(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような多目的型FTIRに要求される機能は、付属品を簡単確実に交換できることであり、具体的には、接続・分離のいずれの作業においてもワンアクションで光学的な接続を行えることである。ここで、光学的接続とは、本体で生じる測定光を、付属品の試料セルへの光路上に乗せることであり、通常は、本体および付属品を機械構造的に連結して、測定中に本体および付属品の相対的な位置が変化しないようにすることである。また、同じ付属品を繰り返し接続しても位置・姿勢の再現性が得られることも必要となる。
【0006】
しかしながら、付属品には電力供給を必要とするものもある。また、付属品へはパージ用のガスを供給することが一般的である。測定者の利便性を考慮して測定を迅速に開始できるようにするため、上記の光学的接続と同時に電気的接続およびパージラインの接続もワンアクションで行えることが要求される。ただし、コネクタに電力が印加されたまま、コネクタの着脱を行うと、付属品側に過大電流が流れてしまい電子機器などを破損するおそれがある。これを回避するため、今までは本体電源をオフにした状態で、電気的コネクタの着脱を行なうようにしていた。
【0007】
しかし、仮に、ワンアクションでの着脱作業が可能になったとしても、着脱作業の際にいちいち本体電源を切らなければならないという条件を設けるのは、測定者にとって煩わしい。様々な試料に対して適切な測定システムを順次構築しなければならない測定者にとっては省きたい作業と言える。つまり、本体電源がオン状態でも、付属品の着脱を自由に行なる条件の方が測定者の利便性が高い。また、FTIRは光源や検出器を必須とし、これらの構成機器が安定した状態で測定を実行する必要がある。そのために通常は、測定開始までの長時間の間、電源を供給し続けておく必要がある。
【0008】
本発明の目的は、本体と付属品からなる分光装置において、本体に付属品を接続する際に光学的接続と電気的接続を簡単確実に行えて、かつ、本体電源がオン状態でも付属品を安全に着脱できる分光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係る分光装置では、本体に、光源、干渉計、電源回路、および、本体側の電気的コネクタを設け、付属品に、本体からの測定光を用いる測定部、測定のために電力を消費する電力負荷部、および、付属品側の電気的コネクタを設ける。
【0010】
本発明では、本体および付属品の光学的な接続と電気的な接続を簡単確実に行えるように、本体に設けられたベース部材に対して、付属品をスライド可能に設けた。付属品をベース部材に載置した状態で、ベース部材に沿ってスライド移動させる。このスライド動作に伴って本体と付属品の接続・分離が実行されるようにした。付属品は、スライド位置に応じて接続状態および非接続状態になる。各位置を接続位置および非接続位置と呼ぶ。ベース部材に付属品が当接した状態で、ベース部材から付属品を見る方向を、ベース部材の法線方向と呼ぶ。また、スライド方向(Z軸とする)および法線方向(Y軸とする)の両方に直交する方向を幅方向(X軸とする)と呼ぶ。
【0011】
ベース部材上を接続位置まで付属品をスライド移動させると、本体側コネクタと付属品側コネクタとの接続が完了する。一方、ベース部材上の非接続位置では、両コネクタが非接続状態であり、ベース部材に対して付属品を載置したり分離したりすることができる。
【0012】
光学的接続については、少なくとも付属品が接続位置までスライド移動したら、光学的に接続した状態になっていればよい。光学的に接続した状態とは、本体側の干渉計からの出射光の光軸が、付属品側での測定部への導光路にちょうど一致する状態で、干渉計からの光が正規ルートで測定部へ進行できる状態である。
【0013】
(電力供給のオン・オフ切換機能)
本発明に特徴的なことは、付属品が接続位置にあることを検出してその検出信号を出す接続位置検出手段と、この検出信号に基づいて付属品が接続位置にあるか否かを判断する判断手段と、本体の電源回路から本体側コネクタまでの電力供給線上に設けられた中間スイッチと、を備え、判断手段は、接続位置に付属品が有ると判断した場合に、中間スイッチをオンに、接続位置に付属品が無いと判断した場合には中間スイッチをオフにするように構成したことである。
【0014】
また、接続位置検出手段は、ベース部材の法線方向に進退可能で、ベース部材から付属品が載置される側に先端が突出した状態で設けられた突出部材と、この突出部材の先端を弾性力によって突出する方向に付勢する弾性部材と、突出する位置にある前記突出部材を検出するセンサとを有して構成される。そして、付属品がベース部材の非接続位置にある場合は、付属品が突出部材の先端を押す力が弾性力に勝って、その先端が突出しない状態になる。付属品がベース部材の接続位置にある場合は、付属品に形成された穴部と突出部材の各位置が一致して、その穴部に突出部材の先端が入って突出した状態になる。この突出部材の先端の突出状態を検出することによって付属品が接続位置にあることを示す検出信号を出力するのである。
【0015】
(コネクタ接続のスムーズ化)
また、非接続位置から接続位置までスライド移動する際に、本体に設けられたスライド方向の誘導部材に付属品に設けられた被誘導部材が誘導される。スライド方向の誘導部材による誘導は、電気的なコネクタ同士の接続に先立って開始される。例えば、付属品を非接続位置に置いた状態で、誘導部材と被誘導部材の間隔が、コネクタ同士の間隔よりも狭くなるようにする。例えば、付属品側の被誘導部材を同じ付属品側のコネクタよりもスライド方向に長く突出して設けることによって実現される。また、スライド移動によって誘導部材が被誘導部材に誘導された結果、接続位置において幅方向への付属品の変位が規制される。
【0016】
(付属品の転倒防止)
付属品が接続位置までスライド移動することで、付属品に設けた被係止部がベース部材に設けた係止部にちょうど係止される。両者が係止状態になれば、付属品のみのベース部材の法線方向への移動が規制される。つまり、付属品の転倒が防止される。
【0017】
(コネクタ接続の検出回路)
電気的コネクタに関しては、両コネクタが接続されると、その接続状態を検出するコネクタ接続検出回路が設けられているとよい。この場合、判断手段は、突出部材の位置を検出するセンサからの信号のみではなく、コネクタ接続検出回路からの信号も合わせて、付属品が接続位置にあるかどうかの判断基準にする。
【0018】
(突出部材の強制解除手段)
また、ベース部材には、突出する位置にある突出部材を強制的に突出しない位置に移動させて保持する強制解除手段が設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の分光装置では、ベース部材を設けて、このベース部材に沿って付属品をスライド移動させる構造を採用した。付属品が接続位置に達した時点で、本体および付属品の電気的な接続も光学的な接続も完了するので、付属品をベース部材上でスライド移動させるという1つの動作(ワンアクション)で、本体に対する付属品の光学的な着脱作業と、電気的コネクタの着脱作業とを実行できる。これによって、測定者作業の簡単確実性を確保できる。
【0020】
次に、接続位置に付属品があるかないかで、電源回路から本体側コネクタへの電源供給のオン・オフが自動的に切り換わるようにした。つまり、判断手段により、付属品が接続位置にないと判断されたら中間スイッチをオフし、付属品が接続位置にあると判断されたら中間スイッチをオンに切り換える。この仕組みを設けたことにより、電気的コネクタの着脱時における過大電流問題を解決できるので、本体の電源回路が、各構成(光源、干渉計など。検出器を含む場合はその検出器への電力供給も含む)に電力供給している状態であっても、安全に付属品の着脱を実行できる。測定者は本体の電源状態を気に掛けることなく、自由に付属品の着脱を実行できる。
【0021】
以上のことから、測定者にとっては、電源オンのまま、ワンアクションでの着脱作業が可能になる。付属品の交換作業の前後で、本体の光源などの安定状態を維持することができる。結果的に、付属品の交換を含めた迅速な測定の実行が可能になる。
【0022】
また、ベース部材に突出部材を設けた場合には、接続位置検出手段として機能するだけでなく、スライド移動した付属品の穴部に嵌まることによって、付属品のスライド方向(Z軸)の位置が決まり、付属品の位置再現性を確保することもできる。
【0023】
また、コネクタ同士の接続に先立って被誘導部材が誘導部材に誘導されることから、本体の幅方向(X方向)について付属品が正規の位置に誘導されるので、コネクタ同士の接続がスムーズになる。また、接続位置では誘導部材が被誘導部材の幅方向への移動を規制するので、これらの部材が幅方向(X方向)での付属品の位置再現性を確保する。
【0024】
また、付属品がベース部材から分離している状態のときにも、突出部材が突出状態になるので、中間スイッチがオンになる。そのため、本発明ではコネクタ接続検出回路を用いることによって、付属品がベース部材上に存在し、さらに、接続位置までスライド移動された場合にだけ、中間スイッチがオンになるようにすることができる。
【0025】
また、強制解除手段(リリースバー)は、電気的コネクタを安全に外すために設けた。本体から付属品を取り外す場合には、まずコネクタへの電力供給を遮断し、次にコネクタを外すという手順を確実に実行しなければならない。本発明では、接続位置検出手段を用いたので、これを自動で実施できる。付属品は接続位置において、突出部材(接続位置検出手段)でスライド移動が規制されているので、測定者が付属品をスライド移動させる際には、まずリリースバーを押込んで突出部材による規制を解除するとよい。測定者がリリースバーを押込む操作を行なえば、突出部材が強制的に突出していない状態になって、接続位置検出手段の検出信号により付属品が接続位置に無いと判断される。そうすれば、中間スイッチがオフし、本体側のコネクタへの電力供給を遮断することができる。よって、コネクタに電力が供給された状態でコネクタが切り離されてしまうということを防止することができる。測定者はリリースバーを押込む操作を行うだけで、安全に付属品を取り外すことができる。
なお、突出部材は、接続位置にある付属品のスライド方向への移動を禁止するので、接続位置において付属品がベース部材から分離できないようにする働きがある。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<全体構成>
本発明の実施形態に係る分析装置として多目的型FTIR(以下、FTIR)を挙げて説明する。その外観を
図1に示す。FTIRは、本体1と付属品3から構成される。本体1は、その筐体10に光源、干渉計および検出器などを内蔵し、干渉計の出射光を付属品3に供給するとともに、付属品3からの測定光を受け取って検出できるようになっている。
図1のように付属品3の幅方向(X軸)の寸法は、本体1の幅方向とほぼ等しく、また、付属品3の天板70と本体1の天板も高さが揃っているので、両者を接続した場合には装置として一体感が得られる。また、本体1には電源回路が設けられ、この電源回路は外部の商用電源からの電源供給を受けて本体1および付属品3の各負荷部分へ電力を供給する。
【0028】
一方、付属品3には複数の種類が用意されており、測定の目的等に応じて選択された付属品を本体に接続する。
図1に示す付属品3は、広めの測定室(測定部)に電動回転テーブルが設置されたタイプの付属品である。付属品3の前扉70および天板72は、開閉式になっている。回転テーブルは複数の試料セルを保持できる。その内の1つに測定光が照射されるようになっている。電動機などで回転テーブルを回して、順次、測定光の照射位置に試料セルを位置決めすることができる。
【0029】
なお、本発明には別の種類の付属品3を本体1に接続することも想定されている。特に、電動部分や電熱部分など電力供給を要する構成を供えた付属品を用いる場合に、本発明のメリットが発揮される。その電動部分としては、回転テーブルの電動機に限らず、光路変更用の切換ミラーなどがある。また、固有情報を有するICが付属品3に設けられている場合には、本体1がICの固有情報を読み取るためにそのICへ電源を供給する場合もある。また、付属品3に測定光の検出器が設けられている場合には、その検出器に電力を供給する。
【0030】
これらは、いずれも測定のために電力を消費する部分であり、本発明では測定用の電力負荷部と呼ぶ。本実施形態では、測定用の電力負荷部を有する付属品3について、測定光に関する光学的な接続だけではなく、電気的な接続を行うコネクタが設けられている。
【0031】
図2は、付属品を分離した際の本体1の外観図であり、
図3は、これを下方から見た外観図である。本体1は、筐体10とベースプレート12とから構成される。
図2のように本体筐体10の正面には、測定光の出射窓14、検出器への入射窓16、電気的なコネクタ18、パージガスの吐出口20が配置されている。この筐体正面は、付属品が接続された際に、付属品に対向する面になる。
【0032】
出射窓14と入射窓16は、筐体正面において高さ方向(Y軸)で言えばほぼ中間レベルの位置で、X軸方向で言えば左右の端部付近に形成されている。電気的コネクタ18は、筐体正面において下方レベルの位置で、幅方向ではほぼ中央位置に設けられている。また、パージガスの吐出口20は、出射窓14の下方位置に形成されている。その他、筐体正面には、被誘導ピン用の2つの誘導穴(誘導部材)22がある。誘導穴22は、本体1のX軸方向に沿って電気的コネクタ18を挟む位置にある。
【0033】
この筐体正面の下端には、本発明で特徴的なベースプレート12が本体筐体10に固定されている。ベースプレート12は、本体1に接続された状態の付属品3のちょうど下側にあり、付属品3を支持できる。つまり、付属品3は、本体1から少し離れた位置でベースプレート12上に載置されて、本体1に接近する方向にスライド移動されると、本体1との接続が完了するようになっている。
【0034】
ベースプレート12の底面には、ゴム足24が1つ取り付けられている。ゴム足24の位置は、ベースプレートの底面においてX軸方向で言えばほぼ中央位置に、Z軸方向で言えば本体1から離れた方の端部付近である。ゴム足24の他に、ベースプレート12には、U字形の切り欠き部(係止部)26と接続位置検出手段28が設けられている。
【0035】
接続位置検出手段28は、突出ピン(突出部材)281、コイルバネ等(弾性部材)、突出ピン281が所定位置にあるかないかを検出するセンサ、および、リリースバー284を有して構成される。
図2のように突出ピン281は、ベースプレート12の上面に突出し、かつ、コイルバネの付勢力によって突出したり突出しなかったりするように設けられている。
【0036】
図3のようにリリースバー284は、本体から付属品3を分離する際に測定者によって操作されるもので、ベースプレート12の裏面に設けられている。リリースバー284の一端である操作部は、ベースプレート12のサイドから見える位置まで伸びており、他の端部は、突出ピンに達している。測定者がリリースバー284を押し込むと、突出ピン281が強制的に下がり、つまり突出していない状態になり、付属品3を手前にスライド移動できるようになる。センサについては、後述するコネクタへの給電開始のタイミングについての説明箇所で述べる。
【0037】
図4は、付属品3だけを下方から見た外観図であり、
図5は、本体1に付属品3を接続した状態を下方から見た外観図である。
図4のように、付属品3の底面は、ベースプレート12の載置面に当接する面であり、かつ、当接した状態で載置面上をスライド移動する面である。この底面には、そのX軸方向の両端付近に2つずつゴム足30が取り付けられている。ゴム足30は、本体から分離した状態の付属品3を保管する際の足になり、付属品の底面を保護する。また、付属品3の幅は、ベースプレート12よりも広くなっていて、2つのゴム足30の間隔(X軸)はちょうどベースプレート12の幅に等しい。このため付属品3を載置する際に、左右のゴム足30の間にベースプレート12が嵌まる。スライド移動の際に、各ゴム足30がベースプレート12の側面に掛かるので、ベースプレートの両側面がちょうどガイドの役目を果たす。
【0038】
また、ゴム足30の他に、付属品の底面には、突起(被係止部)32と、突出ピン用の穴(穴部)34がある。突起32は、頭部と頭部よりも細い首部とを有し、頭部は円板状であり、一般的なネジを用いてもよい。突出ピン用の穴34は、付属品3が接続位置までスライド移動した際に、ベースプレート12の突出ピン281にちょうど一致する位置に形成され、この穴34に突出ピン281が嵌まるようになっている。
【0039】
図4では、本体1の出射窓14のある面に対向する面(裏側になっているため見えない)には、本体側の出射窓14、入射窓16、電気的コネクタ18およびパージガス吐出口20にそれぞれ対向するように、測定光の入射窓、出射窓、電気的コネクタ、パージガスの流入口が設けられている。
【0040】
付属品3は、本体1から少し離れた位置でベースプレート12上に載置される。そして、付属品3をベースプレート12に沿って本体1の方へ押し込むと、付属品のゴム足30がベースプレート12の側面にガイドされながら移動する。本体1に接近する方向に付属品をスライド移動して、光学的、電気的およびパージラインの接続が同時に実行される。
【0041】
<スライド方向の位置決め>
本実施形態では、付属品3に設けた被誘導ピン(被誘導部材)と、本体1のピン用の誘導穴22とによって、X軸方向の位置が定まる。付属品3には電気的コネクタの付近に2本の被誘導ピンが設けられており、スライド移動の際に、本体1の電気的コネクタ18の付近に形成された2つの誘導穴22に被誘導ピンがそれぞれ入っていき、X軸方向の位置決めとして機能する。
【0042】
また、ベースプレート12の突出ピン281と、付属品3の裏面のピン用の穴34とによって、Z軸方向の位置が定まる。付属品3をスライド移動させる際、非接続位置では突出ピン281が付属品3の裏面に押されて下がっているが、接続位置まで移動すると、突出ピン281がちょうど付属品3の裏面の突出ピン用の穴34の位置になる。そのため、ピン281が突出して、その穴34に嵌まり込む。付属品3が抜ける方向にスライドしないように、ピン281が付属品のZ軸方向の移動を規制する。このように、ピン281は付属品のスライド面上での位置決めにもなっている。
【0043】
このように、本体1の筐体正面の誘導穴22に付属品3の被誘導ピンが入り込むので、本体1に対して付属品3のX軸方向の位置が決まり、また、ベースプレートの突出ピン281によって付属品3のZ軸方向の位置も決まる。なお、Y軸方向の位置決めについては、もともと付属品3がベースプレート12に載置されるので、一定の高さ位置が保たれる。このようにして、本体1に対する付属品3の位置および姿勢の再現性が確保される。
なお、本体1から付属品3を分離する際は、リリースバー284を押し込んで突出ピン281を強制的に下げることができるので、付属品3を手前にスライド移動して本体1から分離することができる。
【0044】
<転倒防止>
本実施形態では、付属品3の裏面に設けられた突起32と、ベースプレート12に形成された切り欠き部26とによって、付属品3の転倒が防止される。例えば、ATRの測定では、測定者が付属品3の蓋を開けて行う作業を伴う。ATR用の付属品3には、測定部にノブが付いており、このノブを回して、試料にプリズムを押し付けるといった作業がある。そのような作業では、測定者が付属品3を持ち上げてしまうケースも考えられる。これを防止するには、単に付属品3をベースプレート12の上に載置してスライド方向に押し込むというだけでなく、付属品3が本体1に固定されている必要が生じる。そのため、付属品3が本体側にスライドするときに、突起32がおのずと切り欠き部26に引っかかって、付属品3がベースプレート12から浮き上がるのを防止して、付属品3が倒れないようになっている。
【0045】
<電気的コネクタへの給電開始のタイミング>
接続位置検出手段28のセンサ283の働きについて
図6、7に基づいて説明する。
図6は、本実施形態のFTIRを機能ブロックで示した図である。
図6のように、本体1では、電源回路56から光源50、干渉計52、検出器54などに電力が供給される。また、電源回路56からコネクタ18へも電力が供給される。電源回路56とコネクタ18との間の電力供給線上には中間スイッチ66が設けられている。本体1からの電力はコネクタ18を介して付属品3へ供給される。この電力は、付属品側のコネクタ38から電動機用の制御IC44に供給され、制御IC44によって回転テーブル用の電動機42が駆動制御される。
【0046】
図6のように本体1の干渉計52は、光源50からの光を使って測定光を生成して付属品3へ送る。付属品3では、測定部40にて測定光を用いた試料の測定が実行される。測定部40を透過した光は、再び本体1に戻り、本体1の検出器54に検出される。
【0047】
また、本体1へは外部からパージガスの供給がある。パージガスは本体内部の必要な箇所(測定光の光路周囲など)にパージされる。また、その一部は吐出口20から付属品3へも送られて、パージライン62を通って測定部40などの必要な箇所にパージされる。
【0048】
本体1の制御回路58は、干渉計52や検出器54との間で信号の授受を行う。また、制御回路58はコネクタ18を経由して、付属品3の制御IC44などとの間でも信号の授受を行うことができる。授受される信号には、干渉計52の可動ミラーの位置制御用信号、検出器54からの光強度信号、筐体表面に設けられた操作パネル60(
図1参照)との間の信号、付属品3の電動機用制御IC44の制御信号などが含まれる。
なお、
図6に、付属品側の被誘導ピン36と、本体側のピン用の誘導穴22とを模式的に表わした。例えば、付属品側の被誘導ピン36を同じ付属品側のコネクタ38よりもスライド方向に長く突出して設けることによって、
図6のように付属品3が非接続位置に載置されている状態では、誘導穴22と被誘導ピン36の間隔L2が、コネクタ同士の間隔L1よりも狭くなる。このようにすれば、電気的なコネクタ同士18,38の接続に先立って、誘導穴22と被誘導ピン36とによる誘導が開始されるので、付属品3が幅方向に位置決めされた状態でコネクタの接続が実行されることになる。
【0049】
図7は、電気的コネクタ18への給電制御を説明する模式図であり、
図7(A)は付属品3が非接続位置にある場合を、
図7(B)は付属品3が接続位置にある場合を示す。ベースプレート12は、突出ピン281の変位に応じて、所定位置に突出ピン281があるかどうかを検出するセンサ283を内蔵する。突出ピン281が出て、付属品側のコネクタ38が接続された状態であることを判断手段68が確認すると、中間スイッチ66をオンに切り換えてコネクタ18に給電を開始するようになっている。このセンサ283の検出信号に基づいて、本体側から付属品側への電力供給が開始されるのである。なお、判断手段68は、本体1内にアナログ回路として構成してもよいし、または、制御回路58に組み込まれたマイクロコンピュータなどによって構成してもよい。
【0050】
2つのコネクタ18,38の着脱はスライド動作に伴って実行される。コネクタ同士を押し込んだり、引き抜いたりする際に、グラウンド線と電力供給線とが同時に着脱される場合はよいが、過渡的に片側の線だけが先に接続されたり、切り離されたりすることが瞬間的に起こると、予定外の電圧が付属品側に印加されてしまい、付属品側の電気回路(制御IC44などのボードを含む)を破損するおそれがある。
【0051】
本実施形態では、突出ピン281の頭が押されてペースプレート12から突出していない状態を非突出状態として、突出ピン281の頭が押されずベースプレート12から突出している状態を突出状態として、突出ピン281の突出状態をセンサ283で検出することにした。付属品3が接続位置にあればコネクタ同士の接続が完了しているので、本体側のコネクタ18にいつでも給電できるし、給電を停止できる。また、付属品3が接続位置にあるかどうかは、突出ピン281が突出状態であるかどうかで判断する。センサ283によって突出ピン281が接続位置にあることが分かれば、コネクタ18への電力供給を開始するようにした。
【0052】
また、付属品3を分離する際には、測定者がリリースバーを押し込むことによって、強制的に突出ピン281が非突出状態になる。よって、センサ283はピン281が突出状態でないことを検出するので、判断手段68が中間スイッチ66をオフに切り換えてコネクタ18への電力供給が停止される。その後は、電気的に安全な状態で付属品3をスライド移動させることができる。
【0053】
さらに、付属品3がベースプレート12に載置されていない場合についても、コネクタへ18の給電を停止させることを考慮したシステムも採用できる。付属品3が載っていない場合は、突出ピン281は突出状態になるので、別途、コネクタ同士が実際に接続しているかどうかを検出する回路64を本体1に設けた。
【0054】
この検出回路64は、コネクタ接続検出回路であり、コネクタ同士が接続したら、所定の端子間が短絡するようになっている。例えば、本体側のコネクタ18に検出用の線を設けて、接続状態では本体側のグラウンド線と検出用の線とが短絡するようにしてもよい。ここで検出用の線は電力供給には無関係の線を用いるのがよい。検出用の線の電圧または電流を検出することによって、コネクタ同士18,38の接続の有無を直接的に検出することができる。つまり、コネクタが非接続の場合は、検出用の線がオープンになっているが、接続されるとこれがクローズになるから、検出用の線の電圧または電流の検出によって接続の有無を判断できる。本実施形態では、上記の突出ピン281の突出状態を検出するセンサ283の検出信号と、この検出回路64の検出信号とを合わせて、判断手段68が付属品3の状況(取り外されているか、非接続位置にあるか、または、接続位置にあるか)を判断する。
【0055】
以上の判断基準を表1に示す。
(表1)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
検出信号1 検出信号2 判断結果
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
付属品 ピンの状態 短絡の有無
ケース1( なし ) 突出 無し 供給停止
ケース2(非接続位置) 非突出 無し 供給停止
ケース3( 接続位置 ) 突出 有り 供給
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0056】
実際には付属品3が接続されたら、そのグラウンド線が短絡するし、突出ピン281も穴34に入り込むので、付属品3に給電できる状態になる。また、リリースのときはバーで強制的にピン281を押し下げるので、電力が供給されない状態になる。
【0057】
本実施形態では、上述の光学的な接続および電気的接続に加えて、パージラインの接続もワンアクションで可能になっている。本体1の筐体正面にパージラインの吐出口20があり、付属品3の対向面にも吐出口20に対応する位置にパージラインの吸入口がある。付属品3が接続位置までスライド移動されると、パージラインが接続されて、付属品へパージガスが供給されるようになっている。
【0058】
<一括着脱>
本実施形態のFTIRには、ベースプレート12に沿って付属品3をスライド移動させる構造を採用した。付属品3が接続位置に達した時点で、本体1および付属品3の電気的な接続も光学的な接続も完了するので、付属品3をベースプレート12上でスライド移動させるというワンアクションで、本体1に対する付属品3の光学的、電気的、およびパージラインの着脱作業を実行できる。これによって、測定者作業の簡単確実性を確保できる。
なお、
図6のようにコネクタ18,38の接続に先立って、付属品3の被誘導ピン36が本体の誘導穴22に誘導されることから、X軸方向について付属品が正規の位置に誘導されるので、コネクタ同士の接続がスムーズになる。
【0059】
<電気的コネクタの安全性の確保>
コネクタ同士を接続する際には、突出ピン281が突出位置か非突出位置かをセンサ283が検出して、これに基づいて判断手段68が中間スイッチ66のオン・オフを切り換える。ピン281が押されている(下位置)のときは、中間スイッチ66がオフになるので、コネクタ18への電力供給が停止され、電気的に安全な状態になる。
【0060】
付属品3を外す際には、まず、コネクタ18への電力供給を遮断し、次にコネクタ18を外す操作を行う必要がある。本実施形態では突出ピン281の位置の検出センサ283を用いたので、これを自動で実施できるようになった。付属品3は突出ピン281でロックされていて、スライド移動できない状態になっている。測定者が付属品3をスライド移動させるには、まずリリースバー284を押込んで突出ピン281のロックを解除する。解除すれば付属品3のスライド方向の規制がなくなる。リリースバー284により突出ピン281が強制的に非突出位置になるので、センサ283の検出信号に基づいて判断手段68が中間スイッチ66をオフに切り換えるから、本体側のコネクタ18への電力供給が自動的に遮断される。電源がつながった状態でコネクタが外されることを制御的に回避することができる。よって、測定者はリリースバー284を押込む操作を行うだけで、安全に付属品3を取り外すことができる。このように電気的に安全な状態でコネクタの着脱が実行できるので、付属品側の電気回路(ボード)を保護することができる。
【0061】
さらに、本実施形態では、コネクタ接続検出回路64を用いることによって、付属品3がベースプレート上に存在し、かつ、接続位置までスライド移動された場合にだけ、中間スイッチ66がオンになるようにしたので、コネクタ同士が接続されていない場合は、本体側コネクタ18への給電を休止した状態にすることができる。
【0062】
<位置再現性を確保する形状>
付属品3のZ軸方向については、ベースプレート12に突出ピン281を設けたので、この突出ピン281が付属品のピン用の穴34に嵌まることによって、付属品3のZ軸方向の位置が決まり、付属品3の位置再現性を確保することもできる。
付属品3のX軸方向については、その接続位置では誘導穴22が被誘導ピン36のX軸方向への移動を規制するので、これらの部材22,36がX軸方向についての付属品3の位置再現性を確保する。
なお、ベースプレート12の法線方向については、ベースプレート上で付属品3をスライド移動させる構成としている。よって、付属品3はベースプレート12との接触により、その法線方向の位置が決まるので、法線方向(Y軸)における位置再現性も確保される。
【0063】
なお、本実施形態ではFTIRの場合について説明したが、回折格子を用いた分散型の赤外分光光度計にも本発明の本体および付属品の接続部分の構成を適用できる。
また、本実施形態において本体が検出器を内蔵しているが、付属品が検出器を内蔵していてもよい。この場合は、検出器に付属する電気回路の保護という効果が得られる。