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特許6017993電力管理装置、通信制御装置、電力管理システム及び電力管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6017993
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】電力管理装置、通信制御装置、電力管理システム及び電力管理方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20161020BHJP
   H04W 4/04 20090101ALI20161020BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20161020BHJP
【FI】
   H02J13/00 301A
   H04W4/04 190
   H04W84/18
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-35899(P2013-35899)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2014-166064(P2014-166064A)
(43)【公開日】2014年9月8日
【審査請求日】2015年11月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】キュリーズ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉谷 尚久
【審査官】 桑江 晃
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−518717(JP,A)
【文献】 特開2010−171917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 13/00 − 13/00,311
H04W 4/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器がルータとして機能する電力管理システムにおいて、前記複数の機器の電力を管理する電力管理装置であって、
前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐しており、
前記複数の機器は、前記複数の分岐転送経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含み、
時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
前記送信部は、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器の数が所定数を超える場合に、前記集中回避制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
互いに異なる第1隣接機器を含むように、前記複数の機器を複数のグループに分類するグルーピング部を備え、
前記送信部は、前記集中回避制御において、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なるグループに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
前記複数のグループのうち、所定数を超える数の機器を含む特定グループが存在しており、
前記特定グループに含まれる機器は、前記特定グループに対応する分岐転送経路において前記電力管理装置に2番目に近い複数の第2隣接機器を含み、
前記グルーピング部は、互いに異なる第2隣接機器を含むように、前記特定グループを細分化することを特徴とする請求項3に記載の電力管理装置。
【請求項5】
前記複数のグループのうち、所定数を下回る数の機器を含む特定グループが存在しており、
前記グルーピング部は、前記複数のグループのいずれかと前記特定グループを統合することを特徴とする請求項3に記載の電力管理装置。
【請求項6】
複数の機器がルータとして機能する通信システムにおいて、前記複数の機器の通信を制御する通信制御装置であって、
前記複数の機器のそれぞれと前記通信制御装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐しており、
前記複数の機器は、前記複数の分岐転送経路のそれぞれにおいて前記通信制御装置に最も近い複数の第1隣接機器を含み、
時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備えることを特徴とする通信制御装置。
【請求項7】
複数の機器と、前記複数の機器の電力を管理する電力管理装置とを備え、前記複数の機器がルータとして機能する電力管理システムであって、
前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐しており、
前記複数の機器は、前記複数の分岐転送経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含み、
前記電力管理装置は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項8】
複数の機器がルータとして機能する電力管理システムにおいて、前記複数の機器の電力を電力管理装置が管理する電力管理方法であって、
前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐しており、
前記複数の機器は、前記複数の分岐転送経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含み、
時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行うステップを備えることを特徴とする電力管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機器を制御する電力管理装置、通信制御装置、電力管理システム及び電力管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、需要家に設けられる負荷及び分散電源などの複数の機器を制御する電力管理装置が知られている。このような電力管理装置のうち、住宅に設けられた機器を制御する装置については、HEMS(Home Energy Management System)などと称する。
【0003】
ここで、複数の機器を制御する方法として、各機器がルータ機能を有していることを前提として、各機器に設けられたルーティングテーブルを用いて、各機器がメッセージを転送する方法(例えば、ZigBee)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
このような方法では、電力管理装置から宛先機器に対してメッセージが送信される場合において、電力管理装置と宛先機器との間の転送経路上に設けられた機器は、電力管理装置から送信されたメッセージを転送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−129085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、電力管理装置は、電力管理装置と宛先機器との間の転送経路上に設けられた機器のうち、電力管理装置に最も近い機器(最隣接機器)に対して、メッセージを送信する。このようなケースにおいて、複数の宛先機器のそれぞれと電力管理装置との間の転送経路上に設けられた最隣接機器が同一である場合には、最隣接機器にトラフィックが集中する。例えば、メッセージが最隣接機器に集中する事態が生じ、メッセージに対するACKが最隣接機器に集中する事態が生じる。
【0007】
このように、最隣接機器に対するトラフィックの集中によって、ネットワーク遅延が生じることがある。また、ネットワーク遅延によって、メッセージ又はメッセージに対するACKを格納するためのバッファの溢れが生じて、メッセージ又はメッセージに対するACKが消失することもある。この結果、電力管理装置と宛先機器との間の通信でエラーが生じることがある。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、最隣接機器に対するトラフィックの集中を回避することを可能とする電力管理装置、通信制御装置、電力管理システム及び電力管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る電力管理装置は、複数の機器がルータとして機能する電力管理システムにおいて、前記複数の機器の電力を管理する。前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。前記複数の機器は、前記複数の分岐経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含む。電力管理装置は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備える。
【0010】
第1の特徴において、前記送信部は、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器の数が所定数を超える場合に、前記集中回避制御を行う。
【0011】
第1の特徴において、電力管理装置は、互いに異なる第1隣接機器を含むように、前記複数の機器を複数のグループに分類するグルーピング部を備える。前記送信部は、前記集中回避制御において、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なるグループに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する。
【0012】
第1の特徴において、前記複数のグループのうち、所定数を超える数の機器を含む特定グループが存在する。前記特定グループに含まれる機器は、前記所定グループに対応する分岐転送経路において前記電力管理装置に2番目に近い複数の第2隣接機器を含む。前記グルーピング部は、互いに異なる第2隣接機器を含むように、前記特定グループを細分化する。
【0013】
第1の特徴において、前記複数のグループのうち、所定数を下回る数の機器を含む特定グループが存在する。前記グルーピング部は、前記複数のグループのいずれかと前記特定グループを統合する。
【0014】
第2の特徴に係る通信制御装置は、複数の機器がルータとして機能する通信システムにおいて、前記複数の機器の通信を制御する。前記複数の機器のそれぞれと前記通信制御装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。前記複数の機器は、前記複数の分岐経路のそれぞれにおいて前記通信制御装置に最も近い複数の第1隣接機器を含む。時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備える。
【0015】
第3の特徴に係る電力管理システムは、複数の機器と、前記複数の機器の電力を管理する電力管理装置とを備え、前記複数の機器がルータとして機能するシステムである。前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。前記複数の機器は、前記複数の分岐経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含む。前記電力管理装置は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備える。
【0016】
第4の特徴に係る電力管理方法は、複数の機器がルータとして機能する電力管理システムにおいて、前記複数の機器の電力を管理する方法である。前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。前記複数の機器は、前記複数の分岐経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含む。時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行うステップを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、最隣接機器に対するトラフィックの集中を回避することを可能とする電力管理装置、通信制御装置、電力管理システム及び電力管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電力管理装置10を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電力管理装置10に設けられたルーティングテーブルの一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態に係るグルーピングの一例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る電力管理方法を示す図である。
図6図6は、変更例1に係るグルーピングの一例を示す図である。
図7図7は、変更例2に係るグルーピングの一例を示す図である。
図8図8は、送信制御例1を説明するための図である。
図9図9は、送信制御例2を説明するための図である。
図10図10は、送信制御例3を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下において、本発明の実施形態に係る電力管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0020】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
[実施形態の概要]
実施形態に係る電力管理装置は、複数の機器がルータとして機能する電力管理システムにおいて、前記複数の機器の電力を管理する。前記複数の機器のそれぞれと前記電力管理装置との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。前記複数の機器は、前記複数の分岐経路のそれぞれにおいて前記電力管理装置に最も近い複数の第1隣接機器を含む。電力管理装置は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う送信部を備える。
【0022】
実施形態では、電力管理装置は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う。すなわち、集中回避制御では、同一の第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信が連続しない、或いは、連続しにくい。従って、最隣接機器に対するトラフィックの集中を回避することができる。
【0023】
[第1実施形態]
(電力管理システムの構成)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムについて説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100を示す図である。
【0024】
図1に示すように、電力管理システム100は、電力管理装置10と、複数の機器20ととを有する。
【0025】
電力管理システム100では、複数の機器20のそれぞれが有するルーティングテーブルを用いて通信が行われる。電力管理システム100で行われる通信は、有線を介して行われてもよく、無線で行われてもよい。
【0026】
電力管理システム100において、下位層(ネットワーク層:OSI参照モデルの第3層)、すなわち、IP/UDP層に係るプロトコルとしては、例えば、ZigBeeを用いることができる。上位層(アプリケーション層:OSI参照モデルの第7層)に係るプロトコルとしては、例えば、メッセージフォーマットを規定するECHONET Liteを用いることができる。
【0027】
電力管理装置10は、複数の機器20の電力を管理する装置である。例えば、住宅に設けられた機器の電力を制御する電力管理装置10については、HEMS(Home Energy Management System)と称される。店舗に設けられた機器の電力を制御する電力管理装置10については、SEMS(Store Energy Management System)と称される。ビルに設けられた機器の電力を制御する電力管理装置10については、BEMS(Building Energy Management System)と称される。工場に設けられた機器の電力を制御する電力管理装置10については、FEMS(Factory Energy Management System)と称される。電力管理装置10の詳細については後述する。
【0028】
機器20は、住宅、店舗、ビル又は工場などの需要家に設けられる機器である。機器20は、例えば、エアーコンディショナー、照明装置、冷蔵庫などのように、電力を消費する装置である。或いは、機器20は、例えば、太陽電池装置、燃料電池装置、蓄電池装置などのように、電力を供給又は蓄積する分散電源である。或いは、機器20は、例えば、各種情報を検出するセンサーである。或いは、機器20は、例えば、ルータ機能のみを有するルータである。
【0029】
各機器20は、宛先アドレスと次アドレスとを対応付けるルーティングテーブルを有しており、ルーティングテーブルを用いてメッセージを転送する機能(ルータ機能)を有する。各機器20は、探索メッセージを定期的にブロードキャスト又はマルチキャストで送信し、探索メッセージに対する応答メッセージを受信することによって、ルーティングテーブルを更新する。
【0030】
これによって、電力管理システム100に新たな機器が接続された場合であっても、ルーティングテーブルを適切な状態に維持することができる。或いは、電力管理システム100に設けられた機器の電源又はルータ機能のオン/オフが行われた場合であっても、ルーティングテーブルを適切な状態に維持することができる。或いは、電力管理システム100で行われる通信が無線を介して行われるケースにおいて、機器が移動した場合であっても、ルーティングテーブルを適切な状態に維持することができる。
【0031】
第1実施形態において、複数の機器20と電力管理装置10との間の転送経路は、複数の分岐転送経路に分岐する。図1に示すケースでは、分岐転送経路は、機器A1を頂点とする転送経路(“A1−A2−A3”及び“A1−A4−A5”)、機器B1を頂点とする転送経路(“B1−B2”)及び機器C1を頂点とする転送経路(“C1−C2−C3”)である。
【0032】
複数の機器20は、複数の分岐経路のそれぞれにおいて電力管理装置10に最も近い複数の第1隣接機器を含む。図1に示すケースでは、第1隣接機器は、機器A1、機器B1及び機器C1である。
【0033】
第1実施形態において、分岐転送経路は、さらに、複数の分岐転送経路に分岐する。図1に示すケースでは、機器A1を頂点とする転送経路は、機器A2を頂点とする転送経路(“A2−A3”)及び機器A4を頂点とする転送経路(“A4−A5”)を有する。
【0034】
ここで、機器A1を頂点とする転送経路上に設けられた機器20は、機器A1を頂点とする転送経路上において電力管理装置10に2番目に近い複数の第2隣接機器(図1に示すケースでは、機器A2及び機器A4)を含む。
【0035】
(電力管理装置)
以下において、第1実施形態に係る電力管理装置について説明する。図2は、第1実施形態に係る電力管理装置10を示す図である。
【0036】
図2に示すように、電力管理装置10は、受信部11と、送信部12と、制御部13とを有する。
【0037】
受信部11は、各機器20からメッセージを受信する。
【0038】
送信部12は、各機器20にメッセージを送信する。詳細には、送信部12は、複数の送信対象機器に対して、時間的に連続してメッセージを送信する。時間的に連続するメッセージの送信とは、1回の送信において1つの送信対象機器に対してメッセージを送信する処理を時間的に連続する処理である。
【0039】
例えば、図1に示すケースにおいて、全ての機器20(10の機器)が送信対象機器である場合には、10回の送信を連続的に行うことによって、10の送信対象機器のそれぞれに対してメッセージを順に送信する。
【0040】
第1実施形態において、送信部12は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う。送信部12は、制御部13の指示に応じて集中回避制御を行う。
【0041】
ここで、集中回避制御が行われない場合には、予め定められた順序でメッセージが送信されることに留意すべきである。予め定められた順序とは、特に限定されるものではないが、メッセージの送信効率等に基づいて定められる。予め定められた順序は、例えば、機器に割り振られた識別番号が若い順、機器に設定された優先度が高い順である。従って、同一の第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続することがある点に留意すべきである。
【0042】
制御部13は、電力管理装置10を制御する。制御部13は、センサの検出結果、系統から購入する電力の料金の変更又はユーザ操作などに応じて、各機器20の電力を制御する。例えば、制御部13は、各機器20の運転モードを制御する。
【0043】
ここで、制御部13は、各機器20と同様に、ルーティングテーブルを有する。ルーティングテーブルは、図3に示すように、宛先アドレス、次アドレス及び距離を対応付けるテーブルである。宛先アドレスは、メッセージの宛先を示すアドレスである。次アドレスは、宛先アドレスに送信すべきメッセージの転送先を示すアドレスである。距離は、自機器と宛先アドレスを有する機器との間の転送経路上の距離(例えば、ホップ数)である。
【0044】
第1実施形態において、制御部13は、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20の数が所定数を超える場合に、集中回避制御の実行を送信部12に指示する。
【0045】
時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20(送信対象機器)は、各機器20の制御内容に応じて制御部13によって抽出される機器20であってもよい。或いは、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20は、電力管理システム100に設けられた全ての機器20であってもよい。
【0046】
電力管理システム100に設けられた複数の機器20の数は、電力管理システム100に接続された機器の数であってもよい。或いは、電力管理システム100に設けられた複数の機器20の数は、電源がオンの機器の数であってもよい。或いは、電力管理システム100に設けられた複数の機器20の数は、ルータ機能がオンの機器の数であってもよい。
【0047】
第1実施形態において、制御部13は、互いに異なる第1隣接機器を含むように、前記複数の機器を複数のグループに分類するグルーピング部を構成する。図1に示すケースでは、複数のグループは、図4に示すように、機器A1(第1隣接機器)を頂点とするグループA(A1、A2、A3、A4、A5)、機器B1(第1隣接機器)を頂点とするグループ(B1、B2)及び機器C1を頂点とするグループ(C1、C2、C3)である。
【0048】
このようなケースにおいて、制御部13は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なるグループに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御の実行を送信部12に指示する。送信部12は、集中回避制御において、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なるグループに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する。
【0049】
例えば、図4に示すケースでは、グループAに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続しないように、グループAに含まれる機器に対するメッセージの送信の後には、グループB又はグループCに含まれる機器に対するメッセージの送信が行われる。例えば、グループA→グループB→グループCの順でメッセージが送信される。
【0050】
(電力管理方法)
以下において、第1実施形態に係る電力管理方法について説明する。図5は、第1実施形態に係る電力管理方法を示すフロー図である。図5は、電力管理装置10が行う処理を示している。
【0051】
図5に示すように、ステップS10において、電力管理装置10は、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20(送信対象機器)を読み出す。
【0052】
上述したように、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20(送信対象機器)は、各機器20の制御内容に応じて制御部13によって抽出される機器20であってもよい。或いは、時間的に連続してメッセージを送信すべき機器20は、電力管理システム100に設けられた全ての機器20であってもよい。
【0053】
ステップS20において、電力管理装置10は、送信対象機器の数が所定数を超えるか否かを判定する。判定結果が“YES”である場合には、電力管理装置10は、ステップS30の処理を行う。判定結果が“NO”である場合には、電力管理装置10は、ステップS40の処理を行う。
【0054】
ステップS30において、電力管理装置10は、複数の機器20を複数のグループに分類する。具体的には、電力管理装置10は、互いに異なる第1隣接機器を含むように、前記複数の機器を複数のグループに分類する
ステップ40において、電力管理装置10は、各機器20(送信対象機器)にメッセージを送信する。
【0055】
ここで、集中回避処理が行われるケース、すなわち、ステップS20の判定結果が“YES”であるケースでは、電力管理装置10は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なるグループに含まれる機器に対するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する。
【0056】
一方で、集中回避処理が行われないケース、すなわち、ステップS20の判定結果が“NO”であるケースでは、電力管理装置10は、時間的に連続するメッセージの送信において、予め定められた順序でメッセージを送信する。このようなケースでは、上述したように、同一の第1隣接機器を経由するメッセージの送信が連続することがある点に留意すべきである。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態では、電力管理装置10は、時間的に連続するメッセージの送信において、互いに異なる第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信が連続するようにメッセージを送信する集中回避制御を行う。すなわち、集中回避制御では、同一の第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信が連続しない、或いは、連続しにくい。従って、最隣接機器に対するトラフィックの集中を回避することができる。
【0058】
第1実施形態では、電力管理装置10は、送信対象機器の数が所定数を超える場合に集中回避制御を行う。従って、最隣接機器に対するトラフィックの集中によってネットワーク遅延等が生じない場合には、予め定められた順序が遵守されるため、メッセージの送信効率の低下等を防ぐことができる。
【0059】
[変更例1]
以下において、第1実施形態に係る変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0060】
変更例1において、電力管理装置10(制御部13)は、複数のグループのうち、所定数を超える数の機器を含む特定グループが存在する場合に、互いに異なる第2隣接機器を含むように、特定グループを細分化する。
【0061】
例えば、図1に示すケースでは、機器A1(第1隣接機器)を頂点とするグループAには、5つの機器(A1、A2、A3、A4、A5)が含まれる。このようなケースにおいて、所定数が“3”である場合には、電力管理装置10は、互いに異なる第2隣接機器(機器A2及び機器A4)を含むように、グループAを細分化する。すなわち、電力管理装置10は、図6に示すように、グループA1(機器A1、機器A2、機器A3)及びグループA2(機器A1、機器A4、機器A5)にグループAを細分化する。
【0062】
これによって、各グループに含まれる機器の数のアンバランスを解消して、同一のグループに含まれる機器に対するメッセージの送信を連続することなく、全ての送信対象機器に対してメッセージを送信することが可能である。
【0063】
[変更例2]
以下において、第1実施形態に係る変更例2について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0064】
変更例2において、電力管理装置10(制御部13)は、複数のグループのうち、所定数を下回る数の機器を含む特定グループが存在する場合に、複数のグループのいずれかと特定グループを統合する。
【0065】
例えば、図7の“統合前”に示すように、機器A1〜機器A3を含むグループA1、機器A4を含むグループA2、機器B1〜機器B2を含むグループB、機器C1〜機器C3を含むグループCが存在するケースについて考える。このようなケースにおいて、所定数が“3”である場合には、電力管理装置10は、図7の“統合後”に示すように、グループA2をグループBと統合する。すなわち、グループBに含まれる機器は、機器B1、機器B2及び機器A4である。
【0066】
これによって、各グループに含まれる機器の数のアンバランスを解消して、同一のグループに含まれる機器に対するメッセージの送信を連続することなく、全ての送信対象機器に対してメッセージを送信することが可能である。
【0067】
[送信制御例1]
以下において、送信制御例1について説明する。図8は、送信制御例1を示す図である。送信制御例1では、同一の第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信において、n−1番目のメッセージに対するACKを受信してから、n番目のメッセージが送信されるケースについて説明する。
【0068】
図8において、メッセージを送信してからACKを受信するまでの時間が“送受信間隔”として記載されている。図8では、複数の送信対象機器の全てに対するメッセージの送信を完了しなければならない周期が制御周期として記載されている。
【0069】
図8において、機器A1〜機器A3は、機器A1を頂点とする分岐転送経路上に設けられる。同様に、機器B1〜機器B3は、機器B1を頂点とする分岐転送経路上に設けられており、機器C1〜機器C3は、機器C1を頂点とする分岐転送経路上に設けられている。
【0070】
第1段階において、送信対象機器は、機器A1〜機器A3、機器B1〜機器B3である。第1段階では、全ての送信対象機器に対するメッセージの送受信が制御周期内で完了している。
【0071】
第2段階において、送信対象機器に対するメッセージの送受信を制御周期内で均等に分配する。これによって、互いに連続する送受信間隔の間に時間的な余裕が生じるため、メッセージ及びACKのネットワーク遅延に対する耐性を持つことができる。
【0072】
第3段階において、送信対象機器として、新たに、機器C1〜機器C3が加わる。このようなケースでは、全ての送信対象機器に対するメッセージの送受信が制御周期内で完了しない。
【0073】
第4段階において、実施形態で説明した集中回避制御を行うことによって、3つのグループを作成する。3つのグループは、グループA(機器A1〜機器A3)、グループB(機器B1〜機器B3)、グループC(機器C1〜機器C3)である。各グループに含まれる第1隣接機器が互いに異なっている。従って、1つのグループに含まれる機器に対して送信されたメッセージのACKを待たずに、他のグループに含まれる機器に対してメッセージを送信しても、1つのグループに含まれる第1隣接機器において、メッセージの転送及びACKの転送が同タイミングで生じない。これによって、全ての送信対象機器に対するメッセージの送受信が制御周期内で完了することができる。
【0074】
第5段階において、送信対象機器に対するメッセージの送受信を制御周期内で均等に分配する。これによって、互いに連続する送受信間隔の間に時間的な余裕が生じるため、メッセージ及びACKのネットワーク遅延に対する耐性を持つことができる。
【0075】
このように、送信対象機器の増加に伴って、第1段階から第5段階の順でメッセージの送信制御を変更することによって、第1隣接機器(最隣接機器)に対するトラフィックの集中を避けながら、全ての送信対象機器に対するメッセージの送受信が制御周期内で完了することができる。また、メッセージ及びACKのネットワーク遅延に対する耐性を向上することができる。
【0076】
[送信制御例2]
以下において、送信制御例2について説明する。図9は、送信制御例2を示す図である。送信制御例2では、同一の第1隣接機器(最隣接機器)を経由するメッセージの送信において、n−1番目のメッセージに対するACKを受信する前に、n番目のメッセージが送信されるケースについて説明する。
【0077】
図9において、機器A1〜機器A3は、機器A1を頂点とする分岐転送経路上に設けられる。同様に、機器B1〜機器B3は、機器B1を頂点とする分岐転送経路上に設けられており、機器C1〜機器C2は、機器C1を頂点とする分岐転送経路上に設けられている。
【0078】
図9の“変更前”に示すように、実施形態で説明した集中回避制御が行われていない場合には、タイミングAにおいて、機器A1から受信するACK及び機器A3に対するメッセージの送信が同時に行われるため、同一の第1隣接機器(例えば、機器A1)でメッセージ及びACKの衝突が生じる。従って、ネットワーク遅延が生じてしまう。
【0079】
これに対して、図9の“変更後”に示すように、実施形態で説明した集中回避制御が行われている場合には、タイミングBにおいて、機器A1から受信するACK及び機器C1に対するメッセージの送信が同時に行われるが、同一の第1隣接機器(例えば、機器A1又は機器C1)でメッセージ及びACKの衝突が生じない。従って、ネットワーク遅延が抑制される。
【0080】
[送信制御例3]
以下において、送信制御例3について説明する。図10は、送信制御例3を示す図である。送信制御例3は、送信制御例2の発展された制御例である。具体的には、ネットワーク遅延に応じて、同一の第1隣接機器を経由するメッセージの転送期間及びACKの転送期間の重複を減少するように、メッセージを送信すべきグループの順序を入れ替える。
【0081】
送信制御例3では、機器A1を頂点とする分岐転送経路で輻輳が生じており、機器A1を頂点とする分岐転送経路上に設けられる機器に対してメッセージを送信してからACKを受信するまでの時間間隔が他の分岐転送経路と比べて長い。
【0082】
図10の“変更前”に示すように、実施形態で説明した集中回避制御が行われていても、タイミングCにおいて、機器A1から受信するACK及び機器A2に対するメッセージの送信が同時に行われるため、同一の第1隣接機器(例えば、機器A1)でメッセージ及びACKの衝突が生じる。従って、ネットワーク遅延が生じてしまう。
【0083】
これに対して、図10の“変更後”に示すように、同一の第1隣接機器を経由するメッセージの転送期間及びACKの転送期間の重複を減少するように、メッセージを送信すべきグループの順序を入れ替える。これによって、タイミングDにおいて、同一の第1隣接機器(例えば、機器A1)でメッセージ及びACKの衝突が生じるが、図10の“変更前”と比べて、同一の第1隣接機器(例えば、機器A1)を経由するメッセージの転送期間及びACKの転送期間の重複が減少する。
【0084】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0085】
実施形態では、複数の機器20の電力を管理する電力管理システム100について例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。具体的には、上述した実施形態は、複数の機器のそれぞれが有するルーティングテーブルを用いて通信が行われる通信システムに適用されてもよい。このようなケースでは、電力管理装置を通信制御装置と読み替えてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10…電力管理装置、11…受信部、12…送信部、13…制御部、20…機器、100…電力管理システム
図1
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