(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記メッシュ中心から延びる隣り合う2本の前記メッシュラインのなす角度が所定以上であるときに、当該2本のメッシュラインで作られる要素を分割するようにメッシュラインを挿入する第3メッシュライン作成部を有する
ことを特徴とする請求項1記載のタイヤモデル作成装置。
前記第1メッシュライン作成部と前記第2メッシュライン作成部において基点とする臨界点を選択する臨界点選択部であって、前記メッシュ中心を中心として、前記境界線上にある前記ビード形状ラインのタイヤ内面側の臨界点から、タイヤ輪郭ラインに沿ってタイヤ内面側からタイヤ外面側に向かう第1方向に臨界点を順次選択する臨界点選択部を有し、前記臨界点選択部は、前記ビード形状ラインの臨界点から前記第1方向に向かって所定角度内に前記タイヤ部材形状ラインの臨界点が存在するときに、当該ビード形状ラインの臨界点の代わりに当該所定角度内のタイヤ部材形状ラインの臨界点を選択する
ことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤモデル作成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0013】
一実施形態に係るタイヤモデル作成装置10は、
図1に示すように、入力部12、境界線設定部14、本体部モデル作成部16、ビード部モデル作成部18、及び出力部20を有する。また、
図2に示すように、ビード部モデル作成部18は、メッシュ中心設定部30、臨界点設定部32、臨界点選択部34、第1メッシュライン作成部36、第2メッシュライン作成部38、第3メッシュライン作成部40、及び要素生成部42を有する。
【0014】
なお、この作成装置10は、例えば、マウスとキーボードを有する汎用のコンピュータを基本ハードウェアとして用いることでも実現することが可能である。すなわち、入力部12、境界線設定部14、本体部モデル作成部16、ビード部モデル作成部18(詳細には、メッシュ中心設定部30、臨界点設定部32、臨界点選択部34、第1メッシュライン作成部36、第2メッシュライン作成部38、第3メッシュライン作成部40、及び要素生成部42)、及び出力部20は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサにプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、作成装置10は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0015】
以下、上記各部の構成と機能について順番に説明する。
【0016】
[1]入力部12
入力部12は、作成対象となる空気入りタイヤの断面形状を含めたタイヤについてのデータ(タイヤ設計情報)を取得する。具体的には、タイヤの外形形状や内部構造等の各寸法諸元、タイヤを構成するトレッドゴム、サイドウォールゴム、ベルト、カーカスプライ、ビードコア、チェーハーなどの各タイヤ部材についての形状、配置、材料物性値などが入力される。これらの情報の入力は、キーボードを用いて行われてもよく、あるいはまた、CD−ROM等の記録媒体やネットワーク等を通じて行われてもよい。
【0017】
[2]境界線設定部14
境界線設定部14は、入力部12で入力されたタイヤ断面形状に関する情報に基づいて、ビード形状ラインの上辺を通る境界線を設定する。
図15に示すように、境界線50は、ビード52を含むビード部54と、該ビード部54を除くタイヤ本体部56との境界をなす線であり、
図6に示すように、ビード形状ライン58の上辺58Aが境界線50として設定される。
【0018】
ビード52は、一般にスチール製のビードコアからなり、ビードコアがビードカバーで覆われている場合には、ビードカバーを含めてビードとする。ビード形状ライン58は、ビードカバーがない
図5の例ではビードコアの外形線であり、ビードコア形状ラインと称することもできる。一方、ビードカバーがある場合、ビードコア形状ラインだけでなく、ビードカバーの外形線であるビードカバー形状ラインもビード形状ラインに含まれる。但し、境界線を設定するときには、ビードカバー形状ラインの上辺に設定すればよく、その一方、臨界点設定部32で臨界点を設定する場合には、ビードコア形状ラインとビードカバー形状ラインの双方に設定すればよい。
【0019】
ビード形状ラインの上辺58Aは、ビード形状ライン58のうちタイヤ径方向外方側の境界をなす辺ないし線部分(直線には限られない。)のことであり、例えば、ビード52と、その径方向外側に設けられるビードフィラー60(
図5参照)との境界を上辺58Aとして、前記境界線50に設定してもよい。なお、ビード形状としては、特に限定されず、例えば、ケーブル状(円形)、六角形や四角形の他、様々な多角形が挙げられる。
【0020】
境界線50は、
図5に示すようにビード形状ラインの上辺58Aのみで設定してもよいが、タイヤ本体部56とビード部54との境界を明確にするため、
図6に示すようにタイヤ輪郭ライン62まで延ばして設定してもよい。その場合、上辺58Aの両端からそれぞれ隣接するタイヤ部材形状ライン64に至るメッシュラインを作成し、該メッシュラインをタイヤ輪郭ライン62に至るまで延ばすことにより、タイヤを厚み方向に横断する境界線50が設定される。該メッシュラインは、上辺58Aの両端を基点として、それぞれの基点が位置する形状ラインの法線方向に作成されている。ここで、上辺58Aの両端とは、上辺58Aにおけるタイヤ内面側の端に位置する臨界点とタイヤ外面側の端に位置する臨界点である。臨界点とは、ビード形状ライン58を表現するために必要な点であり、角部を構成する頂点や変曲点のように形状が変化する変化点のことである。
【0021】
なお、
図5において、符号66はカーカスプライ、符号68はチェーハー、符号70はインナーライナー、リムストリップ等のゴム部材を示し、これらをビード52周りのタイヤ部材と称する。
【0022】
[3]本体部モデル作成部16
本体部モデル作成部16は、入力部12で入力されたタイヤ断面形状に関する情報に基づいて、境界線50よりも上側(タイヤ径方向外側)のタイヤ本体部56をモデル化する。モデル化は、タイヤ断面形状を有限要素に分割した有限要素モデルを作成することである。タイヤ本体部56のモデル化手法としては、特に限定されず、公知の手法を採用することができる。
【0023】
例えば、タイヤ赤道線CL(
図15参照)から幅方向外側に向かって順次要素分割することによりタイヤ本体部モデル72を作成することができる。その際、タイヤ内面側のタイヤ輪郭ラインからタイヤ外面側のタイヤ輪郭ラインまでメッシュラインを延ばすことで、各タイヤ部材との交点を節点として要素分割を行うことができ、該要素分割を赤道線CLから境界線50まで繰り返すことにより、タイヤ本体部モデル72が得られる。
【0024】
[4]ビード部モデル作成部18
ビード部モデル作成部18は、入力部12で入力されたタイヤ断面形状に関する情報に基づいて、境界線50よりも下側(タイヤ径方向内側)のビード部54をモデル化する。上記のように、ビード部モデル作成部18は、メッシュ中心設定部30と、臨界点設定部32と、臨界点選択部34と、第1メッシュライン作成部36と、第2メッシュライン作成部38と、第3メッシュライン作成部40と、要素生成部42とを有するので、以下順番に説明する。
【0025】
[5]メッシュ中心設定部30
メッシュ中心設定部30は、ビード形状ライン58の内部にメッシュ中心74を設定する(
図7参照)。メッシュ中心74は、ビード52内部の適当な点に設定することができるが、ビード52の縁部よりも中央部に設定されることが好ましく、例えば、多角形の重心、円形の中心、四角形や六角形の対角を結んだ交点などが考えられ、特に好ましくは重心である。
【0026】
[6]臨界点設定部32
臨界点設定部32は、境界線50から下側において、ビード52周りのタイヤ部材形状ライン64(タイヤ輪郭ライン62も含まれる。)を表現するための臨界点76を設定するとともに、ビード形状ライン58を表現するための臨界点78を設定する(
図7参照)。タイヤ部材形状ライン64の臨界点76としては、上述したビード形状ライン58の臨界点78のように頂点や変曲点のような形状が変化する変化点の他、タイヤ部材66,68,70同士の境界となる境界点でもよい。
【0027】
[7]臨界点選択部34
臨界点選択部34は、第1メッシュライン作成部36と第2メッシュライン作成部38において、メッシュラインを作成する際に基点とする臨界点76,78を選択する。
【0028】
臨界点選択部34は、メッシュ中心74を中心として、境界線50上にあるビード形状ライン58のタイヤ内面側の臨界点78Aから、タイヤ輪郭ライン62に沿ってタイヤ内面側からタイヤ外面側に向かう第1方向X(
図7参照)にて臨界点76,78を順次選択する。例えば、各臨界点76,78について、メッシュ中心74を中心とした臨界点78Aからの角度θ(第1方向Xでの角度、
図7参照)を算出しておき、この角度θが小さいものから順番に選択する。
【0029】
その際、臨界点選択部34は、ビード形状ライン58の臨界点78を選択した場合であっても、当該臨界点78の近傍にタイヤ部材形状ライン64の臨界点76が存在するときには、臨界点78の代わりに当該近傍の臨界点76を選択する。詳細には、ビード形状ライン58の臨界点78から第1方向Xに向かって所定角度内にタイヤ部材形状ライン64の臨界点76が存在するときに、当該ビード形状ライン58の臨界点78の代わりに当該所定角度内のタイヤ部材形状ライン64の臨界点76を選択する。
【0030】
例えば、
図10に示す場合、角度θ1に位置するビード形状ライン58の臨界点78と、角度θ2に位置するタイヤ部材形状ライン64の臨界点76では、θ1がθ2よりも小さい。そのため、上記基本原則に従えば、θ1に位置する臨界点78が選択されるが、本実施形態では、θ1とθ2の差が所定以下で小さいため、θ2に位置する臨界点76を選択する。このようにタイヤ部材形状ライン64の臨界点76を優先して選択することにより、カーカスプライ66やチェーハー68のような繊維が埋設された異方性材料の臨界点が優先され、メッシュライン作成時に該異方性材料の要素がつぶれてしまうことを回避しやすくなる。
【0031】
[8]第1メッシュライン作成部36
第1メッシュライン作成部36は、臨界点選択部34で選択した臨界点76,78を基点として、タイヤ輪郭ライン62に向かって、隣接するタイヤ部材形状ライン64に至るメッシュライン80(
図8参照)を作成し、タイヤ輪郭ライン62に至るまで該メッシュライン80を延ばす。
【0032】
詳細には、第1メッシュライン作成部36は、
図8に示すように、臨界点76,78から、タイヤ輪郭ライン62に向かって、タイヤ部材形状ライン64の法線方向にメッシュライン80を作成する。更に、該メッシュライン80と隣接するタイヤ部材形状ライン64との交点を基点として、同様に法線方向にメッシュライン80を延ばす。これをタイヤ輪郭ライン62に達するまで繰り返す。これにより、選択した臨界点76,78からタイヤ輪郭ライン62に至るメッシュライン80が完成する。
【0033】
但し、例えば、タイヤトウのような鋭角部を通る場合のように法線方向にメッシュライン80を作成することが妥当でない場合には、タイヤ部材形状ライン64が作る角度を二等分する方向にメッシュライン80を作成するように規定しておく。妥当か否かは、タイヤ部材形状ライン64が作る、臨界点を頂点とした挟角の大きさが、所定の角度以下か否かで判断すればよい。
【0034】
また、法線方向に対して所定の許容範囲(角度)内に、タイヤ部材形状ライン64の臨界点76が存在する場合には、不必要に薄い要素が作成されるのを避けるため、メッシュライン80を当該臨界点76に結ぶ。
【0035】
[9]第2メッシュライン作成部38
第2メッシュライン作成部38は、
図9に示すように、臨界点選択部34で選択した臨界点76,78を基点として、メッシュ中心74に向かって、隣接するタイヤ部品形状ライン64又はビード形状ライン58に至るメッシュライン80を作成し、メッシュ中心74に至るまで該メッシュライン80を延ばす。
【0036】
詳細には、第2メッシュライン作成部38は、臨界点76から、メッシュ中心74に向かって、タイヤ部材形状ライン64の法線方向にメッシュライン80を作成し、該メッシュライン80と隣接するタイヤ部材ライン64との交点を基点として、同様に法線方向にメッシュライン80を延ばす。これをビード形状ライン58に達するまで繰り返し、最後にメッシュ中心74に結ぶ。また、ビード形状ライン58の臨界点78については、当該臨界点78からメッシュライン80を延ばしてメッシュ中心74に結ぶ。これにより、選択した臨界点76,78からメッシュ中心74に至るメッシュライン80が完成する。
【0037】
第2メッシュライン作成部38でも、第1メッシュライン作成部36と同様、法線方向にメッシュライン80を作成することが妥当でない場合には、タイヤ部材形状ライン64が作る角度を二等分する方向にメッシュライン80を作成する。また、法線方向に対して所定の許容範囲(角度)内に、他の臨界点76,78が存在する場合には、メッシュライン80を当該臨界点76,78に結ぶ。
【0038】
[10]第3メッシュライン作成部40
第3メッシュライン作成部40は、メッシュ中心74から延びる隣り合う2本のメッシュライン80で作られる要素が、所定の要素サイズよりも大きい場合に、それを分割するようにメッシュライン82(
図13参照)を挿入する。
【0039】
詳細には、ビード形状ライン58内において2本のメッシュライン80,80のなす角度が所定以上であるときに、当該2本のメッシュライン80,80で作られる要素を分割するようにメッシュライン80を挿入する。挿入方法としては、2本のメッシュライン80,80間に挟まれるビード形状ライン58及びタイヤ部材形状ライン64の各線分をそれぞれ複数に等間隔で分割(例えば、二等分)するように、メッシュライン82を作成する。メッシュライン82は、メッシュ中心74からタイヤ輪郭ライン62に達するまで作成する。
【0040】
[11]要素生成部42
要素生成部42は、上記で作成した各メッシュライン80,82と、ビード形状ライン58、タイヤ部材形状ライン64及びタイヤ輪郭ライン62との交点を節点として、該節点により定義された有限個の要素85を生成する。各要素85は、4つの節点で定義され、すなわち、要素生成時に、ローカル節点番号順に、4つの節点を定義する。これにより、タイヤ断面を有限個の要素に分割したタイヤモデルが得られる。
【0041】
ところで、タイヤは、繊維とゴムの複合体である。補強材であるベルト、カーカスプライ、チェーハーなどは、繊維にゴムをトッピングしたようなもので、異方性がある。ゆえに、要素の設定においては、異方性を意識する必要がある。解析結果を評価するとき、要素単位にコネクティビティ(connectivity)を考えることができるが、一連の異方性材料要素は、コネクティビティを揃えておくと、設定時も評価時も、取り扱いが容易になる。つまり、要素定義時に、対応するローカル節点番号の方向を揃えておくこと(例えば「節点1−節点2」の方向を揃えておく。)が有益である。
【0042】
そこで、本実施形態において、要素生成部42は、境界線50から下側のビード部54において、
図14に示すように、メッシュ中心74の周りに同じ方向(第1方向X)で対応するローカル節点番号1〜4を持つように各要素85の節点を定義する。すなわち、要素85を定義する4つの節点を、ローカル節点番号順に指定する際に、この順番を、メッシュ中心74の周りに同じ方向になるように設定する。詳細には、ビード形状ライン58上の辺が、第1方向Xにおいて「節点1−節点2」となるような三角形要素でビード52を表現する。そのため、メッシュ中心74のローカル節点番号が節点3,4となる。また、ビード52に巻き付けられたタイヤ部材66,68,70については、ビード52の要素に準じて要素を定義する。すなわち、メッシュ中心74から遠い側の辺が、第1方向Xにおいて「節点1−節点2」となるような要素で、ビード52周りのタイヤ部材66,68,70の要素を表現する。なお、
図14において、「1」〜「4」がローカル節点番号であり、「1」が節点1、「2」が節点2、「3」が節点3、「4」が節点4を、それぞれ意味する。
【0043】
なお、タイヤ本体部56をモデル化する際にも、その要素生成時に、対応するローカル節点番号の方向を揃えておくことが好ましい。本実施形態では、ビード部モデル作成部18は、タイヤ本体部モデル72の各要素において、タイヤ内面側におけるタイヤ赤道線CLに近い側の節点をローカル節点番号「1」とし、ここから反時計回りに節点を定義することにより、各要素のタイヤ内面側で「節点1−節点2」の方向が、
図15において矢印Yで示す方向となるようにしている。
【0044】
カーカスプライ66やチェーハー68などの異方性タイヤ部材については、タイヤ外面側に巻き上げられた部分において、境界線50よりも上方の要素では、ビード部モデル84の要素に準じたローカル節点番号順に節点が定義されており、各要素のタイヤ外面側で「節点1−節点2」の方向が、
図15において矢印Zで示す方向となるようにしている。
【0045】
[12]出力部20
出力部20は、上記により得られたタイヤモデル(タイヤ断面モデル、2Dモデル)を出力する。タイヤモデルの出力は、ディスプレイによって表示したり、プリンタによって印刷したりすることにより行うことができる。
【0046】
次に、本実施形態に係るタイヤモデル作成装置10の動作状態について、
図3及び
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0047】
ステップS1において、入力部12が、作成対象となる空気入りタイヤの断面形状を含めたタイヤ設計情報を取得する。
【0048】
次いで、ステップS2において、境界線設定部14が、取得した情報を用いて、
図5に示すビード部54の周辺において、ビード形状ライン58の上辺58Aを境界線50に設定する。この例では、
図6に示すように、上辺58Aの両端からそれぞれタイヤ輪郭ライン62にまで達するメッシュラインを作成することで、タイヤを厚み方向に横断する境界線50を設定する。そして、ステップS3に進む。
【0049】
ステップS3において、本体部モデル作成部16が、入力部12で取得した情報に基づいて、境界線50よりも上側のタイヤ本体部56をモデル化する。すなわち、タイヤ本体部モデル72を作成する。そしてステップS4に進む。
【0050】
ステップS4において、ビード部モデル作成部18が、入力部12で取得した情報に基づいて、境界線50よりも下側のビード部54をモデル化する。すなわち、ビード部モデル84を作成する。
【0051】
詳細には、
図4に示すように、まず、ステップS11において、メッシュ中心設定部30が、ビード形状ライン58の内部にメッシュ中心74を設定する(
図7参照)。そして、ステップS12に進む。
【0052】
ステップS12において、臨界点設定部32が、
図7に示すように、境界線50から下側において、タイヤ部材形状ライン64の臨界点76を設定するとともに、ビード形状ライン58の臨界点78を設定する。そして、ステップS13に進む。
【0053】
ステップS13において、臨界点選択部34が、メッシュライン80を作成する際に基点となる臨界点76,78を選択する。臨界点76,78は、基本的に、境界線50上にあるタイヤ内面側の臨界点78Aから第1方向Xに向かって順次選択される。そのため、まず、境界線50の臨界点78Aが選択される。そして、ステップS14に進む。
【0054】
ステップS14では、第1メッシュライン作成部36が、臨界点選択部34で選択した臨界点76,78を基点として、タイヤ輪郭ライン62に向かって、隣接するタイヤ部材形状ライン64に至るメッシュライン80を作成し、タイヤ輪郭ライン62に至るまで該メッシュライン80を延ばす。但し、最初に選択された臨界点78Aでは、既に境界線50としてメッシュラインが作成されているため、次のステップS15に進む。
【0055】
ステップS15では、第2メッシュライン作成部38が、臨界点選択部34で選択した臨界点76,78を基点として、メッシュ中心74に向かって、隣接するタイヤ部品形状ライン64又はビード形状ライン58に至るメッシュライン80を作成し、メッシュ中心74に至るまで該メッシュライン80を延ばす。最初に選択された臨界点78Aでは、
図8に示すように、該臨界点78Aからそのままメッシュ中心74まで延びるメッシュライン80を作成する。そして、ステップS16に進む。
【0056】
ステップS16では、臨界点選択部34が、全ての臨界点76,78についてメッシュライン80が作成されているか否かを判定し、作成されていなければ、ステップS13に進む。そして、ステップS13において、臨界点選択部34が、次の臨界点76,78を選択する。ここでは、
図8に示すタイヤ部材形状ライン64上の臨界点76が選択される。次いで、ステップS14において、第1メッシュライン作成部36が、
図8に示すように、該臨界点76を基点として、タイヤ輪郭ライン62までメッシュライン80を作成する。その後、ステップS15において、第2メッシュライン作成部38が、
図9に示すように、該臨界点76を基点として、メッシュ中心74に至るまで該メッシュライン80を延ばす。その際、この例では、該メッシュライン80はビード形状ライン58上の臨界点78を通った後にメッシュ中心74に結ばれる。
【0057】
そして、再びステップS16を経てステップS13に進み、次の臨界点76,78が選択される。その際、この例では、
図10に示すように、角度θ1の臨界点78と角度θ2の臨界点76とでは、両角度θ1,θ2の差が所定値よりも小さいので、θ2に位置する臨界点76が選択される。そして、ステップS14では、第1メッシュライン作成部36が、
図11に示すように、該臨界点76を基点として、タイヤ輪郭ライン62上の臨界点76に至るメッシュライン80を作成する。その後、ステップS15において、第2メッシュライン作成部38が、該臨界点76を基点として、メッシュ中心74に向かってメッシュライン80を作成していき、
図11に示すようにメッシュ中心74に結ぶ。そして、ステップS16に進む。
【0058】
このようにして、全ての臨界点76,78についてメッシュライン80が作成されるまで、ステップS13〜S16を繰り返し、
図12に示すモデルが得られる。そして、全ての臨界点76,78でメッシュライン80が作成されたと判定したら、ステップS17に進む。
【0059】
ステップS17において、第3メッシュライン作成部40が、2本のメッシュライン80で作られるであろう要素が、所定の要素サイズよりも大きいか否かを判定し、大きいと判定した場合、ステップS18において、第3メッシュライン作成部40が、
図13に示すように、該要素を分割するようにメッシュライン82を挿入する。そして、ステップS19に進む。一方、ステップS17において、所定の要素サイズよりも大きいものがなければ、ステップS18を経ずに、そのままステップS19に進む。
【0060】
ステップS19において、要素生成部42が、各メッシュライン80,82と、ビード形状ライン58、タイヤ部材形状ライン64及びタイヤ輪郭ライン62との交点を節点として、該節点により定義された有限個の要素85を生成する(
図14参照)。これにより、ビード部モデル84が完成し、ステップS4が終了する。以上により、タイヤ全体のモデル化(要素分割)が完了するので、次にステップS5に進む。
【0061】
ステップS5において、出力部20が、上記により得られたタイヤモデルを出力する。
【0062】
以上よりなる本実施形態によれば、ビード52内にメッシュ中心74をとり、該メッシュ中心74を中心とした放射状のメッシュライン80,82によって、ビード52を三角要素で表現するので、様々なビード形状を同一ロジックで簡単にモデル化することができる。また、ビード部54はビード52周りにカーカスプライ66やチェーハー68を巻き付けた構造を有するので、ビード52内に定義したメッシュ中心74から放射状のイメージでメッシュライン80,82を生成することにより、様々なビード形状に対応させて、オリジナルのタイヤ構造を極力再現し、効率よく要素生成することができる。また、必要な部分のみメッシュの細かさを変えることも容易である。
【0063】
また、ビード52に巻き付くカーカスプライ66やチェーハー68などの異方性材料要素の定義を容易に統一でき、結果の評価も容易になる。すなわち、カーカスプライ66やチェーハー68などの繊維要素は、ビード52に巻き付く構造になっており、ビード52を放射状にメッシュすることで、ローカル節点番号順に節点を定義する際に、一連の繊維要素の方向を揃えることが容易になる。繊維要素の方向を揃えることにより、コード張力など、異方性に影響される値の評価がしやすくなり、結果処理のプログラム化も容易になる。
【0064】
また、臨界点76,78、とりわけタイヤ部材形状ライン64の臨界点76を優先させて、これら臨界点76,78から、タイヤ輪郭ライン62及びメッシュ中心74へ向かう法線方向にメッシュライン80を作成することにより、特に繊維要素などの異方性材料に対して、なるべく正四角形に近い要素を生成できる。そのため、解析精度を高めることができる。
【0065】
一方で、一般に三角要素の解析精度が低いという点については、三角要素を導入するビート52は、通常スチールからなり、周囲のゴム、ナイロン、テキスタイルなどの素材に比較して硬く、変形も小さいので、三角要素であることによるデメリットは極小であると考えられる。
【0066】
この点を確認するために、リム接触2D解析を実施した。解析は、
図16に示す実施例のビード部モデル84を持つタイヤモデルと、
図17に示す比較例のビード部モデルを持つタイヤモデルとについて、ビード部がリムフランジ90に嵌合するように接触させて、両者の違いを解析した。ここで、両者のタイヤモデルの違いは、ビード、即ちビードコアが三角要素で構成するか(実施例)、四角要素で構成するか(比較例)という点であり、節点座標値は全く同じであり、タイヤ形状、リム形状、材料物性、境界条件、解析条件は同一に設定した。解析結果は、ビードコアを三角要素で構成した実施例は、四角要素で構成した比較例と比べて、ビードコア以外の部分の要素が、節点の変位座標まで、全く同じであった。従って、両者の間で、解析精度に差は認められなかった。
【0067】
以上より、本実施形態によれば、シンプルなロジックでタイヤのモデル化を容易にすることができ、解析精度を落とすことなく、モデル作成時間を短縮することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、ビード部54をモデル化する際に、各臨界点76,78に対して、先にタイヤ輪郭ライン62に向けてメッシュライン80を作成し、その後、メッシュ中心74に向けてメッシュライン80を作成した。しかしながら、先にメッシュ中心74に向けてメッシュライン80を作成し、その後、タイヤ輪郭ライン62に向けてメッシュライン80を作成してもよい。また、上記実施形態では、臨界点76,78毎にタイヤ輪郭ライン62へのメッシュライン作成とメッシュ中心74へのメッシュライン作成を行ったが、先に全ての臨界点76,78からタイヤ輪郭ライン62に向けてメッシュライン80を作成し、次いで、メッシュ中心74に向けてメッシュライン80を作成するように構成してもよい。また逆に、先に全ての臨界点76,78からメッシュ中心74に向けてメッシュライン80を作成した後、タイヤ輪郭ライン62に向けてメッシュライン80を作成するように構成してもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、二次元のタイヤモデルを作成する場合について説明したが、三次元のタイヤモデルを作成するものであってもよい。三次元のタイヤモデルを作成する場合、上記で得られた二次元のタイヤモデルを、タイヤ周方向に展開し、当該周方向に所定間隔毎に要素分割することで、三次元のタイヤモデルを作成することができる。
【0070】
また、上記実施形態では、ビード52がビードコアのみからなる場合について説明したが、ビードコアを取り囲むビードカバーを備えた構成についても、同様に適用することができる。その場合、ビードカバーはゴムからなり、ビードコアとは物性が異なるので、薄膜からなるビードカバーの外形線とビードコアの外形線との間でも要素分割し、この部分の要素も放射状のメッシュライン80,82で分割すればよい。
【0071】
以上により得られるタイヤモデルは、タイヤ特性をシミュレーションにより解析する際に用いることができ、各要素に密度や弾性率などの物性を与え、タイヤモデルに内圧や荷重などの境界条件を与えて、各要素の変形状態を計算することにより、タイヤの変形や運動状態をシミュレーションすることができる。
【0072】
上記では本発明の一実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の主旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。