(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018056
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】眼鏡用および職業的に又はスポーツに使用するマスク等用のフレーム
(51)【国際特許分類】
G02C 5/14 20060101AFI20161020BHJP
G02C 5/12 20060101ALI20161020BHJP
G02C 1/00 20060101ALI20161020BHJP
A61F 9/02 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
G02C5/14
G02C5/12
G02C1/00
A61F9/02 310
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-521044(P2013-521044)
(86)(22)【出願日】2011年7月6日
(65)【公表番号】特表2013-533512(P2013-533512A)
(43)【公表日】2013年8月22日
(86)【国際出願番号】EP2011061434
(87)【国際公開番号】WO2012013465
(87)【国際公開日】20120202
【審査請求日】2014年7月1日
(31)【優先権主張番号】PD2010A000237
(32)【優先日】2010年7月27日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】502346105
【氏名又は名称】ジェオックス エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】GEOX S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(72)【発明者】
【氏名】ポレガート モレッティ,マリオ
【審査官】
廣田 健介
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第10−2002−0035554(KR,A)
【文献】
特開2003−169821(JP,A)
【文献】
実開平02−081518(JP,U)
【文献】
特開平10−161067(JP,A)
【文献】
特開2004−109659(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2008−0109170(KR,A)
【文献】
特表平07−508424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00−13/00
A61F 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(10,100)は、フレーム(10,100)を装着する使用者の皮膚に対して開く少なくとも1つの貫通開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)を有し、
少なくとも1つの防水性で蒸気透過性の機能的挿入体(12,30,104)が設けられて、前記少なくとも1つの貫通開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)を蒸気透過可能な方法で遮って使用者の皮膚からの蒸気の透過を可能にすると共に、皮膚への液体の逆戻りを防止するように配置され、フレーム(10,100)の少なくとも一部分が2つの結合部品からなり、少なくとも1つの防水性で蒸気透過性の機能的挿入体(12,30,104)が前記2つの結合部品の間に介在し、前記少なくとも1つの開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)は、前記フレーム(10,100)の側頭部分に設けられ、前記フレーム(10,100)を装着している使用者の側頭部に対面するように、および/又は側頭部上に設置されるようにデザインされた、少なくとも1つの側頭部蒸気透過用開口(11b,103b)を備えることを特徴とする、
使用時に使用者の眼の領域の前の位置に、少なくとも1つの矯正および/又は保護レンズを支持するように構成された、眼鏡用および職業的に又はスポーツに使用するマスク等用のフレーム(10,100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの機能的挿入体(12,30,104)は、
−ポリテトラフルオロエチレン、PTFE、
−ポリウレタン、PU、
−ポリエステル、PES、
−ポリプロピレン、PP、および
−ポリエチレン、PE、
の間から選択された高分子材料から作られた少なくとも一層の膜を備えることを特徴とする請求項1記載のフレーム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの機能的挿入体(12,30,104)は、前記機能的挿入体が閉鎖する前記少なくとも1つの開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)を区画する壁に、防水性の密封を施こすように接続されることを特徴とする請求項1又は2記載のフレーム。
【請求項4】
少なくとも1つの吸収性で蒸気透過性の要素(20a,20b,31,105)を備え、前記吸収性で蒸気透過性の要素は前記少なくとも1つの機能的挿入体(12,30,104)の内面を覆い、前記内面は、使用中には、使用者の皮膚の方に向けられ、前記吸収性で蒸気透過性の要素(20a,20b,31,105)は汗を吸収して染み込みによる汗の保有を防止することができることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフレーム。
【請求項5】
前記吸収性で蒸気透過性の要素(20a,20b,31,105)は、
−フェルト
−不繊布
−高分子材料の網
−マイクロファイバーおよび
−なめし革
の中から選択された材料で作られることを特徴とする請求項4記載のフレーム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの機能的挿入体(12,30,104)の外面を実質的に覆う少なくとも1つの蒸気透過性および/又は穴あきのカバー要素(22a,22b,106,107)を備え、前記外面は、前記フレーム(10,100)を装着している使用者の皮膚に向く面に対して反対側にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフレーム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)は、使用者の鼻に載置されるようにデザインされた、前記フレーム(10,100)の鼻の部分に設けられる、鼻の蒸気透過用の少なくとも1つの開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載のフレーム。
【請求項8】
使用者の耳に載置されるための2つの耳づる(13,14)を備え、前記少なくとも1つの開口(11a,11b,28a,28b,103a,103b)は前記耳づる(13,14)を横切って貫通する開口を備え、前記開口は、前記耳づる(13,14)の少なくとも自由端部分(23,24)を貫通して使用者の皮膚に対面および/又は接触するようになっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、眼鏡用および職業的に又はスポーツに使用するマスク等用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、眼鏡は、眼の機能性における屈折の障害や不足による欠陥を矯正することによって使用者の視力を改善するために、又は太陽光から眼を守るために、又は雨や雪のような大気の条件によって弱められることがある可視性の維持を促進するために、又は作業環境から眼を保護するために、多くの用途において一般的に用いられる。
【0003】
概して、眼鏡および/又はサングラスは、レンズを支持する前面に蝶番でつなぐ(articulate)方式又は可撓性を有する方式で接続されて一部品方式のフレームモデルに設けられる、鏡眼のつる(temples)としても知られた2つの耳づるを備えたレンズ支持フレームから構成される。
【0004】
三部品方式のフレームモデルにおいては、耳づるは2つの対応する端部部品に蝶番でつながれるか又は可撓性を有するように接続されるが、その端部部品は、使用者の鼻に載置される鼻当てを支持するブリッジによって連結されるレンズに接続するようになっている。
【0005】
さらに、例えばスポーツに使用するマスクにおいて厳しい気象条件から、又は作業環境から使用者の眼の領域を守るために適応されるレンズ用の支持縁付きフレームを有する保護マスクが、現在、知られている。
【0006】
一般的に伸縮性のあるストラップが縁付きフレームに結合され、眼の領域を守るために使用者に装着されたときに、マスクを正しい位置に堅固に保持するようになっている。
【0007】
現在、両眼タイプ、つまり単一レンズの代りに2つの別個のレンズを有する保護マスクのモデルも知られている。
【0008】
特に、スポーツ又は作業に使用するためのマスクの分野において、換気の現象、つまりマスク内の循環を増大させてレンズのくもりを防止することを目ざした解決策を見出すことに、絶えず大きい注意が払われてきた。
【0009】
技術の現状において、レンズの中又はフレームの上、下、又は横の部分に形成された小さな穿孔やスロットを有し、マスクと、マスクを装着している使用者の眼の領域との間で空気が循環してレンズの内面を流れてレンズのくもる可能性を低減する、いくつかの発明がある。
【0010】
例えば、米国特許第6009564号および米国特許第5452130号は、スポーツタイプ又は作業タイプのマスクフレームの前部および/又は上部に設けられた複数の開口を開示するが、その開口は厳しい環境や気象条件での使用中に雪や砂によって容易にふさがれる。
【0011】
さらに、雨の場合には、そのような開口は、マスクの内側に雨水を通すので、その利便性や使用効率に対してきわめて不利益をもたらす。
【0012】
さらに、実質的にすべての現在知られているフレームタイプは、眼鏡およびサングラスの両用であり、耳づると前部とを有するか、又は三部品方式であるが、マスク用の縁付きフレームと同様に、使用者の皮膚に接触する領域、特に載置によって接触する領域における皮膚からの蒸気の透過を実質的に妨げるという欠点を被る。
【0013】
この欠点は、額および額の隣接領域には汗腺が特に豊富にあるという観察に基づいてなおさら問題とされる。
【0014】
従って、眼鏡又はマスクによって覆われる実際の面は、発汗の重要な生物学的機能が特に問題とされるので、使用者への不快感を防止するために正しい蒸気透過を保証することによってその発汗機能が保護されなければならない。
【0015】
実際、スポーツに使用するための又は保護のための眼鏡、サングラス又はマスクを装着した人々に知られているように、汗の煩わしい停滞が、フレームと使用者の皮膚との間の接触領域に生じる。
【0016】
そこに形成された汗は、その蒸発が妨げられるので、実際、皮膚の上に直接留まり、フレームの上で液化する。
【0017】
そのような現象は特に、スポーツ又は保護タイプのゴーグル(goggles)において顕著であり、実際、ゴーグルを介しての蒸気透過はほぼ完全にその中で妨げられる。
【0018】
さらに、もしフレームが汗や汗が運んできた脂でよごれた物質から、適切にきれいになっていない場合には、時間が経つと急速に繁殖して目の伝染病を引き起こす菌類およびバクテリアのような病原微生物のコロニーが生成する理想的培養媒体である堆積物が、形成されることがある。
【0019】
発明の開示
この発明の目標は、蒸気透過性であるという点で、従来のフレームの欠点と限界を克服することを可能にする、眼鏡用および職業的な使用又はスポーツに使用するマスク等用のフレームを提供することである。
【0020】
この目標内で、この発明の目的は、皮膚を介して透過した汗の液体が使用者の皮膚の上に停滞することを防止するフレームを提供することである。
【0021】
この発明の他の目的は、フレームによって覆われた領域における使用者の皮膚の上に有害なバクテリアのコロニーの増殖の危険性を、従来のフレームに対して、著しく制限することを可能にするフレームを提供することである。
【0022】
この発明の他の目的は、眼鏡の分野における使用のために、又は太陽に対する保護のために、又は使用者の眼の領域の生物学的バランスに対して攻撃的である環境で使用される保護マスクの分野における使用のために、および風や寒さや強烈な熱放射に対する保護のために、又は砂や花火等の粒のような自由粒子に対する保護のために、異なるモデルで提供可能な蒸気透過フレームを考案することである。
【0023】
この目標およびこれらの目的は、以下においてより明らかになるが、フレームがフレームを装着する使用者の皮膚に向って開く少なくとも1つの貫通開口を有し、
少なくとも1つの防水性で蒸気透過性の機能的挿入体(functional insert)が設けられて、前記少なくとも1つの貫通開口を蒸気透過可能な方法で遮って使用者の皮膚からの蒸気の透過を可能にすると共に、皮膚への液体の逆戻りを防止するように配置されたことを特徴とする、
使用時に使用者の眼の領域の前の位置に、少なくとも1つの矯正および/又は保護レンズを支持するように構成された、眼鏡用および職業的に又はスポーツに使用するマスク等用のフレームによって達成される。
【0024】
この発明のさらなる特徴と利点は、添付図面の中の非限定実施例によって示される、この発明によるフレームの好ましいが排他的でない実施形態の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、第1実施形態における、この発明によるフレームの斜視図である。
【
図2】
図2は、この発明による
図1のフレームの細部の拡大分解斜視図である。
【
図3】
図3は、この発明によるフレームの構造的変形の拡大断面斜視図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態における、この発明によるフレームの正面図である。
【
図5】
図5は、この発明による
図4のフレームの側面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に設けられる、この発明によるフレームの細部の分解斜視図である。
【0026】
発明の実施方法
図を特に参照すると、参照番号10は眼鏡用フレームを全体的に示し、そのフレームは、使用中に使用者の眼の領域の前に設けられた位置に2つの矯正および/又は保護レンズを支持するようになっている。
【0027】
この発明によれば、フレーム10は、フレーム10を着用している人の皮膚に向って開いた複数の貫通開口11aと11bを有し、対応する開口11aと11bを蒸気が透過できるように遮り、それらを介しての使用者の皮膚からの水蒸気の透過を可能にすると共に、液化したものが皮膚に戻ることを防止するように防水性と蒸気透過性の機能的挿入体が設けられている。
【0028】
図2を参照すると、前記機能的挿入体の1つが、概略的に示されると共に、参照番号12によって示されている。
【0029】
特に、その機能的挿入体は、それが閉じる開口11aと11bを区画する壁に、防水シールを施すように都合よく接続される。
【0030】
例えば、
図1と2に、非限定の実施例によって示されるように、耳づる13と14および鼻あて15と16が都合よく2つの結合された部品の中に設けられ、以後包括的に述べられるように、その間に機能的挿入体が挿入される。
【0031】
特に、
図2は、鼻当て15と16の内の第1鼻当て15の構造を非限定的実施例によって示すが、第2鼻当て16および耳づる13と14の構造は実質的に同等であるので、さらに説明されない。
【0032】
都合のよいことに、第1鼻当て15はその厚み方向に貫通し、開口11aと11bの内の鼻の蒸気透過開口11aを形成する。第1鼻当て15は、フレーム10の前部17に結合された第1部分15aと、第1部分15aに結合された第2部分15bとによって都合よく形成され、それらに一致するように形成された機能的挿入体12がそれらの間に介在する。
【0033】
部分15aと15bは、都合よく環状構造を有して2つの対応する窓18と19を備え、部分15aと15bが結合されるとき、窓18と19は協働して鼻の蒸気透過開口11aを形成する。
【0034】
第1部分15aは、接着接合により第2部分15bに都合よく結合され、機能的挿入体12の周縁領域は部分15aと15bに気密的に結合される。機能的挿入体12は、接合に用いられる接着剤からほとんど離れたままであり、窓18と19を介しての蒸気透過性を維持し、使用中に鼻の蒸気透過開口11aを形成する。
【0035】
発明の他の実施形態において、例えば、その部分は、機能的挿入体がその間に挿入された状態で、上下の高周波溶接又はオーバーモールドによって結合されることが可能である。
【0036】
都合のよいことであるが、吸収性および蒸気透過性の要素20aと20bが設けられて機能的挿入体の内面を覆う。その内面は、使用中には、使用者の皮膚の方を向く。
【0037】
吸収性および蒸気透過性の要素20aと20bは、汗を吸収することができ、かつ、染み込みによる保有を防止することができると、好都合である。
【0038】
特に、吸収性および蒸気透過性の要素20aと20bの内の第1要素20aは、窓18と19の第1の窓18に収容されるように形づくられる。第1の窓18は第1の鼻当て15の第1部分15aを貫通して開かれている。
【0039】
ほぼ均等な方法で、吸収性および蒸気透過性の要素20aと20bの内の第2要素20bは、窓21に収容されるように形づくられる。窓21は長手方向に延びて耳づる13と14の内側部分13aと14aの中に開かれ、開口11aと11bの内の側頭部の蒸気透過開口11bの内側部分を形成する。
【0040】
特に、吸収性および蒸気透過性の要素20aと20bは、
−フェルト、
−不繊布
−高分子材料の網
−マイクロファイバー
−なめし革
−および同等品
の間から選択された材料で作られると都合がよい。
【0041】
フレーム10は、都合のよいことに、蒸気透過性の及び/又は穴あきのカバー要素22aと22bをさらに備え、要素22aと22bは機能的挿入体の外面を実質的に覆い、その外面は、フレーム10を装着する使用者の皮膚と対向する面に対して反対側にある。
【0042】
一般的に、この発明のフレームの実施要件によれば、そのようなフレームは横方向の貫通開口を有する耳づるを備え、その貫通開口は少なくとも自由端部分を貫通し、その自由端部分は使用者の皮膚に対面および/又は接触するようになっており、非限定実施例として
図1の参照番号23と24によって示されている。
【0043】
非限定実施例としてここに説明されるフレーム10において、横方向の貫通開口は、側頭部の蒸気透過性開口11bを備えると都合がよい。
【0044】
さらに、不測の要求によれば、そのカバー要素は、網状又は格子状構造を有することができる。
【0045】
この発明によるフレームの構造的変形において、フレームは使用者の鼻に適応するように蝶番でつながった鼻当てを備えることができるが、その鼻当てはフレームを鼻の上に支持するようになっている。
【0046】
図3は、さらなる実施形態による有節の鼻当てを、非限定実施例として示し、全体的に参照番号25で示される。
【0047】
有節の鼻当て25は、この発明によるフレームの鼻の部分に、本質的に公知の、従ってさらに説明しない方法で蝶番でつながるようになっている蝶番部分26を備えると都合がよい。
【0048】
さらに、鼻当て25は、好ましくは、構造体27を備え、構造体27は蝶番部分26に接続されて開口28aと28bを有し、開口28aと28bは、フレームの使用中は、使用者の皮膚を構造体27を介して周囲の環境に接続し、有節の鼻当て25は、人間工学的に形づくられた載置接触壁29によって使用者の皮膚の上に載置されると都合がよい。
【0049】
防水性で蒸気透過性の機能的挿入体は、
図3において参照番号30で示され、載置接触壁29を貫通する開口28aと28bの内の第1鼻用蒸気透過開口28aを都合よく覆い、例えば載置接触壁29に周縁の接着剤による接着によってそれらを防水性の密封によって閉じる。
【0050】
従って、機能的挿入体30は、第1鼻用蒸気透過開口28aを介して、使用中に鼻当て25が載置される使用者の皮膚からの蒸気の透過を可能にし、同時に、皮膚へ液体が戻ることを防止する。
【0051】
吸収性と蒸気透過性要素がまた設けられ、
図3において参照番号31で示され、機能的挿入体30を覆い、汗を吸収すると共に染み込みによる停滞を防止すると都合がよい。
【0052】
さらに、構造体27は、高分子材料で作られると都合がよく、開口28aと28bの内の第2鼻用蒸気透過開口28bを都合よく有する裏壁33と、載置接触壁29とによって区画される蒸気透過性チャンバーを形成する箱状構造を有すると有利である。
【0053】
構造体27は、吸収性で蒸気透過性材料、例えば、フェルトや不繊布などで作られると、好都合である。
【0054】
好ましくは、裏壁33は例えばシリコーンのような柔軟な材料で作られた仕上げ要素34で覆われるが、仕上げ要素34は第2鼻用蒸気透過開口28bを開放するために貫通孔を備えると好都合である。
【0055】
ここではさらに説明しない鼻当て25の構造的な変形においては、防水性および蒸気透過性機能的挿入体は、かなりの厚さを有し、それを組込んだフレームを正しく使用するときに経験される変形に対する独立した抵抗をそれに与るので、吸収性および蒸気透過性要素を備えない。
【0056】
そのような構造的変形において、防水性および蒸気透過性の機能的挿入体は、好ましくは、高分子材料で作られ、十分な厚さを有する単一層として押し出し形成されるか、又は複数の重合層の積層によって得られるか、又は単一の密着要素を得るために追加の挿入体を介在させた複数層の積層によって得られる。
【0057】
高分子材料は、ポリテトラフルオロエチレン、PTFE、ポリウレタン、PU、ポリエステル、PES、ポリプロピレン、PP、ポリエチレン、PE、などから選択されると、好都合である。
【0058】
そのような特性を有する機能的挿入体は、例えばPTFE材料で作られ好ましくは0.1mmと3.0mmの間の厚さを有する単層又は例えば発泡PTFE材料で作られ、好ましくは0.1mm〜5.0mmの範囲内の厚さを有する多重層を用いることによって得ることができる。
【0059】
変形として、POREX(登録商標)という商標で一般に知られた焼結された多孔性の高分子複合材料を有利に使用することができる。
【0060】
この発明の不測の実施要求によれば、鼻当て25の異なる構成方法が選択される。
【0061】
特に、例えば、機能的挿入体30は、与えられた型で熱予備成型され、好ましくは、それが周辺の接着接合により実質的に都合される構造体に一致すると好都合である。
【0062】
変形としては、この発明によるフレームの鼻当てのさらなる構成方法において、鼻当ての構造体はゴンドラのように形づくられ、吸収性で蒸気透過性の材料で作られると好都合である。
【0063】
この構成方法において、構造体は、例えばフェルトのような蒸気透過性材料で作られるので、開口や蒸気透過チャンバを備えない。それは、それらの機能、つまり、構造体を介して水蒸気を通過させることが、構造体の蒸気透過性構造によって同じように行われるからである。
【0064】
機能的挿入体は蒸気透過性の構造体の上で熱い間に例えば適当なホットモールドの中で構造体と機能的挿入体を配置し、型を作動させて機能的挿入体を構造体に一致させ、それらを一体的に結合することによって、オーバーモールドされると好都合である。
【0065】
図4,5および6を特に参照すると、この発明によるフレーム100は、第2実施形態において、マスク102を形成するために、レンズ101を支持する縁どり構造を有する。
【0066】
この発明によれば、フレーム100は、それを装着する使用者の皮膚の方に向って開いた貫通開口103aと103bを備える。
【0067】
防水性で蒸気透過性の機能的挿入体は、使用者の皮膚から蒸気を透過させ、皮膚へ液体が戻ることを防止するために、開口103aと103bを蒸気透過可能に遮るように配置される。
【0068】
機能的挿入体は、それらが閉じる開口103aと103bを区画する壁に防水シールを施こすように接続されると好都合である。
【0069】
開口103aと103bは、
−フレーム100の鼻部分に設けられ、使用者の鼻に静止するようにデザインされた鼻の蒸気透過開口103aと、
−フレーム100の側頭部分に設けられ、それを装着している使用者の側頭領域に対面するように、および/又は側頭領域に静止するようにデザインされた側頭部の蒸気透過開口103b、
からなる。
【0070】
側頭部の蒸気透過開口103bは、機能的挿入体の第1機能挿入体104によって閉じられると好都合である。第1機能挿入体104はマスク102の内側の表面で、吸収性で蒸気透過性の要素105によって覆われ、要素105の内面は、使用中に使用者の皮膚の方を向くと好都合である。
【0071】
吸収性で蒸気透過性の要素105は汗を吸収して染み込みによる保有を防止できると好都合であり、
−フェルト、
−不繊布、
−高分子材料の網、
−マイクロファイバー、
−なめし革、
−およびその他、
の中から選択された材料で作られることが好ましい。
【0072】
さらに、フレーム100は、実質的に均等な構造上の変形において、穴あき又は蒸気透過性被覆要素106によって保護された第1機能的挿入体104を有すると、好都合である。
【0073】
被覆要素106は、第1機能的挿入体104の外面を実質的に覆うと好都合である。なお、その外面はフレーム100を装着する使用者の皮膚の方に向く面と反対側にある。
【0074】
説明も、図示もしないが、同様に、機能的要素の第2機能的挿入体が設けられ、鼻の蒸気透過開口103aを封じる。
【0075】
第2機能的挿入体は、添付図に示されない吸収性で蒸気透過性の要素によってマスク102の内面において覆われると好都合であるが、その内面は、使用中には使用者の皮膚の方を向き、吸収性で蒸気透過性の要素は汗を吸収して染み込みによる保有を防止できると好都合であり、好ましくは、
−フェルト、
−不繊布、
−高分子材料の網、
−マイクロファイバー、
−なめし革、
−およびその他、
の中から選択された材料で作られる。
【0076】
さらに、
図4と5において、参照番号107は第2機能的挿入体用の被覆要素を示すが、それは実質的に被覆要素106と実質的に同等であるので、これ以上は説明しない。
【0077】
この発明によるフレームの構造的変形において、そのフレームはここに図示しないマスクを備えるように構成され、防水性で蒸気透過性の機能的挿入体がかなりの厚さを有し、それを組み込むフレームの正しい使用時に経験される変形応力に対する独立的な抵抗をそれに与えることができ、従って、吸収性で蒸気透過性の要素を除去することができる。
【0078】
さらに、別の構造的変形において、この発明によるフレームは、機能的挿入体によって防水性と蒸気透過性を有するように閉じられた開口を有し、使用者の眼の領域の周辺で、使用者の顔に設置されるようになっているフレームの全輪郭上に使用者の皮膚に直接接触する部分のほぼ全体においてマスクを形成するように構成される。その機能的挿入体は、かなりの厚さ、つまり、機能的挿入体を組み込んだフレームの正しい使用時に経験される独立した抵抗を与えるような厚さを有することが好ましい。
【0079】
防水性および蒸気透過性という用語は、水、特に、液体状の、つまり液化された汗に対して不浸透性であり、かつ、水蒸気に対して浸透性である機能的挿入体の品質を示す。
【0080】
一般的に、この発明によるフレームの実施の不測の要求によれば、フレームは少なくとも一つの貫通開口を有し、その貫通開口はフレームを装着する使用者の皮膚に向って開き、少なくとも1つの防水性で蒸気透過性の機能的挿入体が備えられ、その挿入体は、貫通開口を蒸気透過可能にふさいで使用者の皮膚からの蒸気の透過を可能にし、皮膚へ液体が戻ることを防止するように配置される。
【0081】
実質的に均等な方法で、その少なくとも1つの開口は、フレームの少なくとも1つの蒸気透過性領域によって置換されてもよい。
【0082】
この発明の実施の不測の要求によれば、機能的挿入体は、
−薄手の、つまり例えば、10ミクロンと100ミクロンの間の寸法を実質的に有する厚さを有し、高分子材料で作られた少なくとも1つの防水性で蒸気透過性の膜、
−厚手の、つまり、例えば、0.1mmと5mmの間の寸法を実質的に有する厚さを有し、発泡又は非発泡のいずれかである高分子材料で作られた1つの防水性で蒸気透過性の膜であって、単体又は多重層と凝集のいずれかである膜、
−焼結された多孔質の複合高分子材料、例えば、POREX(登録商標)として商業的に知られた製品で作られた少なくとも1つの層
の間から選択的に備える。
特に、高分子材料は、
−ポリテトラフルオロエチレン、PTFE
−ポリウレタン、PU、
−ポリエステル、PES、
−ポリプロピレン、PP、
−ポリエチレン、PE、
−および、その他
の間から選択されると、好都合である。
【0083】
この発明の実施の不測の要求によれば、機能的挿入体は、そのような膜で作られた少なくとも1つの層を備え、例えば、機能的挿入体は前記高分子材料の単体として作られてもよいし、複数層の膜の密着積層体として作られてもよいし、蒸気透過性層により保護のために覆われた膜の1つにより、又は特に好ましい溶液の中で作られてもよく、機能的挿入体は、
−0.1mmと3mmの間の厚さを都合よく有する単体として、又は
−0.1mmと5mmの間の厚さを都合よく有する積層体として、
ポリテトラフルオロエチレン、PTFEから作られてもよい。
【0084】
さらに、この発明の実施の不測の要求により、機能的挿入体は、例えば、ポリオレフィン、ナイロン、ポリエステル、アラミドファイバー又はフルオロポリマーからなる不繊布、ネット、網および多の多孔フィルムのような水蒸気を透過可能な多孔材料を介在させた、PTFE又は均等物によって作られた複数の層を備えてもよい。
【0085】
実際、見出されたことであるが、この発明は、職業的な、又はスポーツの用途のための眼鏡のフレームやマスクを提供することによって、意図された目標と目的を達成し、蒸気透過性であるという点で、従来のフレームの欠点と限界を克服することを可能にする。
【0086】
特に、この発明によるフレームは、皮膚を透過して液化した汗が、使用者の皮膚上に停滞することを防止することができ、フレームの開口を通り開口を閉じる機能的挿入体を実際に汗が蒸気の形で透過する。
【0087】
機能的挿入体を透過した汗がフレームの外側で液化した場合でも、機能的挿入体は、防水性でありフレームを防水方式で閉じるので、汗が皮膚に接触するところまで戻ることを防止する。
【0088】
さらに、この発明によるフレームは、フレームによって覆われる領域において、使用者の皮膚の上で有害なバクテリアのコロニーが増殖する危険性を従来のフレームに対して大きく限定することができる。実際、皮膚によって生成される汗の蒸気を透過させて、その停滞、従って、皮膚に接触して増殖するバクテリアの巣の形成を防止する。
【0089】
さらに、この発明による蒸気透過性フレームは、使用の不測の要求に適応できるように、最も異なるモデルを備えてもよい。例えば、そのフレームは眼鏡および/又はサングラスの分野での使用に適合されることが可能で、継ぎ目のない形で、随意に「縁なし」と呼ばれる形で、又は3つの部品からなる形で提供される。
【0090】
変形として、この発明によるフレームは、風、冷気又は強度の熱放射に対する保護又は砂や花火などのような自由粒子に対する保護のためのような、使用者の眼の領域の生物学上のバランスに対して攻撃的な環境で使用される保護マスクを形成するために、提供される。
【0091】
このように考案されたこの発明は、多数の変更や変形を受け入れることができ、それらすべては、添付の特許請求の範囲内にあり、全ての詳細は他の技術的均等要素とさらに置換されることが可能である。
【0092】
実施に際して、使用される材料は、特定の使用、不測の形状や寸法で互換性がある限り、要求によりおよび技術の状態に対して、どのようなものであってもよい。
【0093】
この出願が優先権を主張するイタリア国特許出願第PD2010A000237号における開示は、引用によってここに組み込まれる。
【0094】
請求項に記載された技術的特徴には参照符号が付けられているが、これらの参照符号は請求項の明瞭性を増大するという基本的な目的のために備えられたものである。従って、そのような参照符号は、その参照符号による例によって特定された各要素の説明について限定的な効果をもつものではない。