【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、請求項1によるインプラントにより達成される。
【0008】
特に、本発明によるインプラントは、カテーテルなどの実装装置の一部分又は表面に脱着可能な状態で固定又はクリンピングされるように意図された、埋め込み部位に送達されるためのインプラントである。本インプラントは、長さ方向軸、あるいはインプラント内で長さ方向に延伸した内部空間又は内部容積を有し、長さ方向、空間又は容積に対して垂直な半径方向を有している。本インプラントは、第1部分を有する第1構造要素と、第2部分を有する第2構造要素とを有している。本インプラントは、さらに、第1構造要素と第2構造要素との間に配置された1つあるいは複数の相互接続要素を有している。インプラントにおいて、第1そして/又は第2部分は、長さ方向軸、内部空間又は容積に関しては、1つあるいは複数の相互接続要素の第3部分に比べてさほど半径状には配置されていない。
【0009】
本発明による方法は、請求項15に定義されている。それによると、本方法は、1つあるいは複数、又は全ての相互接続要素と、カテーテルの外部面との間の、第1間隙を保持するように、インプラントをクリンピングするステップを含む。
【0010】
本発明によるカテーテル又はカテーテルの一部分は請求項18に定義されている。それによると、カテーテル又はカテーテル部分、特にカテーテルチップは、本発明によるインプラントを送達する。
【0011】
態様は、1つあるいは複数の以下の特徴を含むことができる。
【0012】
本発明によるインプラントは、拡張可能、再クリンピング又は潰すことが可能な、各種のインプラントであり得る。例えば、このようなインプラントは、インプラントの所定の部分の周りに案内された糸を締めたり緩めたりすることにより、インプラントの直径を変化させることができ得る。直径を変化させるために必要となる特徴は、本発明の主眼ではない。このような特徴は、本発明の発明者によるWO2008/029296A2(“Minimally invasive heart valve replacement“ 2007年2月15日出願)及び同様に本発明の発明者によるWO2009/109348A1(“Stent, welcher vom expandierten Zustand kontrolliert erneut im Durchmesser verringerbar ist”2009年3月2日出願)においてさらに詳細に説明されており、重複を避けるために、これらの特徴に関してはこれらの明細書を引用する。これらの各開示は、参照により本出願に援用されている。両出願のいずれに記載された任意の事項に対しても同様である。
【0013】
なお、本明細書においてカテーテルと称する際には、“カテーテル“という用語は、常に、インプラントを埋め込み部位に送達するための送達実装又は送達器の一例示として用いられているという点に注意されたい。従って、本発明は、カテーテールのみに関するものであると理解すべきではなく、埋め込み部位にインプラントを送達するための任意の好適な装置も、発明者により意図されたものである。
【0014】
所定の態様において、“半径状”又は“半径状に”という用語は、“側面の”又は“側面に”として理解してもよく、これらの用語は両者ともに、第2構造に対して半径状又は側面に配置された第1構造が、例えば、中心軸又は中間要素から、第2構造よりも離れていることを示している。すなわち、“さほど半径状でない”とは、より中心又は中間に近いことを表している。
【0015】
いくつかの態様においては、第1構造要素は近位構造であり、一方第2構造要素は遠位構造である。
【0016】
いくつかの態様においては、相互接続要素は、2つあるいはそれ以上の数、特に3つの等距離又は等角度で配置されたポストである。ポストは、互いに同一の間隔で配置してもよい。ポストは、互いに120°の角度で配置され得る。
【0017】
所定の態様においては、相互接続要素のうち、1つあるいは複数またはその全ては、メッシュであるか、あるいはメッシュを形成している。いくつかの態様においては、メッシュはメッシュの直径が変化するように構成されている。メッシュは、その長さ方向の長さは(全く又はそれほど)変化せずに、メッシュの直径が変化することが好ましい。すなわち、インプラントの直径を変化させる際に、メッシュを伸長又は短縮することなく作ることができる。
【0018】
いくつかの態様においては、少なくとも1つあるいは複数の相互接続要素は、第1構造要素と第2構造要素とを互いに接続している。
【0019】
本発明のある態様において、相互接続要素は第1構造要素と第2構造要素との間の距離を維持するために提供されている。
【0020】
第1構造要素と第2構造要素との間の相互接続は、直接的又は間接的に行うことができる。
【0021】
所定の態様において、相互接続要素は、インプラント上又はインプラント内に配置されたポストである。インプラントの少なくともある状態又は任意の状態に応じて、ポストはインプラントの長さ方向軸、内部空間又内部容量に対して平行に伸びる。
【0022】
いくつかの様態においては、“長さ方向軸に対して並行である”とは、問題になっているポストを含む平面と、長さ方向軸を含む他の平面とが存在し、これらの平面は互いに交わることがない、ことを単に意味するものである。
【0023】
上記で言う状態とは、インプラントが完全に拡張した、例えば、埋め込み過程が完了した後の状態であってよい。状態とは、インプラントが完全にクリンピングした状態であってよい。状態とは、カテーテルにより埋め込みに送達した際の、インプラントが完全にクリンピングした状態であってよい。
【0024】
所定の態様において、インプラント、特に、第1構造要素そして/又は第2構造要素は少なくとも第4部分を有し、また第5部分を有することも可能で、さらに他の部分も有するものであってよい。これらの部分は、1つあるいは複数の相互接続要素の特定の第3部分又は任意の第3部分よりも、長さ方向軸又は内部空間/内部容量に対してより半径状に又はより横方向に配置される。
【0025】
これは、インプラントに対して作用する外圧のために、内部空間の直径又は半径状の拡張の程度が減少するといった状態で発生したり、あるいは、インプラントの通常の使用の際に、インプラントが作用するかもしれない又は実際に作用している全ての状態で発生する状況である。
【0026】
いくつかの態様において、第4部分(そして、1つあるいは複数の相互接続要素の特定の第3部分又は任意の第3部分よりも、長さ方向軸又は内部空間/内部容量に対してより半径状に又はより横方向に配置されている他の部分も)は、クリンピング過程において、第3部分の横方向又は半径状レベルから上方向に立ち上がっている。例えば、所定の態様において、第1そして/又は第2構造要素は、クリンピング過程により、少なくとも一時的に変形し、クリンピングの際に第4部分が“起き上がる”(すなわち、立ち上がる)。第4部分は、いくつかの態様の場合に、インプラントの拡張後に再び特徴ある位置を失ってしまう可能性が高い。
【0027】
いくつかの態様において、インプラントに対して各々作用する又は与えられる外圧により内部空間又は内部容量の直径又は半径状拡張が減少した状態において、第3部分は、第1そして/又は第2部分よりも内部空間/内部容量に対してより半径状に設けられている。
【0028】
所定の態様において、インプラントに作用する外圧により内部空間の直径又は半径状拡張が減少した状態とは、完全にクリンピングした状態、インプラントがクリンピングを終えた状態、又は埋め込みのためのクリンピングにより、クリンピングされようとしている状態のことである。
【0029】
いくつかの態様において、インプラントに作用する外圧のために内部空間の直径又は放射状拡張が減少した状態とは、インプラントのクリンピングされた状態で、第1部分又は第2部分、あるいはそれらの両方がカテーテルの外部面に接触している状態のことである。
【0030】
所定の態様において、第1構造要素そして/又は第2構造要素は、体内血管の一部又は患者の心臓の一部に一旦送達されたインプラントの直径を変化させる(増加そして/又は減少させる)ために、糸を案内するための1つ又は複数の案内構造である。
【0031】
いくつかの態様において、インプラントは、カテーテルにクリンピングされた後、1つあるいは複数の又は全ての相互接続要素とカテーテルの外部面との間に、第1間隙が残るように設計されている。
【0032】
所定の態様において、間隙又はその一部分は、全体的又は部分的に管状である。
【0033】
いくつかの態様において、インプラントは、カテーテル上でクリンピングされた後、1つあるいは複数の又は全ての相互接続要素とインプラントを覆うスリーブの内部面との間に、第2間隙が残るように構成されている。
【0034】
また、所定の態様において、第2間隙は全体的又は部分的に管状である。
【0035】
いくつかの態様においては、第1間隙そして/又は第2間隙は、小葉(leaflet)、交連(commissure)、又は同様のもの、あるいはそれらの部分などの構成を収容するように意図されている。その寸法は、必要に応じて調整され得る。
【0036】
所定の態様においては、インプラントのクリンピングされた又は送達された状態において、第1間隙そして/又は第2間隙の幅は、少なくとも2mm、又は少なくとも3mm、もしくは少なくとも5mmである。
【0037】
所定の態様において、インプラントは、少なくとも1つのスリーブを含む。スリーブの1つは、インプラントの外側面でインプラントを覆うものであってよい。
【0038】
いくつかの態様において、インプラントは、心臓弁又はその代替物あるいは置換物であるか、それらを含むものである。
【0039】
所定の態様においては、インプラントは、柔軟な小葉を含む。いくつかの態様においては、インプラントはステントであるか、あるいはそれを含む。
【0040】
いくつかの態様においては、本発明による方法は、クリンピングされたインプラントをスリーブで覆い、1つあるいは複数の又は全ての相互接続要素とインプラントを覆うスリーブの内部面との間に、第2間隙が残るようにするステップを含む。
【0041】
所定の実施様態において、本発明による方法は、移植埋め込みの最終クリンピング状態に到達するまでクリンピングするステップを含んでいる。従って、1つあるいは複数の又は全ての相互接続要素とカテーテールの外部面との間に、第1間隙が残るようなインプラントのクリンピングである場合はいずれも、最終クリンピング状態を意味し得る。
【0042】
当業者にとって自明である利点とともに、態様は、以下に示す1つあるいは複数の利点を備え得る。
【0043】
インプラント、特にステントのクリンピングについては、従来技術として既知であり、暫定的にインプラントをカテーテールに固定するために、おそらくもっとも用いられている方法であるが、発明者らの発見によると、インプラント、あるいはインプラントに含まれる構造は、頻繁に逆方向にクリンピングされ、時として損傷を受ける場合もある。このような損傷については、当業者によっても、また一般公衆によっても、これまで認識されていなかった。しかし、発明者らは、例えば、上述のWO2008/029296A2に記載されているような代替心臓弁の小葉に過度の圧力が作用することにより生ずる問題を認識した。観測される損傷は、一方側の相互接続要素又はポスト、及びスリーブと、他方側のカテーテルのクリンピング面(外部面)との間をクリンピングするにあたって、小葉及び交連に作用する圧力により生ずるように思われる。
【0044】
いくつかの態様において、本発明は相互接続要素間の空間(第1間隙)を提供するためのインプラントの新たな構成を有利に提案するものであり、例えば、圧迫又は損傷のない、相互接続要素とカテーテール表面との間に設けられた上述の図面の又は他の構造のインプラントの交連を可能とする、。
【0045】
さらに、所定の態様において、本発明は、(もし提供されている場合には)WO2008/029296A2記載のインプラントの小葉などの構造に対して、スリーブ又はインプラントの送達中の血管壁と、比較的堅く柔軟性のないカテーテルの表面との間に、十分な空間(第2間隙)を提供する有利なインプラントの新たな構成をも提案する。
【0046】
いくつかの態様において、インプラントに含まれる代替弁の小葉の破壊を、都合よく避け得る。
【0047】
所定の態様において、自然組織(例えば、牛の組織)の代替弁の小葉内の、本発明の発明者らによって発見された、クリンピング後の膠原線維の破壊を、都合よく避けることができる。
【0048】
他の態様、特徴そして利点は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかになろう。
【0049】
以下では、図面により本発明をさらに説明する。しかし、本発明は、図面により説明された実施例に限定されるものでない。