特許第6017892号(P6017892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハウステックの特許一覧

<>
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000002
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000003
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000004
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000005
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000006
  • 特許6017892-汚水浄化槽 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017892
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】汚水浄化槽
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/02 20060101AFI20161020BHJP
   C02F 3/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   C02F11/02ZAB
   C02F3/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-189233(P2012-189233)
(22)【出願日】2012年8月29日
(65)【公開番号】特開2014-46230(P2014-46230A)
(43)【公開日】2014年3月17日
【審査請求日】2015年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】301050924
【氏名又は名称】株式会社ハウステック
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】和田 康里
(72)【発明者】
【氏名】山下 宏
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4702748(JP,B2)
【文献】 特開2002−011488(JP,A)
【文献】 特開昭50−150268(JP,A)
【文献】 米国特許第06475381(US,B1)
【文献】 特開平08−290186(JP,A)
【文献】 特開昭62−106893(JP,A)
【文献】 特開2012−206083(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
C02F 3/00− 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、前記第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第二汚泥貯留槽の槽内液を前記第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、
該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。
【請求項2】
汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、前記第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第一汚泥貯留槽の槽内液を前記第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、
該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。
【請求項3】
請求項1において、第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽
【請求項4】
請求項2において、第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽
【請求項5】
前記好気処理槽と前記消毒槽との間に第二固液分離槽が設けられた請求項1〜4のいずれか一項に記載の汚水浄化槽。
【請求項6】
前記嫌気処理槽と前記好気処理槽と前記第二固液分離槽の各々に各槽にて処理された汚水の一部を前記水処理装置の固液分離槽に戻す移送ポンプが設けられた請求項に記載の汚水浄化槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭等から排出される生活排水を処理する水処理装置、より詳しくは、固液分離した汚泥を貯留する水処理装置を備えた汚水浄化槽に関する。
【背景技術】
【0002】
排水処理は、汚水に含まれる固形物を分離除去する機能、分離した固形物(汚泥)を貯留する機能、固形物を分離除去した後の汚水中に含まれる汚濁物質を好気性微生物により分解する機能、好気性微生物に増加した浮遊物質(SS)を分離除去し清澄化する機能、処理水を消毒する機能があり、処理の対象となる汚水の性状に応じて、各々の機能を組み合わせて順次処理させることにより成り立っている。
【0003】
汚水浄化槽としては、し尿だけを処理するが、生活雑排水(し尿を除く生活排水であり、台所排水、浴室排水、洗面排水などを示す。)を垂れ流しとする単独処理浄化槽が日本全国で600万基以上も設置されており、平成12年には、水環境改善の観点から、浄化槽法が改正され、その新設が廃止された。
これを契機に、新設される汚水浄化槽は、し尿と生活雑排水を合わせて処理する合併処理浄化槽になった訳であるが、既設の単独処理浄化槽のうち、新設されるものは少なく、既設単独処理浄化槽が依然として多く残っている状態である。合併処理浄化槽への入れ替えが進まない要因としては、費用が掛かること、使用者のメリットがないこと等が挙げられるが、それ以前に、単独処理浄化槽を設置してあるスペースに単独処理浄化槽よりも大きな合併処理浄化槽を収容できないことが大きな要因となっていた。
【0004】
このような背景から、単独処理浄化槽程度の設置スペースで済む合併処理浄化槽の開発が長い期間にわたって切望されていたが、合併処理浄化槽の5人槽でみると、構造例示仕様で約半分の大きさに、当時のコンパクト型と言われていたもの(好気処理に担体流動方式や生物濾過方式を採用したもの)で約7割の大きさにしなければならないため、簡単には実現できるものではなかった。特に、汚水から分離した固形物や、微生物が汚濁物質を分解して増殖した際の余剰汚泥を貯留しておくためには、ある程度の容量を確保しなければならず、この部位を小さくすることが技術的な課題であった。
上記の技術的課題を解決すべく、鋭意研究がなされ、ようやく、平成22年に、以下の特許文献1に示されている、好気性消化による汚泥貯留方法の技術に基づいた、単独処理浄化槽の入れ替えが可能となる合併処理浄化槽が製品化された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4702748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術を活用して開発された合併処理浄化槽では、第一固液分離槽で分離される固形物または汚泥を直接移送ポンプによって好気消化槽上部に移送する構造にしているため、汚水中に含まれる固形物のうち、トイレットペーパーが一度に多量に流入した場合、直接移送ポンプの吸込口、あるいは、吸引口からポンプ内部に入り、ポンプ内部の水路を塞いでしまうという課題があった。
このような状態では、第一固液分離槽で分離した固形物または汚泥が好気消化槽に移送されないことになり、浄化槽法で定められている保守点検の頻度である4ヶ月に1回以上では、最悪の場合、4ヶ月間も汚泥消化が進まない状態に陥ってしまうことになる。さらに、浄化槽法において清掃頻度が1年に1回以上と定められていることから、合併処理浄化槽の汚泥貯留能力は1年間以上として設計されているが、4ヶ月間も汚泥消化が進まない状態では、1年未満で汚泥貯留能力が限界に達してしまい、所定の汚泥貯留能力を発揮できないことが懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、移送ポンプの詰まりを極力低減させて、汚泥の好気消化を安定して行える水処理装置を備えた汚水浄化槽を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のものに関する。
(1)汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第二汚泥貯留槽の槽内液を前記第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。
【0009】
(2)汚泥を含む被処理水から固形物を分離する固液分離槽と、固液分離槽で分離した汚泥を貯留する第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽からなる二分割の汚泥貯留槽を有する水処理装置であって、前記第一汚泥貯留槽は、固液分離槽の底部と連通し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽を連結口で接続し、前記連結口は、前記第一汚泥貯留槽と固液分離槽の連通開口の下方に配置し、前記第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽にはそれぞれに散気装置と、前記第一汚泥貯留槽の槽内液を前記第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプを配置した水処理装置と、該水処理装置の固液分離槽に形成された流出口に接続された嫌気処理槽と好気処理槽と消毒槽とを備えてなる汚水浄化槽。
(3)項(1)において、第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽
(4)項(2)において、第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを配置した汚水浄化槽
(5)項(1)〜(4)のいずれか一項に記載の好気処理槽と前記消毒槽との間に第二固液分離槽が設けられた汚水浄化槽。
(6)項()に記載の嫌気処理槽と前記好気処理槽と前記第二固液分離槽の各々に各槽にて処理された汚水の一部を前記水処理装置の固液分離槽に戻す移送ポンプが設けられた汚水浄化槽。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固液分離した汚泥を好気消化して貯留する機能を有し、二分割の汚泥貯留槽を有する汚水浄化槽において、二分割の汚泥貯留槽の槽内液を移送する移送ポンプの詰まりを極力低減することができ、所定の汚泥貯留機能を長期間にわたり安定して発揮させる汚水浄化槽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第一実施例に基づく水処理装置の断面図であり、図1(A)は縦断面図、図1(B)は図1(A)のA−A'線に沿う断面図である。
図2】本発明の第二実施例に基づく水処理装置の断面図であり、図2(A)は縦断面図、図2(B)は図2(A)のA−A'線に沿う断面図である。
図3】本発明の第三実施例に基づく水処理装置の断面図であり、図3(A)は縦断面図、図3(B)は図3(A)のA−A'線に沿う断面図である。
図4】本発明の第四実施例に基づく水処理装置の断面図であり、図4(A)は縦断面図、図4(B)は図4(A)のA−A'線に沿う断面図である。
図5】本発明の第三実施例に基づく水処理装置を組み込んだ汚水浄化槽の断面図である。
図6】本発明の第一実施例に基づく水処理装置を組み込んだ汚水浄化槽に使用した移送ポンプであって、第二汚泥貯留槽に設置した移送ポンプの移送特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にて述べる固液分離槽は、固液分離機能を有している槽であれば、特に制限されるものではなく、具体的には、沈殿分離槽、嫌気濾床槽等を用いることができる。
濾床を有する場合には、板状、網様板状、網様円筒状を規則充填した濾材等、捕捉性の弱い濾材を好適に用いることができる。捕捉性が弱い濾材は、濾床上部に汚泥が溜まりにくく、汚泥がスカム化して次槽に流出することを防止できる。そして、濾材の設置位置(上面位置)は、濾床上部に汚泥が溜まりにくいことから、固液分離槽の上方の水面に近い位置とすることもできる。
また、濾材を有さない場合には、被処理水から固形物または汚泥の沈降・浮上による分離がなされるように、水面積負荷を考慮して固液分離槽の断面積を確保し、垂直方向でみて中間部に流入管と流出管を配置することが好ましい。
固液分離槽の形状は、特に制限されるものではないが、底部をホッパー構造にすることが好ましく、こうすることにより、集泥効率を向上させるとともに、底部で連通する第一汚泥貯留槽へ固形物または汚泥をスムーズに移流させることができる。
【0013】
第一汚泥貯留槽に移流した固形物または汚泥がそのまま堆積しないようにするために、固液分離槽の底部開口より下方に、第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽の連結口を配置する。第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する場合には、第二汚泥貯留槽に移送ポンプが設置され、第二汚泥貯留槽の槽内液が第一汚泥貯留槽に移送されるので、さらに第一汚泥貯留槽の槽内液が連結口を介して第二汚泥貯留槽に移流することになる。このように固液分離槽と第一汚泥貯留槽との連通開口より下方には水流が生じているため、固液分離槽から第一汚泥貯留槽に移流した固形物のうち、水流に乗れる大きさの固形物は、第一汚泥貯留槽の槽内液とともに、第一汚泥貯留槽の槽内液と一緒に第二汚泥貯留槽に移送され、水流に乗れない程度の大きい固形物は、移流できずに第一汚泥貯留槽に残ることになる。
【0014】
第二汚泥貯留槽に移流した固形物は、第二汚泥貯留槽の散気装置により、撹拌流に乗り、気泡との衝突を繰り返して細かくなり、好気的生物処理を受けながら、第二汚泥貯留槽の槽内液と同じく汚泥となって、第二汚泥貯留槽から第一汚泥貯留槽、第一汚泥貯留槽から第二汚泥貯留槽への移流を繰り返しながら、各汚泥貯留槽で好気的生物処理を受ける。
【0015】
一方、第一汚泥貯留槽に残った固形物が継続的に堆積していくと、固液分離槽の直下が固形物で閉塞してしまい、所定の汚泥貯留能力が発揮されないので、第二汚泥貯留槽に移流できないまでも、固液分離槽の直下から押し出すだけの水流を生じさせる必要がある。この水流の強さ(流速)は、移送ポンプの移送能力と前記移流口の開口寸法に留意すればよく、開口寸法を大きくしすぎると弱くなる。そのため、移流口の開口寸法は、固液分離槽底部の開口を第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽との仕切壁に対して投影した開口寸法よりも小さくすることが望ましい。
以上のことを鑑みると、第一汚泥貯留槽に残った固形物は、固液分離槽の底部開口の直下から押し出されて、第一汚泥貯留槽内の散気装置により生じた撹拌流に乗り、第一汚泥貯留槽の槽内液とともに好気的生物処理を受けながら、細かい汚泥となり、第一汚泥貯留槽から第二汚泥貯留槽、第二汚泥貯留槽から第一汚泥貯留槽への移流を繰り返しながら、各汚泥貯留槽で好気的生物処理を受ける。
【0016】
第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する場合には、第一汚泥貯留槽に移送ポンプが設置され、第一汚泥貯留槽の槽内液が第二汚泥貯留槽に移送され、さらに第二汚泥貯留槽の槽内液が連結口を介して第一汚泥貯留槽に移流されることになる。連結口を介して第二汚泥貯留槽の槽内液が第一汚泥貯留槽に移流することになり、固液分離槽と第一汚泥貯留槽との連通部より下方には水流が生じるため、固液分離槽から第一汚泥貯留槽に移流した固形物は、水流に乗って第一汚泥貯留槽に押し出され、さらに散気装置による撹拌流に乗り、第一汚泥貯留槽内に拡散することになる。
【0017】
以上のように、第一汚泥貯留槽の槽内液を第二汚泥貯留槽に移送する場合、第二汚泥貯留槽の槽内液を第一汚泥貯留槽に移送する場合でも、固液分離槽と第一汚泥貯留槽の連通部に集積汚泥が堆積させないように、水流を生じさせることが重要であり、第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽の連結口は、開口の寸法については、前述した通りであるが、当該水流を生じさせることができれば、位置や形状については、特に制限されるものではないが、効率から考えると、固液分離槽と第一汚泥貯留槽との連結部の下方に配置することが好ましい。また、槽内液を移送する移送ポンプは、汚泥を移送できれば、特に制限されるものではないが、維持管理が容易であるエアリフトポンプを好適に用いることができる。
第一汚泥貯留槽と第二汚泥貯留槽には、槽内を好気状態に保つこと、撹拌流を生じさせて汚泥を堆積させないこと、トイレットペーパー等の大きい固形物を細かくすることを目的として、それぞれに散気装置が配置されている。固形物が細かくなれば、移送ポンプの詰まりを抑制することができる。
【0018】
また、もっと固形物を細かくして、移送ポンプの詰まりをさらに抑えたい場合には、第一の汚泥貯留槽、または、第二の汚泥貯留槽には、槽内液を移送する移送ポンプの吸込口より下方にフィルターを設置することができる。フィルターには、トイレットペーパー等の大きい固形物が通過しにくいものであれば、特に制限されるものではなく、格子状のネットや、板状、網様板状、網様円筒状を規則充填した濾材等を充填することもできるが、当該フィルターで捕捉される固形物や汚泥等によって閉塞しないようにすることに留意する必要があり、目の粗いネットや捕捉性の弱い濾材を使用することが好ましい。以上のことを留意すれば、固形物は、フィルターに衝突を繰り返すので、細かくなりやすく、さらにフィルターを通過しなければ、移送ポンプの吸込口に到達しないことになる。また、フィルターは、第一汚泥貯留槽および第二汚泥貯留槽の両方に設置することもできる。
【実施例】
【0019】
以下、本発明による一実施例を図面によって説明する。
図1は、本発明の第一実施例に係る水処理装置の概略断面図を示したものである。図1に示すように、第一の実施例による水処理装置1は、周壁1Aと底壁1Bからなる槽の内側を仕切壁2A、4Aにより区画してなる固液分離槽2、第一汚泥貯留槽3、第二汚泥貯留槽4を有している。
固液分離槽2はその底部2a側に下窄まり状の底壁2Bを設けたホッパー形状になっており、その底部2aが第一汚泥貯留槽3の底部3aと連通し、固液分離槽2の底部開口の下方に、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4の連結口5が設けられている。また、第二汚泥貯留槽4の槽内液を第一汚泥貯留槽3に移送する移送ポンプ6が第二汚泥貯留槽4の上部側に配置されており、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4の底部に散気装置7、8が設けられている。この実施例では、固液分離槽2と第二汚泥貯留槽4とを仕切る仕切壁4Aの底部に連結口5が設けられ、この実施例では連結口5の最低位置とほぼ同じ高さに散気装置7、8が設けられている。なお、連結口5の開口寸法は、固液分離槽2の底部2aの開口を第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4との仕切壁4Aに対して投影した場合の開口寸法よりも小さくすることが望ましい。
【0020】
また、第一汚泥貯留槽3の上部を通過して固液分離槽2の上部に至る配管により構成された流入部9が形成され、被処理水がこの流入部9を介し固液分離槽2の内部に流入される構造となっている。この例では流入部9の先端部9aは固液分離槽2と第一汚泥貯留槽3とを仕切る仕切壁2Aに沿って下向きに配置され、この先端部9aから汚水を固液分離槽2の内部に供給することができる。固液分離槽2において先端部9aの設置位置と対向する側の周壁近くの位置に仕切壁10Aを設けて流出部10が形成されている。周壁1Aにおいて流出部10の上部近傍に排出口10aが形成されている。
【0021】
次に被処理水を処理する工程について説明する。
まず、被処理水は流入部9を通って、その先端部9aから水処理装置1内部の固液分離槽2に流入する。固液分離槽2では、重力による沈殿分離作用を受け、被処理水中の固形物が分離される。固形物が除去された被処理水は、流出部10を通って排出口10aから流出される。
一方、沈殿分離した固形物は、固液分離槽2の底部2aが第一汚泥貯留槽3に連通しているので、そのまま沈降して第一汚泥貯留槽3に移行する。固液分離槽2の底部2aは、ホッパー形状になっているため、沈殿汚泥を集積しやすい構造になっている。
【0022】
固液分離槽2と第一汚泥貯留槽3の連通部より下方に、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4の連結口5を配置してあり、第二汚泥貯留槽4の槽内液を第一汚泥貯留槽3に移送する移送ポンプ6を配置し、この移送ポンプ6を作動させることから、固液分離槽2と第一汚泥貯留槽3の連通部より下方では、第一汚泥貯留槽3から連結口5を介して第二汚泥貯留部4に流れる水流が生じており、第一汚泥貯留槽3の底部に移行した固形物は、その水流に乗って、第二汚泥貯留槽4に移流するものと、第一汚泥貯留槽3に残るものに分かれる。
第二汚泥貯留槽4に移流した固形物は、第二汚泥貯留槽4の底部に配置してある散気装置7からの気泡により生じた撹拌流に乗りながら、気泡との衝突を繰り返し、徐々に小さくなる。小さくなった固形物は、槽内液に貯留されている汚泥とともに、散気装置7からの酸素供給により好気的消化作用を受けながら貯留され、さらに細かい汚泥となる。これらの汚泥は、槽内の撹拌流に乗りながら、その一部が移送ポンプ6によって第一汚泥貯留槽3に移送されることになる。
【0023】
移送ポンプ6の設置は、固形物によって吸込口、あるいは、管路が閉塞し難い位置になるように留意する必要がある。固形物は、大きくなればなる程、底部に近い部位にあるので、少なくとも第二汚泥貯留槽4の水深(流量調整部を上部に設ける場合には低水位の水深)に対して二分の一以上の高さに移送ポンプ6の吸込口を配置することが望ましく、水深に対して三分の二以上の高さに配置すると、さらに吸込口あるいは管路の閉塞抑制の効果が高まる。
【0024】
また、第一汚泥貯留槽3に残った固形物は、連結口5を介しての第一汚泥貯留槽3から第二汚泥貯留槽4への水流によって、固液分離槽2の底部開口の直下から押し出され、第一汚泥貯留槽3の槽内液とともに、第一汚泥貯留槽3の底部に設置されている散気装置8からの酸素供給により好気的消化作用を受けながら、小さくなり、散気装置8からの気泡により生じた撹拌流に乗りながら貯留され、さらに細かい汚泥となる。これらの汚泥のうち一部は、連結口5を介しての第一汚泥貯留槽3から第二汚泥貯留槽4への水流によって第二汚泥貯留槽4へ移流されることになる。
固液分離槽2から沈殿分離された固形物は、第二汚泥貯留槽4に移流しても、第一汚泥貯留槽3に残存しても、いずれの場合も気泡による衝突と好気的消化作用を継続的に受けながら、細かくなり、第一汚泥貯留槽3から第二汚泥貯留槽4、第二汚泥貯留槽4から第一汚泥貯留槽3への移流を繰り返しながら貯留される。
【0025】
以上のように水処理装置1では、トイレットペーパーのような大きい固形物を含む汚泥を、好気的消化作用により貯留させる部位に移送ポンプ6を用いて移送させる場合において、上述の構造を用いれば、気泡との衝突により細かくなった後の固形物を移送することができるので、移送ポンプ6の吸込口あるいは管路などの目詰まりを抑制することができ、所定の汚泥貯留能力を発揮することができる。
【0026】
図2は、本発明による第二実施例の水処理装置21を示したものである。
図2に示す第二実施例の水処理装置21において、先の第一実施例の水処理装置1と同等の構成要素には同一符号を付し、同一要素の説明は省略する。
第二実施例において、第一実施例との相違点は、移送ポンプ6Bにより第一汚泥貯留槽3の槽内液を第二汚泥貯留槽4に移送できる構成としたことである。そのため、固液分離槽2で沈殿分離された固形物は、第二汚泥貯留槽4から連結口5を介して第一汚泥貯留槽3に流れる水流に乗り、第一汚泥貯留部3の撹拌流に乗ることになる。固液分離槽2の底部から下方に向かう水流が第一汚泥貯留槽3側に向かう流れを生成する。散気装置7、8により生成される気泡による好気的消化作用と攪拌流の作用効果についても先の実施例と同様に得ることができる。
この第二実施例の水処理装置21においても先の第一実施例の水処理装置1と同様に、気泡との衝突によって固形物が小さくなり、移送ポンプ6Bで第二汚泥貯留槽4に移送され、第一汚泥貯留槽3と第二汚泥貯留槽4での処理を繰り返し受けながら貯留されることになる。
【0027】
図3は、本発明による第三実施例の水処理装置31を示したものであり、図4は、本発明による第四実施例の水処理装置41を示したものである。第三実施例の水処理装置31において、第二汚泥貯留槽4の上部側に移送ポンプ6を設けた点、その移送ポンプ6の吸込口より下方にフィルター11を設けた点に特徴を有する。第四実施例の水処理装置41において、第一汚泥貯留槽3の上部側に移送ポンプ6Bを設けた点に特徴を有する。その他の構造は先に説明した第一実施例あるいは第二実施例の水処理装置と同等の構成であるので、同等の要素には同一符号を付して同一要素の説明を略する。
【0028】
第三実施例と第四実施例の構造において、いずれも移送ポンプ6あるいは移送ポンプ6Bの吸込口より下方にフィルター11を配置してあるため、フィルター11を通過したものだけが移送ポンプ6の吸込口に到達すること、撹拌流によるフィルター11への衝突が繰り返し生じることから、さらに効率的に固形物を小さくでき、移送ポンプ6、6Bの目詰まりをさらに抑制することが可能になる。
その他の作用効果について、第三実施例においては第一実施例と同様の作用効果を得ることができ、第四実施例においては第二実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0029】
図5は、本発明による第三実施例に基づいた水処理装置を汚水浄化槽に組み込んだ場合の汚水浄化槽の一実施例を示すものである。
本実施例の汚水浄化槽12は、周壁12Aと底壁12Bと天井壁12Cにより構成された槽構造の内部に、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16、好気処理槽17、第二固液分離槽18、消毒槽19を有している。
汚水浄化槽12においてその入口側の一端に流入口20が出口側の一端に流出口36が形成され、流入口20側から流出口36側にかけて順次間隔をあけて仕切壁16A、17A、18Aが形成され、仕切壁16A、17Aの間に嫌気処理槽16が形成され、仕切壁17A、18Aの間に好気処理槽17が形成されている。汚水浄化槽12において、入口側の周壁12Aと仕切壁16Aとに囲まれた領域の中央側に第一固液分離槽13が形成され、その両側に第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15が形成されている。
【0030】
第一固液分離槽13と第一汚泥貯留槽14は仕切壁13Aにより仕切られ、第一固液分離槽13と第二汚泥貯留槽15は仕切壁15Aにより仕切られている。第一固液分離槽13はその底部13aに下窄まり状の底壁13Bを有したホッパー形状にされており、その底部13aが第一汚泥貯留槽14の底部14aと連通し、第一固液分離槽13の底部開口の下方に、第一汚泥貯留槽14と第二汚泥貯留槽15を連通するための連結口21が設けられている。この連結口21は、先の第一、第三実施例に設けられていた連結口5と同等のものである。
また、第二汚泥貯留槽15の槽内液を第一汚泥貯留槽14に移送する移送ポンプ25が第二汚泥貯留槽15の上部側に配置されており、第一汚泥貯留槽14と第二汚泥貯留槽15の底部に散気装置22、23が設けられている。この実施例では、第一固液分離槽13と第二汚泥貯留槽15とを仕切る仕切壁15Aの底部に連結口21が設けられ、この実施例では連結口21の最低位置とほぼ同じ高さに散気装置22、23が配置されている。
【0031】
第一汚泥貯留槽14の上部を通過して固液分離槽の上部に至る配管により構成された流入部20が形成され、被処理水がこの流入部20を介し第一固液分離槽13の内部に流入される構造となっている。この例では流入部20の先端部20aは第一固液分離槽13と第一汚泥貯留槽14とを仕切る仕切壁に沿って下向きに配置され、この先端部20aから汚水を第一固液分離槽13の内部に供給することができる。第一固液分離槽13において先端部20aの設置位置と対向する側の周壁近くの位置に仕切壁10Aを設けて流出部10が形成されている。仕切壁16Aにおいて流出部10の上部近傍に排出口10aが形成されている。
【0032】
以下、水の流れに沿って説明する。まず初めに、汚水は、流入口20を通って第一固液分離槽13に流れ込む。第一固液分離槽13では、沈殿分離作用により、汚水中の固形物が沈殿分離作用により分離される。分離された固形物は、底部の連通部から第一汚泥貯留槽14に送られる。第一固液分離槽13の底部は、ホッパー形状になっており、分離された固形物が集まりやすい構造となっている。
【0033】
第一汚泥貯留槽14に送られた固形物は、連結口21を介して第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流によって、第二汚泥貯留槽15に移送されるものと、第一汚泥貯留槽14に残るものに分かれる。
第二汚泥貯留槽15に移送された固形物は、底部に設置された散気装置22から供給される気泡により生じた撹拌流に乗り、気泡に衝突し、網様円筒濾材を充填した濾床(フィルター)24に衝突しながら、徐々に小さくなる。このように第二汚泥貯留槽15に移送された固形物は、槽内で気泡撹拌されて好気的消化作用を受けながら貯留されることになる。また、第二汚泥貯留槽15には、濾床24よりも上方に移送ポンプ25の吸込口が設置してあり、濾床24を通過した固形物(汚泥)が第一汚泥貯留槽14の上部に移送ポンプ25により移送され、第一汚泥貯留槽14で好気的消化作用を受けて貯留される。
【0034】
第一汚泥貯留槽14に残存した固形物は、連結口21を介しての第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流によって第一固液分離槽13と第一汚泥貯留部14の連通開口の直下から押し出される。押し出された固形物は、底部に設置された散気管23から供給される気泡により生じた撹拌流に乗り、気泡に衝突し、捕捉性の低い網様円筒濾材を充填した濾床(フィルター)26に衝突しながら、徐々に小さくなる。
このように第一汚泥貯留槽14に移送された固形物は、槽内で気泡撹拌されて好気的消化作用を受けながら貯留されることになり、細かく汚泥となったものは、前述した第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流に乗り、第二汚泥貯留槽15へ移送され、第二汚泥貯留槽15で好気的消化作用を受けて貯留される。第一固液分離槽13から移流してきた固形物は、最終的に細かい汚泥になり、第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15へ、第二汚泥貯留槽15から第一汚泥貯留槽14への移送を繰り返し、各汚泥貯留槽14、15で好気的消化作用を受けて貯留されることになる。
【0035】
なお、本実施例では、第一汚泥貯留槽14の濾床26と第二汚泥貯留槽15の濾床24には、網様円筒状濾材を充填した状態として図示しているが、ヘチマ様板状濾材、骨格様球状濾材等を充填することもでき、さらには、格子状のネットを配置することもできる。
各汚泥貯留槽14、15では、処理が進むと、汚泥濃度が上昇するので、連通している第一固液分離槽13の汚泥界面が上昇してくるが、連結口21を介して第一汚泥貯留槽14から第二汚泥貯留槽15への水流によって汚泥が引き込まれるため、汚泥界面の上昇を抑制することができる。
【0036】
一方、第一固液分離槽13で固形物が除去された汚水は、図5(B)の矢印に示すように流出部10から嫌気処理槽16へ移送される。嫌気処理槽16は、濾床27を有しており、捕捉性の高い骨格様球状の濾材を充填している。汚水中のSS(浮遊物質)は、濾床27によって捕捉され、有機物は嫌気処理される。嫌気処理槽16の一部には濾床27の側方を通過して嫌気処理槽16の上部まで延在する流出路16aが形成され、この流出路16aの底部に汚泥移送ポンプ28が設置され、上部に移送ポンプ29が設置されている。前記汚泥移送ポンプ28は前記第一固液分離槽13の上部側に配管接続され、前記移送ポンプ28は好気処理槽17の上部側に配管接続されている。
【0037】
濾床下部の堆積汚泥は、嫌気処理槽16の汚泥移送ポンプ28によって第一固液分離槽13へと移送され、再度処理を受ける。
なお、本実施例では、嫌気処理槽16の濾床27に骨格様球状濾材を充填しているが、網様円筒状濾材、ヘチマ様板状濾材等を充填することもできる。
浴槽排水等のピーク流入があった場合に貯留しておくスペースとして、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16の上部に流量調整部37を設けている。嫌気処理槽16にて嫌気処理された汚水は、流量調整ポンプ29により好気処理槽17へ移送される。この流量調整ポンプ29により汚水の移送量を調節することにより、第一固液分離槽13と第一汚泥貯留槽14と第二汚泥貯留槽15の内部に収容される汚水量を図5(B)に示すL.W.L(低水位)からH.W.L(高水位)の間に調整しながら汚水処理を行うことができる。
【0038】
好気処理槽17は、濾床30を有しており、粒状の担体が充填されている。担体は、濾床30の底部に設置された散気装置31Bにより、酸素の供給を受けながら流動し、担体に付着している微生物によって汚水の好気処理を行う。好気処理された汚水は、第二固液分離槽18に移送される。
ここでは、本実施例として、好気処理槽17の濾床30に粒状の担体を充填した担体流動方式を採用しているが、波板状濾材、ヘチマ様板状濾材、骨格様球状濾材等を充填した接触ばっ気方式を採用することもでき、粒状担体を充填し、担体が流動しないように直接ばっ気せず、ばっ気液を濾床に通過させる生物濾過方式を採用することもできる。好気処理槽17の一部には濾床30の側方を通過して好気処理槽17の上部まで延在し、後述の第二固液分離槽18の近傍に達する流出路17aが形成され、この流出路17aの底部に前記第一固液分離槽13に配管接続された移送ポンプ32が設置されている。流出路17aの上部側には流出口17bが形成され、好気処理された汚水はこの流出口17bから第二固液分離槽18に流出される。
なお、好気処理された汚水の一部は、好気処理槽17の移送ポンプ32によって第一固液分離槽13へ移送され、再度処理を受ける。
【0039】
好気処理槽17の下流側に、汚水浄化槽12の周壁12Aと仕切壁18Aとこの仕切壁18Aに直角に延設された仕切壁18Bと底部壁18Cに囲まれて第二固液分離槽18と消毒槽19が形成されている。
前記第二固液分離槽18は、濾床33を有しており、粒状担体を充填している。好気処理槽17から移流した汚水に含まれるSSは、この濾床33にて捕捉され固液分離される。第二固液分離槽18の一部にはその底部から濾床33の側方を通過して第二固液分離槽18の上部に至る流出路18aが形成され、その底部に前記第一固液分離槽13の上部側に配管接続された移送ポンプ34が設置されている。
【0040】
濾床33において捕捉したSSは、濾床33の定期的な洗浄により、洗浄排水として移送ポンプ34によって第一固液分離槽13に移送され、再度処理を受ける。洗浄は、濾床33の下方に設置された散気管35からの気泡により、担体の揺動と同時に移送ポンプ34からの汚水の引き抜きにより行われる。
なお、本実施例では、第二固液分離槽18の濾床33に粒状担体を充填して生物濾過方式を採用しているが、濾材を充填せず、沈殿槽にすることもできるが、その際には、十分な沈殿分離に要する時間を設ける必要がある。
第二固液分離槽18から移流した処理水は、仕切壁18Bの上部に形成された排出口18bから消毒槽19に移送され、滅菌消毒された後に、流出口36から系外に排出される。
【0041】
図6は、図5に示した本実施例に基づく水処理装置を汚水浄化槽12に組み込んだ実施例において、第二汚泥貯留槽15に設けた移送ポンプ25の移送能力を示すグラフである。
移送ポンプ25は、エアリフトポンプであり、第一固液分離槽13、第一汚泥貯留槽14、第二汚泥貯留槽15、嫌気処理槽16の上部が流量調整部37になっていることから、移送水量が流量調整部37の水位変動(L.W.L〜H.W.L)に影響を受ける。
【0042】
図6に示す移送特性を持ったエアリフトポンプを移送ポンプ25として用いた結果、使用開始から清掃までの期間にわたり、移送ポンプ25に詰まりが発生することもなく、所定の汚泥貯留能力を発揮することができた。
【符号の説明】
【0043】
1…水処理装置、1A…周壁、1B…底壁、2…固液分離槽、2A…仕切壁、2a…底部、2B…底壁、3…第一汚泥貯留槽、3a…底部、4…第二汚泥貯留槽、5…連結口、6…移送ポンプ、7…散気装置、8…散気装置、9…流入部、10…流出部、10a…排出口、11…フィルター、12…汚水浄化槽、12A…周壁、12B…底壁、13…第一固液分離槽、13B…底壁、14…第一汚泥貯留槽、15…第二汚泥貯留槽、16…嫌気処理槽、16A…仕切壁、17…好気処理槽、17A…仕切壁、18…第二固液分離槽、18A、18B、18C…仕切壁、19…消毒槽、20…流入口、21…連結口、22…散気装置、23…散気装置、24…濾床(フィルター)、25…移送ポンプ、26…濾床(フィルター)、27…濾床、28…汚泥移送ポンプ、29…流量調整ポンプ、30…濾床、31B…散気装置、32…移送ポンプ、33…濾床、34…移送ポンプ、35…散気管、36…流出部、37…流量調整部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6