(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018009
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】乗降用スロープ
(51)【国際特許分類】
B60P 1/43 20060101AFI20161020BHJP
B60P 3/00 20060101ALI20161020BHJP
B60R 3/02 20060101ALI20161020BHJP
A61G 3/06 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
B60P1/43 B
B60P3/00 A
B60R3/02
A61G3/06 705
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-78485(P2013-78485)
(22)【出願日】2013年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-201186(P2014-201186A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2015年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000110321
【氏名又は名称】トヨタ車体株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000100791
【氏名又は名称】アイシン軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中川 茂
(72)【発明者】
【氏名】田原 定利
(72)【発明者】
【氏名】野首 福利
(72)【発明者】
【氏名】根尾 正志
【審査官】
川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−239596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/43
B60R 3/00 − 3/04
A61G 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部において車両後方側へ向かって回転可能に支持された固定側パネルと、
前記固定側パネルが車両後方側へ向かって回転された状態で当該固定側パネル上をスライド可能に設けられ、スライドすることにより当該固定側パネルに対して展開又は重合され、固定側パネルに重合された状態で当該固定側パネルと共に起立して前記車両後部に格納される少なくとも1枚の展開側パネルと、
前記展開側パネルが展開された状態で、当該固定側パネル及び展開側パネルの上面に設けられ、当該上面に沿って展開側パネルのスライド方向に対して交差する方向へ延在され当該スライド方向に沿って所定の間隔で複数のリブが設けられたリブ形成領域と、
前記固定側パネルにおける前記展開側パネルのスライド方向に沿った先端部に配置され、前記リブ形成領域に形成されたリブよりも高く立設されて展開側パネルの移動を規制する壁状のストッパと、
前記固定側パネル及び前記展開側パネルが格納された状態で、前記展開側パネルの下端部と対向する前記固定側パネルにおける対向部に設けられ、前記リブが形成されていないリブ非形成領域と、
を有する車両用スロープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の乗降用スロープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗降用スロープは、例えば、特許文献1に示されるように、板状の複数のスロープ部(固定側パネル、展開側パネル)で構成されており、当該スロープ部をスライドさせて伸ばすことによって、スロープ部が車いす等の乗降に使用されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−226186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この乗降用スロープではスロープ部をスライドさせるため、砂等がスロープ部のスライド部位に噛み込むとスロープ部の伸縮動作がし難くなる可能性がある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、格納したときに固定側パネルと展開側パネルの間に入り込んだ砂等を落下させることができる乗降用スロープを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明の乗降用スロープは、車両後部において車両後方側へ向かって回転可能に支持された固定側パネルと、前記固定側パネルが車両後方側へ向かって回転された状態で当該固定側パネル上をスライド可能に設けられ、スライドすることにより当該固定側パネルに対して展開又は重合され、更に固定側パネルに重合された状態で当該固定側パネルと共に起立して前記車両後部に格納される少なくとも1枚の展開側パネルと、前記展開側パネルが展開された状態で、当該固定側パネル及び展開側パネルの上面に設けられ、当該上面に沿って展開側パネルのスライド方向に対して交差する方向へ延在され当該スライド方向に沿って所定の間隔で複数のリブが設けられたリブ形成領域と、
前記固定側パネルにおける前記展開側パネルのスライド方向に沿った先端部に配置され、前記リブ形成領域に形成されたリブよりも高く立設されて展開側パネルの移動を規制する壁状のストッパと、前記固定側パネル及び前記展開側パネルが格納された状態で、前記展開側パネルの下端部と対向する前記固定側パネルにおける対向部に設けられ、前記リブが形成されていないリブ非形成領域と、を有している。
【0007】
請求項1記載の本発明の乗降用スロープでは、車両後部において固定側パネルが車両後方側へ向かって回転可能に支持されている。固定側パネルが車両後方側へ向かって回転された状態で当該固定側パネル上を少なくとも1枚の展開側パネルがスライド可能とされている。つまり、展開側パネルは、固定側パネル上をスライドして当該固定側パネルに対して展開又は重合されるようになっている。
【0008】
展開側パネルが展開された状態で乗降用スロープは使用可能とされ、例えば、車いす等が展開側パネル及び固定側パネル上を移動可能とされる。そして、展開側パネルが固定側パネルに重合された状態で、展開側パネルは固定側パネルと共に起立して車両後部に格納される。
【0009】
また、展開側パネルが展開された状態で、当該固定側パネル及び展開側パネルの上面にはリブ形成領域が設けられている。このリブ形成領域では、固定側パネル及び展開側パネルの上面に沿って、当該展開側パネルのスライド方向に対して交差する方向へリブが延在されており、当該リブは展開側パネルのスライド方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。このため、乗降用スロープが使用可能とされた状態で、展開側パネル及び固定側パネル上を車いす等が移動する際の滑り止めとすることができる。
また、固定側パネルにおいて、展開側パネルのスライド方向に沿った先端部には、リブ形成領域に形成されたリブよりも高く立設された壁状のストッパが形成されており、当該ストッパによって展開側パネルの移動が規制される。
【0010】
ここで、固定側パネル及び展開側パネル(車両用スロープ)が格納された状態で、展開側パネルの下端部と対向する固定側パネルにおける対向部には、リブが形成されていないリブ非形成領域が設けられている。このため、当該対向部において、固定側パネルと展開側パネルとの間にはリブが形成されていない分、固定側パネルと展開側パネルとの間の隙間を広げることができる。
【0011】
これにより、展開側パネル及び固定側パネル上を車いす等が移動した際に当該展開側パネル及び固定側パネル上に砂等が落下したとしても、車両用スロープを格納したときに、固定側パネルと展開側パネルとの間に設けられた隙間を通じて、砂等を展開側パネル及び固定側パネルから落下させることができる。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る乗降用スロープは、格納したときに展開側パネルと固定側パネルの間に入り込んだ砂等を落下させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る乗降用スロープを示す
図5のB部が拡大された状態を示す部分拡大図である。
【
図2】本実施形態に係る乗降用スロープを示す
図5のA部が拡大された状態を示す部分拡大図である。
【
図3】本実施形態に係る乗降用スロープの展開側パネルが展開された状態を示す斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る乗降用スロープの固定側パネル及び展開側パネルが重合された状態を示す断面図である。
【
図5】本実施形態に係る乗降用スロープの固定側パネル及び展開側パネルの格納状態又は展開側パネルの展開状態を示す概略断面図である。
【
図6】本実施形態に係る乗降用スロープが設けられた車両を斜め後方側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて、本発明に係る乗降用スロープの一実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示し、矢印Wは車両幅方向を示している。
【0015】
(乗降用スロープの構成)
図6に示されるように、車両10において、車両後部11を開閉するバックドア12を開放させた状態で乗降用スロープ14が使用可能とされている。この乗降用スロープ14は、例えば、アルミニウム製の矩形状の固定側パネル16と展開側パネル18とを含んで構成されている。
【0016】
固定側パネル16は、車両後部11において車両幅方向に沿って配置された軸部P(
図5参照)を中心に回転可能とされており、固定側パネル16が車両後方側へ向かって回転された状態で当該固定側パネル16上を展開側パネル18が矢印A方向に沿ってスライド可能とされている。
【0017】
図5に仮想線で示されるように、乗降用スロープ14が車両10内に格納された状態では、固定側パネル16及び展開側パネル18は重合されて起立した状態とされ、
図5に実線で示されるように、乗降用スロープ14が使用可能な状態では、固定側パネル16及び展開側パネル18は回動されて展開した状態とされる。
【0018】
図6に示されるように、固定側パネル16及び展開側パネル18は、平面視で矩形状に形成されたパネルとされており、その両側部にはレール部20、22がそれぞれ設けられている。固定側パネル16側のレール部20は、展開側パネル18のレール部22の高さよりも高くなるように形成されており、
図4に示されるように、展開側パネル18が固定側パネル16の上に重合された状態で、レール部22はレール部20内に収容されるようになっている。このレール部20、22を介して、展開側パネル18は、固定側パネル16上をスライドして当該固定側パネル16に対して展開又は重合されるようになっている。
【0019】
そして、
図3に示されるように、固定側パネル16に対して展開側パネル18が展開され乗降用スロープ14が使用可能とされた状態で、展開側パネル18における展開方向(矢印C方向)の先端部が地面24に接触可能とされる。このように、乗降用スロープ14が使用可能とされた状態では、展開側パネル18及び固定側パネル16上を車いす(図示省略)等が移動可能とされ、車いす等を車両後部11(
図6参照)へ収容させることができる。
【0020】
乗降用スロープ14が使用可能とされた状態における固定側パネル16の上面16A及び展開側パネル18の上面18Aには、リブ形成領域26が設けられている。リブ形成領域26では、固定側パネル16、展開側パネル18の幅方向(矢印B方向)に沿ってリブ28が延在されており、当該リブ28は、展開側パネル18のスライド方向(矢印A方向)に沿って所定の間隔で複数設けられている。
【0021】
図2には
図5のA部について拡大された状態を示す部分拡大図が示されている。
図2に示されるように、固定側パネル16及び展開側パネル18には、固定側パネル16、展開側パネル18の幅方向に沿って中空部30がそれぞれ貫通している。これらの中空部30は、展開側パネル18のスライド方向に沿って所定の間隔で複数設けられている。
【0022】
図5に実線で示されるように、展開側パネル18における展開方向(矢印C方向)の先端部には、展開側パネル18の下面18B側において傾斜面32が設けられており、展開側パネル18における展開方向の後端部(矢印C方向と反対側の端部)には、展開側パネル18の上面18A側において傾斜面34が設けられている。
【0023】
展開側パネル18における展開方向の先端部に位置する傾斜面32は、乗降用スロープ14が使用可能とされた状態で、地面24(
図3参照)との間に生じる段差(展開側パネル18の板厚分の段差)をなくすようにして形成されている。
【0024】
また、展開側パネル18の展開方向の後端部と固定側パネル16の先端部(固定側パネル16における矢印C方向に沿った先端部)とは互いに重合されており、展開側パネル18の展開方向の後端部に位置する傾斜面34は、乗降用スロープ14が使用可能とされた状態で、固定側パネル16との間に生じる展開側パネル18の板厚分の段差が小さくなるように形成されている。
【0025】
一方、
図2に示されるように、固定側パネル16の上面16Aにおける固定側パネル16の先端部には、壁状のストッパ36が一体に立設されており、さらにストッパ36の上面16A側の表面にはゴム部材38が設けられている。また、展開側パネル18の展開方向の後端部には、傾斜面34と連設しかつ展開側パネル18の下面18Bからさらに下方へ突出する当接部40が設けられている。
【0026】
この当接部40は、乗降用スロープ14が使用可能とされた状態で、ゴム部材38に当接可能とされており、当該当接部40の縦壁40Cがゴム部材38を介してストッパ36に当接することによって、展開側パネル18が固定側パネル16に対して移動規制されるようになっている。
【0027】
なお、当接部40は、上面40Aに傾斜面32と同一平面上に位置する傾斜面42が形成されており、傾斜面32及び傾斜面42によって、固定側パネル16の上面16Aと展開側パネル18の上面18Aとの間に生じる段差が小さくなるように形成されている。また、傾斜面42にはリブ28と同様のリブ28が複数設けられている。
【0028】
ここで、
図1には
図5のB部について拡大された状態を示す部分拡大図が示されている。
図1に示されるように、乗降用スロープ14が格納された状態で、展開側パネル18の下端部としての当接部40の下面40Bと対向する固定側パネル16の対向部44では、リブ28が形成されていないリブ非形成領域46が設けられている。なお、当接部40の下面40Bと対向部44とは略平行に設けられており、隙間Tの広さは当接部40の上下に亘って略同一に設定されている。
【0029】
(乗降用スロープの作用・効果)
図3に示されるように、乗降用スロープ14が使用可能とされた状態における固定側パネル16の上面16A及び展開側パネル18の上面18Aには、リブ形成領域26が設けられている。このリブ形成領域26では、固定側パネル16及び展開側パネル18の幅方向(矢印B方向)に沿って延在されたリブ28が、展開側パネル18のスライド方向(矢印A方向)に沿って複数設けられている。これらのリブ28によって、展開側パネル18及び固定側パネル16上を車いす(図示省略)等が移動する際の滑り止めとすることができる。
【0030】
ここで、
図1に示されるように、本実施形態では、乗降用スロープ14が格納された状態で、展開側パネル18の当接部40と対向する固定側パネル16の対向部44では、リブ非形成領域46が設けられている。つまり、対向部44には、リブ28が形成されていない。このため、展開側パネル18の当接部40と固定側パネル16の対向部44との間で、リブ28が取り除かれた分、隙間Tを広げることができる。
【0031】
これにより、展開側パネル18及び固定側パネル16上を車いす等が移動した際に当該展開側パネル18及び固定側パネル16上に砂48等の異物が落下したとしても、乗降用スロープ14を格納したとき、当該隙間Tを通じて、砂48等を展開側パネル18及び固定側パネル16から落下させることができる。なお、運転時の振動によっても当該隙間Tを通じて砂48等を展開側パネル18及び固定側パネル16から落下させることができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、固定側パネル16の対向部44において、リブ28が取り除かれることによって、展開側パネル18と固定側パネル16との間の隙間Tを広げることができる。つまり、従来の格納スペースを維持したまま、展開側パネル18と固定側パネル16の間の隙間Tを広げることができる。
【0033】
なお、リブ28は、本実施形態では、固定側パネル16、展開側パネル18の幅方向に沿って(展開側パネル18のスライド方向に対して直交する方向に沿って)形成されているが、当該固定側パネル16、展開側パネル18の幅方向に対して所定角度傾斜した状態で形成されても良い。
【0034】
また、本実施形態では、当接部40の下面40Bは、対向部44と略平行に設けられており、隙間Tの広さは当接部40の上下に亘って略同じとなっているが、当接部40の角部40Dにおいて、図示はしないが、面取り部や角丸め部等を設けても良い。さらに、本実施形態では、乗降用スロープ14は、固定側パネル16及び1枚の展開側パネル18を備えているが、展開側パネル18は複数備わっていても良い。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0036】
10 車両
11 車両後部
14 乗降用スロープ
16 固定側パネル
16A 上面
18 展開側パネル
18A 上面
26 リブ形成領域
28 リブ
40 当接部(展開側パネルの下端部)
44 対向部
46 リブ非形成領域