(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
遊技球が流下する遊技領域を有する遊技盤と、前記遊技領域に設けられた始動口および大入賞口と、この大入賞口を開閉するアタッカー装置と、前記始動口に遊技球が入賞したことを契機に特別図柄の当否に係る抽選を行う特別図柄抽選手段と、この特別図柄抽選手段による抽選で特図当たりに当選した場合に、大当たり遊技を提供する大当たり遊技制御手段と、前記遊技盤に設けられた演出表示装置と、前記演出表示装置の表示制御を行う演出表示制御手段と、前記大入賞口に入賞した遊技球を検知する遊技球検知手段と、を備え、前記大当たり遊技は、前記アタッカー装置が前記大入賞口を開放して遊技球の入賞が許容され、規定個数の遊技球が前記大入賞口に入賞したことまたはその他の終了条件が成立した場合に前記アタッカー装置が前記大入賞口を閉鎖する、という内容のラウンド遊技を規定回数まで繰り返し実行する構成とされたパチンコ機において、
前記演出表示制御手段は、前記大当たり遊技が開始されると、その大当たり遊技で実行される前記規定回数以下の回数であるラウンド期待数に前記規定個数を乗じて求めた数である入賞期待数に基づく第1数値情報を表示すると共に、前記遊技球検知手段からの検知信号に基づいて、前記大当たり遊技の開始から数えて前記大入賞口に入賞した遊技球の個数情報に基づく第2数値情報を所定の態様で表示し、
さらに、前記ラウンド遊技中に前記遊技球検知手段が検知した遊技球の入賞個数が前記規定個数に到達する前に前記終了条件が成立して前記ラウンド遊技が終了するという特定の事態が発生した場合には、前記演出表示制御手段は、前記第2数値情報または前記第1数値情報を、前記遊技球検知手段が検知した遊技球の入賞個数と前記規定個数との差に相当する未入賞個数を反映した数値に基づいて補正して表示するようにし、
前記演出表示制御手段は、前記検知信号が入力される毎に遊技球の入賞個数を1ずつ累積加算し、その累積加算された数値に基づく情報を前記第2数値情報として前記第1数値情報とは別個に表示する共に、今回の前記ラウンド遊技において前記特定の事態が生じた場合には、前記累積加算された数値に前記未入賞個数を加算することにより補正した数値に基づく情報を新たな前記第2数値情報として次の前記ラウンド遊技にて表示するようにした
ことを特徴とするパチンコ機。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態例を、図面を参照して説明するが、その説明にあたり、便宜上、「特別図柄」の文言については「特図」と省略し、「普通図柄」の文言については「普図」と省略することにする。また、特に断らない限り、「遊技」とは、第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる遊技のことを指すものとする。
【0022】
図1および
図2に示すように、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の内側に収容される遊技盤3と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられ、中央に大きく開口部8が形成されたガラス扉4と、このガラス扉4の開口部8に取り付けられた透明なガラス板10と、本体枠2の下側に開閉自在に配設され、遊技球を収容する受皿5を有する前面ボード6と、本体枠2の下部に設けられた発射装置9と、前面ボード6に取り付けられたハンドル7と、を具備している。さらに、ガラス扉4の上部にはスピーカ20が左右に1個ずつ取り付けられており、遊技に関する様々な効果音を発している。また、
図3に示すように、このパチンコ機Pは、背面側に、主制御処理部100、払出・発射制御処理部105、サブ制御処理部200、賞球払出装置14等を備えている。続いて、
図1〜
図4を参照して、本実施形態に係るパチンコ機Pの構成を詳しく説明していくことにする。
【0023】
遊技盤3は、
図2に示すように、その盤面に遊技領域31を有しており、遊技領域31は、本体枠2に装着した後、ガラス板10を介して観察することができる。遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33とによって略円形状となるように区画形成されており、発射装置9によって打ち出された遊技球はこの遊技領域31内を流下する。また、遊技領域31内には、演出表示装置34と、スルーチャッカ21と、電動チューリップ49と、ステージ(図示せず)と、第1始動入賞口(始動口)37aおよび第2始動入賞口(始動口)37bと、一般入賞口38と、アウト口39と、遊技釘(図示せず)と、風車(図示せず)と、大入賞口42と、アタッカー装置41等が設けられている。また、遊技盤面の右下方の位置には、特図表示装置17と、普図表示装置22とが設けられている。
【0024】
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bとは上下方向に間隔を空けて設けられており、発射装置9の発射強度が弱〜中のとき(所謂、ぶっこみ狙いで遊技球を発射した場合)に、遊技球は演出表示装置34の左側を流下して第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに入賞する可能性がある。しかし、第2始動入賞口37bには電動チューリップ49が設けられているため、電動チューリップ49が開放されない限り、第2始動入賞口37bへの遊技球の入賞は殆ど不可能である。
【0025】
演出表示装置34は、遊技盤3の略中央部に設けられ、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果に基づいて所定の演出態様を表示するものであって、本実施形態では液晶表示装置が用いられている。この演出表示装置34には、画面全体に背景画像が表示されるほか、所定の演出態様の一部として、特図表示装置17に変動表示される第1特図または第2特図と同期をとってダミー図柄(演出図柄)が変動表示されるようになっている。
【0026】
なお、この演出表示装置34には、保留球乱数が保留球乱数記憶部(メモリ)115a、115bに記憶された場合に保留表示(保留球乱数が記憶された旨の表示)を行うための表示領域が区画形成されている。具体的には、演出表示装置34の左下側に第1特図用保留球乱数記憶部115aに保留球乱数が記憶されたことを表示する第1保留球表示領域34aが設けられ、右下側に第2特図用保留球乱数記憶部115bに保留球乱数が記憶されたことを表示する第2保留球表示領域34bが設けられている。第1始動入賞口37aまたは第2始動入賞口37bに遊技球が入賞し、当該入賞により取得した特図用乱数が保留球乱数として記憶されたときに主制御処理部100から出力されるコマンドを受けると、これらの保留球表示領域34a,34bに白色で保留球の表示がなされる。
【0027】
特図表示装置17は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、または第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果を表示するためのものである。より具体的には、特図表示装置17は、特図に係る抽選結果を、第1特図あるいは第2特図(例えば、数字や絵柄)を変動させた後に停止させるといった態様で表示する。本実施形態では、特図表示装置17として7セグメント表示器が用いられている。この特図表示装置17は、演出表示装置34を見ている遊技者の視界に同時に入らないように遊技盤3の右下部分に離れて設けられている。そして、7セグメント表示器を点滅表示させることにより特図が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで特図の変動が停止する。この点滅中の時間が、特図(第1特図、第2特図)の変動時間である。
【0028】
なお、本実施形態では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づく遊技と、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づく遊技とでは、入賞した順番に従って行われる(入賞順)。そのため、第1始動入賞口37aと第2始動入賞口37bの両方の抽選結果を同時に表示することはない。よって、2つの始動入賞口37a、37bに遊技球が入賞したことに基づく抽選の結果を1つの特図表示装置17で表示している。勿論、特図表示装置17を別個に2つ設けることもできることは言うまでもない。
【0029】
スルーチャッカ21は、遊技球が通過可能なゲート構造を成しており、その内部には遊技球が通過したことを検知する磁気センサタイプのスルーチャッカ検知センサ46が内蔵されている。また、このスルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に行われる普図に係る電子抽選の結果を表示するための普図表示装置22が、特図表示装置17の隣に設けられている。この普図表示装置22は、本実施形態では、二つのLEDランプで構成されており、普図当たりのときに一方のLEDランプが点灯し、ハズレのときには他方のLEDランプが点灯するようになっている。なお、2つのLEDランプを交互に点滅表示させることにより普図が変動し、その点滅が停止して点灯表示に変わることで普図の変動が停止する。この点滅中の時間が、普図の変動時間である。
【0030】
なお、特図表示装置17の表示制御は、主制御処理部100の第1特図表示制御部101aおよび第2特図表示制御部101bによって行われ、普図表示装置22の表示制御は、主制御処理部100の普図表示制御部102によって行われている(
図4参照)。
【0031】
電動チューリップ49は、第2始動入賞口37bの入口に設けられ、遊技盤3の面に直交する軸を中心に回動する一対の羽根部材を備えており、ソレノイドに通電がなされると一対の羽根部材が互いに離れる方向に回動して、第2始動入賞口37bの入口を拡大するようになっている。そして、電動チューリップ49が開放されると、遊技球は容易に第2始動入賞口37bに入賞する。
【0032】
また、ステージ36は、演出表示装置34の下方に配置されて、遊技球が転動しながら一時的に滞在する構造物である。このステージ36の中央には溝が形成されており、この溝の真下の位置には第1始動入賞口37aが配されている。そのため、溝から落下した遊技球は、高い確率で第1始動入賞口37aへと導かれる。
【0033】
アタッカー装置41は、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞することを契機に行われる第1特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合、および第2始動入賞口37bに遊技球が入賞することを契機に行われる第2特図に係る電子抽選の結果、大当たり(特図当たり)となって大当たり遊技に移行した場合に所定の回数だけ開放される装置である。つまり、アタッカー装置41は、両始動入賞口37a,37bでの抽選結果に応じて作動する。
【0034】
そして、このアタッカー装置41は、水平な軸を中心として前後方向に開閉する板状の蓋部材を備えており、図示しないソレノイドを駆動することにより蓋部材が水平軸回りに回動する構成となっている。そして、蓋部材が開いた状態では遊技領域31の下部に設けられた大入賞口42が露呈されるから、遊技者は、その大入賞口42に遊技球を入賞させることができる。
【0035】
つまり、アタッカー装置41は、常態では蓋部材が大入賞口42を閉じているため、大入賞口42に遊技球が入賞することはないが、上記したように、大当たり遊技に移行すると、蓋部材が所定のラウンド数だけ開放されて大入賞口42が露呈されるため、遊技球を大入賞口42内に入賞させることが可能となるのである。そして、大入賞口42に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。即ち、遊技者は、大入賞口42に遊技球を入賞させることによって出玉を獲得できるのである。なお、大入賞口42は、横長な長方形の開口であり、アタッカー装置41の蓋部材は、この大入賞口42の形状とほぼ同じ形状を成している。
【0036】
また、一般入賞口38に遊技球が入賞すると、所定個数の遊技球が賞球として遊技者に払い出される。そして、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、およびアタッカー装置41の何れにも入らなかった遊技球は、アウト口39から回収される。なお、第1始動入賞口37a、第2始動入賞口37b、一般入賞口38、大入賞口42の内部にはそれぞれ遊技球の通過を検知するためのセンサ43a,43b,44,45(
図4参照)が設けられている。ここで、大入賞口検知センサ45は、本発明の「遊技球検知手段」に相当する。なお、詳しくは後述するが、本実施形態では、大入賞口検知センサ45が遊技球を検知すると、演出表示装置34の画面に、大入賞口42に入賞した遊技球の個数情報が表示されるように構成されている。
【0037】
前面ボード6には遊技球を収容するとともに、外部に排出可能な受皿5が取り付けられている。この受皿5は、遊技者が投入した遊技球を収容するだけでなく、賞球払出装置14から賞球として払い出された遊技球も収容可能となっている。また、遊技球を遊技領域31に向けて発射するための発射装置9が本体枠2の下部に取り付けられており、受皿5に収容されている遊技球がこの発射装置9に1個ずつ供給される。そして、前面ボード6の右下に取り付けられたハンドル7を回動させると、その回動量に応じた発射強度で発射装置9が遊技球を遊技領域31へと発射することができるようになっている。また、
図1に示すように、受皿5の側部には、遊技者が押下操作する演出用タッチボタン60が設けられている。
【0038】
主制御処理部100は、遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。この主制御処理部100は、CPU(Central Processing Unit)、予め定められた制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory)等により構成されている。このCPUがROMに格納された各種プログラムやデータを読み込んで実行することにより、遊技に関する主要な処理が行われる。
【0039】
具体的には、
図4に示すように、主制御処理部100は、始動入賞口37a,37bに遊技球が入賞したことを契機に特図の当否に係る抽選を行う特図抽選処理部(特別図柄抽選手段)110と、この特図抽選処理部110による抽選で大当たり(特図当たり)に当選した場合に、その当選に係る特図の種類を抽選で決定する特図種類決定処理部120と、特図の変動時間に関する情報を含むコマンドである変動パターンコマンドを決定するための特図変動パターンコマンド決定部130と、所定条件が成立したことに基づいて、特図に係る遊技状態および普図に係る遊技状態をそれぞれ設定する遊技状態設定部140と、特図抽選処理部110による抽選結果の判定が大当たりとなった場合に、特図種類決定処理部120で決定した特図の種類に応じてアタッカー装置41(のソレノイド)を作動させて大当たり遊技に移行する大当たり遊技制御部(大当たり遊技制御手段)160とを備えている。
【0040】
さらに、主制御処理部100は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普図の当否に係る抽選を行う普図抽選処理部170と、普図の変動時間を決定するための普図変動時間決定部190と、電動チューリップ49の作動を制御する電動チューリップ作動制御部180と、第1特図表示装置17aの表示制御を行う第1特図表示制御部101aと、第2特図表示装置17bの表示制御を行う第2特図表示制御部101bと、普図表示装置22の表示制御を行う普図表示制御部102と、を備えて構成されている。
【0041】
特図抽選処理部110は、
図5に示すように、周期的に入力されるクロック信号に基づいてカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜65535までの範囲)で1ずつ更新させることによりハードウェア乱数を生成する特図当否判定用乱数発生部111と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、第1特図の当否に係る抽選を行う第1特図当否抽選部119aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、第2特図の当否に係る抽選を行う第2特図当否抽選部119bとを備えて構成されている。
【0042】
なお、本実施形態において、ハードウェア乱数の乱数生成に係る更新速度は、後述のソフトウェア乱数の更新速度と比較して速くしており、抽出されるカウンタ値(所謂、擬似乱数)のランダム性を向上させている。
【0043】
第1特図当否抽選部119aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図当否判定用乱数発生部111で発生した特図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特図当否判定用乱数取得部112aと、この第1特図当否判定用乱数取得部112aが取得した乱数が大当たりであるか否かを、第1特図高確率判定テーブル116aまたは第1特図低確率判定テーブル117aを参照して決定する第1特図当否判定部113aと、第1特図当否判定用乱数取得部112aが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を第1特図に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特図用保留球乱数記憶部115aとを備えている。
【0044】
ここで、第1特図高確率判定テーブル116aは、第1特図低確率判定テーブル117aよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第1特図高確率判定テーブル116aは、大当たりの当選確率がおよそ1/40、第1特図低確率判定テーブル117aは、大当たりの当選確率がおよそ1/400(所謂、Maxスペック)に設定されている。つまり、第1特図高確率判定テーブル116aの方が、第1特図低確率判定テーブル117aに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。
【0045】
具体的には、
図6に示すように、第1特図の当否判定の結果は、第1特図低確率判定テーブル117aが参照される場合、特図当否決定用乱数の値が0〜163までのときに大当たりとなり、その値が164〜65535までのときにハズレとなる。また、第1特図高確率判定テーブル116aが参照される場合、その当否判定の結果は、特図当否決定用乱数の値が0〜1630までのときに大当たりとなり、その値が1631〜65535までのときにハズレとなる。
【0046】
第2特図当否抽選部119bも第1特図当否抽選部119aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図当否判定用乱数発生部111で発生した特図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特図当否判定用乱数取得部112bと、この第2特図当否判定用乱数取得部112bが取得した乱数が大当たり(特図当たり)であるか否かを、第2特図高確率判定テーブル116bまたは第2特図低確率判定テーブル117bを参照して決定する第2特図当否判定部113bと、第2特図当否判定用乱数取得部112bが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を第2特図に係る保留球乱数として最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特図用保留球乱数記憶部115bとを備えている。
【0047】
ここで、第2特図高確率判定テーブル116bは、第2特図低確率判定テーブル117bよりも大当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、第2特図高確率判定テーブル116bは、大当たりの当選確率がおよそ1/40、第2特図低確率判定テーブル117bは、大当たりの当選確率がおよそ1/400に設定されている。つまり、第2特図高確率判定テーブル116bの方が、第2特図低確率判定テーブル117bに比べて10倍大当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。なお、第2特図高確率判定テーブル116bと第2特図低確率判定テーブル117bの構成は、第1特図高確率判定テーブル116aと第1特図低確率判定テーブル117aの構成と同じであるため、各テーブルの詳細についての説明は省略する。
【0048】
また、説明の便宜上、これ以降の説明において、第1特図当否抽選部119aが第1特図低確率判定テーブル117aを参照して第1特図の当否に係る抽選を行い、第2特図当否抽選部119bが第2特図低確率判定テーブル117bを参照して第2特図の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図低確」といい、第1特図当否抽選部119aが第1特図高確率判定テーブル116aを参照して第1特図の当否に係る抽選を行い、第2特図当否抽選部119bが第2特図高確率判定テーブル116bを参照して第2特図の当否に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「特図高確」ということにする。
【0049】
次に、特図種類決定処理部120について説明する。上述した特図抽選処理部110が大当たりに当選しているか否か(特図の当否)を決定するものであるのに対して、特図種類決定処理部120は、特図の種類を決定するためのものである。つまり、本実施形態では、特図に関する大当たり/ハズレの決定は特図抽選処理部110によって行われるが、大当たりの内容(種別、ラウンド数、電サポ回数、アタッカー開放パターン)は特図種類決定処理部120によって決定される構成となっている。なお、上記した大当たりの内容についての詳細は後述する。
【0050】
特図種類決定処理部120は、
図7に示すように、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば、0〜399までの範囲)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成する特図種類決定用乱数発生部121と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第1特図の種類を決定するための第1特図種類抽選部129aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、抽選により第2特図の種類を決定するための第2特図種類抽選部129bと、を備えて構成されている。
【0051】
第1特図種類抽選部129aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43aからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図種類決定用乱数発生部121で発生した特図種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第1特図種類決定用乱数取得部122aと、この第1特図種類決定用乱数取得部122aが取得した乱数から、第1特図種類決定テーブル125aを参照して第1特図の種類を決定する第1特図種類決定部123aと、第1特図種類決定用乱数取得部122aが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第1特図種類決定用乱数記憶部124aと、を備えている。
【0052】
第1特図種類決定テーブル125aは、
図8に示すように、特図種類決定用の乱数と第1特図の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成している。具体的には、16R特定時短有図柄1〜7、16R通常時短有図柄1〜3の合計10種類の第1特図が第1特図種類決定テーブル125aに格納されており、これら10種類の第1特図のそれぞれに特図種類決定用乱数0〜399までの値が対応付けられている。そして、各第1特図に割り当てられる特図種類決定用乱数値の範囲が異なるテーブル構成となっているから、第1特図のそれぞれが第1特図種類決定部123aによって選択される確率は異なるものとなる。
【0053】
より詳細に説明すると、第1特図種類決定テーブル125aに格納された10種類の第1特図のうち、特図種類決定用乱数の値が0〜19までのものに対して「16R特定時短有図柄1」が、当該乱数値が20〜79に対して「16R特定時短有図柄2」が、当該乱数値が80〜119に対して「16R特定時短有図柄3」が、それぞれ対応付けられている。同様にして、乱数値120以降の特図種類決定用乱数に対しても
図8に示すように所定の特図の種類が対応付けられている。
【0054】
なお、詳しくは後述するが、特図の種類のうち、「16R」は大当たり遊技のラウンド数が16ラウンドであることを、「特定」は所謂、確変当たりを、「通常」は所謂、通常当たりを、「時短有」は、電動チューリップ49が高確率で開放される遊技状態(所謂、電サポ)が所定の遊技回数に亘って付与されること、をそれぞれ示している。なお、本実施形態では全ての大当たり遊技が16ラウンドで構成されているが、実際に賞球を獲得できるラウンドの数(即ち、実質ラウンド数)は特図の種類に応じて異なる設定となっている。
【0055】
この
図8から明らかなように、「16R特定時短有図柄1」に対応付けられた乱数の個数は、全体で400個の特図種類決定用乱数のうち20個であるから、「16R特定時短有図柄1」が選択される確率は、20/400x100=5%である。その他の第1特図の選択確率についても同様にして求められ、その選択確率は
図8に示す通りである。
【0056】
また、第2特図種類抽選部129bも第1特図種類抽選部129aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に(始動入賞口検知センサ43bからの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、特図種類決定用乱数発生部121で発生した特図種類決定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する第2特図種類決定用乱数取得部122bと、この第2特図種類決定用乱数取得部122bが取得した乱数から、第2特図種類決定テーブル125bを参照して第2特図の種類を決定する第2特図種類決定部123bと、第2特図種類決定用乱数取得部122bが乱数を取得したときに第1特図または第2特図が変動中である場合に、この取得した乱数を最大4個まで(別言すれば、所定個数である4個の上限まで)記憶する第2特図種類決定用乱数記憶部124bと、を備えている。
【0057】
第2特図種類決定テーブル125bは、
図8に示すように、特図種類決定用の乱数と第2特図の種類とが予め対応付けられたテーブル構成を成しているが、その構成は、第1特図種類決定テーブル125aと同じであるため、ここでの説明は省略する。なお、
図8から明らかなように、第1特図種類決定テーブル125aおよび第2特図種類決定テーブル125bの何れを参照した場合であっても、各特図の種類が選択される確率は同じであるから、特
図1と特
図2とでの有利/不利は生じない。
【0058】
次に、普図抽選処理部170について説明する。この普図抽選処理部170は、
図9に示すように、乱数を発生させる普図当否判定用乱数発生部171と、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に普図に係る抽選を行って当否を判定するための普図当否抽選部177とを備えて構成されている。普図当否判定用乱数発生部171は、特図当否判定用乱数発生部111と同じ構成から成るものである。また、普図当否抽選部177は、スルーチャッカ21を遊技球が通過したことを契機に(スルーチャッカ検知センサ46からの検知信号が主制御処理部100に入力されたタイミングで)、普図当否判定用乱数発生部171で発生した普図当否判定用の乱数を1つ取得(ラッチ)する普図当否判定用乱数取得部172と、この普図当否判定用乱数取得部172が取得した乱数が普図当たりであるか否かを、判定テーブルを参照して決定する普図当否判定部173と、普図当否判定用乱数取得部172が乱数を取得したときに普図が変動中である場合に、この取得した乱数を上限4個まで普図に係る保留球乱数として記憶する普図用保留球乱数記憶部174と、判定テーブルとして、普図当たりに当選する確率が低い普図低確率判定テーブル176と、この普図低確率判定テーブル176よりも普図当たりに当選する確率が高い普図高確率判定テーブル175とを備えている。
【0059】
ここで、普図高確率判定テーブル175は、普図低確率判定テーブル176よりも普図当たりとなる確率が高くなっており、より詳しく言うと、普図高確率判定テーブル175は、普図当たりの当選確率が1/1.1、普図低確率判定テーブル176は、普図当たりの当選確率が1/20に設定されている。つまり、普図高確率判定テーブル175の方が、普図低確率判定テーブル176に比べて格段に普図当たりに当選する確率が高くなるように設定されている。そして、普図高確率判定テーブル175を参照して抽選が行われると、殆どの場合、普図当たりに当選することになる。
【0060】
また、説明の便宜上、これ以降の説明において、普図当否抽選部177が普図低確率判定テーブル176を参照して普図に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図低確」といい、普図当否抽選部177が普図高確率判定テーブル175を参照して普図に係る抽選を行う遊技状態のことを、単に「普図高確」ということにする。
【0061】
次に、
図4に示す電動チューリップ作動制御部180は、普図抽選処理部170による抽選で普図当たりに当選した結果に基づいて、電動チューリップ49のソレノイドに通電して開閉するよう制御している。この電動チューリップ作動制御部180は、普図高確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間1.2秒(インターバル0.8秒)で2回開放する(つまり、1.2秒開放→0.8秒閉鎖→1.2秒開放の順となる)よう制御し、普図低確中は、1回の普図当たりに対して、電動チューリップ49を開放時間0.2秒で1回開放するよう制御している。よって、普図高確中は、上述したように、普図抽選処理部170による抽選が行われる度に、殆ど普図当たりに当選し、その当選により電動チューリップ49が1.2秒x2回開放されるため、遊技者は、電動チューリップ49内に遊技球を比較的容易に入賞させることができる。従って、普図高確中は、遊技球をあまり減らすことなく遊技を行うことができる。
【0062】
さて、本実施形態に係るパチンコ機Pは、遊技状態として、「低確モード」、「時短モード」、「確変モード」の3つの状態が予め用意されている。「低確モード」は、特図低確および普図低確の遊技状態から成り、「時短モード」は、特図低確および普図高確の遊技状態から成り、「確変モード」は、特図高確および普図高確の遊技状態から成るものである。
【0063】
本実施形態では、先に述べた特図(第1特図または第2特図)の種類が決定されると、その特図と上記の各遊技状態とから、大当たり種別、ラウンド数(実質)、電サポ回数、および、アタッカー開放パターンが決まるようになっている。これについて、
図10を参照しながら、以下、詳しく説明を行っていくことにする。
【0064】
図10に示すように、各特図の種類には、それぞれ、大当たり種別、ラウンド数、電サポ回数、およびアタッカー開放パターンを規定した大当たりパターンが予め対応付けられている。
【0065】
ここで、「大当たり種別」とは、大当たり遊技後の特図に係る遊技状態を特図低確とする「通常当たり」と、特図高確とする「確変当たり」との何れにするかを定めたものである。通常当たりの場合には、その後の遊技状態が特図低確となるので、なかなか次の大当たりに当選しないが、確変当たりの場合、その後の遊技状態が大当たり遊技後から次の大当たりに当選するまで(具体的には、大当たり遊技後から10000回の遊技が行われるまで)の間、特図高確となる。そのため、確変当たりは、実質的に次回の大当たりが確定する当たりである。
【0066】
「ラウンド数」とは、大当たり遊技中にラウンド遊技が何回実行されるかを定めたものである。本実施形態では、大当たり遊技中のラウンド遊技の回数は全て16ラウンド(R)に定められている。しかし、後で述べるように特図の種類に応じてアタッカー開放パターンが異なっているため、ラウンド数は全て16ラウンドであるにも拘らず、実際に賞球を獲得できるラウンド数は、16ラウンド(R)、11ラウンド(R)、5ラウンド(R)の3パターンがある。
【0067】
「アタッカー開放パターン」とは、大当たり遊技中のアタッカー装置41の開放動作のパターンを定めたものである。具体的に説明すると、「フル開放」は、1回のラウンド遊技において、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口42に10個(規定個数)の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立するとラウンド遊技が終了するという内容のアタッカー開放パターンである。本実施形態では、特図の種類に応じて、アタッカー装置41が所定のラウンド数だけ「フル開放」のパターンで開放される。
【0068】
また、「RUB」は、1回のラウンド遊技において、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が0.2秒間だけ開放する動作を4回繰り返した後に、5回目の開放動作から上記した「フル開放」と同様に長時間開放された状態に維持されるアタッカー開放パターンである(
図11(b)参照)。このパターンでは、ラウンド遊技開始後の4回目までの開放動作では大入賞口42が露呈される時間が極めて短いため、この間に大入賞口42に遊技球が入賞することは困難であるが、5回目の開放動作では大入賞口42が長時間露呈されるため、遊技球の大入賞口42への入賞が可能となる。
【0069】
そして、「RUB」は、大入賞口42に10個(規定個数)の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから30秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立するとラウンド遊技が終了する点においては、上記した「フル開放」と同じである。なお、本実施形態では、特図の種類に応じて、ラウンド数が何回目のときに「RUB」パターンでアタッカー装置41を動作させるかが予め定められている(詳しくは後述)。
【0070】
また、「高速」は、1回のラウンド遊技において、ラウンド遊技開始後にアタッカー装置41が1回開き、露呈した大入賞口72に10個(規定個数)の遊技球が入賞すること、またはラウンド遊技が開始されてから0.2秒が経過したことの何れかの終了条件(ラウンド終了条件)が成立すると終了するという内容のアタッカー開放パターンである。そのため、「高速」では、アタッカー装置41が開いて0.2秒経過すると、直ちに閉じてしまうことになり、実際に大入賞口42に遊技球が入賞することは困難である。
【0071】
なお、本実施形態では、「高速」のパターンは、1回の大当たり遊技において、上記「フル開放」および「RUB」と組合せて用いられている。即ち、1回の大当たり遊技の全てのラウンド遊技が「高速」パターンで構成されることはないようになっている。別言すれば、本実施形態では、大当たり遊技では必ず賞球を獲得できる構成である。
【0072】
ただし、獲得できる賞球数は、特図の種類に応じて異なっており、具体的には、
図10に示すように、およそ500個、およそ1100個、およそ1600個の何れかである。なお、このアタッカー装置41の作動を制御して、特図の種類に応じたアタッカー開放パターンで大当たり遊技を提供しているのが、大当たり遊技制御部160である。
【0073】
ここで、アタッカー開放パターンの詳細を、特図の種類毎に
図11を用いて詳しく説明する。
図11(a)は、特図の種類毎に、大当たり遊技の全16ラウンドのアタッカー開放パターンの内訳を示したものである。同図に示すように、「16R特定時短有図柄1」は、1R〜16Rの全てのラウンドが「フル開放」パターンでの大当たり遊技と対応付けられている。「16R特定時短有図柄2」は、9Rおよび12Rが「RUB」パターン、その他のラウンドが「フル開放」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。
【0074】
「16R特定時短有図柄2」に基づく大当たり遊技が行われた場合、演出表示装置34上では9Rと12Rの開始時(「昇格」のラウンド開始時)に、ラウンド遊技が終了するか、それとも継続するか遊技者の期待と不安を煽るような演出が表示され、その後、所定のラウンド数の継続が確定するという内容の演出(上乗せ演出)が所定の表示態様で表示されるようになっている。より詳細には、9R目のラウンド遊技開始時において、当該9ラウンド目を含めてあと3ラウンド分継続するという上乗せ演出が表示され、12R目のラウンド遊技において、当該12ラウンド目を含めてあと5ラウンド分継続するという上乗せ演出が表示される。なお、上乗せ演出の具体例については、
図20(a)等を用いて後ほど説明する。
【0075】
「16R特定時短有図柄3」は、3R、6R、および12Rが「RUB」パターン、その他のラウンドが「フル開放」のパターンでの大当たり遊技と対応づけられている。また、「16R特定時短有図柄4」は、3Rおよび6Rが「RUB」パターン、12R〜16Rが「高速」パターン、その他のラウンドが「フル開放」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。即ち、「16R特定時短有図柄4」に基づく大当たり遊技が行われた場合、12R以降のラウンド遊技ではアタッカー装置41の開放時間が極めて短いため、12R以降のラウンド遊技で賞球が見込めないということになる。そのため、全16ラウンドのうち、賞球を獲得できるラウンド数が11ラウンドとなる。「16R特定時短有図柄5」は、9Rが「RUB」、12R〜16Rが「高速」、その他のラウンドが「フル開放」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。
【0076】
「16R特定時短有図柄6」は、3Rが「RUB」パターン、6R〜16Rが「高速」パターン、その他のラウンドが「フル開放」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。即ち、「16R特定時短有図柄6」に基づく大当たり遊技が行われた場合、6R以降のラウンド遊技ではアタッカー装置41の開放時間が極めて短いため、6R以降のラウンド遊技で賞球が見込めないということになる。そのため、全16ラウンドのうち、賞球を獲得できるラウンド数が5ラウンドとなる。「16R特定時短有図柄7」は、1R〜5Rが「フル開放」、6R〜16Rが「高速」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。
【0077】
また、「16R通常時短有図柄1」は、1R〜16Rの全てのラウンドが「フル開放」の大当たり遊技と対応付けられており、「16R通常時短有図柄2」は、1R〜11Rが「フル開放」、12R〜16Rが「高速」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられており、「16R通常時短有図柄3」は、1R〜5Rが「フル開放」、6R〜16Rが「高速」のパターンでの大当たり遊技と対応付けられている。
【0078】
このように、本実施形態では、大当たり種別が確変当たりの場合と通常当たりの場合の両方で、出玉の見込めるラウンド数(実質ラウンド数)が5R、11R、16Rの3種類あり、確変当たりの場合に限って「RUB」のパターンが存在する(演出面から見ると上乗せ演出が発生する)という構成である。
【0079】
そして、「RUB」パターンを詳細に説明すると、
図11(b)に示すように、ラウンド遊技の開始から、アタッカー装置41が0.2秒間開放され、0.8秒間閉鎖される動作を4回繰り返し行い、5回目の開放動作から最大で26秒(10個の入賞があるとそのときまで)の間、開放状態が継続するという内容である。
【0080】
図10に説明を戻して、「電サポ回数」とは、電動チューリップ49によるサポートを受けながら遊技を行うことができる遊技回数のことであり、より詳しくは、遊技状態が普図高確の状態で、特図抽選処理部110による抽選を行うことのできる回数(遊技回数)のことである。本実施形態では、電サポ回数は、100回または10000回の何れかである。
【0081】
ここで、本実施形態では、特図低確時の当選確率が1/400であり、特図高確時の当選確率が1/40となっているから、10000回も遊技を行う間には、ほぼ間違いなく大当たりに当選する。つまり、次回の大当たりに当選するまでの遊技回数が10000回を超えることは皆無である。よって、電サポ回数が10000回付与されるということは、次回の大当たり当選まで「普図高確」が継続することと等しいと言えるものである。そして、電サポ回数が10000回に決定されると、遊技球をあまり減らすことなく大当たりが連荘することが実質上、確定することになる。
【0082】
このように、大当たりパターンは、大当たり種別と、ラウンド数と、アタッカー開放パターンと、電サポ回数とが規定された内容で構成されており、特図の種類が決定されると、その種類に応じた大当たりパターンに従って遊技の制御が行われ、特図の種類に応じてその後の遊技状態(電サポ回数含む)が制御されることとなる。なお、特図の種類と大当たりパターンの対応関係は以下の通りである。
【0083】
「16R特定時短有図柄1」は、大当たり後に10000回(次回まで)の確変モードに移行する確変当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確モード」、「時短モード」、「確変モード」の何れの場合でも、電サポ回数が10000回(次回まで)となり、ラウンド数が16ラウンド(出玉のあるラウンド数も16ラウンド)で、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが全てのラウンド遊技において「フル開放」となり、1回の大当たり遊技で獲得できる賞球はおよそ1600個の大当たりパターンに対応している。
【0084】
なお、「16R特定時短有図柄2」および「16R特定時短図柄3」は、アタッカー開放パターンが「16R特定時短有図柄1」と異なる以外の大当たりパターンに規定されている内容は同じであり、「16R特定時短有図柄4」〜「16R特定時短有図柄7」は、アタッカー開放パターンおよび実質ラウンド数が「16R特定時短有図柄1」と異なる以外の大当たりパターンに規定されている内容は同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0085】
また、「16R通常時短有図柄1」は、大当たり後に100回の時短モードに移行する通常当たりであり、大当たり時の遊技状態が「低確モード」、「時短モード」、「確変モード」の何れの場合でも、電サポ回数は100回となる。そして、ラウンド数が16ラウンド(出玉のあるラウンド数も16ラウンド)で、大当たり遊技でのアタッカー開放のパターンが全てのラウンド遊技において「フル開放」となり、1回の大当たり遊技で獲得できる賞球はおよそ1600個の大当たりパターンに対応している。
【0086】
なお、「16R通常時短有図柄1」〜「16R通常時短有図柄2」は、アタッカー開放パターンおよび実質ラウンド数が「16R通常時短有図柄1」と異なる以外の大当たりパターンに規定されている内容は同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0087】
また、上記の特図の種類と大当たりパターンとの対応関係については、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合とで同じである。即ち、何れの始動入賞口に遊技球が入賞しても、その入賞を契機に決定される特図の種類が同じであれば、それに対応する大当たりパターンも同じとなる。
【0088】
次に、特図の変動時間を決定するための処理について説明する。特図の変動時間は、変動パターンコマンドというコマンドに含まれており、特図変動パターンコマンド決定部130が遊技の開始時に変動パターンコマンドを決定することにより、その遊技に係る特図の変動時間が決定されるようになっている。
【0089】
特図変動パターンコマンド決定部130は、
図12に示すように、変動パターンコマンドの決定に用いる変動パターン用乱数を発生させるための特図変動パターン用乱数発生部131と、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことに基づいて第1変動パターンコマンドを決定するための第1特図変動パターン抽選部130aと、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことに基づいて第2変動パターンコマンドを決定するための第2特図変動パターン抽選部130bと、を備えて構成されている。
【0090】
特図変動パターン用乱数発生部131は、周期的(例えば4ミリ秒毎)に入力される割り込み信号に基づいてループカウンタの値を所定の範囲(例えば0〜999まで)で1ずつ更新させることによりソフトウェア乱数を生成するものである。
【0091】
第1特図変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞したことを契機に、特図変動パターン用乱数発生部131にて発生した特図変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第1特図変動パターン用乱数取得部132aと、この第1特図変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数から、特図共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して第1変動パターンコマンドを決定する第1特図変動パターン決定部135aと、第1特図または第2特図が変動中の場合に、第1特図変動パターン用乱数取得部132aが取得した乱数を上限4個まで記憶する第1特図変動パターン用乱数記憶部133aと、を備えて構成されている。なお、第1特図変動パターン抽選部130aは、第1始動入賞口37aに遊技球が1個入賞すると、第1特図当否抽選部119aと同様に、その入賞につき1つの特図変動パターン用乱数を取得する。
【0092】
第2特図変動パターン抽選部130bも第1特図変動パターン抽選部130aと同様に、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞したことを契機に、特図変動パターン用乱数発生部131にて発生した特図変動パターン用の乱数の中から1つの乱数を取得する第2特図変動パターン用乱数取得部132bと、この第2特図変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数から、特図共通変動パターンコマンドテーブル134を参照して第2変動パターンコマンドを決定する第2特図変動パターン決定部135bと、第1特図または第2特図が変動中の場合に、第2特図変動パターン用乱数取得部132bが取得した乱数を上限4個まで記憶する第2特図変動パターン用乱数記憶部133bと、を備えて構成されている。なお、第2特図変動パターン抽選部130bは、第2始動入賞口37bに遊技球が1個入賞すると、第2特図当否抽選部119bと同様に、その入賞につき1つの特図変動パターン用乱数を取得する。
【0093】
特図共通変動パターンコマンドテーブル134は、第1特図変動パターン抽選部130aおよび第2特図変動パターン抽選部130bの両方の抽選部が共通で用いるテーブルであって、
図13に示すように、通常変動パターンテーブル134aおよび短縮変動パターンテーブル134bを備えている。通常変動パターンテーブル134aは、遊技状態が「低確モード」の場合に参照され、短縮変動パターンテーブル134bは、遊技状態が「時短モード」および「確変モード」の場合に参照される。なお、電源投入後の初期状態やRAMクリア時は遊技状態が低確モードであるから、通常変動パターンテーブル134aが参照される。
【0094】
変動パターンテーブル134a,134bは、特
図1(第1特図)および特
図2(第2特図)の変動時間が規定されている(つまり、第1特図の変動時間に関するテーブルと第2特図の変動時間に関するテーブルとを有している)と共に、特
図1と特
図2とがそれぞれ特有の変動時間となるよう設定されている。そこで、以下、各テーブルの変動時間の特徴について、
図14を用いて説明することにする。
【0095】
まず、通常変動パターンテーブル134aは、保留記憶数(保留球乱数の記憶数)に応じて特
図1の主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特図用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特
図1の主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特
図1の主要変動時間は12.5秒に設定され、保留記憶数が3個の場合、特
図1の主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が4個の場合、特
図1の主要変動時間は4秒に設定されている。つまり、保留記憶数が多くなると、主要変動時間は短くなるように設定されている。さらに、通常変動パターンテーブル134aには、特
図2についての主要変動時間が特
図1と全く同一の時間となるように規定されている。なお、この主要変動時間とは、リーチが成立しない(または、リーチ扱いとならない)通常のハズレ変動時間のことである。
【0096】
また、この通常変動パターンテーブル134aは、ハズレ時にリーチとなる確率が特
図1、特
図2共に10%に設定され、大当たり時には必ずリーチとなるように設定されている。さらに、ハズレと大当たりとに拘らず、リーチ時の変動時間が特
図1、特
図2共に20秒〜120秒に設定されている。
【0097】
短縮変動パターンテーブル134bは、保留記憶数に応じて特
図1の主要変動時間が異なるように設定されている。具体的には、第1特図用保留球乱数記憶部115aに記憶されている保留記憶数が0個と1個の場合、特
図1の主要変動時間は7秒に設定され、保留記憶数が2個の場合、特
図1の主要変動時間は4秒に設定され、保留記憶数が3個および4個の場合、特
図1の主要変動時間は2秒に設定されている。短縮変動パターンテーブル134bにおいても、保留記憶数が多くなると、主要変動時間は短くなるように設定されている。さらに、短縮変動パターンテーブル134bには、特
図2についての主要変動時間が特
図1と全く同一の時間となるように規定されている。
【0098】
また、この短縮変動パターンテーブル134bは、ハズレ時にリーチとなる確率が特
図1、特
図2共に5%に設定され、大当たり時には必ずリーチとなるように設定されている。さらに、ハズレと大当たりとに拘らず、リーチ時の変動時間が特
図1、特
図2共に60秒〜120秒に設定されている。
【0099】
なお、変動パターンコマンドを解析すれば、通常変動パターンテーブル134a、短縮変動パターンテーブル134bの何れを参照して決定されたコマンドであるか、変動時間が何秒であるか等、特図の変動に関するあらゆる情報が分かるようになっている。そして、本実施形態に係るパチンコ機は、この変動パターンコマンドの解析結果に基づいて、各種演出を行うよう制御している。
【0100】
図4に戻って、普図変動時間決定部190は、普図の変動開始時における普図の遊技状態が普図高確と普図低確の何れであるかを判断し、その判断結果に応じて予め定めた普図の変動時間を決定する。具体的には、普図高確の場合(時短モードおよび確変モードの場合)、普図変動時間決定部190は、普図に係る変動時間を2秒に決定し、普図低確の場合(低確モードの場合)、普図変動時間決定部190は、普図に係る変動時間を30秒に決定する。
【0101】
また、払出・発射制御処理部105は、主制御処理部100と相互通信可能に接続されているうえ、CRユニットとも中継基板を介して相互通信可能に接続されており、賞球払出装置14の払出モータの駆動を制御することにより、所定個数の賞球や貸球を払い出したり、発射ボリュームの値に応じて発射装置9の発射用モータ(発射用ロータリーソレノイドが用いられることもある)の駆動を制御することにより、所定の発射強度で遊技球を発射できるようにしたり、整流器の球送りソレノイドの駆動を制御することにより、遊技球を1個ずつ発射装置9に送り出すようにする等の処理を担っている。なお、CRユニットが払出・発射制御処理部105と電気的に接続されていない場合には、発射装置9から遊技球が発射されることはないように制御されている。
【0102】
ここまで、主に主制御処理部100が行う各処理について説明したが、ここからは、主制御処理部100から指令を受けて各種演出を行うためのサブ制御処理部200について説明する。サブ制御処理部200は、演出制御処理部201(詳しくは後述)と、枠ランプや盤面ランプ等の各種ランプの制御を行うためのランプ制御処理部202と、スピーカ20やサウンドプロセッサ等の制御を行うための音声制御処理部203と、を備えて構成され、
図3に示すように遊技盤3の裏面に支持部材等を介して設けられている。
【0103】
演出制御処理部201は、
図15に示すように、処理部として、演出態様を決定するための演出態様決定部210と、演出態様決定部210が決定した演出態様を演出表示装置34に表示するよう制御する演出表示制御部(演出表示制御手段)220と、保留球表示領域34a,34bに保留球を表示する制御を行う保留球表示制御部230と、を備えている。さらに、演出制御処理部201は、記憶部を備えている。この記憶部には、複数種類の演出態様(演出画像データ)を記憶した演出テーブル260,270,280が記憶されている。
【0104】
演出態様決定部210は、遊技の開始時に送られてきた第1変動パターンコマンドまたは第2変動パターンコマンド(変動パターンコマンド)に基づいて、記憶部に記憶されている演出テーブル260,270、280の何れかのテーブルを参照しながら、今回用いる演出態様(使用する演出画像データ)を決定する。なお、通常演出テーブル260は、通常変動パターンテーブル134aに基づく変動パターンコマンドが入力された場合、即ち、遊技状態が低確モードの場合に参照される。また、チャンス演出テーブル270は、時短モードにおいて短縮変動パターンテーブル134bに基づく変動パターンコマンドが入力された場合に参照される。また、特別演出テーブル280は、確変モードにおいて短縮変動パターンテーブル134bに基づく変動パターンコマンドが入力された場合に参照される。
【0105】
演出表示制御部220は、演出態様決定部210にて決定された演出パターンを演出表示装置34に表示するよう制御している。加えて、演出表示制御部220は、大当たり遊技中の演出の表示制御を行っている。また、保留球表示制御部230は、主制御処理部100から保留球乱数が記憶された旨のコマンドを受信すると、それに従って、第1保留球表示領域34aまたは第2保留球表示領域34bに白色の保留球を表示するよう制御している。
【0106】
次に、本発明の実施の形態例に係るパチンコ機Pの遊技処理の手順について
図16を参照して説明するが、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合の遊技処理と第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合の遊技処理とは同じである。よって、以下では、第1始動入賞口37aに遊技球が入賞した場合についての遊技処理について説明を行い、第2始動入賞口37bに遊技球が入賞した場合についての説明は省略する。
【0107】
図16に示すように、遊技球が第1始動入賞口37aに入賞したか否かを主制御処理部100は判断する(ステップS1)。入賞した場合(ステップS1でYes)には、第1特図当否判定用乱数取得部112aは特図当否判定用の乱数を取得し、第1特図種類決定用乱数取得部122aは特図種類決定用の乱数を取得し、第1特図変動パターン用乱数取得部132aは特図変動パターン用の乱数を取得する(ステップS2)。
【0108】
第1特図または第2特図が変動中の場合(ステップS3でYes)には、ステップS2で取得した特図当否判定用乱数を第1特図用保留球乱数記憶部115aに、特図種類決定用乱数を第1特図種類決定用乱数記憶部124aに、特図変動パターン用乱数を第1特図変動パターン用乱数記憶部133aに、それぞれ記憶する(ステップS4)。このとき、保留球表示制御部230が白色の保留球を第1保留球表示領域34aに表示する。そして、ステップS3の手前に戻って、今回の入賞に係る遊技の順番が来るまで待機する。なお、既に第1特図用保留球乱数記憶部115aに、上限である4個の保留球乱数が記憶されている場合には、ステップS4の処理は行われないということは言うまでもない。
【0109】
一方、第1特図および第2特図の何れも変動していない場合、即ち、遊技の順番が来た場合(ステップS3でNo)には、ステップS5にて特図当たり判定処理が行われる。つまり、ステップS2で取得した特図当否判定用乱数が大当たり/ハズレの何れであるか否かを第1特図当否判定部113aが判断する。
【0110】
次いで、ステップS6にて、特図種類決定処理が行われる。具体的には、ステップS5での特図当たり判定処理の結果、大当たりと判定された場合には、第1特図種類決定部124aが、ステップS2で取得した特図種類決定用乱数に基づいて、その大当たりに対する特図の種類を決定する。即ち、
図8を参照して、「16特定時短有図柄1」〜「16R通常時短有図柄3」までの10種類の中から1つを、このステップS6で決定する。一方、ステップS5でハズレと判定された場合には、第1特図の種類を決定することなくステップS6の処理は終了する。
【0111】
次いで、ステップS7にて特図変動パターンコマンド決定処理が行われる。この特図変動パターンコマンド決定処理では、ステップS2で取得した特図変動パターン用乱数に基づいて、第1特図変動パターン決定部135aが、遊技状態に応じて通常変動パターンテーブル134aまたは短縮変動パターンテーブル134bを参照して第1変動パターンコマンドを決定する。
【0112】
次いで、ステップS8にて、演出態様決定処理が行われる。この演出態様決定処理では、演出態様決定部210が、演出テーブル260,270,280の何れかを参照して、第1変動パターンコマンドに対応する演出パターンを今回の遊技に用いる演出パターンに決定する。次いで、ステップS9で、第1特図表示制御部101aが特図表示装置17に第1特図の変動表示を開始させ、演出表示制御部220が演出表示装置34にステップS8で決定された演出パターンの表示を開始する。
【0113】
次いで、ステップS10で、第1特図表示制御部101aが特図表示装置17に第1特図を停止表示させる。このとき、特図表示装置17に停止表示される図柄は、ステップS5で大当たりと判定された場合には、ステップS6にて決定された第1特図の種類に対応した当たり図柄となるが、ステップS5でハズレと判定された場合には、ハズレに対応したハズレ図柄となる。また、ステップS10では、第1特図の変動停止と同期して、演出パターンの表示が停止され、所定の演出図柄が演出表示装置34に停止表示される。
【0114】
次いで、停止した第1特図が大当たりの組合せで確定している場合(ステップS11でYes)は、大当たり遊技制御部160は、第1特図の種類に応じた所定のアタッカー開放パターン(
図11参照)でアタッカー装置41を開放して大当たり遊技を提供する(ステップS12)。このとき、演出表示制御部220は、特図の種類に応じて大当たり遊技中の入賞期待数、遊技球の入賞個数情報、その他の遊技情報に関する表示を所定の態様で行う(詳しくは後述)。次いで、ステップS13にて、遊技状態設定部140は、次の遊技における特図および普図の遊技状態を高確率状態または低確率状態に設定する。
【0115】
このステップS13で、次回の遊技における遊技状態が設定されると、1回の遊技に係る処理が終了する。また、ステップS11でNoの場合は、大当たり遊技が提供されることなくステップS13に進んで、次遊技の遊技状態が設定される。なお、ステップS1でNoの場合は遊技が行われることなく終了となる。
【0116】
次に、ステップS12にて実行される大当たり遊技中の演出の表示制御について、代表的な実施例1〜3を以下に説明する。
【0117】
「実施例1」
図17は、大当たり遊技中の演出表示装置34の画面構成を示している。
図17に示すように、大当たり遊技中は、画面の左上部の領域にキャラクタCが表示され、左下部の領域RNDにラウンド数が「1R、2R・・・」といった態様で表示され、画面の中央に様々な大当たり用演出画像が表示される。そして、画面の右上部の遊技情報表示領域TA(以下、「領域TA」と言う)には、ラウンド遊技中に大入賞口42に入賞した遊技球の個数情報が累積加算された「累積入賞数」と、1回の大当たり遊技中における「入賞期待数」とが、それぞれ別個に表示される。
【0118】
ここで、入賞期待数は、1回のラウンド遊技で入賞可能な規定個数(本実施形態では10個)に賞球を獲得することのできるラウンド数(実質ラウンド数)以下の所定の回数(ラウンド期待数)を乗じて求められる数値である。この入賞期待数が各ラウンド遊技中にどのような数値で表示されるかは、特図の種類毎に予め定められている。これをまとめたものが、
図18である。
【0119】
図18に示すように、大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄1」の場合には、全16ラウンドが「フル開放」となるため、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×16R(ラウンド期待数)=160個が入賞期待数として1R目から表示される。この表示から、遊技者は、1R目から今回の大当たり遊技が16ラウンド全てにおいて賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。即ち、入賞期待数が「160」の場合、16R全て「フル開放」であることが確定する。
【0120】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄2」の場合には、9Rと12Rとでアタッカー開放パターンが「RUB」となる。そのため、1R目において、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×8R(ラウンド期待数)=80個が入賞期待数として表示される。この表示から、遊技者は、今回の大当たり遊技は、8ラウンド分の賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。
【0121】
そして、9R目の演出表示装置34にて上乗せ演出(
図20(a)を参照)が行われ、画面上に「+30」が表示されると共に、入賞期待数に30個が加算されて合計110が表示される。この表示から、遊技者は、30個(上乗せ)/10個(規定個数)=3の式から、あと3ラウンド分のラウンド遊技が上乗せされたと知ることができる。つまり、1R目では大当たり遊技として8ラウンド分が確定し、9R目にさらに3ラウンド分継続することが確定する。同様に12R目に画面上に「+50」が表示されると共に、入賞期待数に50個が加算されて合計160が表示される。
【0122】
このように、「16R特定時短有図柄2」は、16ラウンド全てにおいて賞球の獲得が可能な大当たり遊技の内容であるが、演出表示制御部220は、9R目と12R目とで大当たり遊技が継続するか否かの演出を行って、遊技者に不安や期待を煽るような演出をしているのである。
【0123】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄3」の場合には、3R、6R、および12Rでアタッカー開放パターンが「RUB」となる。そのため、1R目において、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×2R(ラウンド期待数)=20個が入賞期待数として表示される。この表示から、遊技者は、今回の大当たり遊技は、2ラウンド分の賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。そして、3R、6R、12R目のそれぞれにおいて、上乗せ演出が発生し、入賞期待数の数値が適宜加算され、遊技者に賞球を獲得できるラウンド遊技の確定回数が入賞期待数の数値によって報知される。
【0124】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄3」〜「16R特定時短有図柄6」までについても、上記と同様に、アタッカー開放パターンが「RUB」のときに、上乗せ演出が行われ、所定の数値が入賞期待数に加算される。ただし、アタッカー開放パターンが「高速」となるラウンド遊技では賞球の獲得が困難であるため、図中の「終了」と示したラウンドでは、終了というメッセージが演出表示装置34に表示される。
【0125】
一方、大当たり時の特図の種類が「16R通常時短有図柄1」、「16R通常時短有図柄2」、「16R通常時短有図柄3」の場合には、それぞれ1R目に賞球の獲得が可能なラウンド遊技の回数に規定個数を乗じた数値が、入賞期待数として領域TAに表示される。即ち、「16R通常時短有図柄1」は1R目に入賞期待数160個、「16R通常時短有図柄2」には1R目に入賞期待数110個、「16R通常時短有図柄3」には1R目に入賞期待数50個が表示される。また、通常当たりとなる上記3つの特図の種類の場合には、アタッカー開放パターンが「RUB」となる場合がないため、上乗せ演出等は行われない。
【0126】
このように構成された実施例1の表示制御の具体例を
図19および
図20を用いて説明する。
図19および
図20は、大当たり当選時に決定された特図の種類が「16R特定時短有図柄2」の場合における、大当たり遊技中の遊技情報の表示の具体例を示している。
【0127】
図19(a)に示すように、大当たり遊技が開始されると、画面の左下の領域RNDに1ラウンド目を意味する「1R」が表示され、画面の左上に太陽と雲のキャラクタCが表示され、画面中央に「第1ラウンド開始」のメッセージが表示され、画面右上の領域TAに入賞期待数「80」が表示される。この表示によって、賞球を獲得できるラウンド数が最低でも8ラウンド行われることが確定する。また、領域TAには累積入賞数が表示されるが、1R目の開始時にはまだ大入賞口42に遊技球が入賞していないため、累積入賞数「0」が表示される。
【0128】
1R目が開始され、大入賞口42に遊技球が3個入賞した場合、
図19(b)に示すように、累積入賞数「3」が表示される。なお、累積入賞数の表示が変化するタイミングは、大入賞口検知センサ45が遊技球を検知したタイミングである。即ち、大入賞口検知センサ45(
図4参照)からの検知信号が演出制御処理部201に入力される度に、演出表示制御部220が累積入賞数を「0」→「1」→「2」→「3」というように1ずつ加算する態様で表示している。
【0129】
そして、1R目の大入賞口42への遊技球の入賞個数が規定個数である10個に到達すると、
図19(c)に示すように、第1ラウンド終了のメッセージが表示され、領域TAに、「累積入賞数「10」/入賞期待数「80」」が表示される。この表示は、8ラウンド分の規定個数に相当する80個の入賞期待数に対して、1ラウンド分の規定個数である10個が既に大入賞口42に入賞したことを意味する。そして、このような表示が2R目〜7R目まで行われる。
【0130】
8R目は、入賞期待数「80」に対しての最終ラウンドに相当するため、
図19(d)に示すように、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示される。8R目の開始時は、領域TAに「累積入賞数「70」/入賞期待数「80」」が表示される。そして、8R目のラウンド遊技が進んでいき、8R目のラウンド遊技において例えば大入賞口42に4個目の遊技球が入賞した場合には、
図19(e)に示すように、4個目の入賞に係る大入賞口検知センサ45からの検知信号の入力に基づいて、演出表示制御部220が領域TAに累積入賞数「74」を表示する。
【0131】
そして、大当たり遊技の1R目開始から大入賞口42に入賞した遊技球の個数が80個に到達すると、
図19(f)に示すように、入賞期待数「80」に対して累積入賞数「80」となり、期待通りの入賞個数が得られたことになる。そして、一応、画面上で大当たり遊技の終了が表示される。ところが、「16R特定時短有図柄2」に対応する大当たり遊技は、9R目のアタッカー開放パターンが「RUB」となっており、9R目のラウンド遊技開始時に上乗せ演出が行われ、入賞期待数が加算されるように予め構成されている。
【0132】
そのため、9R目のラウンド遊技が開始されると、
図20(a)に示すように、画面にハート型のマークの中に入賞期待数の上乗せ数としての「+30」(PT)が表示されると共に、領域TAの入賞期待数が8R目の終了時点で「80」であったものが、9R目の上乗せ演出を経て「110」に加算表示される。この表示により、賞球を獲得できるラウンド数が3ラウンド分上乗せされることが確定する。同時に、画面右下に「まだまだ!」というメッセージが表示される。なお、「+30」の表示は、9R目のラウンド遊技において、アタッカー装置41が0.2秒開放を4回繰り返す動作(
図11(b)参照)を行っている間に行われる。
【0133】
ラウンド遊技が進んで11R目に突入すると、11R目は入賞期待数「110」に対しての最終ラウンドに相当するため、
図20(b)に示すように、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示される。11R目の開始時は、領域TAに「累積入賞数「100」/入賞期待数「110」」が表示される。そして、11R目のラウンド遊技が進んでいき、11R目のラウンド遊技において例えば大入賞口42に6個目の遊技球が入賞した場合には、
図20(c)に示すように、6個目の入賞に係る大入賞口検知センサ45からの検知信号の入力に基づいて、演出表示制御部220が領域TAに累積入賞数「106」を表示する。
【0134】
そして、大当たり遊技の1R目開始から大入賞口42に入賞した遊技球の個数の累積が110個に到達すると、
図20(d)に示すように、入賞期待数「110」に対して累積入賞数「110」となり、期待通りの入賞個数が得られたことが報知される。そして、一応、画面上で大当たり遊技の終了が表示される。ところが、「16R特定時短有図柄2」に対応する大当たり遊技は、12R目のアタッカー開放パターンが「RUB」となっており、12R目のラウンド遊技開始時に上乗せ演出が行われ、入賞期待数が加算されるように予め構成されている。
【0135】
そのため、12R目のラウンド遊技が開始されると、図示しないが、
図20(a)と同様に入賞期待数の上乗せ数としての「+50」が表示されると共に、領域TAの入賞期待数が11R目の終了時点で「110」であったものが、12R目の上乗せ演出を経て「160」に加算表示される。この表示により、賞球を獲得できるラウンド数が5ラウンド分上乗せされることが確定する。即ち、12R目の開始時点で、今回の大当たり遊技が16ラウンド全て賞球を獲得できる内容であることが確定する。
【0136】
そして、16R目が開始されると、
図20(e)に示すように、最終回である旨が表示されると共に、領域TAに「累積入賞数「150」/入賞期待数「160」」が表示される。そして、規定個数である10個の入賞があったときに、ラウンド遊技が終了となる。そのとき、
図20(f)に示すように、領域TAには、「累積入賞数「160」/入賞期待数「160」」が表示される。即ち、入賞期待数と同じだけ(取りこぼしなく)大入賞口42に遊技球を入賞させることができた旨が表示されることになる。
【0137】
ここまで、各ラウンド遊技中に何らトラブルなく規定個数である10個の遊技球が大入賞口42に入賞することを前提に入賞期待数と累積入賞数の表示の態様を説明した。しかし、実際の遊技では、例えば、大当たり遊技中に球詰まりが発生したり、発射装置のトラブルが発生したりして、大入賞口42に規定個数である10個の遊技球を入賞させる前にラウンド遊技の終了条件(30秒経過)となる場合(特定の事態が生じる場合)が有り得る。即ち、規定個数と実際に大入賞口42に入賞した遊技球の入賞個数との間に差が生じる場合がある(なお、この差に相当する個数のことを以下、「未入賞個数」という)。
【0138】
このように、未入賞個数がある場合に、累積入賞数を実際の通りにそのまま表示したのでは、入賞期待数にまだ到達していないのにラウンド遊技が終了するため、遊技者に違和感を与え兼ねない。そこで、実施例1では、累積入賞数の数値を補正して表示するよう制御している。以下、この補正について
図21および
図22を参照しながら説明する。
【0139】
図21(a)に示すようにまず1R目が開始されると、領域TAに累積入賞数「0」/入賞期待数「80」が表示され、途中に3個大入賞口42に入賞すると、
図21(b)に示すように、累積入賞数が「3」にカウントアップされる。ここまでは、
図19(a)および(b)と同じである。
【0140】
1R目のラウンド遊技において、トラブル等の原因により、大入賞口42に8個しか遊技球が入賞しないまま1R目のラウンド遊技が終了(特定の事態が発生)すると、
図21(c)に示すように、累積入賞数は「8」と表示されたままである。即ち、未入賞個数が2個発生した状態でラウンド遊技が終了したことになる。この場合、累積入賞数を「8」と表示したまま次のラウンドに進むと、入賞期待数が2個残っているにも拘らずラウンド遊技が次へ進むといったことになり、大当たり遊技の進行と遊技情報との間(累積入賞数と入賞期待数との表示の意味合い)に違和感が生じてしまう。
【0141】
そこで、実施例1では、
図21(d)に示すように、2R目のラウンド遊技開始時に、2個の未入賞個数を累積入賞数「8」に加算して、新たに累積入賞数「10」に補正して表示している。こうすることで、表示が通常通りとなるから、累積入賞数と入賞期待数との関係に違和感がなくなる。よって、例えば、2R目のラウンド遊技開始時に入賞期待数が「80」、累積入賞数が「10」と表示されるので、その差「70」に相当する7ラウンド分のラウンド遊技が残っていることを遊技者は違和感なく認識することができる。
【0142】
そして、図示しないが、8R目のラウンド遊技が開始されると、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示され、領域TAに「累積入賞数「70」/入賞期待数「80」」が表示される。そして、8R目の途中で
図21(e)に示すように、累積入賞数が「74」にカウントアップされ、最終的に8R目が終了すると、
図21(f)に示すように、入賞期待数「80」に対して累積入賞数「80」となり、未入賞個数が考慮されたうえで期待通りの入賞個数が得られたことが表示される。
【0143】
このように、実施例1では、未入賞個数が発生した場合には、演出表示制御部220が、その未入賞個数分を次ラウンドにおいて累積入賞数に加算するよう数値の補正を行い、その補正値を領域TAに表示するようにしたので、累積入賞数と入賞期待数との表示に対して遊技者が違和感を持つということはなくなる。さらに言えば、大当たり遊技の最終ラウンド終了時において、累積入賞数と入賞期待数とを同じ数値にすることができるので、遊技情報の表示に矛盾は生じない。
【0144】
また、何らかのトラブル等により、1回のラウンド遊技中に大入賞口42に1個も遊技球が入賞しない状況も起こり得る。この場合に、入賞期待数の数値が補正されないとすると、入賞期待数より累積入賞数が1ラウンド分少ない状態で大当たり遊技が終了するということになり、遊技者に違和感を与えることになってしまう。例えば、
図22(a)に示すように、入賞期待数「80」を表示することによって、遊技者に、賞球を獲得できるラウンド数が8ラウンドである旨を報知することができるが、1R目のラウンド遊技において1個も大入賞口42に入賞させることができない場合、
図22(b)および(c)に示すように、1R目終了時の領域TAの表示が、「累積入賞数「0」/入賞期待数「80」」となる。
【0145】
この表示が2R目のラウンド遊技に継続されると、入賞期待数が「80」となっているから、この表示だけ見ると、1R目での入賞個数が0個であったにも拘らずあと80個大入賞口42に遊技球を入賞させることができる(即ち、1R目がパンクしたにも拘らず、あと8ラウンド継続が確定している)ということになってしまう。そのため、遊技者に違和感を与えることになる。
【0146】
そこで、実施例1では、
図22(d)に示すように、次のラウンド遊技の開始時に、入賞期待数の数値から1ラウンド分の規定個数である10個を減算した補正値(この場合、80−10=70個)を新たな入賞期待数として表示することにしている。即ち、演出表示制御部220は、大入賞口検知センサ45からの検知信号が一切入力されないまま1R目のラウンド遊技が終了した旨のコマンドを受けると、それに基づいて、1R目に表示している入賞期待数「80」から1ラウンド分の規定個数である「10」個を減算して、新たな入賞期待数「70」を領域TAに表示するよう制御している。そして、最終的に8R目が終了すると、
図22(f)に示すように、入賞期待数「70」に対して累積入賞数「70」となり、所謂パンクが考慮されたうえで、期待通りの入賞個数が得られたことが表示される。
【0147】
このように、実施例1では、1回のラウンド遊技において全く大入賞口42に遊技球が入賞しなかった場合であっても、入賞期待数の数値を補正するように構成されているため、累積入賞数と入賞期待数との表示に対して遊技者が違和感を持つことはない。
【0148】
「実施例2」
続いて、実施例2に係る大当たり遊技中の演出表示の制御について説明する。
図23は、大当たり遊技中の演出表示装置34の画面構成を示している。
図23に示すように、画面の右上部の領域TAには、1回の大当たり遊技中における入賞期待数が表示される。なお、実施例1では領域TAに累積入賞数と入賞期待数が表示されていたが、実施例2では、領域TAに表示されるものが入賞期待数のみである。それ以外の表示については、実施例1と同じである。
【0149】
ここで、入賞期待数が各ラウンド遊技中にどのような数値で表示されるかは、特図の種類毎に予め定められている。これをまとめたものが、
図24である。
図24に示すように、大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄1」の場合には、全16ラウンドが「フル開放」となるため、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×16R(ラウンド期待数)=160個が入賞期待数として1R目に表示される。この表示から、遊技者は、1R目から今回の大当たり遊技が16ラウンド全てにおいて賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。即ち、入賞期待数が「160」の場合、16R全て「フル開放」であることが確定する。
【0150】
そして、ラウンド遊技が1回行われる毎に、10ずつ入賞期待数が減算されて表示される。つまり、1R目は「160」、2R目は「150」・・・・16R目は「10」というように表示される。このように、実施例2では、入賞期待数の数値を用いて、大入賞口42に入賞した遊技球の個数情報を表示しているのである。即ち、実施例2において、入賞期待数の数値は、賞球を獲得できるラウンド数(実質ラウンド数)を報知する役割と、大入賞口42に何個遊技球が入賞したかを報知する役割とを兼ねている。
【0151】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄2」の場合には、9Rと12Rとでアタッカー開放パターンが「RUB」となる。そのため、1R目において、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×8R(ラウンド期待数)=80個が入賞期待数として表示される。この表示から、遊技者は、今回の大当たり遊技は、8ラウンド分の賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。そして、ラウンド遊技が進む毎に、入賞期待数の数値は10ずつ減算される。
【0152】
9R目の演出表示装置34にて上乗せ演出(
図26(a)を参照)が行われ、画面上に「+30」が表示されると共に、入賞期待数に30個が加算される。この表示から、遊技者は、30個(上乗せ)/10個(規定個数)=3の式から、あと3ラウンド分のラウンド遊技が上乗せされたと知ることができる。つまり、1R目では大当たり遊技として8ラウンド分が確定し、9R目にさらに3ラウンド分継続することが確定する。同様に12R目に画面上に「+50」が表示されると共に、入賞期待数に50個が加算される。
【0153】
このように、「16R特定時短有図柄2」は、16ラウンド全てにおいて賞球の獲得が可能な大当たり遊技の内容であるが、演出表示制御部220は、9R目と12R目とで大当たり遊技が継続するか否かの演出を行って、遊技者に不安や期待を煽るような演出をしているのである。
【0154】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄3」の場合には、3R、6R、および12Rでアタッカー開放パターンが「RUB」となる。そのため、1R目において、演出表示装置34の領域TAに、規定個数10個×2R(ラウンド期待数)=20個が入賞期待数として表示される。この表示から、遊技者は、今回の大当たり遊技は、2ラウンド分の賞球を獲得できる内容であることを知ることができる。そして、3R、6R、12R目のそれぞれにおいて、上乗せ演出が発生し、入賞期待数の数値が適宜加算され、遊技者に賞球を獲得できるラウンド遊技の確定回数が入賞期待数の数値によって報知される。
【0155】
大当たり時の特図の種類が「16R特定時短有図柄3」〜「16R特定時短有図柄6」までについても、上記と同様に、アタッカー開放パターンが「RUB」のときに、上乗せ演出が行われ、所定の数値が入賞期待数に加算される。ただし、アタッカー開放パターンが「高速」となるラウンド遊技では賞球の獲得が困難であるため、図中の「終了」と示したラウンドでは、終了というメッセージが演出表示装置34に表示される。
【0156】
一方、大当たり時の特図の種類が「16R通常時短有図柄1」、「16R通常時短有図柄2」、「16R通常時短有図柄3」の場合には、それぞれ1R目に賞球の獲得が可能なラウンド遊技の回数に規定個数を乗じた数値が、入賞期待数として領域TAに表示される。即ち、「16R通常時短有図柄1」は1R目に入賞期待数160個、「16R通常時短有図柄2」には1R目に入賞期待数110個、「16R通常時短有図柄3」には1R目に入賞期待数50個が表示される。そして、ラウンド遊技が進む毎に入賞期待数の数値が10ずつ減算されて表示される。また、通常当たりとなる上記3つの特図の種類の場合には、アタッカー開放パターンが「RUB」となる場合がないため、上乗せ演出等は行われない。
【0157】
このように構成された実施例2の表示制御の具体例を
図25および
図26を用いて説明する。
図25および
図26は、大当たり当選時に決定された特図の種類が「16R特定時短有図柄2」の場合における、大当たり遊技中の遊技情報の表示の具体例を示している。
【0158】
図25(a)に示すように、大当たり遊技が開始されると、画面の左下の領域RNDに1ラウンド目を意味する「1R」が表示され、画面の左上に太陽と雲のキャラクタCが表示され、画面中央に「第1ラウンド開始」のメッセージが表示され、画面右上の領域TAに入賞期待数「80」が表示される。この表示によって、賞球を獲得できるラウンド数が最低でも8ラウンド行われることが確定する。
【0159】
1R目が開始され、大入賞口42に遊技球が3個入賞した場合、
図25(b)に示すように、入賞期待数が「80」から「3」減算されて、「77」と表示される。なお、累積入賞数の表示が変化するタイミングは、大入賞口検知センサ45が遊技球を検知したタイミングである。即ち、大入賞口検知センサ45(
図4参照)からの検知信号が演出制御処理部201に入力される度に、演出表示制御部220が入賞期待数を「80」→「79」→「78」→「77」というように1ずつ減算する態様で表示している。
【0160】
そして、1R目の大入賞口42への遊技球の入賞個数が規定個数である10個に到達すると、
図25(c)に示すように、第1ラウンド終了のメッセージが表示され、領域TAに、入賞期待数「70」が表示される。この表示は、8ラウンド分の規定個数に相当する80個の入賞期待数に対して、1ラウンド分の規定個数である10個が既に大入賞口42に入賞したことを意味する。そして、このような表示が2R目〜7R目まで行われる。
【0161】
8R目は、入賞期待数「10」に対しての最終ラウンドに相当するため、
図25(d)に示すように、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示される。8R目の開始時は、領域TAに入賞期待数「10」が表示される。そして、8R目のラウンド遊技が進んでいき、8R目のラウンド遊技において例えば大入賞口42に4個目の遊技球が入賞した場合には、
図25(e)に示すように、4個目の入賞に係る大入賞口検知センサ45からの検知信号の入力に基づいて、演出表示制御部220が領域TAに入賞期待数「6」を表示する。
【0162】
そして、大当たり遊技の1R目開始から数えて大入賞口42に入賞した遊技球の個数が80個に到達すると、
図25(f)に示すように、入賞期待数「0」と表示される。これにより、期待通りの入賞個数が得られたことになる。そして、一応、画面上で大当たり遊技の終了が表示される。ところが、「16R特定時短有図柄2」に対応する大当たり遊技は、9R目のアタッカー開放パターンが「RUB」となっており、9R目のラウンド遊技開始時に上乗せ演出が行われ、入賞期待数が加算されるように予め構成されている。
【0163】
そのため、9R目のラウンド遊技が開始されると、
図26(a)に示すように、画面にハート型のマークの中に入賞期待数の上乗せ数としての「+30」(PT)が表示されると共に、領域TAの入賞期待数が8R目の終了時点で「0」であったものが、9R目の上乗せ演出を経て「30」に加算表示される。この表示により、賞球を獲得できるラウンド数が3ラウンド分上乗せされることが確定する。同時に、画面右下に「まだまだ!」というメッセージが表示される。なお、「+30」の表示は、9R目のラウンド遊技において、アタッカー装置41が0.2秒開放を4回繰り返す動作(
図11(b)参照)を行っている間に行われる。
【0164】
ラウンド遊技が進んで11R目に突入すると、11R目は入賞期待数「10」に対しての最終ラウンドに相当するため、
図26(b)に示すように、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示される。11R目の開始時は、領域TAに入賞期待数「10」が表示される。そして、11R目のラウンド遊技が進んでいき、11R目のラウンド遊技において例えば大入賞口42に6個目の遊技球が入賞した場合には、
図26(c)に示すように、6個目の入賞に係る大入賞口検知センサ45からの検知信号の入力に基づいて、演出表示制御部220が領域TAに入賞期待数「4」を表示する。
【0165】
そして、大当たり遊技の1R目開始から数えて大入賞口42に入賞した遊技球の個数が110個に到達すると、
図26(d)に示すように、入賞期待数「0」と表示される。これにより、期待通りの入賞個数が得られたことになる。そして、一応、画面上で大当たり遊技の終了が表示される。ところが、「16R特定時短有図柄2」に対応する大当たり遊技は、12R目のアタッカー開放パターンが「RUB」となっており、12R目のラウンド遊技開始時に上乗せ演出が行われ、入賞期待数が加算されるように予め構成されている。
【0166】
そのため、12R目のラウンド遊技が開始されると、図示しないが、
図26(a)と同様に入賞期待数の上乗せ数としての「+50」が表示されると共に、領域TAの入賞期待数が11R目の終了時点で「0」であったものが、12R目の上乗せ演出を経て「50」に加算表示される。この表示により、賞球を獲得できるラウンド数が5ラウンド分上乗せされることが確定する。即ち、12R目の開始時点で、今回の大当たり遊技が16ラウンド全て賞球を獲得できる内容であることが確定する。
【0167】
そして、16R目が開始されると、
図26(e)に示すように、最終回である旨が表示されると共に、領域TAに入賞期待数「10」が表示される。そして、規定個数である10個の入賞があったときに、ラウンド遊技が終了となる。そのとき、
図20(f)に示すように、領域TAには、入賞期待数「0」が表示される。即ち、入賞期待数の全てを取りこぼしなく大入賞口42に遊技球を入賞させることができた旨が表示されることになる。
【0168】
次に、未入賞個数が発生した場合の表示制御について説明する。未入賞個数がある場合に、実際の入賞個数を減算した入賞期待数をそのまま表示したのでは、入賞期待数がまだ残っているにも拘らずラウンド遊技が終了することになるため、入賞期待数の表示に違和感が生じてしまう。そこで、実施例2では、次のように入賞期待数の数値を補正して表示するよう制御している。
【0169】
図27(a)に示すようにまず1R目が開始されると、領域TAに入賞期待数「80」が表示され、途中に3個大入賞口42に入賞すると、
図27(b)に示すように、入賞期待数が「77」にカウントダウンされる。ここまでは、
図25(a)および(b)と同じである。
【0170】
1R目のラウンド遊技において、トラブル等の原因により、大入賞口42に8個しか遊技球が入賞しないまま1R目のラウンド遊技が終了(特定の事態が発生)すると、
図27(c)に示すように、入賞期待数は「72」と表示されたままである。即ち、未入賞個数が2個発生した状態でラウンド遊技が終了したことになる。この場合、入賞期待数を「72」と表示したまま次のラウンドに進むと、2R目以降では現実的には70個しか入賞の期待ができないにも拘らず、入賞期待数が72個と表示されるため違和感が残る。そして、最終的に、入賞期待数が「2」と表示されたまま大当たり遊技が終了することになり、表示上の矛盾が生じてしまう。
【0171】
そこで、実施例2では、
図27(d)に示すように、2R目のラウンド遊技開始時に、2個の未入賞個数を入賞期待数「72」から減算して補正した値である「70」を新たな入賞期待数として表示している。こうすることで、次ラウンド以降で現実的な入賞期待数を表示できる。即ち、現実的に大入賞口42に入賞可能な遊技球の個数と、入賞期待数の値との表示上の矛盾がなくなる。
【0172】
そして、
図27(e)に示すように、8R目のラウンド遊技が開始されると、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示され、領域TAに入賞期待数「10」が表示される。そして、規定個数の遊技球が入賞して最終的に8R目が終了すると、
図27(f)に示すように、入賞期待数「0」となり、未入賞分を考慮したうえでの期待通りの入賞個数が得られたことが表示される。
【0173】
このように、実施例2では、未入賞個数が発生した場合には、演出表示制御部220が、その未入賞個数分を入賞期待数から減算するよう数値を補正し、その補正値を次ラウンドにおいて新たな入賞期待数として領域TAに表示するようにしたので、入賞期待数の表示に対して遊技者が違和感を持つということはなくなる。さらに言えば、大当たり遊技の最終ラウンド終了時において、入賞期待数が「0」になっていないにも拘らず大当たり遊技が終了するといった矛盾はなくなる。
【0174】
また、何らかのトラブル等により、1回のラウンド遊技中に大入賞口42に1個も遊技球が入賞しない状況(特定の事態)も起こり得る(
図28(c)参照)。この場合に、入賞期待数の数値が補正されないとすると、実際に入賞可能な個数と入賞期待数とが一致しないことになる。
【0175】
そのため、実施例2では、
図28(d)に示すように、次のラウンド遊技の開始時に、入賞期待数の数値から1ラウンド分の規定個数である10個を減算した補正値(この場合、80−10=70個)を新たな入賞期待数として表示することにしている。即ち、演出表示制御部220は、大入賞口検知センサ45からの検知信号が一切入力されないまま1R目のラウンド遊技が終了した旨のコマンドを受けると、それに基づいて、1R目に表示している入賞期待数「80」から1ラウンド分の規定個数である「10」個を減算して、新たな入賞期待数「70」を領域TAに表示するよう制御している。そして、最終的に8R目が終了すると、
図28(f)に示すように、入賞期待数「0」となり、所謂パンクが考慮されたうえで、期待通りの入賞個数が得られたことが表示される。
【0176】
このように、実施例2は、1回のラウンド遊技において全く大入賞口42に遊技球が入賞しなかった場合であっても、入賞期待数の数値を補正するように構成されているため、入賞期待数の表示に対して遊技者が違和感を持つことはない。
【0177】
「実施例3」
未入賞個数がある場合に、実施例1では累積入賞数の数値を補正したが、実施例3では入賞期待数の数値を補正する表示制御の例を説明する。
図29(a)に示すようにまず1R目が開始されると、領域TAに累積入賞数「0」/入賞期待数「80」が表示され、途中に3個大入賞口42に入賞すると、
図29(b)に示すように、累積入賞数が「3」にカウントアップされる。
【0178】
1R目のラウンド遊技において、トラブル等の原因により、大入賞口42に8個しか遊技球が入賞しないまま1R目のラウンド遊技が終了(特定の事態が発生)すると、
図29(c)に示すように、累積入賞数は「8」と表示されたままである。即ち、未入賞個数が2個発生した状態でラウンド遊技が終了したことになる。この場合、累積入賞数を「8」と表示したまま次のラウンドに進むと、入賞期待数が2個残っているにも拘らずラウンド遊技が次へ進むといったことになり、大当たり遊技の進行と遊技情報との間(累積入賞数と入賞期待数との表示の意味合い)に違和感が生じてしまう。
【0179】
そこで、実施例3では、
図29(d)に示すように、2R目のラウンド遊技開始時に、2個の未入賞個数を入賞期待数「80」から減算して、新たに入賞期待数「78」に補正して表示している。こうすることで、入賞期待数の数値が現実的に入賞可能な個数と一致うするため、表示の矛盾や違和感はなくなる。
【0180】
そして、図示しないが、8R目のラウンド遊技が開始されると、画面中央に「ラスト!」のメッセージが表示され、領域TAに「累積入賞数「68」/入賞期待数「78」」が表示される。そして、8R目の途中で
図29(e)に示すように、累積入賞数が「74」にカウントアップされ、最終的に8R目が終了すると、
図29(f)に示すように、入賞期待数「78」に対して累積入賞数「78」となり、未入賞個数を考慮した形で期待通りの入賞個数が得られたことが表示される。
【0181】
このように、実施例3では、未入賞個数が発生した場合には、演出表示制御部220が、その未入賞個数分を次ラウンドにおいて入賞期待数から減算するよう数値の補正を行い、その補正値を領域TAに表示するようにしたので、累積入賞数と入賞期待数との表示に矛盾はなくなる。また、大当たり遊技の最終ラウンド終了時において、累積入賞数と入賞期待数とを同じ数値にすることができるので、遊技情報の表示に矛盾は生じない。なお、実施例3においても、所謂パンク時には実施例1と同様に表示を制御すれば良いことは勿論である。
【0182】
ここで、上記した実施の形態例に係るパチンコ機では、特図の種類に応じてどのラウンド遊技で上乗せ演出を行うか否かを予め決めるようにしたが、これ以外に、所定のラウンド遊技の開始時に抽選を行って、上乗せ演出を行うようにしても良い。例えば、1R目の入賞期待数「20」と表示され、2R目からラウンド毎に抽選を行い、当該抽選に当選すれば3R目以降に継続するか否かの演出が行われるように構成しても良い。この場合、勿論、3R目以降も賞球を獲得できるラウンド数が残っている場合に限って入賞期待数の上乗せが行われ、そうでない場合、上乗せ演出の結果入賞期待数の上乗せは行われないように構成する必要がある。このような演出構成としても、遊技者に大当たり遊技中の演出に興味を持たせることができる。また、上乗せ演出を行うタイミングは、ラウンド遊技の開始時だけでなく、入賞期待数が加算されるラウンドの1つ前のラウンド遊技終了直前に行うようにしても良い。