特許第6017953号(P6017953)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017953
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】皮膚外用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20161020BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20161020BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20161020BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20161020BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20161020BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   A61K8/67
   A61K8/41
   A61K8/44
   A61Q19/02
   A61Q17/04
   A61Q1/02
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2012-287629(P2012-287629)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129278(P2014-129278A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 興鋭
【審査官】 松本 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−099629(JP,A)
【文献】 特開平11−116423(JP,A)
【文献】 特開平11−335284(JP,A)
【文献】 特表2007−535523(JP,A)
【文献】 特開2006−169116(JP,A)
【文献】 特開2002−265344(JP,A)
【文献】 特開2012−246248(JP,A)
【文献】 特開2006−188461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(C)成分を含有し、成分(A)と(B)成分の含有質量比(B/A)が0.05〜1であり、pHが4〜8である皮膚外用組成物。
(A)アスコルビン酸グルコシド
(B)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、
(C)エチレンジアミン四酢酸又はその塩
【請求項2】
記(B)成分と(C)成分の含有質量比(C/B)が、0.01〜2.5である請求項に記載の皮膚外用組成物。
【請求項3】
成分(A)の含有量が0.01〜10質量%である請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項4】
成分(A)の含有量が0.1〜5質量%である請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項5】
成分(A)の含有量が1〜3質量%である請求項1又は2に記載の皮膚外用組成物。
【請求項6】
さらに、(D)ピロリドンカルボン酸又はその塩を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸グルコシドを含有する皮膚外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸グルコシドは美白作用を有し、水に対する溶解性に優れるため皮膚外用剤として使用されている。しかし、アスコルビン酸グルコシドを含有する皮膚外用組成物では、経時による変色および変臭が課題とされており、特に高温に晒された場合に著しい変色および変臭が生じるという問題があった。
【0003】
かかる問題を解決するために、アスコルビン酸グルコシドに強塩基物質を配合する方法(特許文献1参照)、アスコルビン酸グルコシドに塩基性アミノ酸と塩基性中和剤を配合する方法(特許文献2参照)、アスコルビン酸グルコシドに2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを配合する方法(特許文献3参照)が提案されている。
【0004】
一方、熱的に不安定な薬物の分解を抑制するために、有機アミンを配合する方法が知られている(特許文献4参照)。また、アルブチンに生ずる経時での変色を改善するためにエチレンジアミン四酢酸又はその塩を配合する方法が知られている(特許文献5参照)。さらに、アスコルビン酸グルコシドに生ずる経時での変色を改善するためにエチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩を配合する方法が知られている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−199863号公報
【特許文献2】特開2006−188461号公報
【特許文献3】特許第4814512号公報
【特許文献4】特開2007−63265号公報
【特許文献5】特公平3−58327号公報
【特許文献6】特開2007−99629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載される方法では、pHの緩衝効果が無く、実使用に近い多成分系製剤では経時での著しいpH変動が生じ、安定性に問題を生じていた。また使用感としてもべたつきが生じる場合があった。
特許文献2、3に記載される方法では、使用感の問題を改善していたが安定性においては十分なものではなかった。特に、においの変化においては大きな問題を生じていた。
また、特許文献4に記載される方法は、熱により容易にエステル結合が加水分解する薬物に対する保護効果が例示されているが、アスコルビン酸グルコシドのように加水分解に対して安定化された薬物への教示は無い。特許文献5に記載される方法は、ハイドロキノン配糖体の変色に関して例示されているが、アスコルビン酸グルコシド安定性の向上に関しては一切記載されていない。
特許文献6に記載される方法は、アスコルビン酸グルコシドの変色、変臭に関して例示されているが、きわめて限定的なpH範囲であり、使用時(開封後)には安定性が保たれないことも示唆されており、その安定性は満足いくものではなかった。
【0007】
従って、本発明の課題は、アスコルビン酸グルコシドの経時による変色、変臭を抑制し、美白効果及び使用感に優れた皮膚外用組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記事情に鑑み、アスコルビン酸グルコシドの経時による変色、変臭を抑制し得る成分を見出すべく、アスコルビン酸グルコシドに対し、種々のアミン類及び種々のポリカルボン酸などとを組み合わせて配合して検討した結果、数多くの組み合わせのうち、アスコルビン酸グルコシドに対し、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールと、エチレンジアミン四酢酸又はその塩を併用した場合に、特に顕著に変色、変臭を改善でき、しかも美白効果、使用感も良好であることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち、本発明は、下記(A)〜(C)成分を含有し、pHが4〜8である皮膚外用組成物を提供するものである。
(A)アスコルビン酸グルコシド
(B)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール
(C)エチレンジアミン四酢酸又はその塩
【発明の効果】
【0010】
本発明により、アスコルビン酸グルコシドにより生ずる経時での変色や変臭を効果的に抑制することができ、さらに優れた美白効果、使用感に優れた皮膚外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明で用いる(A)アスコルビン酸グルコシドは、ビタミンCの配糖体であり、ビタミンC活性を示す成分として知られている。具体的には、α−グルコシル−L−アスコルビン酸が挙げられ、好ましくは2−O−α−D−グルコシル−L−アスコルビン酸が挙げられる。
【0012】
(A)成分の含有量は、優れた美白効果、使用感を得る点から、皮膚外用組成物総量に対して、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは1〜3質量%である。
【0013】
本発明で用いる(B)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールは、中和剤として用いられる物質の一つであり、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、トロメタモール、トロメタミン、トリス(Tris)とも呼ばれている。
【0014】
(B)成分の含有量は、組成物のpH、使用感、安定性の点から、皮膚外用組成物総量に対して、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい。また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、好ましくは0.001〜10質量%であり、より好ましくは0.01〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜3質量%である。
【0015】
本発明で用いる(C)エチレンジアミン四酢酸又はその塩は、キレート剤として用いられる物質の一つである。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられるが、市場での入手のし易さから、ナトリウム塩が好ましい。
具体的には、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウムを好適に挙げることができる。
【0016】
(C)成分の含有量は、使用感、経時安定性(変色、変臭)の点から、皮膚外用組成物総量に対して0.0001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上がさらに好ましい。また、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、好ましくは0.0001〜3質量%であり、好ましくは0.001〜2質量%であり、さらに好ましくは0.01〜1質量%である。
【0017】
前記(A)成分と(B)成分の含有質比(B/A)は、経時安定性(変色、変臭)の点から、0.05以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、0.15以上がさらに好ましい。また、1以下が好ましく、0.8以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましい。具体的なB/Aの範囲としては、0.05〜1であることが好ましく、0.1〜0.8であることがより好ましく、0.15〜0.5であることがさらに好ましい。
【0018】
前記(B)成分と(C)成分の含有質量比(C/B)は、経時安定性(変色、変臭)、使用感の点から、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。また、2.5以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1以下がさらに好ましい。C/Bの具体的な範囲としては、0.01〜2.5であることが好ましく、0.03〜1.5であることがより好ましく、0.1〜1であることがさらに好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用組成物のpH(25℃)は、皮膚外用組成物の安定性及び皮膚刺激性の点から、4〜8であるが、5.5以上が好ましく、7.5以下であることが好ましく、さらに5.5〜7.5であることが好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用組成物においては、前記pHに調整するため、中和剤を用いることが好ましい。前記中和剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、L−アルギニン、L−リジン、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩酸、リン酸、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸及びこれらの混合物が挙げられる。本発明においては、中和剤を用いることにより、pH4〜8、さらに好ましくはpH5.5〜7.5に容易に調整することができ、当該pH範囲に安定に維持することができる。
【0021】
本発明においては、べたつきのなさ、肌の柔軟性を向上させる点から、さらに(D)ピロリドンカルボン酸又はその塩を含有することが好ましい。ピロリドンカルボン酸は、ピログルタミン酸とも呼ばれる成分である。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられるが、市場での入手のし易さから、ナトリウム塩が好ましい。
【0022】
(D)成分の含有量は、使用感、安定性の点から、皮膚外用組成物総量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。また、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。具体的な範囲としては、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である。
【0023】
本発明の皮膚外用組成物には、上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲であれば、通常化粧料に配合される各種の界面活性剤、油性成分、高級アルコール、低級アルコール、フッ素化合物、樹脂、増粘剤、防菌防腐剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、酸化防止剤、昆虫忌避剤、生理活性成分、顔料、色素、香料等の成分を使用することができる。
【0024】
本発明の皮膚外用組成物の用途としては、特に制限なく利用でき、例えば乳液、クリーム、ローション、エッセンス、パックなどの基礎化粧料、口紅、ファンデーション、リキッドファンデーション、メイクアッププレスパウダーなどのメイクアップ化粧料、ヘアーシャンプー、ヘアーリンス、ヘアートリートメント、コンディショナー、染毛料、整髪料などの頭髪化粧料、洗顔料、ボディーシャンプー、石けんなどの清浄用化粧料、さらには浴剤等に利用できる。
【0025】
本発明の皮膚外用組成物の剤形としては、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、固形状、多層状などに適応が可能であり、さらにシート剤、スプレー剤、ムース剤としても適用できるが、アスコルビン酸グルコシドの皮膚外用剤への配合がし易く、大幅な安定性改善効果が発揮される点から、水相が連続相である水系組成物であることが好ましく、主として水溶性成分を含む水溶液組成物、連続相に水を含む水中油型乳化組成物、W/O/W型乳化組成物の剤形が挙げられる。
【0026】
上述の実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
【0027】
<1>下記(A)〜(C)成分を含有し、pHが4〜8である皮膚外用組成物。
(A)アスコルビン酸グルコシド
(B)2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、
(C)エチレンジアミン四酢酸又はその塩
【0028】
<2>(A)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である<1>の皮膚外用組成物。
<3>(A)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である<1>又は<2>の皮膚外用組成物。
<4>(B)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である<1>〜<3>のいずれかの皮膚外用組成物。
<5>(B)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%である<1>〜<4>のいずれかの皮膚外用組成物。
<6>(C)成分が、エチレンジアミン四酢酸又はそのナトリウム塩である<1>〜<5>のいずれかの皮膚外用組成物。
<7>(C)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、また好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である<1>〜<6>のいずれかの皮膚外用組成物。
<8>(C)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.0001〜3質量%、好ましくは0.001〜2質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%である<1>〜<7>のいずれかの皮膚外用組成物。
<9>(A)成分と(B)成分の含有質量比(B/A)が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.15以上であり、また好ましくは1以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.5以下である<1>〜<8>のいずれかの皮膚外用組成物。
<10>(A)成分と(B)成分の含有質量比(B/A)が、好ましくは0.05〜1、より好ましくは0.1〜0.8、さらに好ましくは0.15〜0.5である<1>〜<9>のいずれかの皮膚外用組成物。
<11>(B)成分と(C)成分の含有質量比(C/B)が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.1以上であり、また好ましくは2.5以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1以下である<1>〜<10>のいずれかの皮膚外用組成物。
<12>(B)成分と(C)成分の含有質量比(C/B)が、好ましくは0.01〜2.5、より好ましくは0.03〜1.5、さらに好ましくは0.1〜1である<1>〜<11>のいずれかの皮膚外用組成物。
<13>皮膚外用組成物のpHが、好ましくは5.5以上7.5以下である<1>〜<12>のいずれかの皮膚外用組成物。
<14>さらに(D)ピロリドンカルボン酸又はその塩を含有する<1>〜<13>のいずれかの皮膚外用組成物。
<15>(D)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上であり、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である<14>の皮膚外用組成物。
<16>(D)成分の含有量が、皮膚外用組成物総量に対して、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.5〜4質量%、さらに好ましくは1〜3質量%である<14>又は<15>の皮膚外用組成物。
【実施例】
【0029】
実施例1〜12、比較例1〜15
表1及び表2に示した処方に従い、皮膚外用剤(化粧水)を調製した。これらを用いて、下記に示した(1)安定性(変色の有無、変臭の有無)試験、(2)使用感(べたつきのなさ、肌の柔軟性)試験、(3)pH測定を実施した。結果を表1及び表2に併せて示す。
【0030】
(1)安定性試験(L−アスコルビン酸 2−グルコシドの安定性)
試料をガラス瓶に封入し、40℃75%RHで2ヶ月保存した後、L−アスコルビン酸グルコシド量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した(カラム:和光純薬工業、Wakosik−II 5C18 HG 4.6mm×250nm、カラム温度:35℃、移動相:0.02M リン酸二水素カリウム(2.722g/L)−水(pH2.0)、流速:1.0mL/min)。
【0031】
(評価基準)
A:定量値が試験前の90%以上
B:定量値が試験前の70%以上90%未満
X:定量値が試験前の70%未満
【0032】
(1)安定性試験(熱による変色・変臭の無さ)
試料をガラス瓶に封入し、50℃で1ヶ月保存した後、目視による試料の変色の有無、人による変臭の有無を確認した。
【0033】
(評価基準) 変色 変臭
A:変化が認められなかった (無色) (臭わない)
B:わずかに変化が認められた(微黄色) (かすかな臭い)
X:変化が認められた (黄色) (カラメル臭)
Y:明らかな変化が認められた(褐色) (こげた臭い)
【0034】
(1)安定性試験(光による変色・変臭の無さ)
試料をガラス瓶に封入し、キセノンフェードメーター(スガ試験機(株)製)により120MJ/m2で30時間照射して、照射前後の試料を、目視による試料の変色の有無、人による変臭の有無を確認した。
【0035】
(評価基準) 変色 変臭
A:変化が認められなかった (無色) (臭わない)
B:わずかに変化が認められた(微黄色) (かすかな臭い)
X:変化が認められた (黄色) (カラメル臭)
Y:明らかな変化が認められた(褐色) (こげた臭い)
【0036】
(2)使用感試験(べたつきのなさ、使用後の肌の柔軟性)
使用感;試験方法、評価方法〕
化粧料専門評価パネル10名により、顔面に塗布した際のべたつきのなさ、使用後の肌の柔軟性を下記基準にて5段階評価し、さらにその平均点から判定した。
【0037】
[評価基準]
5点:非常に良好
4点:良好
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
[判定基準]
A:平均点4.5点以上
B:平均点3.5点以上4.5点未満
X:平均点2.5点以上3.5点未満
Y:平均点2.5点未満
【0038】
(3)pH測定
25℃にて、pHメーター(堀場製作所製、型番D−51)を用いて、試料のpH測定を行った。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表2から明らかなようにアスコルビン酸グルコシドに、強アルカリや2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の種々の(B)成分以外のアミン化合物と(C)成分とを組み合わせた皮膚外用剤(比較例3〜9);(B)成分と(C)成分以外の種々のポリカルボン酸、ポリリン酸とを組み合わせた皮膚外用剤(比較例10〜13);及びpHが3又は10の皮膚外用剤(比較例14,15)では、いずれもアスコルビン酸グルコシドの安定性、変臭、変色及び使用感が良好でなかった。
これに対し、表1から明らかなようにアスコルビン酸グルコシドに、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール及びエチレンジアミン四酢酸又はその塩を併用してpHを4〜8に調整した本発明の皮膚外用剤のみが(1)L−アスコルビン酸 2−グルコシドの安定性(美白効果)、(2)経時安定性(熱による変色・変臭の無さ)、(光による変色・変臭の無さ)(3)使用感(べたつきのなさ)、(4)使用感(使用後の肌の柔軟性)に優れたものであった。
【0042】
実施例13〜15
下記処方に従い、皮膚外用剤(化粧水)を調製した。いずれも安定性、使用感に優れたものであった。
【0043】
【表3】
【0044】
(※1)ホワイトプロポールISLB、清水化学株式会社
(※2)豆乳発酵液、三省製薬株式会社
(※3)マリンコラーゲンペプチド、井原水産株式会社
(※4)ローヤルゼリー抽出液BG、丸善製薬株式会社
【0045】
以下に本発明の皮膚外用剤の処方例を示す。いずれも官能効果に優れ、良好な安定性が期待されるものである。
【0046】
【表4】
【0047】
(※5)LIPIDURE-PMB、日油株式会社
(※6)ボタンピ抽出液、丸善製薬株式会社
【0048】
【表5】
【0049】
(※7)バイオベネフィティ、一丸ファルコス株式会社
(※8)セキセツソウ抽出液BG70、丸善製薬株式会社
(※9)LIPIDURE-HM、日油株式会社
(※10)カイソウ抽出液BG−J、丸善製薬株式会社
(※11)油溶性甘草エキスP-T(40)、丸善製薬株式会社
【0050】
【表6】
【0051】
(※14)酵母抽出液BG、丸善製薬株式会社
(※15)KMP-591、信越化学工業株式会社
(※16)KF-9701、信越化学工業株式会社
(※17)SH200C-10cs、東レ・ダウコーニング株式会社
【0052】
【表7】
【0053】
(※18)SH200C-100cs、東レ・ダウコーニング株式会社
【0054】
【表8】
【0055】
(※19)SH245、東レ・ダウコーニング株式会社
【0056】
【表9】
【0057】
(※20)ベイシス LP−20H、日清オイリオグループ株式会社
【0058】
【表10】
【0059】
(※21)マグノリアオフィシナリス樹皮エキス、H. Holstein GmbH & Co. KG
(※22)シナノキ抽出液BG−J、丸善製薬株式会社
(※23)ジュウヤク抽出液BG、丸善製薬株式会社
(※24)ブクリョウ抽出液BG−J、丸善製薬株式会社
(※25)ヨクイニン抽出液LA、丸善製薬株式会社
(※26)緑茶リキッド、一丸ファルコス株式会社
(※27)ファルコレックス マツ B、一丸ファルコス株式会社
(※28)カフェノアージュ、一丸ファルコス株式会社
(※29)クレアージュ、一丸ファルコス株式会社
(※30)SH556 Fluid、東レ・ダウコーニング株式会社
(※31)ノニオンS-40、日油株式会社
【0060】
【表11】
【0061】
(※32)BY22−008、東レ・ダウコーニング株式会社
【0062】
【表12】
【0063】
(※33)ルビスコールK30、BASFジャパン株式会社
(※34)LIPIDURE-NA、日油株式会社
(※35)TremoistTM-TP、日本精化株式会社
(※36)ロイヤルビオサイトPX、片倉チッカリン株式会社
(※37)DC593 Fluid、東レ・ダウコーニング株式会社
(※38)PF-2001 、東レ・ダウコーニング株式会社
(※39)KMP-591、信越化学工業株式会社
(※40)CM3K50XZ4J、株式会社KOBOディスパテック
(※41)CM3K40T4J、株式会社KOBOディスパテック
(※42)NIKKOL ニコガード 88、日光ケミカルズ株式会社
【0064】
【表13】
【0065】
【表14】
【0066】
(※43)ニチレイ・カムカム種子エキスB30、株式会社ニチレイバイオサイエンス
(※44)マリンエラスチン、アイエスピー・ジャパン株式会社
(※45)エイジツ抽出液BG−R、丸善製薬株式会社
(※46)ニンジン抽出液BG、丸善製薬株式会社
(※47)トウキ抽出液BG−J、丸善製薬株式会社
(※48)シャクヤク抽出液BG−JC、丸善製薬株式会社
(※49)ソウハクヒ抽出液BG、丸善製薬株式会社
(※50)クジン抽出液BG−J、丸善製薬株式会社
(※51)アロエ抽出リキッドBG-J、丸善製薬株式会社
(※52)ワレモコウエキス 、丸善製薬株式会社
(※53)SH3775M、東レ・ダウコーニング株式会社
(※54)レオパールTT2、千葉製粉株式会社
【0067】
【表15】