特許第6018037号(P6018037)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018037圧縮成形装置および型面平行度の調整方法、ダイハイトの調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018037
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】圧縮成形装置および型面平行度の調整方法、ダイハイトの調整方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/32 20060101AFI20161020BHJP
   B29C 43/02 20060101ALI20161020BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B29C43/32
   B29C43/02
   H01L21/56 R
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-246402(P2013-246402)
(22)【出願日】2013年11月28日
(65)【公開番号】特開2015-104812(P2015-104812A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2015年11月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政信
(72)【発明者】
【氏名】平田 滋
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−094931(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0193261(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/047069(WO,A1)
【文献】 特開2013−208908(JP,A)
【文献】 特開2011−005739(JP,A)
【文献】 特開2010−045285(JP,A)
【文献】 特開2013−052404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
B29C 33/00−33/76
B30B 15/00−15/08
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インサート部材を樹脂材料で圧縮成形するためのモールディングユニットと、
前記モールディングユニットに隣接するユニットとを備え、
前記モールディングユニットは、
第1上型と第1下型とを有する第1成形型と、
前記第1成形型に対して上下方向に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型と、
前記第1成形型の前記第1上型を固定する上部固定盤と、
前記上部固定盤の下方に設けられた下部固定盤と、
前記第1成形型の前記第1下型と前記第2成形型の前記第2上型との間に当該両者を固定した状態で設けられ、かつ、前記上部固定盤および前記下部固定盤に対して上下方向に移動可能に設けられた中間プレートと、
前記第2成形型の前記第2下型を固定した状態で設けられ、かつ、前記上部固定盤および前記下部固定盤に対して上下方向に移動可能に設けられたスライドプレートと、
前記第1成形型および前記第2成形型に所要の型締力を加える型締機構と、
前記型締機構の型締力を前記スライドプレートおよび前記中間プレートに伝達する伝達機構と、
前記伝達機構と前記中間プレートとを接続する接続部と、
前記接続部上に設けられ、前記第1成形型および前記第2成形型の型面平行度を調整し、またはダイハイトを調整するための調整機構とを備え、
前記調整機構は、上側部材と、下側部材と、上側部材および下側部材を貫通し、前記上側部材内に位置する第1部分および前記下側部材内に位置する第2部分を有するシャフトとを含み、
前記シャフトの第1部分に第1雄ねじ部が形成され、前記シャフトの第2部分に前記第1雄ねじ部に対して方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第2雄ねじ部が形成され、
前記シャフトを回転させることにより前記上側部材と前記下側部材との隙間を調整して前記型面平行度を調整可能に、または前記ダイハイトを調整可能に構成される、圧縮成形装置。
【請求項2】
前記シャフトは、前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させることが可能であり、前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとを分離せずに前記型面平行度を調整可能にし、または前記ダイハイトを調整可能にした、請求項1に記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記伝達機構はトグルリンク機構から構成され、
前記スライドプレートを移動させる第1リンク部材と、
前記中間プレートを移動させる第2リンク部材と、
前記上部固定盤および前記下部固定盤に対して不動の固定部材に回動可能に接続される第1端と、前記第1リンク部材に回動可能に接続される第2端とを有し、前記第1端と前記第2端との中点の位置において前記第2リンク部材が回動可能に接続される第3リンク部材と、
前記第3リンク部材と前記型締機構とを接続する第4リンク部材とを含む、請求項1または請求項2に記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記隣接するユニットは、
前記第1成形型および前記第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するインロードユニット、
前記第1成形型および前記第2成形型の各々から成形品を取り出す機構と前記成形品を
収容する収容部とを含むアウトロードユニット、および、
他の前記モールディングユニット
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
前記モールディングユニットを複数個備え、
複数個の前記モールディングユニットを互いに着脱可能に設けた、請求項1から請求項3のいずれかに記載の圧縮成形装置。
【請求項6】
モールディングユニットと、前記モールディングユニットに隣接するユニットとを備え、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置の型面平行度を調整する方法であって、
第1上型と第1下型とを有する第1成形型、および、前記第1成形型の下方に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するステップと、
型締機構の型締力を伝達するための伝達機構と、前記第1成形型の前記第1下型と前記第2成形型の前記第2上型との間に設けられた中間プレートとを接続する接続部上に設けられた調整機構を用いて前記第1成形型および前記第2成形型の型面平行度を調整するステップとを備え、
前記型面平行度を調整するステップにおいて、互いに方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とを有するシャフトを、前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させて前記型面平行度を調整する、型面平行度の調整方法。
【請求項7】
前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとを分離せずに前記型面平行度を調整する、請求項6に記載の型面平行度の調整方法。
【請求項8】
モールディングユニットと、前記モールディングユニットに隣接するユニットとを備え、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置のダイハイトを調整する方法であって、
第1上型と第1下型とを有する第1成形型、および、前記第1成形型の下方に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するステップと、
型締機構の型締力を伝達するための伝達機構と、前記第1成形型の前記第1下型と前記第2成形型の前記第2上型との間に設けられた中間プレートとを接続する接続部上に設けられた調整機構を用いて前記第1成形型および前記第2成形型のダイハイトを調整するステップとを備え、
前記ダイハイトを調整するステップにおいて、互いに方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とを有するシャフトを、前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させて前記ダイハイトを調整する、ダイハイトの調整方法。
【請求項9】
前記モールディングユニットと前記隣接するユニットとを分離せずに前記ダイハイトを調整する、請求項8に記載のダイハイトの調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置および圧縮成形装置における型面平行度およびダイハイトを調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップなどを樹脂材料で圧縮成形する場合において、成形品の生産性を向上させることが求められている。圧縮成形装置全体の設置スペースを効率よく向上させることも求められている。
【0003】
このような要請に応えるため、特開2010−94931号公報(特許文献1)に記載の圧縮成形装置では、2個の圧縮成形用金型を積層配置し、2個の金型の各々における上型および下型の型面を閉じ合わせる型開閉手段を設けている。この型開閉手段は、ラックおよびピニオンを含む。特許文献1に記載の圧縮成形装置では、さらに、金型の各々に供給される基板の厚さに対応できる厚さ調整機構が設けられている。
【0004】
前記2個の圧縮成形用金型を積層配置したモールド機構部を有するモールディングユニット(圧縮成形装置)の組み立ては、常温の雰囲気下(冷間状態)で行なわれる。このとき、2個の金型のダイハイト40(後述する図4図14を参照)を合わせる(同じ高さにする)ことが行なわれる。なお、ダイハイト40とは、図4図14)に示すように、個々の圧縮成形用金型の高さ(型締状態の上下両型の高さ)である。
【0005】
しかしながら、このダイハイト40を合わせた2個の圧縮成形用金型を用いて圧縮成形を行なう場合、当該各金型を加熱することになる(熱間状態になる)が、前記2個の圧縮成形用金型を積層配置したモールド機構部を有するモールディングユニット(圧縮成形装置)の各機構及び各部が(それぞれ異なる熱膨張係数で)熱膨張するので、上下配置の2個の圧縮成形用金型のダイハイトが異なるようになってくる。特に、所要複数個のモールディングユニットを配置した圧縮成形装置においては、各モールディングユニットの熱が互いに影響し合うため、この傾向が顕著であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−94931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の圧縮成形装置では、2個の金型の型面平行度を調整するために、或いは、前述したダイハイトの調整をするために、ラックおよびピニオンからなる型開閉機構を分解する必要があり、そのために、モールディングユニットとそれに隣接するユニットとを分離する必要がある。この結果、圧縮成形装置による成形品の生産性の向上を十分に図ることができない。
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の1つの目的は、成形品の生産性の向上が図られた圧縮成形装置および該圧縮成形装置における型面平行度を調整する方法を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、成形品の生産性の向上が図られた圧縮成形装置および該圧縮成形装置におけるダイハイトを調整する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る圧縮成形装置は、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形するためのモールディングユニットと、モールディングユニットに隣接するユニットとを備える。
【0011】
上述のモールディングユニットは、第1上型と第1下型とを有する第1成形型と、第1成形型に対して上下方向に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型と、第1成形型の第1上型を固定する上部固定盤と、上部固定盤の下方に設けられた下部固定盤と、第1成形型の第1下型と第2成形型の第2上型との間に当該両者を固定した状態で設けられ、かつ、上部固定盤および下部固定盤に対して上下方向に移動可能に設けられた中間プレートと、第2成形型の第2下型を固定した状態で設けられ、かつ、上部固定盤および下部固定盤に対して上下方向に移動可能に設けられたスライドプレートと、第1成形型および第2成形型に所要の型締力を加える型締機構と、型締機構の型締力をスライドプレートおよび中間プレートに伝達する伝達機構と、伝達機構と中間プレートとを接続する接続部と、接続部上に設けられ、第1成形型および第2成形型の型面平行度を調整し、またはダイハイトを調整するための調整機構とを備える。
【0012】
上記調整機構は、上側部材と、下側部材と、上側部材および下側部材を貫通し、上側部材内に位置する第1部分および下側部材内に位置する第2部分を有するシャフトとを含み、シャフトの第1部分に第1雄ねじ部が形成され、シャフトの第2部分に第1雄ねじ部に対して方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第2雄ねじ部が形成され、シャフトを回転させることにより上側部材と下側部材との隙間を調整して型面平行度を調整可能に、またはダイハイトを調整可能に構成される。
【0013】
1つの実施態様では、上述の圧縮成形装置において、シャフトは、モールディングユニットと隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させることが可能であり、モールディングユニットと隣接するユニットとを分離せずに型面平行度を調整可能にし、またはダイハイトを調整可能にした。
【0014】
1つの実施態様では、上述の圧縮成形装置において、調整機構はトグルリンク機構から構成され、スライドプレートを移動させる第1リンク部材と、中間プレートを移動させる第2リンク部材と、上部固定盤および下部固定盤に対して不動の固定部材に回動可能に接続される第1端と、第1リンク部材に回動可能に接続される第2端とを有し、第1端と第2端との中点の位置において第2リンク部材が回動可能に接続される第3リンク部材と、第3リンク部材と型締機構とを接続する第4リンク部材とを含む。
【0015】
1つの実施態様では、上述の圧縮成形装置において、隣接するユニットは、第1成形型および第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するインローダユニット、第1成形型および第2成形型の各々から成形品を取り出す機構と成形品を収容する収容部とを含むアウトローダユニット、および、他のモールディングユニットのうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
1つの実施態様では、上述の圧縮成形装置において、モールディングユニットを複数個備え、複数個のモールディングユニットを互いに着脱可能に設ける。
【0017】
本発明に係る型面平行度の調整方法は、モールディングユニットと、モールディングユニットに隣接するユニットとを備え、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置の型面平行度を調整する方法である。
【0018】
上述の方法は、第1上型と第1下型とを有する第1成形型、および、第1成形型の下方に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するステップと、型締機構の型締力を伝達するための伝達機構と第1成形型の前記第1下型と前記第2成形型の前記第2上型との間に設けられた中間プレートとを接続する接続部上に設けられた調整機構を用いて第1成形型および第2成形型の型面平行度を調整するステップとを備える。
【0019】
上述の型面平行度を調整するステップにおいて、互いに方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とを有するシャフトを、モールディングユニットと隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させて型面平行度を調整する。
【0020】
1つの実施態様では、上述の型面平行度の調整方法において、上記モールディングユニットと隣接するユニットとを分離せずに型面平行度を調整する。
【0021】
本発明に係るダイハイトの調整方法は、モールディングユニットと、モールディングユニットに隣接するユニットとを備え、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する圧縮成形装置のダイハイトを調整する方法である。
【0022】
上述の方法は、第1上型と第1下型とを有する第1成形型、および、第1成形型の下方に積層配置され、第2上型と第2下型とを有する第2成形型の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給するステップと、型締機構の型締力を伝達するための伝達機構と、第1成形型の第1下型と第2成形型の第2上型との間に設けられた中間プレートとを接続する接続部上に設けられた調整機構を用いて第1成形型および第2成形型のダイハイトを調整するステップとを備える。
【0023】
上述のダイハイトを調整するステップにおいて、互いに方向およびピッチの少なくとも一方が異なる第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とを有するシャフトを、モールディングユニットと隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から操作し回転させてダイハイトを調整する。
【0024】
1つの実施態様では、上述のダイハイトの調整方法において、モールディングユニットと隣接するユニットとを分離せずにダイハイトを調整する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る圧縮成形装置および型面平行度の調整方法によれば、モールディングユニットとそれに隣接するユニットとが並ぶ方向に直交する方向から調整機構を操作することができるので、モールディングユニットとそれに隣接するユニットとを分離せずに、型面平行度を調整することができ、さらに、ダイハイトを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る圧縮成形装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1に示す圧縮成形装置におけるモールディングユニットを増設した状態を示す図である。
図3図1に示す圧縮成形装置に含まれるモールド機構部(型開状態)の正面図である。
図4図1に示す圧縮成形装置に含まれるモールド機構部(型締状態)の正面図である。
図5】モールド機構部におけるトグルリンク機構の構造(型開状態)を示す拡大図である。
図6】モールド機構部におけるトグルリンク機構の構造(型締状態)を示す拡大図である。
図7】トグルリンク機構におけるリンクの動きについて説明するための図である。
図8】トグルリンク機構の変形例におけるリンクの動きについて説明するための図である。
図9】トグルリンク機構のさらなる変形例におけるリンクの動きについて説明するための図である。
図10】本発明に係る型面平行度の調整方法に用いられる平行度調整機構の構造を示す断面図である。
図11図10に示す平行度調整機構であって、2つの成形型によって成形される部材の厚みの違いを吸収した状態(その1)を示す断面図である。
図12図10に示す平行度調整機構であって、2つの成形型によって成形される部材の厚みの違いを吸収した状態(その2)を示す断面図である。
図13】積層モールド機構部の変形例を示す正面図である。
図14】積層モールド機構部の他の変形例を示す正面図である。
図15】積層モールド機構部の他の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一または相当する部分に同一の参照符号を付し、その説明を繰返さない場合がある。
【0028】
なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本発明にとって必ずしも必須のものではない。
【0029】
図1は、本実施の形態に係る圧縮成形装置の全体構成を示す平面図である。図1に示すように、本実施の形態に係る圧縮成形装置は、たとえば半導体チップが搭載された基板(インサート部材)を樹脂材料で圧縮成形(樹脂封止成形)するモールド機構部1000を含むモールディングユニットAと、モールディングユニットAの成形型にインサート部材を供給するインローダ20を含むインローダユニットBと、モールディングユニットAの成形型から成形品を取り出すアウトローダ30と上記成形品を収容する収容部とを含むアウトローダユニットCとを備える。インローダ20およびアウトローダ30は、図1中の上下方向に移動する。なお、各モールディングユニットAには、成形型の型面平行度を調整するために、後述する調整機構100が設けられている。
【0030】
モールディングユニットAと、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCは、ボルトやピンなどの連結機構を介して、互いに着脱可能に連結されている。図1の例では、モールディングユニットAは2個設けられているが、この個数は生産量に応じて増減調整することが可能である。モールディングユニットAは1つであってもよいし、図2に示すように、たとえば4つに増設されてもよい。
【0031】
また、図1図2の例では、モールディングユニットA、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCがこの順で配設されているが、たとえば、モールディングユニットA、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCが一体となった1つの親機と、モールディングユニットAのみを備えた1つまたは複数の子機とを並べて圧縮成形装置を構成してもよい。
【0032】
なお、図1図2に示す例において、モールディングユニットAに対して手動でインサート部材と樹脂材料とを供給し、成形後の成形品を取り出すようにしてもよい。
【0033】
次に、図3図4を用いて、モールド機構部1000の構造について説明する。図3図4は、各々、モールド機構部1000の型開状態および型締状態を示す正面図である。
【0034】
図3図4に示すように、モールド機構部1000は、上下方向に積層配置された2つの成形型11,12を含む。成形型11は上型11Aおよび下型11Bを含み、成形型12は上型12Aおよび下型12Bを含む。
【0035】
モールド機構部1000は、成形型11の上型11Aを固定する上部固定盤13と、成形型11の上型11Bおよび成形型12の上型12Aを固定する中間プレート14と、成形型12の下型12Bを固定するスライドプレート15と、スライドプレート15の下方に設けられた下部プレート16と、下部プレート16の下方に設けられた下部固定盤17と、中間プレート14と下部プレート16とを連結する連結部材18と、上部固定盤13と下部固定盤17とを連結するポスト19とをさらに含む。
【0036】
中間プレート14およびスライドプレート15は、上部固定盤13および下部固定盤17に対して上下方向に移動可能である。中間プレート14に連結された下部プレート16、および、スライドプレート15は、スライドプレート15の下方に設けられたトグルリンク機構10により上下方向に駆動される。これにより、成形型11,12の型開状態(図3)と型締状態(図4)との切換えが行なわれる。
【0037】
トグルリンク機構10は、スライドプレート15を移動させるリンク部材10A(第1リンク部材)と、リンク部材10Aに対して半分の長さを有し、下部プレート16を介して中間プレート14を移動させるリンク部材10B(第2リンク部材)と、リンク部材10A,10Bが連結されるリンク部材10C(第3リンク部材)と、リンク部材10Cとクロスバー10Eおよびボールねじ10Fとを連結するリンク部材10D(第4リンク部材)とを含む。成形型11,12の型締力は、ボールねじ10Fおよびリンク部材10A〜10Dを介して中間プレート14およびスライドプレート15に伝達される。このとき、中間プレート14が距離L移動するとすると、スライドプレート15は距離2L移動する。これにより、成形型11,12を同時に型締することができる。
【0038】
リンク部材10Cの一方の端部は、下部固定盤17に対して不動の固定部材17Aに回動可能に連結され、リンク部材10Cの他方の端部は、リンク部材10Aに回動可能に連結される。上記一方の端部と上記他方の端部との中点の位置において、リンク部材10Cに対してリンク部材10Bが回動可能に連結される。
【0039】
図1図4に示すモールド機構部1000を用いて、インサート部材を樹脂材料で圧縮成形する際には、まず、成形型11,12の各々にインサート部材と樹脂材料とを供給する。次に、成形型11の上型11Aを固定した状態で、前記スライドプレートの下方に設けられたトグルリンク機構10を用いて、中間プレート14を距離Lだけ移動させるとともに、スライドプレート15を距離2Lだけ移動させ、成形型11,12に所要の型締力を加える。
【0040】
モールド機構部1000の組み立ては、常温の雰囲気下(冷間状態)で行なわれる。このとき、図4に示すように、成形型11,12のダイハイト40(成形型11,12の高さ)を合わせることが行なわれる。
【0041】
このダイハイト40を合わせた成形型11,12を用いて圧縮成形を行なう場合、成形型11,12を加熱することになる(熱間状態になる)。ここで、モールド機構部1000各機構及び各部が、それぞれ異なる熱膨張係数で熱膨張するので、成形型11,12のダイハイトが異なるようになってくる。モールド機構部1000においては、後述する平行度調整機構100を用いてダイハイトを調整する。
【0042】
図5図6は、各々、成形型11,12の型開状態、型締状態におけるトグルリンク機構10の構造を示す拡大図である。成形型11,12に型締力を加えるステップにおいて、図5に示す成形型11,12の型開状態からボールねじ10Fを作動させ、図6に示す型締状態となるまで各リンク部材を回動させる。
【0043】
この時、図7に示すように、スライドプレート15を移動させるリンク部材10Aを含む三角形と、下部プレート16を介して中間プレート14を移動させるリンク部材10Bを含む三角形とが、リンク部材10Cを共通辺とする2:1の比の相似形を保持した状態で変形する。これにより、スライドプレート15を距離2Lだけ移動させながら、中間プレート14を距離Lだけ移動させることができる。
【0044】
上述の圧縮成形装置では、スライドプレート15の下方の空間を有効に利用してトグルリンク機構10を設けているため、モールド機構部1000のフットプリントが小さくなり、圧縮成形装置の小型化を図ることができる。
【0045】
1つの変形例として、図8に示すように、リンク部材10Aの長さおよび移動距離と、リンク部材10Bとの長さおよび移動距離との比を3:1とすることが考えられる。たとえば、成形型11,12の大きさが互いに異なる場合や、成形型11,12で大きさの異なる成形品を成形する場合に、図8の変形例を用いることができる。
【0046】
他の変形例として、図9に示すように、2つの下部プレート161,162およびそれに連結されるリンク部材10B1,10B2を設け、スライドプレート15と合わせて3つの成形型を積層することも考えられる。図9の例では、下部プレート161が距離Lだけ移動する間に、下部プレート162が距離3Lだけ移動し、スライドプレート15が距離4Lだけ移動する。このように、任意の所要数の圧縮成形用の型を積層配置した装置において、リンク部材10Cを所要数に分割し、その分割点から選択した点にリンク部材をピン結合したリンクを利用して、各型を型締めする構成を採用することができる。
【0047】
なお、図3図9において、図示および説明の便宜上、リンク部材10A〜10Dは一本線で描かれているが、実際にはリンク部材10A〜10Dはプレート状の部材である。
【0048】
ところで、本実施の形態に係るモールド機構部1000においては、成形型11,12の型面の平行度を調整するため、4本の連結部材18の各々に平行度調整機構100を設けている。
【0049】
図10は、平行度調整機構の構造を示す断面図である。図10に示すように、平行度調整機構100は、2つに分割された連結部材18A,18Bの各々に取付られる調整部材100A,100Bと、調整部材100A,100Bに跨って設けられるシャフト100Cとを含む。調整部材100A,100Bは、各々、箱体110A,110Bと、蓋体120A,120Bと、ロックナット130A,130Bと、上下移動体140A,140Bと、スプリング150A,150Bと、ねじ部160A,160Bとを含む。シャフト100Cには六角穴部170が形成されている。
【0050】
ロックナット130A,130Bおよび上下移動体140A,140Bは、ねじ部160A,160Bにねじ止めされている。ねじ部160A,160Bは互いにピッチの異なる同方向の雄ねじにより構成される。たとえば、ねじ部160AはM10の雄ねじであり、ねじ部160BはM16の雄ねじである。このように、ピッチの異なる同方向の雄ねじを形成することで、シャフト100Cを回転させたとき、調整部材100A,100B間の隙間(図10に示すG)を調整することができる。シャフト100Cは、六角穴170に六角レンチを差し込むことで回転させることができる。この操作は、たとえば図2中に「微調整」と示した矢印の方向、すなわち、複数のモールディングユニットAが並ぶ方向に直交する方向から行なうことができるので、モールディングユニットAと、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCを分離せずに行なうことが可能である。
【0051】
別の構成として、ねじ部160A,160Bを同径(たとえばM10)で逆方向の雄ねじで構成することもできる。しかし、同方向の雄ねじのピッチ差を利用することで、シャフト100Cの1回転あたりの「隙間Gの調整量」を微小にすることができるので、隙間Gの微小な調整を行なうことが可能となる。
【0052】
複数の平行度調整機構100において調整部材100A,100B間の隙間を調整することにより、成形型11,12における型面平行度の調整を行なうことが可能である。本実施の形態に係る圧縮成形装置では、モールディングユニットAと、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCを分離せずに型面平行度の調整を行なうことができるので、成形品の生産性の向上を十分に図ることが可能となる。
【0053】
また、図1図4の例に示すモールド機構部1000においては、調整機構100が4本のポスト19に対して各別に設けられ、調整機構100が4個設けられている。
【0054】
なお、成形型11,12におけるインサート部品の厚みに違いがある場合(たとえば、異なる部品を成形する場合や、同種の部品であっても、基板ごとの厚みのばらつきがある場合)のために、調整部材100A,100Bにはスプリング150A,150Bが設けられている。図11図12は、成形型11,12によって成形される部材の厚みの違いを吸収した状態を示している。スプリング150A,150Bの弾性変形により、成形型11,12におけるインサート部品の厚みの違いを吸収して、成形型11,12に対して所望の型締力を加えることができる。
【0055】
より具体的に言えば、成形型11,12に供給される部材の厚みに違いがある場合、連結部材18Bはトグルリンク機構10に固定されているため、連結部材18Aに繋がれた中間プレート14が上下動して厚みの違いを吸収する。型締状態に移行するとき、部材が厚い方が先に固定され、薄い方がその後に固定されることになるため、部材の厚みが薄い方の調整部材100A,100B内において隙間41が発生することになる。図11に示す例の場合は、下部調整部材100B側の方がインサート部品の厚さが薄いため、下部調整部材100B側に隙間41が発生している。また、図12に示す例の場合は、上部調整部材100A側の方がインサート部品の厚さが薄いため、下部調整部材100A側に隙間41が発生する。
【0056】
また、調整機構100を用いて、型面平行度の調整と同様にダイハイトを調整することもできる。本実施の形態に係る圧縮成形装置によれば、モールディングユニットA、インローダユニットB、およびアウトローダユニットCを分離せずにダイハイトの調整を行なうことができるので、成形品の生産性の向上を十分に図ることが可能となる。
【0057】
図13は、モールド機構部の変形例を示す図である。図13に示すモールド機構部2000のように、トグルリンク機構10に代えて、加圧機構200ならびにピニオン18αおよびラック18β1,18β2を含む構造が用いられてもよい。加圧機構200は中間プレート14およびそれに連結されたピニオン18αを距離Lだけ移動させ、これに伴ない、ラック18β2およびスライドプレート15は距離2Lだけ移動する。
【0058】
本変形例においても、調整機構100を設けることにより、成形型11,12の型面平行度の調整、またはダイハイトの調整を行なうことが可能である。
【0059】
なお、上述の例では、4本のポスト19および4つの調整機構100を備えた圧縮成形装置について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。たとえば、調整機構100の個数は任意に変更可能である。また、ポスト19の構造も上述のものに限られず、たとえば、図14図15に示すモールド機構部3000のように、成形型11,12の両側に2つのサイドフレーム19Aを備えた構造であってもよい。この場合も、調整機構100は、2つに分割された連結部材18A,18Bの各々に取付られる調整部材100A,100Bと、調整部材100A,100Bに跨って設けられるシャフト100Cとを含む。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0061】
10 トグルリンク機構、10A〜10D リンク部材、10E クロスバー、10F ボールねじ、11,12 成形型、11A,12A 上型、11B,12B 下型、13 上部固定盤、14 中間プレート、15 スライドプレート、16,161,162 下部プレート、17 下部固定盤、17A 固定部材、18 連結部材、18α ピニオン、18β1,18β2 ラック、19 ポスト、19A サイドフレーム、20 インローダ、30 アウトローダ、100 平行度調整機構、100A,100B 調整部材、110A,110B 箱体、120A,120B 蓋体、130A,130B ロックナット、140A,140B 上下移動体、150A,150B スプリング、160A,160B ねじ部、170 六角穴部、200 加圧機構、1000,2000,3000 モールド機構部、A モールディングユニット、B インローダユニット、C アウトローダユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15