特許第6017903号(P6017903)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017903無端ベルトの製造装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017903
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】無端ベルトの製造装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20161020BHJP
   B29C 45/40 20060101ALI20161020BHJP
   B29D 29/00 20060101ALI20161020BHJP
   B29L 29/00 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   B29C33/44
   B29C45/40
   B29D29/00
   B29L29:00
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-206541(P2012-206541)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-61605(P2014-61605A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】新田 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】畑中 英夫
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−280370(JP,A)
【文献】 実開昭62−60314(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44
B29C 45/40
B29D 29/00
B29L 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心状に配置した外型および内型と、
この外型および内型の間に形成するベルト成型用空間に無端ベルトの成型材料を供給する供給口を形成した固定盤と、
この固定盤に対して進退する可動盤と、を有する無端ベルトの製造装置であって、
前記固定盤の前記供給口に臨む前記外型と前記内型との間に前記ベルト成型用空間に連通する狭窄路を形成可能とするとともに、
前記ベルト成型用空間において成型する前記無端ベルトのベルト成型体について、前記可動盤側に位置するそのベルト端部に円周方向フランジ部を形成可能なフランジ部形成用凹部を、前記ベルト成型用空間に連通するように前記外型に形成可能とし、
前記可動盤は、前記外型および前記内型を前記固定盤に対して進退可能としているとともに、前記内型を前記外型から前記固定盤に向かって型抜き可能とする押出しピンを装備しており、
前記可動盤により前記内型を前記外型から型抜き可能としていることを特徴とする無端ベルトの製造装置。
【請求項2】
前記内型を前記外型から型抜きした状態で、前記外型の内周側に成型した前記無端ベルトの前記ベルト成型体を残留可能としていることを特徴とする請求項1に記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項3】
前記内型を前記外型から型抜きした状態で、前記可動盤は、前記外型からこれを分離可能としていることを特徴とする請求項1または2記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項4】
前記外型は、前記固定盤に対向する固定盤側端部に、前記狭窄路を形成可能な内方フランジ状突出部を形成するとともに、前記可動盤に対向する可動盤側端部に、前記フランジ部形成用凹部を形成していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項5】
前記外型は、前記固定盤に対して前記無端ベルトの側方開放部に相当する固定盤側開口部を有するとともに、前記可動盤に対向する可動盤側開口部を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項6】
前記可動盤は、前記外型を前記可動盤に対して着脱する中間盤を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項7】
前記内型は、前記固定盤の固定盤係合凹部に係脱する固定盤側軸部と、前記可動盤の可動盤係合凹部に係脱する可動盤側軸部と、を有することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項8】
前記内型には、前記無端ベルトの補強用繊維をその円周方向に巻回可能としていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の無端ベルトの製造装置。
【請求項9】
同心状に配置した外型および内型と、
この外型および内型の間に形成するベルト成型用空間に無端ベルトの成型材料を供給する供給口を形成した固定盤と、
この固定盤に対して進退する可動盤と、を用いる無端ベルトの製造方法であって、
前記固定盤の前記供給口に臨む前記外型と前記内型との間に前記ベルト成型用空間に連通する狭窄路を形成し、
前記外型の可動盤側にフランジ部形成用凹部を形成して前記ベルト成型用空間に連通させ、
前記供給口から前記狭窄路を介して前記成型材料を前記ベルト成型用空間に射出供給するとともに、
前記ベルト成型用空間において成型する前記無端ベルトのベルト成型体について、前記可動盤側に位置するそのベルト端部に前記フランジ部形成用凹部に応じた円周方向フランジ部を形成し、
前記可動盤が装備する前記内型を前記外型から前記固定盤に向かって型抜き可能とする押出しピンにより前記内型を前記外型から型抜きして、前記狭窄路における前記成型材料の狭窄材料部を切り離すとともに、前記円周方向フランジ部と一体的に前記外型の内周側に成型した前記無端ベルトの前記ベルト成型体を残留させ、
さらに、前記可動盤を前記外型から分離し、
成型した前記無端ベルトの前記ベルト成型体を、前記外型から前記可動盤方向へ取り出すことを特徴とする無端ベルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無端ベルトの製造装置およびその製造方法にかかるもので、とくにタイミングベルトや電動Vベルトなどの歯付き無端ベルトその他の無端ベルトの成型時間を短縮可能な無端ベルトの製造装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、無端ベルトを成型するにあたって、同心状に配置した外型および内型の間に形成したベルト成型用空間に無端ベルトの成型材料を供給する方法がある。
図9および図10にもとづき、歯付き無端ベルト1を例にとって概説する。
図9は、一般的な歯付き無端ベルト1の斜視図、図10は、歯付き無端ベルト1の製造装置2(成型装置)の概略斜視図であって、歯付き無端ベルト1は、無端状のベルト本体3と、ベルト本体3の内周壁面に埋設した補強用繊維4と、を有する。
【0003】
歯付き無端ベルト1の内周壁面には、図9にその一部を拡大して示すように、凹凸部からなる係合歯5を形成してあり、ギアないしプーリー(図示せず)との係合を可能としている。
【0004】
歯付き無端ベルト1の製造装置2は、同心状に配置した外型6および内型7を有し、内型7の外周面に離型剤を塗布しておくとともに、外型6および内型7の間に形成されるベルト成型用空間8に歯付き無端ベルト1の成型材料を供給して成型するようになっている。
内型7の外周壁面には、図10にその一部を拡大して示すように、上記歯付き無端ベルト1の係合歯5を成型するための凹凸部からなる係合歯成型用溝9を形成している。
【0005】
しかしながら、従来の歯付き無端ベルト1の製造装置2においては、成型材料をベルト成型用空間8内に注入する方式が採用されており(たとえば、特許文献1)、成型材料として熱硬化性のエラストマーなどを用いているため、成型体を硬化させるために長時間にわたる加熱処理が必要であるという問題がある。
【0006】
一方、成型時間を短縮可能な射出形成法による製造装置を採用すれば、成型時間は短縮することができるものの、成型後に、外型6を取り除いた状態(型開き状態)でベルト成型体を内型7から取り外すことは事実上不可能である。
とくに、成型されるベルト本体3の内周壁面には補強用繊維4が埋設されて内型7を締め付けているので、内型7からベルト本体3を余計抜き取りにくいという問題がある。
したがって、このベルト成型体を破損することなく外型6から内型7を相当な押出し力によって型抜きすることが必要であり、この型抜き工程に手間および時間がかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2−167731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、従来より短時間で歯付き無端ベルトその他の無端ベルトの成型が可能な無端ベルトの製造装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
また本発明は、射出成型法を採用しても、外型からの内型の型抜き操作を効率よく行うことができる無端ベルトの製造装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0010】
また本発明は、成型時間を短縮して、低コストで無端ベルトを製造可能な無端ベルトの製造装置およびその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、無端ベルトの成型にあたって射出成型法を採用すること、外型から内型を型抜きする際に外型に無端ベルトのベルト成型体が残留可能とすることに着目したもので、第一の発明は、同心状に配置した外型および内型と、この外型および内型の間に形成するベルト成型用空間に無端ベルトの成型材料を供給する供給口を形成した固定盤と、この固定盤に対して進退する可動盤と、を有する無端ベルトの製造装置であって、上記固定盤の上記供給口に臨む上記外型と上記内型との間に上記ベルト成型用空間に連通する狭窄路を形成可能とするとともに、上記ベルト成型用空間において成型する上記無端ベルトのベルト成型体について、上記可動盤側に位置するそのベルト端部に円周方向フランジ部を形成可能なフランジ部形成用凹部を、上記ベルト成型用空間に連通するように上記外型に形成可能とし、上記可動盤により上記内型を上記外型から型抜き可能としていることを特徴とする無端ベルトの製造装置である。
【0012】
第二の発明は、同心状に配置した外型および内型と、この外型および内型の間に形成するベルト成型用空間に無端ベルトの成型材料を供給する供給口を形成した固定盤と、この固定盤に対して進退する可動盤と、を用いる無端ベルトの製造方法であって、上記固定盤の上記供給口に臨む上記外型と上記内型との間に上記ベルト成型用空間に連通する狭窄路を形成し、上記可動盤側において、上記外型にフランジ部形成用凹部を形成して上記ベルト成型用空間に連通させ、上記供給口から上記狭窄路を介して上記成型材料を上記ベルト成型用空間に射出供給するとともに、上記ベルト成型用空間において成型する上記無端ベルトのベルト成型体について、上記可動盤側に位置するそのベルト端部に上記フランジ部形成用凹部に応じた円周方向フランジ部を形成し、上記可動盤により上記内型を上記外型から型抜きして、上記狭窄路における上記成型材料の狭窄材料部を切り離すとともに、上記円周方向フランジ部と一体的に上記外型の内周側に成型した上記無端ベルトの上記ベルト成型体を残留させ、さらに、上記可動盤を上記外型から分離し、成型した上記無端ベルトの上記ベルト成型体を、上記外型から取り出すことを特徴とする無端ベルトの製造方法である。
【0013】
上記可動盤は、上記外型および上記内型を上記固定盤に対して進退可能としていることができる。
【0014】
上記可動盤は、上記内型を上記外型から上記固定盤に向かって型抜き可能とする押出しピンを装備していることができる。
【0015】
上記内型を上記外型から型抜きした状態で、上記外型の内周側に成型した上記無端ベルトの上記ベルト成型体を残留可能としていることができる。
【0016】
上記内型を上記外型から型抜きした状態で、上記可動盤は、上記外型からこれを分離可能としていることができる。
【0017】
上記外型は、上記固定盤に対向する固定盤側端部に、上記狭窄路を形成可能な内方フランジ状突出部を形成するとともに、上記可動盤に対向する可動盤側端部に、上記フランジ部形成用凹部を形成していることができる。
【0018】
上記外型は、上記固定盤に対して上記無端ベルトの側方開放部に相当する固定盤側開口部を有するとともに、上記可動盤に対向する可動盤側開口部を有していることができる。
【0019】
上記可動盤は、上記外型を上記可動盤に対して着脱する中間盤を有することができる。
【0020】
上記内型は、上記固定盤の固定盤係合凹部に係脱する固定盤側軸部と、上記可動盤の可動盤係合凹部に係脱する可動盤側軸部と、を有することができる。
【0021】
上記内型には、上記無端ベルトの補強用繊維をその円周方向に巻回可能としていることができる。
【0022】
上記成型材料としては、熱可塑性エラストマーが一般的であるが、処理条件や処理時間などを適宜選択して熱硬化性エラストマーを採用することもできる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による無端ベルトの製造装置およびその製造方法においては、無端ベルトの成型材料の供給口に臨む外型と内型との間にベルト成型用空間に連通する狭窄路を形成するとともに、可動盤側に位置するベルト端部に円周方向フランジ部を形成可能なフランジ部形成用凹部を外型に形成した。
したがって、可動盤を固定盤から後退させる(型開きする)際に、狭窄路においてベルト成型体が引きちぎれるため、外型および内型を固定盤から分離してもベルト成型体が破損するおそれはない。
さらに、ベルト成型体に円周方向フランジ部があるので、この円周方向フランジ部が外型のフランジ部形成用凹部に引っ掛かり、外型からの内型の型抜きを円滑に行うことができ、無端ベルトのベルト成型体が外型内に残留可能である。
外型から無端ベルトのベルト成型体を取り出すことは容易であり、無端ベルトの加工時間の短縮および省力化を図って、低コスト化を実現することができる。
【0024】
とくに第一の発明の無端ベルトの製造装置においては、外型および内型と、固定盤および可動盤と、を有して、ベルト成型空間に連通して狭窄路および円周方向フランジ部を形成可能であるため、無端ベルトのベルト成型体を外型に残したまま内型を外型から型抜きして射出成型法の利点を活かすことができる。
【0025】
とくに第二の発明の無端ベルトの製造方法においては、供給口から狭窄路を介して成型材料をベルト成型用空間に射出供給するとともに、ベルト成型用空間において成型する無端ベルトに円周方向フランジ部を形成し、可動盤により内型を外型から型抜きするとともに、外型の内周側に成型した無端ベルトのベルト成型体を残留させ、さらに、可動盤を外型から分離し、成型した無端ベルトのベルト成型体を外型から取り出すようにしたので、成型時間および冷却時間が短い射出成型法の利点を生かした製造が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例による無端ベルト(歯付き無端ベルト1)の製造装置10の型割り状態(型開放状態)の概略側断面図である。
図2】同、歯付き無端ベルト1の製造装置10の型締め状態の概略側断面図である。
図3】同、可動盤12により外型13、内型14および歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを固定盤11から分離した状態(第1の型開き状態)を示す概略側断面図である。
図4】同、可動盤12における押出しピン21により内型14の可動盤側軸部33を固定盤11方向に押し出し、内型14を外型13からほぼ半分の長さだけ型抜きした状態(第2の型開き状態)を示す概略側断面図である。
図5】同、ほぼ半分の長さが型開きされた内型14を手動で完全に外型13から引き抜いた状態(第3の型開き状態)を示す概略側断面図である。
図6】同、内型14を外型13から型抜きした状態で可動盤12(中間盤20)を外型13から分離した状態(第4の型開き状態)を示す概略側断面図である。
図7】同、成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを外型13から手動で取り出す操作を示す概略側断面図である。
図8】同、外型13から取り出された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの概略側断面図である。
図9】一般的な歯付き無端ベルト1の斜視図である。
図10】同、歯付き無端ベルト1の製造装置2(成型装置)の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、無端ベルトの成型にあたって射出成型法を採用し、ベルト成型空間に連通して狭窄路および円周方向フランジ部を形成して、外型から内型を型抜きする際に外型に無端ベルトのベルト成型体が残留可能とするようにしたので、成型時間を短縮して低コストでの無端ベルトの製造が可能となる無端ベルトの製造装置およびその製造方法を実現した。
【実施例】
【0028】
つぎに本発明の実施例による無端ベルトの製造装置10およびその製造方法を、無端ベルトとして歯付き無端ベルト1の場合を例にとって、図1ないし図8にもとづき説明する。ただし、図9および図10と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、無端ベルト(歯付き無端ベルト1)の製造装置10の型割り状態(型開放状態)の概略側断面図、図2は、歯付き無端ベルト1の製造装置10の型締め状態の概略側断面図であって、歯付き無端ベルトの製造装置10は、固定盤11および可動盤12と、固定盤11および可動盤12の間に同心状に配置した外型13および内型14と、を有する。
【0029】
固定盤11は、ベルト材料射出ユニット(図示せず)にこれを接続してあるもので、歯付き無端ベルト1の成型材料を供給(射出)する供給口15を形成している。この供給口15は、固定盤11に貫通形成した射出口16と、型締め状態において固定盤11と外型13および内型14との間で形成するランナー17と、からなっている。
固定盤11は、その中心軸部に固定盤係合凹部18を形成している。
【0030】
可動盤12は、型締め駆動ユニット(図示せず)にこれを接続してあるもので、固定盤11に対して外型13および内型14の軸方向(図1中、左右方向)に進退することにより、外型13および内型14を固定盤11に対して進退(型締めおよび型開放)可能としているもので、可動部19と、中間盤20と、押出しピン21と、を有する。
【0031】
とくに図4にもとづいて後述するように、この可動盤12(押出しピン21)により内型14を外型13から型抜き可能としている。
可動部19は、可動盤12全体、中間盤20および押出しピン21の進退動作を駆動する。
中間盤20は、外型13と可動部19との間に位置して、可動部19(可動盤12)に対して外型13を着脱するとともに、その中心軸部に可動盤12としての可動盤係合凹部22を形成している。
押出しピン21は、可動部19および中間盤20の中心孔部において外型13および内型14の軸方向に進退可能であって、油圧により内型14を外型13から固定盤11に向かって押し出し、型抜き可能とする(図4を参照、後述)。
【0032】
とくに図2に示すように、外型13および内型14の間には、その型締め状態で有底円筒状のベルト成型用空間23を形成可能であって、このベルト成型用空間23に供給口15(射出口16、ランナー17)を連通し、歯付き無端ベルト1の成型材料をベルト成型用空間23に射出供給可能とする。
【0033】
外型13は、固定盤11に対して歯付き無端ベルト1の側方開放部に相当する固定盤側開口部24を開口形成しているとともに、可動盤12に対向する可動盤側開口部25を開口形成している。
外型13は、固定盤11に対向する上記固定盤側開口部24に位置する固定盤側端部13Aに、内方フランジ状突出部26を形成することにより、型締め状態で内型14との間にわずかな長さ(後述するように、狭窄材料部28が引きちぎられる程度の長さ)の狭窄路27を形成可能としている。
狭窄路27の径方向厚さD1は、成型材料を射出成型後、内型14が外型13とともに固定盤11から分離する際に、狭窄路27の部分に残留する成型材料による薄肉状の狭窄材料部28がランナー17の部分に残留する成型材料(ランナー残留材料29)から引きちぎれて、ランナー残留材料29とは切り離されるだけの細さが必要である。実際には、狭窄路27の径方向厚さD1は、これをランナー17の幅とほぼ同等とすることができる。
また、狭窄路27が連通するランナー17およびベルト成型用空間23について、外型13におけるベルト成型用空間23に臨む内方フランジ状突出部26の内壁面からランナー17における最大円周縁までの径方向長さD2としては、上述のように成型材料を射出成型後、内型14が外型13とともに固定盤11から分離する際に、径方向長さD2だけのランナー17部分におけるランナー残留材料29が抵抗となって、狭窄路27における狭窄材料部28が引きちぎれるだけの長さが必要である。
【0034】
さらに外型13においては、可動盤12に対向する可動盤側端部13Bに、フランジ部形成用凹部30を円環状に形成し、このフランジ部形成用凹部30をベルト成型用空間23に連通可能としている。
すなわち、ベルト成型用空間23において成型する歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aについて、可動盤12側に位置するベルト端部に円周方向フランジ部31を形成可能なフランジ部形成用凹部30を、ベルト成型用空間23に連通するように外型13の可動盤側端部13Bに形成可能としている。
なお、このフランジ部形成用凹部30の径方向長さD3としては、成型材料を射出成型後、内型14が外型13から分離する際に、この径方向長さD3のフランジ部形成用凹部30部分に形成される円周方向フランジ部31が抵抗となり、成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aが外型13の内周側に残留するだけの長さが必要である。
【0035】
内型14には、その外周面に前記係合歯成型用溝9(図10)を形成しているとともに、歯付き無端ベルト1の前記補強用繊維4をその円周方向に巻回可能としている。
また、上述のように、固定盤11の供給口15に臨む外型13と内型14との間にベルト成型用空間23に連通する狭窄路27を形成可能としている。
さらに内型14は、固定盤11の固定盤係合凹部18に係脱する固定盤側軸部32と、可動盤12(中間盤20)の可動盤係合凹部22に係脱する可動盤側軸部33と、を有する。
【0036】
こうした構成の歯付き無端ベルト1の製造装置10により、歯付き無端ベルト1を製造(射出成型)する方法について、図1ないし図8にもとづき以下説明する。
図1および図2を参照して既述したように、歯付き無端ベルト1の製造装置10の型開放状態は、可動盤12により外型13を固定盤11から分離した状態である。
離型剤を塗布するとともに補強用繊維4を巻き付けた内型14を固定盤11および外型13の間に配置し、可動盤12を固定盤11方向(図1中、右方向)に可動して、内型14の固定盤側軸部32を固定盤11の固定盤係合凹部18に、内型14の可動盤側軸部33を可動盤12(中間盤20)の可動盤係合凹部22にそれぞれ係合し、図2のように型締めする。
【0037】
このような型締め状態で、供給口15の射出口16から成型材料(一般的には、熱可塑性エラストマー)を所定圧力で射出供給し、ランナー17および狭窄路27を介して、内型14および外型13の間のベルト成型用空間23に射出供給するとともに、この状態で保圧し、冷却する(図2)。
【0038】
図3は、可動盤12により外型13、内型14および歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを固定盤11から分離した状態(第1の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第1の型開き状態において、固定盤11の固定盤係合凹部18から内型14の固定盤側軸部32が離脱し、ランナー17の部分における成型材料(ランナー残留材料29)は固定盤11側に残留するとともに、外型13および内型14の間の狭窄路27における狭窄材料部28が引きちぎれて切り離されるとともに、ベルト成型用空間23内に必要かつ適正な形状にベルト成型体1Aが残留する。
【0039】
図4は、可動盤12における押出しピン21により内型14の可動盤側軸部33を固定盤11方向に押し出し、内型14を外型13からほぼ半分の長さだけ型抜きした状態(第2の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第2の型開き状態への型開き操作では、可動部19および中間盤20はその位置に止まっており、押出しピン21だけが固定盤11の方向に内型14を所定の押出し力で押し出す機械的かつ精密な軸方向動作であり、第2の型開き状態において、内型14の外周に位置するように成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aおよび補強用繊維4を外型13の内周側に残留させることができる。
さらに、この押出しピン21による内型14の押出し操作において、ベルト成型用空間23内における歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの可動盤12側のベルト端部には、外型13におけるフランジ部形成用凹部30により円周方向フランジ部31が一体形成されているので、この円周方向フランジ部31が抵抗となり、歯付き無端ベルト1のベルト成型体1A全体が内型14の固定盤11方向への型開き動作に引きずられて外型13内から外方に引き出されてしまうおそれはない。
また、押出しピン21による内型14の押出し量は、内型14のほぼ半分の長さが外型13から分離する程度でよく、内型14全体がその自重により落下してしまうことない範囲で、外型13から分離させるものとする。
【0040】
図5は、ほぼ半分の長さが型開きされた内型14を手動で完全に外型13から引き抜いた状態(第3の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第3の型開き状態への型開き操作は、内型14がそのほぼ半分の長さ分だけ外型13から引き抜かれているので、手動でこれを実行可能であり、第3の型開き状態において、内型14としては歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aおよび補強用繊維4を外型13側に転移させた状態でこれを取り除くことになる。
【0041】
図6は、内型14を外型13から型抜きした状態で可動盤12(中間盤20)を外型13から分離した状態(第4の型開き状態)を示す概略側断面図である。
この第4の型開き状態においては、外型13における可動盤12に対向する可動盤側端部13Bの可動盤側開口部25において歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの可動盤12側に向かう端部が開放状態で露出することになる。
【0042】
図7は、成型された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを外型13から手動で取り出す操作を示す概略側断面図である。
成型され冷却された状態の歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aは、そのベルト端部に円周方向フランジ部31が一体形成されていても、弾性変形が可能であり、かつ外型13と中間盤20との間には必要な空間を空けることができるので、手動により外型13から可動盤12方向に容易に取り出すことができる。すなわち、ベルト成型体1Aを無理に折り曲げたり歪めたりして取り出す必要がなく、ほぼ成型された形状のまま取り出すことができるので、破損や変形などのおそれはない。
【0043】
図8は、外型13から取り出された歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの概略側断面図である。
歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aの固定盤11側の固定盤側不要端部1B(引きちぎれた狭窄材料部28を含む)を固定盤側切断線34において切断除去するとともに、可動盤12側の可動盤側不要端部1Cを可動盤側切断線35において切断除去することにより、最終製品としての歯付き無端ベルト1を得ることができる。
【0044】
かくして、本発明によれば、固定盤11の供給口15に臨む外型13と内型14との間にベルト成型用空間23に連通する狭窄路27を形成し、可動盤12側において、外型13にフランジ部形成用凹部30を形成してこれをベルト成型用空間23に連通させ、供給口15から狭窄路27を介して成型材料をベルト成型用空間23に射出供給することができるもので、射出成型法により成型時間の短縮化、かつ加工処理の自動化および省力化を図ることができる。
【0045】
また、ベルト成型用空間23において成型する歯付き無端ベルト1の、可動盤12側に位置するベルト端部にフランジ部形成用凹部30に応じた円周方向フランジ部31を形成しているので、外型13に残留させる歯付き無端ベルト11のベルト成型体1Aと内型14とを確実に分離可能であって、可動盤12により内型14を外型13から型抜きするとともに、外型13の内周側に成型した歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを破損せずに残留させることができる。
【0046】
さらに、可動盤12を外型13から分離し、成型した歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aを外型13から取り出すことにより、短時間かつ低コストで歯付き無端ベルト1を製造することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 歯付き無端ベルト(図8図9
1A 歯付き無端ベルト1のベルト成型体(図2図8
1B 歯付き無端ベルト1の固定盤側不要端部(図8
1C 歯付き無端ベルト1の可動盤側不要端部(図8
2 歯付き無端ベルトの製造装置(図10
3 ベルト本体
4 補強用繊維
5 係合歯
6 外型
7 内型
8 ベルト成型用空間
9 係合歯成型用溝
10 歯付き無端ベルト1の製造装置(実施例、図1図7
11 固定盤
12 可動盤
13 外型
13A 外型13の固定盤側端部
13B 外型13の可動盤側端部
14 内型
15 供給口
16 射出口
17 ランナー
18 固定盤11における固定盤係合凹部
19 可動部
20 中間盤
21 押出しピン
22 可動盤12(中間盤20)における可動盤係合凹部
23 ベルト成型用空間
24 外型13の固定盤側開口部
25 外型13の可動盤側開口部
26 外型13の内方フランジ状突出部
27 狭窄路
28 狭窄路27における狭窄材料部
29 ランナー17におけるランナー残留材料
30 外型13に形成したフランジ部形成用凹部
31 歯付き無端ベルト1のベルト成型体1Aに形成する円周方向フランジ部
32 内型14の固定盤側軸部
33 内型14の可動盤側軸部
34 固定盤側切断線(図8
35 可動盤側切断線(図8
D1 狭窄路27の径方向厚さ(図2
D2 内方フランジ状突出部26の内壁面からランナー17における最大円周縁までの(ランナー17におけるランナー残留材料29の)径方向長さ(図2
D3 フランジ部形成用凹部30(円周方向フランジ部31)の径方向長さ(図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10