(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弁尖と、拡張可能なフレームと、を有する人工弁を含む心臓弁であって、前記フレームが移植位置に送るための収縮状態および外側において弁輪に連結されるように構成された拡張状態を有し、前記心臓弁が、近位ハブおよび内部を貫通するルーメンを有するホルダ上に装着され、前記近位ハブがバルーンイントロデューサスリーブに連結され、該バルーンイントロデューサスリーブは前記弁尖の位置及びその近傍にルーメンを画定し、前記バルーンイントロデューサスリーブが、内部を貫通するルーメンを有するハンドルシャフトの遠位側端部に連結される、心臓弁と、
前記ハンドルシャフトの中に挿入され、前記ハンドルシャフトの前記ルーメンと前記ホルダの前記ルーメンとを通過して前記心臓弁内に入るように構成されたバルーンカテーテルと、
を備える人工心臓弁システムであって、
前記人工弁を含む前記心臓弁を提供するステップと、
前記フレームが前記収縮状態にある前記心臓弁を、前記弁輪に隣接する移植位置まで前進させるステップと、
前記バルーンカテーテルを前記ハンドルシャフトの中に挿入するステップと、
前記バルーンカテーテルを前記ハンドルシャフトのルーメン、前記バルーンイントロデューサスリーブのルーメン、及び前記ホルダのルーメンを通じて前記心臓弁内に送り込むステップと、
前記バルーンを前記バルーンカテーテル上で膨張させて、前記フレームを拡張させるステップと、
を有する人工心臓弁システムを送り、移植する方法における使用のための人工心臓弁システム。
前記方法が、前記ホルダ上に装着された前記心臓弁を、前記ハンドルシャフトおよび前記バルーンカテーテルとは別個にパッケージングするステップをさらに含む請求項1に記載の人工心臓弁システム。
前記フレームの前記収縮状態は円錐状であり、前記バルーンカテーテル上の前記バルーンは、膨張させる前に前記フレームの前記遠位側端部の近傍に位置する正中線を有する、請求項1に記載の人工心臓弁システム。
前記フレームの前記収縮状態は円錐状であり、前記フレームは半径方向に拡張可能な複数のストラットを備え、該ストラットのうちの少なくともいくつかは列の状態に配置されており、前記人工弁から最も遠い前記列は、前記収縮状態から前記拡張状態への拡張に関して最大の容量を有する、請求項1に記載の人工心臓弁システム。
前記方法が、前記心臓弁の前記弁輪の弁口サイズを、前記フレームを塑性的に拡張することによって、1.0mm〜5.0mmだけ増加させる、請求項1に記載の人工心臓弁システム。
前記フレームの前記収縮状態は、円錐状であり、遠位方向にテーパ状になり、前記バルーンは、膨張する前に前記フレームの遠位側端部の近傍に位置する視認可能な正中線をさらに含む、請求項7に記載のシステム。
前記バルーンカテーテルは、前記ハンドルシャフトの前記ルーメン内を貫通して延びる膨張チューブを有し、前記膨張チューブの外径は、前記ハンドルシャフトのルーメンの内径の90%よりも大きい、請求項7に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ヒトの心臓の解剖学的前面図であり、内部の各心腔と隣接する構造とを示す部分断面図である。
【
図2】右心房内の三尖弁、左心房内の僧帽弁、およびその中間の大動脈弁を示すヒトの心臓の解剖学的上面断面図であり、心周期の心室拡張(心室充填)期に三尖弁および僧帽弁が開かれ、肺動脈弁が閉じられている図である。
【
図3】
図2に示すヒトの心臓の解剖学的上面断面図であり、心周期の心室収縮(心室排出)期に三尖弁および僧帽弁が閉じられ、肺動脈弁が開かれている図である。
【
図4】左心房および右心房の解剖学的前面図であり、各心腔ならびに卵円窩、冠状静脈洞、および大心静脈のような関連する構造の内部を示す部分断面図である。
【
図5A】弁ホルダ上に組み立てられた本出願の例示的な人工心臓弁の斜視図である。
【
図5B】弁ホルダ上に組み立てられた本出願の例示的な人工心臓弁の斜視図である。
【
図7A】例示的な人工心臓弁および弁ホルダの直交図である。
【
図7B】例示的な人工心臓弁および弁ホルダの直交図である。
【
図7C】例示的な人工心臓弁および弁ホルダの直交図である。
【
図7D】例示的な人工心臓弁および弁ホルダの直交図である。
【
図9】例示的な人工心臓弁の内側構造バンドサブアセンブリの分解図である。
【
図10】布で覆われた波状ワイヤフォームのさらなる弁サブアセンブリの斜視図である。
【
図10A】弁サブアセンブリのカスプ部の詳細断面図である。
【
図11】互いに接合されたバンドサブアセンブリと縫合糸透過ソーイングリングの斜視図である。
【
図11A】バンドサブアセンブリのカスプ部の半径方向断面図である。
【
図12A】流入側固着スカートに結合して本出願の人工心臓弁を形成する前の外科的心臓弁の流入側斜視図である。
【
図12B】流入側固着スカートに結合して本出願の人工心臓弁を形成する前の外科的心臓弁の流出側斜視図である。
【
図13】外科的心臓弁に結合するための布で覆われた固着スカートの一部の分解アセンブリ図である。
【
図14】
図13に示す布で覆われた固着スカートの一部およびそれに結合されて流入側固着スカートを形成する下部シーリングフランジの分解アセンブリ図である。
【
図15A】布で覆われた固着スカートの上方の外科的心臓弁を示すとともに、この2つの部材を結合する一方法を概略的に示す図である。
【
図15B】固着スカートの塑性的に拡張可能な内側ステントフレームおよびそれを通過する結合縫合糸のパターンを示す図である。
【
図16A】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、案内縫合糸の設置を含む、心臓弁を受け入れるように大動脈弁輪を準備する予備ステップを示す図である。
【
図16B】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、送りハンドルの遠位部上に取り付けられた心臓弁を案内縫合糸に沿って大動脈弁輪内の所定の位置に前進させる状態を示す図である。
【
図16C】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、心臓弁が、縫合糸スネアの配置時に大動脈弁輪における所望の移植位置にある状態を示す図である。
【
図16D】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、鉗子によって縫合糸スネアの外側上端部を外側に曲げて心臓弁および移植部位によりうまく到達できるようにしている状態を示す図である。
【
図16E】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、拡張バルーンを前進させる前の送りシステムを示す図である。
【
図16F】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、拡張バルーンを前進させた後の送りシステムを示す図である。
【
図16G】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、バルーンカテーテルのバルーンを膨張させて固着スカートを拡張した状態を示す図である。
【
図16H】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、バルーンをしぼませて伸ばした状態を示す図である。
【
図16I】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、スネアを取り外した後でバルーンカテーテルを弁ホルダから分離して取り外している状態を示す図である。
【
図16J】上行大動脈の下方の隣接する左心室の一部を示すとともに、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁を展開する際の一ステップを例示する大動脈弁輪の斜視切取図であり、案内縫合糸をソーイングリングの近位面上に結紮することによって人工心臓弁を完全に植え込んだ状態を示す図である。
【
図17】保存ジャーの構成部材と一緒に弁ホルダに結合された例示的な人工心臓弁を示す斜視図である。
【
図18】心臓弁およびホルダを保存ジャー内に嵌る保存クリップに組み付けた斜視図である。
【
図18A】弁ホルダを保存クリップ内に取り付けた底面平面図である。
【
図19A】ハンドリングロッドの端部上のバルーンイントロデューサスリーブを、保存ジャー(破線)内の保存クリップに取り付けられた人工心臓弁の流入端部に挿入している状態を示す斜視図である。
【
図19B】バルーンイントロデューサスリーブを弁ホルダに結合した後ハンドリングロッドを使用して心臓弁/ホルダのアセンブリおよび保存クリップを保存ジャーから取り外す状態を示す図である。
【
図19C】心臓弁およびホルダを保存クリップ内から横方向に取り外している状態を示す図である。
【
図20】バルーンイントロデューサスリーブおよびハンドリングロッドの分解斜視図である。
【
図21A】バルーンイントロデューサスリーブの細部を示す図である。
【
図21B】バルーンイントロデューサスリーブの細部を示す図である。
【
図21C】バルーンイントロデューサスリーブの細部を示す図である。
【
図21D】バルーンイントロデューサスリーブの細部を示す図である。
【
図21E】バルーンイントロデューサスリーブの細部を示す図である。
【
図22】本出願の人工心臓弁送りシステムの構成部材の分解斜視図である。
【
図23】
図22の人工心臓弁送りシステムの組立て後斜視図である。
【
図24A】
図19Cに示すハンドリングロッドの端部上に取り付けられた人工心臓弁/ホルダアセンブリに
図23の送りシステムを結合する際の一ステップを示す図である。
【
図24B】
図19Cに示すハンドリングロッドの端部上に取り付けられた人工心臓弁/ホルダアセンブリに
図23の送りシステムを結合する際の一ステップを示す図である。
【
図24C】
図19Cに示すハンドリングロッドの端部上に取り付けられた人工心臓弁/ホルダアセンブリに
図23の送りシステムを結合する際の一ステップを示す図である。
【
図25】例示的な心臓弁送りシステムのロッキングスリーブの斜視図である。
【
図25A】例示的な心臓弁送りシステムのロッキングスリーブの長手方向断面図である。
【
図26】心臓弁ホルダに結合された心臓弁送りシステムのアダプタの斜視図である。
【
図26A】心臓弁ホルダに結合された心臓弁送りシステムのアダプタの端面図である。
【
図26B】心臓弁ホルダに結合される心臓弁送りシステムのアダプタの長手方向断面図である。
【
図27】アダプタおよびロッキングスリーブが心臓弁ホルダおよびバルーンイントロデューサスリーブにどのように結合されるかを示す、
図24Cの線27−27に沿った長手方向断面図である。
【
図28】ハンドリングロッドを取り外した送りシステムの端部上に心臓弁/ホルダアセンブリを取り付けた状態を示すとともに、送りシステムの細長いハンドルシャフトの展性を例示する斜視図である。
【
図29】同じく、細長い送りシステムハンドルシャフトの有利な展性を例示する、送りシステムの端部上の心臓弁/ホルダアセンブリを目標の大動脈弁輪の方へ前進させている状態を示す概略斜視図である。
【
図30】バルーンカテーテルが引込み位置にある心臓弁送りシステムの立面図である。
【
図30A】バルーンカテーテルが引込み位置にある心臓弁送りシステムの長手方向分解断面図である。
【
図31】バルーンカテーテルが伸長位置にある心臓弁送りシステムの立面図である。
【
図31A】バルーンカテーテルが伸長位置にある心臓弁送りシステムの長手方向分解断面図である。
【
図32】システムから分解されたロッククリップを示す、本出願の例示的な心臓弁送りシステムの近位側端部の斜視図である。
【
図33A】ロッククリップによってバルーンカテーテルが引込み位置に保持された心臓弁送りシステムの立面図である。
【
図33B】ロッククリップによってバルーンカテーテルが引込み位置に保持された心臓弁送りシステムの長手方向分解断面図である。
【
図34】トグルレバーを使用して、弁送りシステム内でバルーンカテーテルが過度に早く展開されるのを防止する代替実施形態の図である。
【
図35】トグルレバーを使用して、弁送りシステム内でバルーンカテーテルが過度に早く展開されるのを防止する代替実施形態の図である。
【
図36】トグルレバーを使用して、弁送りシステム内でバルーンカテーテルが過度に早く展開されるのを防止する代替実施形態の図である。
【
図37A】人工心臓弁内でバルーンカテーテルを展開させ、バルーンを膨張させて固着スカートを拡張する状態を示す、
図16Eに類似した斜視図である。
【
図37B】人工心臓弁内でバルーンカテーテルを展開させ、バルーンを膨張させて固着スカートを拡張する状態を示す、
図16Fに類似した斜視図である。
【
図37C】人工心臓弁内でバルーンカテーテルを展開させ、バルーンを膨張させて固着スカートを拡張する状態を示す、
図16Gに類似した斜視図である。
【
図38】人工心臓弁および弁ホルダを有し
図31Aのバルーン前進構成にある心臓弁送りシステムの部分断面図である。
【
図39】
図38と同様であり、バルーンが膨張したときにバルーン伸長ワイヤが移動してばねを圧縮する状態を示す部分断面図である。
【
図40】
図38と同様であり、バルーンがしぼんだときにバルーン伸長ワイヤおよびばねが戻り移動する状態を示す図である。
【
図41】本明細書で開示する弁送りシステムにおいて使用される例示的な段状バルーン構成の斜視図である。
【
図42】本明細書で開示する弁送りシステムにおいて使用される例示的な段状バルーン構成の断面図である。
【
図42A】本明細書で開示する弁送りシステムにおいて使用される例示的な段状バルーン構成の断面図である。
【
図43】バルーン伸長ワイヤの遠位側端部の外観図である。
【
図44A】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の外観図である。
【
図44B】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の外観図である。
【
図44C】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の外観図である。
【
図44D】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の外観図である。
【
図45A】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の断面図である。
【
図45B】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の断面図である。
【
図45C】例示的なバルーンカテーテルの成形された遠位側先端部の断面図である。
【
図46A】本明細書で開示する例示的な人工心臓弁の組立て後の図である。
【
図46B】拡張可能なスカートが弁構成要素から分解された、本明細書で開示する例示的な人工心臓弁の図である。
【
図47A】拡張可能なスカートをクリンピングして円錐状送り構成を形成するための方法を概略的に示す例示的な人工心臓弁の図である。
【
図47B】拡張可能なスカートをクリンピングして円錐状送り構成を形成するための方法を概略的に示す例示的な人工心臓弁の図である。
【
図48A】拡張可能なスカートをクリンピングして円錐状送り構成を形成するための方法を概略的に示す例示的な人工心臓弁の図である。
【
図48B】拡張可能なスカートをクリンピングして円錐状送り構成を形成するための方法を概略的に示す例示的な人工心臓弁の図である。
【
図49A】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図49B】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図49C】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図49D】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図50A】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図50B】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図50C】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図50D】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図50E】本明細書で開示する人工心臓弁のスカートステントを拡張するための機械的フィンガを含む代替システムを概略的に示す図である。
【
図51】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図52A】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図52B】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図52C】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図53】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図54A】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図54B】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図54C】バルーンが過度に早く展開するのを防止する、本明細書で開示するカテーテル上のバルーンを膨張させるのに使用される流体用の代替弁システムを概略的に示す図である。
【
図55】周囲の布製カバーを取り除いたスカートステントに結合された市販の弁構成要素を有する例示的な人工心臓弁の斜視図である。
【
図55A】スカートステントの布製カバーが示されている心臓弁のカスプ部の半径方向断面図である。
【
図57】
図55に示す人工心臓弁と同様であるが、
図55の人工心臓弁とは異なるよりしっかりしたソーイングリングを有する代替人工心臓弁の斜視図である。
【
図58A】代替構成を示す、
図57の人工心臓弁の半径方向断面図である。
【
図58B】代替構成を示す、
図57の人工心臓弁の半径方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、従来の開心手術に伴う欠点の解消を試み、同時に、治療手順の持続時間を短縮する新規の技法のうちのいくつかの技法も採用する。本発明の人工心臓弁は主として、上記の開心手術を含む従来の外科技法を使用して送られて移植されるようになっている。そのような手術にはいくつかの手法があり、それらすべての手法において、特定の心臓弁輪への直接的な到達経路が形成される。説明を明確にするために、直接的な到達経路は、心臓弁輪の直接的な(すなわち、裸眼による)視覚化を可能にする到達経路である。さらに、本明細書で説明する人工心臓弁の実施形態が、経皮的手法、および間接的な視覚化を使用する弁の遠隔移植を必要とする低侵襲外科手法を使用して送ることができるように構成されてもよいことが認識されよう。しかしながら、これら2つの手法、すなわち経皮的手法および低侵襲性手法は、折畳み可能/拡張可能な弁構成に必然的に依存する。本明細書で説明するある態様は、そのような弁および技法に有用であり得るが、本出願の主要な目的および主な利点は、従来通りに導入される拡張不能な「外科的」弁の分野の目的および利点である。
【0033】
本発明の主要な一態様は、組織アンカーが弁部材と同時に埋め込まれ、ある利点をもたらす「単体」人工心臓弁である。本発明の例示的な単体人工心臓弁は、拡張不能な部分と拡張可能な部分の両方を有するいわばハイブリッド弁部材である。拡張不能な弁部材に結合された拡張可能な固着スカートまたはステントを利用することによって、一連の縫合糸を利用する従来の縫合手順と比較して固着工程の持続時間が大幅に短縮される。拡張可能な固着スカートを単純に半径方向外側に拡張して移植部位に接触させてもよく、あるいは拡張可能な固着スカートがバーブのような追加的な固着手段を備えてもよい。前述のように、心臓外科医に馴染みの深い従来の開心手法および心肺バイパス法が使用される。しかしながら、この拡張可能な固着スカートによって、時間のかかる従来のノット結紮プロセスに対する移植の相対速度によってバイパスにかかる時間が大幅に短縮される。
【0034】
定義上、用語「ステント」および「結合ステント」は、心臓弁輪の組織に固着することのできる構成部材を指す。本明細書で説明する結合ステントは通常、管状のステント、または様々な形状または直径を有するステントである。ステントは通常、ステンレススチールまたはニチノールのような生体適合性を有する金属フレームで形成される。本発明の文脈では、ステントは、塑性的に拡張可能な金属のレーザ切断されたチューブで作られることがより好ましい。本発明の弁と一緒に使用できる他の結合ステントには、剛性の高いリング、らせん状に巻かれたチューブ、および弁輪内にぴったりと嵌り、血液が通過できる弁口を画定するそのような他のチューブが含まれる。しかしながら、結合ステントは、連続的な周囲を画定しない別個のクランプまたはフックであってもよいことは完全に想定可能である。そのようなデバイスは、接触の一様性、展開速度、および展開の容易さをある程度犠牲にするが、特定の弁部材と連動するように構成されてもよい。
【0035】
この分野では、自己拡張ステントとバルーン拡張ステントとの違いが存在する。自己拡張ステントは、小さいチューブとしてクリンピングされるかまたはその他の方法で圧縮されてもよく、外側シースなどの拘束部材が取り外されたときにステント自体によって飛び出すのに十分な弾性を有する。それに対して、バルーン拡張ステントは、実質的により弾性の低い材料で作られ、実際、小径から大径に転換する際に塑性的に完全に拡張しなければならない。バルーンがステントを実際に拡張するのに使用されるか否かにかかわらず(たとえば、機械的フィンガを有するデバイスはステントを拡張することができる)、用語「バルーン拡張ステント」が塑性的に拡張可能なステントを包含することを理解されたい。ステントの材料は、膨張バルーンまたは機械的拡張フィンガのような変形力が加えられた後に塑性的に変形する。したがって、用語「バルーン拡張可能ステント」は、特定の拡張手段に対するステントの材料または種類を指す語と理解されたい。
【0036】
用語「弁部材」は所定の方向への血流を妨げ、一方、別の方向への血流を許容するための流体閉塞面を有する心臓弁の構成部材を指す。上述のように、可撓性を有する弁尖を含む構成および剛性を有する弁尖を含む構成、または場合によってはボールアンドケージ構成を含む弁部材の様々な構成が利用可能である。弁尖は、生体弁尖、合成弁尖、金属製弁尖、またはその他の適切な手法による弁尖であってもよい。好ましい実施形態では、拡張不能な弁部材は、カリフォルニア州アーバインのエドワーズライフサイエンス社から市販されているCarpentier−Edwards PERIMOUNT Magna(登録商標)大動脈心弁のような、長年にわたって縫合糸を使用して首尾よく移植されている種類の「容易に入手可能な」標準的な外科的弁である。ただし、弁部材の自律性は必ずしも必要とされない。この意味で、「容易に入手可能な」人工心臓弁は、独立的な販売および用途に適しており、通常、開心外科手術においてソーイングリングを通過する縫合糸を使用して移植することのできるソーイングリングを有する拡張不能で折畳み不能な支持構造を含む。
【0037】
本発明の主要な目的は、外科医が固着スカートを有するハイブリッド弁と弁部材とを1つのユニットまたは部材(たとえば、「単体」弁)として弁輪に固定する単一段階移植を有する人工心臓弁である。ハイブリッド固着スカートおよび弁部材のある特徴が、2009年12月10日に出願され、内容が参照により明示的に本明細書に組み込まれる同時係属の特許文献2に記載されている。この出願公開で開示された「2段階」人工弁送りが、a)縫合糸を弁輪に固着し、次いでb)弁部材を連結する2つの主要なステップを指すが、これらのステップが必ずしも弁を2つの部品のみに限定するとは限らないことに留意されたい。同様に、本明細書で説明する弁は、単一段階移植術で特に有利であるが、必ずしも全体的なシステムを1つの部品のみに限定するとは限らない。たとえば、本明細書で開示する心臓弁は、その後移植される心臓弁によって補強される拡張ベースステントを使用してもよい。この心臓弁は、拡張不能で折畳み不能な環状支持構造と塑性的に拡張可能な固着スカートとを有するので、自己拡張するベースステントの反動に効果的に抵抗する。しかしながら、本明細書に付加された様々なクレームでは2つ以上の部品を除外してもよい。
【0038】
さらなる定義として、用語「拡張可能な」は、本明細書では、第1の送り直径から第2の移植直径まで拡張することができる心臓弁の構成部材に言及する。したがって、拡張可能な構造は、温度の上昇、または弁尖もしくは交連に作用する流体の動力学的特性のような偶発的な原因によるわずかな拡張を受けることがある構造を意味しない。逆に、従来の「拡張不能な」心臓弁は、わずかに拡張することが見られることがあるので、「拡張不能な」は、完全な剛性を有するか、または寸法が安定していることを意味するものと解釈すべきではない。
【0039】
以下の説明では、用語「体内路」は、体内の導管または血管を定義するのに使用される。もちろん、人工心臓弁の特定の用途が当該の体内路を決定する。たとえば、大動脈弁置換弁は大動脈弁輪内または大動脈弁輪に隣接する位置に移植される。同様に、僧帽弁置換弁は僧帽弁輪の所に移植される。本発明の所定の特徴は、一方の移植部位または他方の移植部位、特に大動脈弁輪に有利である。しかしながら、組合せが構造的に不可能でないかぎり、またはクレームの文言によって除外されないかぎり、本明細書で説明する心臓弁実施形態はいずれも任意の体内路に移植してもよい。
【0040】
本明細書で説明する「クイックコネクト」大動脈弁生体弁は、大動脈弁狭窄症の治療用の外科的に移植される医療デバイスである。例示的なクイックコネクトデバイスは、移植可能なバイオプロテーゼと、バイオプロテーゼを配置することのできる送りシステムと、を備える。このデバイス、送りシステム、および送り方法は、既存の市販の拡張不能な人工心臓弁の立証された血流力学性能および耐久性を利用し、一方、使いやすさを向上させ、総手術時間を短縮する。これは主として、現在標準的な外科的慣習によって行われており、通常、弁の周囲に手で結紮した12本〜24本の縫合糸を必要とする、バイオプロテーゼの自然弁輪上への縫合を不要にすることによって実現される。また、この技法は、石灰化した弁の弁尖を切除するのを不要にし、弁輪を切除または平滑化することができる。
【0041】
図5Aおよび
図5Bは、弁ホルダ22上に組み付けられた本出願の例示的なハイブリッド人工心臓弁20を示し、一方、
図6Aおよび
図6Bは、心臓弁20から分離された弁ホルダ22を示す。前述のように、人工心臓弁20は、流入端部に取り付けられた固着スカート26を有する弁部材24を含むことが望ましい。弁部材24は、折畳み不能で拡張不能であることが望ましく、一方、固着スカート26は、後述のように図示の収縮状態から拡張状態に拡張することができる。一実施形態では、弁部材24は、カリフォルニア州アーバインのエドワーズライフサイエンス社から市販されているCarpentier−Edwards PERIMOUNT Magna(登録商標) 大動脈弁を備え、一方、固着スカート26は、布で覆われた塑性的に拡張可能な内側フレームまたはステントを含む。
【0042】
弁ホルダ22は、
図6Aおよび
図6B、さらに
図7A〜
図7Dおよび
図8A〜
図8Cを見ると分かるように、雌ねじ31を有する中央管状ハブ部30と、そこから軸方向および半径方向外側に突き出る複数の安定化脚部32とを含む。3つの安定化脚部32の各々は、収縮して交連支柱35(
図5A参照)同士の間の弁部材24のカスプ部34に取り付けられる。ハブ部30の上端部は、後述のように、送りシステムとの弁サイズ特有のキー溝係合部を構成する内部星形ボア36も有する。弁ホルダ22と弁部材24との両方およびそれらの相互作用について以下に詳しく説明する。この点では、弁ホルダ22が、製造時から移植時まで弁部材24に縫合固定され、弁部材と一緒に保存されると言えば十分である。
【0043】
一実施形態において、ホルダ22は、透明であり移植術の可視性を高めるデルリンポリプロピレンのような剛性を有するポリマーで形成されている。
図8Bを見ると最もよく分かるように、ホルダ22は、外科医に弁尖がよく見えるように安定化脚部32同士の間に開口部を有し、脚部が透明であるので、可視性がさらに高まり、光を脚部を透過させて影を最小限に抑えることができる。
【0044】
図7〜
図8は、連結縫合糸を布の人工弁部材24のカスプ34の所を通過させ、各脚部の切断ガイドを横断させるのを可能にする脚部32の一連の貫通穴37も示す。当技術分野で周知のように、ホルダ22に連結され弁を通過する縫合糸の中央長さを切断すると、必要に応じてホルダを弁から引き抜くことができる。各脚部32は、実質的に一定の厚さを有する部分30から半径方向外側下向きに、幅が実質的により広い遠位足部38まで延びている。遠位足部38は、それぞれの脚部32の上部の幅の2倍の幅を有してもよい。貫通穴37は、各遠位足部38の周方向外側点を通過し、したがって、脚部32ごとに顕著な間隔を置いて配置されている。これによって、合計6つの取付け点が、ホルダ22と弁部材24の間において、すべてカスプ領域34に形成される。さらに、各脚部32は、下方に各カスプ部34の中心または底部まで延び、それによって、外科医は、交連支柱の後方および交連支柱に隣接する位置によりうまく到達することができる。さらに、足部38の散開性および足部38上の2重取付け点によって、ホルダとボウ(bow)との間に極めて強い保持力がもたらされる。幅の広い足部38および貫通穴37の構成は、ある種の逆Y字形を形成する。従来のホルダは、交連支柱の頂部または各カスプの底部の単一の点に取り付けられている。そのようなホルダでは、弁は、手術室または解剖学的表面に接触することによって捩じれがちなままであるかまたは変形しがちなままであった。
【0045】
図9〜
図15は、人工心臓弁20を形成する際のいくつかのステップを示す。
【0046】
図9は、3つの直立する支柱44および貝殻形の下側リング46を有する内側ポリマーバンド42と、下側リング46の形状に合う貝殻形を有する、より剛性の高い外側バンド48とを含む内側構造バンドサブアセンブリ40を示す。バンドサブアセンブリ40は、ポリマーバンド42を剛性を有するバンド48内に位置させ、たとえば、位置合わせされた穴に縫合糸を通すことによってこれらのバンド同士を固定することによって形成される。
【0047】
図10は、布で覆われた波状ワイヤフォーム50のさらなるサブアセンブリの斜視図である。
図10Aは、管状部54および外側に突き出るフラップ56を画定する、布で覆われた内側ワイヤ部材52を示すワイヤフォーム50のカスプ部の詳細断面図である。ワイヤフォーム50は、3つの直立する交連支柱58と3つの下向きに凸状のカスプ60とを画定している。これは、三尖心臓弁の標準的な形状であり、3つの自然大動脈弁尖の周縁を模倣している。ワイヤフォーム50の形状は、バンドサブアセンブリ40の上縁部に一致し、人工弁20の流出縁部を画定している。この場合、バンドサブアセンブリ40とワイヤフォーム50は、図示のように、布界面および外側ソーイングリングに接合され、次に可撓性の弁尖に接合される。
【0048】
図11は、組立て後のバンドサブアセンブリ40およびソーイングリング62の斜視図であり、一方、
図11Aは、そのカスプ部の細部を示す。2つの構造バンド42、48は、カスプ領域において高さが同じであり、周囲タブ66として巻かれる布製カバー64に囲まれている。ソーイングリング62は、円錐台形を有し第2の布製カバー70に囲まれた内側縫合糸透過部材68を備える。2つの布製カバー64、70は下部接合点72の所で縫い合わされている。
【0049】
図12Aおよび
図12Bは、固着スカートに結合されて人工心臓弁20を形成する前の外科的心臓弁部材24の流入斜視図および流出斜視図である。構成の細部は示されていないが、3つの可撓性の弁尖74が波状ワイヤフォーム50に沿って固定され、次に
図11に示すバンドサブアセンブリ40とソーイングリング62の組合せに固定される。好ましい実施形態において、3つの弁尖の各々は、逆U字形交連支柱58を通過し、バンドサブアセンブリ40の布で覆われた交連支柱75(
図11参照)の周りを覆う、外側に突き出るタブを含む。
図15Aを見ると分かるように、交連の所の構造全体が二次布で覆われ弁交連35を形成している。
【0050】
前述のように、
図12Aおよび
図12Bに示す完成した弁部材24は、本明細書で説明する人工心臓弁20用の閉塞面を形成する。自律的な(すなわち、独立的な外科的移植が可能である)可撓性の弁尖弁部材24について説明し図示するが、剛性を有する弁尖を有するかあるいは完全な自律性を有さない代替弁部材で置き換えてもよい。様々な好ましい実施形態において、弁尖は、別のヒトの心臓(解剖用死体)、牛、豚(豚の弁)、馬から得られてもよい。他の好ましい変形実施形態において、弁部材は、生体組織ではなく機械的構成部材を備えてもよい。
【0051】
特に重要であるとみなされる弁部材24の一特徴は、弁部材24の流入端部を囲むソーイングリング62である。
図12Aおよび
図12Bを見ると分かるように、ソーイングリング62は、固着スカート26を弁部材24に取り付けるのに使用される。さらに、ソーイングリング62は、弁輪の部分の流出側に接触する外側フランジを有し、一方、固着スカート26は、弁輪の反対側の心室側を拡張し収縮させ、したがって、心臓弁20を両側から弁輪に固定する。さらに、ソーイングリング62が存在することによって、外科医に従来の縫合糸を使用して心臓弁20を弁輪に不測の事態として固定する機会が与えられる。
【0052】
好ましいソーイングリング62は、比較的平面状の上面または流出面および波状下面を画定する。弁構成のカスプは、下面が山部を画定する位置と向かい合う位置でソーイングリングの上面に当接する。逆に、弁交連支柱は、ソーイングリングの下面が谷部を画定する位置に位置合わせされる。下面の波形状は有利なことに、弁輪AAの大動脈側、すなわち上方環状架(supra−annular shelf)の解剖学的輪郭に一致する。リング62は、巻かれた合成布のような縫合糸透過材料または合成布で覆われたシリコーン製内側コアを備えることが好ましい。後者の場合、シリコーンは、下面の輪郭を画定するように成形されてもよく、布製カバーはこの輪郭に合わされる。
【0053】
次に、
図13および
図14を参照して、布で覆われた固着スカート26のアセンブリについて説明する。まず、固着スカート26のサイズが心臓弁20の全体的なサイズに応じて変わることに留意されたい。したがって、以下の説明は、弁構成要素のすべてのサイズに適用され、各寸法は必要に応じて調整される。
【0054】
固着スカート26の一般的な機能は、人工弁部材24を自然大動脈基部に取り付けるための手段を実現することである。この取付け方法は、大動脈弁生体プロステーゼを大動脈弁輪に縫着する現在の標準的な手術方法の代替方法を意図するものであり、かなり短時間で実施される。さらに、この取付け方法は、すべてではないが大部分の縫合をなくすことによって使いやすさを向上させる。固着スカート26は、望ましくは、弁傍の漏れが生じないように密封し、かつ弁輪内に移植された後組織の内部成長を推進する助けになるようにポリエステル布で覆われた、事前にクリンピングされたテーパ状の316Lステンレススチールバルーン拡張可能なステントであってもよい。固着スカート26は、
図5A〜
図5Bのテーパ状の収縮形状と後述の
図16Jに示す末広がりの拡張形状との間で遷移する。
【0055】
固着スカート26は、内側ステントフレーム80と、布製カバリング82と、バンド状下部シーリングフランジ84とを備える。内側ステントフレーム80については以下に詳しく説明するが、内側ステントフレーム80は、波状または貝殻形の上端部86を有する塑性的に拡張可能な管状部材を備えることが好ましい。ステントフレーム80が布82の管状部内に組み付けられ、次いで、布82が、ステントフレームのステントフレームの周りに内側及び外側で引き伸ばされて張られ、ステントフレームに縫着されて
図13の中間布製カバー付きフレーム88を形成する。この組立てプロセスの間、ステントフレーム80は管状であることが望ましい。ただし、フレームは後で、たとえば
図15Bを見ると分かるように円錐状にクリンピングされる。布82の管状部をステントフレーム80の周りに取り付けるための特定のシーケンスは、長手方向の縫合マーカ(図示せず)を布の周りの120°の位置に設け、ステントフレーム上の同様に周方向に間隔を置いて配置された交連フィーチャとの位置合わせを可能にすることを含む。ステントフレーム80を布82によって囲んだ後、3つの120°の位置の各々における一連の長手方向縫合糸が2つの構成部材を互いに固定する。さらに、ステントフレーム80の波状上端部86に沿って一連のステッチを設けて布製エンクロージャを完成する。一実施形態では、布82の管状部はPTFE布を備える。ただし、他の生体適合布を使用してもよい。
【0056】
その後、
図14に示す下部シーリングフランジ84を布で覆われた中間フレーム88の下縁部の周りに周方向に取り付ける。まず、好ましくは編まれた単一の布層の直線状バンド90をリング状に形成し、突合せ継手(図示せず)を使用してリングの端部同士を縫着する。リングを、布で覆われた中間フレーム88の周りに配置し、フレーム88の下縁部に位置合わせし、下縁部に縫着する。前述の交連マーカの所および交連マーカに隣接する位置に一連のステッチを形成することが好ましい。代替として、下部シーリングフランジ84の周りに2本の周方向縫い目線を設けて固着をより強固にしてもよい。
【0057】
下部シーリングフランジ84の材料は、様々であってよいが、好ましくは固着スカート26の下縁部の周りに圧縮可能なフランジを形成する。たとえば、下部シーリングフランジ84は、単一層または多重層の編みPTFE布、テフロン(登録商標)、布で覆われたシリコーンリング、または他の同様の手段であってもよい。さらに、シーリングフランジ84は布をまったく含まなくてもよく、親水性コーティング、フィブリン糊、または固着スカート26の外側の周囲への漏れを防止する助けになる他の同様な物質であってもよい。フレーム88を覆う布層の主な機能は、弁傍の漏れを防止する助けになり、大動脈弁尖(所定の位置に残す場合)および/または大動脈弁輪上のいかなるカルシウム結節もしっかりと被包化する手段を構成することである。固着スカート26全体を覆うと、露出された金属がなくなり、血栓塞栓事象および摩擦のリスクが低下する。好ましい実施形態において、シーリングフランジ84は、軸方向寸法が約2mm〜5mmであり、2mm〜5mmの様々な値を有する距離だけフレーム80の上端部86から間隔を置いて配置されている。フレームの下端部は、上端部86に従う貝殻形であってもよく、その場合、シーリングフランジ84は、上端部86との均等な距離を維持するように波状であってもよい。編みPTFE布の場合、シーリングフランジ84は、半径方向厚さが管状布82の厚さの少なくとも2倍であることが望ましい。
【0058】
図15Aは、布で覆われた固着スカート26の上方の外科的心臓弁部材24と、縫合糸を使用して2つの部材を結合する一方法と、を示す。
図15Bは、布製カバリングが取り外された内側ステントフレーム80を例示し、内側ステントフレーム80を通過する結合縫合糸の好ましいパターンを示す。
【0059】
固着スカート26は、リングの完全性を維持しかつ弁の有効弁口面積(EOA)の減少を防止するように製造プロセス時にソーイングリング62に取り付けられることが好ましい。固着スカート26は、リングの輪郭を維持するようにリング62に連続的に縫着されることが望ましい。なお、縫合糸は、内側ステントフレーム80の上端部または第1の端部86に沿って配列された孔またはアイレット92を通過してもよい。他の連結解決手段には、ステントから内側に延びるプロングまたはフック、タイ、ベルクロ、スナップ、接着剤などが含まれる。代替として、固着スカート26は、人工弁部材24内の剛性の高い構成部材に、よりしっかりと連結されてもよい。
【0060】
内側ステントフレーム80は、
図13および
図15Bにより詳しく示されている。内側ステントフレーム80は、Edwards SAPIEN経カテーテル心臓弁で使用される拡張可能なステンレススチールステントと同様であってもよい。しかしながら、材料はステンレススチールに限定されず、Co−Cr合金のような他の材料を使用してもよい。最終的に、内側ステントフレーム80は、石灰化した自然大動脈弁への挿入を容易にするクリンピングされたテーパ構成をとる(
図7A参照)。テーパ構成において、フレーム80の下縁部94は、上縁部86によって描かれる円よりも小さい直径を有する円を描く。上端部86は、ソーイングリング62(
図5B参照)の下側の波状輪郭に概ね相当する弧状の谷部と弁尖った山部が交互に現れる波状経路を辿る。フレーム80の中央部は、軸方向に延びるストラット100同士の間に鋸歯パターンの3列の拡張可能なストラット98を有する。軸方向に延びるストラット100は、ステントの上端部86の山部および谷部と位相がずれている。より太いワイヤの上端部86によって画定される補強リングは、その周囲に沿って連続的であり、前述のアイレット92によって中断される実質的に一定の厚さまたは線径を有する。取付け縫合糸によって、スカート26の上端部86の山部が、弁の交連の下方に配置されたソーイングリング62の谷部にぴったりと嵌ることに留意されたい。
【0061】
覆われたスカート26の上端部86の最小内径は、スカート26が取り付けられる人工弁部材24の内径よりも常に大きい。たとえば、上端部86が、弁の支持構造を囲むソーイングリング62の下側に固定される場合、定義上、上端部86は、(弁口および対応するラベル付き弁サイズを画定する)支持構造の内径よりも大きい。
【0062】
次に、人工心臓弁20の例示的な移植術について、窩洞を含む隣接する左心室LVおよび上行大動脈AOの一部を示す分離された大動脈弁輪AAの断面図である
図16A〜16Jを参照して説明する。2本の冠動脈CAも示されている。後述のように、固着スカート26は、自然弁尖に接触して展開されるか、あるいは弁尖を切除する場合には、図示のように切除された大動脈弁輪AAに接触して展開される。
【0063】
後に続く手順の図面において、心臓弁20は流入端部が下方に位置し流出端部が上方に位置するように向きが定められている。したがって、用語「流入」と用語「下方」が相互交換可能に使用されてもよく、用語「流出」と用語「上方」も相互交換可能に使用されてもよい。さらに、用語「近位」および「遠位」は、最初に弁流入端部を送る外科医の視点から定義され、したがって、近位は上方または流出と同義であり、遠位は下方または流入と同義である。
【0064】
移植術は、心臓弁20を送り、大動脈弁輪の所で固着スカート26を拡張することを含む。弁部材24は拡張不能であるので、手順全体が通常、従来の開心技法を使用して行われる。しかしながら、固着スカート26が、縫合量が低減した単純な拡張によって移植されるので、手術全体にかかる時間が短縮される。このハイブリッド手法はまた、開心手術および市販の心臓弁に慣れ親しんだ外科医にとって非常に快適である。
【0065】
さらに、このように手順をわずかに変更するとともに、立証された心臓弁を使用すると、厳密に拡張可能な遠隔手順よりもずっと容易な制御経路が形成されるはずである。さらに、外科医によるクイックコネクト心臓弁20の承認は、Magna(登録商標)大動脈弁のようなすでに立証されている市販の心臓弁によって大幅に合理化される。
【0066】
図16Aは、案内縫合糸102の設置を含む、大動脈弁輪AAを心臓弁20を受け入れるように準備する際の予備ステップを示す。大動脈弁輪AAは、概略的に分離されて示されており、図を明確にするために様々な解剖学的構造が示されていないことを理解されたい。弁輪AAは、周囲の心壁から内側に突き出る組織の線維輪を含む。弁輪AAは、上行大動脈AOと左心室LVの間に弁口を画定している。図示していないが、弁輪AAの所で自然弁尖が内側に突き出て弁口の所に一方向弁を形成している。各弁尖を手術の前に除去しておいても、あるいは上述のように所定の位置に残しておいてもよい。各弁尖を除去する場合、骨鉗子などによって、石灰化した弁輪を除去してもよい。上行大動脈AOは、外方への3つの隆起または洞を含む弁輪AAの所から始まり、洞のうちの2つは、冠動脈CAに至る冠動脈口(開口部)COを中心としている。以下の説明から分かるように、交連支柱が冠動脈口COに位置合わせされず、したがって冠動脈口COを閉塞させないように人工弁部材24の向きを定めることが重要である。
【0067】
外科医は、大動脈弁輪AAの周りの等間隔に配置された3つの位置に案内縫合糸102を取り付ける。図示の実施形態において、案内縫合糸102は、冠動脈口COの下方の位置または冠動脈口COに対応する位置に取り付けられる(すなわち、2本の案内縫合糸を動脈口に揃え、第3の案内縫合糸は、非冠静脈洞の下方を中心とする)。案内縫合糸102は、弁輪AAを2度貫通して流出側または上行大動脈側から流入側または心室側に延びるように示されている。もちろん、外科医の好みに応じて他の縫合方法または綿撤糸を使用してもよい。
【0068】
図16Bは、各案内縫合糸102が自由長の対として弁輪AAから延びて開口部部位から出るように固定された状態を示している。心臓弁20は、送りシステム110の遠位部に取り付けられており、外科医は、弁を案内縫合糸102に沿って大動脈弁輪AA内の所定の位置に前進させる。すなわち、外科医は、3対の案内縫合糸102をソーイングリング62の周りの等間隔に配置された位置に通す。案内縫合糸102は、図示のように、大動脈洞の下方で弁輪AAに固着される場合、弁交連支柱同士の中間でリング62に通される。したがって、案内縫合糸102は、弁のカスプの所でソーイングリング62を通過し、弁交連支柱に絡む可能性が低い。さらに、例示的なリング62は、カスプ位置が交連位置よりも軸方向において厚くなり、それによって案内縫合糸102を固定するための材料がより多く得られるように波状流入側を有する。
【0069】
図16Cは、管状の縫合糸スネアの配置時の、大動脈弁輪AAにおける所望の移植位置にある心臓弁を示す。ソーイングリング62は、弁輪内に配置される弁よりも大きい弁口サイズを選択できるように、弁輪の上方または大動脈弁輪AAの最も狭い点の上方に位置している。さらに、固着スカート26を使用して弁輪を拡張し、心臓弁を弁輪の上方に配置した場合、外科医は、従来考えられるサイズよりも1段階または2段階大きいサイズを有する弁を選択することができる。送りシステム110上の拡張バルーン112は、固着スカート26の遠位側端部のすぐ先に見ることができる。
【0070】
外科医は、複数の縫合糸スネア120を案内縫合糸102の各自由長に沿って送り、ソーイングリング62の上側または流出側と接触させる。スネア120は、移植術の間に下向きの圧力をリング62に加え、したがって弁20に加えるのを可能にし、それによって、リング62を弁輪AA上に適切に配置する助けになる。スネア120は、理解されるように、他の可動手術器具に絡まるのを避ける助けになる剛性を有するエンクロージャを、各々の可撓性の案内縫合糸102の周りに形成する。3対の案内縫合糸102(6つの自由長)があるので、3つのスネア120が利用される。ただし、使用可能なスネアの数は3つよりも多くてもあるいは少なくてもよい。スネア120は通常、医療グレードのプラスチックの管状のストロー形部材である。
【0071】
図16Dは、鉗子122によって、縫合糸スネア120の上端部をクリンピングし、心臓弁20および移植部位への到達を改善するように一対の縫合糸を外側に曲げている状態を示す。
【0072】
図16Eは、外側に曲げられたすべての縫合糸スネア120および送りシステム110の大部分を示す。以下により詳しく説明するが、送りシステム110は、ホルダ22上の心臓弁20を操作するための展性を有するハンドルシャフト130を含む。送りシステム110は、拡張バルーン112を前進させる前の構成にある。
【0073】
図16Fは、拡張バルーン112を前進させた後の送りシステムを示す。バルーン112は、下向きに弁20を通って左心室内に突き出る。後述のように、送りシステム110は、バルーン112の2位置変位を実現し、ハンドルシャフト130内に実質的に引き込まれるかあるいは人工心臓弁20の固着スカート26を拡張するのに厳密に必要な距離だけ前進する。
【0074】
図16Gは、固着スカート26を拡張して大動脈弁輪の心室側に接触させるように拡張バルーン112を膨張させた状態を示す。バルーン112は、固着スカート26を拡張して円錐台状拡張状態にする円錐台形状を有することが望ましい。これによって、弁輪の下方の輪郭に形状がよりうまく合うだけでなく、後で拡張しなくても、より大きい弁を利用できるように弁輪がある程度過度に拡張される。塑性的に拡張可能なステントを使用することの1つの利点は、従来の手術によって可能であるよりも大きい弁サイズを受け入れるように自然弁輪を拡張することができることである。左室流出路(LVOT)が、少なくとも10%またはたとえば1mm〜5mmだけ顕著に拡張され、外科医が、拡張されていない弁輪と比較して大きい弁口径を有する心臓弁20を選択できることが望ましい。場合によっては、弁輪サイズを1mm大きくすることが重要である。その理由は、この勾配が半径の4乗に比例すると考えられるからである。
【0075】
バルーン112は、約0°〜45°、より好ましくは約38°(0°は円筒形の拡張部である)の角度を有するようにテーパ状にされることが望ましい。代替として、バルーン112は、固着スカート26が特定の弁輪内によりうまく嵌るように様々な所望の形状に変形するように曲線または非軸対称的な輪郭を含んでもよい。実際、2008年1月24日に出願され、開示が明示的に本明細書に組み込まれる、System for Deploying Balloon−Expandable Heart Valvesという名称の特許文献3に記載されている。
【0076】
次に、
図16Hは、バルーン112が収縮され再び覆われた状態を示す。送りシステム110内のばね機構は、バルーン112の長手方向のひだと一緒に、バルーンがより容易に除去されるように極めて狭い構成に収縮されたときにバルーンを再び覆うのを容易にする。
【0077】
図16Iは、不測の事態としてのみ起こる、スネア120の外れが生じる前または後にバルーン112および送りシステム110全体が弁ホルダ22から引き込まれる状態を示す。図示していないが、バルーンおよびスカート26が拡張した後の最も一般的な手順は、弁ホルダ22と人工弁部材24との間で連結縫合糸を切断し、送りシステム全体を取り外すことを含む。ホルダ22を弁部材24に連結する各縫合糸の中央長さを切断すると、遠位側端部にホルダを有する送りシステム110を弁20から自由に引き抜くことができる。しかしながら、送りシステム110は、外科医が
図16Iに示すように弁20に取り付けられたままになるホルダ22からシステム110を容易に取り外すのを可能にする、後述の単純な係合分離機構も備える。この分離は、元のバルーンに漏れが生じるかまたは何らかの理由で元のバルーンが適切に展開しない場合のように、バルーンカテーテルを交換するときに必要になる場合がある。この「クイックリリース」構成は、外科医が、弁20を所定の位置に残しつつカテーテルを迅速に交換するのを可能にする。
【0078】
最後に、
図16Jは、案内縫合糸102がソーイングリング62の近位面上に結紮されることによって完全に移植された人工心臓弁20を示す。案内縫合糸102は主として、心臓弁20が大動脈弁輪に接触した状態で配置されるときに回転によって心臓弁20の向きを定め、かつ軸方向の位置決めが可能なように平面を画定するための縫合糸である。したがって、案内縫合糸102は、心臓弁20を弁輪に固定するうえで必ず必要であるとは考えられない。さらに、ノットは案内縫合糸102を固定するためのものとして示されているが、クリップまたはクリンチのような他のデバイスを使用してプロセスを迅速化してもよい。
【0079】
案内縫合糸102を自然弁およびプロステーゼのカスプに配置すると、ノットが交連から分離され、したがって、到達可能性が向上する。また、交連支柱同士の間のノットの数は、いくつかが交連支柱の後方に位置する従来のような多数(12〜24)ではなく3つに減る。3本の縫合糸を使用すると、弁20が正しく配置され、縫合糸を交連支柱同士の間に中心合わせすると、カスプが弁輪内の最も低い点に位置するのでノットを結紮するうえで最も到達可能性が高くなる。ノット(またはクリップ)を弁輪内の最も低い点に配置すると、冠動脈閉塞のリスクを最低限に抑える助けになる。
【0080】
図17は、製造されてから使用されるまでの間人工心臓弁20を保存するための構成部材の例示的な構成を示す。この「ウエット」保存構成は、従来の生体弁尖を含む図示の心臓弁20に適用されるが、乾燥された生体弁尖および機械弁に使用されてもよい。
【0081】
心臓弁20は、前述のホルダ22に取り付けられるとともに、ふた144を有する保存ジャー142内に嵌合する保存クリップ140の上方に取り付けられるように図示されている。
図18は、保存クリップ140に取り付けられた心臓弁20とホルダ22を示す。心臓弁20の流入端部および特に拡張可能な固着スカート26は、この取付け構成内で上を向いている。この向きは、技術者が後述のハンドリングロッドおよび弁尖分割スリーブを心臓弁20の中心を通して流入側から流出側に挿入するのを可能にする。通常、人工大動脈弁は、ハンドルを直立するホルダに取り付けることができるように流出側および交連を上に向けて保存され、これは標準的な送りの向きである。
【0082】
人工心臓弁20が従来の生体弁尖を有する場合、生体弁尖を長期的に保存できるように保存液が必要である。したがって、ジャー142の内部にグルトアルデヒドなどの保存料が設けられている。
【0083】
図18Aは、弁ホルダ22を保存クリップ140内に取り付けた底面図であり、
図18と一緒に、2つの構成部材が適切に係合していないことを組立て担当者に示す構造を示す。特に、再び
図6Aを参照すると分かるように、ホルダ22の中央管状ハブ部30は、保存クリップ140に係合するための等間隔に配置された3つの側面上に外側に突き出る複数のタブまたはラグを備える。図示のように、これらの側面のうちの2つには、より長いラグ152から隙間をおいて配置されたホルダの流出端部上の小さいラグ150が含まれる。第3の側面には、
図18を見ると最もよく分かるように、単一の細長いラグ154が中央ハブ部30の長さにわたって延びている。ラグ150、152同士の間の隙間は、保存クリップ140の中央孔の内側縁部を受け入れ、一方、細長いラグ154は横方向出口穴156を通って延びている。細長いラグ154は連続的であるので、組立て担当者が図示の向き以外の向きで保存クリップ140の中央孔にホルダ22を挿入した場合、ラグ154は保存クリップ140の2つの半円状側面を互いに引き離し、クリップが保存ジャー142内に嵌るのを妨げる。
【0084】
図19A〜
図19Cは、人工心臓弁20を保存ジャー142から取り外す際のいくつかのステップを示す。ユーザが、遠位側端部にバルーンイントロデューサスリーブ162が取り付けられたハンドリングロッド160を握る。バルーンイントロデューサスリーブ162は、
図21A〜
図21Eにより詳しく示されており、弁ホルダ22上の雌ねじ31に係合する雄ねじ164を含む。ユーザは、スリーブ162を流入側から弁20に挿入してスリーブをホルダ22にねじ込む。次いで、
図19Bを見ると分かるように、ホルダ22に取り付けられた人工心臓弁20をジャー142から取り外すことができ、それによって保存クリップ140も取り外される。
図19Cは、ユーザが弁ホルダ22を出口穴156(
図18A)を通して横方向に引っ張ることによって弁ホルダ22を保存クリップ140から分離している状態を示す。
【0085】
イントロデューサスリーブ162をこのように取り付けると、いくつかの利点がもたらされる。第1の最大の利点として、スリーブ162は、バルーンカテーテルが流出側から通過することができる貫通穴を弁尖74のレベルに画定する。通常、3つの弁尖74は、弁支持構造によって画定される弁口に広がり、120°離れた向きに定められ、中心線の所で交差する3つの線セグメントに概ね沿って組み合わされるかまたは「接合される」自由縁部を有する。この構成は、自然弁を模倣しており、一方向への血流を許容するが逆方向への血流を妨げるうえでうまく働く。弁尖74は、使用時の耐久性が極めて高いが、弁尖74は、比較的脆弱であり、特に、牛の心膜または豚の異種移植片のような生体組織で作られている場合、移植術の間に固体の物体と接触することによって損傷を受けやすい。したがって、イントロデューサスリーブ162は、以下に示すように、各弁尖74を分割し、弁尖74と弁を通過するバルーンカテーテルとの間に保護バリアを形成する。スリーブ162がない場合、バルーンカテーテルを逆方向に、接合された弁尖の自由縁部を越えた位置まで推し進める必要がある。分割スリーブ162のさらなる利点は、分割スリーブ162をホルダ22に組み付けるのが容易であることである。弁20を通したホルダ22への取付けは直感的なものであり、ハンドリングロッド160の取外しは単純である。弁20とホルダ22のアセンブリは、使用される前に、多くの場合グルタルアルデヒドまたはその他の保存料の保存溶液中に一緒に保存される。イントロデューサスリーブ162は、弁尖74に長期的に接触することよって、弁尖74にくぼみを生じさせないようにホルダ22に事前に取り付けないことが好ましい。すなわち、弁尖74は、その弛緩状態または接合状態で保存される。
【0086】
この段階では、ユーザは、保存溶液を人工心臓弁20から容易に洗い落とすことができ、一方、保存溶液はハンドリングロッド160の端部上に残る。さらに、後述のように、ハンドリングロッド160は、心臓弁20およびホルダ22を送りシステム110に係合できるように位置させるための好都合な器具を構成する。この係合および送りシステムの構成部材について詳細に説明する前に、バルーンイントロデューサスリーブ162の構成および機能についてよりよく理解する必要がある。
【0087】
図20は、ハンドリングロッド160から分解されたバルーンイントロデューサスリーブ162を示す。ハンドリングロッド160は、実質的に星形の外形を有する遠位側端部168の直前の円形フランジ166の所に末端を有する、細長く好ましくは管状の直線状ハンドルを含む。
【0088】
バルーンイントロデューサスリーブ162は、
図21A〜
図21Eを見ると分かるように、実質的に管状であり、ハンドリングロッド160の遠位側端部168の外部星型形状と一致する星型形状を有する内部ボアを有する拡大された第1の端部170を含む。すなわち、ハンドリングロッド160の遠位側端部168はスリーブ162の第1の端部170に円形フランジ166までぴったりと嵌合す。
図21Dおよび
図21Eは、ハンドリングロッド160の遠位側端部168上に設けられた同様の形状を有するリブ(図示せず)を受け入れるサイズを有する第1の端部170の口部内に形成された円形溝172を示す。リブと円形溝172とが係合することによって、2つの構成部材の間に適切な干渉が生じ、長手方向のしきい値分離力が加えられるまで構成部材同士が分離されるのが防止される。この分離力は、心臓弁20、ホルダ22、および保存クリップ140の総重量よりも大きいが、ユーザが構成部材同士を容易に引き離せるほどに小さい。それぞれの星形の雄構成部材および雌構成部材のリブおよび溝には、構成部材同士が係合する端部に向かってテーパが施されており、いくらかずれていても迅速に連結できることに留意されたい。
【0089】
管状のスリーブ162は、拡大された第1の端部170に隣接する前述の雄ねじ164を含み、円形の溝176を除いて第2の端部174に至るまで実質的に一定の外径を有する。スリーブ162の内側ルーメンは、第1の端部170から離れる方向に定直径部分180におけるわずかな距離だけ延び、次いで、第2の端部174まで延びる第2の定直径部分184に至る徐々に狭くなるテーパ182を含む。これらの表面の機能上の利点について、スリーブ162の全体的な目的と一緒に、以下に説明する。
【0090】
図22は、人工心臓弁送りシステム110の分解図であり、一方、
図23は組立て後のシステムを示す。図示していないが、バルーンプロテクタスリーブがバルーン112の周りに配置され、出荷時にバルーン112を保護する。プロテクタスリーブは、末広がりの遠位側端部を有する管状の構成部材であり、直径がイントロデューサルーメンの内径よりも大きく、バルーンプロテクタは確実に、2つの構成部材が連結される前に取り外される。システムは、その近位側端部に、ルアーアダプタ192を有するエンドキャップ190と、バルーン伸長ばね194と、ばね圧縮ピン196と、バルーンディスプレーサ198と、膨張チューブ199と、バルーン伸長ワイヤ200とを含む。システム110は、中央部において、センタリングワッシャ202と、ハンドピース204と、前述の展性を有するハンドルシャフト130とを含む。最後に、システム110の遠位構成部材には、管状のロッキングスリーブ206と、弁ホルダアダプタ208と、拡張バルーン112と、インサート成形された先端部210とが含まれる。システム全体は、ルアーアダプタ192の近位側端部からバルーンワイヤ先端部210までの長さが約100mm〜500mmであることが好ましい。
【0091】
図23は、好ましくは接着剤またはその他のそのような結合手段によって接合されたエンドキャップ190とバルーンディスプレーサ198とを示す。エンドキャップ190とバルーンディスプレーサ198のアセンブリは、ハンドピース204に対して直線的に変位されてもよい。展性を有するハンドルシャフト130は、ハンドピース204から遠位方向に延び、好ましくは接着剤などによってハンドピース204に固定される。弁ホルダアダプタ208はハンドルシャフト130の遠位側端部に固定されるが、ロッキングスリーブ206はハンドルの上方を滑る。
【0092】
かなり重要な本出願の一態様は、バルーンカテーテル自体が送りシステム110内に組み込まれる態様である。すなわち、人工心臓弁をこのように送る従来のシステムは、互いに別々のイントロデューサ部材およびバルーンカテーテル部材を含んでおり、バルーンカテーテルは管状のイントロデューサに挿入される。そのようなシステムはその意図される目的に対して適切に働くことができるが、送りシステム110にバルーンカテーテルを組み込むと異なる利点がもたらされる。まず、バルーンに穴があくことなど、バルーンに問題がある場合、外科医は、イントロデューサを介してバルーンカテーテル全体を引き込んで別のバルーンカテーテルを導入する、時間のかかる作業を行う必要はない。すなわち、単に送りシステム110を弁ホルダ22から切り離し、交換用送りシステム110をホルダに係合させる。第2に、おそらくより明白な利点として、複数の部品に代わる単一の送りシステム110がプロセス全体を高速化し、使いやすさを向上させる。外科医はもはや、複数の部品を心臓弁ホルダに取り付ける前に互いに結合する必要も、あるいは別個のバルーンカテーテルをイントロデューサチューブに対して操作する必要もない。バルーンカテーテルを細長いイントロデューサ内を滑らせると、鉤裂きが生じバルーンが裂ける恐れがある。最後に、この利点に応じてパッケージングの量が少なくなる。
【0093】
図24A〜
図24Cは、ハンドリングロッド160の端部上に保持された人工心臓弁20とホルダ22のアセンブリとに送りシステム110を結合する際のいくつかのステップを示す。上述のように、バルーンイントロデューサスリーブ162は、ホルダ22内に通される。
図24Aを見ると分かるように、第2の端部174の所に末端を有するスリーブ162の部分は、ホルダ22内から突き出て、バルーンワイヤ先端部210およびバルーン112用の管状の入口を形成する。ユーザは、弁ホルダアダプタ208の遠位ショルダ212がホルダ22に接触するまでイントロデューサスリーブ162に挿入する。
【0094】
図25および
図25Aはロッキングスリーブ206の詳細を示し、
図26および
図26A〜
図26Bはホルダアダプタ208を例示する。特に
図26Bを参照する。アダプタ208は、イントロデューサスリーブ162の第2の端部174を受け入れる細長い貫通穴214を含む。複数の片持ち梁式フィンガ216がアダプタ208に沿って長手方向に延び、フィンガ216の末端が遠位側端部212の所に位置している。各フィンガ216は、内側に向けられた隆起部218を含む。遠位ショルダ212がホルダ22の近位面に接触するようにアダプタ208をイントロデューサスリーブ162の上方を滑らせると、隆起部218が外部溝176(
図21A参照)の上方を移動する。
【0095】
図24Bおよび
図24Cは、ロッキングスリーブ206が細長いハンドルシャフト130に沿って前進し、さらにホルダアダプタ208の上方を前進する状態を示す。
図24Cの最後の構成は、
図27に断面図でも示されている。ロッキングスリーブ206の内側ボアはアダプタ208の周りにぴったりと嵌るので、片持ち梁式フィンガ216は、隆起部218がスリーブ162の溝176内に位置する揃えられた向きに保持される。ロッキングスリーブ206は、アダプタ208の外部に摩擦係合して2つの部品が容易に外れるのを防止することが望ましい。代替として、戻り止めまたはラッチを設けて安全性を高めてもよい。最終的に、ロッキングスリーブ206が
図24Cの位置にあるときに、送りシステム110は弁ホルダ22に安全に結合される。さらに、バルーン112は、バルーンイントロデューサスリーブ162を貫通して延び、拡張可能なスカート26の流入端部からわずかに突き出る。
【0096】
本出願の別の有利な特徴は、同じサイズの心臓弁についての送りシステム110とホルダ22との間のキー溝係合である。前述の
図6Aを参照すると分かるように、ホルダ22のハブ部30は、ホルダアダプタ208上に設けられた外部星形リム220に係合するようなサイズおよびパターンを有する(
図26Aおよび
図26B参照)内部星形ボア36を有する。バルーンカテーテルが送りシステム110と一体化され、かつ各バルーンが特定の弁用のサイズを有するので、その特定の弁向けに設計された送りシステム110のみを弁のホルダに結合する必要がある。すなわち、各拡張スカート26を特定の直径に拡張しなければならず、様々なサイズのバルーン112が必要になる。したがって、それぞれの異なるサイズの弁ホルダと送りシステムの組合せは、異なるサイズとの嵌合を防止する固有の星形パターンを有する。
【0097】
通常、送りシステムは心臓弁およびホルダとは別個にパッケージングされ、このキー溝構成は、誤った送りシステムを使用するのを防止する。さらに、バルーンが破れて別の送りシステムを迅速に入手して利用しなければならない場合、キー溝構成は誤った送りシステムで代用されるのを防止する。通常2ミリメートル刻みで6つ〜8つの弁サイズがあり、したがって、同様の数の固有のキー溝結合部が設けられる。さらに、開示された星形パターンは、複数の回転配向での係合を可能にする。好ましい実施形態において、ユーザは、アダプタ208の星形リム220がホルダ22の内部星形ボア36に嵌るまでに30°以下の角度だけ回転させなければならない。このことは、送りシステム110を交換する場合に極めて有利である。その理由は、キー溝フィーチャの向きを1つまたは2つの角度関係に定める必要がない場合に再現するのがずっと容易である特定の向き(以下を参照)に元の細長いハンドルシャフト130を曲げることができるからである。
【0098】
図28は、心臓弁20とホルダ22のアセンブリが、ハンドリングロッド160が取り外された送りシステム110の端部上に取り付けられた状態を示す斜視図である。好ましい実施形態において、細長いハンドルシャフト130は、展性を有するかまたは様々な形状に曲げることができる。
図29も、細長い送りシステムハンドルシャフト130の有利な展性を示す。ハンドルシャフト130のこの曲げ性は、外科医が、心臓弁20が弁輪の方へ前進する際に心臓弁20を正しく位置させる能力を著しく向上させる。外科手術時の心臓への到達経路は、ある程度制限され、弁輪への直線的な接近を実現できないことが多い。したがって、外科医は、ハンドルシャフト130を曲げて特定の手術に適合させる。
【0099】
ハンドルシャフト130として使用できる展性を有するチューブを実現するのに様々な材料および構成を利用することができる。たとえば、軸方向の剛性および屈曲性をもたらす複数のロックラインコネクタを使用すべきである。ハンドルシャフト130は、心臓弁を確実に弁輪内に位置させることができるように軸方向に剛性を有さなければならない。別の例として、捩れを防止するために金属製コイルが埋め込まれたプラスチック製チューブがある。好ましい実施形態では、クロム酸塩(たとえば、イリダイト)コーティングを有するアルミニウム製チューブが使用される。アルミニウムは、捩れなしに曲げることのできる小さいチューブを形成するのに特に適しているが、体内での劣化および身体との反応を防止するためにイリダイトなどでコーティングすべきである。ハンドルシャフト130の非常に望ましい特徴は、ハンドルシャフト130が反動に抵抗することである。アルミニウムの反動は目立たない程度のものであり、したがって、外科医は、ハンドルシャフトを曲げた後にその形状が変化することを気にせずに特定の患者の身体の形状に合うようにシャフト130を曲げることができる。一方、ステンレススチールは直線性を保てれば十分であるが、曲げた後に反動が生じ、したがって、外科医はシャフトの最終的な向きに確信が持てない。前述のように、ロックラインコネクタは有効である場合があるが、滅菌しやすい固体シャフトが好ましい。
【0100】
反動の制限は、様々な材料を曲げて、曲げるのに必要な力を反動の量に関連して評価することによって、定量化することができる。このような試験の場合、曲げ力は、完全に組み立てられた送りシステムの展性を有するハンドルを半径が1.5”(3.81cm)になるように90°に曲げるのに必要なピーク力である。反動は、展性を有するハンドルがそのように曲げられた後の反動の程度である。たとえば、5°の反動は、90°の曲げ角が85°の曲げ角に回復したことを意味する。送りシステムのハンドルシャフト130として使用するのに多数の材料、特に様々な生体適合性金属および合金が適している。ステンレススチール(SS)は、アルミニウム(Al)よりも反動特性が優れており、反動がより少ないが、引張り特性が高いのでずっと高い曲げ力を必要とする。SSシャフトハンドルは、必要な力を低減させるためにかなり薄くする必要があり、曲げ力をさらに低減させるには長手方向の長穴を設けることができる。しかしながら、長穴を有するSSハンドルのコストはAlハンドルのコストよりもずっと高い。反動傾向が低く、かつ比較的曲げやすいのでAlが好ましい。
【0101】
図30および
図30Aは、バルーン112が引込み位置にある心臓弁送りシステム110のそれぞれ立面図および長手方向分解断面図であり、一方、
図31および
図31Aは、バルーン112が延ばされた同様の図である。送りシステム110のバルーンカテーテルは、ハンドピース204に対する2つの長手方向位置とそれに関連する構造を有する。
図30および
図30Aに示す引込み位置では、連結されたエンドキャップ190、バルーンディスプレーサ198、膨張チューブ199、およびバルーン112がハンドピース204に対して左側に引き込まれる。バルーンディスプレーサ198の遠位ショルダ230とハンドピース204内のセンタリングワッシャ202との間の間隔Aに留意されたい。バルーン112は、この位置では途中のホルダアダプタ208内に存在する。
図31および
図31Aに示すようにバルーンカテーテルを右側に変位させると、間隔Aがなくなり、バルーン112がハンドルアダプタ208内から突き出る。
【0102】
送りシステム110は、バルーン112を心臓弁、特に固着スカート26に対して位置させるための極めて正確なシステムを構成する。ハンドルアダプタ208とハンドルシャフト130の係合が単純であるので、公差誤差はほとんど生じない。ハンドルアダプタ208は、細長いハンドルシャフト130に固定され、ハンドルシャフト130はハンドピース204に固定される。したがって、バルーンカテーテル構造をハンドピース204に対して移動させると、バルーン112がホルダ22および取り付けられた心臓弁20に対して1:1の対応で変位する。さらに、バルーンディスプレーサ198上に設けられた一対の小さい弾性的な戻り止め232が、ハンドピース204の近位側端部上の同様のサイズの切欠き234に係合する。これによって、ハンドピース204に対するバルーンカテーテルの位置がロックされ、あるいは言い換えれば、固着スカート26に対するバルーン112の位置がロックされる。
【0103】
バルーン膨張チューブ199およびバルーン伸長ワイヤ200は、柱強度を有するが曲げられたときにかなり撓む材料で形成されている。さらに以下に説明するように、ワイヤはニチノールであってもよく、一方、膨張チューブ199は、PEBAX(フランスのコロンブのアルケマ社)の商標で知られるポリエーテルブロックアミドのようなブレード補強強化熱可塑性エラストマ(TPE)で形成されることが望ましい。
【0104】
送りシステム110は、使用時に数回曲げられることがあるので、同心のチューブおよびワイヤにずれを生じないように留意しなければならない。すなわち、直径の小さい物体が内部を流れるより大きい同心チューブが大きければ大きいほど流路が短くなる傾向があり、したがって、物体は、チューブが曲げられた後でチューブの遠位側端部から外側に延びることになる。したがって、バルーン膨張チューブ199は、展性を有するハンドルシャフト130の内径に一致する厳密なサイズを有することが望ましい。一実施形態では、展性を有するハンドルシャフト130の外側チューブはODが0.197±0.003”(5.004±0.076mm)であり、IDが0.153±0.002”(3.886±0.051mm)である。バルーン膨張チューブ199は、ODが0.140±0.002”(3.556±0.051mm)であり、IDが0.114±0.002”(2.896±0.051mm)である。このことは、より大きいチューブ130のIDとより小さいチューブ199のODとの半径の差は0.165mm[(3.886−3.556)÷2]に過ぎず、より小さいチューブのODはより大きいチューブのIDの90%(91.5%)よりも大きいことを意味する。チューブのサイズがこのように厳密に一致すると、バルーン膨張チューブ199の端部に固定されたバルーン112の軸方向位置が、展性を有するハンドルシャフト130の端部に対して固定された人工心臓弁20の軸方向位置に対してそれほどずれない。バルーン伸長ワイヤ200は、生理食塩水をバルーン112に充填する際生理食塩水を適切に流すのに十分な、バルーン膨張チューブ199のIDに対するサイズを有する。一実施形態では、ワイヤ200はODが0.037+0.002/−0.001”(0.94+0.13/−0.025mm)である。
【0105】
有利なことに、本発明の送りシステムは、バルーンカテーテルが過度に早く前進し、それによって、弁が大動脈弁輪内の所定の位置まで前進する間バルーン112が人工心臓弁20の領域内に引き込まれたままになるのを防止する。容易に理解されるように、外科医は、遠位側端部に心臓弁20を備える送りシステム110全体を開かれた胸腔またはチェストポートおよび大動脈弓を通過させ、上行大動脈に沿って移植位置まで前進させる。送りシステム110の近位側端部を押し込むと、所望の展開段階の前にバルーンカテーテルをハンドピース204に対して誤って変位する恐れがある。突き出たバルーン112は、冠動脈口を損傷するか、あるいはデバイスの形状を拡大することによって挿入を困難にすることがある。したがって、本出願では、カテーテルを過度に早く展開させないように視覚的リマインダに結合されたバルーンカテーテルの移動を物理的に防止するための様々な手段が企図される。
【0106】
たとえば、
図32は、例示的な心臓弁送りシステム110の近位側端部から分解されたロッキングクリップ240を示す、心臓弁送りシステム110の近位側端部の斜視図である。
図33Aおよび
図33Bを見ると分かるように、ロッキングクリップ240は、エンドキャップ190およびハンドピース204の外部にスナップ留めされ、この2つの部材の相対的な移動に対する物理的なバリアを形成することによってバルーンカテーテルを引込み位置に保持する。ロッキングクリップ240は、その遠位側端部上のサムレッジ244の所に末端を有する半管状の本体242を含む。半管状の本体242は、ハンドピース204上の外部フィーチャに一致する内部フィーチャを有する。具体的には、図示していないが、半管状の本体242は、ハンドピース204の近位側端部に係合し、ハンドピース204に摩擦係合するとともにハンドピースに対するクリップの遠位軸方向への移動を妨げることができる。ロッキングクリップ240は、本体242から近位方向に延び、内方に向けられた膨出部250(
図33B)を有する近位ブリッジ248の所で結合された、2つの細長いレール246として二股に分かれる。膨出部250は、ルアーアダプタ192のルーメン内にぴったりと嵌り、バルーン膨張源が過度に早く取り付けられるのを防止する物理的バリアおよび視覚的インジケータを形成する。さらに、2つの細長いレール246上の内部フィーチャは、バルーンカテーテルエンドキャップ190上の一致する輪郭に係合する。
【0107】
クリップ240は、バルーンカテーテルが引込み位置にある状態で示されるように送りシステム110に組み付けられる。まず、膨出部250をルアーアダプタ192のルーメンに挿入し、次いで、クリップ240をエンドキャップ190およびハンドピース204の上方に取り付ける。クリップ240と送りシステム110との連結は摩擦によるものであり、クリップは、容易に取り外すことができるが、バルーンカテーテルが過度に早く遠位方向に展開されるのとバルーン膨張源が過度に早く連結されるのを防止するための物理的バリアおよび視覚的リマインダを形成する。さらに、クリップ240上のサムレッジ244は、システムの前進の制御を容易にする好都合なフィーチャを実現する。外科医は、システムおよび人工心臓弁20を大動脈弁輪内の所定の位置に前進させた後、クリップ240を取り外してバルーンカテーテルを配置することと膨張源を連結することとを可能にする。クリップ240は通常プラスチック製であり、処分される。
【0108】
過度に早いバルーンカテーテルの展開/バルーンの膨張に対する他の可能なバリアも考えられる。
図34および
図35に示す一構成では、トグルレバー260がエンドキャップ190とハンドピース204の両方に連結され、このトグルレバー260をいずれかの方向に変位させてバルーンカテーテルの展開および引込みを交互に行ってもよい。具体的には、トグルレバー260は、送りシステム110から外側に突き出るサムピース262と、ハンドピース204に枢動可能に取り付けられたヒンジ264と、
図34の引込み位置においてエンドキャップ190とハンドピース204との間の軸方向空間に嵌る遮断端部266とを含む。カムリンケージ268が、サムピース262に沿った中央部に枢動可能に取り付けられ、反対側の端部がエンドキャップ190に枢動可能に取り付けられている。
【0109】
図34の引込み位置は、
図31と同様に送りシステム110におけるバルーンカテーテルの引込み位置に相当する。この状態では、遮断端部266が、互いに間隔を置いて配置されたエンドキャップ190とハンドピース204の互いに向かい合う表面同士の間にぴったりと嵌り、したがって、送りシステム110内でのエンドキャップおよびバルーンカテーテルの遠位方向への前進に対する物理的なバリアを形成する。外科医は、適切な時点で、トグルレバー260を
図35における矢印の方向270に枢動させ、同時に遮断端部266をエンドキャップ190とハンドピース204との間から取り外し、カムリンケージ268によってエンドキャップをハンドピースの方へ引っ張る。トグルレバー260をその走行範囲全体にわたって枢動させると、バルーンカテーテルが完全に変位するとともにバルーン112が固着スカート26内のバルーン112の適切な位置に変位する。すなわち、エンドキャップ190がハンドピース204に対して走行する距離は、固着スカート26の最適な血行力学性能を実現する固着スカート26の適切な拡張を可能にする位置にバルーン112を前進させるのに必要な距離と厳密に同じ距離になるように較正される。したがって、トグルレバー260は、バルーンカテーテルの過度に早い展開を防止するだけでなく、バルーンを膨張させる前にバルーンカテーテルを確実に前進させ、そうする際に正確な前進を実現する。さらに、トグルレバー260の連結性によって、部品が緩んで手術に干渉したり、場合によっては手術時に誤った場所に配置されたりすることがなくなる。バルーン112をスカート26内に正しく位置させることについて以下に詳しく説明する。
【0110】
外科医がトグルレバー260を前進位置に押し込むと、トグルレバーは、ハンドピース204上のあるフィーチャにスナップ留めされて、バルーンカテーテルが完全に展開されたことを示し、ハンドピース204を所定の位置に保持する信号を送ることが望ましい。たとえば、
図36は、レバー260の遠位側先端部272がハンドピース204の外側の補完的な切欠きまたはくぼみに拘束された状態を示す。もちろん、そのような他の多数の構成が可能であり、一般に、トグルレバー260と、エンドキャップ190およびハンドピース204とトグルレバー260との相互作用は一例に過ぎない。スライダ、回転ノブまたは回転レバー、カラーインジケータまたは場合によっては照明インジケータなどの代替構成も考えられる。そのような代替構成の目的は、バルーンカテーテルの過度に早い前進を防止し、バルーンが膨張する前に前進を実行させ、人工心臓弁20の固着スカート26内の前進を正確に実行させることである。
【0111】
展開を防止するための上述のトグルレバー260ならびに視覚的インジケータまたは聴覚的インジケータのような物理的障害物を含む、過度に早いバルーンカテーテルの展開/バルーンの膨張を防止するための他のデバイスが考えられる。たとえば、カテーテルが前進する前にバルーン膨張流体流を妨害する代替構成が
図52〜
図54に示されており、この構成について以下に説明する。
【0112】
図37A〜
図37Cは、バルーンカテーテルを人工心臓弁を介して展開する状態およびバルーンを拡張して固着スカートを展開する状態を例示する、
図16E〜
図16Gに類似の斜視図である。
【0113】
図37Cは、バルーン112が膨張して固着スカート26を拡張し展開させて弁輪に接触させる状態を示す。固着スカート26は、その円錐状の収縮状態と概ね管状であるかまたはわずかに円錐状の拡張状態との間を遷移する。固着スカート26と弁輪との間の単純な干渉は、心臓弁20を固着するのに十分な干渉であってもよく、あるいは突起、フック、バーブ、布などの相互作用フィーチャを利用してもよい。たとえば、固着スカートの遠位側端部(
図15Bの下縁部94を参照されたい)は、人工弁から最も遠いストラット列の山部が外側の周囲の弁輪に突き出るように固着スカートの残りの部分よりも大きく拡張してもよい。
【0114】
また、バルーン112は、人工弁部材24に加える力よりも固着スカート26の自由端部に加える力の方が大きくなるように遠位側拡張端部が近位側拡張端部よりも大きくてもよい。このように、人工弁部材24およびその可撓性の弁尖がバルーン112から大きい拡張力を受けることはない。
【0115】
図30Aに示すように組み立てられると、細長いルーメン(符号は付けられていない)が近位ルアーアダプタ192からバルーン112の内部に延びる。ルアーアダプタ192は、バルーン112を膨張させることができる膨張システム(図示せず)用の取付けニプルを形成する。バルーン112は、調整され加圧され滅菌された生理食塩水を使用して膨張させることが望ましい。ルーメンは、エンドキャップ190、バルーンディスプレーサ198を通過し、次いで、一方の端部がディスプレーサに固定され別の端部がバルーンの近位側端部に固定された膨張チューブ199を通過する。したがって、バルーンディスプレーサ198はバルーンの近位側端部を移動させる。
【0116】
本出願は、改良されたバルーン112および改良されたバルーン112を展開させて取り外すためのシステムも提供する。バルーン112がしぼんだ図を見ると分かるように、バルーン112は、送りシステム110を通過できるようにバルーンの半径方向構成を低減させるのを助ける複数の長手方向のひだを備えることが好ましい。さらに、バルーン伸長ワイヤ200は、バルーン膨張チューブ199、拡張バルーン112を貫通して延びており、バルーンの遠位側端部に固定された成形されたバルーンワイヤ先端部210の所にワイヤ200の末端が位置している。ワイヤ200の経路は、
図30Aおよび
図31Aの断面図に示されている。バルーン112の近位側端部は膨張チューブ199に締結され、したがって膨張チューブ199からハンドピース204に締結されているが、遠位側先端部210はそのように締結されていない。その代わりに、ワイヤ200が、近位エンドキャップ190のルーメン内で並進し、ルーメン内でバルーン伸長ばね194に係合するばね圧縮ピン196に締結されている。なお、バルーン伸長ワイヤ200は、固定的に取り付けられるのではなく送りシステム110内で独立に移動する。これによって、バルーン112の遠位側端部は近位側端部に対して移動することができる。この構成は
図38〜
図40を見ると最もよく理解できる。
【0117】
例示的な送りシステムのバルーン112は、心臓血管ステントを拡張するのに使用されるような他の外科バルーンと比較してかなり高い直径対長さ比を有する。これによって、バルーン112が展開後にしぼんだときに小さい形状に戻ることは特に困難になる。そのようなサイズ比のバルーンは、弁自体を損傷させる恐れがある大きい力を加えることなしに弁ホルダから取り外されるのを妨げる翅を形成することによって「蝶の形になる」傾向がある。例示的な送りシステム110およびバルーン112は、バルーン112を弁を損傷せずに取り外すのを容易にする、従来の心臓弁送りシステムに対するいくつかの進歩を含む。まず、上述のように、バルーン112の壁に一連の長手方向のひだが熱硬化されており、バルーンが収縮するときに容易に自動的に折り畳まれるようになっている。さらに、バルーン112が収縮する間、バルーン112の遠位側端部が近位側端部に対して移動し、バルーン112を伸長させるのを可能にする。このような伸長は、ばねの作用でバルーンを長手方向に伸ばすワイヤ200によって自動的に行われる。バルーン112が容易に収縮して取り外されるので、膨張が不十分であることのような問題が生じた場合にバルーンカテーテルを迅速に交換できることに留意されたい。
【0118】
図38は、バルーン112を
図31Aと同様に前進させた断面図である。この構成では、ばね194がx
1の長さを有し、ばね圧縮ピン196がエンドキャップの空洞内の右側に移動している。バルーン112が収縮したこの「休止」状態では、ばね194を弛緩させてもよく、あるいはばねにわずかな圧縮前負荷を加えてもよい。その後、生理食塩水が、近位ルアーコネクタ192を介して導入され、バルーンカテーテル構成部材の長さに沿って遠位方向に流れてバルーン112を膨張させる。バルーン112が膨張すると、半径方向では拡張が生じるが、軸方向では縮小が生じ、したがって、
図39に示すように遠位側先端部210が左側に変位する。これによって、バルーン伸長ワイヤ200および取り付けられたばね圧縮ピン196がばね194の弾性に対抗して左側に変位する。最終的に、ばねがより短い第2の長さx
2に圧縮される。好ましい実施形態において、ばね194は完全な圧縮を受けてその密着高さに至り、ワイヤ200および取り付けられたバルーン遠位側先端部210の近位方向への移動を確実に停止させる。このことは、より詳しく説明するように、固着スカート26を適切に拡張する助けになる。遠位側先端部210がばね194の反力に対抗して近位方向に移動すると、ワイヤ200が圧縮される。
【0119】
最後に、
図40は、遠位側先端部210およびバルーン伸長ワイヤ200の右側への膨張移動および戻り移動によって真空引きすることによってバルーン112を収縮させることを例示する。この移動は、ばね194を拡張することによって促され、実際には強制される。ばね194の力は、ひだ付きバルーン112が半径方向に収縮された以前の直径またはできるだけそれに近い直径を有するようにひだ付きバルーン112を伸ばすように較正される。さらに、ワイヤ200をその軸の周りに回転させ、各ひだをさらにらせん状に折り畳むことによってバルーン112をさらに収縮させてもよい。このことは、ワイヤ200の一部を、鉗子によって掴まれ回転させられるようにルアーコネクタ192の近位側端部から延ばすか、あるいは場合によっては、ワイヤに締結されシステムから横方向に突き出るレバーまたはサムプランジャ(図示せず)を設けることによって実現されてもよい。さらに、ばね圧縮ピン196は、らせん状の軌跡内を並進するように拘束されてもよい。この場合、ピン196は、らせん状の軌跡の両端部における戻り止め内にロックされる差込み式取付け具を含む。ばねの作用によってバルーン112を伸ばし、その後半径方向に収縮させると、すでに展開されている人工心臓弁20からバルーン112を近位方向に取り外すのが容易になる。
【0120】
上述のように、バルーン112は、固着スカート26を拡張して円錐台状の拡張状態にする円錐台形状を有することが望ましい。より典型的には、
図39に示すように、バルーン112は、拡張時に概ね球状になる。それにもかかわらず、球状のバルーンは、内側ステントフレーム80の一方の端部の所で心臓弁ソーイングリング62に連結されるので固着スカート26を外側に拡張して円錐台状にする(
図15A/15B参照)。固着スカート26を十分にかつ適切に外側に拡張するために、バルーン112は、バルーン112の最大円周(赤道線)の周りに示される正中線280がスカートの最遠位端部282に位置合わせされるように軸方向に位置決めされる。こうする際に、バルーン112の最も広い部分はスカート26の端部に相当し、スカートを円錐状に拡張する傾向がある。様々なサイズの弁および関連するスカート26に関して生じる可能性がある、正中線280の位置とスカートの最遠位端部282との公差の1mm〜2mmは許容される。
【0121】
図41〜
図42を見ると分かるように、バルーン112が望ましくは、正中線280をバルーン壁の小さい段として形成するようにオフセット成形される例示的な段付きバルーン構成が示されている。すなわち、互いに向かい合うバルーン型半部同士がわずかに異なる直径を有し、それによって最終製品に物理的な段、すなわち正中線280が形成される。代替として、正中線280は、成形プロセスにおいて形成される小さい赤道リブまたはインデント、あるいは場合によってはインクマーキングによって形成されてもよい。ただし、インクマーキングは手術用途には適していない。正中線280は、収縮した状態でも膨張した状態でもバルーン112上に見ることができ、送りシステム110の組立ておよび品質管理時の基準線として極めて有用である。たとえば、システム110の各構成部材が組み立てられ、前進位置におけるバルーン112の位置が固着スカート26に対して検査される。バルーン112は膨張時に縮小するので、基準正中線280は、バルーンが収縮したときにスカート26の最遠位端部282を越えた位置、すなわち組立て時に容易に検査できる位置に配置されるべきである。
【0122】
図41および
図42は、拡張バルーン112の成形後の幾何学的形状を示すが、使用時に生理食塩水またはその他の流体をバルーンの空洞に注入すると、
図39に見られるようなより丸い膨張形状になる。図示した例示的な成形後の形状は、固着スカート26のフレームの遠位側端部が比較的大きい直径まで拡張するので好ましい。特に、例示的な形状は、バルーンカテーテルの細長い部材が固定される近位側および遠位側の管状端部290を含む。一対の円錐状側壁292が管状端部290からバルーン112の正中線の方へ外側に傾斜しており、一方、互いにずれた一対の軸方向側壁294、296がバルーン112を完成し、正中線または赤道線に広がっている。軸方向側壁294、296のいずれか一方はより直径が大きく、軸方向側壁同士が、バルーン112の赤道正中線280を示す段298の所で接合されている。この構成も、一方の型半部が他方の型半部よりも大きいオフセット型を使用して形成することができる。
【0123】
バルーン112に関する別の進歩は、その充填容量を較正するためのステップにある。既存のバルーンカテーテルは、バルーンを所望の直径まで拡張するように注入される量を監視することによって較正される。それに対して、送りシステム110用のバルーン112は、圧力によって較正される。スカートの所望の最終サイズに応じて、固着スカート26を特定の直径まで拡張するのにどれだけの圧力が必要であるかを確認するための検証試験時に、1つまたは複数のバルーンを試験する。組立て時には、各バルーンを膨張させて、バルーンが予期される範囲内まで拡張することを確認する。使用時には、圧力計を充填線に取り付けて充填圧力を監視する。外科医は、バルーンを目標圧力まで膨張させ、さらなる確認として、得られるスカートの拡張を視覚的にあるいはスコープまたはX線マーカなどの助けを得て検証することができる。
【0124】
拡張された固着ステント26の末広がり形状(
図16Hまたは以下の
図46Aを参照されたい)が、スカートのない弁と比較してこの人工心臓弁内の流れを改善する助けになり得ることに留意されたい。患者によっては、心室肥大によって、大動脈弁のすぐ下の左心室壁が内側に膨出する傾向がある。円錐状スカート26が外側に拡張してこの異常部分に接触し、そうする際に大動脈弁への流入通路を拡張する。
【0125】
図38〜
図40の送りシステムの長さにわたって延びるように示されているバルーン伸長ワイヤ200は、周囲のハンドルシャフト130の曲げ(たとえば、
図29を参照されたい)に適合するようにたわむ。好ましい実施形態において、ワイヤ200はニチノールである。ただし、ステンレススチールのような他の適切な金属を使用してもよい。ニチノールは、適切な柱強度と優れた可撓性を兼ね備えている。しかしながら、送りシステム110としては、様々なサイズの弁口人工心臓弁用の各種のサイズのシステムが用意され、最大のバルーンは、膨張時にワイヤ20に顕著な圧縮力を加える。ワイヤ200が座屈するのを防止するために、ワイヤの剛性を高める代わりに、
図22および
図39に示すように短いハイポチューブ201を設けてもよい。ハイポチューブ201は、ワイヤおよびバルーンカテーテル先端部210と一緒に成形したりその他の適切な手段を用いたりすることなどによって、ハイポチューブ201の遠位側端部の所でワイヤ200に固定されている。ハイポチューブ201は、膨張チューブ199から突き出るワイヤ200の長さおよびバルーン112内のワイヤ200の長さに沿ってワイヤ200の柱強度を高める。ハイポチューブ201は、送りシステム110の全体的な可撓性にそれほど干渉しないようにちょうどバルーン112の近位側端部を越えた位置に末端を有する。ハイポチューブ201は、ステンレススチールのような適切な金属またはナイロンのような剛性を有するポリマーで作られてもよい。ハイポチューブ201は、ODが0.059±0.005”(1.5±0.13mm)、IDが0.041±0.003”(1.04±0.08mm)、長さが約1.77”(45.0mm)である。
【0126】
図43〜
図45は、バルーン伸長ワイヤ200の遠位側端部およびこの遠位側端部上のインサート成形された遠位側先端部210の外観図および断面図である。
図45Bは、ワイヤ200の遠位側端部が先端部210内に埋め込まれた最終的なアセンブリの断面図を示し、一方、その他の図はこのアセンブリの組立てプロセスを示す。インサート成形された先端部210は、バルーン拡張時に軸方向の大きい力を受けるワイヤ200の遠位側端部用のアンカーを形成する。特に、上記に
図39を参照して説明したように、バルーンが拡張すると、外側への拡張および軸方向への縮小が生じ、それによって、遠位側管状端部290(
図42参照)は近位方向に移動する。ワイヤ200は、インサート成形された先端部210を介して遠位側管状端部290に取り付けられており、したがって、ワイヤ200と遠位側管状端部290はどちらも近位方向にも移動する。前述のように、バルーン112を膨張させると、ワイヤ200が圧縮される。したがって、ワイヤ200と先端部210との連結およびバルーン112の先端部210と管状端部290との連結は、漏れまたはワイヤが先端部から抜けることを避けるためにかなり堅固でなければならない。さらに、製造面において、この重要な構成を形成するためのステップをできるだけ少なくする必要がある。
【0127】
したがって、ワイヤ200の遠位側端部は折り返されてJ字形の屈曲部300になっている。屈曲部300はインサート型内に配置され、
図45Aに示すように組み合わされた成形された先端部210を形成するための材料がインサート型に注入される。成形後の先端部210の形状は
図44A〜
図44Dに示されている。成形後の先端部210は、円筒形のシャフト領域302および半球状のバルブ304を有する近位部と、管状のマンドレル位置合わせ導管306およびバルブ304と導管306の間の幅の狭いブリッジ308を含む遠位部とを含み、これらの構成部材は
図44Cに識別されている。マンドレル位置合わせ導管306は、通常レーザボンディングを用いる熱融着ステップの間先端部210およびワイヤ200をバルーン112の遠位側管状端部290内の中心部にしっかりと保持するある種の好都合なハンドルを形成する。バルーン112を先端部210に結合した後、マンドレル位置合わせ導管306がブリッジ308の所で切断され、それによって、
図45Bに示すように非侵襲的な送りができる丸い端部形状が得られる。最終ステップ210は、約6mm〜8mmの比較的短い軸方向長さを有することが望ましい。ワイヤ200の長さは300mm〜400mmであってもよく、直径は1mm以下である。
【0128】
ワイヤ200の端部上のJ字形屈曲部300がビード300’と交換された代替的なアセンブリが
図45Cに示されている。ビード300’をワイヤ200の端部に融着させてもあるいは接着してもよい。すなわち、ビード300’は、成形後の先端部210から引き離されるのを防止するためにワイヤ200の端部上に使用することができる多数の他の拡大部を代表するものである。たとえば、ワイヤ200の端部を圧縮してビードまたはリベットのような平坦なヘッドを形成してもよく、あるいはビード300’はいくらか捩じれ抵抗をもたらすように方形のような異なる形状であってもよい。
【0129】
バルーン112の材料と先端部210の材料は、それらの界面に熱を加えることによってバルーン112と先端部210の結合を容易にするように同様の材料であることが望ましい。たとえば、バルーン112および先端部210は、ナイロンまたはPEBAX(登録商標)などの高デュロメータ硬さ熱可塑性エラストマ(TPE)で形成されてもよい。バルーン112の遠位側管状端部290は、シャフト領域302の周りにぴったりと嵌合し、半球状のバルブ304が始まる所の小さいショルダ310に当接している。バルーンの端部とショルダ310が物理的に係合することによる結合された熱融着のこの構成は、軸方向の引張り強度の高い重複取付けシステムを形成する。すなわち、この取付けシステムは、先端部210がバルーン112から外れるのを防止し、漏れを生じさせる分離も効果的に抑制する。さらに、J字形の屈曲部300は、成形された先端部210の材料内にある種のアンカーを形成する。引張り試験によって、このアセンブリが、ワイヤ200が先端部210から抜けることなく40ポンド(18.14kg)の引張り力に耐えることができることが実証されている。
【0130】
本発明の心臓弁送りシステムの重要な一態様は、拡張可能な固着スカート26の心臓弁内での構成と、さらに固着スカート26の拡張時の形状とに関する固着スカート26の構成である。
図46Aおよび
図46Bは、組み立てられるとともに固着スカート26が弁構成要素24から分解された例示的な人工心臓弁20を示す。この場合も、弁部材24は、エドワーズライフサイエンス社から市販されているCarpentier−Edwards PERIMOUNT Magna(登録商標)大動脈心弁のような「容易に入手可能な」市販の人工弁であってもよい。固着スカート26は主として、布で覆われた塑性的に拡張可能な内側フレームまたはステント80を含むが、明瞭さのために図示していない。
【0131】
前述のように、固着スカート26は、通常弁部材24上の布に連結されたステントフレーム80の上端部86に通した縫合糸を介して弁部材24の流入端部に取り付けられるかまたはソーイングリング62に取り付けられている。図示したこの特定のソーイングリング62は、弁カスプ部34の領域において下方または流入方向に傾斜し、弁交連35の領域において上方にすなわち流出方向に弧状に延びる波状流入輪郭を含む。この波形状は一般に、ソーイングリング62内に配置される心臓弁部材ワイヤフォーム50(
図10参照)の流入端部に従う。ステントフレーム80の貝殻形の上端部86の形状もこの波形状に合い、山部が弁交連35と揃い、谷部が弁カスプ部34と揃う。例示的な弁/ステント構成について、以下に
図55〜
図58を参照してさらに詳しく説明する。
【0132】
再び
図46〜
図48を参照する。固着スカート26のステントフレーム80は最初、いくつかの方法で形成され得る。たとえば、ステンレススチールのような適切な金属の管状部分を、所定の長さに、かつ相互に連結された山形のストラットの格子を形成するようにレーザ切断する。ワイヤ曲げなど等を含む他の方法も考えられる。得られるステントフレーム80は最初、弁部材24に取り付けられるときには管状であり、第1のクリンピングステップにおいて
図47Aおよび
図47Bに示す円錐状にクリンピングされる。分散された内側へのクリンピング力を、図中の矢印によって示されているようなステントフレーム80の周りの等間隔な位置に加えることが好ましい。フレーム80は、その貝殻状上端部86に沿って固定され、したがって、貝殻状上端部86の周りを内側に枢動する。
図48Aに概略的に示すように、起伏のある上端部86の概ね谷部のレベルから始まるようにクリンピング力を加え、ステントフレーム80が円筒形のままになる短い軸方向距離を残す。
【0133】
図48Bに示す好ましい第2のクリンピングステップでは、内側への力が不規則に加えられ、ステントフレーム80の下端部または遠位側端部が内側に丸まり、それによっていくらか球状の遠位側端部が得られる。塑性的に拡張可能なステントフレーム80のストラット同士が重なり合うのを避けるために、底面図(
図7D参照)において下端部が円形ではなくトライロビュラ形状を有するように120°離して分散された3つの位置にさらに力を加えることが望ましい。このことは、ステントフレーム80が自由に拡張して
図46Aの形状になる能力を損なわずに弁の先端形状を小さくする助けになる。クリンピングの方法にかかわらず、膨張バルーン112は最終的にステントフレーム80の流入端部を外側に拡張して
図46Aおよび
図46Bの円錐状を形成する。
【0134】
バルーンの代替として、機械的エクスパンダを使用して上記に示した固着スカート26を拡張してもよいことに留意されたい。たとえば、機械的エクスパンダは、特許文献2に見られるようなシリンジ状装置によって作動させられる拡張可能な複数のフィンガを含んでもよい。このようなフィンガは、軸方向に固定されるが、バレルに対して枢動するかまたは撓むことができる。プランジャの遠位側端部は、拡張可能なフィンガの内面によって形成される直径よりも大きい外径を有し、それによって、プランジャがバレルに対して遠位方向に移動すると、フィンガが結合ステント内で徐々に外側に移動する。したがって、語「塑性的に拡張可能な」は、加えられた力によって異なる形状を有するように実質的に変形することができる材料を包含する。自己拡張ステントによっては、加えられた力によって最大拡張寸法を超える程度に変形できるものもあるが、形状の変化の主要な原因は、塑性変形に対する弾性的な反発である。
【0135】
ある代替実施形態によれば、
図49〜
図50は、固着スカート26を拡張するための膨張可能なバルーン322と一緒に機械的フィンガ320を含む拡張システムを示す。
図50Aは、バルーン322を囲んでおり、本明細書で説明するように人工心臓弁20の流入端部に一部が挿入されるハンドル取付け部材324から延びている機械的フィンガを例示する。取付け部材324、機械的フィンガ320、およびバルーン322のアセンブリを
図49に断面図で示す。ハンドル取付け部材324は、それを貫通し近位側端部上に雌ねじ328を有するルーメン326を含む。上述のような展性を有するハンドルを取付け部材324の近位側端部上にねじ込み、それによってバルーン322用の膨張流体を供給してもよい。
【0136】
機械的フィンガ320は、
図49に示され
図50Eに詳しく示されているようにリビングヒンジ330などによって取付け部材324の遠位側端部の周りにヒンジ留めされてもよい。好ましい実施形態において、各リビングヒンジ330は、フィンガ320の外側への移動を制限する開先角度φを有するV字形切欠きによって形成される。フィンガ320は、遠位側端部上で半径方向に厚くなるようにわずかにテーパ状にされてもよい。アセンブリを心臓弁20内に、たとえば
図50Aの位置から
図50Bの位置まで挿入すると、固着スカート26を有する弁の流入側が最終的にフィンガ320の外面に接触する。さらに相対的に移動させると、スカート26の内側とフィンガ320の外側との摩擦ばめが増大し(フィンガがバルーン322の弾性に対抗して内側に片寄り)、最終的に、
図50Eを見ると分かるように、外側を向いた一連の戻り止め340がステントフレーム80のストラットに係合する。戻り止め340は、フィンガ320の遠位側端部上にフックを画定し、角度θに向きを定められ、固着スカート26のストラットを最適な状態で捕捉する放射状構造を有する、わずかに傾斜した切欠きを備える。これによって、固着スカート26に対する機械的フィンガ320の位置がロックされる。
図50Eに示すようにバルーン322を膨張させると、機械的フィンガ320がリビングヒンジ330の周りを外側に枢動し、固着ステント26の遠位側端部を外側に押し出して周囲の生体構造に接触させる。リビングヒンジ330を形成するV字形切欠きは、各フィンガ320の外側への回転を所定の大きさに制限し、固着ステント26が過度に拡張するのを避ける。
【0137】
使用時には、機械的フィンガ320、バルーン322、および取付け部材324のアセンブリが人工心臓弁20の流入側に挿入され、アセンブリは最終的に所定の位置にロックされ、戻り止め340がスカート26の遠位側端部に係合する。その後、展性を有するハンドルの中空のシャフトを取付け部材324の近位側端部に取り付けてもよい。代替として、人工心臓弁20に縫合糸を通して所定の位置に下降させ、エクスパンダアセンブリをハンドルを取り付けない状態で挿入してもよい。弁20を所定の位置に満足行く状態で配置した後、従来の膨張デバイスをハンドルと一緒に取付け部材324に連結してバルーン322を膨張させる。心臓弁20を設置した後バルーン322をしぼませて機械的フィンガ320を再び内側に枢動させる。フィンガ320をバルーン322の外側に結合して、バルーンの真空引き時のバルーン322の内側への引込みを容易にしてもよい。
【0138】
図49〜
図50の拡張アセンブリの代替構成は、ハンドル取付け部材に枢動不能に取り付けられる機械的フィンガを含む。このように、膨張バルーンは、フィンガを枢動させるのではなく直接半径方向に拡張する。さらに、展性を有する細長いハンドルをねじ込み継手としてではなく取付け部材324と一体に設けてもよい。
【0139】
前述のように、本出願では、弁膨張バルーンが過度に早く膨張しないようにするための様々な代替構成が企図される。たとえば、
図51〜
図54は、バルーンをカテーテル上で膨張させるのに使用される流体用のポートを、バルーンを膨張させる前に開いておかなければならないシステムを概略的に例示する。
【0140】
図51は、
図34〜
図36の図と同様であり、相対的に移動可能なエンドキャップ190とハンドピース204を示す、代替送りシステム110の近位側端部の一部の立面図である。
図52Aに概略的に示すエンドキャップ190の管状伸長部350は、閉じられた遠位側端部352と、遠位側端部のすぐ近くの一対のサイドポート354とを含む。管状伸長部350は、ハンドピース204の近位側端部に形成されたボア356内にぴったりと嵌る。バルーンを拡張する前に、各構成部材を
図52Bに示すように位置させ、すなわち、サイドポート354が閉塞されるように管状伸長部350の遠位側端部をボア356内に位置させる。
図52Cに示すようにエンドキャップ190を遠位方向に移動させると、管状伸長部350がボア356内からより大きいチャンバ358内に突き出て、したがって、サイドポートが露出され、流体を遠位バルーンの方へ注入することができる。この構成では、エンドキャップ190がハンドピース204に対して遠位方向に移動しないかぎり、流体を注入してバルーンを膨張させることはできない。
【0141】
図53も、
図34〜
図36の図と同様であり、相対的に移動可能なエンドキャップ190とハンドピース204を含む、代替送りシステム110の近位側端部の一部を示す。
図54Aに分解図で示されているエンドキャップ190の管状伸長部360はやはり、プランジャ362によって閉じられる遠位側端部を含み、遠位側端部のすぐ近くの一対のサイドポート364を有する。管状伸長部350は、ハンドピース204の近位側端部に形成されたボア366内にぴったりと嵌る。バルーンを拡張させる前には、各構成部材が
図54Bに示すように位置し、すなわち、サイドポート364が閉塞されるようにプランジャ362がボア366の開口部を密封する。
図54Cに示すようにエンドキャップ190を遠位方向に移動させると、プランジャ362がより大きいチャンバ368に進入し、したがって、サイドポート364が開き、流体を遠位バルーンの方へ注入することができる。この場合も、この構成では、エンドキャップ190がハンドピース204に対して遠位方向に移動しないかぎり、流体を注入してバルーンを膨張させることはできない。
【0142】
様々な心臓弁を本明細書で説明する送りシステム構成部材と組み合わせて利用してもよく、場合によっては明示的に説明していない任意の組合せが企図される。たとえば、
図55は、周囲の布製カバーを取り除いた固着ステント404に結合された市販の弁部材402を有する例示的な人工心臓弁400の斜視図である。
図55Aは、図示のスカートステント404の布製カバー406を含む心臓弁400のカスプ部の半径方向断面図である。最後に、
図56は、
図55の人工心臓弁400の分解立面図である。図示の特定の弁部材402は、カリフォルニア州アーバインのエドワーズライフサイエンス社から市販されているCarpentier−Edwards PERIMOUNT Magna(登録商標)大動脈心弁である。
図55Aを見ると分かるように、Magna弁は、布製カバー412で覆われ、布で覆われた軸方向バンド構造414に取り付けられたワイヤフォーム410を含み、ワイヤフォーム410同士の間に可撓性の生体弁尖が挟まれる構造を有する。極めて可撓性の高いソーイングリング416が、図示のようにバンド構造414の外周に取り付けられている。最後に、布で覆われた固着スカート404が、上述のように、それぞれの布製カバーを貫通し、望ましくはスカート404のステントフレームを貫通するとともにバンド構造414の孔を貫通する縫合糸などによって、突合せ継手の所でMagna弁の流入端部に固定されている。ソーイングリング416は、縫い目線に沿ってバンド構造414に取り付けられ、容易に外側に撓む。さらに、ソーイングリング416は、壁が比較的薄く、ハニカム構造を有するシリコーンインサート418を有する。このことは従来の弁には有利であるが、本明細書で説明するような弁にはそれほど望ましくない。
【0143】
それに対して、
図57は、
図55に示す人工心臓弁と同様であるが、
図55の人工心臓弁とは異なるよりしっかりしたソーイングリング422を有する代替人工心臓弁420を示す。特に、
図58Aおよび
図58Bは、ソーイングリング422の代替構成を示す人工心臓弁420の半径方向断面図である。同じ部材には同じ符号が付されている。
【0144】
図58Aと
図58Bのどちらでも、ソーイングリング422は円筒形の縫合領域424に沿ってバンド構造414の外側に固定されており、このことは、ソーイングリング422の上下の撓みを低減させる助けになる。第2に、
図58Aのソーイングリング422は、弁輪を密封するように比較的高い剛性を有し、かつ弁輪の形状に合う凹状流入形状を有する固体であるが圧縮可能な材料を備える。ソーイングリング422は、布製カバー内に独立気泡フォームインサート430を含むことが望ましい。ソーイングリング422を周囲の組織に対して柔らかくするが全体的な剛性を比較的高くする空洞/気泡は存在しない。さらに、凹状態の流入側は弁輪の凹状流入側と一致し、流入側同士の間に良好な密封が実現される。
図58Bは、インサート430内に埋め込まれ、ソーイングリング422の剛性をさらに高める追加的な補強部材を示す。補強部材432は、ステンレススチールなどの金属製であってもよい。どちらのソーイングリング422もMagnaソーイングリングよりも剛性が高く、したがって、左心室内の外側に拡張された固着スカートに対して大動脈弁輪をより適切に密封する。この組合せは、本明細書で開示した弁の比較的安全な固着構造を実現し、柔らかい材料の形状を弁輪と一致させて柔らかい材料を弁輪にしっかりと接触させて保持することによって弁の外部への弁傍の漏れを防止する助けになる。
【0145】
この場合も、布で覆われた固着スカート404は、スカート404のステントフレームを貫通しバンド構造414の孔を貫通する縫合糸などによって、突合せ継手の所でMagna弁の流入端部に固定される。さらに、ソーイングリング422の下端部は、固着スカート404と短い距離だけ重なり合い、ソーイングリング422と固着スカート404との間を縫合領域424が延びることが望ましい。これによって、アセンブリの剛性がさらに高められ、したがって、大動脈弁輪の配置および密封が改善される。図示していないが、ソーイングリング422は環状であってもよいが、大動脈弁輪の形状とよりうまく合うようにわずかに貝殻形であることが望ましい。剛性を有する貝殻形ソーイングリング422は、波状の大動脈弁輪の輪郭と嵌め合うためのしっかりした基盤を実現することによって、外科医が人工弁を所定の位置に迅速に配置する助けになる。
【0146】
本発明の心臓弁ではソーイングリング自体が必要でない場合があることに留意されたい。その理由は、そのような構成部材の一次的な機能が、弁の周囲に多数の固着縫合糸を通すための基盤を実現することであり、この基盤が、ここでは、おそらく数本(たとえば、3本)の案内縫合糸にしか使用されないからである。したがって、本明細書で説明する弁部材をソーイングリングなしで直接固着スカートに結合してもよい。弁傍の漏れを防止する助けとして、布製スカートなどの周辺シールをソーイングリングの代わりに付加してもよい。また、案内縫合糸を固着するために、その目的に関してソーイングリングの代わりとなる、弁構造から外側に延びるいくつかのタブを使用してもよい。
【0147】
本明細書で開示したシステムは、特定の弁輪サイジング技法と一緒に使用されることが望ましい。サイジング装置(図示せず)は、生理食塩水によって膨張させることのできる柔軟なバルーンを遠位側端部上に有するカテーテルシャフトを含む。血管内超音波(IVUS)イメージングプローブが、カテーテルを貫通して柔軟なバルーン内へ延びる。手術できるように患者に準備を施してから、送りシステム110を導入するまでの間に、バルーンカテーテルを弁輪に導入する。バルーンを所望の圧力まで充填し、IVUSプローブをカテーテルを通してバルーン内まで前進させる。バルーンの形状がバルーンを囲む解剖学的腔の形状に合っているので、IVUSプローブはその腔のサイズを測定する。
【0148】
拡張可能なスカートによって自然弁輪を拡張し従来の手術で可能なよりも大きいサイズを受け入れることを可能にする利点について述べた。そのような拡大を実現するための別の方法として、ヘーガル拡張器のようなテーパ状のジレータを利用する方法がある。この円錐状の拡張器は、予想される弁直径よりも大きい最大直径を有する。弁を設置する前に拡張器を弁輪に導入しておくことによって、より大きい弁を選択することができる。さらに、このより大きい弁は、一時的に弁輪内に嵌るが、組織の弾性によって弁の周りが収縮し、より安全なアンカーが実現される。
【0149】
本発明についてその好ましい実施形態において説明したが、使用した用語が説明のための用語であり、限定のための用語ではないことを理解されたい。したがって、本発明の真の範囲から逸脱せずに添付の特許請求の範囲内で変更を加えてもよい。