(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
7.63、10.04、11.47、14.73、15.21、15.47、16.06、16.67、16.98、18.93、19.96、20.52、20.79、22.80、25.16、26.53、27.20、27.60、29.60、30.23、30.49、30.68、31.14、33.65、34.33、35.29、35.56、36.30、37.36、38.42、38.66度の反射角2θの特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)の多形体型I。
治療的有効量の請求項1に記載の多形体を含み、さらに、担体、賦形剤、希釈剤、添加剤、充填剤、潤滑剤、および結合剤からなる群より選択される薬学的に許容し得る成分を1以上含む、オルトポックスウイルスに対する活性を有する医薬組成物。
請求項1に記載の4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)の結晶多形体型Iの生成方法であって、
a)溶媒にST−246を溶解させて溶液を作るステップと、
b)前記溶液を少なくとも15分間を超えて冷却して、前記ST−246多形体型Iの優先晶出を引き起こすステップと、そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥するステップと、を含み、
ここで、前記溶媒はイソプロピルアルコールまたはエチルアセテートと5%の水とを含み、前記溶液は室温に冷却される、あるいは、前記溶媒はイソプロピルアルコールまたはエチルアセテートと2%の水とを含み、前記溶液は2-5℃に冷却される、方法。
ステップ(b)の実施中に、多形体型Iの4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)の種晶を添加することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
D90%粒径が10ミクロン未満である4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)を200mg含む、経口投与用に製剤化された請求項2に記載の医薬組成物を含む投与単位形態。
4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)が300ミクロンまでの直径のD90%粒径を有する、請求項2に記載の医薬組成物を含む経口投与のための投与単位形態。
4-トリフルオロメチル-N-(3,3a,4,4a,5,5a,6,6a-オクタヒドロ-1,3-ジオキソ-4,6-エテノシクロプロプ[F]イソインドール−2(1H)-イル)-ベンズアミド(ST−246)が5ミクロンの直径のD90%粒径、16.6ミクロンの直径のD90%粒径、26.6ミクロンの直径のD90%粒径、または75ミクロンの直径のD90%粒径を有する、請求項9に記載の経口投与のための投与単位形態。
【発明を実施するための形態】
【0023】
定義
この詳細な説明によれば、以下の略称および定義が適用される。本明細書で用いる場合、単数形の「a、an」および「the」は複数の指示対象を含む。ただし、文脈が明らかに別の旨を指示している場合を除く。
【0024】
本発明におけるST−246の「多形型、多形体、多形体型、結晶形、物理的形態、または結晶多形」という用語はST−246の結晶変態を指し、X線粉末回折パターン(XRPD)、その融点分析による示差走査熱量測定(DSC)、または赤外分光法(FTIR)などの分析法によって特性評価をすることができる。
【0025】
本明細書で用いる場合、「水和物」という用語は、本発明の化合物またはその塩を意味し、これはさらに、非共有結合性の分子間力によって結合された水の化学量論的または非化学量論的な量を含む。水和物は、1分子以上の水と当該物質1分子との組み合わせによって形成され、その中で水は、その分子状態をH
2Oのまま維持する。このような組み合わせは、1以上の水和物を形成することが可能である。「半水和物」という用語は、本明細書で用いられる場合、物質1分子に対してH
2Oが0.5分子の固体を指す。
【0026】
「医薬組成物」または「医薬調合物」という用語は、有効成分(複数可)、担体を構成する薬学的に許容しうる賦形剤を含む製剤のほかに、成分のうち任意の2以上の組み合わせ、錯体形成、または凝集から直接または間接に生じるあらゆる産物をも包含する。従って、本発明の医薬組成物は、有効成分、有効成分の分散系または複合体、追加の有効成分(複数可)、ならびに薬学的に許容しうる賦形剤を混合することによって調製される任意の組成物を包含する。
【0027】
粉末、または粒状体、または液体に分散した粒子の粒径分布(particle size distribution(PSD))は、存在する粒子の相対量を定義する数値リストまたは数学関数であり、粒径に従って分類されている。またPSDは、粒度分布(grain size distribution)としても知られている。複合培地の粒径が直径の分布であることから、結果を伝えるために統計を用いることができる。よく行われる方法は、体積配分に基づいてd10、d50、およびd90の数値を用いることである。それはつまり、粒径分布のそれぞれ10%、50%、および90%が、記載された直径より小さいということである。
【0028】
「投与単位」という用語は、患者に投与する投与形態の一単位を指す。投与単位は通常、投与単位の単回投与で治療効果を得るのに十分な量の薬物を含むように調製されるが、投与形態の大きさが未解決の場合は、所望の治療効果を得るために複数の投与単位が必要なこともある。例えば、単一の投与単位は通常、1錠、1カプセル、または大匙1杯の液体である。この薬物の量が投与形態の大きさに対して物理的な制約を生じる場合は、治療効果を得るのに十分な薬剤を投与するために複数の投与単位が必要となることもある。
【0029】
「半減期」という用語は、体内に残留する薬剤の量を50%除去するのに必要な時間の長さを示すために用いられる薬物動態学用語である。
【0030】
「AUC」(すなわち、「曲線下面積」、「血中濃度曲線下面積」、または「血中濃度−時間曲線下面積」)は、個体のプロットまたは頻繁な間隔で標本抽出した個体の血漿中濃度のプールに基づいて、薬剤の生体利用効率または吸収量を測定する方法を指すために用いる薬物動態学用語である。AUCは、患者の血漿中未変化薬剤の総量に正比例する。例えば、AUC対投与量のプロットに関する線形曲線(すなわち、直線的に上昇する線)は、薬剤が血流中に緩慢に放出され、一定の量で患者に供給されていることを示している。AUC対投与量が直線関係であれば、これは一般に、薬剤が患者の血流に最適に送達されていることを表わす。これに対して、AUC対投与量の曲線が直線でない場合は、薬剤の放出が急速であるため一部が吸収されないか、または血流に入る前に代謝されていることを示す。
【0031】
「C
max」(すなわち、「最大血中濃度」)という用語は、ある特定の薬剤の患者の血漿中での最高濃度を示すために用いる薬物動態学用語である。
【0032】
「T
max」(すなわち、「最大血中濃度到達時間」または「C
max到達時間」)は、薬剤投与の時間的経過過程でC
maxが観察される時間を示すために用いる薬物動態学用語である。予想されるように、速放性成分と胃保持成分とを同時に含むような投与形態では、T
maxが速放性投与形態でのC
maxより大きいが、胃保持成分だけの投与形態のT
maxよりは小さいと考えられる。
【0033】
さて、ST−246がさまざまな結晶形で存在し、型I、型II、型III、型IV、型V、および型VIと命名されていることが明らかになった。
【0034】
いずれの型についても特性評価が十分に実施され、比較性データが作られている。いずれの型も、とりわけ次の方法論による以下の特性評価が示す通りである。
【0035】
物理的実験による方法
X線粉末回折(XRPD)
XYZステージ、位置調整のためのレーザー・ビデオ顕微鏡、およびHiStar面検出器で構成されたBruker D8 Discovery回折系を用いて、回折パターンを収集した。収集時間は、名目上60秒であった。Cu Ka線1.5406管を40kVで操作し、40mAを用いてサンプルを照射した。X線光学は、Gobel鏡と0.5mmピンホールコリメータで構成される。Theta−theta連続読み取りを サンプル検出器距離15cmで採用したが、これによって4〜40°の有効な2θ測定範囲が得られる。サンプルを低バックグラウンド石英プレートに取付けた。一部の実験用には、可変温度ホットステージを用いてサンプルを操作した。
【0036】
ST−246の多形体は、そのX線粉末回折パターン(XRPD)および/またはそのラマン分光法のピークによって特徴づけられる。X線粉末回折に関して言えば、ある多形体のX線粉末回折のピークの相対強度は、パターンの判定に用いる多形体の結晶の大きさによって変化し得る。これは、方位配列の現象である。方位配列は、結晶の形態によって生じる。この場合は、XRPD分析の間はサンプルをサンプルホルダーの中で高速回転させて方位配列の影響を軽減しながら、XRPD分析を実行すればよい。XRPD分析の場合は、ピークの「2θ(2シータ)度(degree of 2θ (two theta))」の角度を単位としてパターンが得られる。
【0037】
相対強度(I/lo)のパーセント値に関して、Ioは、サンプルのすべての「2θ度.」の角度についてXRPDにより決定された最大ピークの値を表わし、Iは、ある「2θ度」の角度で測定されたピークの強度の値を表わす。
【0038】
角度「2θ度」は、入射X線と回折X線との間の角度である回折角である。パーセントで記載されるあるピークの相対強度と「2θ度.」の値が計算される。しかしながら、所定の多形体型の各々に固有であるこのようなX線粉末回折パターンにおいて、一定の角度で重要な大きいピークがある。このようなピークは、結晶サイズが約10〜40ミクロンの多形型の各々のXRPDパターンに存在する。このような大きいピークのいずれもが、単独または任意の特徴的な組み合わせで、多形体型の一つを存在する他の多形型から区別するのに十分である。
【0039】
赤外分光法(FTIR)
Harrick Splitpea(商標)全反射減衰装置を装備したNicolet 510 M-O フーリエ変換赤外分光計を用いて、赤外スペクトルを得た。スペクトルは、4cm
−1の解像度で4000〜400cm
−1から取得し、各分析につき128走査を収集した。
【0040】
結晶形の調製
本発明は、以下のステップを含むST−246の多形型Iの産生方法を提供する:
a)少なくとも1の有機溶媒および溶液を作るための水にST−246を溶解し;
b)前記ST−246多形型Iの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで前記溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)、エチルアセテート、エタノール、メタノール、アセトン、イソプロピルアセテート、およびテトラヒドロフラン(THF)からなる群より選択される。
【0041】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、冷却ステップが少なくとも15分間にわたって実施され、さらに好ましくは、少なくとも2時間にわたって実施され、最も好ましくは、少なくとも5時間にわたって実施される。
【0042】
また好ましくは、有機溶媒はエチルアセテートであり、含水率は溶媒総量の約40容量%であり、さらに好ましくは、溶媒総量の約5容量%であり、さらに好ましくは、溶媒総量の約容量3%であり、最も好ましくは、溶媒総量の約2容量%である。また好ましくは、有機溶媒はアルコールであり、含水率は溶媒総量の約5容量%である。
【0043】
また本発明は、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IIの産生方法も提供する:
a)少なくとも1の溶媒にST−246を溶解して溶液を作り;
b)前記ST−246の多形型IIの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで前記溶媒は、エチルアセテート、クロロホルム、1−プロパノール、イソプロピルアルコール(IPA)エタノール、アセトン、アセトニトリル、トルエン、イソプロピルアセテート、およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群より選択される。
【0044】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IIのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、溶媒は水を含有せず、エチルアセテートおよびクロロホルムからなる群より選択される。
【0045】
本発明はさらに、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IIの産生方法を提供する:
a)ST−246をエタノールおよび水に溶解して溶液を調製し;
b)前記ST−246多形型IIの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥させる。
【0046】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IIのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、エタノール:水の容積比は1:1である。
【0047】
また本発明は、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IIIの産生方法も提供する:
a)少なくとも1の有機溶媒および水にST−246を溶解して溶液を作り;
b)前記ST−246の多形型IIIの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで有機溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)、エチルアセテート、およびエタノールからなる群より選択される。
【0048】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IIIのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、冷却ステップを実施する時間は15分未満である。
【0049】
本発明はさらに、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IIIの産生方法を提供する:
a)少なくとも1の有機溶媒にST−246を溶解して溶液を調製し;
b)前記ST−246多形型IIIの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで有機溶媒は、アセトン、イソプロピルアルコール(IPA)、ジメチルアミン(DMA)、ピリジン、トリフルオロエタノール(TFE)、メタノール、エタノール、クロロホルム、アセトニトリル(ACN)、およびテトラヒドロフラン(THF)からなる群より選択される。
【0050】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IIIのST−246の種結晶を添加することを含む。
【0051】
また本発明は、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IVの産生方法も提供する:
a)任意で水を含有する少なくとも1の有機溶媒にST−246を溶解して溶液を調製し;
b)前記ST−246多形型IVの沈殿物のST−246の結晶形への優先晶出を引き起こす温度まで、前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246を乾燥し、
ここで前記溶媒は、アセトニトリルとエチルアセテートとの混合物、エタノールとトルエンとの混合物、水とエチルアセテートとの混合物、およびトリフルオロエタノールとTHFとの混合物からなる群より選択される。
【0052】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に多形型IVのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、溶媒は、ACNとエチルアルコールの容積比約1:4の混合物、エタノールとトルエンの容積比約1:4の混合物;水とエチルアセテートの容積比約1:4の混合物、およびTFEとTHFの容積比約1:1の混合物である
【0053】
本発明はさらに、以下のステップを含むST−246の結晶多形型IVの産生方法を提供する:
a)少なくとも1の溶媒にST−246を溶解して溶液を調製し;
b)前記ST−246多形型IVの優先晶出を引き起こす温度までST−246を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで前記溶媒は、1−ブタノール、トリフルオロエタノール(TFE)、クロロホルム、ジクロロメタン、およびトルエンからなる群より選択される。
【0054】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に、多形型IVのST−246の種結晶を添加するステップを含む。また好ましくは、溶媒は水を含有しない。また好ましくは、溶媒は1−ブタノールである。
【0055】
また本発明は、以下のステップを含むST−246の結晶多形型VIの産生方法を提供する:
a)少なくとも1の溶媒にST−246を溶解して溶液を調製し;
b)前記ST−246多形型VIの優先晶出を引き起こす温度まで前記溶液を冷却し;そして
c)任意で、形成されたST−246の結晶を乾燥し、
ここで前記溶媒は、ニトロメタン、メタノール、およびクロロホルムからなる群より選択される。
【0056】
好ましくは、本方法はさらに、ステップ(b)の実施中に、多形型VIのST−246の種結晶を添加することを含む。また好ましくは、溶媒は水を含有せず、ニトロメタンである。
【0057】
ST−246は、以下の実施例に沿って調製する。ST−246の多形体の結晶化のプロセスは、技術の多様な組み合わせおよびその変形を包含する。ST−246の多形体の結晶化は、適切な温度でST−246を溶媒中に溶解、分散、またはスラリー化させて、前記溶媒の一部が蒸発して前記溶液、分散液、またはスラリー中のST−246の濃度が上昇するようにし、前記混合物を冷却し、そして任意で、結果として生じるST−246の結晶を洗浄および/またはろ過し、乾燥することによって実行することができる。
【0058】
結晶の形成には、複数の結晶化プロセスが含まれてよい。ある場合には、1、2、またはそれ以上の結晶化のステップを実施すると、結果として生じる結晶形の質が向上するなどのさまざまな理由から有利となり得る。例えば、本発明の多形体は、ST−246の最初の出発基礎材料に溶媒を加え、一連の物質が完全に溶解するまで一定温度で溶液を撹拌し、真空蒸留で溶液を濃縮し、そして冷却することによって調製することもできる。最初の結晶化が起きたら、形成された結晶を溶媒で洗浄し、同じもしくは異なる溶媒でST−246を可溶化して所望の多形体を形成する。反応混合物を加熱して還流させれば反応混合物の再結晶化が起き、次に還流からの冷却ステップを実施すればよい。任意で、形成された多形体をろ過し、そのまま乾燥させる。
【0059】
ST−246を溶媒中で溶解し、分散し、もしくはスラリー化することによって、さまざまな程度の分散液、例えば懸濁液、スラリー、もしくは混合物を得るか、または、好ましくは、均質な単相の溶液を得る可能性がある。「懸濁液」という用語は、微粒状の固体、つまり非晶質、結晶形、またはその混合物であるST−246が、通常は溶媒である液体媒体または分散媒体中に分散(懸濁)されたもので構成される二相系を指す。「スラリー」という用語は、固体をわずかしか溶解できない(または溶解しない)液体に、ある量の粉末を混合したときに形成される懸濁液を指す。「スラリー化」とは、スラリーを作ることを指す。
【0060】
任意で、溶媒媒体には、結晶性懸濁液の調製に通常用いられる添加剤、例えば分散剤、界面活性剤、もしくは他の添加剤、またはその混合物が含まれてもよい。添加剤は、滑らかさを高め、表面積を減少させることによって結晶の形状を変更する際に、有利に用いることができる。
【0061】
個体を含む溶媒媒体は、任意で一定時間撹拌するか、または、例えば高せん断ミキサーまたはホモジナイザーまたはその両方で強力にかき混ぜて、当該有機化合物の所望の粒径を得てもよい。さらに沈殿温度の制御および播種も用いて、結晶化プロセス、粒径分布、および製品の投与形態の再現性を高めてもよい。そのようなものとして、播種しなくても、ST−246の結晶があれば、または好ましくは、播種によって溶液中に導入されたST−246の結晶が存在すれば、結晶化を引き起こすことができる。また播種は、さまざまな温度で数回実施することができる。播種材料の量は実験規模によって異なり、当業者であれば容易に決定することができる。播種材料の量は、通常、反応から予想される結晶質の量の約0.1〜1重量パーセントである。
【0062】
結晶化の各ステップにおける結晶化の時間は、適用条件、採用技術、および/または使用溶媒によって異なる。所望の均質な粒径を得るために、結晶転化後に大型粒子または粒子集合をさらに分割することもある。従って、ST−246の多形型の結晶、粉末集合、および粗粉を、転化の過程後に任意で摩砕し、大きさに従って分類してもよい。摩砕または粉砕とは、粉末の粒径を小さくするために、当分野で周知の方法および装置を用いて大型粒子または粒子集合を物理的に分割することを指す。結果として生じる粒径をミリメートルからナノメートルまでの範囲であってよく、つまりナノ結晶、微結晶が生じることになる。摩砕または粉砕に好ましい装置は、粒径分布範囲の狭い小型粒子の生産能力があることから、流体エネルギー摩砕機、すなわちミクロナイザーである。
【0063】
また本発明は、ろ過または遠心分離に任意で洗浄および乾燥を組み合わせて、得られた結晶形を単離するプロセスも提供する。本発明の各プロセスに用いる出発物質は、ST−246の任意の結晶形または非晶形であり、その水和物も含まれる。
【0064】
本発明の一態様では、本発明の結晶形の調製に用いる溶媒が、薬学的に許容し得る、または薬学的に許容し得ない溶媒の結晶形である。多形体を医薬調合物中に用いる前に、薬学的に許容し得ない溶媒を除去しなければならない。
【0065】
本発明の多形型の製造プロセスは通常、溶媒媒体中のST−246の溶液または分散液から、または、最初は非晶形または結晶形であってよいST−246をスラリー化することから、結晶性の固体成分を得ることを含む。結晶化条件は、結晶化プロセスを向上させるため、または沈殿を生じさせるために、かつ生じる多形体の型に影響を及ぼさずに、変更してもよい。このような条件には、ST−246と溶媒との溶液、分散液、またはスラリーを所望の濃度にすること、それを規定の冷却/温度曲線に従って冷却すること、晶種を添加すること、前記溶液、分散液、またはスラリーを所望の温度にすること、任意の適切な圧力をかけること、望ましくないあらゆる材料または不純物を除去および/または分離すること、形成した結晶を乾燥して固体状の多形体を得ることが含まれるが、乾燥は、固体状が所望である場合に限る。
【0066】
沈殿を生じさせるひとつの方法は、ST−246の溶解性を低下させることである。この化合物の溶解性は、例えば溶液の冷却によって低下させることもできる。ST−246の溶解性は、逆溶剤を添加することによって低下させることもできる。ST−246の溶液、分散液、またはスラリーを所望の濃度にするとは、必ずしもST−246の濃度を高くすることを指すわけではない。ある場合には、ST−246の濃度を低下させること、または変えないことが好ましい可能性もある。所望の濃度を得るために用いる技術としては、例えば常圧蒸留による蒸発、真空蒸留、分留(fractioned distillation)、共沸蒸留、膜蒸発、加熱、冷却、当分野で周知の他の技術、およびその組み合わせが挙げられる。所望の濃度を得るための任意のプロセスには、ST−246と溶媒の溶液の飽和を含めることもでき、そのために、例えば溶液に十分な量の非溶媒を加えて飽和点に達するようにしてもよい。
【0067】
溶液を飽和させるための他の適切な技術の例としては、溶液にST−246を追加すること、および/または溶媒の一部を溶液から蒸発させることが挙げられる。本明細書に言及されているように、飽和溶液には、飽和点に達した溶液、または飽和点を超える、すなわち過飽和の溶液が含まれる。ほぼ飽和した溶液とは、飽和状態に近いが飽和溶解限度にはまだ達していない溶液のことである。
【0068】
本発明の好ましい態様では、ST−246のどの多形体が形成されるかを判断する際に、結晶化溶媒が重要な因子となる。異なる多形型では水和度がさまざまであるため、含水率も重要である。水と水混和性溶媒との混合物中では水の量が約0.1容量%から約95容量%まで変化し得るが、好ましくは約10〜約20容量%、さらに好ましくは約5〜約10容量%、そして最も好ましくは約5〜約1容量%の水である。
【0069】
ST−246の多形型IおよびIIIは一水和物であり、そのため、ST−246が一水和物として結晶化するために存在しなければならない水の最小閾値がある。加えて、形成される多形型および/または水和物の決定には、冷却速度および単離温度および水分量が影響を及ぼす可能性がある。以下の表1が示すように、冷却速度と、単離温度と、含水率と、ST−246型IまたはST−246型IIIの生成との間には、相関関係がある。さらに、表1に示されたデータから、溶媒組成、結晶化温度、または冷却速度がST−246の多形型の形成に影響を及ぼす可能性が示唆される。例えば、表1が示す通り、イソプロピルアルコール(IPA)とエチルアセテートとがいずれも主要溶媒として用いられる場合に、含水率の高い約35℃〜約40℃の温溶液を直ちに氷浴で冷却すると、ST−246型IIIが生じる。これに対して、含水率が低い場合、または溶液を室温まで冷却して単離した場合は、ST−246型Iが得られる。最終結晶化に至る前の材料の多形型は、当該材料が結晶化溶媒に完全に溶解する限り、最終多形型に影響を及ぼさない。
【0071】
望ましくないあらゆる材料または不純物の除去および/または分離は、精製、ろ過、洗浄、沈殿、または類似技術によって実施することができる。例えば、分離は、公知の固液分離法によって実施できる。ろ過は、とりわけ、溶液、分散液、またはスラリーを濾紙、ガラスろ過器、または他の膜材料を通過させることによって、遠心分離によって、またはBuchner式フィルター、Rosenmundフィルターまたはプレート、またはフレームプレス使って実施することができる。好ましくは、結果として生じる結晶形の多形性の純度を上げるために、上に開示されたプロセスにインラインろ過または安全ろ過を挿入すると有益となり得る。
【0072】
得られた結晶をさらに乾燥してもよく、また複数の結晶化工程が適用される場合は、かかる乾燥プロセスを任意でさまざまな結晶化工程に用いてもよい。乾燥方法としては、加熱、真空の適用、空気または気体の循環、乾燥剤の添加、凍結乾燥、噴霧乾燥、蒸発など、またはその任意の組み合わせを挙げることができる。
【0073】
型I
本発明の一態様では、ST−246の結晶型が開示され、ST−246の型I、または簡単に「型I」と命名される。
【0074】
型Iを確実に結晶化させるためのひとつの好ましいパラメーターは、エチルアセテート/水の混合物の使用である。エチルアセテート/水を用いた結晶化試験では、いくつかのパラメーターが変更され(添加する水の量、溶解温度、単離温度、冷却速度)、表1および2にまとめられている。型Iは、水が十分に存在して一水和物の形成が可能であれば、エチルアセテート/水の混合物を用いて作ることができる。さらに、型Iは、THF/水の混合物、IPA/水の混合物を用いて形成されることが示され、またアセトンとメタノールが、いずれも含水率を上げれば型Iを結晶化させる能力を有することが分かった。加えて、型Iはまた、型IIIおよびVの水スラリーを数日間以上維持することによっても生じさせることができる。
【0075】
表2−結晶化のパラメーター
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0076】
型Iは、ST−246の一水和物の結晶型である。X線回折(XRPD)の例、型Iのデータが、
図1にまとめられており、以下に示す。
【0078】
型Iの特徴的な赤外線スペクトルを以下に説明し、
図7にまとめる。
【0079】
4000〜400cm
−1の領域
型Iは、3421cm
−1に単一の大きなピークを持ち、また約3300〜2600cm
−1にこれらのピークの基礎となる幅広い吸光度を持つ。また、ほかにも3008および2956cm
−1に2つのピークがあり、C−Hストレッチが原因であると考えられる。型Iは、1791、1717、および1671cm
−1にピークを持つ。3つの型はいずれも、約1560cm
−1にピークを持つ。
【0080】
ST−246型Iは、ST−246の所望の多形体である。他の型がすべて型Iに転化されることから、これが熱力学的に最も安定な型であると思われる。
【0081】
ST−246型Iは安定であり、そのため周囲条件での貯蔵が可能である。型Iは、製造および貯蔵のさまざまな段階で薬剤が経験し得るいくつかの環境条件および工程条件下では、別の多形体への転化を示さなかった。試験した条件の一部には、高温かつ高湿度、室温かつ高湿度、低湿度、60℃以下での貯蔵、湿式造粒と乾燥を用いたカプセル製造、摩砕または微粉化工程の過程、懸濁液中、室温での長期貯蔵が挙げられる。さらに、型Iは非吸湿性であり、そのため相対湿度が90%の状況であっても湿気を吸収しない。型Iは、商業的なプロセスの結晶化工程でも確実に製造され、純度が99.0%を超えず、不純物が0.15%を超えない。
【0082】
型II
本発明の別の態様では、ST−246の結晶形が開示され、ST−246の型II、または簡単に「型II」と命名される。
【0083】
ST−246型IIは、いくつかのアルコール類やアセトン/IPA混合物の存在下で得られた。本発明の好ましい態様では、型IIは、エチルアセテートまたはクロロホルムの存在下で確実に結晶化する。無水和物の型IIは相対的に不安定であり、水分の吸収によって相IIIへの転化が起こりやすい。
【0084】
型IIは、ST−246の無水和の結晶型である。X線回折(XRPD)を
図2にまとめた。
【0085】
型III
本発明の別の態様では、発明は、ST−246の型IIIと命名されるST−246の結晶形に関わる。
【0086】
表1および2にまとめたように、多様な水分量のIPA/水混合物が型IIIを生じる傾向がある。さらに、型IIIは、型Vの水スラリーから作ることができる。表1にまとめたデータに基づけば、冷却束度が速く、単離温度が低いと型IIIが生じやすくなる可能性がある。
【0087】
型IIIは、ST−246の一水和の結晶型である。型IIIの単結晶X線回折(XRPD)データの例を
図3に示し、以下にまとめた。
【0089】
型IIIの特徴的な赤外線スペクトルを以下に説明し、
図8にまとめた。
【0090】
4000〜2500
−1の領域
型IIIは、3452および3397cm
−1に分裂ピークを持つ。また、〜3008および2956cm
−1にもピークがあり、C−Hストレッチによるものと思われる。約3300〜2600cm
−1にもピークがある。
【0091】
2000〜1500cm
−1の領域
型IIIは、1792、1713、および1662cm
−1に一連のピークがある。そのいずれも、C=Oストレッチによるものと思われる。また、1560cm
−1にもピークがあり、暫定的にN−H変形に割り当てた。
【0092】
1500〜400cm
−1の領域
155〜400cm
−1では、それほど重要ではないさまざまなピークがある。
【0093】
型III(一水和物)は、競争的スラリー実験で型Iに転化させることができる。型Iから型IIIへの転化はこれまでに観察されたことがなく、型Iが型IIIより熱力学的に安定な型であることを示唆している。しかしながら、型IIIは完全に水和しているため、高湿度の貯蔵条件下でも水分をそれ以上吸収することがないという点で、型IIIは、例えば型Vなどの水和度の低い他の型に優っている。
【0094】
型IV
型IVのXRPDの例、単結晶X線データを、
図4に示す。
【0095】
本発明の好ましい態様では、型IVは、塩素化された溶媒と一部のアルコール類、例えば特に、TFE,1ブタノール、トルエン、塩化メチレン、クロロホルムなどの存在下で形成される。無水和の型IVは相対的に不安定であり、水分を吸収して型Vに転化しやすい。
【0096】
型V
本発明のさらに別の態様では、発明は、ST−246の型V、または簡単に「型V」と命名されるST−246の結晶形に関わる。
【0097】
型Vは、ST−246の半水和の結晶形である。型VのXRPDデータを以下に示し、また
図5にまとめた。
【0099】
また型Vの赤外線スペクトルを
図9にもまとめ、以下でも説明する。下線のあるピークは、この多形体に最も特徴的なものと考えられる:
【0100】
4000〜2500cm
−1の領域
型Vは、3464および3402cm
−1に分裂ピークを持ち、また3238および3206cm
−1にも第2の幅広い分裂ピークを持つ。これらのピークは、OHおよびNGストレッチによるものと考えられ、3つの型の分化を可能にするように思われる。また型Vは、〜3008および2956cm
−1にもピークがあり、C−Hストレッチによるものと考えられる。約3300〜2600cm
−1にもさらにピークがある。
【0101】
2000〜1500cm
−1の領域
型Vはこの領域に、ST−246の他の結晶形と比較して有意に異なるスペクトル特性を持っていて、3個ではなく5個のピークを示し、これらは1791、1733、1721、1681、および1667cm
−1にある。このいずれもが、C=Oストレッチによるものと思われる。3つの型はいずれも、約1560cm
−1のところにピークがあり、暫定的にN−H変形に割り当てた。相Vは1519および1497cm
−1にピークがある。
【0102】
1500〜400cm
−1の領域
1500〜400cm
−1では、3つの型の赤外線スペクトルはわずかな差を示すだけであり、この領域は、ここに考察するST−246の3つの型を分化させるのには役立たないのであろう。
【0103】
型V(半水和物)は、ST−246の早期のGMP合成の間に作られたものであり、国際公開第2008/130348号、同第2004/112718号、および同第2008/079159に開示されている。この多形体の欠点は、完全に水和していないことである。この型は、湿潤環境に置かれるとすぐに水分を吸収し、競争的なスラリー環境では型Iに転化することが明らかにされている。
【0104】
型Vは、水分が十分に存在せず、一水和物の型が生じない場合に形成されやすい。型Vは、結晶化に用いられる最初のST−246に水が含まれなければ、エチルアセテート/ヘキサンの混合物から形成される。最初のST−246に水が十分含まれている場合は、型IIIを生じさせることができる。また型Vは、含水量の低いメタノール/水およびIPA/水の混合物からも生じた。
【0105】
型VI
本発明の一態様では、発明はST−246の結晶型に関わり、これはST−246の型VI、または簡単に「型VI」と命名される。
【0106】
型VIは、ST−246の一水和物結晶形である。XRPDの例を
図6にまとめた。本発明の好ましい態様では、型VIは、一例として、ニトロメタンまたはクロロホルム/メタノールが結晶化溶媒として存在する中で形成され得る。
【0107】
一般に、多形体型I、II、III、IV、およびVを他の多形体型が実質的に存在しない状態で調製する際には、異なる型の混合物からの結晶化を用いる。しかしながら、他の多形体型が実質的に存在しない状態でこの一連の多形体型の各々を作り出すことに関する結晶化技術は異なっており、以下に説明する。
【0108】
さらに具体的に言えば、本発明は、単離された型Iであって、少なくとも約70%の純度(つまり、他の型が存在しないこと)、好ましくは、少なくとも約80%の純度、好ましくは、少なくとも約90%の純度、好ましくは、少なくとも約95%の純度、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度、そして最も好ましくは、少なくとも約99.9%の純度の単離された型Iを提供する。
【0109】
本発明は、単離された型IIであって、少なくとも約70%の純度(つまり、他の型が存在しないこと)、好ましくは、少なくとも約80%の純度、好ましくは、約90%の純度、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度、そして最も好ましくは、少なくとも約99.9%の純度の単離された型IIを提供する。さらに、本発明は、単離された型IIIであって、少なくとも約70%の純度、好ましくは、少なくとも約80%の純度、好ましくは、約90%の純度、好ましくは、約95%の純度、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度、そして最も好ましくは、少なくとも約99.9%の純度の単離された型IIIを提供する。
【0110】
また、本発明は、単離された型IVであって、少なくとも約70%の純度(つまり、他の型が存在しないこと)、好ましくは、少なくとも約80%の純度、好ましくは、少なくとも約90%の純度、好ましくは、少なくとも約95%の純度、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度、そして最も好ましくは、少なくとも約99.9%の純度の単離された型IVを提供する。
【0111】
さらに、本発明は、単離された型VIであって、少なくとも約70%の純度(他の型が存在しないこと)、好ましくは、少なくとも約80%の純度、好ましくは、少なくとも約90%の純度、好ましくは、少なくとも約95%の純度、さらに好ましくは、少なくとも約99%の純度、そして最も好ましくは、少なくとも約99.9%の純度の単離された型VIを提供する。
【0112】
ST−246の多形体型の結晶、粉末、集合体、および粗粉を、転化を経た後に任意で摩砕し、大きさに従って分類してもよい。摩砕または粉砕とは、粉末の粒径を小さくするために、大型の粒子または粒子の集合体を当分野で周知の方法および装置で物理的に分割することを指す。結果として生じる粒径は、ミリメートルからナノメートルの範囲、すなわちナノ結晶、ミクロ結晶にしてよい。
【0113】
本発明の多形体は、湿式摩砕などの公知の摩砕方法で摩砕し、錠剤の形成および他の投与形態の種類に適した粒径を得てもよい。本発明の多形体の微粉状(ナノ粒子)の製剤は当分野で公知の工程で製剤化してよく、例えば、国際特許出願の国際公開第02/00196(SmithKline Beecham)を参照されたい。
【0114】
一態様では、本発明のST−246の多形体型I〜IVおよびVIの各々の粒径は、粒子の体積平均径のD
90が、約0.01〜200μm、好ましくは約15〜50μm、そして最も好ましくは、約0.01〜15μmの範囲である。かかる粒子は、化学的および物理的な安定性が優っており、材料の流動性が良く、投与形態の均一性を向上させるため、大量調製および製剤化するうえでの利点がある。
【0115】
製剤および投与
ST−246の多形体型の製剤は、製剤学の技術分野で公知の工程により調製することができる。以下の例(下記)は、当業者が本発明をいっそう明確に理解し、実施することができるように記載するものである。本発明の範囲を限定するものではなく、単にその例示および典型として考えなければならない。
【0116】
本発明の多形の塩は、さまざまの経口的および非経口的な投与形態で投与することが可能である。経口薬の投与形態は、錠剤、被覆錠剤、硬もしくは軟ゼラチンカプセル、溶液、乳剤、シロップ、または懸濁液であってよい。非経口投与には、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内、または腹腔内投与がある。加えて、本発明の塩は、経皮(経皮吸収促進剤を含めてもよい)、口腔内、鼻腔内、および坐剤の経路で投与することが可能である。
【0117】
本発明の化合物から医薬組成物を調製するために、薬学的に許容し得る担体を、固体または液体とすることができる。固形製剤には、粉末、錠剤、ピル、硬および軟ゼラチンカプセル、オブラート剤、坐剤、ならびに分散性粒剤がある。固体担体が、希釈剤、着香料、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、または封入材料の働きもする1または複数の物質であってもよい。
【0118】
粉末では、担体は微粉固体であり、微粉状の活性成分を含む混合物に含まれる。錠剤では、活性成分は、必要な結合特性を持つ担体と適切な比率で混合され、所望の形状とサイズに成形されている。
【0119】
錠剤、被覆錠剤、および硬ゼラチンカプセルに適した賦形剤としては、例えば微結晶性セルロース、ラクトース、コーンスターチおよびその誘導体、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、スターチ、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、タルク、および脂肪酸またはその塩、例えばステアリン酸などである。所望であれば、錠剤またはカプセルは、腸溶性製剤または徐放性製剤である。軟ゼラチンカプセルに好適な賦形剤は、例えば植物油、ろう、脂肪、半固体および液体のポリオールである。液状の製剤には、溶液、懸濁液、停留浣腸、および乳剤がある。非経口的注射には、液体製剤を水溶液または水/ポリエチレングリコール溶液に調合することができる。
【0120】
経口的使用に好適な水溶液は、有効成分を水に溶解し、所望であれば好適な着色剤、香味料、安定化剤、および増粘剤を添加することによって調製することができる。経口使用に好適な水性懸濁液は、微細化した有効成分を、天然または合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁化剤などの増粘剤を水に分散させることによって作ることができる
【0121】
また組成物にも、活性成分のほかに着色剤、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散化剤、増粘剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧調整用の塩、マスキング剤、抗酸化剤などを含めてよい。
【0122】
本発明の化合物は、生理的食塩水の溶液(例えば、pH約7.2〜7.5)に入れて静脈内投与することができる。本組成物には、リン酸塩、重炭酸塩、またはクエン酸塩などの従来の緩衝剤を用いることができる。
【0123】
また、経口投与用に、使用直前に液体状に変換して用いるための固形製剤も含まれる。かかる液状の投与形態には、溶液、懸濁液、および乳濁液がある。坐剤の調製に好適な賦形剤としては、天然油脂および硬化油、ワックス、脂肪酸グリセリド、半液体または液体のポリオールなどがある。溶融した均一混合物を、次に都合のよい大きさの型枠に流し入れ、そのまま冷まして固める。好適な医薬用担体、賦形剤、およびその調合物が、Remingtonに記載されている:The Science and Practice of Pharmacy 1995、 E. W. Martin編、Mack Publishing Company、第19版、Easton、Pa。
【0124】
投与量は、広い範囲の中で変えることができ、当然ながら、患者の個々の要望と治療中の病状の重症度に応じて、特定のケースごとに調節する。通常の製剤は、約5%〜約95%の有効成分(w/w)を含む。単剤療法および/または併用療法での経口投与には、1日につき体重1kg当たり約0.01〜約100mgの投与量が適切である。好ましい1日投与量は、体重1kg当たり約0.1〜約300mg、さらに好ましいのは体重1kg当たり1〜約100mg/kg、そして最も好ましいのは1日に体重1kg当たり1.0〜約50mgである。
【0125】
通常は、化合物の最適用量より少ない投与量で治療を開始する。その後、当該状況下で最適の効果が達成されるまで、投与量を少しずつ増加させていく。1日投与量は、単回投与量または分割投与量として投与することができ、一般には、1日当たり1〜5回投与する。
【0126】
好ましくは、医薬製剤は投与単位形態である。かかる投与形態では、製剤は、適切な量の活性成分を含む単位用量へとさらに分割される。投与単位形態は、小瓶またはアンプルに入ったパック入りの錠剤、カプセル、および粉末などの製剤の個別の量を含むパッケージにされた製剤であってよい。また、投与単位形態は、カプセル剤、錠剤、オブラート剤、またはロゼンジ自体であってもよく、または、このうち任意のものの適切な量をパッケージにしたものでもよい。
【0127】
適切な用量は、当業者には容易に理解されることであろう。治療での使用に必要な本発明の多形体の量は、治療する疾患の性質と患者の年齢および状態によって異なるため、最終的には担当する医師または獣医の裁量で決められることは、十分理解されるであろう。本発明の多形体は、ペニシリン、セファロスポリン、スルホンアミド、またはエリスロマイシンなどの他の抗菌剤併用することが可能である。
【0128】
上述の組み合わせは製剤処方の形で提供するのが便利であり、従って、上に定義した組み合わせと薬学的に許容し得る担体または賦形剤とを共に含む製剤処方が、本発明のさらなる態様を構成する。かかる組合せの個々の成分は、任意の都合のよい経路によって、個別または一体の製剤処方で連続投与または同時投与することができる。
【0129】
投与が連続投与の場合は、本発明の多形体または第2の治療薬のいずれを先に投与してもよい。投与が同時投与の場合は、組み合わせを、同じ組成物または異なる組成物のいずれの形でも投与することができる。
【0130】
以上に述べた投与の経路と方法、および投薬量、ならびに以下に述べる投与形態を使って、型I、型II、型III、型IV、型V、および型VIなどの本発明の個々の多形体型、ならびに本発明の多形体型の混合物を、ヒトのさまざまな疾患および状態の予防および治療に用いることができる。制限ではなく例として挙げると、オルトポックスウイルス感染および関連疾患の場合であれば、前記の治療を必要とするオルトポックスウイルス感染症の患者に対して、例えば、他の多形体型もしくは多形体混合物ならびに不活性の担体もしくは希釈剤が実質的に存在しない型I、型II、型III、型IV、型V、および型VIなどの多形体型のうちの1つを含む組成物を、前記ウイルス感染の予防または治療に有効な量で投与することによって、これが達成される。
【0131】
本発明によれば、ST−246は、他の多形体型が実質的に存在しない多形体型かまたは多形体型の混合物かのいずれかの形で、オルトポックスウイルス感染の予防または治療に有効な量で投与される。この組成物には、他の多形体型または多形体型の混合物が実質的に存在しないかかる多形体型を、かかる感染の予防または治療に必要な任意の有効量で使用することができる。一般には、経口剤であれば、1日に体重1kg当たり約0.5mg〜約5.0mgの投与量を用いる。しかしながら、他の多形体型または多形体型の混合物が実質的に存在しない型I、型II、型III、型IV、型V、および型VIなどの多形体型を経口投与する際の単位用量は、ウイルス感染の状況および患者の体重にかなりの程度まで依存するため、当然ながら、医師の判断にゆだねられる。本発明の一態様では、型Iが、投与のために好ましいST−246の多形体型である。
【0132】
本発明によれば、他の多形体型または多形体型の混合物が実質的に存在しない所定の多形体型を含む経口投与単位形態は、好ましくは1日に約30mg〜800mg、さらに好ましくは1日に約50mg〜約600mgを、日中に1〜3回または必要に応じて投与することができる。
【0133】
また本発明のある態様では、本発明の多形体、好ましくは水和物の形のST−246は、次のものと組み合わせて用いることもできる:(1)ワクチン;(2)Cidofovir、これは、ワクシニアウイルス感染および他の関連疾患の命にかかわる合併症であるワクシニア性湿疹(EV)を治療するための抗ウイルス薬であり、非環式ヌクレオシドホスホネートであり、そのためウイルス酵素によるリン酸化反応の影響を受けない;および/または(3)CMX001(hexadecyloxypropyl-cidofovir)、これは天然に存在する脂質であるリゾレシチンの模倣体であり、脂質3-hexadecyloxy-1-propanolをcidofovirのホスホン酸基に結合することによって形成される。
【0134】
また本発明は、型I、型II、型III、型IV、型V、および型VIをはじめとするST−246の結晶性多形体を1以上充填した1以上の容器を含む医薬のパックまたはキットも提供する。かかる容器(複数可)には、医薬品または生物学的製剤の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定された形の注意書きを任意で添付することもでき、この注意書きでは、ヒトに投与するための製造、使用、または販売に対する当局の承認を反映する。本発明のある特定の態様では、キットは、ST−246の結晶性多形体を複数含む。
【実施例】
【0135】
実施例1−多形型Iの調製:
さらに具体的には、ST−246の一水和物、型Iを調製するには、シクロへプタトリエンをトルエンの存在下で無水マレイン酸と反応させて、主産物である核異性体を得る。トルエン/へプタンからの結晶化によって、さらに核外異性体が約7%〜0.6%得られる。さらに、無水和物または水和物の形のヒドラジンをイソプロパノールの存在下でMethyl 4-(trifluoromethyl) benzoateと反応させて、(4-(trifluoromethyl)-benzhydrazideを得る。生成物を、次にイソプロパノールから結晶化させる。
【0136】
合成の次のステップでは、endo-tricyclo[3.2.2.0]non-8-endo-6,7-dicarboxylic anhydrideと(4-(trifluoromethyl)-benzhydrazide)とをイソプロパノール中で濃縮する。生成物を、イソプロパノールから結晶化することによって単離し、スラリーをさらに加熱して還流させ、保持する。結果として生じる溶液を冷却し、サンプル採取して反応を終了させる。分析によって反応の終了が示された後に炭素およびセライトを入れ、バッチを加熱して還流させ、維持する。冷却した後、バッチをろ過してこれらの固形物を除去し、続いてIPAでフィルターを取り払う。バッチを冷却し、スラリーが形成される間維持する。バッチをさらに冷却して維持する。内容物を遠心分離器にかけ、合成の生成物を含む湿潤なケーキをヘプタンで洗浄する。この湿潤なケーキを乾燥し、ST−246の不完全水和型と呼ぶ(SG3)。
【0137】
SG3を入れ、続いてエチルアセテートを入れる。この混合物を加熱し、維持してSG3の溶解を確実にする。バッチ上で研磨ろ過を行い、異質物チェックによりろ過の成功を確認する。エチルアセテートを用いてフィルターを満たす。バッチを加熱して還流させたのち、エンドトキシン低減水(ER)を入れる。バッチに播種し、最後のER水を満たす。バッチの還流を維持し、スラリーのチェックを行う。
【0138】
さらに、バッチを冷却し、その時にスラリーのサンプルを得て正しい多形体であることを確認する。バッチをさらに冷却し、遠心分離器で最終的に単離されるまで維持する。最終APIを乾燥し、国際公開第02/0016の記述に従ってFitz Millを用いて摩砕する。型Iは、表2および3にさらにまとめたように、さまざまな溶媒および溶媒の組み合わせからST−246を結晶化させることによって調製することができる。
【0139】
表3−溶媒スクリーニング試験の結果
【表6-1】
【表6-2】
【0140】
図1および7にまとめたように、上記のプロセスによって得られるST−246型Iの同一性を、XRPDおよびIRで確認した。
【0141】
実施例2−多形型IIの調製
型IおよびVの出発物質の再結晶化によって、エチルアセテート溶媒およびクロロホルム溶媒から型IIの標準を調製した。ある量のST−246型Iまたは型Vをエチルアセテートまたはクロロホルムのいずれかに溶解させ、0.45□
mの膜フィルターでろ過した。ろ過した溶液をさらに高温で過熱させて個体がすべて溶解したことを確認し、次に温度を下げて、窒素置換下で乾燥するまで蒸発させた(〜2psi)。
【0142】
型IIの好ましい結晶化条件を以下の表4にまとめた:
【0143】
【表7】
【0144】
型IIの結晶化条件のさらなる例も、上記の表1−2にまとめた。
【0145】
上述したプロセスによって得られたST−246型IIの同一性を、
図2にまとめたように、XRPSによって確認した。
【0146】
実施例3−多形型IIIの調製:
型IIIは、無水和のST−246を水中で再スラリー化することによって作る。型IIIを生じさせるのに用いる溶媒のさらなる例を、上の表1〜9にまとめた
【0147】
上述のプロセスで調製されたST−246型IIIの同一性は、
図3および8にまとめた通り、XRPDおよびIRにより確認された。
【0148】
実施例4−多形体型IVの調製:
型Iの出発物質を1−ブタノール溶媒から再結晶化させることによって、型IVの標準を作った。固体の出発物質を1−ブタノールに溶解させ、0.45um膜フィルターでろ過した。ろ過溶液は、固体がすべて溶解したことを確実にするためいっそう高い温度で過熱してから温度を下げ、窒素置換下で乾燥するまで蒸発させた(〜2psi)。型IVにとって好ましい結晶化条件を、表5にまとめた。型IVの結晶化のさらなる例を、表1〜3にまとめた。
【0149】
【表8】
【0150】
上述のプロセスによって作り出したST−246型IVの同一性は、
図4にまとめたように、XRPDによって確認した。
【0151】
実施例5−多形体型Vの調製:
型V(半水和物)はST−246の早期のGMP合成の間に作られ、国際公開第2008/079159号に開示されている。この多形体のデメリットは完全に水和されていないことである。この型は、湿潤環境に置かれるとすぐに水分を吸収し、また競争的なスラリー実験では、型Iに転化することが示されている。
【0152】
ST−246型Vの同一性は、
図5および9にまとめた通り、XRPDおよびIRによって確認した。
【0153】
実施例6−多形体型VIの調製:
型Vの出発物質をニトロメタン溶媒から再結晶化させることによって、型VIの標準を作った。固体の出発物質は、ニトロメタンに溶解させ、0.45um膜フィルターでろ過した。固体がすべて溶解したことを確実にするために温度を上げてろ過した溶液を過熱し、次に温度を下げて窒素置換下で乾燥するまで蒸発させた(〜2psi)。型VIは、いろいろな溶媒および溶媒の組み合わせからST−246を結晶化させることによって調製することができる。下記の表5に結晶化条件をまとめた。好ましい結晶化条件を、下記の表6にまとめた。型VIの結晶化のさらなる例を、表1〜3にまとめた。
【0154】
【表9】
【0155】
上述のプロセスで得られたST−246型VIは、
図6にまとめた通り、XRPDによって確認した。
【0156】
実施例7−ST−246、型I、型IIIおよび型Vの特徴的かつ相対的な物理的特徴:
ST−246は、3つの重要な物理的形状(型I、III、およびV)で存在しうることが明らかにされた。データは、さまざまな固形が製品の品質に影響を及ぼすかどうかを判定するために、多形体の関連する物理的/化学的性質および安定性について得た。このようなデータには、多形体の結晶学的性質および多形体の物理的/化学的性質(例えば、溶解度、溶解、融解範囲)の加速安定性データが含まれる。
【0157】
型I、III、およびVのX線回折パターンを、それぞれ
図1、3、および5に示した。型I、III、およびVの粉末X線パターンは、その粉末パターンの固有の特徴に基づき、すぐに区別することができる。
【0158】
型I、III、およびVの相互転換
競争的および非競争的なスラリー実験を実施してST−246の最も安定な型を決定した。スラリー実験は、ST−246の1以上の型の過剰材料を少量の水に暴露し、結果として生じた懸濁液を数日間、周囲温度および/または45℃で撹拌することによって実施した。また類似の実験も、30℃で60分間、異なるpH値で行った。スラリーをろ過し、粉末XRPDで固体を分析した。単離後に起こり得る脱溶媒和または物理的変化を回避するために、サンプルは粉末X線分析の前に乾燥させなかった。競争的および非競争的な水中スラリー実験から、型Vおよび型IIIが水中で型Iに転化し、型Iは未変化のままであることが明らかである。このスラリーデータを下記の表7にまとめた:
【0159】
【表10】
【0160】
型IおよびIIIの微粉化:
ST−246は、生理学的に関連のある溶媒中でその溶解度が低いため、BCSのクラスIIに属する。第1相臨床試験の試験材料は、粒径分布50%4.8μmおよび粒径分布90%12μmの粒径の微粉化された型Vを用いて作った。そのため、型IおよびIIIとも、国際公開第02/00196号に記載されたようなエアジェット摩砕機を使用し、400gmのスケールで微粉化した。どちらの型も摩砕してすぐに、(XRPDに基づく)物理的形状の変化を全く経ることなく所望の粒径を生じた。
【0161】
微粉化されたおよび微粉化されない型Iおよび型IIIの代表的なXRPDパターンを、
図14および15にまとめた。
【0162】
製剤原料の安定性
微粉化されたものと微粉化されないものをどちらも含めた製剤原料の型Iおよび型IIIに対し、応力条件下の短期安定性評価を実施した。短期試験は完了しており、40℃/相対湿度75%で得られたデータを表8および9に示す。
【0163】
【表11】
【0164】
【表12】
【0165】
微粉化された製剤原料および微粉化されない製剤原料のどちらのデータも、純度、関連物質、水分、XRPD、およびDSCに関する物理的形状の変化がIでもIIIでも認められなかったことを示している。
【0166】
この長期試験も完了しており、得られたデータを表10に示す。
【0167】
【表13】
【0168】
型I、III、およびVの静的収着
型I、III、およびVに対して様々な湿度条件で吸湿性試験を実施し、収着/脱着特性を理解した。各型を約1gずつ乳鉢と乳棒ですりつぶした。TGAにより、含水率を判定した。各型を約100mgずつ、相対湿度11および97%の静止湿度室に約25℃で10日間まで配置した。第0日目から重量損失の変化を示したのは、97%の相対湿度で貯蔵した型Vのサンプルであった。このデータを下記の表11にまとめた:
【0169】
【表14】
【0170】
実施例8−ST−246のAPIの粒径がST−246の硬ゼラチンカプセルの溶解プロフィルに及ぼす影響の分析
薬剤の粒径がその溶解プロフィルに及ぼす影響を広範囲にわたって検討し(Fincherら、1968を参照されたい)、やや溶けにくい薬剤の粒径が小さくなると、溶媒に暴露する薬剤の表面積が増大するため、溶解速度の上昇をもたらすとの仮定が行われた。
【0171】
表12は、微粉化された、または微粉化されないST−246のAPIの粒径をミクロン単位でまとめたものである。ここで微粉化は、粒径がST−246の溶解プロフィルに及ぼす影響をさらに調べるために実施した。
【0172】
【表15】
【0173】
APIの粒子がST−246のカプセルの溶解に及ぼす影響を評価するために、ST−246の多形体型Iを含む以下の製剤を評価した。この一連の実験のために、例えばd90%の10μm未満、d90%の16μm、d90%の25μm、d90%の254μm未満、d90%の75μm未満など、粒径の異なる製剤原料を用いてST−246(型−I)の200mgカプセルを調製した。ST−246のゼラチンカプセルの組成を下記の表13に示す。
【0174】
【表16】
【0175】
この一連の実験のために、75rpmで動作するUSP装置2(パドル)でST−246(型I)の溶解プロフィルを決定する。溶解プロフィルは、HDTMAを3%含むpH7.5のリン酸緩衝液を0.05M含む900mlの溶出溶媒の中で、37℃で決定する。長時間にわたる累積薬物放出量を溶解したST−246%の割合として表わし、溶出溶媒サンプリング時間の関数としてプロットする。
【0176】
表14および
図16〜20にまとめた通り、D90粒径(d90%)が5.3ミクロンおよび16.6ミクロンのST−246(型I)が約22分間でほぼ100%溶解したのに対し、D90粒径(d90%)が26.6のST−246(型I)は、30分間でほぼ100%溶解した。また、D90粒径が40.85および58.2ミクロンのST−246(型I)は、30分間でほぼ85%〜86%溶解する。さらに、D90粒径が75ミクロンのST−246(型I)は30分間でほぼ86%溶解し、D90粒径が254ミクロンのST−246(型I)は60分間で44%しか溶解しない。表14は、D90粒径(d90%)が5.3ミクロン、16.6ミクロン、および26.6ミクロンのST−246(型I)で作られたカプセルの溶解プロフィルを、別の溶解法(37℃でpH7.5の0.05Mリン酸緩衝液900mLにHDTMAを1%加え、50rpmで動作するUSP装置2(パドル)に入れる)を用いて示したものである。
【0177】
【表17】
【0178】
【表18】
【0179】
さらに、ST−246型Iは、経口投与用に、ST−246を200mg含むカプセルに調製することができる。この一連の実験には、D90粒径が約5.3〜75ミクロンのST−246(型I)を用いることができる。すべての不活性成分が、GRASおよびUSPLNF賦形剤であってよい。製造プロセスには、高せん断ミキサー/造粒機および硬ゼラチンカプセル充填を用いた湿式造粒法、ならびに硬ゼラチンカプセルへの充填を含めてよい。
【0180】
好適な投与形態には、さまざまな量の活性成分を含むカプセルを含めることもできる。D90粒径を約10ミクロン未満に微粉化したST−246の一水和物を200mg含む典型的な投与形態の定量的組成を、下記の表15にまとめた:
【0181】
【表19】
【0182】
組成物の他の例を表17にまとめた。
【0183】
【表20】
【0184】
実施例9−オルトポックスウイルス複製の阻害:
ST−246型Iのワクシニアウイルス阻害能力は、以下の実験手順に従って確立する:
【0185】
ウイルス株の調製
低多重度で感染したベロ細胞にワクシニアウイルス(NYCBH)のウイルス株を作り(細胞1個あたり0.01プラーク形成単位(PFU))、細胞変性効果が完全になった時点で(4+CPE)集菌する。サンプルを凍結し、解凍し、超音波で分解して、細胞結合ウイルスを開放する。細胞残屑を低速遠心分離で除去し、結果として生じたウイルス懸濁液を−80℃の1mLアリコートに貯蔵する。ウイルス懸濁液のPFU/mLを、標準のプラークアッセイでベロ細胞およびBSC−40細胞に関して定量化する。
【0186】
ワクシニアCPEアッセイ
3日間で完全なCPEを生じさせるのに必要なワクシニアウイルス株の量を決定するために、96ウェルプレート上にベロ細胞単層を播種し、ワクシニアウイルス株の2倍段階希釈液で感染させる。感染後3日目に、培養物を5%のグルタルアルデヒドで固定し、0.1%のクリスタルバイオレットで着色する。ウイルスが誘導したCPEを、OD
570で分光光度的に定量化する。この分析から、HTSアッセイでの使用には、ワクシニアウイルス株の1:800希釈液を選択する。この量のワクシニアウイルスは、感染の多重度が1細胞当たり約0.1PFUであることを表わす。
【0187】
96ウェルアッセイの信号対雑音比(S/N)を確定し、ウェル間およびアッセイ間のばらつきを評価するために、単独の実験を6回実施する。ワクシニアウイルス株の1:800希釈液でベロ細胞単層が感染する。
【0188】
各プレートには次の対照が入っている:4通りのウイルス感染ウェル、4通りの非感染細胞ウェル、ならびに、参考基準として300、100、30、および10DAMで添加したシドホビル(CDV)または2100、714、210、および71Mで添加したホスホノ酢酸(PAA)の正副2通の用量反応曲線。感染後3日目に、上述のようにプレートを処理する。この一連の実験の結果は、96ウェルアッセイの構成が強固かつ再現可能であることを示している。
【0189】
型Iの試験
ST−246型Iに対し、ワクシニアウイルスCPEアッセイでの試験を実施する。型IをDMSOに溶解し、培養液で希釈して、各ウェルの最終濃度を5pM化合物および0.5%DMSOとする。Biomek.RTMを用いたロボット制御で、型Iを培地に添加する。
【0190】
化合物の添加に続いて、培養物をワクシニアウイルスに感染させる。3日後に、上述のようにプレートを処理してCPEを定量化する。本発明のST−246型Iは、試験濃度(5.mu.M)で、ワクシニアウイルスが誘導したCPEを50%を超えて阻害した。型Iをさらに評価し、CPEアッセイで力価(EC
50)を、MTTアッセイで細胞毒性(CC
50)を明らかにする。MTTアッセイは、細胞を分割する際のミトコンドリアのデヒドロゲナーゼ活性を測定する。490nmでのホルマジンの吸収度は、50%エタノールにホルマジンを溶解させた直後に96ウェルアッセイから直接測定することができる。ホルマジン生成物の量は、培養物中の生きた細胞の数に正比例する。EC
50値は、コンピュータープログラムを使ってST−246型Iの処理化合物と未処理化合物とを比較することによって決定される。従って、CEPアッセイでのST−246型IのEC
50値は、50nMである。
【0191】
オルトポックスウイルスの阻害に関するST−246型Iの特異性は、ピキンデウイルス、リフトバレー熱ウイルス(MP12株)、呼吸器合胞体ウイルス、およびサイトメガロウイルスをはじめとする関係のないウイルスの複製を阻害しない点に反映される。
【0192】
実施例10−ST−246型Iのインビボ試験:
試験デザイン
試験は、カニクイザル(Macaca fascicularis)を対象とするST−246型I経口薬の無作為化プラセボ対照平行群間比較縦断試験として設計される。この一連の実験のために、MPXのザイール79株5x10
7PFUの静脈内注射によって15のNHPを感染させ、それぞれ3NHPずつの治療群5群に無作為に割り付ける。ビヒクルまたはST−246型Iを、3mg/kg、10mg/kg、30mg/kg、および100mg/kgの用量で1日1回経口投与し、続いて、水和して均質なモンキービスケットの30%懸濁液を5ml/kgずつ与える。
【0193】
感染後3日目に治療を開始し、1日1回で14日間継続する。33日までの期間にわたって少なくとも1日2回、感染した動物を観察して病気の兆候を点検する。感染した動物から血液検体を採取し、ウイルス学的、血液学的、免疫学的、および化学的な分析を行う。試験期間中に死亡した動物には十分な屍検を行い、組織を採取して病理学検査に供する。感染の程度を判定するために、3日目に動物3匹を安楽死させ、その組織を処理して組織内のウイルスのレベルを判定する。臓器を凍結融解し、10%の組織ホモジネートを得て定量PCRにより分析する。Qiagen QIAmp DNAミニキットを用いたDNA抽出、および上述の定量的TaqMan−MGB PCRによって、血液1ミリリットル当たりのMPXゲノムの数を決定する。サル痘ウイルスの病変を毎日数える。
【0194】
カニクイザル(NHP)を対象とするST−246型Iの薬物動態分析
飼料を与えた状態のNHPに対し、10、20、および30mg/kgのST−246を経口強制飼養により投与する。投与日には、用量投与の直前に、どの動物にも霊長動物用のビスケットスラリーを投与する。ビスケットスラリーには、Ensure1缶(8oz)または他の流動食、液体および電解質置換調製粉乳(electrolyte replacement formula)(Prang)約36g、特殊調製粉乳約94g、ろ過した果物1ジャー(2.5oz)、サル用固形ビスケット5個、ならびに水2ozが含まれ、これを混合して硬度を均一にしてある。ビスケットスラリーは、10ml/kgの用量体積のものを強制飼養で経口投与する。被験物質の各用量を投与した後、そして強制飼養管を除去する前に、10mlの水道水で管を洗い流した。投与調合物を磁石の撹拌棒と撹拌皿で撹拌する。個別の用量は、ごく最近の体重に基づく。20−mg/kg用量群を除いて、それぞれの用量群にはNHPのオス3匹とメス3匹を含め、20−mg/kg用量群にはオス4匹とメス4匹を含める。10−および30−mg/kg用量群はST−246型Iを連続14日間摂取し、20−mg/kg群のNHPはST−246の単回投与を受けた。大腿動脈/静脈予備試験(0時間)で(投与前)、ならびに第1日目、7日目、および14日目の投与後0.5、1、2、3、4、6、8、12、および24時間に血液検体を採取し、ST−246型Iの血漿中濃度を判定する。
【0195】
カニクイザルのサル痘モデルに対するST−246型Iの有効性の評価
ここに記載する試験は、MPXに静脈内感染させたNHPに対するST−246型Iの経口投与の無作為化プラセボ対照平行群間比較縦断試験である。動物は、主要組織の広範囲にわたるMPX感染を示しており、これは組織内のウイルスのレベルによって示される。ST−246型I処置を行う時点で、NHPの3分の1がウイルス病変を抱えている。ビヒクルだけの投与を受けた動物は、全匹が死亡したかまたは安楽死を必要としている。何故なら、この動物群は、33日間の試験の間瀕死の状態だったからである。これに対して、ST−246型Iを投与された動物は全匹が生き延びている。ST−246型Iの投与を受けた動物はいずれも、試験期間全体を通じて生き延びている。
【0196】
この一連の実験では、ウイルス負荷および病変の発現を毎日定量化した。ビヒクル用量群の動物の場合と比べて、ST−246型Iのすべての用量で、存在するウイルスDNAの量が最初の5dpiから有意に低下している。14日間にわたる治療の最後には、ST−246型Iで治療した群のウイルス負荷が直線的な用量反応を示し、いずれの群でも、1000倍を超えるウイルス複製のレベルに、ビヒクル治療群より有意な低下が認められる。
【0197】
実施例11−抗オルトポックスウイルス化合物ST−246の型Iカプセルおよび型Vカプセルの健常ヒト志願者に対する単回経口投与の薬物動態比較
試験デザイン
これは、ST−246型I(試験)とST−246型V(基準)との単回400mg(2x200mg)経口投与の薬物動態(PK;AUCの変数およびC
max)を比較し、満腹の健常志願者に対する両化合物の安全性および耐容性を評価するための第I型無作為化二重盲検クロスオーバー探索的試験であった。ふるい分けした63例の被験者(男性および妊娠していない女性、18歳〜50歳)のうち、12例の試験への参加を認め、次の順序のうちいずれかに無作為に割り付けた:型Iの後で型V、または型Vの後で型I。
【0198】
ST−246のPKを決定するために、1日目に尿および投与前(0日目)静脈血サンプルを得て、次に薬剤投与後の一連の採血を行った。いずれの被験者にも、標準的な軽い食事の後30分以内に、ST−246の型Iかまたは型Vの単回用量400−mg(2x200mg)を経口投与した。投与後(治療1)のPK分析のための血液サンプルを、0.5、1、2、3、4、8、12、24、36、48、および72時間に採取した。2日目に、投与後の尿サンプルを採取した。試験の2〜10日目に無治療期間が生じたため、治療2は11日目に始まった。この時に、最初にST−246の型Iを投与された被験者が今度は型Vの400mgの単回用量(2x200mg)を投与され、また逆も同様であった。治療2実施後のPK分析のための血液採取を治療1の実施後と同様に行い、14日目に尿の採取を実施した。血漿サンプルを採取して−70℃で保存した後、最大薬物濃度(Cmax)、最大薬物濃度に達する時間(Tmax)、終末型半減期(t1/2)、血中濃度−時間曲線下面積(AUC)、腎クリアランス(Clr)を分析した。尿サンプルを直ちに4℃で10分間、2000xgで遠心分離し、尿排泄を評価した。ST−246の類似体を内標準に用いて、有効な液体クロマトグラフィーおよびタンデム型質量分析により、ヒト血漿サンプルからST−246を定量化した。
【0199】
試験は、ST−246の型Iカプセルおよび型Vカプセルの単回用量を経口投与した後に、薬物動態(PK)を比較したものである。この目標は、被験者12人中12人を対象とした型IのPK評価、および被験者12人中11人を対象とした型VのPK評価のための血漿サンプルを採取し、分析することによって達成された。ST−246の薬物動態パラメーターである最大血漿中濃度(Cmax)、用量投与後Cmaxに到達した時間(Tmax)、プラズマ照射(AUC0−τ、AUC0−∞)、および排出半減期(t1/2)を、WinNonlinソフトウェアのプロフェッショナル版(Pharsight Corporation, Version 5.2)を用いた無隔壁分析を使って推定した。
【0200】
ST−246型Iおよび型Vの薬物動態を、下記の表18にまとめた:
【0201】
【表21】
【0202】
単回経口投与後の時間経過に従ったST−246の平均(標準偏差)血漿中濃度(PK母集団)を、
図24に示す。