(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のサーマルヘッドと、前記発熱部上に記録媒体を搬送する搬送機構と、前記発熱部上に前記記録媒体を押圧するプラテンローラとを備えることを特徴とするサーマルプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係るサーマルヘッドX1について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜5に示すように、サーマルヘッドX1は、放熱体1と、放熱体1上に載置されたヘッド基体3と、ヘッド基体3に接続されたフレキシブルプリント配線板5(以下、FPC5という)とを備えている。なお、
図1では、FPC5の図示を省略し、FPC5が配置される領域を二点鎖線で示す。
【0010】
図1〜5に示すように、放熱体1は、平面視して、矩形状の板状の台部1aと、台部1aの上面上に配置され、台部1aの一方の長辺に沿って延びる突起部1bとを備えている。放熱体1は、例えば、銅、鉄、あるいはアルミニウム等の金属材料で形成されており、後述するようにヘッド基体3の発熱部9で発生した熱のうち、印画に寄与しない熱の一部を放熱する機能を有している。
【0011】
図1,2に示すように、ヘッド基体3は、基板7と、基板7上に設けられた複数の発熱部9と、発熱部9の駆動を制御する駆動IC11とを備えている。基板7は、平面視して、矩形状をなしている。基板7は、第1端面7a、第2端面7b、第1主面7c、および第2主面7dを有している。第1端面7aは、第1主面7cおよび第2主面7dに隣接する面である。第2端面7bは、第1端面7aの反対側に位置する面である。第1主面7cは、第1端面7aおよび第2端面7bに隣接する面である。第2主面7dは、第1主面7cの反対側に位置する面である。発熱部9は、第1端面7a上に、基板7の長手方向に沿って列状に設けられている。駆動IC11は、第1主面7c上に複数設けられている。
【0012】
ヘッド基体3は、
図1〜5に示すように、放熱体1の台部1aの上面上に配置されており、第2端面7bが、放熱体1の突起部1bに対向するように配置されている。
【0013】
基板7は、アルミナセラミックス等の電気絶縁性材料あるいは単結晶シリコン等の半導体材料等によって形成されている。なお、基板7は、平面視して矩形状をなしているが、基板7の角部に面取り等を行ったものも、本発明における平面視して矩形状の基板に含ま
れる。
【0014】
図4,5に示すように、基板7の第1端面7a上には、蓄熱層13が形成されている。基板7の第1端面7aは断面視して凸状の曲面形状を有しており、第1端面7a上に蓄熱層13が形成されている。そのため、蓄熱層13の表面も曲面形状となっている。曲面形状である蓄熱層13は、発熱部9上に形成された後述する保護層25に印画する記録媒体を良好に押し当てるように機能する。
【0015】
蓄熱層13は、例えば、ガラスにより形成されており、発熱部9で発生する熱の一部を一時的に蓄積する。なお、ガラスは、熱伝導性の低いガラスであることが好ましい。そのため、印画時において、発熱部9の温度を上昇させるのに要する時間を短くし、サーマルヘッドX1の熱応答特性を高めることができる。なお、本実施形態では、
図4に示すように蓄熱層13が基板7の第1端面7a上にのみ形成されており、発熱部9に近い位置で蓄熱することができる。そのため、サーマルヘッドX1の熱応答特性をより効果的に向上させることできる。なお、蓄熱層13は、ガラス粉末に適当な有機溶剤を混合して得た所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって基板7の第1端面7a上に塗布し、これを焼成することにより形成することができる。
【0016】
図4,5に示すように、基板7の第1主面7c上、蓄熱層13上、基板7の第2主面7d上および第2端面7b上には、電気抵抗層15が設けられている。電気抵抗層15は、基板7および蓄熱層13と、後述する共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21との間に介在している。
【0017】
基板7の第1主面7c上に位置する電気抵抗層15の領域は、
図1に示すように平面視して、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21と同形状に形成されている。
【0018】
蓄熱層13上に位置する電気抵抗層15の領域は、
図2に示すように側面視して、共通電極17および個別電極19と同形状に形成された領域と、共通電極17と個別電極19との間から露出した複数の露出領域とを有している。
【0019】
基板7の第2主面7d上に位置する電気抵抗層15の領域は、詳細には図示しないが、
図4,5に示すように、基板7の第2主面7dの全体にわたって設けられており、共通電極17と同形状に形成されている。
【0020】
このように電気抵抗層15の各領域が形成されているため、
図1では、電気抵抗層15は、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21で覆われており、図示していない。また、
図2では、電気抵抗層15は、共通電極17および個別電極19で覆われており、露出領域のみ図示されている。
【0021】
電気抵抗層15の各露出領域は、上記の発熱部9を形成している。そして、複数の露出領域が、
図2に示すように、蓄熱層13上に列状に配置されている。複数の発熱部9は、
図2では簡略化して示しているが、例えば、180dpi〜2400dpi(dot per inch)等の密度で配置される。また、
図2に示すように、発熱部9は、蓄熱層13上で、基板7の厚さ方向の略中央部に設けられている。
【0022】
電気抵抗層15は、例えば、TaN系、TaSiO系、TaSiNO系、TiSiO系、TiSiCO系またはNbSiO系等の電気抵抗の比較的高い材料によって形成されている。そのため、後述する共通電極17と個別電極19との間に電圧が印加され、発熱部9に電流が供給されたときに、ジュール発熱によって発熱部9が発熱することとなる。
【0023】
図1〜5に示すように、電気抵抗層15上には、共通電極17、複数の個別電極19および複数のIC−FPC接続電極21が設けられている。共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21は、導電性を有する材料で形成されており、例えば、アルミニウム、金、銀および銅のうちのいずれか一種の金属またはこれらの合金によって形成されている。
【0024】
複数の個別電極19は、各発熱部9と駆動IC11とを接続するためのものである。
図1〜3に示すように、各個別電極19は、一端部が発熱部9に接続され、基板7の第1端面7a上から基板7の第1主面7c上にわたって個別に帯状に延びている。
【0025】
各個別電極19の他端部は、駆動IC11の配置領域に配置されており、各個別電極19の他端部が駆動IC11に接続されている。それにより、各発熱部9と駆動IC11との間が電気的に接続されている。より詳細には、個別電極19は、複数の発熱部9を複数の群に分け、各群の発熱部9を、各群に対応して設けられた駆動IC11に電気的に接続している。
【0026】
複数のIC−FPC接続電極21は、駆動IC11とFPC5とを接続するためのものである。
図1,4に示すように、各IC−FPC接続電極21は、基板7の第1主面7c上に帯状に延びており、一端部は駆動IC11の配置領域に配置されている。また、各IC−FPC接続電極21の他端部は基板7の第1主面7c上の第2端面7b側に位置する、共通電極17の主配線部17aの近傍に配置されている。そして、複数のIC−FPC接続電極21は、一端部が駆動IC11に電気的に接続されるとともに、他端部がFPC5に電気的に接続されることにより、駆動IC11とFPC5とを電気的に接続している。
【0027】
駆動IC11は、
図1に示すように、複数の発熱部9の各群に対応して配置されている。そして、駆動IC11は、個別電極19の他端部とIC−FPC接続電極21の一端部とに接続されている。駆動IC11は、各発熱部9の通電状態を制御するためのものであり、内部に有した複数のスイッチング素子(不図示)を切り替えることにより、各発熱部9の発熱駆動を制御している。
【0028】
駆動IC11は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21に接続された状態で、エポキシ樹脂あるいはシリコーン樹脂等の樹脂からなる被覆部材28によって被覆されることで封止されている。これにより、駆動IC11自体、および駆動IC11とこれらの配線との接続部を保護することができる。
【0029】
共通電極17は、複数の発熱部9とFPC5とを電気的に接続するためのものである。共通電極17は、主配線部17aと、リード部17cを有している。主配線部17aは、
図1,4,5に示すように、基板7の第2主面7dおよび第2端面7bの全体にわたって形成されるとともに、基板7の第1主面7c上において第2端面7bに沿って延びるように形成されている。リード部17cは、基板7の第1端面7a上に形成されており、一端部が基板7の第2主面7dに設けられた主配線部17aと、各発熱部9とを電気的に接続している。また、各リード部17cは、一端部が個別電極19に対向して配置されて各発熱部9に接続されている。
【0030】
このようにして、共通電極17は、一端部が個別電極19の一端部に対向して配置され、発熱部9に接続されている。そして、基板7の第1端面7a上から、基板7の第2主面7d上、および基板7の第2端面7b上を介して、基板7の第1主面7c上にわたって延びている。
【0031】
上記の電気抵抗層15、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の形成方法について例示する。各々を構成する材料層を、蓄熱層13が形成された基板7上に、スパッタリング法等の従来周知の薄膜成形技術によって順次積層する。次に積層体を従来周知のフォトエッチング等を用いて所定のパターンに加工することにより形成することができる。また、電気抵抗層15の厚さは、例えば0.01μm〜0.2μmとし、共通電極17、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の厚さは、例えば0.05μm〜2.5μmとすることができる。なお、第1主面7c上の共通電極17の厚みと、第2主面7d上の共通電極17の厚みとが異なる構成としてもよく、電極の部位により厚みを異なるものとしてもよい。
【0032】
保護層25は、
図1〜5に示すように、蓄熱層13上、基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上に、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部を被覆するように設けられている。
図1,4,5に示すように、保護層25は、基板7の第1主面7cにおいては左側の領域を覆うように設けられている。保護層25は、蓄熱層13上においては全体を覆うように設けられている。保護層25は、基板7の第2主面7dにおいては基板7の第1主面7cと同様に左側の領域を覆うように設けられている。このようにして、保護層25は、基板7の第1端面7a上から基板7の第1主面7c上にわたって形成されているとともに、基板7の第1端面7a上から基板7の第2主面7d上にわたって形成されている。なお、説明の便宜上、
図1では、保護層25の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
【0033】
保護層25は、発熱部9、共通電極17の一部および個別電極19の一部の被覆した領域を、大気中に含まれている水分等の付着による腐食、あるいは印画する記録媒体との接触による摩耗から保護する機能を有している。保護層25は、例えば、SiC系、SiN系、SiO系およびSiON系等の材料で形成することができる。なお、AlあるいはTi等の他の元素を少量含有していてもよい。
【0034】
保護層25は、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の従来周知の薄膜成形技術あるいはスクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。保護層25の厚さは、例えば3〜12μmとすることができる。また、保護層25は、複数の材料層を積層して形成してもよい。
【0035】
また、
図1,4,5に示すように、基板7の第1主面7c上には、個別電極19およびIC−FPC接続電極21を部分的に被覆する絶縁層27が設けられている。絶縁層27は、
図1に示すように基板7の第1主面7c上の保護層25よりも右側の領域を部分的に覆うように設けられている。なお、説明の便宜上、
図1では、絶縁層27の形成領域を一点鎖線で示し、図示を省略している。
【0036】
絶縁層27は、個別電極19およびIC−FPC接続電極21の被覆した領域を、大気との接触による酸化あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護する機能を有するものである。絶縁層27は、例えば、エポキシ樹脂あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、絶縁層27は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。なお、絶縁層27は電気絶縁性を有しており、上記のように個別電極19を被覆しても、隣接する個別電極19間が短絡しない構成を有している。
【0037】
なお、
図1,4に示すように、後述するFPC5を接続するIC−FPC接続電極21の端部は、絶縁層27から露出して設けられており、FPC5と接続することができる。
【0038】
また、絶縁層27は、駆動IC11を接続する個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部を露出させるための開口部(不図示)が形成されている。個別電極19とIC−FPC接続電極21とは、開口部を介して駆動IC11に接続されている。本実施形態では、開口部27aから露出した個別電極19およびIC−FPC接続電極21の端部上に、導電層30が形成されている。そして、導電層30を介して個別電極19およびIC−FPC接続電極21が、駆動IC11とはんだ接合されている。このように、駆動IC11を、導電層30上にはんだ接合することで、個別電極19およびIC−FPC接続電極21上への駆動IC11の接続強度を向上させることができる。
【0039】
導電層30は、金属または合金により形成することができ、例えば、周知の無電解めっき、あるいは電解めっきによって形成することができる。また、導電層30として、例えば、共通電極17上にニッケルめっきからなる第1めっき層(不図示)を形成し、第1めっき層上に金めっきからなる第2めっき層(不図示)を形成してもよい。この場合、第1被覆層の厚さを例えば1.5μm〜4μmとし、第2被覆層の厚さを例えば0.02μm〜0.1μmとすることができる。
【0040】
図3〜5に示すように、基板7の第2主面7d上には、基板7の第2主面7d上の共通電極17を部分的に被覆する第1被覆層2が形成されている。第1被覆層2は、保護層25に隣接して設けられており、基板7の長手方向に延びるように設けられている。
【0041】
第1被覆層2は、共通電極17を被覆することにより、共通電極17の被覆した領域を、大気との接触による酸化あるいは大気中に含まれている水分等の付着による腐食から保護する機能を有している。第1被覆層2は、絶縁層27と同様、例えば、エポキシ樹脂あるいはポリイミド樹脂等の樹脂材料で形成することができる。また、第1被覆層2は、例えば、スクリーン印刷法等の厚膜成形技術を用いて形成することができる。第1被覆層2の厚さは、例えば20〜60μmにすることができる。
【0042】
第2被覆層4は、第1被覆層2と離間した状態で、基板7の第2主面7d上に設けられており、基板7の長手方向に延びるように設けられている。第2被覆層4は、第1被覆層2と同様の材料により設けられている。そのため、第1被覆層2と第2被覆層4とを、厚膜形成技術を用いて同時に形成することができる。なお、
図3においては、第2被覆層4が第2端面7bから離れた状態で設けられているが、第2端面7bから第2主面7dにわたって設けられていてもよい。
【0043】
以下、
図3〜5を用いて基板7と放熱体1との接続構造について説明する。
【0044】
基板7は、
図3(b)に示すように、第2主面7dが放熱体1と対向するように配置されている。そのため、基板7の第2主面7dが本発明の第1面を意味する。
【0045】
図4,5に示すように、基板7と放熱体1とは、第1接続部材6と第2接続部材8とにより接続されている。第1接続部材6および第2接続部材8は、両面テープあるいは熱硬化性樹脂等からなる接着剤により形成されている。ここで、第1接続部材6および第2接続部材8が本発明の接続部材を意味する。なお、以下、第1接続部材6を両面テープにより形成し、第2接続部材8を接着剤により形成した例を用いて説明する。
【0046】
第1接続部材6は、基板7の第2主面7dと放熱体1とを接続しており、基板7の第1被覆層2と放熱体1との間に設けられている。第1接続部材6は、平面視して、第1被覆層2と略同形状に形成されている。これにより、基板7と放熱体1とを接続することができる。
【0047】
第2接続部材8は、基板7の第2主面7dの一部と、第2被覆層4と、第2端面7bの一部と、放熱体1とを接続しており、
図4,5に示すように、基板7の第2主面7dと放熱体1との間と、基板7の第2端面7bと放熱体1との間と、第1被覆層2と第2被覆層4との間とに設けられている。そして、第2接続部材8は、基板7の長手方向に延びるように設けられている。
【0048】
このように、第2接続部材8が、基板7の第2主面7dと放熱体1との間と、基板7の第2端面7bと放熱体1との間とに設けられていることから、基板7と放熱体1とを接続することができる。
【0049】
さらに、第2接続部材8が、第1被覆層2と第2被覆層4との間に設けられている。第2接続部材8が第1被覆層2と第2被覆層4との間に設けられていることから、記録媒体(不図示)の搬送方向D1(以下、第1方向D1と称する)に直交する方向D2(以下、第2方向D2)において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0050】
具体的には、第1被覆層2および第2被覆層4の間に配置された第2接続部材8が、楔として機能することにより、第2方向D2において、基板7と放熱体1との接続強度を向上させることができ、第2方向D2において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0051】
別の見方をすると、本実施形態においては、第2被覆層4が、第2接続部材8の内部に埋設していることとなる。第2被覆層4が第2接続部材8の内部に埋設していることにより、第2被覆層4が第2方向D2に対して楔として機能することにより、第2方向D2において、基板7と放熱体1との接続強度を向上させることができ、第2方向D2において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0052】
また、第2被覆層4が、発熱部9の配列方向(以下、第3方向D3と称する)に延在していることから、第1被覆層2と第2被覆層4との間に配置された第2接続部材8が、楔としての機能をさらに増大させることができ、さらに、第2方向D2において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。特に、第2被覆層4が、第3方向D3に延在しているため、基板7が第2方向D2に対して傾斜する可能性を低減することができ、第3方向D3における記録媒体とサーマルヘッドX1との接触を均一に近づけることができる。
【0053】
なお、接続部材として第1接続部材6および第2接続部材8を用いた例を示したが、基板7と放熱体1とを第1接続部材6のみで接続してもよく、あるいは第2接続部材8のみで接続してもよい。
【0054】
FPC5は、
図1,4,5に示すように、基板7の長手方向に沿って延びており、上記のように基板7の第1主面7c上に位置する共通電極17の主配線部17aおよび各IC−FPC接続電極21に接続されている。FPC5は、絶縁性の樹脂層の内部に複数のプリント配線が配線された周知のものであり、各プリント配線がコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されるようになっている。このようなプリント配線は、例えば、銅箔等の金属箔、薄膜成形技術によって形成された導電性薄膜、または厚膜印刷技術によって形成された導電性厚膜によって形成されている。
【0055】
より詳細には、
図4,5に示すように、FPC5は、絶縁性の樹脂層5aの内部に形成された各プリント配線5bが第2端面7b側の端部で露出し、導電性接合材32によって接合されている。導電性接合材32としては、導電性接合材料、はんだ材料、または電気絶縁性の樹脂中に導電性粒子が混入された異方性導電材料(ACF)等を例示することが
できる。そして、FPC5のプリント配線5bは、基板7の第1主面7c上に位置する共通電極17の主配線部17aの端部および各IC−FPC接続電極21の端部に接続されている。
【0056】
なお、本実施形態では、基板7の第1主面7c上に位置する共通電極17上には、上記のように導電層30が形成されているため、共通電極17に接続されるプリント配線5bが、導電性接合材32を介して導電層30上に接続されている。また、導電層30が、各IC−FPC接続電極21の端部上にも形成されているため、各IC−FPC接続電極21に接続されるプリント配線5bも導電性接合材32を介して導電層30上に接続されている。このように、プリント配線5bを、めっきで形成された導電層30上に接続することにより、プリント配線5bと、共通電極17およびIC−FPC接続電極21との接続強度を向上させることができる。
【0057】
そして、FPC5の各プリント配線5bがコネクタ31を介して図示しない外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続されている。それにより、共通電極17およびIC−FPC電極21は、外部から電圧が供給されることとなる。
【0058】
また、FPC5は、放熱体1の突起部1bの上面に、両面テープあるいは樹脂等の接着剤(不図示)によって接着されることにより、放熱体1上に固定されている。
【0059】
次に、本発明のサーマルプリンタの一実施形態について、
図6を参照しつつ説明する。
図6は、本実施形態のサーマルプリンタZの概略構成図である。
【0060】
図6に示すように、本実施形態のサーマルプリンタZは、上述のサーマルヘッドX1、搬送機構40、プラテンローラ50、電源装置60および制御装置70を備えている。サーマルヘッドX1は、サーマルプリンタZの筐体(不図示)に設けられた取付部材80の取付面80aに取り付けられている。なお、サーマルヘッドX1は、発熱部9の配列方向が、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向である主走査方向に沿うように、取付部材80に取り付けられている。そのため、サーマルヘッドX1においては、基板7の第1主面7c側が記録媒体Pの搬送方向の上流側となり、基板7の第2主面7d側が記録媒体Pの搬送方向の下流側となる。
【0061】
搬送機構40は、感熱紙、受像紙、カード等の記録媒体Pを
図6の矢印S方向に搬送して、サーマルヘッドX1の複数の発熱部9上に搬送するためのものであり、搬送ローラ43,45,47,49を有している。搬送ローラ43,45,47,49は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体43a,45a,47a,49aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材43b,45b,47b,49bにより被覆して構成することができる。なお、図示しないが、記録媒体Pが受像紙あるいはカード等の場合は、記録媒体PとサーマルヘッドX1の発熱部9との間に、記録媒体Pとともにインクフィルムを搬送するようになっている。
【0062】
プラテンローラ50は、記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に押圧する機能を有している。そして、プラテンローラ50は、記録媒体Pの搬送方向Sに直交する方向に沿って延びるように配置され、記録媒体Pを発熱部9上に押圧した状態で回転可能となるように両端部が支持されている。プラテンローラ50は、例えば、ステンレス等の金属からなる円柱状の軸体50aを、ブタジエンゴム等からなる弾性部材50bにより被覆して構成することができる。
【0063】
電源装置60は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を発熱させるための電圧および駆動IC11を動作させるための電圧を供給する機能を有している。制御装置70
は、上記のようにサーマルヘッドX1の発熱部9を選択的に発熱させるために、駆動IC11の動作を制御する制御信号を駆動IC11に供給する機能を有している。
【0064】
本実施形態のサーマルプリンタZは、搬送機構40によって記録媒体PをサーマルヘッドX1の発熱部9上に搬送しつつ、電源装置60および制御装置70によって発熱部9を選択的に発熱させる。それにより、記録媒体Pに所定の印画を行うことができる。なお、記録媒体Pが受像紙あるいはカード等の場合は、記録媒体Pとともに搬送されるインクフィルム(不図示)のインクを記録媒体Pに熱転写することによって、記録媒体Pへの印画を行うことができる。
【0065】
<第2実施形態>
図7(a),(b)を用いてサーマルヘッドX2について説明する。サーマルヘッドX2は、第2被覆層4が第3方向D3に交差する方向、言い換えると第2方向D2に2つ有する点でサーマルヘッドX1とは異なり、その他の点は共通するため説明を省略する。
【0066】
図7(a)に示すように、サーマルヘッドX2は、基板7の第2主面7dに第1被覆層2が設けられており、第1被覆層2から第2方向D2に離間した状態で第2被覆層4が設けられている。第2被覆層4は、第2方向D2の第2端面7b側に設けられた第2被覆層4aと、第2被覆層4aに隣接する第2被覆層4bとを有している。第2被覆層4bは、第1被覆層2と離間した状態で設けられており、第2被覆層4aは、第2被覆層4bと離間した状態で設けられている。第2被覆層4は、第2被覆層4aと第2被覆層4bとが互いに平行に、D3方向に延在して設けられている。なお、第2被覆層4aと第2被覆層4bとは、例えば、厚膜形成技術により形成する場合、同時に形成することができる。
【0067】
図7(b)に示すように、基板7と放熱体1とは第1接続部材6および第2接続部材8により接続されている。第1接続部材6は、基板7の第2主面7dと、放熱体1との間に設けられており、第1被覆層2と放熱体1との間、第2被覆層4bと放熱体1との間、および第1被覆層2と第2被覆層4bとの間に配置されている。それにより、第1接続部材6は、基板7と放熱体1とを接続するとともに、基板7が第2方向D2にずれる可能性を低減することができる。
【0068】
第2接続部材8は、基板7の第2主面7dと、基板7の第2端面7bと、放熱体1との間に設けられており、第2被覆層4aと第2被覆層4bとの間と、第2被覆層4aと放熱体1との間と、基板7の第2主面7dおよび第2端面7bと放熱体1との間とに配置されている。それにより、第2接続部材8は、基板7と放熱体1とを接続するとともに、基板7が第2方向D2にずれる可能性を低減することができる。
【0069】
このように、第1接続部材6および第2接続部材8により基板7と放熱体1とを接続する場合に、第2被覆層4が第2方向D2に複数設けられており、第1被覆層2と第2被覆層4bとの間、および第2被覆層4bと第2被覆層4aとの間に、第1接続部材6または第2接続部材8が配置されることにより、さらに第2方向D2において基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0070】
なお、第2被覆層4aと第2被覆層4bとが互いに平行に、第3方向D3に延在して設けられた例を示したが、第2被覆層4aと第2被覆層4bとが互いに傾斜して設けられていてもよい。例えば、第2被覆層4aと第2被覆層4bとが互いに傾斜して設けられることで、第1端面7aに対して少なくとも一方が傾斜する構成となり、第2被覆層4aまたは第2被覆層4bが、第3方向D3において楔として機能することとなる。それにより、第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができ、第2方向D2および第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0071】
図7(c)を用いてサーマルヘッドX2の変形例について説明する。サーマルヘッドX2´は、第1接続部材6´が、第2方向D2の端部において、上面が切り欠かれた形状となっている。そのため、第1接続部材6´は、上面が第1被覆層2に接続されており、平面視して、第1接続部材6´の一部が第1被覆層2よりも突出する構成となる。そして、突出した第1接続部材6´上には第2接続部材8が入り込む構成となる。
【0072】
そのため、第2接続部材8は、基板7の第2主面7dおよび第2端面7bと放熱体1との間に配置されるとともに、第1被覆層2と第2被覆層4bとの間、および第2被覆層4bと第2被覆層4aとの間に配置されることとなる。
【0073】
このような構成とすることで、例えば、第2接続部材8を第1接続部材6´よりも流動性の高い材料により形成させた場合、基板7と放熱体1との接続を容易に行うことができる。特に、第1接続部材6´を両面テープにより形成し、第2接続部材8を第1接続部材6´よりも流動性の高いエポキシ樹脂等により形成することでサーマルヘッドX2´の製造を簡単なものとすることができる。
【0074】
さらに、
図7(c)に示すように、突出した第1接続部材6´の一部は、斜面が下に突出した凸形状をしているため、第2接続部材8を導くガイドの機能を有しており、第1被覆層2と第2被覆層4との間に効率よく流動させることができる。
【0075】
<第3の実施形態>
図8を用いてサーマルヘッドX3について説明する。サーマルヘッドX3は、第2被覆層4の構成がサーマルヘッドX2と異なっており、その他の構成はサーマルヘッドX2と共通であり説明を省略する。
【0076】
図8(a)に示すように、第2被覆層4は、第3方向D3に延在した第2被覆層4aと、第3方向D3に列状に点在した第2被覆層4cとを備えている。第2被覆層4cは、第2被覆層列10を形成している。
【0077】
基板7の第2主面7dには、第1被覆層2と、第1被覆層2と第2方向D2に離間して設けられた第2被覆層4cと、第2被覆層4cと第2方向D2に離間して設けられた第2被覆層4aとが設けられている。
【0078】
このように、第2被覆層4cが、第3方向D3に列状に点在していることで、第2被覆層4cの周囲には、第1接続部材6または第2接続部材8が配置されることとなる。それにより、第2被覆層4cと、第1接続部材6または第2接続部材8との接続面積を増加させることができ、基板7と放熱体1との接続強度を向上させることができる。
【0079】
また、第2被覆層4cが、第1接続部材6または第2接続部材8に埋設されることにより、楔として機能して第2方向D2および第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0080】
さらにまた、第2被覆層4が、第3方向D3に延在する第2被覆層4aと、第3方向D3に列状に点在する第2被覆層4cにより形成されているため、第2被覆層4aにより第2方向D2における基板7のずれを低減し、第2被覆層4cにより第3方向D3における基板7のずれを低減することができる。そのため、第2方向D2においては、第2被覆層4aにより強固に固定することができ、第3方向D3においては、第2被覆層4cにより固定するとともに、基板7と放熱体1との間に設けられる第2接続部材8の量が少なくなることを低減することができる。それにより、基板7と放熱体1との接続を強固なものに
することができる。
【0081】
なお、第2被覆層4が、第3方向D3に延在する第2被覆層4aと、第3方向D3に列状に点在する第2被覆層4cにより形成された例を示したが、
図8(c)に示すように、第3方向D3に列状に点在する第2被覆層4c,第2被覆層4c´により形成してもよい。この場合においても、第2被覆層4c,第2被覆層4c´の周囲に配置された第2接続部材8と、第2被覆層4c,第2被覆層4c´との接触面積を増加させることができ、第2方向D2および第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0082】
さらに、第2被覆層4cと、第2被覆層4c´とが、第3方向D3において、互いにずれるように配置されることが好ましい。このような構成とすることで、第2方向D2において、基板7と放熱体1との間に、第2接続部材8が少なく設けられる領域が生じることを低減することができる。
【0083】
<第4の実施形態>
図9を用いてサーマルヘッドX4について説明する。サーマルヘッドX4は、第2被覆層4に穴部12が設けられている点でサーマルヘッドX1と構成が異なりその他の点は共通のため説明を省略する。
【0084】
第2被覆層4は、第2主面7d上に設けられており、第2方向D2において、第1被覆層2と離間した状態で設けられている。第2被覆層4は、穴部12が第3方向D3に複数設けられている。
【0085】
穴部12は、第2被覆層4を貫通するように設けられていてもよく、第2被覆層4の一部が削られたように設けてもよい。なお、穴部12が、平面視して、円形状の例を示したが、矩形状あるいは多角形状でもよいし、楕円形状でもよい。
【0086】
サーマルヘッドX4は、第2被覆層4に穴部12が設けられており、穴部12の内部に第2接続部材8が配置されている。そのため、穴部12の内部に配置された第2接続部材8が、楔として機能することにより、第2方向D2において、基板7がずれる可能性を低減することができる。
【0087】
また、第2被覆層4に穴部12が設けられることから、
図9(b)に示すように、ある位置では第2被覆層4が2つに分割されるような構成となる。そのため、分割された第2被覆層4が、それぞれ楔として機能して、第2方向D2において、基板7がずれる可能性を低減することができる。
【0088】
なお、
図9(c)に示したように、第2被覆層4に設けられる穴部12は1つでもよい。この場合においても、穴部12の内部に第2接続部材8が配置されることにより、第2方向D2において、基板7がずれる可能性を低減することができる。
【0089】
<第5の実施形態>
図10を用いてサーマルヘッドX5について説明する。サーマルヘッドX5は第2被覆層4が、突出部14と、突出部14に設けられた幅広部16とを有する点でサーマルヘッドX1と構成が異なり、その他の点は共通であるため説明を省略する。
【0090】
第2被覆層4は、第3方向D3に沿って延びる第2被覆層4aと、平面視して、第2被覆層4aから第2方向D2に向けて突出する突出部14を、第3方向D3に複数備えている。それぞれの突出部14は、平面視して、同形状をなしている。
【0091】
突出部14は、第3方向D3に幅の広い幅広部16を1つ有している。幅広部16の第3方向D3における幅W2は、幅広部16を除いた突出部14の第3方向D3における幅W1よりも長くなっている。そのため、突出部14は、平面視して略Tの字形状となっている。
【0092】
このように、突出部14は、平面視して略Tの字状となっているため、基板7と放熱体1とが、第1接続部材6および第2接続部材8により接続される際に、突出部14が、第1接続部材6または第2接続部材8に埋設されることとなる。第1接続部材6または第2接続部材8に埋設された突出部14は、幅広部16の突出部14よりも幅の広い部分が楔として機能することにより、第2方向D2において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0093】
なお、
図10(c)に示すように、突出部14に幅広部16を設けない構成としてもよい。その場合においても、第2被覆層4が、第3方向D3に沿って延びる第2被覆層4aを有することから、第2方向D2において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。また、突出部14が設けられているため、第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。
【0094】
さらに、第3方向D3における位置によって、突出部14の突出長さを変更してもよい。例えば、
図10(c)のように、第3方向D3の両端部に位置する突出部14a,14eの長さを、第3方向D3の中央部に位置する突出部14b,14c,14dの長さよりも長くすることで、応力の生じやすい第3方向D3の両端部においても、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。なお、第3方向D3において、両端部から中央部にかけて突出部14a〜14eの長さが漸次短くなる構成としてもよい。
【0095】
<第6の実施形態>
図11,12を用いてサーマルヘッドX6について説明する。サーマルヘッドX6は、放熱体1の構成がサーマルヘッドX1と異なりその他の点は共通であり説明を省略する。
【0096】
図12(a)で示すように、放熱体1は、台部1a上に設けられた突起部1bと、突起部1bから離間して設けられた突出部1cとを備えている。突出部1cは、
図11(b)に示すように、第3方向D3に沿って延在して設けられている。そして、突出部1cの突出高さは、突起部1bの突出高さよりも低くなっている。なお、基板7の第2被覆層4も同様に第3方向D3に延在して設けられている。そして、基板7の第2被覆層4と、放熱体1の突出部1cとが、重畳するように、放熱体1上に基板7が載置されている。
【0097】
図12(b)で示すように、放熱体1の突出部1cの先端は、第2被覆層4の内部に埋設されている。そのため、サーマルヘッドX6は、放熱体1の突出部1cが、第2被覆層4に食い込み、基板7と放熱体1との第2方向D2および第3方向D3における接続強度を向上させることができる。
【0098】
なお、放熱体1の突出部1cの突出高さは、第3方向D3において一定でなくてもよく、例えば、第3方向D3の中央部において最も高い構成としてもよい。また、放熱体1の突出部1cが設けられた領域の上方に第2被覆層4が設けられておればよく、放熱体1の突出部1cが第3方向D3に連続的に設けられていなくてもよい。例えば、第3方向D3の中央部のみに放熱体1の突出部1cを設けることで、記録媒体から最も押圧力を受ける第3方向D3の中央部において、基板7のずれが生じる可能性を低減することができる。
【0099】
<第7の実施形態>
図13を用いてサーマルヘッドX7について説明する。サーマルヘッドX7は、放熱体1の構成がサーマルヘッドX6とは異なり、その他の点はサーマルヘッドX6と同様であり説明を省略する。
【0100】
放熱体1は、台部1aと、台部1aから突出した突起部1bと、第3方向D3の中央部に台部1aおよび突起部1bに設けられた貫通孔1dが設けられている。そして、貫通孔1dの縁には突出部1cが設けられている。
【0101】
放熱体1の貫通孔1dは、第2接続部材8を挿入するために設けられており、貫通孔1dから挿入された第2接続部材8は、第3方向D3の中央部から両端部に広がるように設けられている。なお、第3方向D3の中央部にのみ第2接続部材8を設けてもよい。
【0102】
サーマルヘッドX7は、
図13(b)に示すように、貫通孔1dから挿入された第2接続部材8が、基板7の第2主面7dと放熱体1との間、第2被覆層4と放熱体1との間、基板7の第2端面7bとの間、および貫通孔1dの内部に設けられている。そして、第2被覆層4には、放熱体1の突起部1cの先端が埋設している。
【0103】
このような構成のため、サーマルヘッドX7は、第2方向D2において基板7にずれが生じる可能性を低減することができるとともに、第3方向D3においても基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。また、貫通孔1dが設けられているため、基板7と放熱体1とを第1接続部材6により固定した後に、基板7と放熱体1とを第2接続部材8により強固に固定することができるため、サーマルヘッドX7を簡単に製造することができる。
【0104】
また、放熱体1に貫通孔1dを設けると、貫通孔1dの縁にバリなどが生じる可能性があるが、貫通孔1dの縁の上方に第2被覆層4を設けることにより、バリが突出部1cとして機能し、第2被覆層4に埋設することができ、第2方向D2および第3方向D3において、基板7にずれが生じる可能性を低減することができる。そのため、貫通孔1dの縁は、第2被覆層4の下方に位置することが好ましい。
【0105】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1の実施形態であるサーマルヘッドX1を用いたサーマルプリンタZを示したが、これに限定されるものではなく、サーマルヘッドX2〜X7をサーマルプリンタZに用いてもよい。また、サーマルヘッドX1〜X7を適宜に組み合わせてもよい。
【0106】
サーマルヘッドX1では、共通電極17は、基板7の第1端面7a上から、基板7の第2主面7d上、および基板7の第2端面7b上を介して、基板7の上面上にわたって延びているが、これに限定されるものではない。例えば、共通電極17を基板7の第1端面7aおよび第2主面7d上にのみ形成してもよい。この場合、基板7の第2主面7d上に形成された共通電極17とFPC5のプリント配線5bとを、別途設けたジャンパー線(不図示)によって接続すればよい。なお、第2主面7dに形成された共通電極17上に導電層を設けて、ジャンパー線と共通電極17とを接続してもよい。
【0107】
また、サーマルヘッドX1では、FPC5を介してヘッド基体3の基板7上に設けられた共通電極17およびIC−FPC接続電極21を外部の電源装置および制御装置等に電気的に接続しているが、これに限定されるものではない。例えば、FPC5のように可撓性を有するフレキシブルプリント配線板ではなく、硬質のプリント配線板を介してヘッド基体3の各種配線を外部の電源装置等に電気的に接続してもよい。この場合、例えば、ヘッド基体3の共通電極17およびIC−FPC接続電極21とプリント配線板のプリント
配線とをワイヤーボンディング、ACF接続あるいは半田接続等によって接続すればよい。
【0108】
また、サーマルヘッドX1では、
図4,5に示されるように、電気抵抗層15が、蓄熱層13上のみならず、基板7の第1主面7cおよび第2主面7d上にも設けられているが、基板7の第1端面7a上のリード部17cと個別電極層19とに接続されている限り、これに限定されるものではない。例えば、蓄熱層13上にのみ設けられていてもよい。また、基板7の第1端面7a上の共通電極17および個別電極19を蓄熱層13上に直接形成し、蓄熱層13上の共通電極17の先端部と個別電極19の先端部との間の領域にのみ電気抵抗層15が設けられていてもよい。
【0109】
また、
図14に示すように、共通電極17の代わりに、隣接する2つの発熱部9ごとに発熱部9を接続する発熱部接続配線18によって、複数の発熱部9を接続してもよい。この場合、詳細な説明は省略するが、発熱部接続配線18に接続された隣接する2つの発熱部9に接続された2本の個別電極19の間に電圧が印加されるように、駆動ICあるいは各種配線の構成を変更することで、発熱部9を発熱させることができる。
【0110】
さらにまた、発熱部9が基板7の第1端面7aに設けられた例を示したがこれに限定されるものではない。例えば、発熱部9が、第1主面7cに設けられた平面ヘッドにおいても、本発明を適用することができる。