特許第6018032号(P6018032)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018032レーダ画像判読支援装置及びレーダ画像判読支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018032
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】レーダ画像判読支援装置及びレーダ画像判読支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06T 1/00 20060101AFI20161020BHJP
   G01S 13/90 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G06T1/00 285
   G01S13/90
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-214629(P2013-214629)
(22)【出願日】2013年10月15日
(65)【公開番号】特開2015-79296(P2015-79296A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2015年8月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135771
【氏名又は名称】株式会社パスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下村 博之
(72)【発明者】
【氏名】鵜殿 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】吉川 和男
(72)【発明者】
【氏名】三五 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木村 詩織
【審査官】 村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−181411(JP,A)
【文献】 特開2009−139863(JP,A)
【文献】 特開平06−148321(JP,A)
【文献】 特開2007−248216(JP,A)
【文献】 特開2008−185375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00
G06T 11/60
G01S 7/00 − 7/42
G01S 13/00 − 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありの地図座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありの地図座標の比較画像に変換する歪みあり座標変換部と、
飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標の第1のレーダ画像を変換して得られる幾何歪みありの地図座標の第2のレーダ画像と、前記歪みあり座標変換部で得られた前記比較画像を出力する出力部と、
を備えるレーダ画像判読支援装置。
【請求項2】
幾何歪みありのスラントレンジ座標の前記第1のレーダ画像を、幾何歪みありの地図座標の前記第2のレーダ画像に変換する第1の地図投影部と、を更に備える
請求項1に記載のレーダ画像判読支援装置。
【請求項3】
スラントレンジ座標の幾何歪みありの前記第1のレーダ画像を、幾何歪みなしの地図座標の第3のレーダ画像に変換する第2の地図投影部と、を更に備え、
前記第1の地図投影部は、前記第1のレーダ画像を前記第2のレーダ画像に変換する過程で、前記第1のレーダ画像を前記第2のレーダ画像に変換する第1の変換テーブル及びその逆の変換を行う第1の逆変換テーブルを生成し、
前記第2の地図投影部は、前記第1のレーダ画像を前記第3のレーダ画像に変換する過程で、前記第1のレーダ画像を前記第3のレーダ画像に変換する第2の変換テーブル及びその逆の変換を行う第2の逆変換テーブルを生成し、
前記歪みあり座標変換テーブルは、前記第2の逆変換テーブルと前記第1の変換テーブルから構成される
請求項2に記載のレーダ画像判読支援装置。
【請求項4】
幾何歪みありの地図座標の画像を幾何歪みなしの地図座標の画像に変換する歪みなし座標変換テーブルに基づいて、前記第2のレーダ画像のユーザから指定された領域を、幾何歪みなしの地図座標に変換する歪みなし座標変換部と、を更に備える
請求項3に記載のレーダ画像判読支援装置。
【請求項5】
前記歪みなし座標変換部は、前記第2のレーダ画像又は前記比較画像の前記指定された領域を幾何歪みなしの地図座標に変換した後、地理情報として出力する
請求項4に記載のレーダ画像判読支援装置。
【請求項6】
前記歪みなし座標変換テーブルは、前記第1の逆変換テーブルと前記第2の変換テーブルから構成される
請求項4又は5に記載のレーダ画像判読支援装置。
【請求項7】
幾何歪みなしの地図座標の画像を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の比較画像に変換する歪みあり座標変換部と、
飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像から、前記歪みあり座標変換部で得られた前記比較画像に対する変化域を抽出する抽出部と、
を備えるレーダ画像判読支援装置。
【請求項8】
レーダ画像判読支援装置の歪みあり座標変換部が、幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありの地図座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありの地図座標の比較画像に変換し、
出力部が、飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標の第1のレーダ画像を変換して得られる幾何歪みありの地図座標のレーダ画像と、前記歪みあり座標変換部で得られた前記比較画像を出力する
レーダ画像判読支援方法。
【請求項9】
レーダ画像判読支援装置の歪みあり座標変換部が、幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の比較画像に変換し、
抽出部が、飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像から、前記歪みあり座標変換部で得られた前記比較画像に対する変化域を抽出する
レーダ画像判読支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工衛星等の飛翔体に搭載され、地表を広範囲にわたり観測するレーダ装置により得られるレーダ画像を判読するレーダ画像判読支援装置及びレーダ画像判読支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地表に照射した電波(マイクロ波パルス)の反射波を測定する能動型センサとしてレーダ装置がある。レーダ装置の一例として、例えば合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)がある。合成開口レーダは、マイクロ波の特性を利用して、昼夜、天候に関係なく、広域を面的に観測することができる。
【0003】
合成開口レーダを用いて観測されたレーダ画像(SAR画像)には、レイオーバやフォアショートニングなどの幾何歪みが含まれている。SAR画像を用いて斜面崩壊地等を抽出する際に、地図投影された幾何歪みが補正されていないSAR画像を使用すると、判読性が良いことが知られている。地図投影された幾何歪みが補正されていないSAR画像として、例えばTerraSAR-X衛星の観測データから生成されるSAR画像を地図投影したGEC(Geocoded Ellipsoid Corrected)画像がある。
【0004】
GEC画像は、SAR画像特有の幾何歪みの補正(以下、「オルソ補正」と記す)が行われていないため、既存のGIS(Geographic Information System)情報や航空写真(オルソ補正済み画像)とのマッチング(位置の整合)に問題がある。
【0005】
一方、オルソ補正済み画像(以下、「オルソ画像」と略称する)は、幾何歪みが補正されているが、そのために判読性が著しく落ちるという問題がある。
【0006】
図18AはGEC画像(SAR画像)を示し、図18Bはオルソ画像(SAR画像)を示す。また図19AはGEC画像(SAR画像)を示し、図19Bはオルソ画像(SAR画像)を示す。例えば図18Aに示すGEC画像では、谷底と河川(太線)の位置が一致しないが、図18Bに示すオルソ画像では、谷底と河川(太線)の位置が一致する。しかし、図19AのGEC画像では、土砂崩れ発生地(破線部101)を判読可能であるが、図19Bのオルソ画像では、土砂崩れ発生地に対応する地点(破線部102)は白みがかっており、判読性が悪化している。
【0007】
SAR画像の判読性を向上させるために、SAR画像の解析に際し、観測対象の地域が含まれる光学画像を参照画像として用いてSAR画像と光学画像を比較することが行われている。
【0008】
例えば、SAR/光学観測衛星に搭載されたSARと光学センサとにより地上の同じ地域を観測し、SAR/光学伝送装置によりSARの観測データと光学センサの観測データとを重畳させた重畳データを生成し、重畳データをダウンリンクすることが記載されている(例えば、特許文献1参照。)。地上センタでは、SAR/光学再生装置により重畳データからSAR画像と光学画像とを再生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−236970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
地図に投影された幾何歪みが補正されたSAR画像と光学画像を比較する場合、両画像は地図投影された画像であるためマッチングに問題はないが、斜面崩壊地等の災害発生地を抽出する際の判読性が落ちてしまう。
【0011】
上記の状況から、本発明は、幾何歪みありのレーダ画像上の地表の変化域を容易に判読できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様のレーダ画像判読支援装置は、歪みあり座標変換部と出力部を備える。
歪みあり座標変換部は、幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありの地図座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありの地図座標の比較画像に変換する。
出力部は、飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標の第1のレーダ画像を変換して得られる幾何歪みありの地図座標の第2のレーダ画像と、歪みあり座標変換部で得られた比較画像を出力する。
【0013】
本発明の第2の態様のレーダ画像判読支援装置は、歪みあり座標変換部と抽出部を備える。
歪みあり座標変換部は、幾何歪みなしの地図座標の画像を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の比較画像に変換する。
抽出部は、飛翔体に搭載されたレーダ装置で観測された幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像から、歪みあり座標変換部で得られた比較画像に対する変化域を抽出する。
【0014】
本発明の第1の態様及び第2の態様は、幾何歪みのない地図座標の参照画像が、幾何歪みあり且つ判読対象の幾何歪みありのレーダ画像と同じ座標の比較画像に変換される。この比較画像を用いて、判読対象の幾何歪みありのレーダ画像の判読が行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の少なくとも一つの態様によれば、幾何歪みありのレーダ画像上の地表の変化域を容易に判読できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムの概要を示す構成図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析の概要を示す説明図である。
図3図3Aは衛星SARの飛行方向と観測方向の説明図、図3Bはスラントレンジ座標とグランドレンジ座標を示す説明図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析装置のハードウェアの構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析装置の機能ブロック図である。
図6】再生画像(SAR画像)から地図投影された幾何歪みありのレーダ画像又はオルソ画像への変換を示す説明図である。
図7図7Aはスラントレンジ座標のSAR画像を示し、図7Bはグランドレンジ座標のSAR画像である。
図8図8Aは南行軌道を通る衛星SARから取得したSAR画像を地図投影したときのSAR画像を示し、図8Bは北行軌道を通る衛星SARから取得したSAR画像を地図投影したときのSAR画像を示している。
図9】SAR画像からオルソ画像への変換を示す説明図である。
図10】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析装置のCPUによるデータ解析の手順を示すフローチャートである。
図11】本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析の手順を示す説明図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係るデータ解析の概要を示す説明図である
図13】本発明の第2の実施の形態に係るデータ解析装置の機能ブロック図である。
図14】本発明の第2の実施の形態に係るデータ解析装置のCPUによるデータ解析の手順を示すフローチャートである。
図15】本発明の第2の実施の形態に係るデータ解析の手順を示す説明図である。
図16図16AはSAR画像(オルソ画像)を示し、図16Bは航空写真(オルソ画像)を示す。
図17】GEC画像と比較画像が表示された表示画面の一例である。
図18図18AはGEC画像を示し、図18Bはオルソ画像を示す。
図19図19AはGEC画像を示し、図19Bはオルソ画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0018】
<1.第1の実施の形態>
第1の実施の形態は、地図投影された幾何歪みありのレーダ画像を、幾何歪みのない地図座標の参照画像(例えば、光学画像又は地理情報)を地図投影された幾何歪みありの画像に変換した比較画像と比較することで、地図投影された幾何歪みありのレーダ画像を判読する。以下、レーダ画像の一例としてSAR画像を用いて説明する
【0019】
[データ解析システムの全体構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデータ解析システムの概要を示す構成図である。
図1に示すデータ解析システムは、人工衛星に搭載されたレーダ装置の一例である合成開口レーダ(SAR)を用いて地表3のSAR画像データを取得し、取得したSAR画像データをデータ解析センタ2で解析する。以下、人工衛星に搭載した合成開口レーダを「衛星SAR」と記す。ここでは、レーダ装置を搭載する飛翔体として人工衛星を例示しているが、航空機でもよい。
【0020】
衛星SAR1は、所定の軌道を周回しながら定期的に地表3へマイクロ波パルスを照射し、その反射波を受信して得たデータをSAR画像データとしてデータ解析センタ2へ送信する。
【0021】
データ解析センタ2は、観測計画を行い、その観測計画に基づいた観測指示を含む無線信号を、地上アンテナ4を介して衛星SAR1に送信する。また、衛星SAR1が取得したSAR画像データを、地上アンテナ4を介して受信する。これをデータ解析装置5(レーダ画像判読支援装置の一例)で合成開口処理することにより再生画像を生成する。
【0022】
データ解析装置5による一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、全部又は一部をソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理の全部又は一部をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種の機能を実行するためのプログラムをインストールしたコンピュータにより、実行可能である。例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに所望のソフトウェアを構成するプログラムをインストールして実行させてもよい。
【0023】
[データ解析の概要]
図2は、データ解析装置5により実行されるデータ解析の概要を示す説明図である。
まずデータ解析装置5は、衛星SAR1又はその他から、オルソ補正されていないスラントレンジ座標のレーダ画像11(SAR画像)を取得する。このレーダ画像11を地図座標に変換(地図投影)し、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像12を得る。
【0024】
一方、データ解析装置5は、オルソ補正された幾何歪みなしの地図座標の既存の情報13を、スラントレンジ座標に変換(スラントレンジ化)した後、地図投影し、幾何歪みありの地図座標の既存の情報14を得る。既存の情報13として、例えばGIS情報等の地理情報、航空写真等の光学画像が用いられる。
【0025】
データ解析装置5は、レーダ画像12と既存の情報14を不図示の表示装置に出力する。ユーザは、表示画面に表示されたレーダ画像12を既存の情報14と比較して、レーダ画像12上の地表3の変化域を判読する。そして、ユーザが入力部を操作してデータ解析装置5に判読結果15を入力すると、データ解析装置5は、幾何歪みありの地図座標の判読結果15をスラントレンジ化及びオルソ補正し、幾何歪みなしの地図座標の判読結果16を得る。
【0026】
すなわち本実施の形態では、スラントレンジ座標のレーダ画像11を地図投影したレーダ画像12をユーザが判読する際に、既存の情報13をスラントレンジ化及び地図投影して得られた既存の情報14を参照して判読性を向上させている。
【0027】
図3において、図3Aは衛星SAR1の飛行方向と観測方向の説明図、図3Bはスラントレンジ座標とグランドレンジ座標を示す説明図である。図3A図3Bの原点Oは、人工衛星の鉛直直下にある。
人工衛星の飛行方向(進行方向)に対して直角方向をレンジ方向という。このレンジ方向にはスラントレンジ(視線方向)とグランドレンジがある。
スラントレンジは、人工衛星の飛行方向から直角に対象物に向かう方向である。スラントレンジ座標は、人工衛星(衛星SAR1)と対象物との距離すなわち視線距離を表している。
グランドレンジは、スラントレンジ座標の地表3(楕円体)への投影距離を表している。図3Bでは、スラントレンジ座標の点Aがグランドレンジ座標の点A´に投影されている。
【0028】
[データ解析装置の構成]
図4は、データ解析装置5のハードウェアの構成例を示すブロック図である。この例では、データ解析装置5として汎用のコンピュータを用いている。
【0029】
データ解析装置5のCPU(Central Processing Unit)21は、ROM(Read Only Memory)22、または記録部28に記録されているプログラムに従って、上記一連の処理の他、各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)23には、CPU21が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU21、ROM22、およびRAM23は、バス24により相互に接続されている。
【0030】
CPU21にはまた、バス24を介して入出力インタフェース25が接続されている。入出力インタフェース25には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部26、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部27が接続されている。CPU21は、入力部26から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU21は、処理の結果を出力部27に出力する。
【0031】
入出力インタフェース25に接続されている記録部28は、例えばハードディスクからなり、CPU21が実行するプログラムや各種のデータを記録する。
【0032】
通信部29は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。この通信部29を介してプログラムを取得し、記録部28に記録してもよい。
【0033】
入出力インタフェース25に接続されているドライブ30は、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc - Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc),光磁気ディスク等を含む)、あるいは半導体メモリなどのリムーバブルメディア31が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記録部28に転送され、記録される。
【0034】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、磁気ディスク、光ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア31、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM22や、記録部28を構成するハードディスクなどにより構成される。プログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースである通信部29を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行ってもよい。
【0035】
図5は、第1の実施の形態に係るデータ解析装置5の機能ブロック図である。
データ解析装置5のCPU21は、第1の地図投影部211と、第2の地図投影部212と、歪みあり座標変換部213と、歪みなし座標変換部214を有している。
【0036】
第1の地図投影部211は、通信部29を介して衛星SAR1からレーダ画像データ(SAR画像データ)を取得する。そして、このレーダ画像データから得られるスラントレンジ座標のレーダ画像を地図投影する。すなわち、第1の地図投影部211は、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像(第1のレーダ画像)を、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像(第2のレーダ画像)に変換する。第1の地図投影部211は、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像を、記録部28(図4)に保存し、又は出力部27に送る。
【0037】
また第1の地図投影部211は、スラントレンジ座標のレーダ画像を地図投影する過程で、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像を、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像に変換する第1の変換テーブル211aと、その逆の変換を行う第1の逆変換テーブル211bを生成する。第1の地図投影部211は、生成した第1の変換テーブル211aを歪みあり座標変換部213へ供給し、第1の逆変換テーブル211bを歪みなし座標変換部214へ送る。なお、1つのテーブルで、変換および逆変換を実施しても構わない。
【0038】
図6は、再生画像(SAR画像)から地図投影された幾何歪みありのレーダ画像(GEC画像、右方向)又はオルソ画像(左方向)への変換を示す説明図である。
図6に示すように、第1の地図投影部211は、衛星SAR1から受信したレーダ画像データ(SAR画像データ)に対応する再生画像(SAR画像41)のスラントレンジ座標を、第1の変換テーブル211aに基づいて、グランドレンジ座標に変換した後、さらに地図座標に変換する。これにより、幾何歪みありのスラントレンジ座標のSAR画像41が、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像(GEC画像42)に変換される。GEC画像42は、地図投影されているが、幾何歪みについて未補正のため、光学画像や地理情報とは位置関係が一致しない。
【0039】
図7Aはスラントレンジ座標のSAR画像を示し、図7Bはグランドレンジ座標のSAR画像を示す。
スラントレンジ座標のSAR画像55(図7A)の座標A、座標B、座標Cは、グランドレンジ化により、グランドレンジ座標のSAR画像56(図7B)の座標A´、座標B´、座標C´に変換されている。
【0040】
図8Aは南行軌道を通る衛星SAR1から取得したSAR画像を地図投影したときのSAR画像を示し、図8Bは北行軌道を通る衛星SAR1から取得したSAR画像を地図投影したときのSAR画像を示している。
【0041】
人工衛星は基準面(北極から南極を通る面)に対し軌道傾斜角を持っているため、人工衛星の飛行方向に応じて衛星SAR1の観測領域は経線に対して傾斜する。人工衛星が北から南(南行軌道)へ飛行した場合には、グランドレンジ座標のSAR画像56を地図座標へ変換したSAR画像57a(オルソ画像又はGEC画像)の観測領域は、飛行時間とともに西寄りになる(図8A)。一方、人工衛星が南から北(北行軌道)へ飛行した場合には、グランドレンジ座標のSAR画像56を地図座標へ変換したSAR画像57bの観測領域は、飛行時間とともに西寄りになる(図8B)。図6に例示したGEC画像42及びオルソ画像43は、北行軌道を通った衛星SAR1から取得したSAR画像41を地図投影した画像である。
【0042】
人工衛星(衛星SAR1)の軌道情報(飛行高度、飛行方向、飛行速度、マイクロ波の照射角度及び飛行時刻等)がわかると、衛星SAR1と地表3の観測領域との視線距離(スラントレンジ座標)が求められる。このスラントレンジ座標に基づいて地表3の観測領域のグランドレンジ座標を求める。そして、地表3の観測領域のグランドレンジ座標から地表3の観測領域の緯度及び経度が求まる。最後に、グランドレンジ座標上の地表3の観測領域の頂点の緯度及び経度を、地図座標上の緯度及び経度に変換し、観測領域の全域をグランドレンジ座標から地図座標に変換する。第1の地図投影部211は、このスラントレンジ座標からオルソ補正を伴わない地図座標への変換処理を反映した第1の変換テーブル211aと、その逆変換を行う第1の逆変換テーブル211bを生成する。生成された第1の変換テーブル211aと、第1の逆変換テーブル211bは、記録部28(図4)に保存される。
【0043】
図5の説明に戻る。第2の地図投影部212は、通信部29を介して衛星SAR1から受信したレーダ画像データ(SAR画像データ)に対応するレーダ画像を、オルソ補正及び地図投影する。すなわち、第2の地図投影部212は、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像(第1のレーダ画像)を、幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像(第3のレーダ画像)に変換する。第2の地図投影部212は、幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像を、記録部28(図4)に保存し、又は出力部27に送る。
【0044】
また第2の地図投影部212は、スラントレンジ座標のレーダ画像をオルソ補正及び地図投影する過程で、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像を、幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像に変換する第2の変換テーブル212aと、その逆の変換を行う第2の逆変換テーブル212bを生成する。第2の地図投影部212は、生成した第2の変換テーブル212aを歪みなし座標変換部214へ供給し、第2の逆変換テーブル212bを歪みあり座標変換部213へ供給する。
【0045】
図6に示すように、第2の地図投影部212は、衛星SAR1から受信したレーダ画像データ(SAR画像データ)に対応する再生画像(SAR画像41)のスラントレンジ座標を、第2の変換テーブル212aに基づいて、オルソ補正を行った後、地図座標に変換する。これにより、幾何歪みありのスラントレンジ座標のSAR画像41が、幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像(オルソ画像43)に変換される。また第2の地図投影部212は、第2の逆変換テーブル212bに基づいて、オルソ画像43を再生画像であるSAR画像41に変換する。
【0046】
図9は、SAR画像41からオルソ画像への変換を示す説明図である。この例では、オルソ画像の一例として数値標高モデル(DEM:Digital Elevation Model)を用いて説明している。図9では、数値標高モデルをDEMと記している。
【0047】
人工衛星(衛星SAR1)の軌道情報と数値標高モデル61から得られる仮想的な地表を用いて、衛星SAR1で観測されたSAR画像41の観測領域に対応するスラントレンジ座標のシミュレーション画像62を生成する。数値標高モデル61(オルソ画像)の地図座標とシミュレーション画像62のスラントレンジ座標とを対応づける(処理P1)。
【0048】
次に、生成したシミュレーション画像62の各部のスラントレンジ座標とSAR画像41の各部のスラントレンジ座標とを対応づける(処理P2)。
【0049】
処理P1により数値標高モデル61(オルソ画像)とシミュレーション画像62が対応づけられ、処理P2によりシミュレーション画像62とSAR画像41がそれぞれ対応付けられる。それにより、SAR画像41のスラントレンジ座標と数値標高モデル61(オルソ補正済み)の地図座標とが対応づけられる。すなわち、SAR画像41のスラントレンジ座標とオルソ画像43(図6)の地図座標とが対応づけられる(処理P3)。第2の地図投影部212は、このスラントレンジ座標からオルソ補正済みの地図座標への変換処理を反映した第2の変換テーブル212aと、その逆変換を行う第2の逆変換テーブル212bを生成する。生成された第2の変換テーブル212aと第2の逆変換テーブル212bは、記録部28(図4)に保存される。
【0050】
図5の説明に戻る。歪みあり座標変換部213は、幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありの地図座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像215(図2の既存の情報13に相当)を、幾何歪みありの地図座標の比較画像に変換する。参照画像215として、例えば光学画像又は地理情報が用いられる。すなわち、光学画像又は地理情報のラスタ情報又はベクタ情報が、幾何歪みありの地図座標に変換される。歪みあり座標変換テーブルは、例えば記録部28(図4)に保存されており、第1の変換テーブル211aと第2の逆変換テーブル212bの要素を有する。この例では、歪みあり座標変換部213は、第1の地図投影部211で生成された第1の変換テーブル211aと、第2の地図投影部212で生成された第2の逆変換テーブル212bから歪みあり座標変換テーブルを生成している。歪みあり座標変換部213は、当該比較画像を、記録部28に保存し、又は出力部27に送る。
【0051】
ユーザは、例えば出力部27としての表示装置の表示画面に表示された幾何歪みありの地図座標のレーダ画像を比較画像と比較し、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像(GEC画像42)を判読する。そして、ユーザは、入力部26を操作して、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像上の災害発生地等(判読結果)を歪みなし座標変換部214へ入力する。
【0052】
歪みなし座標変換部214は、幾何歪みありの地図座標の画像を幾何歪みなしの地図座標の画像に変換する歪みなし座標変換テーブルに基づいて、入力部26より入力された判読結果に対応する幾何歪みありの地図座標の画像を、幾何歪みなしの地図座標の画像に変換する。歪みなし座標変換テーブルは、例えば記録部28(図4)に保存されており、第1の逆変換テーブル211bと第2の変換テーブル212aの要素を有する。この例では、歪みなし座標変換部214は、第1の地図投影部211で生成された第1の逆変換テーブル211bと、第2の地図投影部212で生成された第2の変換テーブル212aから歪みあり座標変換テーブルを生成している。歪みなし座標変換部214は、上記判読結果を、記録部28に保存し、又は出力部27に送る。
【0053】
なお、参照画像215を、記録部28(図4)又はリムーバブルディスク31から取得してもよいし、通信部29を介してデータ解析装置5の外部から取得してもよい。
【0054】
[レーダ画像の判読を支援する手順]
次に、レーダ画像の判読を支援する手順を、図10及び図11を参照しながら具体的に説明する。
図10は、データ解析装置5のCPU21によるデータ解析の手順を示すフローチャートである。図11は、データ解析の手順を示す説明図である。
【0055】
まずCPU21は、データ解析装置5が取得したレーダ画像(SAR画像41)を、幾何歪みあり又は幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像に変換するための変換テーブルを生成する(ステップS1)。
【0056】
すなわち、CPU21の第1の地図投影部211は、通信部29を介して衛星SAR1からレーダ画像データ(SAR画像データ)に基づくスラントレンジ座標のSAR画像41を取得する。そして、第1の地図投影部211は、スラントレンジ座標のSAR画像41を地図座標に変換してGEC画像42を生成するとともに、第1の変換テーブル211a及び第1の逆変換テーブル211bを生成する。以下の説明では、第1の変換テーブル211a及び第1の逆変換テーブル211bを、GEC画像変換テーブル50a及びGEC画像逆変換テーブル50bと記している。
【0057】
一方、第2の地図投影部212は、通信部29を介して衛星SAR1からレーダ画像データ(SAR画像データ)に基づくスラントレンジ座標のSAR画像41を取得する。そして、第2の地図投影部212は、スラントレンジ座標のSAR画像41をオルソ補正した後に地図座標に変換してオルソ画像43を生成するとともに、第2の変換テーブル212a及び第2の逆変換テーブル212bを生成する。以下の説明では、第2の変換テーブル212a及び第2の逆変換テーブル212bを、地図座標変換テーブル51a及び地図座標逆変換テーブル51bと記している。
【0058】
次に、CPU21の歪みあり座標変換部213は、歪みあり座標変換テーブル45に基づいて、光学画像又は地理情報等の歪みなしの地図座標の参照画像44を、歪ありの地図座標の比較画像46に変換する(ステップS2)。参照画像44は、既存の情報13(図2)に相当し、例えば記録部28に保存されている、又は通信部29を介して外部から供給される。歪みあり座標変換テーブル45は、地図座標逆変換テーブル51bとGEC画像変換テーブル50aから構成されている。
【0059】
次に、CPU21は、GEC画像42と比較画像46を出力部27に出力する。出力部27としてのディスプレイは、その表示画面にGEC画像42と比較画像46を並べて又は重ね合わせて表示する。ユーザは、表示画面に表示されたGEC画像42を比較画像46と比較することにより、GEC画像42に災害発生地等の変化域があるかどうかを判読する(ステップS3)。
【0060】
ユーザは、入力部26を操作してGEC画像42上の災害発生地を指定し、判読結果47としてGEC画像42上の災害発生地を歪みなし座標変換部214へ入力する。歪みなし座標変換部214は、判読結果47が入力されると、歪みなし座標変換テーブル48に基づいて、GEC画像42上の指定された地点(領域)を、幾何歪みなしの地図座標(判読結果49)に変換する(ステップS4)。歪みなし座標変換テーブル48は、GEC画像逆変換テーブル50bと地図座標変換テーブル51aから構成されている。
【0061】
次に、CPU21は、GEC画像42上の指定された地点(判読結果47)を幾何歪みなしの地図座標に変換した情報(判読結果49)を、地理情報(例えばGIS情報)として出力する(ステップS5)。CPU21は、この判読結果49を地理情報として出力後、この処理を終了する。
【0062】
従来、既存のGIS情報や航空写真を幾何歪みありの地図座標の画像に変換することは実施されていなかった。つまり本実施の形態における、レーダ画像を判読する際に、幾何歪みのない地図座標の参照画像(例えば、航空写真やGIS情報)を幾何歪みありの地図座標の画像に変換した比較画像を参照することは、まったくの新しい試みである。
【0063】
上述した第1の実施の形態は、SAR画像等のレーダ画像(GEC画像42)を判読時に、幾何歪みなしの地図座標の参照画像を幾何歪みありの地図座標の画像に変換した比較画像(比較画像46)を参照し、判読性を向上させることができる。このように、データ解析装置5は、ユーザによるレーダ画像の判読を支援する。
【0064】
それにより、災害発生時に、土砂崩れや河道閉塞等の災害発生地を特定する時間を大幅に短縮することが可能となり、被害の拡大を防ぐことが可能となる。
【0065】
また、幾何歪みありのレーダ画像(GEC画像42)上で発見した災害発生地(比較画像46に対する変化域)等の判読結果を、幾何歪みなしの地図座標に変換することで、判読結果を幾何補正がなされた地図座標の画像に重ね合せることができる。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
第2の実施の形態は、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像を、幾何歪みのない地図座標の参照画像を幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換した比較画像と比較することで、スラントレンジ座標の幾何歪みありのレーダ画像を判読する。以下、レーダ画像の一例としてSAR画像を用いて説明する。
【0067】
[データ解析の概要]
図12は、第2の実施の形態に係るデータ解析装置5により実行されるデータ解析の概要を示す説明図である
まずデータ解析装置5は、衛星SAR1又はその他から、オルソ補正されていないスラントレンジ座標のレーダ画像11(本例ではSAR画像)を取得する。またデータ解析装置5は、幾何歪みなしの地図座標の既存の情報13を、スラントレンジ座標に変換(スラントレンジ化)し、幾何歪みありのスラントレンジ座標の既存の情報71を得る。既存の情報13は、レーダ画像11が生成された日時より古い、災害発生前の画像がよい。
【0068】
データ解析装置5は、レーダ画像11と既存の情報71を比較して、レーダ画像11上の地表3の変化域を抽出する。そして、データ解析装置5は、幾何歪みありのスラントレンジ座標の抽出結果72をオルソ補正し、幾何歪みなしの地図座標の抽出結果73を得る。
【0069】
すなわち本実施の形態では、スラントレンジ座標のレーダ画像11を判読する際に、既存の情報13をスラントレンジ化して得られた既存の情報71を参照して判読性を向上させている。
【0070】
[データ解析装置の構成]
図13は、第2の実施の形態に係るデータ解析装置5Aの機能ブロック図である。 第2の実施の形態に係るデータ解析装置5AのCPU21Aは、第1の実施の形態に係るデータ解析装置5のCPU21(図4)が備える第1の地図投影部211を有していない。すなわち、CPU21Aは、第2の地図投影部212と、歪みあり座標変換部213と、歪みなし座標変換部214と、抽出部216を備える。このデータ解析装置5AのCPU21Aでは、第1の地図投影部211を有していないため、第1の変換テーブル211a及び第1の逆変換テーブル211bを生成しない。
【0071】
CPU21Aは、通信部29を介して衛星SAR1からレーダ画像データ(SAR画像データ)を取得する。そして、このレーダ画像データから得られるスラントレンジ座標のレーダ画像を、記録部28(図4)に保存し、又は出力部27に送る。
【0072】
歪みあり座標変換部213は、幾何歪みなしの地図座標の画像を幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換する歪みあり座標変換テーブルに基づいて、幾何歪みのない地図座標の参照画像215を、幾何歪みありのスラントレンジ座標の比較画像に変換する。参照画像215として、光学画像又は地理情報が用いられる。すなわち、光学画像又は地理情報のラスタ情報又はベクタ情報が、幾何歪みありのスラントレンジ座標に変換される。歪みあり座標変換テーブルは、例えば記録部28(図4)に保存されており、第2の逆変換テーブル212bの要素を有する。歪みあり座標変換部213は、当該比較画像を抽出部216に供給する。または当該比較画像を記録部28に保存し、又は出力部27に送ってもよい。
【0073】
抽出部216は、衛星SAR1から受信した幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像を、歪みあり座標変換部213から供給された比較画像と比較する。そして、抽出部216は、幾何歪みありのスラントレンジ座標のレーダ画像上の変化域(災害発生地等)を抽出する。例えばスラントレンジ座標のレーダ画像の標高情報と、比較画像の標高情報を比較することにより、レーダ画像上の標高が変化した地点が抽出される。そして、抽出部216は、この抽出した地点(抽出結果)に対応する幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像を、歪みなし座標変換部214に供給する。または当該比較画像を記録部28に保存し、又は出力部27に送ってもよい。
【0074】
歪みなし座標変換部214は、幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像を幾何歪みなしの地図座標の画像に変換する歪みなし座標変換テーブルに基づいて、抽出部216から供給される抽出結果に対応する幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像を、幾何歪みなしの地図座標の画像に変換する。歪みなし座標変換テーブルは、例えば記録部28(図4)に保存されており、第2の変換テーブル212aの要素を有する。歪みなし座標変換部214は、幾何歪みなしの地図座標に変換された抽出結果を、記録部28に保存し、又は出力部27に送る。
【0075】
[レーダ画像の判読を支援する手順]
次に、第2の実施の形態に係るレーダ画像の判読を支援する手順を、図14及び図15を参照しながら具体的に説明する。
図14は、第2の実施の形態に係るデータ解析装置5のCPU21Aによるデータ解析の手順を示すフローチャートである。図15は、第2の実施の形態に係るデータ解析の手順を示す説明図である。
【0076】
まずCPU21Aは、データ解析装置5が取得したレーダ画像(SAR画像41)を、幾何歪みなしの地図座標のレーダ画像に変換するための変換テーブルを生成する(ステップS11)。
【0077】
すなわち、CPU21Aの第2の地図投影部212は、通信部29を介して衛星SAR1からレーダ画像データ(SAR画像データ)に基づくスラントレンジ座標のSAR画像41を取得する。そして、第2の地図投影部212は、スラントレンジ座標のSAR画像41をオルソ補正した後に地図座標に変換してオルソ画像43を生成するとともに、第2の変換テーブル212a及び第2の逆変換テーブル212bを生成する。以下の説明では、第2の変換テーブル212a及び第2の逆変換テーブル212bをそれぞれ、地図座標変換テーブル51a及び地図座標逆変換テーブル51bと記している。
【0078】
次に、CPU21Aの歪みあり座標変換部213は、歪みあり座標変換テーブルである第2の逆変換テーブル212b(図15では地図座標逆変換テーブル51b)に基づいて、歪みなしの地図座標の参照画像44を、歪ありのスラントレンジ座標の比較画像46Aに変換する(ステップS12)。
【0079】
次に、CPU21Aの抽出部216は、スラントレンジ座標のSAR画像41と比較画像46Aを比較し、SAR画像41上の変化域を抽出する(ステップS13)。
【0080】
CPU21Aの抽出部216は、SAR画像41上の変化域を抽出結果47Aとして、歪みなし座標変換部214へ入力する。歪みなし座標変換部214は、抽出結果47Aが入力されると、歪みなし座標変換テーブルである第2の変換テーブル212a(図15では地図座標変換テーブル51a)に基づいて、SAR画像41上の指定された地点を、幾何歪みなしの地図座標(抽出結果49A)に変換する(ステップS14)。
【0081】
次に、CPU21Aは、SAR画像41上の指定された地点(抽出結果47A)を幾何歪みなしの地図座標に変換した情報(抽出結果49A)を、地理情報(例えばGIS情報)として出力する(ステップS15)。CPU21Aは、この抽出結果49Aを地理情報として出力後、この処理を終了する。
【0082】
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態における効果に加え、以下のような効果がある。第2の実施の形態によれば、CPU21Aが、SAR画像等のレーダ画像(SAR画像41)を、既存のGIS情報や航空写真を幾何歪みありのスラントレンジ座標の画像に変換した比較画像(比較画像46A)と比較し、自動的に変化域が抽出される。その結果、人間が幾何歪みありのレーダ画像を目視で判読する場合と比較して、判読性を向上させることができる。また、ユーザが目視で判読する場合には、スキルや経験値等に応じてユーザごとに判読結果がばらついてしまうが、CPU21Aが自動的に変化域を抽出するので抽出結果にばらつきがない。このように、データ解析装置5Aは、レーダ画像の判読を支援する。
【0083】
それにより、災害発生時に、土砂崩れや河道閉塞等の災害発生地を特定する時間を大幅に短縮することが可能となり、被害の拡大を防ぐことが可能となる。
【0084】
また、CPU21Aは、スラントレンジ座標のレーダ画像(SAR画像41)を、スラントレンジ座標の歪みありの比較画像46Aと比較している。衛星SAR1から受信するレーダ画像データはスラントレンジに対応しているため、SAR画像と比較画像をスラントレンジ座標で比較することで、CPU21Aによるデータ処理の効率がよい。
【0085】
また、CPU21Aは、スラントレンジ座標のレーダ画像(SAR画像41)を、スラントレンジ座標の歪みありの比較画像46Aと比較するため、スラントレンジ座標のレーダ画像を幾何歪みありの地図座標に変換する処理が不要となり、CPU21Aの処理負荷が軽減される。
【0086】
ここで、図16及び図17に判読対象のレーダ画像と比較画像の例を示す。
図16AはSAR画像(オルソ画像)を示し、図16Bは航空写真(オルソ画像)を示す。図16Bの航空写真では、土砂崩れ発生地(破線部77)が容易に判別できる。一方、図16AのSAR画像は、図19Bに示した画像と同じである。図16AのSAR画像では、図16Bの土砂崩れ発生地(破線部76)に対応する部分(破線部76)の視認性が低下している。
【0087】
図17は、GEC画像42と比較画像46が表示された表示画面の一例である。表示画面に、第1の実施の形態に係るGEC画像42と比較画像46が横に並んで配置されたウィンドウ80が表示されている。ウィンドウ80の左側のGEC画像42の破線部87a,87bは土砂崩れ発生地であり、右側の比較画像46の破線部88a,88bは、破線部87a,87bに対応する土砂崩れ発生地である。ユーザは、ウィンドウ80の右側に表示された比較画像46を参照しながら、左側に表示されたGEC画像42で土砂崩れ発生地を判読する。ユーザは、入力部26を操作して、GEC画像42上の土砂崩れ発生地を破線で囲む、あるいは土砂崩れ発生地を囲むようにカーソルを移動させることで、土砂崩れ発生地を指定することができる。ユーザが指定した土砂崩れ発生地の情報が、判読結果として歪みなし座標変換部214に入力される。
【0088】
ウィンドウ80には、レーダ画像表示用のチェックボックス83と比較画像表示用のチェックボックス85が配置されている。ユーザが、マウスを操作してこれらのチェックボックスにチェックを入れることで、GEC画像42及び比較画像46が表示される。またウィンドウ80には、GEC画像42のデータファイルを選択する複数のチェックボックス84と、比較画像46のデータファイルを選択する複数のチェックボックス86が配置されている。ユーザがこれらのチェックボックス84,85を選択することにより、選択されたデータファイルの画像がウィンドウ80に表示される。
【0089】
なお、ウィンドウ80にGEC画像42と比較画像46を表示するようにしたが、この2画像の表示を第2の実施の形態に適用し、ウィンドウ80の左側にSAR画像41を表示し、右側に比較画像46Aを表示してもよい。例えばCPU21A(図13)は、SAR画像41と比較画像46Aを比較して変化域を抽出している間、SAR画像41と比較画像46Aをウィンドウ80に表示する。これにより、CPU21AがSAR画像41の変化域を抽出する処理と並行して、ユーザが比較画像46Aを参照してSAR画像41の判読を行うことができる。あるいは、CPU21AによるSAR画像41の変化域の抽出結果(災害発生地の位置等)をウィンドウ80に表示してもよい。
【0090】
以上、本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の変形例、応用例を取り得ることは勿論である。
【0091】
例えば、上記した実施の形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態例の構成の一部を他の実施の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態例の構成に他の実施の形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加・置換、削除をすることが可能である。
【0092】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)をも含むものである。
【0093】
また、幾何歪みありの地図座標のレーダ画像としてGEC画像を例示したが、これに限られない。幾何歪みありの地図座標のレーダ画像としては、Cosmo-SkyMed衛星で用いられるLevel 1C、RADARSAT-2で用いられるSSG(Map Image),SPG(Precision Map Image)、ALOS,ALOS-2で用いられるLevel 1.5などが挙げられる。
【符号の説明】
【0094】
1…衛星SAR、 2…データ解析センタ、 3…地表、 4…地上アンテナ、 5…データ解析装置、 11,12…レーダ画像、 13,14…既存の情報、 15,16…判読結果、 21,21A…CPU、 41…SAR画像、 42…GEC画像、 43…オルソ画像、 44…参照画像、 45…歪みあり座標変換テーブル、 46,46A…比較画像、 47,49…判読結果、 47A,49A…抽出結果、 48…歪みなし座標変換テーブル、 50a…地図座標変換テーブル、 50b…地図座標逆変換テーブル、 71…レーダ画像、 72…既存の情報、 73,74…抽出結果、 80…地物情報判読画面、 87…比較画像、 88…SAR画像、 211…第1の地図投影部、 211a…第1の変換テーブル、 211b…第1の逆変換テーブル、 212…第2の地図投影部、 212a…第2の変換テーブル、 212b…第2の逆変換テーブル、 213…歪みあり座標変換部、 214…歪みなし座標変換部、 215…参照画像
図1
図2
図3
図4
図5
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図6
図16
図17
図18
図19