(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018077
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】初回放射線治療計画を自動生成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20161020BHJP
【FI】
A61N5/10 P
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-545541(P2013-545541)
(86)(22)【出願日】2011年12月7日
(65)【公表番号】特表2014-502531(P2014-502531A)
(43)【公表日】2014年2月3日
(86)【国際出願番号】IB2011055507
(87)【国際公開番号】WO2012085722
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年12月5日
(31)【優先権主張番号】61/424,845
(32)【優先日】2010年12月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リー,マイケル チュン‐チエ
(72)【発明者】
【氏名】ボロコズキー,リルス
【審査官】
毛利 大輔
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/018477(WO,A2)
【文献】
特表2005−508556(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/083841(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサに命令セットを実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記命令セットは:
現患者の現患者医用画像を受信する動作と;
前記現患者医用画像と複数の過去患者医用画像とを比較する動作であって、前記過去患者医用画像の各々が過去患者に対応する、動作と;
前記過去患者の各々に対応する前記過去患者医用画像と前記現患者医用画像との間の幾何学的類似性に基づいて、前記過去患者のうちの1又は複数の過去患者を選択する動作と;
前記選択された過去患者の放射線治療計画に基づいて、初回放射線治療計画を決定する動作と;
を含み、
前記選択された過去患者が複数である場合、前記初回放射線治療計画の要素は、前記選択された複数の過去患者の各々の前記放射線治療計画の、対応する要素の加重平均に基づかれ、前記加重平均は、前記選択された複数の過去患者の各々の類似性スコアに基づいて重み付けされ、前記類似性スコアは、前記現患者医用画像と前記過去患者医用画像の各々との幾何学的類似性に基づかれる、
コンピュータプログラム。
【請求項2】
前記幾何学的類似性が、平行移動及び回転不変のハウスドルフ距離の計量とボクセル単位の比較とのうちの1つによって決定されて、また、前記現患者医用画像はCT画像、MRI画像、PET画像、X線画像、SPECT画像及び超音波画像のうちの1つである、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記幾何学的類似性が、(A)前記現患者医用画像の複数の構造の各々と、前記過去患者医用画像の複数の構造の各々との比較、(B)前記現患者医用画像の前記各構造の重心と、前記過去患者医用画像の前記各構造の重心との比較、(C)前記現患者医用画像の前記各構造の境界と、前記過去患者医用画像の前記各構造の境界との比較、(D)前記現患者医用画像の複数の構造全ての組み合わせと、前記過去患者医用画像の複数の構造全ての組み合わせとの比較、のうちの1つによって決定される、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記過去患者を選択する動作が:
前記現患者医用画像に対する、現患者特徴ベクトルを決定する動作と;
前記過去患者医用画像の各々に対する、過去患者特徴ベクトルを決定する動作と;
前記現患者特徴ベクトルと、前記過去患者特徴ベクトルの各々とを比較する動作と;
を含み、
前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルとが所定のグループから選択される複数の特徴を有し、前記所定のグループが:
医用画像から選択される特徴、医用画像の幾何学的特徴を表す特徴、バイオマーカーデータに関する特徴、家系に関する特徴、放射線への感受性の増大を示しうる遺伝子の存在に関する特徴、患者の年齢に関する特徴、前記患者の人種に関する特徴、前記患者における従前のがんの病歴に関する特徴、前記患者の家族における従前のがんの病歴に関する特徴、併用療法に関する特徴及びがん若しくは共存症についての患者の病歴に関する特徴、
を含む、
請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルの各々とを比較する動作が、前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルの各々との、ベクトルの差のLpノルムに基づいていて、また、前記ベクトルの差が、シティブロック距離、マハラノビス距離及びユークリッド距離のうちの1つである、請求項4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記現患者医用画像と前記過去患者医用画像の各々との幾何学的類似性に基づいて、前記過去患者医用画像の各々に対する類似性スコアを生成し、また、前記選択される1の過去患者は、前記類似性スコアのうち最も高いスコアに対応する、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記初回放射線治療計画の要素が、放射線モダリティ、線源の数、ビーム強度、ビーム・モディファイア、強度マップ及び線量制限のうちの1つである、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記初回放射線治療計画を決定する動作が、前記選択される1の過去患者の前記放射線治療計画をコピーすることを含む、請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
現患者に対する現患者医用画像を生成する医用画像機器と;
複数の過去患者に関するデータであって、前記過去患者の各々に関する過去患者医用画像と前記過去患者の各々に関する放射線治療計画とを含む、前記過去患者の各々に関する前記データ、を保存する過去患者データベースと;
前記複数の過去患者の各々に対する類似性スコアを決定する類似性検索システムであって、前記過去患者の各々に対する前記類似性スコアが、前記過去患者の各々に対応する前記過去患者医用画像と前記現患者医用画像との間の幾何学的類似性に基づいて決定される、類似性検索システムと;
前記複数の過去患者のうち選択される1又は複数の過去患者に関する前記放射線治療計画に基づいて、前記現患者に対する初回放射線治療計画を決定する計画生成システムであって、前記選択される1又は複数の過去患者はその前記類似性スコアに基づいて選択される、計画生成システムと;
を有し、
前記選択された過去患者が複数である場合、前記初回放射線治療計画の要素は、前記選択される複数の過去患者の各々の前記放射線治療計画の、対応する要素の加重平均に基づかれ、前記加重平均は、前記選択される複数の過去患者の各々の類似性スコアに基づいて重み付けされ、前記類似性スコアは、前記現患者医用画像と前記過去患者医用画像の各々との幾何学的類似性に基づかれる、
システム。
【請求項10】
前記医用画像機器が、CT撮像装置、MRI撮像装置、PETスキャナ、X線撮像装置、SPECTスキャナ及び超音波システムのうちの1つである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記過去患者データベースが、DICOM標準及びDICOM−RT標準のうちの1つを用いている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、さらに:
前記計画生成システムから前記初回放射線治療計画を受信して、前記初回放射線治療計画をユーザに提供する、治療計画ワークステーション;
を有するシステム。
【請求項13】
類似性スコアの決定が:
前記現患者医用画像に対する、現患者特徴ベクトルの決定と;
前記過去患者医用画像の各々に対する、過去患者特徴ベクトルの決定と;
前記現患者特徴ベクトルと、前記過去患者特徴ベクトルの各々との比較と;
を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルとが所定のグループから選択された複数の特徴を有し、前記所定のグループが:
医用画像から選択される特徴、医用画像の幾何学的特徴を表す特徴、バイオマーカーデータに関する特徴、家系に関する特徴、放射線への感受性の増大を示しうる遺伝子の存在に関する特徴、患者の年齢に関する特徴、前記患者の人種に関する特徴、前記患者における従前のがんの病歴に関する特徴、前記患者の家族における従前のがんの病歴に関する特徴、併用療法に関する特徴及びがん若しくは共存症についての患者の病歴に関する特徴、
を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルの各々との比較が、前記現患者特徴ベクトルと前記過去患者特徴ベクトルの各々との間の、ベクトルの差のLpノルムに基づいていて、前記ベクトルの差が、シティブロック距離、マハラノビス距離及びユークリッド距離のうちの1つである、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係るシステムは、医用画像機器、以前の患者のデータベース、類似性検索システム、および計画生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療計画は、患者の身体的パラメータに主に基づいて生成される。患者の固有の身体的特徴に対処するよう、多数の治療パラメータが定義されうるため、その計画の策定は複雑になりうる。最初の放射線治療計画の候補が効率良く立案されると、医療提供者またはコンピュータがより容易かつ迅速に、この最初の計画候補を、患者の治療に利用されることになる最終的な治療コースに変更できうることになり、治療の質全体がそれに応じて向上しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最初の放射線治療計画の候補を効率良く立案して、医療提供者またはコンピュータがより容易かつ迅速に、この最初の計画候補を、患者の治療に利用されることになる最終的な治療コースに変更できるようにし、治療の質全体をそれに応じて向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
固定のコンピュータ読取可能ストレージ媒体またはコンピュータプログラムが、プロセッサに命令セットを実行させる。命令セットは現在の患者(現患者)についての、現在の患者の医用画像(現患者医用画像)を受信する動作を含む。命令セットはさらに、現患者医用画像と、複数の以前の患者の医用画像とを比較する動作を含む。以前の患者の医用画像(過去患者医用画像)の各々は、以前の患者(過去患者)に対応する。命令セットはさらに、過去患者のうち選択された1人の過去患者医用画像と現患者医用画像との間の幾何学的類似性に基づいて、過去患者のうちの1人を選択過去患者として選択する動作を含む。命令セットはさらに、選択過去患者の放射線治療計画に基づいて、最初の放射線治療計画(初回放射線治療計画)を決定する動作を含む。
【0005】
本発明に係るシステムは、医用画像機器、過去患者のデータベース(過去患者データベース)、類似性検索システム、および計画生成システムを含む。医用画像機器は、現患者についての現患者医用画像を生成する。過去患者データベースは、複数の過去患者に関するデータを保存する。過去患者の各々に関するデータは、過去患者の各々に関する医用画像と、過去患者の各々に関する放射線治療計画とを含む。類似性検索システムは、複数の過去患者の各々に対する類似性スコアを決定する。過去患者の各々に対する類似性スコアは、過去患者の各々に対応する医用画像と現患者医用画像との間の幾何学的類似性に基づいて決定される。計画生成システムは、複数の過去患者のうち選択された1人である選択過去患者の放射線治療計画に基づいて、現患者に対する初回放射線治療計画を決定する。選択過去患者は、その類似性スコアに基づいて選択される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】初回放射線治療計画の自動生成についてのシステムを、例示的な実施形態に従って示す。
【
図2】初回放射線治療計画の自動生成についての方法を、例示的な実施形態に従って示す。
【
図3】現患者と過去患者についての放射線治療計画の表示を、例示的な実施形態に従って示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の例示的な実施形態がさらに理解されるよう、同じ参照符号が同様な要素を示している、以下の記述と添付の図面とを参照する。例示的な実施形態は、放射線治療を受ける患者についての初回放射線治療計画を自動的に生成するためのシステムおよび方法を説明する。
【0008】
患者の放射線治療を開始する前に、多くの手順が踏まれなければならない。放射線腫瘍医、線量測定士、または他の適切な医療専門家(以降「プランナー」と表記)が、放射線を当てられるべき標的体積と、放射線を免れるべき器官および組織(以降「リスクに晒されている器官」と表記)とを識別しなければならない。こうした領域は、コンピュータ断層撮影(CT)画像、磁気共鳴映像(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)画像、X線画像、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)画像、または超音波画像上に一般に示され、また、こうした領域は、コンピュータ支援の有無に関わらず、その境界を画成するよう描かれてもよい。プランナーはさらに、標的組織および健康組織に届けられる放射線量についての制限を定めてもよい。いったんこれが決定されると、続いて、初回治療計画の候補を定めるよう、放射線源のモダリティ(例えば、光子、電子)、量、ビーム方向、ビーム・エネルギー、およびビーム・モディファイア(例えば、ブロック、ウエッジ)が決められる。
【0009】
その後、計画プロセスは、この治療計画の候補をもとに、反復的に進められる。最初のステップおよび後続のステップにおいて、計画による放射線量が、患者の体積を通じて計算される。そして、上述されたような放射線治療のパラメータは、所望の放射線量の制限に達し、プランナーが計画を満たしていると判断するまで、繰り返し調整される。上記のフレームワークは、三次元原体照射(3DCRT)と強度変調放射線治療(IMRT)との双方に適用されてよい。放射線治療計画のパラメータについての更新情報を決定する調整プロセスは、コンピュータ支援の有無に関わらず進められてよい。適切に策定された初回計画は、患者に対する治療の最適化に要する時間を低減しうるため、プランナーによる初回計画の定義は重要である。さらに、最終的な放射線治療計画の質は、手作業で生成された初回計画の質に依存して変化しうるので、治療の質のバリエーションに関する可能性が、医療提供者に依存することになる。例示的な実施形態は、患者の幾何学的パラメータおよび他のパラメータを用いて初回治療計画を自動的に生成し、こうした欠点に対処する。
【0010】
図1は例示的なシステム100の概略図である。
図1に示された要素を接続しているラインは、その接続されている要素間でデータを伝達するに適切な通信経路であればいかなる種類のものであってもよい。システム100は、放射線治療が目下計画されている現患者の画像を取得するためのスキャン装置110を含む。スキャン装置110は、CTスキャナ、MRI撮像装置、PET撮像装置、X線スキャナ、SPECT撮像装置、超音波撮像装置であってよく、あるいは、当技術分野で知られる他のさまざまな種類の医用画像装置のいずれかであってもよい。スキャン装置110は治療計画ワークステーション120に通信可能に接続されていて、治療計画ワークステーション120は現患者に対する放射線治療を計画するようプランナーに利用されるコンピュータシステム(例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせであって、プロセッサ、および、特定の機能を実行するようプロセッサが実行可能なソフトウェア命令など)である。治療計画ワークステーション120は、後述される場合を除き、プランナーに現在利用されている公知のシステムと同様である。
【0011】
治療計画ワークステーション120はスキャン装置110から患者の画像を受信し、その患者の画像を類似性検索エンジン130に送信する。類似性検索エンジン130はまた、過去患者データベース140から過去患者のデータを読み出し、以下に詳述されるように、続いてそのデータは現患者の画像と比較される。過去患者データベース140は、DICOMまたはDICOM−RTなどの公知の医療情報学の標準を用いて、リポジトリに情報を保存することが可能である。過去患者に関して保存されるデータは、医用画像(例えば、CT、MRI、PET、X線、SPECT、超音波、など)、標的構造(例えば、放射線を当てられるべき腫瘍)の幾何学的な定義、リスクに晒されている器官(例えば、放射線を当てられるべきでない器官)の識別、および過去患者に対して利用された治療計画を含んでよい。これは、放射線のモダリティ、放射線源の数、各ビームのエネルギー、利用されたモディファイア、および強度マップを含む。一部の例において、過去患者の各々について保存される放射線治療計画は、その患者に対する初回治療計画が改良された上で決定された、最終的な治療計画である。さらに、過去患者データベース140に保存される各患者に関する情報は、年齢、患者の病歴、患者の家族の病歴、患者の現在の状態に関する詳細情報、現在その患者に投与されている他の治療(例えば、化学療法)などの更なる関連情報を含んでよく、また、プランナーが現患者に対する放射線治療コースを策定するにあたり関連しうる、いかなる他の情報を含んでもよい。
【0012】
続いて、過去患者に関する一部または全部のデータが、類似性検索エンジン130から計画生成システム150に送信される。計画生成システム150は、過去患者に関するデータに基づいて現患者に対する計画を生成するもので、以下に詳細を説明する。計画生成システム150は治療計画ワークステーション120にも接続していて、そのアウトプットが治療計画ワークステーションを利用しているプランナーに戻されてよい。当業者が理解するように、類似性検索エンジン130、過去患者データベース140、および計画生成システム150は、様々な方法で実装されてよく、治療計画ワークステーション120の要素として実装されること、または、互いの機能に影響を与えない、別個のハードウェアおよび/もしくはソフトウェアのコンポーネント、もしくは、その組み合わせとして実装されることを含む。例えば、類似性検索エンジン130はプロセッサとプロセッサによって実行可能な命令を含むソフトウェアとを有してよい。過去患者データベース140は、ストレージデバイスのアレイと、リレーショナルデータベースまたは他の種類の一般に利用されるデータベース構造とを有するサーバ上で具体化されてよい。
【0013】
図2は、現患者に対する初回放射線治療計画を自動的に生成するための例示的な方法200を示し、ここでは
図1の例示的なシステム100を参照して説明する。ステップ210において、スキャン装置110は現患者の画像の取得に使用される。上述されたように、取得される画像は、CT画像、MRI画像、または他のいかなる種類の医用画像であってもよい。一般に、その画像は一連の2次元の横断面図であり、そこから患者の3次元の画像が把握されうる。しかしながら、一部のケースにおいて、例示的な実施形態によって述べられている上位概念から逸脱することなく、単一の2次元画像の利用を含むこと、または3次元モデルの利用を含むことが、適切となりうる。代替的に、現患者医用画像は、スキャン装置110などの装置を用いて事前に記録されていて、方法200の本段階で読み出されてもよい。
【0014】
ステップ220において、類似性検索エンジン130を用いて現患者の画像での特徴抽出が実行される。これは、画像によって示される様々な構造(例えば、腫瘍、器官、骨、など)の識別と、各特徴の体積、外形、モルホロジー、およびテクスチャの決定とを含んでよい。これは、その多くが当技術分野で知られているような、特徴抽出アルゴリズムを用いて進められ、現患者の画像に示される複数の特徴を表す、特徴ベクトルの生成につながる。
【0015】
ステップ230において、過去患者データベース140に関連データが保存されている過去患者の特徴ベクトル(過去患者特徴ベクトル)と、現患者の特徴ベクトル(現患者特徴ベクトル)とが比較される。例示的な実施形態において、過去患者の特徴抽出の結果は、過去患者データベース140に特徴ベクトルという形で保存されている。別の実施形態において、過去患者データベース140に保存されるデータは過去患者に関する画像であり、特徴ベクトルは例示的な方法の本段階において計算されてもよい。このステップにおいて、類似性検索エンジン130は現患者の特徴ベクトルを、複数の過去患者の各々に関する特徴ベクトルと比較する。この比較は、公知の計量を用いて進められ、その計量はベクトルの差(例えば、シティブロック距離、マハラノビス距離、ユークリッド距離、および、より高次な拡張)のL
pノルムを含んでよい。この比較の結果は、現患者について評価された過去患者の各々の、類似性を表す数値となる。例えばこれは、0から100まで、0から1まで、などの段階上の数値であってよい。
【0016】
代替的に、特徴抽出を行うよりもむしろ、現患者の画像と過去患者の画像とを幾何学的に直接比較してもよい。一例として、これには、平行移動および回転不変のハウスドルフ距離の計量の利用が含まれる。別の例において、これには、非剛体レジストレーションによって共通する環椎に画像をアライメントすることと、ボクセル単位で比較することとが含まれる。本比較が適用されうる対象には、画像内の各構造(例えば、標的体積、リスクに晒されている器官、など)、その構造に含まれる1つ以上のポイント(例えば、各構造の重心)、各構造の境界、があり、または同時に全構造の組み合わせに対して適用されてもよい。当業者が理解するように、特徴ベクトルの比較を含まない実施形態では、上述された特徴抽出のステップ220は無くてもよい。上記のように、この比較の結果は類似性スコアとなり、例えば、0から100まで、0から1まで、などの段階上の数値であってよい。
【0017】
さらなる例として、比較のステップ230は、特徴ベクトルによって表される患者の比較と、画像全体の比較との双方を含んでよい。この例において、2つの類似性スコアが組み合わせられる(例えば、過去患者の各々に関する2つの類似性スコアの平均値を用いること、または他の方法を用いることによる)。
【0018】
さらなる選択肢として、画像からは計算されない追加的な特徴が、上述された特徴比較の処理に含まれてもよい。こうした特長は、バイオマーカーデータ、家系に関するデータ(例えば、放射線への感受性の増大を示しうる遺伝子の存在)、患者の年齢、患者または患者の家族における従前のがんの病歴、他の進行中の治療(例えば、化学療法)、などを含んでよい。その場合これらは、上述された処理の本質を大きく変えることなく、特徴比較のエンジンの応用に単に含まれる。
【0019】
上述の現患者と過去患者との比較後、ステップ240において、過去患者は対応する類似性スコアによってソートされる。次に、ステップ250において、現患者に対する初回計画が、計画生成システム150によって生成される。最初の例において、計画生成システム150は、最も高い類似性スコアを持つ過去患者の計画を、現患者に対して利用するためにコピーする。上述されたように、計画は、放射線のモダリティ(例えば、光子、電子、陽子)、ビーム/線源の数、ビームの角度方向、各ビームに対する患者のアイソセンターの位置、各ビームのエネルギー、モディファイアの利用(例えば、ウェッジ、ダイナミック・ウェッジ、フィルタ)、および強度マップを含んでよい。その後これが、現患者に対する初回計画となり、上述されたように改良されてもよい。
【0020】
別の代替的な例において、計画生成システム150は、複数の過去患者の計画を組み合わせる。その一例として、現患者の計画に対する1つ以上の計画要素(例えば、モダリティ、ビームの数、など)が、1つ以上の過去患者の数値を組み合わせることによって生成される。例えば、過去患者の各々が現患者に対する類似性スコアによって重み付けされ、類似の過去患者のグループの加重平均から、1つ以上のビームの角度方向が導出される。別の例として、その組み合わせは、多数決または中央値に基づく。組み合わせられるべき過去患者の数、および組み合わせられるべき特徴の選択は、種々の実装にわたって変化してよい。一例として、プランナーがこうした選択肢を選ぶ。
【0021】
また別の代替的な例において、過去患者の選択は、転帰に基づいてフィルタされる。例えば、良好な臨床転帰を有する患者のみが活用される。その一例として、過去患者データベース140は、転帰に関するデータを追加的に保存する。転帰は、生存年数、無病生存年数、病勢進行までの期間、などで定量化されてよい。別の例として、計画生成システム150はまた、最も類似性の高い過去患者の線量制限を用いるか、または上述された複数の過去患者の組み合わせを用いるかのいずれかによって、過去患者の線量制限をコピーする。
【0022】
最後に、ステップ260において、計画生成システム150によって生成された計画が、治療計画ワークステーション120に送信される。この段階で、この自動的に生成された初回治療計画の改良は、従来どおり進められる。
【0023】
図3は、治療計画ワークステーション120を利用するプランナーに提供される、例示的な表示300を示す。表示300は、現患者の幾何学的特徴の説明を含む。表示300はまた、類似性によって順位付けされた過去患者の幾何学的特徴の説明も含む。プランナーは詳細表示のために過去患者のうちの1人を選択することができ、表示300は過去患者のうち選択された1人について保存されている放射線治療計画をより詳細に示す。例えば、例示された表示300において、最も類似性の高い過去患者が表示用に選択されている。
【0024】
例示的な実施形態は、プランナーが自身の経験に基づいてその場その場で作成するよりも質の高い、初回放射線治療計画を、現患者に対して生成することにつながる。さらに、過去患者との比較という客観的な性質のため、プランナーのスキルと経験に依存するよりも、患者が受ける治療の質が標準化されうる。その上、現患者に対する初回計画が、現患者と共通する特徴を有する1人以上の過去患者に基づくため、求められる改良が少なくなりえて、患者が受ける放射線が全体で少なくなり、放射線治療のコースをより早く完了することにつながる。
【0025】
当業者が理解するように、上述された例示的な実施形態は、別個のソフトウェアモジュールとして、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせとして、などを含む、いかなる方法において実装されてもよい。例えば、類似性検索エンジン130はコード行を含むプログラムであってよく、コンパイルされた場合にプロセッサ上で実行されてよい。
【0026】
PCT規則6.2(b)に従って、本発明に係る特許請求の範囲は、参照符号/番号を含みうることに留意すべきである。しかしながら、本特許請求の範囲は、参照符号/番号に対応する例示的な実施形態に限定されるとみなされるべきではない。
【0027】
当業者にとって明らかなように、本発明において、発明の精神や範囲を逸脱することなく、様々な変更がなされうる。したがって、本発明の変更およびバリエーションが別記の特許請求の範囲および同等の記載の範囲内にある場合、本発明はそうした変更やバリエーションを含むことが、意図される。