(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、ステッピングモータを定速回転に維持する期間、加速する期間、又は減速する期間の終了を、前記駆動手段の制御ステップ数をカウントすることにより判定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るステッピングモータの制御装置を備えた画像処理装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能、及びプリンタ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機である。
図1を参照して、画像処理装置100は、自動原稿送り装置114、原稿読取部116、画像形成部118、操作部124、給紙部130、及び排紙処理部132を備えている。操作部124は、タッチパネルディスプレイ及び操作キー部(何れも図示せず)を備えている。操作部124は、ユーザによる画像処理装置100に対する指示等の入力を受付ける。
【0017】
図2を参照して、画像処理装置100は、画像処理装置100全体を制御するCPU102と、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)104と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)106と、通電が遮断された場合にもデータを保持する不揮発性記憶装置であるHDD(Hard Disk Drive)108とを備えている。ROM104には、画像処理装置100の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータが記憶されている。
【0018】
画像処理装置100はさらに、バス110、モータ制御部112、画像処理部120、及び画像メモリ122を備えている。モータ制御部112は、自動原稿送り装置114に含まれるモータを制御する。CPU102、ROM104、RAM106、HDD108、モータ制御部112、自動原稿送り装置114、原稿読取部116、画像形成部118、画像処理部120、画像メモリ122、操作部124は、バス110に接続されている。バス110を介して、各部間のデータ(制御情報を含む)交換が行なわれる。
【0019】
CPU102は、バス110を介してROM104からプログラムをRAM106上に読出して、RAM106の一部を作業領域としてプログラムを実行する。即ち、CPU102は、ROM104に格納されているプログラムにしたがって画像処理装置100を構成する各部の制御を行ない、画像処理装置100の各機能を実現する。
【0020】
画像処理装置100は、NIC(Network Interface Card)及びFAXモデム(何れも図示せず)を備えている。NICは、外部のネットワーク(図示せず)に有線又は無線で接続され、画像処理装置100がネットワークを介して外部装置と通信するためのインターフェイスである。FAXモデムは、外部の電話回線(図示せず)に接続され、画像処理装置100が電話回線を介して外部装置とFAX通信するためのインターフェイスである。
【0021】
CPU102は、操作部124に設けられたタッチパネルディスプレイ及び操作キー部のキーに対するユーザの操作を監視し、ユーザの操作にしたがって、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能を実行する。実行する機能に応じて、画像データを生成するために原稿読取部116が使用される。
【0022】
原稿読取部116は、画像を読取るためのCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)と、原稿台、原稿自動送り装置(例えば、両面原稿自動送り装置(RSPF))114にセットされた原稿を検知する原稿検知センサとを備え、原稿を読取って画像データを入力する。画像データは画像メモリ122に一時的に記憶される。画像処理部120は、読取った画像データに対して、種々の画像処理を実行する。画像形成部118は、記録紙に画像データを印刷する。画像形成用の記録紙は給紙部130に保持されており、給紙部130から引出された記録紙は、搬送ローラによって画像形成部118の内部を搬送された後、画像が印刷される。画像データは、必要に応じてHDD108に記憶される。
【0023】
図3を参照して、自動原稿送り装置114は、その奥一辺をヒンジ(図示せず)により画像読取り装置90の奥一辺に枢支され、その手前部分を上下させることにより開閉される。自動原稿送り装置114が開かれたときには、原稿読取部116のプラテンガラス44が開放され、プラテンガラス44上に原稿が載置される。
【0024】
原稿読取部116は、プラテンガラス44、第1走査ユニット45、第2走査ユニット46、結像レンズ47、及びCCD48等を備えている。プラテンガラス44上に載置された原稿を読取る場合、第1走査ユニット45及び第2走査ユニット46が使用される。
【0025】
第1走査ユニット45は、照明装置51及び第1反射ミラー52を備えている。照明装置51は、LEDアレイ77及び導光部材78を備えている。第1走査ユニット45は、副走査方向Yへと原稿サイズに応じた距離だけ一定速度Vで移動しながら、プラテンガラス44上の原稿を照明装置51によって露光し、その反射光を第1反射ミラー52により反射して第2走査ユニット46へと導く。これにより原稿表面の画像(カラー又は白黒の文字、図形、写真などを含む)を副走査方向Yに走査する。
【0026】
第2走査ユニット46は、第2反射ミラー53及び第3反射ミラー54を備えている。第2走査ユニット46は、第1走査ユニット45に追従して速度V/2で移動しつつ、原稿からの反射光を第2及び第3反射ミラー53、54により反射して結像レンズ47へと導く。結像レンズ47は、原稿からの反射光をCCD48に集光して、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。CCD48は、原稿の画像を繰返し主走査方向(
図3の紙面に垂直な方向)に走査し、1回走査する度に、1主走査ラインのアナログ画像信号を出力する。これによって、原稿がスキャンされて、画像データが生成される。
【0027】
原稿読取部116は、プラテンガラス44上の静止原稿だけではなく、自動原稿送り装置114により搬送されている原稿表面の画像を読取ることができる。この場合には、
図3に示すように第1走査ユニット45を原稿読取ガラス84下方の読取領域に移動させ、第1走査ユニット45の位置に応じて第2走査ユニット46を配置する。この状態で、自動原稿送り装置114による原稿の搬送を開始する。
【0028】
自動原稿送り装置114では、ピックアップローラ55を原稿トレイ56上の原稿に押し当てた状態で回転させて1枚の原稿を引き込み、搬送し、原稿の先端をレジストローラ85に突き当てて、原稿の先端を揃えてから、原稿を原稿読取ガラス84と読取ガイド板86との間を通過させ、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
【0029】
原稿の搬送中に、第1走査ユニット45の照明装置51により、原稿読取ガラス84を介して原稿表面を照明し、原稿表面からの反射光を第1及び第2走査ユニット45、46の各反射ミラーにより結像レンズ47へと導き、原稿表面からの反射光を結像レンズ47によりCCD48に集光させ、原稿表面の画像をCCD48上に結像させる。これにより原稿表面の画像を読取る。
【0030】
原稿の裏面を読取る場合には、中間トレイ67をその軸69の周りに、1点鎖線で示すように回転させておき、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する途中で、排紙ローラ58を停止させて、原稿を中間トレイ67上に受ける。この状態で、排紙ローラ58を逆回転させて、反転搬送路68を介して原稿をレジストローラ85へと導いて、原稿の表裏を反転させる。原稿表面の画像の読取と同様に、原稿裏面の画像を読取り、中間トレイ67を、実線で示す元の位置に戻して、原稿を排紙ローラ58から排紙トレイ49へと排出する。
【0031】
自動原稿送り装置114のピックアップローラ55、レジストローラ85及び排紙ローラ58の駆動には、ステッピングモータが使用される。
図4を参照して、自動原稿送り装置114に含まれるステッピングモータ140は、モータ制御部112によって制御される。モータ制御部112は、電源142から所定の電力を供給され、CPU102からの制御信号により制御される。
【0032】
図5を参照して、モータ制御部112は、ステッピングモータを駆動するためのドライバIC150及び周波数切換回路152を含む。ドライバIC150は、ステッピングモータをPWM制御により動作させる制御信号を生成する公知のICであり、例えば、ROHM社製のバイポーラPWM定電流駆動ドライバBD63715EFVである。ステッピングモータをPWM制御により駆動するためのICであれば、これ以外のICであってもよい。
【0033】
ここでは、ドライバIC150が、ローム株式会社製のドライバICBD63715EFVとして説明する。ドライバIC150は、CPU102からの制御信号が入力され、それにより動作条件が設定され、所定周波数の制御信号(Hブリッジ出力)をステッピングモータ140に出力する。
【0034】
ドライバIC150のGND端子は接地される。ドライバIC150のCLK端子、ENABLE端子、CW_CCW端子、及びMODE1端子には、CPU102からの制御信号が入力される。
図5において、入力される制御信号には、ドライバIC150の各端子名と同じ符号を付している。
【0035】
CLK端子には、進相クロック信号が入力される。進相クロック信号CLKの立上り毎に、ステッピングモータを回転させる最小角度である電気角が1つ進む。ENABLE端子は出力イネーブル端子であり、ハイレベルの信号が入力されると、Hブリッジ出力信号OUT1A〜OUT2Bが出力される。CW_CCW端子は、モータの回転方向を設定する端子であり、ローレベルに設定されると右回転(時計方向)用のHブリッジ出力信号が出力され、ハイレベルに設定されると左回転(反時計方向)用のHブリッジ出力信号が出力される。MODE0及びMODE1端子は、ドライバIC150のモータ励磁モードを設定するための端子であり、ハイレベル及びローレベルの組合せで4種類のモードを設定することができる。
図5では、MODE0が接地(ローレベルに設定)されているので、MODE1端子にCPU102から入力される信号のレベルにより、2種類のモードを切換えることができる。
【0036】
VREF端子は出力電流値を設定するための端子であり、
図5では、抵抗R3及びR4により5Vが抵抗分割された一定の値に設定されている。例えば、R3=6.8(kΩ)、R4=1.2(kΩ)に設定される。
【0037】
CR端子は、PWM制御信号の周波数(PWM周波数)を設定するための端子であり、CR端子と接地との間に接続される抵抗及びコンデンサにより、PWM周波数が決定される。
【0038】
周波数切換回路152は、CR端子と接地との間の抵抗値を変化させるための回路である。周波数切換回路152には、CPU102から周波数切換信号CFが入力される。ローレベルの周波数切換信号CFが入力されると、トランジスタTR1はオフであり、CR端子と接地との間には、抵抗R1が接続された状態となる。ハイレベルの周波数切換信号CFが入力されると、トランジスタTR1がオンし、CR端子と接地との間には、抵抗R1及びR2が並列に接続された状態となる。例えば、C1=470(pF)、R1=39(kΩ)、R2=15(kΩ)であれば、周波数切換信号CFがローレベルのとき、PWM周波数は24kHzであり、周波数切換信号CFがハイレベルのとき、PWM周波数は82kHzとなる。周波数切換信号CFがハイレベルのとき、CR端子と接地との間の抵抗値(並列接続されたR1及びR2の合成抵抗値)は、10.8kΩである。
【0039】
RNF1端子及びRNF2端子は、出力電流検出用抵抗接続端子であり、所定の抵抗を介して、接地されている。RNF1S端子及び
RNF2S端子は、ドライバIC150内部の電流検出コンパレータの入力端子である。RNF1端子はRNF1S端子と接続され、RNF2端子は
RNF2S端子と接続されている。
【0040】
OUT1A端子及びOUT1B端子は、ステッピングモータを構成する1つコイルの両端に接続され、OUT2A端子及びOUT2B端子は、ステッピングモータを構成する別のコイルの両端に接続される。ENABLE端子がハイレベルに設定されている間、OUT1A、OUT1B、OUT2A及びOUT2Bの各端子からHブリッジ出力信号が出力され、ステッピングモータ140に入力される。OUT1A、OUT1B、OUT2A及びOUT2B端子の出力信号は、CW_CCW端子のレベルによって決定された回転方向にステッピングモータを回転させる、クロック信号CLKに同期したパルス信号である。OUT1B端子及びOUT2B端子の出力信号はそれぞれ、OUT1A端子及びOUT2A端子の出力信号の反転信号である。
【0041】
なお、ドライバIC150は、
図5に示した端子以外にも端子を備えており、それらは必要に応じて抵抗等を介して、所定のレベルに設定される。
【0042】
図6を参照して、画像処理装置100が所定の機能を実行する場合に、
図5に示したモータ制御部112を用いてステッピングモータ140を制御するプログラムに関して説明する。このプログラムは、自動原稿送り装置114が使用される場合に起動される。
【0043】
ステップ400において、CPU102は、ステッピングモータの駆動を駆動対象物に伝達するために、クラッチの制御信号をハイレベルに設定し、ステッピングモータと制御対象物とを連結する。制御対象物は、上記したように、自動原稿送り装置114のローラである。
【0044】
ステップ402において、CPU102は、ドライバIC150のPWM周波数を第1周波数に設定する。具体的には、CPU102は、周波数切換信号CFをハイレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は82kHzに設定される。また、CPU102は、ドライバIC150に、ステッピングモータ及びその回転方向に応じて、MODE1信号及びCW_CCW信号を所定のレベルに設定する。
【0045】
ステップ404において、CPU102は、ステッピングモータを所定の回転数まで加速させる動作を開始する。具体的には、CPU102は、ドライバIC150に進相クロック信号CLKを入力し、ENABLE信号をハイレベルに設定する。これによって、ドライバIC150は周波数82kHzのHブリッジ出力信号がステッピングモータに出力され、ステッピングモータの回転が加速される。
【0046】
ステップ406において、CPU102は、加速を終了するか否かを判定する。ここでは、ステッピングモータはオープンループ制御され、CPU102は、制御信号のステップ数(CLK信号の数)を、ENABLE信号をハイレベルに設定した時から数え(例えばカウントアップし)、ステップ数が所定の値以上になったか否かを判定する。ステップ数が所定の値以上になったと判定された場合、制御はステップ408に移行する。そうでなければ、ステップ406が繰返される。所定の値は、予め目標の回転速度に応じて設定され、例えばHDD108に記憶されており、CPU102はこれを読出して、判定基準として使用する。なお、所定値からカウントダウンし、ステップ数が0以下になったか否かを判定してもよい。
【0047】
ステップ408において、CPU102は、ドライバIC150のPWM周波数を第2周波数に設定する。具体的には、CPU102は、ENABLE信号をローレベルに設定し、周波数切換信号CFをローレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は、第1周波数(82kHz)よりも低い24kHzに設定される。
【0048】
ステップ410において、CPU102は、ステッピングモータを定速で回転させる。具体的には、CPU102は、ドライバIC150に一定周期の進相クロック信号CLKを入力し、ENABLE信号をハイレベルに設定する。これによって、ドライバIC150から、周波数24kHzのHブリッジ出力信号がステッピングモータに出力され、ステッピングモータの回転速度が維持される。
【0049】
ステップ412において、CPU102は、定速制御を終了するか否かを判定する。定速を維持する時間は、原稿を一定速度で搬送するための期間である。定速を維持する時間が、予めステップ数で設定されている場合、CPU102は、ステップ406と同様に、制御のステップ数を、ENABLE信号をハイレベルに設定した時から数え、ステップ数が所定の値以上になったか否により定速制御を維持するか否かを判定する。定速制御を終了すると判定された場合、制御はステップ414に移行する。そうでなければ、ステップ412が繰返される。
【0050】
ステップ414において、CPU102は、ENABLE信号をローレベルに設定し、ドライバIC150のPWM周波数を第1周波数に設定する。具体的には、CPU102は、周波数切換信号CFをハイレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は82kHzに設定される。
【0051】
ステップ416において、CPU102は、ステッピングモータの回転を減速させる。具体的には、CPU102は、ドライバIC150に進相クロック信号CLKを入力し、ENABLE信号をハイレベルに設定する。これによって、ドライバIC150から、周波数82kHzのHブリッジ出力信号がステッピングモータに出力され、ステッピングモータの回転が減速される。
【0052】
ステップ418において、CPU102は、減速制御を終了するか否かを判定する。CPU102は、制御信号のステップ数を、ENABLE信号をハイレベルに設定した時から数え、ステップ数が所定の値以上になったか否かを判定する。ステップ数が所定の値以上になったと判定された場合、制御はステップ420に移行する。そうでなければ、ステップ418が繰返される。所定の値は、予め目標の回転速度から0まで減速する期間に応じて設定され、例えばHDD108に記憶されており、CPU102はこれを読出して、判定基準として使用する。
【0053】
ステップ4
20において、CPU102は、停止処理を行なう。具体的には、CPU102は、ENABLE信号をローレベルに設定し、本プログラムを停止する。このとき、他の制御信号を初期値に戻してもよい。
【0054】
以上によって、ステッピングモータの回転を開始するとき(加速期間)及び停止するとき(減速期間)に、定速回転時のPWM周波数よりも高いPWM周波数で、ステッピングモータを制御することができる。
【0055】
上記ではステップ420の後、プログラムを終了したが、連続して複数の原稿を搬送する場合には、所定のタイミングで、制御がステップ402に戻るようにし、原稿の枚数だけ、ステップ402〜ステップ420を繰返した後、プログラムを終了してもよい。
【0056】
図7は、上記の制御を示すタイミングチャートである。3つの波形は、上から、給紙クラッチの制御信号、搬送ローラの回転速度、及び周波数切換信号CFのレベルを示す。先ず、給紙クラッチの制御信号がハイレベルに設定され、給紙クラッチが給紙ローラとステッピングモータとを連結する(ステップ400)。期間t0〜t1の間、周波数切換信号CFがハイレベルに設定され、搬送ローラの回転が加速される(ステップ402〜ステップ406)。期間t1〜t2の間、周波数切換信号CFがローレベルに設定され、搬送ローラの定速回転が維持される(ステップ408〜ステップ412)。給紙クラッチは、原稿の取込期間だけ連結されていればよいので、原稿を取込んだ後には、クラッチ制御信号はローレベルに設定され、給紙クラッチの連結が解除される。期間t2〜t3の間、周波数切換信号CFがハイレベルに設定され、搬送ローラの回転が停止するまで減速される(ステップ414〜ステップ418)。その後、必要に応じて同じ処理が繰返され、原稿が搬送される。
【0057】
以下に、従来技術との比較を示し、本発明の有効性を示す。
図8に、
図5と同じステッピングモータのドライバIC150を用いた従来の制御回路を示す。
図8の回路では、
図5から周波数切換回路152をなくし、電流値を制御するための電流切換回路200を追加したものである。ドライバIC150の各端子の意味及び設定される信号レベルは、上記と同じであるので、異なる点のみ説明する。
【0058】
図8の回路においては、CR端子と接地との間に接続された、抵抗R1とコンデンサC1とによって、PWM周波数が固定値に設定される。電流切換回路200の2つのトランジスタTR10及びTR12のオン/オフはそれぞれ、CPU102からの第1電流切換信号VREF1及び第2電流切換信号VREF2によって設定される。第1電流切換信号VREF1がハイレベルに設定され、第2電流切換信号VREF2がローレベルに設定されると、トランジスタTR10がオンし、トランジスタTR12がオフし、VREF端子は、5Vを抵抗R3、R4及びR10(抵抗R4及びR10が並列接続され、それに抵抗R3が直列接続された構成)によって分割された電圧に設定される。第1電流切換信号VREF1がローレベルに設定され、第2電流切換信号VREF2がハイレベルに設定されると、トランジスタTR10がオフし、トランジスタTR12がオンし、VREF端子は、5Vを抵抗R3、R4及びR12(抵抗R4及びR12が並列接続され、それに抵抗R3が直列接続された構成)によって分割された電圧に設定される。
【0059】
したがって、抵抗R10及びR12の抵抗値が異なるようにしておけば、第1電流切換信号VREF1及び第2電流切換信号VREF2を制御することによって、VREF端子のレベルを変更することができ、ドライバIC150の出力電流値を変化させることができる。
【0060】
図9に、
図8の制御回路で、ステッピングモータを制御した場合の電流波形を示す。
図9において、PWM周波数は一定(24kHz)であり、期間t0〜t1及びt2〜t3はステッピングモータの加速期間又は減速期間であり、期間t1〜t2及びt3〜t4はステッピングモータの定速期間である。ステッピングモータの駆動電流に関しては、期間t0〜t1及びt2〜t3の電流値は、期間t1〜t2及びt3〜t4の電流値よりも大きい。具体的には、最大電流値は、加速期間(減速期間)では1.16Aであり、定速期間の1.0Aよりも大きい。加速期間(減速期間)において、最大電流値(1.16A)と最小電流値(0.56A)との差であるリップル電流は0.6Aである。ドライバIC150内の内部抵抗が1Ωであるとすると、電力損失は1.3Wになる。定速期間において、最小電流値は0.48Aである。期間t0〜t1、t2〜t3の実効電流値は0.86A、期間t1〜t2、t3〜t4の実効電流値は0.74Aである。
【0061】
図10に、
図5の制御回路で、ステッピングモータを制御した場合の電流波形を示す。
図10において、期間t0〜t1及びt2〜t3はステッピングモータの加速期間又は減速期間であり、期間t1〜t2及びt3〜t4はステッピングモータの定速期間である。上記したように、期間t0〜t1及びt2〜t3のPWM周波数は、期間t1〜t2、t3〜t4のPWM周波数よりも高い。最大電流値は、期間によらず、加速期間(減速期間)及び定速期間の何れの期間においても、1.0Aで一定である。加速期間(減速期間)では、最小電流値は0.72Aであり、リップル電流は0.28Aである。電力損失は、1.0Wである。定速期間の最小電流値は、0.48Aである。期間t0〜t1及びt2〜t3の実効電流は0.86A、期間t1〜t2及びt3〜t4の実効電流値は0.74Aである。
【0062】
図9と
図10とを比較すると、対応する期間における実効電流値は同じであるが、
図5の回路を用いた結果である
図10の方が、
図8の回路を用いた結果である
図9よりも、ドライバIC150の電力損失が小さくなっている。また、リップル電流値も、
図10の方が、
図9よりも小さく抑えられている。したがって、ドライバIC150によりステッピングモータを駆動する場合、加速期間(減速期間)におけるPWM周波数を、定速期間におけるPWM周波数よりも高くなるように切換える制御方法の方が、電流値を変更する制御方法よりも優れていることが分かる。
【0063】
上記では、ステップ412において、定速制御の終了をステップ数に基づいて判定したが、これに限定されない。例えば、搬送用ローラの近傍に配置された、原稿を検知するセンサからの信号を受けて、定速制御を終了するか否かを判定してもよい。即ち、原稿の後端がローラを通過したことが検出された場合に、定速制御を終了すると判定してもよい。
【0064】
上記では、自動原稿送り装置114に含まれるステッピングモータを制御する場合を説明したが、これに限定されない。画像形成部118、給紙部130及び排紙部処理132に配置された、記録紙を搬送するためのローラを駆動するためのステッピング
モータを、
図5に示したモータ制御部112で制御してもよい。また、原稿読取部116に含まれる第1走査ユニット45及び第2走査ユニット46を駆動するためのステッピングモータを、
図5に示したモータ制御部112で制御してもよい。
【0065】
上記では、画像処理装置100全体を制御するCPU102が、ドライバIC150を制御する場合を説明したが、これに限定されない。CPU102とは別に、ドライバIC150を制御するマイコンを設けてもよい。その場合、マイコンは、CPU102から制御開始の指示を受けて、ドライバIC150を制御すればよい。
【0066】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態に係るステッピングモータの制御装置では、加速期間と減速期間とにおいて、同じPWM周波数でステッピングモータを制御したが、第2の実施の形態では、加速期間と減速期間とにおいて異なるPWM周波数を使用する。
【0067】
本実施の形態に係る画像処理装置は、第1の実施の形態に係る画像処理装置と同様に、
図1〜
図4のように構成されている。モータ制御部112の制御対象は、自動原稿送り装置114に含まれるステッピングモータである。本実施の形態は、第1の実施の形態と異なり、モータ制御部112として、
図5の回路に代えて
図11に示す回路を使用する。
【0068】
図11を参照して、周波数切換回路154は、CR端子と接地との間の抵抗値を変化させるために回路である。周波数切換回路154は、
図5の周波数切換回路152に、トランジスタTR2及び抵抗R5を含む回路部分が追加されて構成されている。ここでは、第1の実施の形態(
図5)と同様に、コンデンサC1は470pFであり、抵抗R1は39kΩであり、抵抗R2は15kΩであるとする。抵抗R5は39kΩであるとする。
【0069】
周波数切換回路154には、CPU102から第1の周波数切換信号CF1及び第2の周波数切換信号CF2が入力され、それぞれトランジスタTR1及びTR2のオン/オフを制御する。
【0070】
ローレベルの第1の周波数切換信号CF1及びローレベルの第2の周波数切換信号CF2が入力されると、トランジスタTR1及びトランジスタTR2はオフする。したがって、CR端子と接地との間には、抵抗R1が接続された状態となる。このとき、PWM周波数は、第1の実施の形態(
図5)と同様に、24kHzになる。
【0071】
ローレベルの第1の周波数切換信号CF1及びハイレベルの第2の周波数切換信号CF2が入力されると、トランジスタTR1はオフし、トランジスタTR2はオンする。したがって、CR端子と接地との間には、抵抗R1及びR5が並列に接続された状態となる。並列接続された抵抗R1及びR5の合成抵抗値は19.5kΩであり、PWM周波数は48kHzになる。
【0072】
ハイレベルの第1の周波数切換信号CF1及びローレベルの第2の周波数切換信号CF2が入力されると、トランジスタTR1はオンし、トランジスタTR2はオフする。したがって、CR端子と接地との間には、抵抗R1及びR2が並列に接続された状態となる。並列接続された抵抗R1及びR2の合成抵抗値は10.8kΩであり、PWM周波数は、第1の実施の形態(
図5)と同じ82kHzになる。
【0073】
このように、第1の周波数切換信号CF1及び第2の周波数切換信号CF2に設定するレベルによって、PWM周波数を変更することができる。
【0074】
図12を参照して、画像処理装置100が所定の機能を実行する場合に、
図11に示したモータ制御部112を用いてステッピングモータ140を制御するプログラムに関して説明する。このプログラムは、自動原稿送り装置114が使用される場合に起動される。
【0075】
図12のフローチャートが、
図6のフローチャートと異なる点は、ステップ402、ステップ408及びステップ414が、それぞれステップ500、ステップ502及びステップ504で代替されている点だけである。
【0076】
ステップ400において、クラッチが制御された後、ステップ500において、CPU102は、ドライバIC150のPWM周波数を第1周波数に設定する。具体的には、CPU102は、第1の周波数切換信号CF1をハイレベルに設定し、第2の周波数切換信号CF2をローレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は82kHz(第1周波数)に設定される。また、CPU102は、ステッピングモータ及びその回転方向に応じて、MODE1信号及びCW_CCW信号を所定のレベルに設定する。
【0077】
ステップ406において、加速期間が終了したと判定された場合、ステップ502において、CPU102は、ドライバIC150のPWM周波数を第2周波数に設定する。具体的には、CPU102は、ENABLE信号をローレベルに設定し、第1の周波数切換信号CF1及び第2の周波数切換信号CF2をローレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は、第1周波数(82kHz)よりも低い24kHz(第2周波数)に設定される。
【0078】
ステップ412において、定速期間が終了したと判定された場合、ステップ504において、CPU102は、ドライバIC150のPWM周波数を第3周波数に設定する。具体的には、ENABLE信号をローレベルに設定し、第1の周波数切換信号CF1をローレベルに設定し、第2の周波数切換信号CF2をハイレベルに設定する。これによって、上記したように、PWM周波数は、第2周波数(24kHz)よりも高く、第1周波数(82kHz)よりも低い48kHz(第3周波数)に設定される。
【0079】
以上によって、ステッピングモータの回転を開始するとき(加速期間)及び停止するとき(減速期間)に、定速回転時のPWM周波数よりも高いPWM周波数で、ステッピングモータを制御することができ、加速期間及び減速期間のPWM周波数を異なる値に設定することができる。ステッピングモータが駆動する対象によっては、加速期間と減速期間とで異なるPWM周波数で制御することが好ましい場合があり、そのような場合に、本実施の形態は有効である。
【0080】
上記では、ステッピングモータの加速期間のPWM周波数が、ステッピングモータの減速期間のPWM周波数よりも高い場合を説明したが、これに限定されない。ステッピングモータの減速期間のPWM周波数が、ステッピングモータの加速期間のPWM周波数よりも高くてもよい。
【0081】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態に係るステッピングモータの制御装置では、ステッピングモータをオープンループ制御し、加速期間の終了を、制御信号のステップ数(CLK信号の数)により判定したが、第3の実施の形態では、ステッピングモータから回転速度の情報をフィードバックし、これによって加速期間の終了を判定する。
【0082】
本実施の形態に係る画像処理装置は、第1の実施の形態に係る画像処理装置と同様に、
図1〜
図3のように構成されている。本実施の形態は、第1の実施の形態と異なり、ステッピングモータの制御装置は、
図4とは異なり、
図13のように構成されている。モータ制御部112は
図11と同じであり、モータ制御部112の制御対象は、自動原稿送り装置114に含まれるステッピングモータである。
【0083】
図13を参照して、ステッピングモータ140には、モータの回転速度を検知するエンコーダ(図示せず)が装着され、ステッピングモータ140の回転速度(rpm)を表すエンコード信号REを出力する。エンコード信号REは、フィードバックライン160を介して、CPU102に入力される。
【0084】
図14を参照して、画像処理装置100が所定の機能を実行する場合に、
図13に示した構成を用いて、ステッピングモータ140を制御するプログラムに関して説明する。このプログラムは、自動原稿送り装置114が使用される場合に起動される。
【0085】
図14のフローチャートが、
図12(第2の実施の形態)のフローチャートと異なる点は、ステップ600及びステップ602が追加され、ステップ406がステップ604で代替されている点だけである。
【0086】
ステップ500において、PWM周波数が第1周波数に設定された後、ステップ600において、CPU102は、後述する判定処理の基準となるエンコード値RE0を、例えばHDD108から読出してRAM106の所定領域に記憶する。エンコード値RE0は、目標とする回転速度から、予め決定されている。
【0087】
ステップ404において、加速制御が開始された後、ステップ602において、CPU102は、ステッピングモータ140からエンコード信号REを取得する。
【0088】
ステップ604において、CPU102は、ステップ602で取得したエンコード信号REの値が、RAM106に記憶した目標エンコード値RE0以下であるか否かを判定する。RE≦RE0であると判定された場合、制御はステップ502に移行する。そうでなければ、制御はステップ602に戻り、ステップ602及びステップ604が繰返される。
【0089】
以上によって、ステッピングモータの加速期間の終了を、ドライバIC150の制御のステップ数をカウントすることなく、ステッピングモータの実際の回転数から判定することができる。
【0090】
上記では、ステッピングモータ140の加速期間の終了の判定に、ステッピングモータ140からのエンコード信号REを使用する場合を説明したが、これに限定されない。ステッピングモータ140の減速期間の終了の判定に、ステッピングモータ140からのエンコード信号REを使用してもよい。
【0091】
上記では、ステッピングモータの回転速度を検知して出力するエンコーダを使用する場合を説明したが、これに限定されない。回転移動量を検出するロータリエンコーダを使用してもよい。その場合、CPU102は、取得したエンコード信号から、モータの回転速度を算出して、加速期間の終了等の判定に使用することができる。
【0092】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。