特許第6017957号(P6017957)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6017957植物性ケーシングフィルム、及びチューブ状ソーセージケーシングの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017957
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】植物性ケーシングフィルム、及びチューブ状ソーセージケーシングの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A22C 13/00 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
   A22C13/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-531188(P2012-531188)
(86)(22)【出願日】2009年10月2日
(65)【公表番号】特表2013-505731(P2013-505731A)
(43)【公表日】2013年2月21日
(86)【国際出願番号】CA2009001396
(87)【国際公開番号】WO2011038479
(87)【国際公開日】20110407
【審査請求日】2012年10月1日
【審判番号】不服2015-3363(P2015-3363/J1)
【審判請求日】2015年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】512086046
【氏名又は名称】リビング セル リサーチ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100102808
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 憲通
(74)【代理人】
【識別番号】100128646
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】マッカリー,レグ
【合議体】
【審判長】 紀本 孝
【審判官】 結城 健太郎
【審判官】 窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−509525(JP,A)
【文献】 特表2005−526504(JP,A)
【文献】 特開平7−322812(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0187220(US,A1)
【文献】 特開昭58−201940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物性食用ケーシングフィルムと、折り畳まれた該ケーシングフィルムを封着してチューブ形状のソーセージケーシングとするための食用接着剤の組合せであって、
前記ケーシングフィルムが、
デンプン及び穀の少なくともいずれか一方からなる食用植物性ポリマー材料
水、
グリセリン及びプロピレングリコールの少なくともいずれか一方、並びに
カラギーナン、ジェランガム及び寒天からなる群から選ばれる1又は2以上
から構成され、かつ
前記食用接着剤が、水、並びにコンニャク及びカラギーナンの組合せであり、前記コンニャク及びカラギーナンの組合せに対する前記コンニャクの割合が60%〜90%の範囲内である、組合せ。
【請求項2】
デンプン及び穀の少なくともいずれか一方からなる食用植物性ポリマー材料
水、
グリセリン及びプロピレングリコールの少なくともいずれか一方、並びに
カラギーナン、ジェランガム及び寒天からなる群から選ばれる1又は2以上
から構成された植物性食用ケーシングフィルムを折り畳むこと、及び水、並びにコンニャク及びカラギーナンの組合せであり、前記コンニャク及びカラギーナンの組合せに対する前記コンニャクの割合が60%〜90%の範囲内である食用接着剤を使用して、該折り畳まれたケーシングフィルムの端部を封着してチューブ形状とすることにより製造される、ソーセージケーシングとして使用するためのチューブ状ケーシングの製造方法
【請求項3】
前記ケーシングフィルムが、
デンプンからなる食用植物性ポリマー材料、
水、
グリセリン及びプロピレングリコールの少なくともいずれか一方、並びに
カラギーナン、ジェランガム及び寒天からなる群から選ばれる1又は2以上
から構成される、請求項2に記載のチューブ状ケーシングの製造方法
【請求項4】
前記デンプンの前記カラギーナン、ジェランガム及び寒天の合計に対する割合が、乾燥状態で40重量%〜65重量%である、請求項3に記載のチューブ状ケーシングの製造方法
【請求項5】
前記の端部の封着が、熱を付与することを含む、請求項2に記載のチューブ状ケーシングの製造方法
【請求項6】
請求項2に記載のチューブ状ケーシングを1:40〜1:80の比率でシャーリングすることにより製造される、ソーセージケーシングの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉製品の加工に、特にソーセージケーシングとして使用することができる新規な植物性食用フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、食用ソーセージケーシングは、再生牛肉コラーゲン製のチューブ状のホース材料への押出成形プロセスにより生産されてきた。従来の合成ケーシング又は天然ケーシングは、供給元から得られる長い連続チューブとして形成される。
【0003】
ケーシングを効率的かつ効果的に使用するために、供給元から得られる個々の長さのホース材料は、「シャーリング(shirred)」(縦方向にギャザリング(gathered up))されている。これにより、ケーシング材料に製品を充填する際に必要に応じて、大量のケーシングを、折り畳み、その後制御下で開くためにソーセージ又は食品の包装機に入れることが可能となる。ソーセージ等の食肉製品用のケーシングのシャーリングは、食品加工の分野において既知である。ケーシングのシャーリング用の装置を開示する多数の従来技術の特許のうち2つの典型例は、特許文献1(Guenter)及び特許文献2(Thomczak et al)により提供される。
【0004】
食生活及びその他の考慮のために、非動物性天然材料のみを含む食品を封止及びパッケージングする材料を作製する試みがますます行われるようになっている。特許文献3(Ninomiya et al)は、例えば粉末スープ、香味油、乾燥野菜等の材料を封止及びパッケージングするための加熱融着可能な多層食用フィルムであって、水溶性の多糖フィルム層(主にカラギーナン、多価アルコール及び水)と、大豆タンパク質及びゼラチンの組合せを含有するサブフィルム層とを含む、加熱融着可能な多層食用フィルムを記載している。
【0005】
特許文献4(MacQuarrie et al)は、コンニャク及び/又はジェランガムとともにカラギーナンを組み込んだ食用ケーシングフィルム配合物を記載している。かかるフィルムは、典型的な用途において、食肉基部(substrate)(七面鳥、ハム、鶏)の周りに巻きつけ、巻きつけた食肉を、タンパク質表面(skin)が形成されるのが見えるまで、対流式オーブン中で乾燥させる。それから蒸気式加熱調理器中で加熱調理を行う。フィルムは、好ましい可食性、及び加熱調理された製品に対して魅力的な表面外観を付与することを含む多数の望ましい特性を示す。
【0006】
しかしながら、そうするのが望ましいことが明らかであるにもかかわらず、シャーリングしたチューブ状のケーシングに基づく標準的なソーセージ製造技術を使用して非動物性食肉ケーシングを商業的に作製することは可能でなかった。その利用可能性の豊富さ及び多くの食料品中での存在のために、デンプン又は穀粉は、全てが植物性のソーセージケーシング用の理想的な原材料であると考えられる。しかしながら、ほとんどのゴム及びデンプンは、適切な直径、チューブ壁厚等に設定された成形型を通してポリマーを押出成形することによる均質なチューブ構造の製造を可能とする類のフェノプラスト(phenoplastic)特性を示さない。特許文献5(Hammer et al)は、天然デンプンに基づく組成物のソーセージケーシングへの押出成形であって、該天然デンプンを真空中でジャガイモデンプンを乾燥させること、グリセロールと混合すること、及び高温で混合物を混練することにより非晶質状態へと変換し、その後押出成形及び造粒を行なって熱可塑性デンプン組成物を作製する、天然デンプンに基づく組成物のソーセージケーシングへの押出成形を記載している。これには、押出成形可能とするために、ゼラチン及びキトサンを更に混ぜ合せなければならない。しかしながら、この材料も、シャーリングしたチューブ状のケーシングに基づく標準的なソーセージ製造技術を使用しても、有用ではないことが分かっている。
【0007】
幾つかの高アミロースデンプンは、シート及びチューブ又は様々な寸法へと首尾よく押出成形されているが、かかるシステムは、ポリマーの完全な水和を達成するために、大気圧より高い不都合な圧力を必要とする。さらに、最終製品は通常、あまりにも脆弱であり、そうでなくともソーセージケーシングとして使用するのに好適ではないことが見出されている。
【0008】
上述の特許文献3及び特許文献4の特許並びに他の多数の技術が、デンプン及びゴムの既知のフィルム形成能力を利用している。典型的には、これらのフィルムは水中のゴム/デンプンの液体スラリーから形成されるが、そこで該スラリーは高温の表面上で、十分な水がそれにより除去されて最終的なフィルムが得られるまでキャスティングされる。しかしながら、このキャスティングシステムにより製造することができるのは平らなホイルのみであり、これは、チューブ及び他のプロファイルタイプの製品の従来の製造には好適ではない。
【0009】
キャスティングしたフィルムを折り畳んでチューブとすること、及び端部を加熱融着することによる従来のハイドロコロイドを組み込んだ平らなフィルムセクションからのケーシングチューブの形成が検討されたが、実際のところ、比較的狭い範囲の組成物しか加熱融着することができない。さらに、フィルムを該フィルム自体と効果的に融着するのに必要な強烈な熱は、これらの組成物のフィルム内の過度の水分損失を引き起こし、望ましくない最終的な機械的特性、融着線に沿った変色、及びフィルムボディの歪みをもたらすことが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4,580,316号
【特許文献2】米国特許第4,683,615号
【特許文献3】米国特許第4,620,757号
【特許文献4】米国特許第6,730,340号
【特許文献5】米国特許第5,928,737号
【発明の概要】
【0011】
本発明者は、主にデンプン又は穀粉の、他の部分にゴム、水及び可塑剤を含む選択された組成物をキャスティングしてフィルムとすることができ、それをチューブへと形成し、食用接着剤を使用して封着することができることを見出した。好適な接着剤は、天然のゴム、デンプン及び改質剤から主に構成される。かかるチューブは従来的に、通常の製造パラメータを使用して、食肉ケーシングを製造するのに好適である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の包括的な論考
多数の試験により、最適な封着システムが、フィルム端部を貼り付けるとともに、結び付けて所望の均一な形状及び大きさを有するチューブを形成する手段として食用接着剤を利用することが決定された。接着剤は標準的な接着剤適用システムを使用して適用することができ、該接着剤が十分な湿潤粘着性(tack)を有していれば、フィルムは該フィルム自体に即座に固着する。接着剤が非動物性材料から構成されること、及び湿潤環境における接着剤機能がフィルムの層間の結合を維持することが極めて重要である。
【0013】
接着した部分を乾燥させることにより封着を更に強化して、放射手段又は超音波加熱手段又は他の手段を更に使用して接着剤を硬化させることができる。
【0014】
植物性ソーセージケーシングとして使用するために好適なフィルムは以下の特性を有するものとする:
1.フィルムは透明であり、色に関する不透明性を有しないものとする。
2.フィルムは、ケーシングが詰め物工程中に破れないことを確実にするのに十分な湿潤強度を示すものとする。
3.フィルムは、不均一に伸長して異常な大きさ及び形状のソーセージをもたらすことがないものとする。
4.フィルムは、食肉エマルジョンと結合することを確実にするのに十分な固着特性を有するものとする。
5.フィルムは、炒め物、揚げ物、焼き物又は煮物等の通常の加熱調理作業中に変色しないものとする。
6.フィルムの成分は、非アレルギー性かつ非動物性であるものとする。(「非アレルギー性」により、一般的な大豆タンパク質、牛乳タンパク質又は卵タンパク質の使用が排除される。)
7.フィルムは、GRAS(一般に安全と認められるもの)にリストされた成分から構成されなければならない。
8.フィルムは、細菌学的に不活性であり、カビ又は酵母の成長を招かないものとする。
9.フィルムは、冷蔵条件及び冷凍条件において安定であるものとする。
10.フィルムは、乾燥しにくく、又は低湿度条件に曝されないものとする。
【0015】
本発明による使用に好適な接着剤システムは、以下の特性を有することを必要とする:
1.接着剤は、食品用公定化学品集(Food Chemical Codex)により規定されるような食用成分から構成されることを必要とする。
2.接着剤は、フィルムが該フィルム自体と即座に結合し、その後の取扱い中に分離しないことを確実にするのに十分な湿潤粘着性を有することを必要とする。
3.接着剤は、乾燥して、最終製品の重複部において目で見えないように、透明な接着剤線を形成することを必要とする。
4.接着剤は、水和したシーム部がケーシングの詰め物工程中に分離しないことを確実にするのに十分な湿潤強度を有するものとする。
5.接着剤は、本質的に味を有しないものとする。
6.接着剤は、非アレルギー性化合物から構成されるものとする。
7.接着剤は、いかなる動物由来製品からも構成されないものとする。
8.接着剤は、乾燥状態で微生物的に安定であるものとする。
【0016】
本発明によるソーセージケーシングフィルムは、典型的には溶液キャスティング製造法により作製される。この方法では、フィルムポリマー及び他の成分を、典型的には85℃を超える温度の水溶液に最初に添加する。ポリマーが完全に溶解して目に見える塊がなくなるまで、溶液を真空下で混合する。主要なフィルム形成要素が溶解した後で、更なるフィルム改質剤及び可塑剤を任意に添加し、完成した溶液を、完全に均質となりかつ空気を含まなくなるまで混合する。
【0017】
それから溶液を、押出成形型を通して(through)、又は乾燥トンネルの通過用のキャリア上のキャスティングボックス中に、ポンプで送り込む。キャスティング表面に及び溶液上に、所要量の水分が除去されるまで熱を付与する。フィルムを通常、キャリアシステムから取り出し、更なる加工のためにキャリアロール上に巻き付ける。フィルムを最終的に、所要の折り径に切断した後、所要のロール上に巻き付ける。
【0018】
この製造中に、フィルムを通常、デンプン等のブロッキング防止材料でコーティングして、フィルムが該フィルム自体に貼り付くのを防止する。
【0019】
接着剤をフィルムの端部表面上に所要量を注入することにより付与した後、フィルムを該フィルム自体の上へと折り畳む。それから折り畳まれたチューブを、該チューブ自体の上に巻き付け、巻き上げる(rolled up)。接着剤の粘度及び固体レベルを最適化して、フィルムを適所に保持するのに十分な湿潤粘着性が存在することを確実にする。理想的には、接着剤の付与前におよそ75℃まで加熱して、フィルム封着部が不可逆的にゲル化することを確実にする。
【0020】
好ましい実施形態の記載
様々なフィルムポリマーを試験して、様々なソーセージ製品に使用するのに最適な配合を決定した。
【0021】
最も効果的なフィルムを、カラギーナン、ジェランガム及び寒天等の強力なゲル化ゴムとのデンプン及び穀粉の組合せにより得た。デンプンの他のポリマー材料に対する割合(proportion)は、好ましくは40重量%〜65重量%の範囲内である。
【0022】
ほとんどのソーセージ用途に理想的なフィルムは、ケーシングの形でフィルムに改善された固着品質をもたらす米粉から主に構成されるものであった。
【0023】
フィルム基準を満たすこれらのシステムから得られたフィルムは、食肉表面上に溶解するケーシングから高温及び高湿度による激しい加熱調理に耐えるケーシングまでの範囲にわたる、様々な溶解性パラメータに関して改質することができるものであった。
【0024】
最も効果的な接着剤システムは、好適に調整された割合の水を含む、コンニャクが60%〜90%の範囲である、カラギーナンとコンニャクの組合せであることが見出された。
【0025】
これらのゴムの組合せから構成される接着剤は、上記の条件を満たし、伝統的な接着剤システムにおいて十分に機能した。かかる接着剤は、乾燥した場合に良好な湿潤粘着性及び強力な結合特徴を示し、耐水性を有することが見出された(過度の量の水に曝した場合に溶解しなかった)。
【実施例】
【0026】
具体的な乾燥フィルム配合物の例
実施例1
成分 %(乾燥フィルム)
水 16.37
カッパカラギーナン 21.71
ジャガイモデンプン 6.68
米粉 26.72
デキストロース 6.68
ソルビタンモノステアレート 1.80
プロピレングリコール 20.04
【0027】
実施例2
成分 %(乾燥フィルム)
水 15.50
カッパカラギーナン 26.72
タピオカデンプン 26.72
デキストロース 5.50
ソルビタンモノステアレート 1.60
プロピレングリコール 23.96
【0028】
実施例3
成分 %(乾燥フィルム)
水 15.90
カッパカラギーナン 18.40
改質コーンスターチ 45.45
マルトデキストリン 8.00
ソルビタンモノステアレート 7.25
グリセリン 5.00
【0029】
実施例4
成分 %(乾燥フィルム)
水 14.60
コンニャク 8.50
改質タピオカデンプン 19.00
米粉 34.82
デキストロース 4.75
ソルビタンモノステアレート 1.50
プロピレングリコール 7.60
グリセリン 9.23
【0030】
ソーセージケーシング材料として使用するために、これらの組成及び同様の組成のフィルムを、25ミクロン〜75ミクロンの範囲の厚みで製造する。上で記載したような食用接着剤を用いてこれらのフィルムを封着することによりチューブ状のケーシングが形成されたら、完成したチューブを、好ましくは1:40〜1:80の比率でシャーリングする。
【0031】
任意のフィルム添加剤
本発明によるフィルムの組成に、例えば以下のような少量の改質剤が含まれていてもよい:
着色剤
フィルムにカラメル色を添加して、特定用途の事前に着色したケーシングを製造することができる。さらに、パプリカ、ターメリック及び様々な液体スパイス抽出物由来のスパイス色製剤を利用することができる。色素剤をフィルム上に印刷して、ロゴマーク、焼き目(grill marks)又は他の種類のプリントを作製し、様々な種類のデザインを有するケーシングを提供することもできる。
香味剤
フィルムを、ローズマリー抽出物、オレガノ抽出物、メープル香料、甘味料及びハチミツ香料を含む天然香料及び人工香料の両方を含むように配合することができる。
抗菌剤
最初のフィルムスラリーを標準的及び特異的な抗菌剤の添加により改質して、最終製品の保存の助けとすることができる。好ましい製品はソルベート、ベンゾエート、及び可溶性ラクテート、例えば乳酸ナトリウムを含む。カビの制御のためにメチルパラベン及びプロピルパラベンを使用することもできる。
抗酸化剤
脂質高含有製品の急速な酸化を防ぐため、天然抗酸化剤及び人工抗酸化剤の両方を、ケーシングに添加して、製品における酸化速度を低減することができる。使用することができる化合物の種類は、ローズマリー抽出物、オレガノ抽出物及びアスコルビン酸誘導体を含む。BHA及びBHT等の合成抗酸化剤を使用することもできる。
【0032】
上述したように、本発明は、ソーセージ詰め物機でのストリングソーセージの従来的な自動生産において利用することができる、ソーセージケーシングとして使用するための第1の植物性ホース材料を提供し、ここで個々の長さのホース材料は、ケーシングの各セクションに充填する前にシャーリングされている。シャーリング比率は、完全に伸長したチューブセクションの長さ対その圧縮した(ギャザリングした)長さである。本発明者は、本発明による封着したチューブは、ソーセージ製造に関しては1:40〜1:80の比率で最も良好にシャーリングされることを見出した。
【0033】
通常、シャーリングプロセス時にチューブを空気で膨張させ、その後マンドレルに対して機械的に折り畳む。このプロセスは典型的には幾つかの種類のシャーリング液を利用して、折り畳み操作が安定して(in a consistent way)起こること、及び折り畳まれたものがシャーリング後に適所に保持することを確実にする。従来のケーシングに対しては、最も一般的に利用されるシャーリング液は水及び鉱油である。しかしながら本発明者は、本発明による植物性ソーセージケーシングを用いると、水性シャーリング液がフィルムの劣化を引き起こすことを見出した。しかしながら、プロピレングリコールが、チューブ状の製品の作製において良好な結果を得るための、水に対する好適な代替物であることが見出された。
【0034】
これらの配合物が本発明を例示するが、当業者は、本発明による他の特定の配合物が本発明の目的に対して同様に好適であることを認識するであろう。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載されるとおり及び添付の特許請求の範囲に規定されるとおりである。