(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シート断面における長径方向の平均孔径が0.01μm以上1.00μm未満の空孔を有する多孔質樹脂層Aと、シート断面における長径方向の平均孔径が1.00μm以上10.00μm以下の空孔を有する多孔質樹脂層Bとが交互に積層してなる構成を有する反射シートであって、シート全体の空孔率が20.0〜75.0%であることを特徴とする反射シート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。但し、本発明の範囲が、次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0012】
<本反射シート>
本実施形態に係る反射シート(「本反射シート」と称する)は、比較的小さな空孔を多数有する多孔質樹脂層Aと、比較的大きな空孔を多数有する多孔質樹脂層Bとが交互に積層してなる超多層構成の反射シートである。
一般的に空孔径が大きければ、高い反射率は得られないが、短波長から長波長まで反射率を得ることができる。その一方、空孔径が小さければ、短波長側での反射率を顕著に高めることができる。よって、本反射シートにおいては、各層の空孔径と、空孔率と、積層数を調整することで、400〜800nmに渡っての反射率をバランス良く高めることができる。
平均屈折率が高い樹脂材料としては、ポリエーテルエーテルケトン=1.73が挙げられ、低い樹脂材料としては、ポリ四フッ化エチレン=1.35が挙げられるが、樹脂材料の平均屈折率の範囲は凡そ1.35〜1.75である(引例:成形加工におけるプラスチック材料(シグマ出版))。一方、空気の屈折率は1.0であるため、樹脂層中に空孔が形成されると、樹脂と空孔の界面で光反射が生じる。このように、樹脂層中の多孔構造は光学特性に大きく影響する。
【0013】
<多孔質樹脂層A>
多孔質樹脂層A(以下、単に「A層」と称する)は、シート断面における長径方向の平均孔径が0.01μm以上1.00μm未満の空孔を有する多孔質樹脂層である。
A層の空孔径がかかる範囲であれば、可視光領域の光(一般的な可視光の波長領域は380〜750nm)を反射するのに好適な大きさであり、特に可視光の波長領域の中でも短波長側の光の反射特性をより効果的に高めることができる。
このような観点から、A層においては、シート断面における長径方向の平均孔径が0.01μm以上1.00μm未満であるのが好ましく、中でも0.05μm以上或いは0.80μm以下、その中でも0.10μm以上或いは0.80μm以下であるのが好ましい。
【0014】
なお、「シート断面における長径方向の平均孔径」とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、反射シートのMD断面(Edge View)の中心付近を、観察倍率=3,000〜10,000倍で観察し、観察像中の空孔の短径方向(厚み方向)と長径方向(幅方向)のサイズを画像処理により測定し、そのうちの長径方向の平均値として求められる孔径である。
【0015】
(A層のベース樹脂)
A層のベース樹脂、すなわち主成分をなす樹脂は、特にその種類を制限するものではなく、例えば結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。
【0016】
結晶性熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、又はこれらの共重合体などを挙げることができる。
【0017】
非晶性熱可塑性樹脂としては、例えばポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−メチルアクリレート共重合体、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリビニルアセテート、ポリフェニレンエーテル、液晶熱可塑性樹脂などを挙げることができ、これらの中でも耐熱性と剛性の点からポリプロピレンが好ましい。
【0018】
ポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体)、又はプロピレンとエチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのαオレフィンとのブロック共重合体などを挙げることができる。この中でも耐熱性と剛性の点からホモポリプロピレンがより好適である。
【0019】
また、ポリプロピレン系樹脂としては、立体規則性を示すアイソタクチックペンダット分率が80〜99%であることが好ましい。アイソタクチックペンダット分率が80%以上であれば、反射シートの機械物性をより効果的に維持することができる。一方、アイソタクチックペンダット分率の上限については現時点において工業的に得られる上限値で規定しているが、将来的に工業レベルで更に規則性の高い樹脂が開発された場合においてはこの限りではない。かかる観点から、アイソタクチックペンダット分率は、83〜98%であるのがより好ましく、中でも85〜97%であるのがさらに好ましい。
アイソタクチックペンダット分率とは、任意の連続する5つのプロピレン単位で構成される炭素−炭素結合による主鎖に対して側鎖である5つのメチル基がいずれも同方向に配意する立体構造或いはその割合を意味する。メチル基領域のシグナルの帰属は、A.Zambelli et at al.(Macromol.8,687(1975))に準拠している。
【0020】
また、ポリプロピレン系樹脂の分子量分布を示すパラメータであるMw/Mnが1.5以上であれば、押出成形性が低下することがなく、工業的に比較的容易に生産することができる。その一方、Mw/Mnが10.0以下であれば、低分子量成分が多過ぎることがなく、得られる反射シートの機械強度を維持することができる。
かかる観点から、ポリプロピレン系樹脂のMw/Mnは、1.5〜10.0であることが好ましい。より好ましくは2.0以上或いは8.0以下、中でも2.0以上或いは6.0以下であるのがさらに好ましい。Mw/MnはGPC(ゲルポーエミッションクロマトグラフィー)法によって得られる。
【0021】
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、通常0.5〜15g/10分であることが好ましく、0.6〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.5g/10分以上であれば、成形加工時の樹脂の溶融粘度が高くなり過ぎることがなく、生産性の低下を防ぐことができる。他方、15g/10分以下であれば、反射シートの機械強度の低下を抑えることができる。
なお、本MFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定される値である。
【0022】
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、商品名「ノバテックPP」、「WINTEC」(日本ポリプロ社製)、「バーシファイ」、「インスパイア」(ダウケミカル社製)、「ノティオ」、「タフマー」(三井化学社製)、「ゼラス」、「サーモラン」(三菱化学社製)、「住友ノーブレン」、「タフセレン」(住友化学社製)、「プライム TPO」(プライムポリマー社製)、「Adflex」、「Adsyl」、「HMS−PP(PF814)」(サンアロマー社製)など市販されている商品を使用できる。
【0023】
(β晶核剤)
A層のベース樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、β晶核剤を添加することにより、成形時の製膜性を向上させることができ、微細な空孔を有する薄膜フィルムをより一層容易に形成することができる。
【0024】
本反射シートで使用することができるβ晶核剤は、ポリプロピレン系樹脂のβ晶の生成・成長を増加させるものであれば特に制限されるものではなく、2種類以上を混合して用いることもできる。
β晶核剤としては、例えばアミド化合物;テトラオキサスピロ化合物;キナクリドン類;ナノスケールのサイズを有する酸化鉄;1,2−ヒドロキシステアリン酸カリウム、安息香酸マグネシウムもしくはコハク酸マグネシウム、フタル酸マグネシウムなどに代表されるカルボン酸のアルカリもしくはアルカリ土類金属塩;ベンセンスルホン酸ナトリウムもしくはナフラレンスルホン酸ナトリウムなどに代表される芳香族スルホン酸化合物;二もしくは三塩基カルボン酸のジもしくはトリエステル類;フタロシアニンブルーなどに代表されるフタロシアニン系顔料;有機二塩基酸である成分aと周期律表第IIA族金属の酸化物、水酸化物もしくは塩である成分bとからなる二成分化合物;環状リン化合物とマグネシウム化合物からなる組成物などを挙げることができる。
【0025】
好ましいβ晶核剤の具体例としては、新日本理化社製β晶核剤「エヌジェスターNU−100」、β晶核剤の添加されたポリプロピレン系樹脂の具体例としては、Aristech社製ポリプロピレン「Bepol B−022SP」、Borealis社製ポリプロピレン「Beta(β)−PP BE60−7032」、mayzo社製ポリプロピレン「BNX BETAPP−LN」などを挙げることができる。そのほかの核剤の具体的な種類については、例えば特開2003−306585号公報、特開平06−289566号公報、特開平09−194650号公報などに記載されている。
【0026】
前記ポリプロピレン系樹脂に添加するβ晶核剤の割合は、β晶核剤の種類またはポリプロピレン系樹脂の組成などにより適宜調整することが必要であるが、ポリプロピレン系樹脂100質量部に対し、β晶核剤0.0001〜5.0質量部が好ましく、より好ましくは0.01質量部以上或いは3.0質量部以下であり、中でも0.1質量部以上であるのが好ましい。β晶核剤の割合がポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.0001質量部以上であれば、製造時において十分にポリプロピレン系樹脂のβ晶を生成・成長させることができ、延伸により所望の透気性能が得られる。また5.0質量部以下であれば、経済的にも有利になるほか、β晶核剤のブリードアウトによるトラブルが発生しにくいため好ましい。
【0027】
なお、β晶核剤を添加する場合、ポリプロピレン系樹脂としては、ランダム型以外のポリプロピレン系樹脂であるのが好ましい。
【0028】
<多孔質樹脂層B>
多孔質樹脂層B(以下、単に「B層」と称する)は、シート断面における長径方向の平均孔径が1.00μm以上10.00μm以下の空孔を有する多孔質樹脂層である。
B層の断面における空孔径がかかる範囲内であれば、可視光領域の光(一般的な可視光の波長領域は380〜750nm)を反射するのに好適な大きさであり、特に可視光の中でも波長領域の長波長側の光の反射特性をより効果的に高めることができる。
このような観点から、B層において、シート断面における長径方向の平均孔径は1.00μm以上10.00μm以下であるのが好ましく、中でも1.00μm以上或いは8.00μm以下、その中でも3.00μm以上或いは8.00μm以下であるのが好ましい。
【0029】
(B層のベース樹脂)
B層のベース樹脂、すなわち主成分をなす樹脂は、特にその種類を制限するものではなく、例えば結晶性熱可塑性樹脂や非晶性熱可塑性樹脂を用いることができる。
この際、A層のベース樹脂と同じ種類の樹脂であってもよいし、異なる種類の樹脂であってもよい。
中でも、多孔質樹脂層Aのベース樹脂の屈折率と、多孔質樹脂層Bのベース樹脂の屈折率の差が0.2未満であるのが好ましく、中でも0.1未満、その中でも0.03未満であるのが好ましい。
最も好ましくは、空孔の形成のし易さと剛性の点から、ポリエチレン系樹脂である。ちなみに、ポリプロピレンとポリエチレンの屈折率はともに1.5〜1.6であり、両者の差は0.03未満である。
【0030】
B層のベース樹脂として用いるポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリチレン及びエチレンを主成分とする共重合体、すなわち、エチレンとプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの炭素数3〜10のα―オレフィン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチルなどの不飽和カルボン酸エステル、共役ジエンや非共役ジエンのような不飽和化合物の中から選ばれる1種または2種以上のコモノマーとの共重合体または多元共重合体あるいはその混合組成物を挙げることができる。
なお、エチレン系共重合体のエチレン単位の含有量は、通常50質量%を超えるものである。
【0031】
これらのポリチレン系樹脂の中では、空孔の形成のし易さと剛性の点で、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンの中から選ばれる少なくとも1種のポリエチレン系樹脂が好ましく、中でも高密度ポリエチレンが最も好ましい。
【0032】
前記ポリエチレン系樹脂の密度は0.910〜0.970g/cm
3であることが好ましく、0.930g/cm
3以上或いは0.970g/cm
3以下であることがより好ましく、0.94g/cm
3以上或いは0.970g/cm
3以下であることが更に好ましい。
密度がかかる範囲内であれば多孔構造を形成しやすいために好ましい。本発明における密度は、密度勾配管法を用いてJIS K7112に準じて測定した値である。
【0033】
前記ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は特に制限されるものではないが、通常MFRは0.03〜15g/10分以下であることが好ましく、0.3g/10分以上或いは10g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが上記範囲であれば押出加工性上問題となることがない。なお、本MFRはJIS K7210に準拠し、温度190℃、荷重2.16kgの条件下での測定値である。
【0034】
ポリエチレン系樹脂の製造方法は特に限定されるものではまく、公知のオレフィン重合触媒を用いた公知の重合方法、例えば、チーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法を挙げることができる。
【0035】
前記エチレン系共重合体は、MFR(JIS K7210準拠、温度:190℃、荷重:2.16kg)が0.1g/10分から10g/10分のものが好適に用いられる。MFRが0.1g/10分以上であれば、押出加工性を良好に維持でき、一方、MFRが10g/10分以下であればフィルムの強度低下を起こし難く好ましい。
【0036】
前記エチレン系共重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体として「エバフレックス」(三井・デュポンポリケミカル社製)、「ノバテックEVA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−アクリル酸共重合体として「NUCコポリマー」(日本ユニカー社製)、「レクスパールEAA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−(メタ)−アクリル酸共重合体として「エルバロイ」(三井・デュポンポリケミカル社製)、「レクスパールEMA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体として「レクスパールEEA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸として「アクリフト」(住友化学社製)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体として「ボンダイン」(住友化学社製)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体として「ボンドファースト」(住友化学社製)などが商業的に入手できる。
【0037】
<その他の成分>
A層又はB層、又はこれら両層は、ポリエチレン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を含有することができる。
当該「他の熱可塑性樹脂」としては、スチレン、AS樹脂、もしくはABS樹脂等のスチレン系樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート等のエステル系樹脂;ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトンもしくはポリフェニレンサルファイド等のエーテル系樹脂;6ナイロン、6−6ナイロン、6−12ナイロン等のポリアミド系樹脂などを挙げることができる。
【0038】
また、A層又はB層、又はこれら両層は、必要に応じて熱可塑性エラストマー等のゴム成分と呼ばれるものを含んでいてもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン系、ポリオレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、1,2−ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル系、アイオノマーなどを挙げることができる。
【0039】
また、A層又はB層、又はこれら両層は、上記の物質以外に必要に応じて触媒中和剤として金属石鹸や合成ハイドロタルサイト系化合物、酸化防止剤として一般に市販されているフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、帯電防止剤として多価アルコール脂肪族エステル、アルキルジエタノールアミン、直鎖アルキルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン系化合物などから選ばれた一種以上からなる化合物、ヒンダードアミン系光安定剤、耐候剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、他の透明核剤を含むことができる。
【0040】
また、A層又はB層、又はこれら両層は、反射シートの特性を損なわない範囲で他の添加剤または他の成分を含んでいてもよい。
前記添加剤としては、特に制限を受けないが、耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭化カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、帯電防止剤、架橋剤、滑剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤又は着色剤などの添加剤を挙げることができる。
【0041】
さらに、A層又はB層、又はこれら両層は、無機充填材や有機充填材を含み、これらと樹脂との屈折率差により反射率をさらに高めることも可能である。
この際、有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセルロース系粉末や、ポリマービーズ、ポリマー中空粒子等を挙げることができる。
無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化チタン、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタイト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等を挙げることができる。
【0042】
<積層構造>
本反射シートは、短波長から長波長までの反射率をバランス良く高める観点から、前記A層とB層を交互に積層した超多層の構造を有するものであり、少なくともB層を25層以上有する超多層構造、すなわちA層及びB層の合計で50層以上有する超多層構造を備えているのが好ましい。
B層を25層以上有するようにA層とB層が交互に積層すれば、反射シート内の空孔により反射した光の散乱効果が高まる作用により、可視光領域の光を反射するのに好しいことが確認されている。
かかる観点から、B層を50層以上、中でも100層以上有するように積層するのが好ましい。積層数の上限について特に制約するものではないが、反射フィルムの厚み等の観点から1000層以下であることが好ましい。
【0043】
このような異なる層、すなわちA層とB層とを多数積層した超多層構造による反射率の制御は、干渉反射の原理を利用したものである。つまり、屈折率が異なる薄い層を多数重ねて、これらの層の界面で反射光を干渉させ強め合うことで、反射率を制御する方法である。なお、通常、A層とB層を交互に積層した超多層構造において、層の表面にから垂直に光を入射したとき、積層界面では、次の式を満たす波長λ(nm)の光が反射する。
したがって、反射率は、樹脂A、Bにおける樹脂の選択や、層厚みの調整により設定することができ、上記のように、少なくともB層を25層以上積層させると、短波長から長波長までの反射率をバランス良く高めることができるのである。
【0044】
2×(n
A×d
A+n
B×d
B)=nλ
n
A:樹脂層Aにおける樹脂Aの屈折率
n
B:樹脂層Bにおける樹脂Bの屈折率
d
A:(nm):樹脂層Aの厚み
d
B:(nm):樹脂層Bの厚み
n:反射の次数を表す自然数
【0045】
ここで、A層とB層とが交互に積層した構造とは、A層とB層を厚み方向に規則的に交互に積層した構造を有していることが好ましい。すなわち、本反射シート中のA層とB層の厚みがバラバラではなく、各層の厚みが規則的で交互に積層されているのが好ましい。
【0046】
次に、A層とB層の積層比は、目的に応じ適宜調整することができ、特に制約を受けるわけではないが、全層の厚み100に対し、B層(B層の厚みの合計)の割合が10〜50となるように調整するのが好ましく、中でも15以上であるのがより好ましい。かかる範囲であれば、可視光領域の光(一般的な可視光の波長領域は380〜750nm)の反射性を充分高めることが可能となる。
【0047】
また、必要に応じて他の機能を持つ層と組合わせて、3種3層のような形態も可能である。他の層と積層しても、適宜処理を施すなどしてもよく、A層とB層のみからなる積層構造に特に制限されるわけではない。
A層及びB層以外の他の層が存在する場合、当該他の層はA層とB層の関係が前述した関係からはずれないように設けることが好ましい。他の層の厚みの合計は全層の厚み1に対して0.01〜0.05が好ましく、より好ましくは0.01〜0.03となるようにすることが好ましい。
【0048】
<空孔率>
本反射シートは、空孔率が20.0〜75.0%であることが重要である。
本反射シートは、前述したように各層の樹脂中に空孔を形成させることで樹脂組成物と空孔の界面で光の反射を生じさせ、光学反射特性を向上させている。よって、空孔率は光学特性に大きく影響する。
反射シートの空孔率がかかる範囲であれば、樹脂組成物中の空孔数が可視光領域の光を反射する特性を付与する上で好適となり、樹脂組成物と空孔の界面数での光の反射が充分行わるため好ましい。より好ましくは35.0%以上或いは70.0%以下であり、特に好ましくは40.0%以上或いは65.0%以下である。
【0049】
<反射シートの形態>
本反射シートの形態としては、平面状、チューブ状の何れであってもよいが、製品として数丁取りが可能であることが生産性の観点から好ましく、更に内面コートなどの処理を施すのに簡便なことから平面状であるのがより好ましい。
【0050】
本反射シートの厚みは、100μm〜1mmが好ましく、より好ましくは150μm以上或いは800μm以下、更に好ましくは188μm以上或いは750μm以下である。厚みが150μm以上であれば、実質的に充分な光学反射特性を得ることができ、厚みが1mm以下であれば実質的に充分な機械強度を得ることができるため好ましい。
【0051】
(製造方法)
次に本反射シートの製造方法について説明するが、本発明は係る製造方法により製造される反射シートのみに限定されるものではない。
【0052】
本反射シートの製造方法は、多孔化と積層の順序によって、次の3つに大別される。
(i)A層の多孔質層とB層の多孔質層を作製し、ついで少なくともA層の多孔質層とB層の多孔質層を積層する方法。
(ii)A層とB層の無孔膜状物と作製し、ついで該無多孔膜状物を多孔化する方法。
(iii)A層とB層の2層のうちいずれか1層を多孔化したのち、もう1層の無孔膜状物と積層し、多孔化する方法。
【0053】
前記(i)の方法としては、A層の多孔質層とB層の多孔質層を熱ラミネートする方法や接着剤等で積層化する方法を挙げることができる。
前記(ii)の方法としては、A層の無孔膜状物とB層の無孔膜状物をそれぞれ作製し、A層の無孔膜状物とB層の無孔膜状物を熱ラミネートや接着剤等で積層化した後に多孔化する方法、または共押出でA層とB層を少なくとも有する積層無孔膜状物を作製したあとに多孔化する方法などを挙げることができる。
前記(iii)の方法としては、A層の多孔質層とB層の無孔膜状物、又はA層の無孔膜状物とB層の多孔質層を熱ラミネートや接着剤等で積層化する方法を挙げることができる。
本発明において、その工程の簡便さ、生産性の観点から(b)の方法が好ましく、共押出を用いる方法がより好ましい。
【0054】
前記積層無孔膜状物の作製方法は特に限定されず、公知の方法、例えばTダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法、インフレーション法などを採用することができ、特に限定されるものではないが、積層無多孔膜状物の製膜性や安定生産性などの面からTダイを用いる押出キャスト法が好ましい。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、組成物の流動特性や製膜性等によって適宜調整されるが、概ね組成物の流動開始温度以上流動開始温度+100℃以下、好ましくは流動開始温度+30℃〜80℃の範囲が好適である。
【0055】
(多孔化方法)
次に多孔化方法について説明する。
本反射シートにおける多孔化方法としては、公知の各種の製造方法が適用でき、本発明の趣旨を超えなければ特に限定されるものではない。多孔化方法の具体例としては、化学発泡法、物理発泡法、超臨界発泡法、延伸法、抽出法などを挙げることができる。これらのうち本反射シートにおいては、製膜性や連続生産性や安定生産性などの面から延伸法が好ましい。
【0056】
延伸方法の具体例としては、例えばロール延伸法、圧延法、テンター延伸法などを挙げることができる。これらのうち本発明においてはロール延伸法、及び/又はテンター延伸法が延伸条件の選択幅が広いためにこれらを単独であるいは組み合わせて少なくとも1方向に延伸する方法が好適に用いられる。
該延伸は、ロール延伸法等により縦方向(MD)に延伸する一軸延伸法、縦方向への一軸延伸後引き続きテンター延伸法等により横方向(TD)に延伸する逐次二軸延伸法、又はテンター延伸法を用いて縦方向および横方向に同時に延伸する同時二軸延伸法を挙げることができる。
なお、反射率を高める観点からは、二軸延伸するのが好ましい。
【0057】
上記のような多孔化方法によって、平均孔径が0.01μm以上1.00μm未満の空孔径を有する上記A層を形成することができる。これらの中でも、生産性、空孔径の制御の容易さなどの観点から、超臨界発泡法、延伸法などの方法を採用することが好ましく、特に、上述したβ核剤を使用して延伸法で形成することがより好ましい。
また、平均孔径が1.00μm以上10.00μm未満の空孔径を有する上記B層も上記のような多孔化方法によって形成することができる。これらの中でも、生産性、空孔の形成の容易さなどの理由から、化学発泡法、物理発泡法、延伸法などの方法を採用することが好ましく、特に、生産性の点から延伸法で形成することがより好ましい。
【0058】
(金属薄膜層)
本反射シートは、該シートの裏面側(すなわち反射使用面とは反対側)に、金属薄膜層を形成することもできる。
金属薄膜層は、金属を蒸着することにより形成することができ、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング蒸着法、イオンプレーティング法等によって形成することができる。蒸着金属材料としては、反射率が高い材料であれば特に制限されることなく使用することができるが、一般的には、銀、アルミニウム等が好ましく、これらの中では光学反射特性の観点では銀が特に好ましい。
【0059】
上記金属薄膜層は、金属の単層品や積層品、あるいは、金属酸化物の単層品や積層品でも、金属の単層品と金属酸化物の単層品との2層以上の積層体でもよい。
金属薄膜層の厚みは、層を形成する材料は層形成法等によっても異なるが、通常は10nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、20nm〜200nmの範囲内であることが更に好ましい。金属薄膜層の厚みが300nmであれば、生産効率が良好であるため好ましい。
【0060】
上記金属薄膜層は、反射シートに金属蒸着によって形成してもよいが、予め、樹脂フィルム等からなる中間層に金属薄膜層を形成したフィルムを作製しておき、このフィルムをポリスチレン系樹脂多孔フィルムと積層させてもよい。
積層の仕方は、作製したフィルムの金属薄膜層と反射シートとを、あるいは、作製したフィルムの中間層と反射シートを、単に重ね合わせることにより積層することができる。
接着方法としては、各種接着剤を用いて公知の方法により接着する方法、公知の熱接着法等を使用することができる。
【0061】
このような金属薄膜層を有する場合の層構成を例示すると、反射シート/(必要に応じて、アンカーコート層)/金属薄膜層/保護層の層構成、或いはポリスチレン系樹脂多孔フィルム/中間層/(必要に応じて、アンカーコート層)/金属薄膜層/保護層の層構成等を挙げることができる。ただし、ポリスチレン系樹脂多孔フィルムは光が照射される側に配置するのが好ましい。また、これらの層の間に、更に他の層を有してもよいし、反射シート、金属薄膜層などがそれぞれ独立に複数から構成してもよい。
【0062】
また、本反射シートを、金属板または樹脂板に被覆して反射板を形成することができる。この反射板は、液晶表示装置、照明機器、照明看板等に用いされる反射板として有用である。いかにこのような反射板の製造方法について一例を挙げて説明する。
【0063】
反射シートを金属板または樹脂板に被覆する方法としては、接着剤をしようする方法、接着剤を使用せずに熱融着する方法、接着性シートを介して接着する方法、押出しコーティングする方法等を挙げることができ、特に限定されるものではない。
例えば、金属板または樹脂板の反射シートを貼り合わせる側の面に、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系等の接着剤を塗布し、反射シートを貼り合わせることができる。この方法においては、リバースロールコーター、キスロールコーター等の一般的に使用されるコーティング設備をしようし、反射シートを貼り合わせる金属板等の表面に乾燥後の接着剤膜厚が2〜4μm程度となるように接着剤を塗布した後、次いで、赤外線ヒーター及び熱風加熱炉により塗布面の乾燥及び加熱を行い、板の表面を所定の温度に保持しつつ、直にロールラミネーターを用いて、反射シートを被覆、冷却すればよい。
【0064】
<用語の説明>
本発明において、「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含し、特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、主成分は組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、特に好ましくは90質量%以上(100質量%も含む)を占める意を包含するものである。
【0065】
また、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
【実施例】
【0066】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の反射シートについてさらに詳しく説明するが、本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、本明細書中に表示される反射シートについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、反射シートの押出機からの引き取り(流れ)方向を縦方向(MD)、その直交方向を横方向(TD)と称する。
【0067】
(1) 平均孔径
走査電子顕微鏡(日立製作所:S−4500)を用いて、得られた反射シートのMD断面の中心付近を観察倍率=3,000倍で観察した。得られた観察像中のすべての空孔の観察を行い、それぞれの空孔における長径方向(幅方向)の径を画像処理により計測し、全ての空孔の平均値を平均孔径(μm)として算出した。
なお、一軸延伸した場合には、延伸方向の径、すなわち長径方向の径を画像処理により計測し、全ての空孔の平均値を平均孔径(μm)として算出した。
【0068】
(2)反射率(%)
(株)日立製作所の分光光度計(U−4000)に積分球を取り付け、波長550nmの光に対する反射率を測定した。なお、測定前にアルミナ白板の反射率が100%となるよう光度計を設定し、測定を実施した。
【0069】
(3)フィルム厚み
1/1000mmのダイヤルゲージを用い、得られたシートの面内を不特定に10箇所測定し、その平均値を算出した。
【0070】
(4)空孔率
得られた積層多孔性フィルムから、縦×横=10cm×10cmの試料をフィルム中央部から切り出し、その重量W(g)と厚さt(μm)を計測する。ついで、積層無孔膜状物の比重ρ(g/cm
3)から次式により空孔率を算出した。
空孔率(%)=[1−{W/(10×10×t×0.0001×ρ}]×100
【0071】
(実施例1)
A層を構成する樹脂組成物として、ポリプロピレン系樹脂(日本ポリプロ社製「ノバテックPP FY6HA」、屈折率1.51、MFR:2g/10分)100質量部に対し、β晶核剤として、3,9−ビス[4−(N−シクロヘキシルカルバモイル)フェニル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン0.3質量部を加え、東芝機械株式会社製の同方向二軸押出機(口径φ40mm、L/D=32)を用いて280℃にて溶融混練してペレット状に加工した樹脂組成物A1を得た。
また、B層を構成する混合樹脂組成物として、高密度ポリエチレン(日本ポリエチ社製「ノバテックHD HF560」、密度:0.963g/cm
3、屈折率1.53、MFR:7.0g/10分)を、樹脂組成物B1として用いた。
【0072】
樹脂組成物A1およびB1を別々の押出機にて200℃で押出し、65層のフィードブロックを通じてA1層が表裏面となるようにA1/B1/A1/B1/・・・/A1となるように分割押出し、その後、口金幅が300mm、リップギャップが2mmとなる単層用のフィッシュテールダイより200℃で押出しした。A1層とB1層の押出し比率は、全体の押出量がA1/B1=73/27質量%となるように押出した。その後、ラインスピードが3m/秒にて125℃のキャスティングロールに約30秒密着させることで冷却固化させ、厚み250μmの積層無孔膜状物を得た。積層無孔膜状物の断面SEM写真を
図1に示す。積層無孔膜状物のA1層の厚みはおよそ6.0μm、B1層の厚みはおよそ1.5μmであった。
【0073】
前記積層無孔膜状物をロール延伸機にて20〜100℃で縦方向に1.5倍に延伸した後に100℃で縦方向に3.0倍延伸し、トータルの縦延伸倍率が4.5倍となるように延伸した後、テンター延伸機にて横方向に100℃で2.75倍に逐次二軸延伸をして厚みが35μmとなる積層多孔性フィルムを作製した。得られた積層多孔性フィルムを5枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが175μm、積層数が325層(B層数160)の反射シートを得た。その結果を表1にまとめた。積層多孔性フィルムの断面のSEM写真を
図2に示す。
【0074】
(実施例2)
積層無多孔膜状物までは実施例1と同様の方法にて厚み250μmの積層無孔膜状物を得た。前記積層膜状物をロール延伸機にて120℃で縦方向に3倍となるように延伸した後に100℃で横方向に3.0倍に逐次二軸延伸をして厚みが115μmとなる積層多孔性フィルムを作成し、得られた積層多孔性フィルムを3枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが315μm、積層数が195層(B層数96)の反射シートを得た。その結果を表1にまとめた。
【0075】
(実施例3)
積層無多孔膜状物までは実施例1と同様の方法にて厚み250μmの積層無孔膜状物を得た。得られた積層膜状物をロール延伸機にて20〜120℃で縦方向に1.5倍に延伸した後に120℃で縦方向に4.0倍延伸し、トータルの縦延伸倍率が6.0倍となるように縦延伸をして厚みが45μmとなる積層多孔性フィルムを作成し、得られた積層多孔性フィルムを10枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが450μm、積層数が650層(B層数320)の反射シートを得た。
【0076】
(実施例4)
成膜条件、すなわち押出量と成形速度を調整して積層無多孔膜状物の厚みを95μmとした以外は、実施例1と同様の方法にて積層無孔膜状物を得た。得られた積層無孔膜状物の断面のSEM写真を
図3に示す。積層無孔膜状物のA1層の厚みはおよそ1.8μm、B1層の厚みはおよそ0.6μmである。
得られた積層無孔膜状物をロール延伸機にて80℃で縦方向に多段にて4.0倍に延伸した後に100℃で横方向に2.0倍に逐次二軸延伸をして厚みが36μmとなる積層多孔性フィルムを作成した。得られた積層多孔性フィルムを10枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが360μm、積層数が650層(B層数320)の反射シートを得た。
【0077】
(実施例5)
成膜条件、すなわち押出量と成形速度を調整して積層無多孔膜状物の厚みを95μmとした以外は、実施例1と同様の方法にて積層無孔膜状部を得た。得られた積層無多孔膜状物をロール延伸機にて80℃で縦方向に多段にて4.0倍に縦延伸をして厚みが50μmとなる積層多孔性フィルムを作成した。得られた積層多孔性フィルムを10枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが500μm、積層数が650層(B層数320)の反射シートを得た。この際、配向方向をそろえて重ね合わせた。
【0078】
(比較例1)
実施例1と同様の方法にて樹脂組成物A1を得た。得られた樹脂組成物A1を別々の押出機にて200℃で押出し、65層のフィードブロックを通じてA1/A1/A1・・・/A1となるように分割押出した以外は実施例1と同様に厚みが250μmの実質上A1のみの厚み250μmの積層無孔膜状物を得た。得られた実質A1のみの積層膜状物を、実施例2と同様の延伸条件にて厚みが80μmとなる積層多孔性フィルムを作成し、得られた積層多孔性フィルムを3枚ドライラミ方式にて重ね合わせて、厚みが240μm、実質上A1のみの積層多孔性フィルムを得た。得られた実質上A1のみの反射シートは反射率が実施例2のフィルムよりも低いことが確認できる。
【0079】
(比較例2)
実施例1と同様の方法にて、樹脂組成物B1を別々の押出機にて200℃で押出し、65層のフィードブロックと通じてB1/B1/B1・・・・/B1となるように分割押出した以外は実施例1と同様に厚みが250μmの実質上B1のみの厚みが250μmの積層無孔膜状物を得た。得られた実質上B1のみの積層膜状物を実施例2と同様の延伸条件にて延伸を試みたが、延伸時に破断が生じ多孔性フィルムを得ることが出来なかった。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、実施例1〜6の反射シートは、反射率が96%以上となり、光学反射特性に優れていていることが分かった。これに対して、実質上A層のみの多孔性シート(比較例1)では、所望の反射特性を発現しない結果となった。
以上の実施例とこれまで行った試験結果からすると、シート断面における長径方向の平均孔径が0.01μm以上1.00μm未満の空孔を有する多孔質樹脂層Aと、シート断面における長径方向の平均孔径が1.00μm以上10.00μm以下の空孔を有する多孔質樹脂層Bとが交互に多数積層してなる構成を有する反射シートであって、シート全体の空孔率が20.0〜75.0%であれば、目的とする反射特性を得ることができ、しかも軽量化及び薄型化を図ることができるものと考えることができる。
また、積層数に関しては、以上の実施例とこれまで行った試験結果からして、B層を少なくとも25層以上有していれば、上記実施例と同程度の効果を得ることができるものと考えることができる。