(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される昨今の携帯端末において、リフローによる半田付けが可能なマイク(以下、「リフロー型マイク」と呼ぶ)が使用されている。一方、デザイン性を向上させるために、送話音孔(マイク音孔)をできるだけ目立たない位置、たとえば、筐体の側面に配置した携帯端末が増えている。
【0003】
図15は、送話音孔を目立たない位置に配置した、一般的な携帯端末1の外観斜視図である。携帯端末1の表面中央部には、表示部3が配置される。携帯端末1の上端部表面には、受話音孔4が形成される。携帯端末1の下端部側面(ボトム面5)には、送話音孔2が形成される。携帯端末1は、フロント側筐体6とリア側筐体7とを備える。以下では、受話音孔4がフロント側筐体6に形成され、送話音孔2がリア側筐体7に形成されているものとする。
【0004】
図16は、一般的なリフロー型マイク10の外観斜視図である。
図17は、リフロー型マイク10の内部構成図である。リフロー型マイク10は、カバー部11と基板14を備える。基板14の一方の面には、少なくとも、増幅部12および振動板部13が実装される。基板14の反対側の面には、電極部16が形成される。カバー部11の上面(基板14が取り付けられる面と反対側の面)には、マイク音孔15が形成される。
【0005】
図18は、携帯端末1の要部斜視図である。携帯端末1は、基板20を備える。リフロー型マイク10は、基板20の端部に実装される。リフロー型マイク10は、マイクホルダ30によって保持される。
【0006】
図19は、携帯端末1の要部断面図である。リフロー型マイク10を搭載した基板20は、フロント側筐体6の所定位置に位置決めされる。リア側筐体7のボトム面には、送話音孔2が形成される。フロント側筐体6とリア側筐体7とが嵌合された状態において、送話音孔2から入力された音は、リフロー型マイク10とリア側筐体7とマイクホルダ30とよって形成された密閉空間である音道32を介して、リフロー型マイク10の上面に配置されたマイク音孔15に導かれる。
【0007】
また、特許文献1は、上面にマイク音孔が形成されたマイクを、ボトム面に向けて実装した携帯端末についての記載がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、リフロー型マイク10において、マイク音孔15は、カバー部11の上面に形成される。従って、送話音孔2がボトム面に形成されている携帯端末1にリフロー型マイク10が組み込まれる際、
図19に示すように、マイク音孔15と送話音孔2との配置は、両孔軸が直交状態となるような配置となる。すなわち、音道32は、幾度も折れ曲がった複雑且つ長いものとなってしまう。
【0010】
図20は、マイク音道の長さの違いによるマイク特性の変化を示したグラフである。
図20に示すように、一般的には、音道が長くなると高音域での感度が高くなりすぎる傾向がある。そして、全音域においてなるべくマイク感度がフラットとなる特性が理想的なマイク特性とされている。
【0011】
しかしながら、リフロー型マイク10の場合は上述したように音道32が長くなることによって高音域での感度が高くなりすぎため、良好なマイク特性を得ることは困難である。
【0012】
また、上述したような複雑な経路を密閉しようとする場合、密閉構造の複雑化(マイクホルダ30の形状の複雑化)が懸念される。具体的には、
図18および
図19に示すように、リフロー型マイク10を2つの方向(Z方向およびY方向)からホールド可能なマイクホルダ30を用意する必要がある。
【0013】
さらに、一般的に、リフロー型マイクを基板に自動搭載する際、上面部分が吸着ノズルによって吸着される。この場合、吸着ノズルがマイク音孔15を吸着してしまうと、マイク内部において発生する吸引力によって内部の部品(特に振動板部13)が変形するなどマイク故障の原因となりうる。従って、マイク音孔15を避けた吸着エリアS1(
図16参照)のみを限定的に吸着する必要がある。しかも、近年、リフロー型マイク10の小型化が進んでおり、吸着エリアS1がますます狭くなる傾向にある。吸着エリアS1が狭くなると、マイク音孔15を誤って吸着しないようにするための益々の配慮が必要となる。すなわち、リフロー型マイク10は、自動実装する際の作業性が低下するという課題を有する。
【0014】
一方、特許文献1では、マイクを90度傾けて配置することによりマイクの音孔をボトム面に指向させる構造について記載している。このような構造により、マイク特性の劣化および音道の密閉構造の複雑化は回避される可能性は高まる。しかしながら、特許文献1のような構造の場合、専用のフレキシブル基板などにマイクを実装する必要があり、実装構造が複雑化する虞がある。また、携帯端末のサイズの制約によりこのような実装構造自体を採用できない場合も想定される。
【0015】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、マイク特性および実装性に優れたマイクおよびその実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のマイクは、基板部と、中空箱状を成し、いずれか1つの面に前記基板部を覆うための開口部が形成されるカバー部と、前記カバー部の前記開口部が形成される面に接する複数の面のうちのいずれかの面に形成される集音用のマイク音孔と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、マイク特性および実装性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るマイク100の分解斜視図である。マイク100は、 基板部102と、カバー部104と、を備える。カバー部104は、中空箱状を成し、いずれか1つの面に基板部102を覆うための開口部108が形成される。カバー部104の側面(開口部108が形成される面に接する複数の面のうちのいずれかの面)には、集音用のマイク音孔106が形成される。
【0020】
マイク100は、所定の装置、例えば、携帯端末200に組み込まれる。
図2は、マイク100を組み込んだ携帯端末200の要部断面図である。マイク100は、基板202に実装される。一方、携帯端末200の筐体204のボトム面には、送話音孔206が設けられる。基板202は、筐体204内において、マイク100が実装された側の辺が送話音孔206側に指向するように配置される。筐体204内において、送話音孔206とマイク音孔106とを結ぶ経路は、密閉部材250によって密閉される。密閉された空間は、音道252を形成する。
【0021】
以上説明したように、マイク100においてマイク音孔106は、カバー部104の側面に形成される。送話音孔206がボトム面に形成されている携帯端末200にマイク100が組み込まれる際、マイク音孔106を送話音孔206に対向させることができるので、音道252の長さを短くさせることが可能となる。よって、高音域のみでの感度の突出を抑え全音域においてフラットなマイク特性を得ることができる。
【0022】
さらに、マイク音孔106を送話音孔206に対向させることによって、
図2に示すように、密閉部材250のホールド方向(圧縮方向)を、1方向(
図2におけるY方向)のみとすることが可能となる。よって、マイク100の場合、一般的なリフロー型マイク10(
図16または
図19参照)に較べて、音道252の密閉構造(密閉部材250の構造および取り付け作業性)を単純化させることができる。
【0023】
しかも、マイク100の場合、マイク音孔106はカバー部104の側面に形成されるので、カバー部104の上面(開口部108が形成される面と対向する面)全てを吸着エリアとすることができる。よって、マイク100を基板202に自動実装する際、マイク音孔106を避ける等の面倒な配慮は、不要となる。さらに、仮に誤吸着が発生した場合であっても、マイク100内部の振動板部材(不図示)が破損する可能性は極めて低い。
【0024】
以上を纏めると、第1の実施形態のマイク100は、マイク特性および実装性を向上させることが可能となる。
[第2の実施形態]
(1)リフロー型マイク
図3は、本発明の第2の実施形態に係るリフロー型マイク300の外観斜視図である。
図4は、リフロー型マイク300の内部構成図である。
【0025】
リフロー型マイク300は、基板部302とカバー部304とを備える。
【0026】
基板部302の一方の面には、少なくとも、振動板部310および増幅部312が実装される。振動板部310は、音響信号を電気信号に変換する。増幅部312は、振動板部310によって生成された電気信号を、後段回路(不図示)で信号処理をし易くするために増幅する。基板部302の他方の面には、電極部314が形成される。電極部314は、機器側(例えば、携帯端末)の基板上のパッドに半田付けされる。
【0027】
カバー部304は、基板部302をその上方から覆う。具体的には、カバー部304は、中空箱状を成し、いずれか1つの面に基板部302を覆うための開口部308(
図4参照)が形成される。リフロー型マイク300内への不必要な音の侵入を阻止するために、基板部302とカバー部304との接触部分は、接着剤や封止材によって密閉されている。カバー部304の側面(開口部308が形成される面に接する複数の面のうちのいずれかの面)には、集音用のマイク音孔306が形成される。
【0028】
以上説明したリフロー型マイク300を、送話音孔がボトム面に形成されている携帯端末に組み込む際、マイク音孔306を送話音孔に対向させることができる。これによって、音道の短縮化が可能となる。音道の短縮化によって、高音域のみでの感度の突出を抑え全音域においてフラットなマイク特性を得ることができる。
【0029】
さらに、マイク音孔306を装置側の送話音孔に対向させることによって、マイクホルダのホールド方向(圧縮方向)を1方向のみとすることが可能となる。よって、リフロー型マイク300の場合、一般的なリフロー型マイク10(
図16または
図19参照)に較べて、音道の密閉構造を単純化させることができる。
【0030】
しかも、リフロー型マイク300の場合、マイク音孔306はカバー部304の側面に形成されるので、カバー部304の上面(開口部308が形成される面と対向する面)全てを吸着エリアS2(
図3参照)とすることができる。よって、リフロー型マイク300を装置側の基板に自動実装する際、マイク音孔306を避ける等の面倒な配慮は、不要となる。また、仮に誤吸着が発生した場合であっても、マイク音孔306が直接吸着される可能性は極めて低いので、振動板部310が破損する懸念は払拭される。
【0031】
以上を纏めると、第2の実施形態のリフロー型マイク300は、マイク特性および実装性を向上させることが可能となる。
【0032】
なお、マイク音孔306は、複数の側面(例えば、リフロー型マイク300が直方体や立方体の場合は4つ)のうちのいずれか1つに形成されていれば十分であるが、マイク音孔306と振動板部310との距離が短くなる側面に形成されるとより好ましい。これにより、音道をより一層短くすることができ、マイク感度を向上させることが可能となる。
【0033】
また、高さ方向(
図4に示すZ方向)の実装サイズに余裕がある場合、リフロー型マイク300の高さ(実質的には、カバー部304の高さ)寸法を可能な限り大きくすると好ましい。これによりリフロー型マイク300内の音経路空間が増え、集音時に音を効率よく振動板に伝えることが可能となる。従って、マイク感度をより一層向上させることが可能となる。さらに、カバー部304の高さ寸法が大きくなると、マイクホルダとの当接面積が増大することになる。よって、より確実な密閉が可能となる。
【0034】
カバー部304の材質の例としては、例えば、金属、あるいはFR4等の基板材を挙げることができる。FR4は、Flame Retardant Type 4の略で、ガラス布基材エポキシ樹脂多層基板材料(ガラスエポキシマルチ)などとも呼ばれる。
(2)リフロー型マイクの実装構造
以下では、以上説明したリフロー型マイク300を、
図15に示す携帯端末1に実装する場合の実装構造(2−1)〜(2−4)について説明する。なお、全ての実装構造(2−1)〜(2−4)において、(1)で説明したリフロー型マイク300を使用するものとする。また、リフロー型マイク300を実装する場合であっても、携帯端末1の構成自体は、
図15、
図18、および
図19に示す構成要素と基本的には同様である。ただし、実装構造によって一部の構成要素の形状等が異なる場合があるので、その場合はその構成要素には、符号の末尾にアルファベットA、B・・・を付与し区別するようにする。
(2−1)第1の実装構造
図5は、第1の実装構造の要部斜視図である。
図6は、第1の実装構造の要部断面図である。携帯端末1Aは、基板20Aを備える。リフロー型マイク300は、基板20Aの端部に実装される。具体的には、例えば、リフロー型マイク300の端部と基板20Aの端部とが略同一面、あるいは、リフロー型マイク300の端部が基板20Aの端部内側、すなわち、端部よりも基板20Aの中央寄りになるように実装される。リフロー型マイク300を実装した基板20Aは、携帯端末1Aのフロント側筐体6の所定位置に位置決めされる。
【0035】
デザイン上の理由から、送話音孔2は、携帯端末1Aのボトム面(具体的には、リア側筐体7の下端部側面)に形成される。上述したように、リフロー型マイク300のマイク音孔306は、カバー部304の側面に形成されている。従って、フロント側筐体7とリア側筐体6とを嵌合した際、リフロー型マイク300のマイク音孔306は、リア側筐体6に形成された送話音孔2に対向する。
【0036】
送話音孔2とマイク音孔306との間には、マイクホルダ30A(密閉部材)が介在する。マイクホルダ30Aは、密閉且つ圧縮可能な材料で形成される。マイクホルダ30Aは、少なくとも板状部分を有し、板状部分の略中央部には、マイク音孔306および送話音孔2が遮蔽されない大きさの貫通孔400が形成される。本実装構造では、マイクホルダ30Aが略ロ字形状に形成される場合を例に挙げる。
【0037】
マイクホルダ30Aは、リア側筐体7の、送話音孔2周囲の内壁部分に、例えば両面テープ等で予め貼付されている。リア側筐体7とフロント側筐体6とを嵌合する際、マイクホルダ30Aは圧縮され、最終的に、音道32Aが形成される。なお、この場合のマイクホルダ30Aの圧縮方向は、リフロー型マイク300とリア側筐体7とが対向する方向(
図6におけるY方向)のみとなる。
【0038】
以上説明した第1の実装構造において、送話音孔2がボトム面に形成されている携帯端末1Aにリフロー型マイク300が実装される際、マイク音孔306は、送話音孔2に対向するように配置される。従って、音道32Aの長さが短くなり、高音域のみでの感度の突出を抑えて全音域においてフラットなマイク特性を得ることができる。
【0039】
さらに、以上説明した第1の実装構造では、マイクホルダ30Aのホールド方向(圧縮方向)を1方向のみとすることができるので、音道32Aの密閉構造を単純なものとすることが可能である。
【0040】
なお、リフロー型マイク300の側面の面積が小さい場合にはマイクホルダ30Aのサイズ自体も小さくなり、組み立て作業性が低下する虞がある。このような場合、マイクホルダ30Aを、リフロー型マイク300の側面だけではなく基板20A部分も密閉領域として含めた大きさにすることもできる。このようにすることにより、密閉性を確保したまま作業性を維持することができる。
(2−2)第2の実装構造
図7は、第2の実装構造の要部斜視図である。
図8は、第2の実装構造の要部断面図である。携帯端末1Bは、基板20Bを備える。リフロー型マイク300は、基板20B上において、マイク音孔306が形成される側の端部の一部が基板20Bからはみ出すように実装される。リフロー型マイク300を実装した基板20Bは、携帯端末1Bのフロント側筐体6の所定位置に位置決めされる。フロント側筐体7とリア側筐体6とを嵌合した際、第1の実装構造と同様に、リフロー型マイク300のマイク音孔306は、リア側筐体6に形成された送話音孔2に対向する。
【0041】
送話音孔2とマイク音孔306との間には、マイクホルダ30B(密閉部材)が介在する。マイクホルダ30Bの材質および基本機能は、第1の実装構造におけるマイクホルダ30Aと同じである。両者の違いは、形状である。マイクホルダ30Bは、リフロー型マイク300のはみ出した端部の一部を挿入するために一方向のみに開口した孔部402を有する中空箱状に形成される。孔部402の底部の所定位置には、マイクホルダ30Aと同様の貫通孔400が形成される。孔部402の内壁は、リフロー型マイク300における上記はみ出した部分の外壁形状に合わせた形状に形成される。
【0042】
リア側筐体7とフロント側筐体6とを嵌合する際、マイクホルダ30Bの孔部402に上記はみ出し部が挿入される。その後、マイクホルダ30Bは圧縮され、最終的に、密閉空間である音道32Bが形成される。なお、この場合のマイクホルダ30Bの圧縮方向は、第1の実装構造の場合と同様に、リフロー型マイク300とリア側筐体7とが対向する方向(
図8におけるY方向)のみとなる。
【0043】
以上説明した第2の実装構造によって、第1の実装構造と同様に、マイク特性のフラット化および密閉構造の単純化が達成される。
【0044】
さらに、第2の実装構造によれば、リフロー型マイク300(すなわち、マイク音孔306)と送話音孔2とをより接近させることが可能となる。これにより、マイク特性をより向上させることが可能となる。
【0045】
また、マイクホルダ20Bの固定作業を行う際、リフロー型マイク300のはみ出し先端部にマイクホルダ20Bを装着するだけでよく、糊付けや位置決め等の作業は不要である。従って、組み立て(あるいは交換)の作業性を向上させることが可能となる。
【0046】
なお、マイクホルダ20Bの孔部402のサイズを、リフロー型マイク300のはみ出し先端部のサイズよりも若干小さめに設定すると好ましい。これにより、リフロー型マイク300とマイクホルダ30Bとが圧入装着されるので、両者がより強固に密着し、密閉性が向上するとともに脱落防止にもなる。
(2−3)第3の実装構造
図9は、第3の実装構造の要部斜視図である。
図10は、第3の実装構造の要部上面図である。
図11は、第3の実装構造の要部断面図である。
【0047】
携帯端末1Cは、基板20Cを備える。基板20Cのリフロー型マイク300が実装される領域の両サイドには、基板20Cの端部から所定の長さだけ切り欠かれた切欠部350が形成される。
【0048】
リフロー型マイク300は、基板20C上において、マイク音孔306が形成される側の端部と基板20Cの端部とが略同一面となるように実装される。すなわち、第3の実装構造の場合、リフロー型マイク300の底面(基板部302の裏面が露出している側の面)の全領域は、基板20Cに固定されている。
【0049】
送話音孔2とマイク音孔306との間には、マイクホルダ30C(密閉部材)が介在する。マイクホルダ30Cの材質および基本機能は、第2の実装構造におけるマイクホルダ30Bと同じである。両者の違いは、形状である。マイクホルダ30Cの孔部402の内壁形状は、マイクホルダ30Bの内壁形状と同じであるが、マイクホルダ30Cの外壁形状は、切欠部350における基板20Cの内壁形状に合わせた形状に形成されている。
【0050】
リア側筐体7とフロント側筐体6とを嵌合する際、マイクホルダ30Cの側壁(孔部402の底部から起立する壁)が切欠部350に挿入される。この場合、マイクホルダ30Cの孔部402には切欠部350の奥行き方向の長さに相当する基板20Cの先端部分が挿入される。その後、マイクホルダ30Cは圧縮され、最終的には、密閉空間である音道32Cが形成される。なお、この場合のマイクホルダ30Bの圧縮方向は、第1の実装構造の場合と同様に、リフロー型マイク300とリア側筐体7とが対向する方向(
図11のY方向)のみとなる。
【0051】
以上説明した第3の実装構造によって、第1の実装構造と同様に、マイク特性のフラット化および密閉構造の単純化が達成される。
【0052】
さらに、第3の実装構造によれば、第2の実装構造と同様に、マイク特性のさらなる向上、および、組み立て(あるいは交換)の作業性を向上させることが可能となる。
【0053】
さらに、第3の実装構造の場合、リフロー型マイク300の底面の全領域は、基板20Cに固定されている。よって、リフロー型マイク300が基板20Cから脱落するリスクを低下させることが可能となる。もちろん、この場合であっても、マイク音孔306と送話音孔2とが近接した状態は、維持される。
【0054】
なお、切欠部350のサイズ(幅、奥行き)は、できるだけ小さいほうが好ましい。その理由は、切欠部350を設けたことによる基板端部の強度低下をできるだけ抑えることができるからである。
【0055】
また、マイクホルダ20Cの孔部402のサイズを、リフロー型マイク300のはみ出し先端部のサイズよりも若干小さめに設定すると好ましい。さらに、マイクホルダ30Cの側壁の肉厚を、切欠部350の幅よりも若干大きく設定すると好ましい。これにより、リフロー型マイク300とマイクホルダ30Cとが圧入装着されるので、両者がより強固に密着し、密閉性が向上するとともに脱落防止にもなる。
(2−4)第4の実装構造例
図12は、第4の実装構造の要部斜視図である。
図13は、第4の実装構造の要部上面図である。
図14は、第4の実装構造の要部断面図である。
【0056】
携帯端末1Dは、基板20Dを備える。基板20Dのリフロー型マイク300が実装される領域の両サイドには、第3の実装構造の場合と同様に、基板20Dの端部から所定の長さだけ切り欠かれた切欠部350が形成される。基板20Dの場合、さらに、切欠部350の最深部の所定位置に、後述する、マイクホルダ30Dの凸部354の形状に対応した凹部352が形成される。
【0057】
リフロー型マイク300は、基板20D上において、マイク音孔306が形成される側の端部と基板20Dの端部とが略同一面となるように実装される。すなわち、第3の実装構造の場合と同様に、リフロー型マイク300の底面の全領域は、基板20Dに固定されている。
【0058】
送話音孔2とマイク音孔306との間には、マイクホルダ30D(密閉部材)が介在する。マイクホルダ30Dの材質および基本機能は、第3の実装構造におけるマイクホルダ30Cと同じである。両者の違いは、形状である。マイクホルダ30Dの横方向(
図12および
図13に示すX方向)における一対の側壁(孔部402の底部から起立する壁)の外側の面の所定位置には、抜け防止用の凸部354が形成される。
【0059】
リア側筐体7とフロント側筐体6とを嵌合する際、マイクホルダ30Dの側壁が切欠部350に挿入される。さらに、マイクホルダ30Dの孔部402に切欠部350の奥行き方向の長さに相当する基板20Dの先端部分が挿入される。そして、マイクホルダ30Dの先端部が、切欠部350の最深部に到達すると、マイクホルダ30Dの先端部に形成された凸部354が、切欠部350の凹部352に嵌合する。その後、マイクホルダ30Dは圧縮され、最終的には、密閉空間である音道32Dが形成される。なお、この場合のマイクホルダ30Dの圧縮方向は、第1の実装構造の場合と同様に、リフロー型マイク300とリア側筐体7とが対向する方向(
図14に示すY方向)のみとなる。
【0060】
以上説明した第4の実装構造によれば、第3の実装構造と同様の効果を得ることができる。
【0061】
さらに、第4の実装構造の場合、上述したような抜け防止機能を有するので、切欠部350の奥行き寸法を短くすることができる。これにより、基板20Dの切欠領域をさらに少なくすることができ、切欠部350を設けたことによる基板端部の強度低下をより一層抑えることが可能となる。
【0062】
なお、
図12では、凸部354がマイクホルダ30Dの側壁の外側の面の高さ方向(
図12に示すZ方向)において部分的に形成されている場合を例に挙げている。しかしながら、凸部354は、上記高さ方向の全域に亘って形成されてもよい。また、凸部354は、複数であってもよい。
【0063】
また、マイクホルダ30A〜30Dの材質は、密閉および圧縮可能なものであれば如何なる材質であってもよい。マイクホルダ30A〜30Dの材質としては、例えば、ポロン材のような独立発泡構造の材質や、凹凸を吸収できる硬度の低いシリコンゴムなどを挙げることができる。
【0064】
なお、第2の実施形態では、直方体(全ての面が長方形)を成し且つ短辺側の側面にマイク音孔が設けられたリフロー型マイクを実装する場合を例に挙げた。しかしながら、第1〜第4の実装構造は、長辺側の側面にマイク音孔が設けられたリフロー型マイクの実装にも適用することが可能である。また、第1〜第4の実装構造は、四角柱(長方形ではない面を含む)あるいは立方体(すべての面が正方形)を成すリフロー型マイクの実装にも適用することが可能である。
【0065】
また、第1〜第4の実装構造は、マイク音孔がボトム面に形成された携帯端末に限定されることなく、マイク音孔が側面やトップ面に形成された携帯端末にも適用可能である。
【0066】
なお、携帯端末の具体例としては、たとえば、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン、あるいはデジタルカメラなどを挙げることができる。