(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017972
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】油圧ブレーカ
(51)【国際特許分類】
B25D 17/14 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
B25D17/14
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-7271(P2013-7271)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2014-136302(P2014-136302A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】594149398
【氏名又は名称】古河ロックドリル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(72)【発明者】
【氏名】福井 信義
(72)【発明者】
【氏名】塩田 敦
【審査官】
長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−219203(JP,A)
【文献】
実開昭57−151489(JP,U)
【文献】
特開2003−240132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 17/14
B25D 9/04
E21B 1/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身先端側からチゼルが挿着されるフロントヘッド部と、自身内部にシリンダライナを介してピストンが摺嵌されるシリンダ部とが一体構造とされたシリンダを備え、該シリンダが、前記フロントヘッド部と前記シリンダ部との間の部分に打撃室を有する油圧ブレーカであって、
前記シリンダは、前記打撃室の内周面に、前記シリンダの軸方向に複数段に亘って形成された円環状の油溝を有することを特徴とする油圧ブレーカ。
【請求項2】
前記油溝は、前記軸方向前側に形成された傾斜部と、前記軸方向後側に形成された壁面部と、前記傾斜部と前記壁面部との間に形成された底部とを有し、
前記傾斜部は、前記軸方向前側から前記軸方向後側に向けて前記打撃室の内径を拡径するように形成された傾斜面からなり、前記壁面部は、軸方向に直交する壁面からなることを特徴とする請求項1に記載の油圧ブレーカ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントヘッド部とシリンダ部とが一体構造とされたシリンダを備え、シリンダ部に自身内部にシリンダライナを介してピストンが摺嵌される油圧ブレーカに係り、油圧打撃機構側へのダスト等の異物の侵入を防止または抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントヘッドとシリンダとが分割された分割型の油圧ブレーカが知られている(例えば特許文献1参照)。
この種の油圧ブレーカは、
図3に一例を示す油圧ブレーカ100のように、軸方向の中央部にシリンダ101を有し、シリンダ101の前側にフロントヘッド102が連結されるとともに、後側にバックヘッド103が連結されている。フロントヘッド102、シリンダ101及びバックヘッド103は、長尺なスルーボルト121によって相互に締結されている。
【0003】
シリンダ101内にはピストン105が摺嵌されている。フロントヘッド102の先端側には、フロントキャップ104が同軸に設けられ、また、フロントヘッド102の途中部分には、フロントホルダ109が同軸に設けられている。フロントヘッド102内には、先端側からチゼル112が挿着され、チゼル112は、フロントキャップ104およびフロントホルダ109によりピストン105と同軸線CL上に保持されている。このチゼル112の後端側とピストン105の先端側との間に打撃室111が形成されている。打撃室111は、フロントヘッド102の上端部分に設けられている。
【0004】
シリンダ101には、コントロールバルブ106とストローク制御弁107とを含む公知の油圧打撃機構が設けられており、不図示の油圧供給源からコントロールバルブ106を介してシリンダ101に圧油を供給することにより圧力油の流路を切り換えてピストン105が軸線CL上で前後進可能になっている。そして、チゼル112は、ピストン105の打撃によって軸方向に所定距離の往復移動が可能になっている。なお、チゼル112は、ロッドピン108によって、軸方向での移動が規制され、その往復移動範囲が制限されている。
【0005】
ここで、油圧ブレーカ100を使用した際、破砕作業雰囲気中の粉塵(ダスト)や内蔵部品摩耗粉等の異物が油圧打撃機構側へ流動するところ、シリンダ101の先端内面には、フロントヘッド102側から侵入した異物が、シリンダ内面とピストン105との間隙にまで侵入するのを防止するダストシール120が設けられている。これにより、シリンダ101の前側に設置されたダストシール120にて油圧打撃機構内への異物の侵入防止を図っている。しかし、油圧打撃機構内への異物の侵入は、ダストシール120によって、ある程度は防止できるものの、ダストが飛散し易い場合など、油圧ブレーカ100の使用条件によってはダストシール120の寿命が短くなるおそれがある。
【0006】
一方、油圧ブレーカ100による破砕作業の雰囲気中のダスト若しくは内蔵部品の摩耗粉等の異物が打撃室111に侵入した場合、打撃室111の内径がピストン105外径と同程度の寸法であるとロッド潤滑用のグリスと共に油圧打撃機構側に異物が侵入し易くなる。
そこで、この種の油圧ブレーカでは、打撃室の容積を一定量確保する必要がある。その理由は、ピストンの往復運動による打撃室中の空気の圧力変化を最小限にする必要があるためである。換言すれば、打撃室中の圧力変化が大きくなると、大気側への排出だけではなく、油圧打撃機構側へのダスト等の異物の侵入も起こり易くなるため、ある程度の容積が必要となるのである。
【0007】
ここで、打撃室の内径を拡大するための機械加工は、上述した分割型の油圧ブレーカであれば、フロントヘッドとシリンダとが分割構造なので、上述のように、打撃室をフロントヘッドの上端部分に設けることができる。そのため、フロントヘッドに対して油圧打撃機構側からの機械加工ツールのアクセスが容易である。したがって、打撃室の内径を拡大するための機械加工を比較的容易に実現可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−114297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、分割型の油圧ブレーカにおいては、上述のように、フロントヘッド、シリンダ及びバックヘッドが、長尺なスルーボルトで相互に締結されているため、スルーボルトに捩りが生じたり、スルーボルトの締め付けが弛んだりするという問題が潜在している。そこで、本発明者らは、このような長尺なスルーボルトに基づく問題点を根本から解決するために、一体型シリンダ構造の油圧ブレーカを研究開発している。一体型シリンダ構造とは、自身先端側からチゼルが挿着されるフロントヘッド部と、自身内部にシリンダライナを介してピストンが摺嵌されるシリンダ部とを一体構造とした一体型シリンダとし、この一体型のシリンダのフロントヘッド部とシリンダ部との間の部分に打撃室を設けたものである。一体型シリンダ構造の油圧ブレーカであれば、シリンダとバックヘッドとを短いボルトで相互に締結することができるので、長尺なスルーボルトが不要であり、ボルトの捩れや弛みの問題を解消することができる。
【0010】
しかしながら、一体型シリンダ構造の油圧ブレーカは、一体型としたシリンダが長尺となり、そのシリンダの軸方向中央部分近傍に打撃室が位置することになるため、長尺のシリンダ両端からの中央部近傍に位置する打撃室に対する深穴且つ大内径の機械加工が困難である。つまり、一体型シリンダ構造の油圧ブレーカでは、打撃室の容積を一定量確保するような径大部分を設けることが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、フロントヘッド部とシリンダ部とが一体構造とされた一体型シリンダ構造の油圧ブレーカにおいて、シリンダとシリンダライナの接触部へのダストや内蔵部品の摩耗粉等の異物の侵入を防止または抑制し得る一体型シリンダ構造の油圧ブレーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る油圧ブレーカは、自身先端側からチゼルが挿着されるフロントヘッド部と、自身内部にシリンダライナを介してピストンが摺嵌されるシリンダ部とが一体構造とされたシリンダを備え、該シリンダが、前記フロントヘッド部と前記シリンダ部との間の部分に打撃室を有する油圧ブレーカであって、前記シリンダは、前記打撃室の内周面に、前記シリンダの軸方向に複数段に亘って形成された円環状の油溝を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係る油圧ブレーカによれば、シリンダがフロントヘッド部とシリンダ部とが一体構造とされ、そのシリンダの打撃室に、シリンダの軸方向に複数段に形成された油溝を有するので、各油溝にグリスを滞留させることができる。そして、この油溝は、シリンダの軸方向に複数段に亘って形成されているので、全体として波型の油溝となるため、ラビリンスシールとして機能する。つまり、この複数段の油溝がラビリンスシール機能を奏するダスト溜まり(ダストポケット)となり、油圧ブレーカ作業雰囲気中のダストや内蔵部品の摩耗粉等の異物を滞留させることができる。そのため、油圧打撃機構(油圧システム)内へのダスト等の異物の侵入を防止または抑制することができる。そして、油溝を複数段に設けるような機械加工であれば、打撃室に対する深穴且つ大内径の機械加工を行う場合に比べて、機械加工を容易に行うことができる。
【0013】
ここで、本発明の一態様に係る油圧ブレーカにおいて、複数段の油溝がラビリンスシールとして機能するように相互に隣接して設けられ、軸方向に沿った断面視において波型形状を呈するように形成することが好ましい。このような構成であれば、特別なシールを不要としつつも、油圧システム内へのダスト等の異物の侵入を防止または抑制する上で好適である。
【0014】
また、各油溝の形状は、前記軸方向前側に形成された傾斜部と、前記軸方向後側に形成された壁面部と、前記傾斜部と前記壁面部との間に形成された底部とを有し、前記傾斜部は、前記軸方向前側から前記軸方向後側に向けて前記打撃室の内径を拡径するように形成された傾斜面からなり、前記壁面部は、軸方向に直交する壁面からなる形状とすれば、油圧打撃機構内へのダスト等の異物の侵入を防止または抑制する上でより好ましい。
【発明の効果】
【0015】
上述のように、本発明によれば、フロントヘッド部とシリンダ部とが一体構造とされたシリンダを備え、フロントヘッド部とシリンダ部との間の部分に打撃室を有する油圧ブレーカにおいて、一体構造のシリンダの打撃室に複数段の油溝を設けたので、油溝にグリスを保持させてダストポケットとし、多段の油溝が全体として波型をなすことでラビリンスシールとして機能し、ダスト等の異物を油溝内に滞留させることができる。そのため、油圧打撃機構内へのダスト等の異物の侵入を防止または抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る油圧ブレーカの一実施形態を説明する図であり、同図は油圧ブレーカをその軸線を含む断面にて図示している。なお、ダスト等の異物の侵入経路を矢印にて併せて示してある。
【
図2】
図1での打撃室に設けている油溝の部分の要部(A部)拡大図である。
【
図3】従来の分割型の油圧ブレーカを説明する図であり、同図は油圧ブレーカをその軸線を含む断面にて図示している。なお、ダスト等の異物の侵入経路を矢印にて併せて示してある。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1に示すように、この油圧ブレーカ10は、自身先端側からチゼル12が挿着されるフロントヘッド部41と、自身内部にピストン5が摺嵌されるシリンダ部42とが一体構造とされたシリンダ1を有している。
詳しくは、この油圧ブレーカ10は、シリンダ1の軸方向の後側がシリンダ部42とされ、シリンダ部42の前側がフロントヘッド部41としてシリンダ部42と一体形成されるとともに、後端にバックヘッド3が連結されている。バックヘッド3は、シリンダ1の後端に、短尺なボルト21によって締結されている。シリンダ部42内にはシリンダライナ23,24を介してピストン5が摺嵌されている。
【0018】
フロントヘッド部41の前側には、フロントキャップ4が同軸に設けられ、また、フロントヘッド部41の後側には、フロントホルダ9が同軸に設けられている。フロントヘッド部41内には、先端側からチゼル12が挿着され、チゼル12は、フロントキャップ4およびフロントホルダ9によりピストン5と同軸線CL上に保持されている。このチゼル12の後端側とピストン5の先端側との間に打撃室2が形成されている。打撃室2は、フロントヘッド部41とシリンダ部42との間の部分に設けられている。
【0019】
シリンダ1のシリンダ部42には、コントロールバルブ6とストローク制御弁7とを含む公知の油圧打撃機構が設けられており、不図示の油圧供給源からコントロールバルブ6を介してシリンダ部42に圧油を供給することにより圧力油の流路を切り換えてピストン5が軸線CL上で前後進可能になっている。そして、チゼル12は、ピストン5の打撃によって軸方向に所定距離の往復移動が可能になっている。なお、チゼル12は、不図示のロッドピンによって、軸方向での移動が規制され、その往復移動範囲が制限されている。
【0020】
シリンダ部42の先端内面には、ワッシャ22を介してシリンダライナ23が嵌め込まれている。シリンダライナ23の先端内面には、フロントヘッド部41側から侵入したダスト等の異物が、シリンダ1の内面とピストン5との間隙にまで侵入するのを防止するようにダストシール20が設けられている。これにより、シリンダ部42の前側に設置されたダストシール20にて油圧打撃機構内への異物の侵入防止を図っている。
【0021】
ここで、この油圧ブレーカ10の打撃室2は、
図1に示すように、打撃室2の内径を全体として拡大するような加工は施されておらず、ピストン5の外形に対して僅かな隙間を隔てた程度のほぼ同寸法であるものの、打撃室2の内壁面に、油溝30をシリンダ1の軸方向に多段に形成してなる波型形状の段加工がラビリンスシールとして機能するように施されている。
【0022】
図2に要部(打撃室の内壁面の断面)を拡大図示するように、この打撃室2の内壁面には、複数の油溝30として、軸方向に等間隔に並ぶ5つの油溝30が円環状に加工されている。各油溝30は同一の形状とされ、複数段の油溝30が相互の協働によってラビリンスシールとして機能するように相互に隣接して設けられ、軸方向に沿った断面視において波型形状を呈するように形成されている。
【0023】
各油溝30は、軸方向前側に形成された傾斜部31と、軸方向後側に形成された壁面部33と、傾斜部31と壁面部33との間に形成された底部32とを有している。傾斜部31は、ダスト等の異物の侵入方向となる軸方向前側から軸方向後側に向けて打撃室2の内径を拡径するように形成された傾斜面によって形成されている。一方、壁面部33は、油圧打撃機構側となる軸方向後側に形成されるとともに、軸方向に直交する、90°の壁面によって形成されている。底部32は、軸線CLと同軸な円筒面により形成されている。
【0024】
次に、この油圧ブレーカ10の作用・効果について説明する。
この油圧ブレーカ10は、不図示の油圧供給源からコントロールバルブ6を介してシリンダ部42に圧油を供給する。これにより、圧力油の流路がコントロールバルブ6で切り換えられてピストン5が軸線CL上で前後進し、チゼル12が、ピストン5の打撃によって軸方向に所定距離の往復移動を行うことにより、所望の打撃動作を行うことができる。
特に、この油圧ブレーカ10は、自身先端側からチゼル12が挿着されるフロントヘッド部41と、自身内部にシリンダライナ23,24を介してピストン5が摺嵌されるシリンダ部42とが一体構造とされたシリンダ1を有するので、長尺なスルーボルトが不要であり、ボルトの捩れや弛みの問題を解消することができる。
【0025】
ところで、油圧ブレーカを使用した際、破砕作業雰囲気中の粉塵(ダスト)や内蔵部品摩耗粉等の異物が発生する。内蔵部品の摩耗は主に、フロントキャップ4、フロントホルダ9、チゼル12の打撃面等から発生する。
図1に示すように、油圧ブレーカ10の作動時における、ダスト等の異物の油圧ブレーカ10内への侵入経路は、主にチゼル12とフロントキャップ4の嵌合部隙間から侵入して油圧打撃機構側へ流動する。油圧打撃機構内への異物の侵入は、上記ダストシール20によって、ある程度は防止できるものの、ダストが飛散し易い場合など、油圧ブレーカ10の使用条件によってはダストシール20の寿命が短くなるおそれがある。
【0026】
これに対し、上述したように、打撃室の容積を大きくして打撃室中の圧力変化を小さくし、油圧打撃機構側へのダスト等の異物の侵入を抑制する方策が有効であるところ、この油圧ブレーカ10は、シリンダ1が一体構造なので、打撃室2の内径を拡大するための機械加工が困難である。
【0027】
そこで、この油圧ブレーカ10では、打撃室2の内周面に、シリンダ軸方向に複数段に亘って形成された円環状の油溝30をグリスが各油溝30に保持されるように設けた。これにより、この油圧ブレーカ10によれば、グリスが各油溝30に保持され、多段の油溝30が全体として波型をなすことでラビリンスシールとして機能し、ダスト等の異物を油溝30内に滞留させることができる。破砕作業中に侵入したダスト等の異物を多段の油溝30に滞留させることで、シリンダライナ側への異物の侵入を防止または抑制することができる。また、油圧打撃機構側への異物の侵入が防止または抑制されるので、ピストン5とシリンダライナ23,24の接触部での摩耗を抑制することが可能となる。
【0028】
特に、この油圧ブレーカ10によれば、各油溝30が、異物の侵入する側に傾斜部31を設けるとともに、油圧打撃機構側に軸方向に直交する壁面部33を形成しているので、各油溝30内に一度滞留したダスト等の異物が油圧打撃機構側に向けては流出し難く、異物の侵入する側に向けては流出し易い。そのため、油圧打撃機構側への異物の流動を抑制する上で好適であり、また、フロントキャップ4側への異物の排出を促す上で好適である。
【0029】
なお、本発明に係る油圧ブレーカは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しなければ種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、円環状の油溝30が、異物の侵入する側に傾斜部31を設け、油圧打撃機構側に軸方向に直交する壁面部33を形成した例で説明したが、これに限定されず、種々の溝形状を採用することができる。しかし、油圧打撃機構側への異物の流動を抑制し、フロントキャップ4側への異物の排出を促す上では、円環状の油溝30として、異物の侵入する側に上記傾斜部31を設け、油圧打撃機構側に軸方向に直交する上記壁面部33を形成することは好ましい。
【符号の説明】
【0030】
1 シリンダ
2 打撃室
3 バックヘッド
4 フロントキャップ
5 ピストン
6 コントロールバルブ
7 ストローク制御弁
9 フロントホルダ
10 油圧ブレーカ
12 チゼル
20 ダストシール
21 ボルト
22 ワッシャ
23 シリンダライナ(前側)
24 シリンダライナ(後側)
30 油溝
31 傾斜部
32 底部
33 壁面部
41 フロントヘッド部
42 シリンダ部