【実施例】
【0028】
つぎに本発明の実施例による無端ベルトの製造装置10およびその製造方法を、無端ベルトとして歯付き無端ベルト1の場合を例にとって、
図1ないし
図8にもとづき説明する。ただし、
図9および
図10と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、無端ベルト(歯付き無端ベルト1)の製造装置10の型割り状態(型開放状態)の概略側断面図、
図2は、歯付き無端ベルト1の製造装置10の型締め状態の概略側断面図であって、歯付き無端ベルトの製造装置10は、固定盤11および可動盤12と、固定盤11および可動盤12の間に同心状に配置した外型13および内型14と、を有する。
【0029】
固定盤11は、ベルト材料射出ユニット(図示せず)にこれを接続してあるもので、歯付き無端ベルト1の成型材料を供給(射出)する供給口15を形成している。この供給口15は、固定盤11に貫通形成した射出口16と、型締め状態において固定盤11と外型13および内型14との間で形成するランナー17と、からなっている。
固定盤11は、その中心軸部に固定盤係合凹部18を形成している。
【0030】
可動盤12は、型締め駆動ユニット(図示せず)にこれを接続してあるもので、固定盤11に対して外型13および内型14の軸方向(
図1中、左右方向)に進退することにより、外型13および内型14を固定盤11に対して進退(型締めおよび型開放)可能としているもので、可動部19と、中間盤20と、押出しピン21と、を有する。
【0031】
とくに
図4にもとづいて後述するように、この可動盤12(押出しピン21)により内型14を外型13から型抜き可能としている。
可動部19は、可動盤12全体、中間盤20および押出しピン21の進退動作を駆動する。
中間盤20は、外型13と可動部19との間に位置して、可動部19(可動盤12)に対して外型13を着脱するとともに、その中心軸部に可動盤12としての可動盤係合凹部22を形成している。
押出しピン21は、可動部19および中間盤20の中心孔部において外型13および内型14の軸方向に進退可能であって、油圧により内型14を外型13から固定盤11に向かって押し出し、型抜き可能とする(
図4を参照、後述)。
【0032】
とくに
図2に示すように、外型13および内型14の間には、その型締め状態で有底円筒状のベルト成型用空間23を形成可能であって、このベルト成型用空間23に供給口15(射出口16、ランナー17)を連通し、歯付き無端ベルト1の成型材料をベルト成型用空間23に射出供給可能とする。
【0033】
外型13は、固定盤11に対して歯付き無端ベルト1の側方開放部に相当する固定盤側開口部24を開口形成しているとともに、可動盤12に対向する可動盤側開口部25を開口形成している。
外型13は、固定盤11に対向する上記固定盤側開口部24に位置する固定盤側端部13Aに、内方フランジ状突出部26を形成することにより、型締め状態で内型14との間にわずかな長さ(後述するように、狭窄材料部28が引きちぎられる程度の長さ)の狭窄路27を形成可能としている。
狭窄路27の径方向厚さD1は、成型材料を射出成型後、内型14が外型13とともに固定盤11から分離する際に、狭窄路27の部分に残留する成型材料による薄肉状の狭窄材料部28がランナー17の部分に残留する成型材料(ランナー残留材料29)から引きちぎれて、ランナー残留材料29とは切り離されるだけの細さが必要である。実際には、狭窄路27の径方向厚さD1は、これをランナー17の幅とほぼ同等とすることができる。
また、狭窄路27が連通するランナー17およびベルト成型用空間23について、外型13におけるベルト成型用空間23に臨む内方フランジ状突出部26の内壁面からランナー17における最大円周縁までの径方向長さD2としては、上述のように成型材料を射出成型後、内型14が外型13とともに固定盤11から分離する際に、径方向長さD2だけのランナー17部分におけるランナー残留材料29が抵抗となって、狭窄路27における狭窄材料部28が引きちぎれるだけの長さが必要である。
【0034】
さらに外型13においては、可動盤12に対向する可動盤側端部13Bに、フランジ部形成用凹部30を円環状に形成し、このフランジ部形成用凹部30をベルト成型用空間23に連通可能としている。
すなわち、ベルト成型用空間23において成型する歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aについて、可動盤12側に位置するベルト端部に円周方向フランジ部31を形成可能なフランジ部形成用凹部30を、ベルト成型用空間23に連通するように外型13の可動盤側端部13Bに形成可能としている。
なお、このフランジ部形成用凹部30の径方向長さD3としては、成型材料を射出成型後、内型14が外型13から分離する際に、この径方向長さD3のフランジ部形成用凹部30部分に形成される円周方向フランジ部31が抵抗となり、成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aが外型13の内周側に残留するだけの長さが必要である。
【0035】
内型14には、その外周面に前記係合歯成型用溝9(
図10)を形成しているとともに、歯付き無端ベルト1の前記補強用繊維4をその円周方向に巻回可能としている。
また、上述のように、固定盤11の供給口15に臨む外型13と内型14との間にベルト成型用空間23に連通する狭窄路27を形成可能としている。
さらに内型14は、固定盤11の固定盤係合凹部18に係脱する固定盤側軸部32と、可動盤12(中間盤20)の可動盤係合凹部22に係脱する可動盤側軸部33と、を有する。
【0036】
こうした構成の歯付き無端ベルト1の製造装置10により、歯付き無端ベルト1を製造(射出成型)する方法について、
図1ないし
図8にもとづき以下説明する。
図1および
図2を参照して既述したように、歯付き無端ベルト1の製造装置10の型開放状態は、可動盤12により外型13を固定盤11から分離した状態である。
離型剤を塗布するとともに補強用繊維4を巻き付けた内型14を固定盤11および外型13の間に配置し、可動盤12を固定盤11方向(
図1中、右方向)に可動して、内型14の固定盤側軸部32を固定盤11の固定盤係合凹部18に、内型14の可動盤側軸部33を可動盤12(中間盤20)の可動盤係合凹部22にそれぞれ係合し、
図2のように型締めする。
【0037】
このような型締め状態で、供給口15の射出口16から成型材料(一般的には、熱可塑性エラストマー)を所定圧力で射出供給し、ランナー17および狭窄路27を介して、内型14および外型13の間のベルト成型用空間23に射出供給するとともに、この状態で保圧し、冷却する(
図2)。
【0038】
図3は、可動盤12により外型13、内型14および歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを固定盤11から分離した状態(第1の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第1の型開き状態において、固定盤11の固定盤係合凹部18から内型14の固定盤側軸部32が離脱し、ランナー17の部分における成型材料(ランナー残留材料29)は固定盤11側に残留するとともに、外型13および内型14の間の狭窄路27における狭窄材料部28が引きちぎれて切り離されるとともに、ベルト成型用空間23内に必要かつ適正な形状にベルト成型体1Aが残留する。
【0039】
図4は、可動盤12における押出しピン21により内型14の可動盤側軸部33を固定盤11方向に押し出し、内型14を外型13からほぼ半分の長さだけ型抜きした状態(第2の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第2の型開き状態への型開き操作では、可動部19および中間盤20はその位置に止まっており、押出しピン21だけが固定盤11の方向に内型14を所定の押出し力で押し出す機械的かつ精密な軸方向動作であり、第2の型開き状態において、内型14の外周に位置するように成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aおよび補強用繊維4を外型13の内周側に残留させることができる。
さらに、この押出しピン21による内型14の押出し操作において、ベルト成型用空間23内における歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの可動盤12側のベルト端部には、外型13におけるフランジ部形成用凹部30により円周方向フランジ部31が一体形成されているので、この円周方向フランジ部31が抵抗となり、歯付き無端ベルト1のベルト成型体1A全体が内型14の固定盤11方向への型開き動作に引きずられて外型13内から外方に引き出されてしまうおそれはない。
また、押出しピン21による内型14の押出し量は、内型14のほぼ半分の長さが外型13から分離する程度でよく、内型14全体がその自重により落下してしまうことない範囲で、外型13から分離させるものとする。
【0040】
図5は、ほぼ半分の長さが型開きされた内型14を手動で完全に外型13から引き抜いた状態(第3の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第3の型開き状態への型開き操作は、内型14がそのほぼ半分の長さ分だけ外型13から引き抜かれているので、手動でこれを実行可能であり、第3の型開き状態において、内型14としては歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aおよび補強用繊維4を外型13側に転移させた状態でこれを取り除くことになる。
【0041】
図6は、内型14を外型13から型抜きした状態で可動盤12(中間盤20)を外型13から分離した状態(第4の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第4の型開き状態においては、外型13における可動盤12に対向する可動盤側端部13Bの可動盤側開口部25において歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの可動盤12側に向かう端部が開放状態で露出することになる。
【0042】
図7は、成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを外型13から手動で取り出す操作を示す概略側断面図である。
成型され冷却された状態の歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aは、そのベルト端部に円周方向フランジ部31が一体形成されていても、弾性変形が可能であり、かつ外型13と中間盤20との間には必要な空間を空けることができるので、手動により外型13から可動盤12方向に容易に取り出すことができる。すなわち、ベルト成型体1Aを無理に折り曲げたり歪めたりして取り出す必要がなく、ほぼ成型された形状のまま取り出すことができるので、破損や変形などのおそれはない。
【0043】
図8は、外型13から取り出された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの概略側断面図である。
歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの固定盤11側の固定盤側不要端部1B(引きちぎれた狭窄材料部28を含む)を固定盤側切断線34において切断除去するとともに、可動盤12側の可動盤側不要端部1Cを可動盤側切断線35において切断除去することにより、最終製品としての歯付き無端ベルト1を得ることができる。
【0044】
かくして、本発明によれば、固定盤11の供給口15に臨む外型13と内型14との間にベルト成型用空間23に連通する狭窄路27を形成し、可動盤12側において、外型13にフランジ部形成用凹部30を形成してこれをベルト成型用空間23に連通させ、供給口15から狭窄路27を介して成型材料をベルト成型用空間23に射出供給することができるもので、射出成型法により成型時間の短縮化、かつ加工処理の自動化および省力化を図ることができる。
【0045】
また、ベルト成型用空間23において成型する歯付き無端ベルト1の、可動盤12側に位置するベルト端部にフランジ部形成用凹部30に応じた円周方向フランジ部31を形成しているので、外型13に残留させる歯付き無端ベルト11のベルト成型体1Aと内型14とを確実に分離可能であって、可動盤12により内型14を外型13から型抜きするとともに、外型13の内周側に成型した歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを破損せずに残留させることができる。
【0046】
さらに、可動盤12を外型13から分離し、成型した歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを外型13から取り出すことにより、短時間かつ低コストで歯付き無端ベルト1を製造することができる。