特許第6018053号(P6018053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6018053-プレート熱交換器 図000002
  • 特許6018053-プレート熱交換器 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018053
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】プレート熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/08 20060101AFI20161020BHJP
   F28F 3/04 20060101ALI20161020BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   F28F3/08 311
   F28F3/04 A
   F28D9/00
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-517154(P2013-517154)
(86)(22)【出願日】2011年6月15日
(65)【公表番号】特表2013-530374(P2013-530374A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011059965
(87)【国際公開番号】WO2012004100
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】1050755-6
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】502298310
【氏名又は名称】スウェップ インターナショナル アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】ダールベリ トマス
【審査官】 藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−173771(JP,A)
【文献】 米国特許第03661203(US,A)
【文献】 特表2000−508751(JP,A)
【文献】 特開2000−292079(JP,A)
【文献】 特開2008−190786(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3026231(JP,U)
【文献】 特表平06−508426(JP,A)
【文献】 特表2003−508714(JP,A)
【文献】 特表2004−502921(JP,A)
【文献】 特表昭62−502560(JP,A)
【文献】 特表平05−500850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/08
F28D 9/00
F28F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の間で熱を交換するためのプレート熱交換器であって、前記熱交換器は複数の積層されたプレート(A、B、C、D)を備え、前記プレートには、隆起部(R)および溝(G)を含む第1の大型のパターンが設けられ、隆起部(R)および溝(G)を含む第1の大型のパターンは、第1(A、B)および第2(C、D)の積層されたプレート対を、第1の媒体についての流路が前記プレート対の間の空間に形成されるように、互いに間隔を保つようにすることと、隣接するプレート対の大型のパターンが互いに接触する箇所において前記プレート対の間に接触点を提供することと、を目的とし、
各プレート対(A、B;C、D)のプレートは、隆起部(r)および溝(g)を含む小型のパターンにより互いに間隔が保たれ、隆起部(r)および溝(g)を含む小型のパターン自体が、各プレート対(A、B;C、D)のプレートの間に接触点を形成することを特徴とする、プレート熱交換器。
【請求項2】
大型の隆起部Rおよび溝Gは、前記熱交換プレートの幅にわたって斜めに延びる細長い隆起部および溝として配置され、前記プレート対が互いに積層されると、隣接するプレートの対の隆起部Rおよび溝Gは互いに交わる、請求項1に記載のプレート熱交換器。
【請求項3】
大型の隆起部Rおよび溝Gはヘリングボーンパターンにおいて配置され、隣接するプレート対の隣接するプレートの前記ヘリングボーンパターンの頂部は反対方向を向いている、請求項1に記載のプレート熱交換器。
【請求項4】
前記熱交換プレートは互いの間にろう材を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の間で熱を交換するためのプレート熱交換器であって、その熱交換器は複数の積層されたプレートを備え、そのプレートには、互いから離間して第1および第2の対の積層されたプレートを維持することを目的とする隆起部および溝を含む第1の大型のプレスされたパターンが設けられ、それにより、第1の媒体についての流路が前記プレートの対の間の空間に形成され、隣接するプレートの対の大型のプレスされたパターンが互いに接触する点においてプレートの対の間に接触点を提供する、熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換器は、2つの媒体が互いに熱を交換する種々の用途に広範囲に使用されている。
【0003】
プレート熱交換器、特にろう付けしたプレート熱交換器は、何年にもわたって、多くの用途についての最も効果的かつ経済的な解決方法であることが証明されている。ろう付けしたプレート熱交換器は、プレートの間に接触点を提供するように構成されるプレスされたパターンの隆起部および溝が設けられる複数の熱交換プレートを備え、それ故、プレート間流路の形成下で互いから離間して隣接するプレートを維持することは当業者により周知である。隣接するプレートは接触点において互いにろう付けされる。大部分のろう付けされたプレート熱交換器は「対称である」。すなわちそれらは、全てのプレート間流路について等しい質量流に対して同じ流れ抵抗を有する。
【0004】
さらに、プレート熱交換器は高圧に耐えることは知られておらず、ほとんどの熱交換器は20または30バールの設計破裂圧力を有する。これは、冷却剤として二酸化炭素を有する用途を除く、ろう付けしたプレート熱交換器が今まで十分に強力でなかった、多くの用途に関して、冷凍回路における使用でさえ、十分である。
【0005】
ろう付けしたプレート熱交換器の設計圧力を増加させるためにいくらかの試み、例えば、強化構造を用いて熱交換器の外端を設けることがなされている。
【0006】
数十年間、プレスされたパターンの熱交換プレートが「狭い」、すなわち、熱交換プレートのプレスされたパターンの隆起部と溝との間の距離が短い場合、ろう付けした熱交換器の設計圧力が増加することが知られている。
【0007】
当業者により周知のように、多くの用途において、全ての流路が同じ設計圧力を有することは必ずしも必要ではない。大部分の場合、冷媒流路は非常に高い設計圧力を必要とする。高い設計圧力を有する冷却剤と熱交換する媒体のための流路を有することは多くの場合、避けられないが、効果的ではない。反対に、多くの場合、この媒体のために高い設計圧力を有する流路を備えることは弊害を生じる。高い設計圧力を有すると、プレートの間の接触点の高い表面密度、およびプレートの間のわずかな距離に起因して圧力降下が増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
公知の熱交換器に関する1つの他の問題は、それらが同じ長さのチャネルを有することである。これは熱伝導の観点から見て非常に効果的ではない。一例として、例えばブライン溶液と金属との間の熱伝導率は冷却剤と金属との間よりかなり高い。従って、ブラインチャネルの長さを一定に維持しながら、冷却剤流路の長さを増加させることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、媒体の間で熱を交換するためのプレート熱交換器であって、その熱交換器は複数の積層されたプレートを備える、熱交換器により上記および他の問題を解決する。プレートには、互いから離間して第1および第2の対の積層されたプレートを維持することを目的とする隆起部および溝を含む第1の大型のプレスされたパターンが設けられ、それにより、第1の媒体のついての流路が前記プレートの対の間の空間に形成される。さらに、隣接するプレートの対の大型のプレスされたパターンが互いに接触する点においてプレートの対の間に接触点が設けられる。各々のプレートの対のプレートは、隆起部および溝を含む小型のプレスされたパターンにより互いから離間して維持される。
【0010】
大型の隆起部Rおよび溝Gは熱交換プレートの幅にわたって斜めに延びる細長い隆起部および溝として配置されてもよく、プレートの対が互いに積層される場合、隣接するプレートの対の隆起部および溝は互いに交わる。
【0011】
別の実施形態において、大型の隆起部および溝はヘリングボーンパターンで配置されてもよく、隣接するプレートの対の隣接するプレートのヘリングボーンパターンの頂部は反対方向を向いている。
【0012】
コンパクトかつ強力な熱交換器を提供するために、熱交換プレートは互いにろう付けされてもよい。
【0013】
以下において、本発明は添付の図面と併せて説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明に係る熱交換器に含まれる4つの熱交換プレートの部分的斜視図である。
図2図2は、図1の4つのプレートのランダムに選択された部分を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、4つの熱交換プレートA、B、CおよびDを部分的斜視図において示す。全ての4つのプレートには、大型(large scale)のプレスされたパターンの隆起部Rおよびくぼみ部Dが設けられ、熱交換プレートの幅にわたって斜めに延びる(図示せず)。
【0016】
大型のプレスされたパターンの隆起部Rおよび溝Gが、互いに平行に、かつ同期して延びるように、熱交換プレートAおよびBを含む熱交換器の対が配置されるように、熱交換プレートは配置される。プレートCおよびDは熱交換プレートの別の対を形成し、隆起部Rおよび溝Gが、互いに平行に、かつ同期して延びる。熱交換器を形成する熱交換プレートの積層において、プレートA、BおよびC、Dの2つの対はそれぞれ、プレートBおよびCの隆起部Rおよび溝Gが、プレートBとCとの間で接触点を形成するように交わるように配置される。隆起部Rと溝Gとの間の接触点は互いから離間してプレートを維持し、それにより、流路BCを形成する。
【0017】
全ての熱交換プレートA、B、CおよびDにはまた、隆起部rおよび溝gを含む小型(small−scale)のプレスされたパターンが設けられる。隆起部rおよび溝gは隆起部Rおよび溝Gを含む大型のパターンに統合され、プレートCとDとの間に接触点を形成するために、熱交換プレートDの溝gは熱交換プレートCの隆起部rと交わるように配置され、それにより、熱交換プレートは、狭い流路CDの形成下で互いから離間して維持され、一方で、接触点が接続部を提供し、以下に説明するろう付け操作の後、互いに結合されたプレートを維持する。熱交換プレートAおよびBにもまた、小型の溝gおよび小型の隆起部rが設けられ、それにより、プレートAおよびBは、流路ABの形成下で互いから離間して維持される。
【0018】
大型および小型のプレスされたパターンにより提供される、流路AB、CDおよびCDを通る選択的な流体の流れを可能にするために、ポート開口部(図示せず)周囲の領域(図示せず)は当業者に周知のように異なる高さで提供される。
【0019】
熱交換器の熱交換プレートにはまた、当業者により周知のように、封止した円周端部を形成するために隣接するプレートの端部と同時作用するように設計される端部が設けられる。
【0020】
示した実施形態において、4つの異なる種類の熱交換プレートが使用される。ポート開口部が同じサイズを有する場合、2種類の熱交換プレートを使用することが可能であるが、4つのプレートを使用することにより、2つの異なるサイズを有するポート開口部を有することが可能である。
【0021】
2つの異なるポートサイズを使用することが有益である。なぜなら、溝Gおよび隆起部Rを含む大型のプレスされたパターンにより形成される流路BCの流量範囲は、溝gおよび隆起部rを含む小型のプレスされたパターンにより形成される流路ABおよびCDの流量範囲より実質的に大きく、異なる流量範囲の流路を有し、同じサイズのポート開口部では、ポート開口部を非常に小さくするかまたはポート開口部を非常に大きくするかのいずれかになるからである。本発明の好ましい実施形態において、小型の溝および隆起部により規定される流路と連通するポート開口部は、大型の溝および隆起部により規定されるポート開口部より小さい。
【0022】
上記から理解できるように、隆起部rおよび溝gを有する小型のプレスされたパターンにより形成される流路ABおよびCDは、大型のプレスされたパターンにより規定されるように蛇行している。このことは、これらの流路の有効長が、隆起部Rおよび溝Gをそれぞれ含む大型のプレスされたパターンにより形成される流路の有効長と比較して長いことを意味する。
【0023】
これは、本発明に係る熱交換器の意図する使用の1つ、すなわち二酸化炭素とブライン溶液との間の熱交換器である場合、非常に有益である。当業者により周知のように、金属と二酸化炭素との間の熱伝導率はブライン溶液と金属との間より著しく低い。二酸化炭素のための熱流路の有効長を増加させることによって、熱交換器の実際の長さを増加させずに熱交換器の熱交換能力は顕著に増加する。
【0024】
熱交換器の当業者により周知のように、これは一部の場合において非常に有益である。熱伝導率は多くの場合、小型の流路を通って移動する媒体に関しては低いからである。
【0025】
本発明に係る熱交換器の1つのさらなる有益性は、大きなチャネルBCならびに小さなチャネルABおよびCDの可変の破裂圧力能力を有することを可能にすることである。これは、互いに近接して隆起部rおよび溝gを配置することにより達成され得、隆起部rおよび溝gが互いに近接して配置される場合、プレート間に多くの接触点が形成され、それにより、破裂圧力が増加する。
【0026】
上記において、隆起部R、rおよび溝G、gは、互いに交わる細長い隆起部および溝として記載されている。本発明の他の実施形態において、しかしながら、隆起部R、rおよび溝G、gはそれぞれ、「くぼみ」、すなわち平滑な円錐凹部および突起部の形態であってもよい。しかしながら、プレスされたパターンにおいて「負」の圧力角が存在しないことが重要であり、プレスパターンのプレス後、プレスツールがプレスされたプレートを解放しなければならない。
【0027】
本発明に係る熱交換器のプレートA、B、CおよびDは好ましくは互いにろう付けされるが、ガスケットで封止された熱交換器を形成するためにガスケットが存在する端部(図示せず)およびポート領域を設計することも可能である。
図1
図2