルの水で白金ナノ粒子を溶解して成る希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを作成した。そして、原液OPLに対してx倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLの抗菌性・消臭性が、xの値を如何なる値に設定すれば、時間の経過に拘らず原液OPLの希釈化後もなお保たれているか否かを試験してみた。
【0023】
xの値が400、即ち、原液OPLに対して400倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLの抗菌性試験の結果を、下記の表1及び表2に示す。
【0026】
当該抗菌性試験は、一般財団法人ボーケン品質評価機構に対して、本願発明者が上記の白金ナノ粒子水溶液PSLを提出して抗菌試験を委託したことにより行われた試験である。そして、その試験方法は、JIS1902:2008定量試験(菌液吸収法)を準用したものであり、生菌数の測定方法は混釈平板培養法に依っている。尚、以下に示す各抗菌試験に於ける試験方法及び生菌数の測定方法も、上記と同一である。表1及び表2に示される抗菌試験に於ける試験菌株は、院内感染の起炎菌として知られるMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)である。
【0027】
表1に示される通り、試験の比較対象の標準綿布には、MRSAの菌が、その接種直後から18時間経過時においては、増殖値2.6の数字が明らかにしている通り、増殖している。これに対して、表2は、原液OPLに対して400倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLから採取された0.4gの液量の白金ナノ粒子水溶液が試験対象の綿布に浸み込まされた後に、MRSAの菌液0.2mlが上記綿布に接種された場合の測定結果である。
【0028】
表2の結果に示されている通り、MRSAの接種直後から18時間経過後の綿布に生息しているMRSAの菌数の常用対数値は、1.3以下であり、表1の場合と比較して各段に生菌数が減少していることが裏付けられている。JIS規格で定められた判定基準によれば、表2に表示されている「静菌活性値」が、試験対象の液体試料に「抗菌性」の性質が有るか否かを判定する際のメルクマールであり、その「静菌活性値」が2.0以上あれば、「抗菌性有り」との合格の判定が下される。表2の試験に於いては、「静菌活性値」は、合格判定の閾値である2.0を遥かに上回る、5.7以上の値である。
【0029】
従って、本願発明者が
図1のx倍の値として採択した400倍の希釈度の白金ナノ粒子水溶液PSLであっても、当該白金ナノ粒子水溶液PSLは、MRSAの菌に対して十分に抗菌性を有していることが、当該試験結果より実証されている。
【0030】
このことは、原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、院内感染の起因菌として知られるMRSAを病院内に於いて消滅させてしまうための、実現化可能な低コストの抗菌剤として応用可能であることを、意味している。
【0031】
又、本願発明者は、一般財団法人ボーケン品質評価機構に対して、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLが「黄色ぶどう球菌」に対しても「抗菌性」という性能(抗菌性能)を有するか否かの試験を委託した。その試験結果が、以下の表3及び表4に示す結果である。尚、既知の通り、「黄色ぶどう球菌」は、表皮感染症又は食中毒、或いは、肺炎、髄膜炎、敗血症等の致死的となる様な感染症の起因菌である。
【0034】
当該抗菌性試験に於いても、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「黄色ぶどう球菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。
【0035】
表3の結果と比較しつつ表4の試験結果を参照すれば、一目瞭然の結果として、400倍の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLが、「黄色ぶどう球菌」に対してもなお、「抗菌性」を有することが理解される。表4に於いて、表2の場合と同様に、「静菌活性値」は5.9以上であり、400倍の水で希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLの「抗菌性」は、十分に合格であると判定される。
【0036】
更に、本願発明者は、一般財団法人ボーケン品質評価機構に対して、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLが「肺炎桿菌(クレブシエラ・ニューモニエ)」に対しても「抗菌性」を有するか否かの試験を委託した。その試験結果が、以下の表5及び表6に示す結果である。尚、既知の通り、「肺炎桿菌」は、呼吸器感染症、尿路感染症などを引き起こす弱毒菌である。
【0039】
当該抗菌性試験に於いても、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「肺炎桿菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。
【0040】
表5の結果と比較しつつ表6の試験結果を参照すれば、18時間経過後の生菌数の常用対数値は1.3以下と格段に減少しており、且つ、「静菌活性値」に関しては、6.4以上と、合格判定を成すには十分な高い値が検出されている。よって、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、「肺炎桿菌」に対しても、十分な「抗菌性」を有していることが理解される。
【0041】
尚、上記の400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、アンモニア、酢酸、又は、イソ吉草酸等の悪臭の源となる粒子に対する相対的に高い消臭性能をも発揮し得る
【0042】
上記の各試験結果によれば、水(精製水、純粋等。)による白金ナノ粒子水溶液の希釈度が400倍の場合には、「静菌活性値」は合格判定の閾値2.0よりも十分高い値であり、400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は依然として高い「抗菌性能」を有している。又、400倍の水(精製水、純粋等)により希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、十分に高い「消臭性能」をも呈する。
【0043】
そうであるならば、1リットルの水で白金ナノ粒子が溶解された白金ナノ粒子水溶液の原液に対して400倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、言える。或いは、400倍以内の範囲内の希釈度(例えば、200倍、300倍。)で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、思料される。又、400倍以内の範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、「消臭性能」をも併せ有するとも、思料される。
【0044】
ここで、下記の表7は、本発明者が開発・実用化した、白金ナノ粒子水溶液の原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLと、各社の製品との、抗菌性能の比較結果を示す試験結果である。試験に用いられた菌株は、黄色ブドウ球菌であり、抗菌性試験の方法は、表1及び表2に於いて既述された試験方法と同一である。又、標準綿布に於ける生菌数の常用対数値は、試験菌株が接種された直後では4.4であり、18時間経過後においては7.2であって、増殖値は2.8である。尚、当該比較試験も、一般財団法人ボーケン品質評価機構に委託して行われた。
【0046】
表7において、試料(1)は、A社により開発された、空気中の水分から生成される微粒子イオンであり、空気清浄機に於ける一つの除菌方法(空気中に微細なイオンを放出し、浮遊ウィルスを分解・除去する方法。)に用いるイオンに応用されている。又、試料(2)は、B社が開発したイオンであり、上記の試料(1)と同じく、空気清浄機に於ける上記除菌方法に用いるイオンに応用されている。又、試料(3)は、C社の消臭器用の製品である。又、試料(4)は、本願の発明者により開発された上記の希釈化された白金ナノ粒子水溶液中に浸された後に自然乾燥された生地である。
【0047】
表7に示す通り、試料(1)、(2)及び(3)の各々の「静菌活性値」の値は、0.3、0.3,0.2と、軒並み低い値であるのに対して、試料(4)の「静菌活性値」は5.0であって、他の試料(1)、(2)及び(3)の値と比較して、突出した高い値となっている。
【0048】
この比較試験結果から明白な通り、原液OPLに対して400倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、極めて高い抗菌性能を備えていることが理解される。しかも、白金ナノ粒子水溶液PSLは、単に400倍の容量の水で以って、1リットルの水でナノサイズの粒子である白金を溶解して成る原液OPLを希釈化して成る水溶液なので、原液OPLと同程度の抗菌性能を維持したままで、そのコストを削減化出来る点は、実用化の観点から見れば、極めて大きい効果・有用性である。
【0049】
尚、上記の各表2,4,6,7で示された「殺菌活性値」及び「静菌活性値」は、以下の式で以って算出される。即ち、「殺菌活性値」=Ma−Mc、「静菌活性値」=(Mb−Ma)−(Mc−Mo)である。ここで、Maは、標準綿布への試験菌株の接種直後に於ける生菌数の常用対数値であり、Mbは、標準綿布への試験菌株の接種直後から18時間が経過した後の生菌数の常用対数値である。これに対して、Moは、試験試料への試験菌株の接種直後に於ける生菌数の常用対数値であり、Mcは、試験試料への試験菌株の接種直後から18時間が経過した後の生菌数の常用対数値である。この点は、後述する表10に於いても同様である。
【0050】
更に、本願発明者は、一層の白金ナノ粒子水溶液の低コスト化を図るべく、xの値が400の2倍である800倍に、即ち、原液OPLに対して800倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLを作成して、その消息性試験を行った。当該消息性試験も、一般財団法人ボーケン品質評価機構に委託して行われた。その試験結果を、以下の表8に示す。
【0052】
本消息性能試験に於ける試験方法及び条件は、(社)繊維評価技術協議会の消息加工繊維製品認証基準を準用したものである。本消息性能試験に於けるガス初期濃度に関しては、アンモニアが1000ppm(10ml)、酢酸が50ppm(10ml)、及び、イソ吉草酸が約38ppm(10ml)である。そして、測定時間は、試験開始時から2時間経過後である。尚、消臭効果減少率が75%以上の結果が、合格結果である。
【0053】
表8を参酌すると、アンモニア、酢酸及びイソ吉草酸の各々の減少率は、それぞれ、87%、98%、及び、99%以上との結果が報告されている。斯かる結果より、原液OPLに対して800倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLは、原液OPLに引けを取らない十分なる「消息性能」をなおも維持していることが、確認された。
【0054】
更に、本願発明者は、より一層の白金ナノ粒子水溶液の低コスト化を図るべく、xの値が1500倍に、即ち、原液OPLに対して1500倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLを作成して、その抗菌性能試験を行った。当該抗菌性能試験も、一般財団法人ボーケン品質評価機構に委託して行われた。その試験結果を、以下の表9及び表10に示す。
【0057】
当該抗菌性能試験は、原液OPLに対して1500倍に希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液PSLが、「黄色ブドウ球菌」に対して「抗菌性」を奏するか否かの試験であり、表1及び表2の抗菌性試験の場合と同様に、上記の白金ナノ粒子水溶液PSLから0.4gの白金ナノ粒子水溶液が採取され、0.2mlの容量の「黄色ブドウ球菌」の菌液が試験対象の綿布に接種されている。表8の結果と比較しつつ表9の試験結果を参照すれば、18時間経過後の生菌数の常用対数値は1.3以下であって、表2の場合と同様に格段に減少しており、且つ、「静菌活性値」は、5.9以上の結果値であり、この値は、「抗菌性有り」の合格判定を成すには十分に高い値である。よって、上記の希釈度1500倍にまで希釈された白金ナノ粒子水溶液PSLは、「黄色ブドウ球菌」に対しても、十分な「抗菌性能」を依然として有していることが理解される。
【0058】
更に、本願発明者は、原液OPLに対して1500倍の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLの消息性試験をも行った。当該消息性試験も、一般財団法人ボーケン品質評価機構に委託して行われた。その試験結果を、以下の表11に示す。
【0060】
本消息性能試験に於ける試験方法及び条件は、(社)繊維評価技術協議会の消息加工繊維製品認証基準を準用したものである。本消息性能試験に於けるガス初期濃度に関しては、アンモニアが1000ppm(10ml)、酢酸が50ppm(10ml)、及び、イソ吉草酸が約38ppm(10ml)である。そして、測定時間は、試験開始時から2時間経過後である。800倍の希釈度の場合と同様に、消臭効果減少率が75%以上の結果が、合格結果である。
【0061】
表11を参酌すると、アンモニア、酢酸及びイソ吉草酸の各々の減少率は、それぞれ、88%、99%以上、及び、99%以上との結果が報告されている。斯かる結果より、原液OPLに対して1500倍の容量の水により希釈化されて成る白金ナノ粒子水溶液PSLもまた、原液OPLに引けを取らない十分なる「消息性能」をなおも維持していることが、確認された。
【0062】
上記の各試験結果によれば、水(精製水、純粋、減菌済みイオン交換水等)による白金ナノ粒子水溶液の希釈度が400倍或いは1500倍の場合には、「静菌活性値」は合格判定の閾値2.0よりも十分高い値であり、400倍或いは1500倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は依然として高い「抗菌性能」を有している。又、800倍或いは1500倍の水(精製水、純粋、減菌済みイオン交換水等)により希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、十分に高い「消息性能」を呈している。そうであるならば、1リットルの水で白金ナノ粒子が溶解された白金ナノ粒子水溶液の原液に対して400倍、又は800倍、又は1500倍に希釈化された白金ナノ粒子水溶液は、共に相対的に高い「抗菌性」及び「消息性能」を備えていると、言える。或いは、400倍及び1500倍の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液が何れも高い「抗菌性能」を有していることが確認されたことから、1500倍までの範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「抗菌性」を備えていると、思料される。又、同様な推測から、1500倍までの範囲内の希釈度で希釈された白金ナノ粒子水溶液は、相対的に高い「消息性能」をも併せ有するとも、思料される。
【0063】
以上より、本願発明者は、抗菌性・消臭性・抗ウィルス性を備えた「白金ナノ粒子の水溶液の原液」から、その原液の各種の性能をなおも保持したままで実用性のレベルから見て各段に低コスト化可能な希釈化された白金ナノ粒子水溶液を開発・実現化することが出来たのである。
【0064】
白金ナノ粒子は、歯周病(歯肉炎、歯周炎)を惹き起こす様々な細菌より成る歯周病菌に対しても、極めて高い抗菌性を備えている。そして、多数の白金ナノ粒子を水で溶解して成る既述の白金ナノ粒子水溶液の原液及び当該原液を1500倍までの範囲内の希釈度にて水で以って更に希釈して成る白金ナノ粒子水溶液もまた、歯周病菌に対して極めて高い抗菌性を備えており、確実にブラッシングにより歯垢が破壊されて歯垢から出てきた歯周病菌の各細菌を確実に殺すことが出来る。
【0065】
(実施の形態2)
<用途発明:練歯磨剤とその製造方法>
【0066】
図2は、チューブ入りのペーストである練歯磨剤の一部を模式的に示す図である。しかも、
図2に於いては、商品「練歯磨」のチューブ3が使用者の手からの押圧を受けて、チューブ3の先端口から、その中に入っているペースト状の練歯磨剤1の一部が押し出されている状態が示されている。練歯磨剤1自体は、従来品通りの化粧品剤又は薬用化粧品剤であり、具体的には、虫歯予防用のもの、歯を白くする用途のもの、悪臭となる口臭を取り除く用途のもの、或いは、歯垢中の各種の細菌を低減・除去して歯周病(細菌感染症)の予防を促進する用途のものである。
【0067】
図2に於いて、ペースト状の練歯磨剤1は、粒径がナノサイズの複数乃至多数の白金ナノ粒子2を含んでいる。尚、各白金ナノ粒子2は、図示化の便宜上、その大きさが極めて拡大化されて、表されている。
【0068】
この様な練歯磨剤1に含まれている個々の白金ナノ粒子2は、その殺菌(抗菌)作用により、ブラッシング(歯磨き)により破壊された歯垢内に居た歯周病菌としての細菌を尽く殺す。その結果、
図2の商品「練歯磨」を用いた歯磨き(ブラッシング)を行うことにより、歯周病の発生を未然に確実に防止することが出来る。
【0069】
図3は、
図2の商品「練歯磨」を製造する工程を模式的に示す工程図である。
【0070】
先ず、1リットルの水により溶解された、粒径がナノサイズの白金ナノ粒子を含む白金ナノ粒子水溶液の原液OPL(
図1)を、用意する。又は、当該原液OPLを所定の倍率(400倍、800倍、又は1500倍の内の何れかの値である。)までの範囲内の容量の水により希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液PSL(
図1)を、用意する。即ち、白金ナノ粒子水溶液の原液OPL又はそれを更に水で希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液PSLが、その内部に注入されたスプレー状の容器4を、準備する。そして、スプレー状の容器4の蓋部に力Fを加えることで、容器(図示せず。)内に蓄えられたペースト状の練歯磨剤1Pに対して、白金ナノ粒子水溶液の原液OPL又は希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを吹き付ける。その吹付け量は、任意である。
【0071】
次に、白金ナノ粒子水溶液の原液OPL又は希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLが吹付けられた後の練歯磨剤1Aを、拡散機5によって、掻き混ぜる。この掻き混ぜ工程により、原液OPL又は希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLに含まれる複数の(又は多数の)白金ナノ粒子2は、歯磨剤1中に、均一に混入される。
【0072】
以上の工程を通じて、その後に於いて、
図2の商品「練歯磨」のチューブ3内に注入される練歯磨剤1が、製造される。
【0073】
(変形例1)
図4は、複数の(又は多数の)白金ナノ粒子2が、従来の液体歯磨き剤6中に含まれている液体歯磨き7を模式的に示す図である。ここでも、白金ナノ粒子2の大きさは、便宜上、拡大化されている。
【0074】
従来より製造されている液体の歯磨き(デンタルリンス)6内に、白金ナノ粒子水溶液の原液OPL又は希釈化された白金ナノ粒子水溶液PSLを、所定の量(任意)だけ混入させる。
【0075】
上記の工程を介して製造された液体歯磨き6を口腔内に含ませて各歯を洗い流すことにより、歯周病菌を成す細菌を、液中に含まれる各白金ナノ粒子の抗菌作用により、殺すことが出来る。
【0076】
(付記)
本発明の実施の形態に於いては、白金ナノ粒子が水中に溶解されてなる白金ナノ粒子水溶液の原液又はそれを水で希釈化して成る白金ナノ粒子水溶液を、練歯磨剤又は液体歯磨きに適用する一例を記載した。しかしながら、白金に代わって、金、銀、或いはパラジウム等の金属のナノ粒子の原液又はそれを水により更に溶解して成る水溶液を利用して、練歯磨剤又は液体歯磨きを実現することも可能である。
【0077】
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正及び/又は変形例を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。