特許第6017905号(P6017905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017905
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/63 20060101AFI20161020BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20161020BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61K8/63
   A61K8/86
   A61K8/44
   A61K8/34
   A61K8/67
   A61Q11/00
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-209129(P2012-209129)
(22)【出願日】2012年9月24日
(65)【公開番号】特開2014-62074(P2014-62074A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】水本 健
【審査官】 中村 俊之
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−255629(JP,A)
【文献】 特開2006−206581(JP,A)
【文献】 特開平04−005221(JP,A)
【文献】 特開2011−168557(JP,A)
【文献】 特開2010−143889(JP,A)
【文献】 特公昭51−005413(JP,B1)
【文献】 特開2011−132169(JP,A)
【文献】 特開平11−335253(JP,A)
【文献】 特開2011−201861(JP,A)
【文献】 特開2001−302478(JP,A)
【文献】 特開2011−140454(JP,A)
【文献】 特開2011−153138(JP,A)
【文献】 特開2010−024227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)グリチルレチン酸又はその塩 酸換算量で0.014質量%以上0.1質量%以下、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.6質量%以上1.2質量%以下、
(C)N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩 0.28質量%以下、
(D)油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分 合計で0.15質量%以上0.5質量%以下、 及び
(E)水 80質量%以上98質量%以下
を含有し、成分(B)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)が18以上37以下であって、
成分(C)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)が1より大きく20以下である口腔用組成物。
【請求項2】
アニオン性界面活性剤を含有しないか、或いは含有量が0.01質量%以下である請求項1に記載の口腔用組成物。
【請求項3】
成分(C)の含有量と成分(B)の含有量の質量比(C/B)が、0.02以上0.5以下である請求項1又は2に記載の口腔用組成物。
【請求項4】
アラントイン又はその塩をアラントイン換算量で0.01質量%以上0.3質量%以下含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項5】
成分(A)の酸換算量での含有量、並びに成分(D)の含有量の合計と、成分(B)の含有量及び成分(C)の含有量の合計との質量比((A+D)/(B+C))が、0.1以上0.48以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【請求項6】
液体口腔用組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリチルレチン酸は、甘草から得られるグリチルリチン酸を加水分解することにより得られる物質であり、抗炎症作用、歯周病による歯槽骨吸収抑制作用及びヒスタミン遊離抑制作用等を有することから、種々の口腔用組成物に配合されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、グリチルレチン酸を、メントール等を含む特定の香料とともに配合した口腔用組成物が開示されており、メントール等によって安定性が損なわれがちなグリチルレチン酸を長期間安定に保持し得るものである。また、特許文献2には、ローズマリー等の生薬抽出物にグリチルレチン酸、塩化ナトリウム及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合した歯磨剤組成物が開示されており、生薬抽出物との併用により低下しがちなグリチルレチン酸の安定性を高めている。
【0004】
一方、特許文献3には、グリチルレチン酸等の非水溶性薬効成分、N−α−長鎖アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩、非イオン性界面活性剤及び水を含有するマイクロエマルションからなる口腔用組成物が開示されており、かかる組成物によって非水溶性薬効成分の歯ぐきへの吸着性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−155207号公報
【特許文献2】特開2011−126818号公報
【特許文献3】特開平11−335253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の口腔用組成物であると、香料は溶解し得てもグリチルレチン酸を十分に溶解又は分散させることができず、さらにグリチルレチン酸を口腔内粘膜へ良好に浸透させることも困難である。また、特許文献2の歯磨剤組成物は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油によってグリチルレチン酸が溶解されてなるため、グリチルレチン酸の口腔内粘膜への吸着が低下する場合があり、グリチルレチン酸による効果をさらに高めるにあたっては、依然として検討すべき余地が残されている。その一方、特許文献3の口腔用組成物では、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン性界面活性剤の含有量が不十分であるため、グリチルレチン酸を良好に溶解又は分散させることができず、グリチルレチン酸の安定性を高めるにはさらなる改善が必要である。このように、グリチルレチン酸の安定性を良好に保持しながら口腔内粘膜への吸着性をも高めることのできる口腔用組成物が求められている。
【0007】
したがって、本発明は、抗炎症作用等を付与するためにグリチルレチン酸を用いつつ、かかるグリチルレチン酸を良好に溶解又は分散させて安定性を高めながら、口腔内粘膜への浸透性や吸着性の向上をも図ることのできる口腔用組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで本発明者は、種々検討したところ、グリチルレチン酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩、油性香料又は油性薬効成分及び水を各々特定の量及び質量比で含有することにより、グリチルレチン酸を良好に溶解又は分散させて優れた安定性を保持しつつ、口腔内粘膜への浸透性や吸着性をも十分に高めることができる口腔用組成物が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)グリチルレチン酸又はその塩 酸換算量で0.014質量%以上0.1質量%以下、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5質量%以上1.2質量%以下、
(C)N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩 0.28質量%以下、
(D)油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分 合計で0.15質量%以上0.5質量%以下、及び
(E)水
を含有し、成分(B)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)が12以上37以下であって、
成分(C)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)が1より大きく20以下である口腔用組成物に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の口腔用組成物は、グリチルレチン酸が良好に溶解又は分散されてなるため、優れた安定性を保持しながら、口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を発揮することができ、グリチルレチン酸によりもたらされる抗炎症作用、歯周病による歯槽骨吸収抑制作用及びヒスタミン遊離抑制作用等を十分に享受することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の口腔用組成物は、グリチルレチン酸又はその塩(A)を酸換算量で0.014質量%以上0.1質量%以下含有する。かかる成分(A)を特定の量で含有することにより、後述する特定の量のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)及びN-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)との併用によって、成分(A)を口腔用組成物中で良好に溶解又は分散させて安定性を高め、口腔内粘膜への吸着性を高めることができるので、抗炎症作用、歯槽骨吸収抑制作用、ヒスタミン遊離抑制作用等の薬理作用を十分に発揮して、歯周炎や歯周病等の予防改善効果の向上を図ることができる。グリチルレチン酸は、甘草等から得られるグリチルリチン酸を加水分解することにより得られ、具体的には3β−ヒドロキシ−11−オキソオレアナ−12−エン−30−カルボン酸(β−グリチルレチン酸)が挙げられる。また、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、及びカルシウム塩等のアルカリ金属塩であるグリチルレチン酸塩を用いることもできる。
【0012】
グリチルレチン酸又はその塩(A)の含有量は、十分な薬理作用を得る観点から、本発明の口腔用組成物中に、酸換算量で0.014質量%以上であって、好ましくは0.015質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。グリチルレチン酸又はその塩(A)の含有量は、溶解性や分散性及び安定性を良好に保持する観点から、本発明の口腔用組成物中に、酸換算量で0.1質量%以下であって、好ましくは0.07質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以下である。また、グリチルレチン酸(A)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、酸換算量で0.014〜0.1質量%であって、好ましくは0.015〜0.07質量%であり、より好ましくは0.02〜0.05質量%である。なお、グリチルレチン酸塩の場合には、本発明における成分(A)の含有量としては、グリチルレチン酸に換算した量(酸換算量)を用いる。
【0013】
本発明の口腔用組成物は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)を0.5質量%以上1.2質量%以下含有する。かかる成分(B)を特定の量で含有することにより、成分(A)による沈殿物が生成したり、2層に分離した状態又は濁った状態が目視で確認されたりすることを防止し、成分(A)を良好に溶解又は分散させて優れた安定性を保持することができ、また透明性を高めることも可能である。本発明の口腔用組成物は、洗口剤、液状歯磨剤、水歯磨剤、マウススプレー、うがい薬等の液体口腔用組成物に適用可能であり、透明又は半透明であるのが好ましく、着色されていてもよい。ここで、口腔用組成物が透明又は半透明であるとは、沈殿物等が観察されず、光路長10mmのセルにおける吸収波長550nmの光の透過率が80%以上であることをいい、透過率が90%以上であることがさらに好ましい。
【0014】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量は、成分(A)を良好に溶解又は分散させる観点及び安定性を向上する観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.5質量%以上であって、好ましくは0.6質量%以上であり、より好ましくは0.7質量%以上である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量は、成分(A)の口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、1.2質量%以下であって、好ましくは1.1質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下である。また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.5〜1.2質量%であって、好ましくは0.6〜1.1質量%であり、より好ましくは0.7〜1質量%である。
【0015】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量とグリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)は、成分(A)を良好に溶解又は分散させつつ口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を発揮させる観点から、12以上であって、好ましくは15以上であり、より好ましくは18以上である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量とグリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)は、同様の観点から、37以下であって、好ましくは35以下である。また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量とグリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量の含有量との質量比(B/A)は、12〜37であって、好ましくは15〜35であり、より好ましくは18〜35である。
【0016】
本発明の口腔用組成物は、N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)を0.28質量%以下含有する。かかる成分(C)を特定の量で含有することにより、成分(A)が良好に溶解又は分散した状態を長期間に亘って安定に保持しながら、口腔内粘膜への浸透性や吸着性を飛躍的に高めることができる。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステルのアシル基としては、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、好ましくは炭素数8〜24のアシル基であり、より好ましくは炭素数12〜22のアシル基である。具体的には、例えば、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、及びこれらに混合物であるヤシ油脂肪酸残基、牛脂脂肪酸残基が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも水への溶解性と入手し易さの点から、ヤシ油脂肪酸残基が好ましい。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステルの塩基性アミノ酸としては、具体的には、例えば、オルニチン、リジン、アルギニン等の天然アミノ酸や、α−ジアミノ酪酸、γ−ジアミノ酪酸等の合成アミノ酸が挙げられ、安定性と風味、入手し易さの点から、アルギニンが好ましい。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステルの塩基性アミノ酸におけるアルキルエステルとしては、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10のアルキルエステルであり、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルエステルであり、具体的には、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル等が挙げられ、より好ましくはメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルから選ばれる1種又は2種以上であり、エチルエステルがさらに好ましい。
【0017】
N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステルの塩としては、無機酸塩であっても有機酸塩であってもよく、具体的には、例えば塩酸塩や硫酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、LまたはDL−ピロリドンカルボン酸塩、酸性アミノ酸塩、ピログルタミン酸塩等の有機酸塩が挙げられる。なかでも、成分(C)を長期的に安定化させる観点及び入手容易性等の観点から、塩酸塩、LまたはDL−ピロリドンカルボン酸塩、酸性アミノ酸塩から選ばれる1種以上が好ましく、DL−ピロリドンカルボン酸塩がより好ましい。
【0018】
かかるN-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)としては、N−α−ヤシ油脂肪酸アシル−L−アルギニンエチルエステルのDL−ピロリドンカルボン酸塩(CAE)が好ましい。
【0019】
N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量は、成分(A)を長期に亘って安定に保持しつつ、成分(A)の口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、0.28質量%以下であって、良好な風味の観点から、好ましくは0.25質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下である。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量は、成分(C)を良好に溶解又は分散させて長期に亘る安定性を確保し、成分(A)の口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.015質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。また、N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量は、本発明の口腔用組成物中に、0.015〜0.28質量%であり、好ましくは0.02〜0.28質量%であり、より好ましくは0.05〜0.28質量%であり、さらに好ましくは0.05〜0.2質量%である。
【0020】
N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量とグリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)は、成分(A)を長期的に安定させる観点及び成分(A)の口腔内粘膜への浸透性や吸着性向上の観点から、1より大きく、好ましくは1.2以上であり、より好ましくは1.5以上である。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量とグリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)は、安定性及び風味の観点から、20以下であって、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは9以下である。
【0021】
N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量との質量比(C/B)は、成分(A)の口腔内粘膜への浸透性や吸着性向上の観点から、好ましくは0.02以上であり、より好ましくは0.05以上である。N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量とポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量の質量比(C/B)は、成分(A)の口腔内粘膜への浸透性や吸着性の向上を図り、かつ安定性を向上する観点から、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.4以下であり、さらに好ましくは0.3以下である。
【0022】
本発明の口腔用組成物は、油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の含有量が、合計で0.15質量%以上0.5質量%以下である。かかる成分(D)を特定の量で含有することにより、成分(A)の溶解又は分散を促進させて優れた安定性を確保し、口腔内粘膜への浸透性や吸着性を高める効果を発揮しながら、良好な香味や薬効をもたらすことができる。油性香料とは、油溶性を示す香料であり、かかる油性香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、チモール等のほか、これらの香料成分を含むペパーミント油、スペアミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、ユーカリ油等の精油が挙げられ、これらの1種又は2種以上を組み合わせて用い、成分(A)以外の油性薬効成分とともに成分(D)として含有する。
【0023】
成分(A)以外の油性薬効成分とは、油溶性の薬効成分であって、アズレン、トコフェロール、ヒノキチオール、ジヒドロコレステロール、ジヒドロアビエチン酸又はその塩等の抗炎症剤;トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール等の殺菌剤が好ましく、これらの油性抗炎症剤又は油性殺菌剤から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。本発明に用いられるアズレンとしては、アズレン、グアイアズレン等が挙げられ、トコフェロールとしては、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールが挙げられる。油性薬効成分としては、成分(A)との相乗効果、扱いやすさの観点、及び組成物のpH安定性の観点から、トコフェロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0024】
油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の含有量は、良好な香味や薬効をもたらしつつ、成分(A)の溶解又は分散を促進させて優れた安定性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、合計で0.15質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.25質量%以上である。油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の含有量は、成分(A)の口腔内粘膜への優れた浸透性や吸着性を確保する観点、及び安定性の観点から、本発明の口腔用組成物中に、合計で0.5質量%以下であって、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.35質量%以下である。
【0025】
油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の合計含有量とN-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量との質量比(D/C)は、成分(A)の溶解又は分散を促進させて、長期に亘り優れた安定性を確保する観点から、好ましくは1以上であり、より好ましくは1.1以上である。油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の合計含有量とN-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量との質量比(D/C)は、良好な使用感を確保する観点から、好ましくは10以下であり、より好ましくは8以下である。
【0026】
グリチルレチン酸又はその塩(A)の酸換算量での含有量、並びに油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分(D)の含有量の合計と、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(B)の含有量及びN-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩(C)の含有量の合計との質量比((A+D)/(B+C))は、目視により組成物が2層に分離した状態又は濁った状態が確認されることを防止し、各成分を良好に溶解又は分散させる観点から、好ましくは0.1以上であり、より好ましくは0.2以上であり、さらに好ましくは0.25以上であり、好ましくは0.8以下であり、より好ましくは0.5以下であり、さらに好ましくは0.48以下である。
【0027】
本発明の口腔用組成物は、(E)水を含有する。これにより、成分(A)を良好に溶解又は分散させ、口腔内粘膜への浸透性や吸着性を高めて、成分(A)による薬理作用を十分に発揮させることができる。
【0028】
例えば、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、かかる水(E)の含有量は、本発明の液体口腔用組成物中に、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上である。本発明の液体口腔用組成物中の水(E)の含有量は、他の成分の残部であり、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%未満である。
【0029】
本発明の口腔用組成物が液状歯磨組成物又はゲル状歯磨組成物である場合、その水分量は、配合した水分量及び配合した成分中の水分量から計算によって算出することもできるが、例えばカールフィッシャー水分計で測定することができる。カールフィッシャー水分計としては、例えば、微量水分測定装置(平沼産業(株))を用いることができる。この装置では、歯磨組成物を5gとり、無水メタノール25gに懸濁させ、この懸濁液0.02gを分取して水分量を測定することができる。
【0030】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)の口腔内粘膜への浸透性や吸着性をより高める観点から、アニオン界面活性剤を含有しないのが好ましく、或いはアニオン界面活性剤の含有量が、本発明の口腔用組成物中に0.01質量%以下であるのが好ましい。かかるアニオン界面活性剤としては、通常口腔用組成物に用いられるアニオン界面活性剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩、N−アシルサルコシネート塩等のN−アシルアミノ酸塩等が挙げられる。
【0031】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)及び成分(D)以外の他の油性成分を含有することもできるが、成分(A)の溶解又は分散を促進させ、より優れた安定性を確保する観点から、他の油性成分の含有量は、本発明の口腔用組成物中に0.05質量%以下であることが好ましく、0.02質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましい。
【0032】
本発明の口腔用組成物は、成分(A)の溶解性又は分散性を高めてより良好な安定性を確保する観点、及び細胞の機能を活性化させ、抗炎症作用、止血作用、殺菌作用、抗潰瘍作用等の薬効をもたらす観点から、アラントイン又はその塩を含有することが好ましい。なお、アラントインは、25℃での水に対する溶解度が、かかる水溶液中に0.5質量%であり、溶解度は低いが水溶性の薬効成分である。アラントインは、化学名は5−ウレイドヒダントインであって、その塩としては、アラントインアセチル−DL−メチオニン、アラントイン ポリガラクツロン酸、アラントインアスコルビン酸、アラントイングリシル、アラントインジヒドロキシアルミニウム(アルジオキサ)、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム(アルクロキサ)等が挙げられる。なかでも、収斂効果等の観点から、アラントインの金属塩が好ましく、アラントインクロルヒドロキシアルミニウムがより好ましい。
【0033】
アラントイン又はその塩の含有量は、優れた薬効をもたらしつつ成分(A)の溶解性又は分散性を高めて安定性を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、アラントイン換算量で好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.03質量%以上である。アラントイン又はその塩の含有量は、良好な安定性を保持しつつ良好な風味を確保する観点から、本発明の口腔用組成物中に、アラントイン換算量で好ましくは0.3質量%以下であり、より好ましくは0.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.15質量%以下である。
【0034】
本発明の口腔用組成物は、口腔用として適用可能なpH域でpHの変動を抑制しつつアラントインによる沈殿物の生成を抑制する観点、及び良好な風味をもたらす観点から、乳酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上を含有するのが好ましい。乳酸アルカリ金属としては、例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カリウムが挙げられ、味の点から、乳酸ナトリウムが好ましい。なお、例えば、アルカリ金属イオンを含む化合物と乳酸とを配合して、乳酸の一部とアルカリ金属との間で塩を形成させることにより、乳酸と乳酸のアルカリ金属塩とを含有させてもよい。
【0035】
乳酸及びそのアルカリ金属塩の合計含有量は、後述する特定のpH域への調整を可能としつつ、長期に亘りpHを安定に保持してアラントインによる沈殿物の生成を抑制する観点から、本発明の口腔用組成物中に、乳酸換算量で好ましくは0.08質量%以上であり、より好ましくは0.085質量%以上であり、また好ましくは0.12質量%以下であり、より好ましくは0.115質量%以下であり、さらに好ましくは0.11質量%以下である。乳酸及びそのアルカリ金属塩の合計含有量は、本発明の口腔用組成物中に、乳酸換算量で0.08〜0.12質量%であり、好ましくは0.085〜0.115質量%であり、より好ましくは0.085〜0.11質量%である。また、乳酸及びそのアルカリ金属塩の本発明の口腔用組成物への合計配合量は、pHの安定性、アラントインによる沈殿物の生成の抑制及び風味の点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.095質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは0.135質量%以下であり、より好ましくは0.13質量%以下である。乳酸及びそのアルカリ金属塩の本発明の口腔用組成物への合計配合量は、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは0.095〜0.135質量%であり、より好ましくは0.1〜0.13質量%である。
【0036】
なお、乳酸の配合量と乳酸アルカリ金属塩の配合量との質量比(乳酸アルカリ金属塩/乳酸)は、pHの安定性と良好な風味との両立を図る点から、好ましくは2.2〜5であり、より好ましくは2.4〜4である。また、乳酸の配合量と乳酸アルカリ金属塩の配合量とのモル比(乳酸アルカリ金属塩/乳酸)は、pHの安定性と風味を良好にする点から、好ましくは1.8〜4.5であり、より好ましくは1.9〜4であり、さらに好ましくは2〜3.5である。なお、本発明のモル比は、組成物1kg中の各成分の物質量(モル)による質量モル濃度(モル/kg)に基づき計算するものとする。
【0037】
本発明の口腔用組成物は、口腔用として適用可能である観点、及びアラントインを安定に保持する観点から、好ましくはpHが4.5〜6であり、より好ましくはpHが4.7〜5.8であり、さらに好ましくはpHが4.7〜5.5である。このようなpH域であれば、例えば、5℃で保存した際におけるアラントインの含有量を基準とした場合、50℃で1ヶ月間保存した後におけるアラントインの残存率が95%以上に高めることも可能である。
【0038】
本発明の口腔用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記成分以外に、糖アルコール、多価アルコール、甘味剤、エタノール等の低級アルコール、前記成分以外の湿潤剤、保存料、フッ化物、酵素、色素等を含有させることができる。本発明の口腔用組成物にエタノールを含有する場合の含有量は、苦味や刺激の抑制、組成物の安定性、又は薬効成分の効果を阻害しない観点から、本発明の口腔用組成物中に、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%以下であり、さらに好ましくは6質量%以下であり、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上である。
【0039】
本発明の口腔用組成物の形態としては、口中に適用できるものであれば特に制限されず、洗口剤、液状歯磨剤、ゲル状歯磨剤、マウススプレー、うがい薬等の液体口腔用組成物として用いることが好ましい。なかでも、長期に亘り成分(A)の安定性を良好に保持する観点、及び本発明の口腔用組成物を口腔内で十分に行き渡らせて成分(A)の口腔内粘膜への浸透性や吸着性を促進する観点から、洗口剤及び液状歯磨剤から選ばれる液体口腔用組成物が好ましい。
【0040】
本発明の口腔用組成物の製造方法は、上記成分を任意の順番で混合することにより得ることもできるが、成分(A)、(D)、(B)、エタノール及び他の油成分を室温(10〜30℃)にて混合して油相を得る工程と、精製水、成分(C)及び他の水溶性成分を室温(10〜30℃)又は加熱下にて混合して水相を得る工程と、得られた油相と水相とを混合する工程とを備えることが好ましい。前記の水相を得る工程は、アラントイン又はその塩を配合する場合には、加熱混合することが好ましく、30〜65℃で混合することが好ましく、40〜65℃で混合することがより好ましい。
【0041】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の口腔用組成物を開示する。
[1]次の成分(A)、(B)、(C)、及び(D):
(A)グリチルレチン酸又はその塩 酸換算量で0.014質量%以上0.1質量%以下、
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 0.5質量%以上1.2質量%以下、
(C)N-アシル塩基性アミノ酸アルキルエステル又はその塩 0.28質量%以下、
(D)油性香料及び成分(A)以外の油性薬効成分から選ばれる油性成分 合計で0.15質量%以上0.5質量%以下、 及び
(E)水
を含有し、成分(B)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)が12以上35以下であって、
成分(C)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)が1より大きく20以下である口腔用組成物。
【0042】
[2]成分(A)の含有量が、酸換算量で0.015質量%以上であって、好ましくは0.02質量%以上であり、0.07質量%以下であって、好ましくは0.05質量%以下であり、0.014〜0.1質量%であり、好ましくは0.015〜0.07質量%であり、より好ましくは0.02〜0.05質量%である上記[1]の口腔用組成物。
[3]成分(B)の含有量が、0.6質量%以上であって、好ましくは0.7質量%以上であり、1.1質量%以下であって、好ましくは1質量%以下である上記[1]又は[2]の口腔用組成物。
[4]成分(B)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)が、15以上であって、好ましくは18以上であり、35以下である上記[1]〜[3]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0043】
[5]成分(C)のアシル基が、炭素数8〜24のアシル基であって、好ましくは炭素数12〜22のアシル基であり、より好ましくはラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ヤシ油脂肪酸残基及び牛脂脂肪酸残基から選ばれる1種又は2種以上であり、さらに好ましくはヤシ油脂肪酸残基であり、成分(C)の塩基性アミノ酸が、オルニチン、リジン、アルギニン、α−ジアミノ酪酸及びγ−ジアミノ酪酸から選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはアルギニンである上記[1]〜[4]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[6]成分(C)の塩基性アミノ酸におけるアルキルエステルが、アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルエステルであって、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜3のアルキルエステルであり、より好ましくはエチルエステルである上記[1]〜[5]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[7]成分(C)の含有量が、0.25質量%以下であって、より好ましくは0.2質量%以下であり、0.015質量%以上であり、好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である上記[1]〜[6]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0044】
[8]成分(C)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(C/A)が、1.2以上であって、好ましくは1.5以上であり、20以下であって、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下であり、さらに好ましくは9以下である上記[1]〜[7]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[9]成分(C)の含有量と成分(B)の含有量の質量比(C/B)は、0.02以上であって、好ましくは0.05以上であり、0.5以下であって、好ましくは0.4以下であり、より好ましくは0.3以下である上記[1]〜[8]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0045】
[10]成分(D)の油性香料が、l−メントール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、オシメン、n−アミルアルコール、シトロネロール、α−テルピネオール、サリチル酸メチル、メチルアセテート、シトロネオールアセテート、シネオール、リナロール、エチルリナロール、ワニリン、及びチモールから選ばれる1種又は2種以上の香料成分、及び/又はこれらの香料成分を含有するペパーミント油、スペアミント油、レモン油、オレンジ油、セージ油、ローズマリー油、桂皮油、ピメント油、シソ油、丁子油、及びユーカリ油から選ばれる1種又は2種以上の精油である上記[1]〜[9]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[11]成分(D)の油性薬効成分が、油溶性殺菌剤及び油溶性抗炎症剤から選ばれる1種又は2種以上であり、好ましくはアズレン、トコフェロール、ヒノキチオール、ジヒドロコレステロール、ジヒドロアビエチン酸又はその塩、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上であり、より好ましくはトコフェロール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールから選ばれる1種又は2種以上である上記[1]〜[10]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0046】
[12]成分(D)の含有量が、合計で0.15質量%以上であって、好ましくは0.2質量%以上であり、より好ましくは0.25質量%以上であり、合計で0.5質量%以下であって、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.35質量%以下である上記[1]〜[11]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[13]成分(D)の合計含有量と成分(C)の含有量の質量比(D/C)が、1以上であって、好ましくは1.1以上であり、10以下であって、好ましくは8以下である上記[1]〜[12]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[14]成分(A)の酸換算量での含有量並びに成分(D)の含有量の合計と、成分(B)の含有量及び成分(C)の含有量の合計との質量比((A+D)/(B+C))は、0.1以上であって、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上であり、0.8以下であって、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.48以下である上記[1]〜[13]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[15]成分(E)の含有量が、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、50質量%以上であって、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、98質量%以下であって、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下である上記[1]〜[14]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0047】
[16]さらにアニオン界面活性剤を含有しないか、或いはアニオン界面活性剤の含有量が0.01質量%以下である上記[1]〜[15]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[17]さらにアラントイン又はその塩を含有し、好ましくはアラントイン又はその塩の含有量が、アラントイン換算量で0.01質量%以上であって、好ましくは0.02質量%以上であり、より好ましくは0.03質量%以上であり、0.3質量%以下であって、好ましくは0.2質量%以下であり、より好ましくは0.15質量%以下である上記[1]〜[16]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[18]さらに乳酸及びそのアルカリ金属塩から選ばれる1種以上を含有し、乳酸及びそのアルカリ金属塩の合計含有量が、乳酸換算量で0.08質量%以上であって、好ましくは0.085質量%以上であり、0.12質量%以下であって、好ましくは0.115質量%以下であり、より好ましくは0.11質量%以下である上記[1]〜[17]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【0048】
[19]pHが、4.5〜6であって、好ましくはpHが4.7〜5.8であり、より好ましくはpHが4.7〜5.5である上記[1]〜[18]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[20]液体口腔用組成物であって、好ましくは洗口剤、液状歯磨剤及びマウススプレーから選ばれる上記[1]〜[19]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[21]エタノールを含有し、エタノールの含有量が10質量%以下であり、好ましくは8質量%以下であり、より好ましくは6質量%以下であり、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上である上記[1]〜[20]のいずれか1記載の口腔用組成物。
[22]成分(A)及び成分(D)以外の他の油性成分の含有量が、0.05質量%以下であって、好ましくは0.02質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下である上記[1]〜[21]のいずれか1記載の口腔用組成物。
【実施例】
【0049】
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明する。なお、表中に特に示さない限り、各成分の含有量は質量%を示す。
【0050】
[実施例1〜14、比較例1〜6]
表1〜3に示す処方にしたがい各液体口腔用組成物を製造した。具体的には、β−グリチルレチン酸、酢酸dl−α−トコフェロール、香料、トリクロサン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びエタノールを25℃で混合し油相とし、別途、精製水にCAE、及びエタノール以外の水溶性成分を混合し、60℃で混合し水相とし、得られた油相と水相とを混合して各液体口腔用組成物を得た。なお、各液体口腔用組成物は、乳酸及び乳酸ナトリウムによりpHを5.1〜5.3になるように調整した。
得られた液体口腔用組成物を用い、下記内容にしたがって各評価を行った。結果を表1に示す。
【0051】
《β−グリチルレチン酸の吸着量》
調製直後の液体口腔用組成物6mlにケラチンパウダー(平均粒径8μm、蛋白含量95重量%)0.1gを加え、ボルテックスミキサー(SHIBATA TEST TUBE MIXER TTM―1、柴田科学株式会社製)にて5分間振盪した後、室温(25℃)で1時間静置した。その後、遠心分離(2000rpm、10分間)行い、上澄み液を回収し、残りのケラチンパウダーにさらに精製水6mlを加え、ボルテックスミキサーにて5分間振盪後、遠心分離(2000rpm、10分間)行い、上澄み液を回収した。上澄みを回収した後のケラチンパウダーとメタノールを混合して数分間攪拌し、次にケラチンパウダーとメタノールの混合体を濾過し、ケラチンパウダーを除いた濾液中のβ−グリチルレチン酸の量を下記の条件によりHPLC(高速液体クロマトグラフィー)にて測定した。測定したβ−グリチルレチン酸の量を、ケラチンパウダー1gに含まれるβ-グリチルレチン酸の量に換算し、表1〜3に示す。なお、上記のようにケラチンパウダーに液体口腔用組成物を適用した後に、精製水による洗浄工程を設けたのは、実際に口腔内に口腔用組成物を適用した後の状態に類似させるためであり、また、ケラチンパウダーに含まれるβ−グリチルレチン酸の量を、口腔内粘膜への吸着量の指標とした。なお、グリチルレチン酸の標準液は、β−グリチルレチン酸0.1gを移動相(0.1w/v%リン酸含有メタノール(メタノール:水=8:2))を加えて100mlとし、さらに移動相により容量比で200倍に希釈したものを用いた。β-グリチルレチン酸の含有量は、HPLCにより測定されたβ−グリチルレチン酸の吸光度のピーク面積(A)、標準溶液のピーク面積(B)との比(A/B)と標準溶液のβ-グリチルレチン酸の濃度(C)との積により((C)×(A)/(B))を求めた。
【0052】
(HPLCの測定条件)
装置:日立高速液体クロマトグラム La chrom Elite
カラム:LiChroCART 125−4.0 LiChrospher100 RP−18(e)(5μm)(関東化学)
カラム温度:40℃
移動相:0.1w/v%リン酸含有メタノール(メタノール:水=8:2)
流量:1.0ml/min
サンプル注入量:20μL
測定波長:250nm
【0053】
《β−グリチルレチン酸の安定性》
得られた液体口腔用組成物を室温(25℃)で1ヶ月保存し、沈殿が生じているか否かを肉眼観察し、下記基準にしたがって評価した。
また、得られた液体口腔用組成物を50℃で1ヶ月保存し、同様にして沈殿が生じているか否かを肉眼観察して評価した。
A:沈殿物を生じることがなく、透明であった。
B:沈殿物を生じなかったものの半透明であった(但し、振ると透明になる)。
C:沈殿物が生じていた。
D:2層に分離していた。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
表1〜3に示すように、成分(B)の含有量が少ない比較例1や比較例5であると、グリチルレチン酸の安定性が低下し、成分(C)を全く含有しない比較例2であると、グリチルレチン酸を十分な量で吸着させることができないことがわかる。また、比較例3のように成分(C)の含有量が多いと、グリチルレチン酸の安定性が顕著に低下してしまう一方、比較例4のように成分(B)の含有量がグリチルレチン酸に対して多い場合、即ち、成分(B)の含有量と成分(A)の酸換算量での含有量との質量比(B/A)が12以上37以下の範囲外であると、グリチルレチン酸の吸着量が低下してしまうこととなる。さらに、成分(D)を全く含有しない比較例6では、グリチルレチン酸の安定性が非常に悪く、2層に分離してしまったためにグリチルレチン酸の吸着量を測定するに至らなかった。
これらに対し、実施例1〜14では、グリチルレチン酸を十分に吸着させることができるとともに、高い安定性を有していることがわかる。