(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の制御手段は、さらに、前記インジケータの点滅開始から所定期間経過するまでの期間中における前記赤外線センサの検知出力を無効にするための制御を実行する請求項1記載の電子機器。
前記第2の制御手段は、前記赤外線センサを使用して人体を検知する機能が有効な間、前記インジケータを前記第1の点滅パターンで点滅させる請求項1記載の電子機器。
前記第2の制御手段は、前記赤外線センサを使用して人体を検知する機能が無効な場合、前記第1の点滅パターンより、点滅周期に対する点灯時間の割合が大きい第2の点滅パターンで前記インジケータを点滅させる請求項6記載の電子機器。
筐体と、前記筐体の表面にあるディスプレイと、前記ディスプレイの一辺に対向する前記筐体の表面内の第1領域にあり、人体を検知するための赤外線センサと、前記第1領域にあり、光を発するインジケータとを備える電子機器の動作制御方法であって、
前記赤外線センサの検知出力に応じて前記ディスプレイの電源オンおよび電源オフを制御し、
通知すべきイベントが発生した場合、点滅周期に対する点灯時間の割合が前記点滅周期に対する消灯時間の割合よりも短い第1の点滅パターンで前記インジケータを点滅させる、動作制御方法。
筐体と、前記筐体の表面にあるディスプレイと、前記ディスプレイの一辺に対向する前記筐体の表面内の第1領域にあり、人体を検知するための赤外線センサと、前記第1領域にあり、光を発するインジケータとを備えるコンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記赤外線センサの検知出力に応じて前記ディスプレイの電源オンおよび電源オフを制御する手順と、
通知すべきイベントが発生した場合、点滅周期に対する点灯時間の割合が前記点滅周期に対する消灯時間の割合よりも短い第1の点滅パターンで前記インジケータを点滅させる手順とを前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係る電子機器10の外観を示す斜視図である。この電子機器10は、各種情報をユーザに提示可能な小型の電子機器であり、例えば、フォトパネルまたはフォトフレーム等と称される画像表示装置として実現されている。この場合、電子機器10は、机上等に置かれた状態で使用される。
【0010】
電子機器10は、写真のような静止画像、動画像等のような様々なデジタルコンテンツに対応する画像をディスプレイ上に表示することができる。また、電子機器10は、写真のようなデジタルコンテンツをスライドショー形式で順次再生することもできる。また、電子機器10は、移動無線通信のような無線通信機能を有しており、電子メール、他の各種メッセージ等を受信することもできる。
【0011】
電子機器10は、
図1に示すように、本体11を備える。本体11は、薄い箱形の筐体を有している。この本体11の筐体内には、各種電子部品が配置された主基板60と、バッテリ等が設けられている。
【0012】
主基板60はプリント回路基板(PCB)である。筐体の一表面上、例えば筐体の上面には、ディスプレイ17が配置されている。このディスプレイ17は筐体の上面のほぼ中央位置に配置されている。ディスプレイ17は液晶表示装置(LCD)のようなフラットパネルディスプレイによって実現し得る。なお、ディスプレイ17はその画面上のタッチ位置を検出可能なタッチスクリーンとして実現されていても良い。
【0013】
さらに、電子機器10は、人体の検知結果に応じて電子機器10の動作を自動制御できるようにするために、人体を検知するための赤外線センサ21を備えている。この赤外線センサ21は、筐体の上面に、具体的には、ディスプレイ17の一辺に対向する筐体上面上の第1領域に配置されている。
図1においては、ディスプレイ17の上辺上の領域に赤外線センサ21が配置されている場合が示されている。赤外線センサ21としては、焦電型赤外線センサを使用し得る。
【0014】
この筐体の材料として使用される通常のプラスチック素材は赤外線の透過率が十分ではない。このため、筐体上面には、透過性の高い白い半透明プラスチック素材でできた人感センサ窓が配置されており、この人感センサ窓の下に位置するように赤外線センサ(焦電型赤外線センサ)21が配置される。
【0015】
この焦電型赤外線センサ21の検出出力は、ディスプレイ17を自動的に電源オンまたは電源オフするため等に使用し得る。これにより、電子機器10の前方に人がいない場合には、ディスプレイ17を自動的に電源オフできるので、無駄な電力消費を削減することができる。電子機器10の前方に人がくると、ディスプレイ17が自動的に電源オンされ、そしてスライドショー等のコンテンツ再生動作が自動的に再開される。
【0016】
さらに、筐体の上面には、光を発するインジケータ31が配置されている。インジケータ31は1以上のLEDによって実現することができる。このインジケータ31も、上述の第1領域に焦電型赤外線センサ21と共に配置されている。
【0017】
このインジケータ31は、様々な情報(イベントの発生)をユーザに通知するために使用される発光部である。例えば、インジケータ31は、(1)フォトメールの着信、(2)バッテリ充電中、(3)緊急速報エリアメールの着信、等のイベントをユーザに通知する。フォトメールは写真付きの電子メールである。受信された電子メール内の写真は上述のデジタルコンテンツとして使用され得、電子機器10によって再生することができる。インジケータ31は、例えば、フォトメールの着信時には緑色で点滅し、緊急速報エリアメールの着信時にはオレンジ色で点滅する。
【0018】
上述したように、人感センサ窓は筐体上面のプラスチック素材とは異なる素材を用いて構成されている。このため、ユーザは人感センサ窓の位置、つまり人感センサとして用いられる焦電型赤外線センサ21の位置を視認することができる。また、インジケータ(LED)31もユーザに各種情報をわかりやすく提示できるようにするために、ユーザが視認しやすい位置に配置することが要求される。
【0019】
本実施形態においては、ユーザから見えるこれら2つのオブジェクトつまり焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31の双方をユーザが視認しやすい位置に配置したいというデザイン上の要求を満たすために、
図1に示すように、これら2つのオブジェクトは、ディスプレイ17の上側に位置する上述の第1領域(筐体上面の上部領域)に配置されている。より詳しくは、焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31は、筐体上面の上部領域内の中央位置に縦方向に並んで配置されている。すなわち、筐体上面においては、ディスプレイ17の上辺の中心位置の上方に赤外線センサ21が配置され、さらに、インジケータ(LED)31が焦電型赤外線センサ21の上方に配置されている。このように、焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を筐体上面の上部領域の中央位置に並べて配置することにより、ユーザは、電子機器10が人感センサ機能を搭載した機器であることを容易に認識することができ、さらに、インジケータ(LED)31によって新着メールの着信等のイベントが発生したこと等を容易に認識することができる。
【0020】
筐体上面の上部はディスプレイ17周辺の筐体部分(いわゆる額縁部)の一辺に相当する。一般に、ディスプレイを備える小型電子機器においては、そのデザイン上の観点から、額縁部の幅を過度に広くすることは歓迎されておらず、額縁部の幅は狭い方が好まれている。本実施形態では、焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31の双方が筐体上面の額縁部内の同一の領域(上部領域)に配置されているので、インジケータ(LED)31は焦電型赤外線センサ21のごく近傍に位置する。このように、焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31は互いに近接した状態で筐体上面に配置する構成は、デザイン上の要請のみならず、部品点数の低減にも貢献することができる。すなわち、本実施形態では、これら焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31の双方は同一の副基板(ドータボード)50上に実装される。副基板50上においては、インジケータ(LED)31と焦電型赤外線センサ21との間隔は、例えば、約2mmに設定されている。
【0021】
この副基板(ドータボード)50は上述の主基板60に電気的に結合されている。この副基板(ドータボード)50は主基板60よりも小さいサイズのプリント回路基板(PCB)によって実現されている。副基板50は、筐体上面の上述の上部領域に対向した状態で筐体内に設けられるプリント回路基板(PCB)である。
【0022】
主基板60(システムボード)は、例えば、ディスプレイ17のディスプレイパネルの背面に対向した状態で筐体内に配置されている。このため、主基板60は筐体の底面に近い位置にあり、筐体上面からは比較的離れている。このため、もし主基板60上に焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を実装すると、焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を筐体上面に位置させることが難しくなる。本実施形態では、上述したように、主基板60とは異なる副基板50が用意され、この副基板(ドータボード)50上に焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31が配置される。したがって、焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を筐体上面に容易に位置させることができる。また、このように同一の副基板(ドータボード)50上に焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を配置することにより、部品コストの低減を図ることができる。
【0023】
焦電型赤外線センサ21およびインジケータ(LED)31を筐体上面の上部および下部にそれぞれ配置することも可能であるが、もしこのようにすると、2つの副基板、つまり焦電型赤外線センサ21用の副基板とインジケータ(LED)31用の副基板とが必要となり、これによって部品コストの増加が引き起こされる。
【0024】
図2は、副基板50の構成を示す。
副基板50には、焦電型赤外線センサ21、インジケータ(LED)31、ドライバIC22、コネクタ23等が実装されている。焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31との間の距離Lは、上述したように、約2mmである。焦電型赤外線センサ21の受光素子面には集光用のレンズが配置されている。
【0025】
焦電型赤外線センサ21を用いるタイプの人感センサでは、焦電型赤外線センサ21に入射される赤外線の変化量(微分)に応じて焦電型赤外線センサ21のアナログの出力信号が変化し、この値が閾値を超えた際に周囲に人がいることが検出される。ドライバIC22は赤外線センサ21を駆動するためのICであり、焦電型赤外線センサ(IC)21からのアナログ出力信号の変化が閾値を超えた際に、人が存在することを示す検出信号(デジタル信号)、例えば論理“1”の信号を出力する。コネクタ23はフレキシブルプリント回路(FPC)のような導電部材を介して主基板60に電気的に結合されている。
【0026】
図3は、電子機器10のシステム構成を示す。この電子機器10は、上述のディスプレイ17および副基板50に加え、プロセッサ101、主メモリ102、移動通信(3G)モジュール103、電源コントローラ104、カードコントローラ105、不揮発性メモリ106、およびバッテリ107等を備える。プロセッサ101、主メモリ102、移動通信(3G)モジュール103、電源コントローラ104、カードコントローラ105、および不揮発性メモリ106は上述の主基板60上に配置されている。
【0027】
プロセッサ101は電子機器10内の各部を制御する。このプロセッサ101は、不揮発性メモリ106から主メモリ102にロードされる各種ソフトウェアを実行する。このソフトウェアには、オペレーティングシステム(OS)201、制御プログラム202、及び他の各種アプリケーションプログラムが含まれている。制御プログラム202は、オペレーティングシステム(OS)201上で実行されるプログラムであり、メール着信のようなイベントの発生をインジケータ(LED)31を使用してユーザに知らせる処理、および焦電型赤外線センサ201の検出結果に応じて、ディスプレイ17の自動電源オン/オフのような電子機器10の動作を制御する処理等を実行する。アプリケーションプログラムには、写真のような画像それぞれをスライドショー形式で順次再生するプレーヤアプリケーションプログラムが含まれている。
【0028】
移動通信(3G)モジュール103は移動通信網内の基地局との無線通信を実行する。電源コントローラ104は、バッテリ107からの電力または外部電源端子(DC−IN)を介して入力される外部電源からの電力を用いて各部に供給すべき動作電力を生成する。カードコントローラ105は、電子機器10の本体11に設けられたカードスロットに挿入されるメモリカードをアクセスする。ディスプレイ17は上述のタッチスクリーンとして機能するタッチスクリーンディスプレイであってもよい。この場合、ディスプレイ17は、LCD17AとこのLCD17A上に配置されるタッチパネル17Bとを備える。
【0029】
副基板50は上述のFPCを介してプロセッサ101の幾つかの汎用IOポート(GPIO)に接続される。プロセッサ101はある1以上のGPIOを介してLED制御信号をインジケータ(LED)31に供給することができ、また別の1以上のGPIOを介してドライバIC22から人感センサの検出信号を受信することができる。OS201上の各プログラムは、この人感センサの検出信号を利用することができる。
【0030】
上述のように、焦電型赤外線センサ21は受光赤外線の変化量(微分)に応じたアナログ出力信号を出力するICであり、この赤外線センサ31の近傍、例えば赤外線センサ31から間隔2mmの箇所に、インジケータ(LED)31が配置されている。したがって、インジケータ(LED)31の点滅開始時および点滅中に、LEDの温度およびLED駆動回路内の電流制限抵抗の温度が変化し、それに伴ってインジケータ(LED)31およびLED駆動回路内の電流制限抵抗から赤外線センサ21への赤外線輻射が変動する場合がある。この場合、このインジケータ(LED)31およびLED駆動回路内の電流制限抵抗からの赤外線輻射の変動に赤外線センサ21が誤反応してしまい、人体の検知結果に応じた制御を正しく実行することができない可能性がある。
【0031】
人体の検知結果に応じた制御を正しく実行できるようにするために、換言すれば、赤外線センサ21の誤反応、つまり人感センサの誤反応を抑制できるようにするために、本実施形態では、
図4に示すようなLED点滅パターンを使用してインジケータ(LED)31が点滅制御される。すなわち、インジケータ(LED)31は、点滅開始時または点滅中のLEDの温度変動幅が赤外線センサ21に影響しない範囲に抑えられるように、点滅周期に対する点灯時間の割合が当該点滅周期に対する消灯時間の割合よりも短い点滅パターンで点滅するように制御される。この場合、点滅周期に対する点灯時間の割合を示すデューティ比は例えば50%よりも低い値に設定される。
【0032】
図4では、点滅周波数が1Hz(点滅周期=1秒)、点滅周期に対する点灯時間の割合を示すデューティ比が5%である場合が例示されている。この場合、点灯時間は50ms、消灯時間が950msに設定される。このように、デューティ比を50%よりも小さい値に設定してインジケータ(LED)31を点滅させることにより、各点滅周期において、LED点灯時のLEDおよび電流制限抵抗の各々の温度上昇幅を小さくすることができる。よって、インジケータ(LED)31から赤外線センサ21への赤外線輻射の変動幅を小さく抑えることができるので、インジケータ(LED)31を50%よりも低いデューティ比でインジケータ(LED)31を点滅させるという上述の制御は、人体の検知結果に応じた制御を正しく実行できるようにする上で有効である。
【0033】
図4では、点灯時間が50msで消灯時間が950msである点滅パターンを例示したが、インジケータ(LED)31を比較的ゆっくりした速度で点滅させるために、点滅周期を1秒よりも大きくしてもよい。例えば、点灯時間が50msで消灯時間が1000msの点滅パターン、あるいは点灯時間が50msで消灯時間が2000msの点滅パターン等を使用し得る。この場合、デューティ比は5%未満となる。
【0034】
人感センサの誤反応は、LEDの点滅開始時に発生しやすい。これは、LEDの点滅が始ってから一定期間の間は、LEDおよび電流制限抵抗の各々の温度上昇幅が大きいためである。なお、LEDの点滅が始ってから一定期間経過した後は、LEDおよび電流制限抵抗の各々の温度はある程度平衡し(つまり、ある温度近傍に収束する)、温度上昇幅は小さくなる。
【0035】
したがって、デューティ比5%の点滅パターンでインジケータ(LED)31を点滅させるだけでなく、
図5に示すように、インジケータ(LED)31点滅開始時に赤外線センサ(人感センサ)の検知出力を無効にするための不応時間(マスク期間)を設定し、インジケータ(LED)31の点滅開始から所定期間経過するまでの期間中(マスク期間)における焦電型赤外線センサ21の検知出力を無効にするための制御を実行してもよい。
【0036】
インジケータ(LED)31の温度上昇幅が大きい期間は、最初の3〜5の点滅周期に対応する期間である。したがって、実用可能な点滅周波数の幅(0.5〜10数Hz)を考慮すると、マスク期間は、100ミリ秒から10秒の範囲であることが好ましい。
【0037】
このように、インジケータ(LED)31の点滅開始から所定期間経過するまでの期間中における焦電型赤外線センサ21の検知出力を無効にするための制御を実行することにより、より確実に赤外線センサ21の誤反応、つまり人感センサの誤反応を抑えることができる。
【0038】
図6は、制御プログラム202の機能構の例を示す。
制御プログラム202は、その機能実行モジュールとして、イベント検出部301、LED点滅制御部302、動作制御部303を備える。
【0039】
イベント検出部301は、ユーザに通知すべきイベントの発生を検出する。例えば、イベント検出部301は、フォトメールの着信、緊急速報エリアメールの着信等をユーザに通知すべきイベントとして検出する。LED点滅制御部302は、イベント検出部301によるイベントの発生の検出に応答して、インジケータ(LED)31を点滅させる制御を開始する。この場合、LED点滅制御部302は、インジケータ(LED)31からの赤外線輻射の変動に焦電型赤外線センサ31が誤反応すること、つまりLED干渉が発生することを抑制するために、点滅周期に対する点灯時間の割合が点滅周期に対する消灯時間の割合よりも短い点滅パターンでインジケータ(LED)31が点滅するようにインジケータ(LED)31を制御する。例えば、インジケータ(LED)31は、5%のデューティ比で点滅される。
【0040】
さらに、LED点滅制御部302は、必要に応じて上述のマスク期間を設定するために、インジケータ(LED)31の点滅開始時に、焦電型赤外線センサ21の検知出力を無効化するための処理を実行する。この場合、LED点滅制御部302は、動作制御部303が焦電型赤外線センサ31つまり人感センサの検知出力に反応しないように、動作制御部303に対して人感センサの検出信号をマスク(無視)すべきことを指示してもよい。動作制御部303が人感センサからの割り込み信号を受信するように構成されている場合には、LED点滅制御部302は、この割り込み信号に反応しないように動作制御部303に指示してもよい。また、LED点滅開始から一定期間中は人感センサの検知出力がプロセッサ101に送られないようにするために、LED点滅制御部302は、焦電型赤外線センサ21またはドライバIC22の動作を停止してもよい。例えば、ドライバIC22のイネーブルピンに供給される信号をディスエーブルステートに設定してドライバIC22の動作を停止することにより、人感センサの検知出力がプロセッサ101に送られることを防止することができる。
【0041】
動作制御部303は、ドライバIC22を介して焦電型赤外線センサ31つまり人感センサの検知出力を受信し、この検知出力に応じて、電子機器10の動作を制御する。例えば、動作制御部303は、焦電型赤外線センサ31つまり人感センサの検知出力に応じて、ディスプレイ17を電源オンまたは電源オフする処理を実行する。この場合、人体の存在が検出されたときにディスプレイ17が自動的に電源オンされる。人体の存在が検出されなくなったとき、あるいは人体の存在が検出されなくなってからある一定期間経過したときに、ディスプレイ17が自動的に電源オフされる。このように、人感センサを使用してディスプレイの電源オン/電源オフを自動制御することにより、電子機器10の電力消費を効率よく低減することができる。
【0042】
さらに、動作制御部303は、人体の存在が検出されなくなったとき、あるいは人体の存在が検出されなくなってからある一定期間経過したときに、上述のプレーヤアプリケーションプログラムによって現在実行中のスライドショーを一時停止し、人体の存在が検出されたときにプレーヤアプリケーションプログラムにスライドショーの実行を再開させてもよい。
【0043】
焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能(人感センサ機能)は、必要に応じて有効または無効に設定できるようにしてもよい。この場合、制御プログラム202は、焦電型赤外線センサ31(人感センサ)の設定メニュー画面を表示し得る。設定メニュー画面には、「人感センサON」、「人感センサOFF」、「ユーザ不在時の動作」などが表示され得る。
【0044】
「人感センサON」がユーザによって選択されると、焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能が有効となり、ディスプレイ17の電源オン/オフ等の処理が実行される。「人感センサOFF」がユーザによって選択されると、焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能が無効になる。この場合、焦電型赤外線センサ21の検知出力はなんら使用されないので、赤外線センサ21およびドライバIC22を電源オフしてもよい。「ユーザ不在時の動作」がユーザによって選択されると、制御プログラム202は、ユーザ不在時に実行すべき動作を選択すべき事をユーザに促す設定画面を表示する。この設定画面には、「直ぐにディスプレイをオフ」、「1分後にディスプレイをオフ」、「2分後にディスプレイをオフ」などの選択項目が表示される。ユーザは、所望の選択項目を選択することによって、ユーザ不在時に実行すべき動作を指定することができる。
【0045】
図7は、LED干渉が発生する場合におけるLED点滅パターン、アナログ出力信号、およびデジタル出力信号それぞれの信号波形の測定結果を示す。ここでは、点滅周波数が1Hz、デューティ比が50%、人感センサの感度レベルが83dBに設定されている。上述したようにアナログ出力信号は焦電型赤外線センサ21の検知出力を表し、デジタル出力信号はドライバIC22の検知出力を表している。
【0046】
図7から分かるように、デューティ比50%でLED点滅を行うと、アナログ出力信号が大きく波打つように変動する。これは、上述したように、LED点滅開始時および点滅中に、LEDおよび電流制限抵抗の温度が変化し、それに伴う赤外線輻射が変動しているからである。特に、点滅開始時から所定期間の間は(破線で囲まれている期間)は、LEDおよび電流制限抵抗の温度変動幅が大きいので、これにともなってアナログ出力信号の変動も大きい。
【0047】
図8は、LED干渉が発生しない場合におけるLED点滅パターン、アナログ出力信号、デジタル出力信号それぞれの信号波形の測定結果を示す。ここでは、点滅周波数が1Hz、デューティ比が5%、人感センサの感度レベルが83dBに設定されている。
【0048】
図7で説明したようにもしLEDをデューティ比50%で点滅させると、LEDの温度の上昇および下降が繰り返され、アナログ信号(受光波形)の変動幅が大きくなり、誤反応が発生する。
図8に示すように、デューティ比を50%未満の値、たとえば5%にすると、1点灯周期内のLED点灯期間の長さが短くなるので、LED点灯期間中のLEDの温度上昇幅を小さく抑えることができ、これによってアナログ信号(受光波形)の変動幅を小さくできるので、誤反応の発生を抑えることができる。
【0049】
したがって、例えば、電子機器10の前に人が居ないにもかかわらず、インジケータ(LED)31の点滅開始時または点滅期間中に、ディスプレイ17が誤って電源オンされてしまうといった誤動作の発生を防止することができる。なお、インジケータ(LED)31を例えばデューティ比5%で点滅させる処理と上述のマスク期間を設ける処理とを併せて実行してもよい。これにより、さらに確実に、誤反応の発生を抑えることができる。
【0050】
次に、
図9のフローチャートを参照して、制御プログラム202によって実行されるLED点滅処理の手順を説明する。
【0051】
制御プログラム202は、メール着信のような通知すべきイベントの発生の有無を判定する(ステップS11)。イベントの発生が検出されたならば(ステップS11のYES)、制御プログラム202は、人感センサがオンされているか否か、つまり焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能が有効であるか否かを判定する(ステップS12)。人感センサがオフ、つまり焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能が無効に設定されているならば(ステップS12のNO)、制御プログラム202は、上述のデューティ比5%よりも高いデューティ比の点滅パターン、例えばデューティ比50%の点滅パターンでインジケータ(LED)31を点滅させる処理を開始する(ステップS13)。
【0052】
一方、人感センサがオン、つまり焦電型赤外線センサ21を使用して人体を検知する機能が有効に設定されているならば(ステップS12のYES)、制御プログラム202は、人感センサがオフの場合のデューティ比よりも低いデューティ比、例えばデューティ比5%でインジケータ(LED)31を点滅開始させる処理を実行する(ステップS14)。以降、インジケータ(LED)31は点滅を繰り返す。インジケータ(LED)31が点滅している期間中に、制御プログラム202は、以下の処理を実行する。
【0053】
まず、インジケータ(LED)31の点滅開始時においては、制御プログラム202は、人感検出信号をマスクする処理を実行する(ステップS15)。ステップS15では、制御プログラム202は、インジケータ(LED)31の点滅開始から所定期間中(マスク期間)における焦電型赤外線センサ21の検知出力を無効にするための制御を実行する。例えば、上述したように、制御プログラム202は、人感センサからの割り込み信号に反応しないように動作制御部303に指示してもよく、あるいは、人感センサの動作、例えば焦電型赤外線センサ21またはドライバIC22の動作を停止してもよい。
【0054】
この後、制御プログラム202は、インジケータ(LED)31の点滅開始からマスク期間だけ経過したか否かを判定する(ステップS16)。点滅開始からマスク期間が経過したならば(ステップS16のYES)、制御プログラム202は、人感検出信号のマスクを解除する処理を実行する(ステップS17)。ステップS17では、制御プログラム202は、人感センサからの割り込み信号への反応を許可する指示を動作制御部303に通知してもよく、あるいは、赤外線センサ21またはドライバIC22の動作を再開させてもよい。
【0055】
次に、
図10のフローチャートを参照して、制御プログラム202によって実行される動作制御処理の手順の例を説明する。
【0056】
赤外線センサ21の検知出力を無効にすべきマスク期間中の間(ステップS21のYES)は、制御プログラム202は、焦電型赤外線センサ21の検知出力、つまり人感センサのデジタル信号に反応しない。マスク期間外においては、制御プログラム202は、焦電型赤外線センサ21の検知出力、つまり人感センサのデジタル信号に応じて、電子機器10の前に人が存在するか否かを判定する(ステップS22)。電子機器10の前に人が存在すると判定されたならば(ステップS22のYES)、制御プログラム202は、例えば、ディスプレイ17が電源オフされているか否かを判定する(ステップS23)。ディスプレイ17が電源オフされている場合には(ステップ23のYES)、制御プログラム202は、ディスプレイ17を電源オンすると共に、プレーヤアプリケーションプログラムにスライドショーを開始あるいは再開させる(ステップS24)。
【0057】
電子機器10の前に人が存在しないと判定されたならば(ステップS22のNO)、制御プログラム202は、例えば、ディスプレイ17が電源オンされているか否かを判定する(ステップS25)。ディスプレイ17が電源オンされている場合には(ステップ25のYES)、制御プログラム202は、ディスプレイ17をオフすると共に、プレーヤアプリケーションプログラムにスライドショーを停止あるいは一時停止させる(ステップS26)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態においては、筐体表面上の第1領域に人体を検知するための焦電型赤外線センサが配置されており、焦電型赤外線センサの検知出力に応じてディスプレイの電源を自動的にオン/オフすることができる。さらに、筐体表面上の第1領域には、光を発するインジケータも配置されている。通知すべきイベントが発生した場合には、点滅周期に対する点灯時間の割合が点滅周期に対する消灯時間の割合よりも短い点滅パターンでインジケータ(LED)31が点滅される。したがって、インジケータ(LED)31が継続的に点灯され続けられた場合またはインジケータ(LED)31がデューティ比50%で点滅された場合よりも、インジケータ(LED)31の温度変動幅を小さくすることができるので、インジケータ(LED)31からの赤外線輻射の変動に起因する焦電型赤外線センサ21の誤反応を抑制することができる。よって、焦電型赤外線センサ21の近傍にインジケータ(LED)31が配置される構成においても、焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31との間に特殊な障壁部材を設けることなく、人体の検知結果に応じた制御を実行することができる。
【0059】
さらに、本実施形態では、焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31とが同一の副基板上に実装されているので、焦電型赤外線センサ21とインジケータ(LED)31とを別個の場所にそれぞれ独立して配置する場合よりも、必要な部品点数を削減でき、部品コストの低減を図ることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、インジケータ(LED)31を例えばデューティ比5%で点滅させる処理と上述のマスク期間を設ける処理とを併せて実行する制御を例示したが、マスク期間を設ける処理のみを単独で実行してもよい。焦電型赤外線センサ21のアナログ出力信号の変動は特にインジケータ(LED)31の点滅開始直後に大きくなる。したがって、デューティ比を通常の値よりも下げることなく、マスク期間を設ける処理のみを単独で実行しても、焦電型赤外線センサ21の誤反応を抑制できるので、人体の検知結果に応じた制御を実行することができる。
【0061】
また、インジケータ(LED)31を50%よりも小さい値のデューティ比の点滅パターンで点滅させる代わりに、高い点滅周波数を使用して1周期あたりの点灯時間を短くするようにしても、1点灯周期内のLED点灯期間の長さを短くすることができる。例えば、点滅周波数を10Hzに上げてデューティ比50%でインジケータ(LED)31を点滅させた場合には、1点灯周期内のLED点灯期間は、点滅周期1Hz、デューティ比5%でインジケータ(LED)31の点滅させた場合のLED点灯期間50msと等しくなる。よって、インジケータ(LED)31を50%よりも小さい値のデューティ比の点滅パターンで点滅させる代わりに、点滅周波数を上げて1周期あたりの点灯時間を短くするようにしても、焦電型赤外線センサ21の誤反応を抑制することができ、人体の検知結果に応じた制御を実行することができる。
【0062】
また、本実施形態では、電子機器10がフォトパネルである場合を例示して説明したが、たとえば外付けウェブカメラや、腕時計のような大きさのより小型の電子機器においても、人感センサとLEDをともに備えた機器が考えられるため、その場合には両部品を近接して配置しなくてはならない必然性は、さらに大きくなると考えられる。あるいは、人感センサによる機能のオン/オフ制御は一般に省電力機能を容易に実現できるため、電子機器10は、さまざまな家電製品に適用される小型モジュールとしても実現し得る。
【0063】
また本実施形態の制御処理はコンピュータプログラムによって実現することができるので、このコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を通じてこのコンピュータプログラムを赤外線センサ21の近傍にインジケータ(LED)31が配置されたコンピュータにインストールして実行するだけで、本実施形態と同様の効果を容易に実現することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。