【実施例】
【0055】
本明細書において提供される場合、所望の表現型をコードするDNAを単離するために選択、スクリーニング、またはパニングを可能にするために、どちらも当業者に周知である2つの技術を使用して、MICAのα3ドメインの遺伝子型をその(結合)表現型に物理的に付着した。第1の技術は、α3ドメインをコードするDNAを内部に持つ細菌の表面にα3ドメインが表示される、細菌表面ディスプレイである。第2の技術は、コードするDNA、遺伝子型がファージゲノム内にある、キメラファージのカプシドタンパク質としてのα3ドメインのバクテリオファージディスプレイである。表示されたα3ドメインの表現型を反映する結合表現型を有する可溶性の修飾されたヒトMICA分子を作製するためにα3ドメインの遺伝子型を使用する能力も、本明細書において証明される。
【0056】
1.大腸菌の表面上におけるMIC−α3ドメインタンパク質の表示
端的に述べると、α3ドメインをコードするDNAを大腸菌eaeA(インチミン)遺伝子の一部に融合し、その結果得られた融合タンパク質を、α3ドメインが細菌表面に遠位であるそのC末端部分と方向を合わせるような様式で、大腸菌の表面上で発現させた。
【0057】
オリゴヌクレオチドのAV1401(配列番号15)およびAV1402(配列番号16)をキナーゼ化し、アニーリングし、NdeIおよびNcoIで消化したプラスミドpET30a(Novagen)のアリコートに連結して、pelB分泌シグナル配列を含むpSW249を作製した。
【0058】
プラスミドpSW249をNcoIおよびBlpIで消化し、キナーゼ化およびアニーリングしたオリゴヌクレオチドAV1445(配列番号17)およびAV1446(配列番号18)に連結してpSW263を作製した。この構築物は、pelB配列の次の6つのヒスチジン残基(配列番号127)をコードする配列を含んでいた。
【0059】
5’非翻訳配列の一部、シグナル配列、および成熟コード配列のコドン1〜276、続いて停止コドンを含むヒトMICAのcDNAを、プライマーAV1466(配列番号19)およびAV1448(配列番号20)を使用して、ヒト脾臓一本鎖cDNA(Invitrogenより調達)からPCRにより増幅した。
【0060】
PCR断片をNheIおよびHindIIIで消化し、同じくNheIおよびHindIIIで消化したpCDNA5−FRT(Invitrogen)に連結してpSW265を作製した。定方向突然変異誘発により3つの突然変異G14W、A24T、およびE125KのMICAコード化領域を修正してpSW271を作製した。
【0061】
プライマーAV1447(配列番号21)およびAV1448(配列番号20)を用いてpSW271の一部をPCR増幅した。PCR断片は、tevプロテアーゼ切断部位ENLYFQG(配列番号128)、続いてヒトMICAのコドン1〜276からなっていた。このPCR断片をXhoIIIおよびHindIIIで消化し、同じくXhoIおよびHindIIIで消化したプラスミドpSW263のアリコートに連結してプラスミドpSW286を作製した。
【0062】
AV1408(配列番号22)およびAV1409(配列番号23)プライマーを使用して大腸菌EDL933ゲノムDNAからeaeA遺伝子を増幅した。
【0063】
このPCR産物をBamHIおよびHindIIIで消化し、同じくBamHIおよびHindIIIで消化したBluescript−SK+DNA(Stratagene)に連結してpSW284を作製した。
【0064】
プライマーAV1602(配列番号24)およびAV1603(配列番号25)を使用してプラスミドpSW284の一部をPCR増幅した。PCR断片をNdeIおよびXhoIで消化し、同じくNdeIおよびXhoIで消化したpSW286のアリコートに連結してSW289を作製した。
【0065】
プライマーkk43(配列番号26)およびkk44(配列番号27)を用いてpSW289の一部をPCR増幅した。その結果得られた、tevプロテアーゼ切断部位ENLYFQG(配列番号128)、続いてMICAの残基181〜276をコードする配列(注:連続する6C’sを分割するために、PI83のコドンをCCCからCCAに変更した)を含むPCR断片をXhoIおよびHindIIIで消化し、XhoIおよびHindIIIで消化したpSW289の別のアリコートの消化物からアガロースゲル上で精製された約7185bpの断片に連結してpKK5を作製した。7185bpの断片で、EaeA1〜659、その後にGG、次いでFactor Xaによる切断部位IEGR(配列番号129)、6つのHis残基(配列番号127)、次いで、XhoI部位を提供することの他は機能のないLEをコードするXhoI部位をコードした。
【0066】
プライマーkk52(配列番号28)およびkk45(配列番号29)を用いてpKK5をPCR増幅した。NcoIおよびHindIIIでPCR断片を消化し、NcoIおよびHindIIIで消化したpBAD24(ATCCから)のアリコートに連結してpKK29を作製した。製造業者の推奨に従って、クローン株である大腸菌「NEB 10−β」(New England BioLabsカタログ番号AV C3019H)にプラスミドpKK29を形質転換し、100μg/mlカルベニシリンに対する耐性のために選択した。
【0067】
pKK29で形質転換した大腸菌細胞のアラビノース誘導型および非誘導型の細胞質タンパク質、内膜タンパク質、および外膜タンパク質を各々単離し、SDS−PAGEにより分析した。SDS−PAGEゲルをクマシーブルーで染色するか、またはヒトMICAタンパク質に対すル抗体を用いてウエスタンブロットした。
【0068】
OD
600が0.915に等しくなるまでLB/Carb100中で細胞を増殖させた。10mlの細胞のアリコートを2本の50ml円錐管の各々に加えた。一方の管は0.002%アラビノースで誘導し、他方は誘導しないままにした。37℃で1時間振盪しながらサンプルをインキュベートした。
【0069】
Eppendorf 5810R卓上型遠心機にて10分間4000rpmで細胞を遠心分離した。上清を廃棄し、6mlのFP緩衝液(0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、0.1M KCl、5mM EDTA、1mMジチオスレイトール、1mMフッ化フェニルメチルスルホニル)中に細胞ペレットを緩やかに再懸濁し、15ml円錐管に移した。Biologies Incの300V/Tモデル超音波ホモジナイザーを使用して、6×15秒のバーストで細胞を超音波処理した。バースト間に氷上でサンプルをインキュベートした。超音波処理後、Eppendorf 5810R卓上型遠心機にて管を5分間4000rpmで遠心分離にかけ、破損した細胞を全て除去した。
【0070】
上清をBeckmanポリカーボネート遠心管(カタログ番号AV355631)に移し、Type 60Tiローターを使用して、Beckman L8−80M床置き型超遠心機にて100,000Xgで1時間4℃で回転させた。細胞質タンパク質を含む上清を新しい管に移し、4℃で保存した。
【0071】
2mlのME緩衝液(10mM Tris−HCl(pH8.0)、35mM MgCl
2、1% Triton X−100)中に細胞膜のペレットを再懸濁した。サンプルを2時間25℃で緩やかに振盪し、次いで、Type 60Tiローターを使用して、Beckman L8−80M床置き型超遠心機にて100,000Xgで30分間4℃で再度遠心分離した。細胞膜のTriton可溶性タンパク質を含む上清を新しい管に移し、4℃で保存した。外膜タンパク質を含む最終的なペレット(Schnaitman,CA.1971.Solubilization of the Cytoplasmic Membrane of Escherichia coli by Triton X−100.J.Bacteriology 108:545−552)を0.1mlの水に再懸濁し、SDS−PAGEによる分析に供する前に同じく4℃で保存し、クマシーブルーで染色するか、またはヒトMICAに対するヤギポリクローナル抗体を使用してウエスタンブロットした(
図2)。
【0072】
SDS−PAGE分析では、サンプルを等量のNovex Tris−Glycine SDS 2Xサンプル緩衝液(Invitrogen AVLC2676)と混合し、4〜20%Tris−Glycine Gradient Gel(Invitrogen AVEC60285BOX)上で電気泳動した。ウエスタンブロット法では、スラブゲル中で電気泳動したサンプルのレーンをInvitrogen XCell II Blot Module(AVEI9051)を使用してニトロセルロース膜(Invitrogen Nitrocellulose Membrane Filter Paper Sandwich AVLC2001)に移した。5%牛乳−リン酸緩衝生理食塩水、Tween−20(PBST)中、4℃で膜フィルターを一晩ブロックした。一次抗体(抗ヒトMICA抗体−R&D Systems AVAF1300)を、5%牛乳−PBST中、1:500の希釈率で使用した。その結果得られたフィルターの「ブロット」を緩やかに振動させながら2時間25℃でインキュベートした。続いて、フィルターの「ブロット」をPBSTで20分間25℃で洗浄し、その後、5%牛乳−PBST中、1:1000の希釈率で二次抗体(抗ヤギIgG−HRP抗体−R&D Systems AVHAF017)を加えた。フィルターの「ブロット」を2時間25℃で振動させ、次いで、再びPBSTで20分間洗浄した。Novex HRP Chromogenic Substrate−TMB(Invitrogen AVWP20004)を用いてフィルターの「ブロット」を展開した。
【0073】
独立した方法によりα3ドメインの細菌表面ディスプレイを確認するために、インタクトな、アラビノース誘導型および非誘導型大腸菌の蛍光顕微鏡法により、誘導型培養由来のインタクトな細菌の表面にのみ、MICAのα3の染色を確認した。
【0074】
2.内部標的ドメインを有する可溶性の非天然ヒトMICタンパク質の生成
ヒトMICAは天然にグリコシル化されているが、その非グリコシル化形態は、その受容体であるNKG2Dにインビトロで結合する(Li et al,2001)。しかしながら、インビトロで、そして最終的にはインビボでヒト様グリコシル化形態を評価できるように、我々は、培養したヒト細胞においてMICAを発現させた。発現のために、ヒトCMVプロモーターおよびウシ成長ホルモン(bgh)ポリアデニル化シグナルを有する一過性発現ベクターpcDNA5/FRTに、2つの一般的なヒト対立遺伝子を挿入した(
図3)。
【0075】
機能的なプラスミド構築物
プライマーAV1466(配列番号30)およびAV1448(配列番号31)を使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によりヒト脾臓一本鎖cDNA(Life Technologies/Invitrogenより入手可能)から適切なDNA配列を増幅することによって、成熟HUMMHCREP(ヒトMHCクラスI関連タンパク質mRNA)の分泌シグナル配列およびコドン1〜276を得た。
【0076】
増幅DNA産物をNheIおよびHindIII制限酵素で消化し、得られた産物をNheI/HindIIIで消化したpCDNA5/FRT(Invitrogen)に連結してpSW265を作製した。
【0077】
pSW265の挿入されたPCR産物のDNAを配列決定し、NheI部位の後にb5’非翻訳(UT)配列の26塩基、その後に成熟HUMMHCREPの分泌シグナル配列およびコドン1〜276、その後に終止コドン、その後にHindIII部位を含むことを確認した。コード化配列が、翻訳された場合にアミノ酸の違いを生じるように意図する配列から逸脱した場合、アミノ酸配列が、配列番号13のように記載される配列の関連部分(アミノ酸1〜276)と一致するように、部位特異的突然変異誘発によりコドンを変更した(New England BioLabs Phusion(登録商標)部位特異的突然変異誘発キットおよび適切なプライマーを使用)。
【0078】
修正されたプラスミドはpSW271と称され、5’UT配列の26塩基をコードする修正されたDNA配列、その後に成熟HUMMHCREPの分泌シグナル配列およびコドン1−276、その後に終止コドン、配列番号14を含んでいた。
【0079】
プライマーAV1490(配列番号32)およびAV1489(配列番号33)ならびにpSW271を使用してPCR産物を生成し、続いてBamHIおよびBsmBIで消化し、pSW271の約5259bpのBamHI/BsmBI断片に連結した。その結果得られた構築物pSW275は、BsmBI部位を欠損している。
【0080】
New England BioLabs Phusion(登録商標)の部位特異的突然変異誘発キットならびにプライマーAV1493(配列番号34)およびAV1494(配列番号35)を使用して、2つのBsmBI部位をpSW275のMICAコード化領域に挿入してpSW276を作製した。
【0081】
MICAコドン125がAAG(Lys)の代わりにGAG (Glu)であることを除いて、プラスミドpSW267はpSW271と同じである。これは、部位特異的突然変異誘発によりpSW265から得た(New England BioLabs PhusionキットをプライマーAV1478(配列番号39)およびAV1479(配列番号40とともに使用)。この突然変異誘発により、GGG(Gly)〜TGG(Trp)のMICAコドン14およびGCT(Ala)〜ACT (Thr)のコドン24を変更した。
【0082】
プライマーAV1486(配列番号41)およびAV1487(配列番号42)を使用して、部位特異的突然変異誘発によりpSW267からプラスミドpSW273を作製した。pSW273は、シグナルペプチドと成熟ペプチドの残基1との間に6つのヒスチジンコドンを含む。
【0083】
部分的hph(ハイグロマイシン耐性)遺伝子からBsmBI部位が欠失されていることを除いて、プラスミドpKK33はプラスミドpSW273と同一である。プライマーAV1490(配列番号32)および1489(配列番号33)を用いて増幅することによりプラスミドpSW273からPCR断片を得た。この約727bpの断片をBamHIおよびBsmBIで消化し、pSW273の約5277bpのBamHI/BsmBI消化断片に連結した。これにより、BsmBI部位が除去され、pKK34が作製された。
【0084】
次に、MICAのα3ドメインのループ1に結合配列を挿入するためのpKK34に由来する構築物について説明する。
【0085】
以下のループ1の構築物は、MICAのT189とV200との間に指定された異種ペプチド「インサート」を挿入し、位置190〜199の残基を指定されたインサートで置換することによって生成した。
【0086】
MICAのT189とV200との間に挿入されたSRGDHPRTQ(配列番号43、ループ3.1と称される)をコードする配列を有するpKK36を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1830(上の鎖)(配列番号44)およびAV1831(下の鎖)(配列番号45)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0087】
MICAのT189とV200との間に挿入されたRTSRGDHPRTQ(配列番号46、ループ3.2と称される)をコードする配列を有するpKK37を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1832(上の鎖)(配列番号47)およびAV1833(下の鎖)(配列番号48)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0088】
MICAのT189とV200との間に挿入されたRVPRGDSDLT(配列番号49、ループ3.3と称される)をコードする配列を有するpKK38を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1834(上の鎖)(配列番号50)およびAV1835(下の鎖)(配列番号51)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0089】
MICAのT189とV200との間に挿入されたRSARGDSDHR(配列番号52、ループ3.4と称される)をコードする配列を有するpKK39を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1836(上の鎖)(配列番号53)およびAV1837(下の鎖)(配列番号54)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0090】
MICAのT189とV200との間に挿入されたVTRGDTFTQS(配列番号55、ループ5.1と称される)をコードする配列を有するpKK40を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1838(上の鎖)(配列番号56)およびAV1839(下の鎖)(配列番号57)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0091】
MICAのT189とV200との間に挿入されたRGDTFTQS(配列番号58、ループ5.2と称される)をコードする配列を有するpKK41を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1840(上の鎖)(配列番号59)およびAV1841(下の鎖)(配列番号60)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0092】
MICAのT189とV200との間に挿入されたHLARGDDLTY(配列番号61、ループ5.3と称される)をコードする配列を有するpKK42を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1842(上の鎖)(配列番号62)およびAV1843(下の鎖)(配列番号63)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0093】
MICAのT189とV200との間に挿入されたSGGSGGGSTSRGDHPRTQSGGSGGG(配列番号64、伸長ループ3.2spと称される)をコードする配列を有するpKK44を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1854(上の鎖)(配列番号65)およびAV1855(下の鎖)(配列番号66)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0094】
MICAのT189とV200との間に挿入されたSGGSGGGSRVPRGDSDLTSGGSGGG(配列番号67、伸長ループ3.3spと称される)をコードする配列を有するpKK45を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1856(上の鎖)(配列番号68)およびAV1857(下の鎖)(配列番号69)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0095】
MICAのT189とV200との間に挿入されたSGGSGGGSVTRGDTFTQSSGGSGGG(配列番号70、伸長ループ5.1spと称される)をコードする配列を有するpKK46を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1858(上の鎖)(配列番号71)およびAV1859(下の鎖)(配列番号72)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0096】
MICAのT189とV200との間に挿入されたSGGSGGGSHLARGDDLTYSGGSGGG(配列番号73、伸長ループ5.3spと称される)をコードする配列を有するpKK47を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1860(上の鎖)(配列番号74)およびAV1861(下の鎖)(配列番号75)をBsmBIで消化したpKK34に連結した。
【0097】
次に、ループ3に結合配列を挿入するための構築物について説明する。
【0098】
以下のループ3の構築物は、MICA残基イソロイシン249とシステイン259との間に指定された異種ペプチド「インサート」を挿入し、位置250〜258の残基を指定されたインサートで置換することによって生成した。
【0099】
プラスミドpSW276をBsmBIで消化し、キナーゼ化およびアニーリングしたオリゴヌクレオチドAV1826(配列番号36)およびAV1827(配列番号37)に連結してpKK35を作製した。このプラスミドは、MICA残基イソロイシン249とシステイン259との間のSGGSGGGSHHHHHHHHHHSGGSGGG(配列番号38)をコードし、位置250〜258の残基を置換する配列を含んでいた。
【0100】
SGGSGGGSTSRGDHPRTQSGGSGGG(配列番号76、伸長ループ3.2spと称される)をコードする配列を有するpKK48を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1864(上の鎖)(配列番号77)およびAV1865(下の鎖)(配列番号78)をBsmBIで消化したpSW276に連結した。
【0101】
MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSRVPRGDSDLTSGGSGGG(配列番号79、伸長ループ3.3spと称される)をコードする配列を有するpKK49を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1866(上の鎖)(配列番号80)およびAV1867(下の鎖)(配列番号81)をBsmBIで消化したpSW276に連結した。
【0102】
MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSVTRGDTFTQSSGGSGGG(配列番号82、伸長ループ5.1spと称される)をコードする配列を有するpKK50を作製するために、
【0103】
リン酸化オリゴヌクレオチドAV1868(上の鎖)配列番号83)およびAV1869(下の鎖)(配列番号84)をBsmBIで消化したpSW276に連結した。
【0104】
MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSHLARGDDLTYSGGSGGG(配列番号85、伸長ループ5.3spと称される)をコードする配列を有するpKK51を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1870(上の鎖)(配列番号86)およびAV1871(下の鎖)(配列番号87)をBsmBIで消化したpSW276に挿入した。
【0105】
次に、「緊密な」ループ1に結合配列を挿入するための構築物について説明する。
【0106】
以下の「緊密な」(T)ループ1の構築物は、MICAのN187とC202の間に指定された異種ペプチドの「インサート」を挿入することによって生成した、すなわち、MICAの残基188〜201を指定されたインサートで置換した。
【0107】
プラスミドpKK34をプライマーAV1873(配列番号88)およびAV1872(配列番号89)で変異誘発し、MICAのN187とC202との間のインサートをクローン化するために好適である都合のよいBsmBI部位を含むpSW324を作製した。
【0108】
MICAのN187とC202との間に挿入されたTSRGDHPRTQ(配列番号90、緊密T−3.1と称される)をコードする配列を有するpKK52を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1874(上の鎖)(配列番号91)およびAV1875(下の鎖)(配列番号92)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0109】
MICAのN187とC202との間に挿入されたGSRGDSLIMH(配列番号93、緊密T−3.5と称される)をコードする配列を有するpKK53を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1876(上の鎖)(配列番号94)およびAV1877(下の鎖)(配列番号95)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0110】
MICAのN187とC202との間に挿入されたRVPRGDSDLT(配列番号96、緊密T−3.3と称される)をコードする配列を有するpKK54を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1878(上の鎖)(配列番号97)およびAV1879(下の鎖)(配列番号98)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0111】
MICAのN187とC202との間に挿入されたVTRGDTFTQS(配列番号99、緊密T−5.1と称される)をコードする配列を有するpKK55を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1880(上の鎖)(配列番号100)およびAV1881(下の鎖)(配列番号101)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0112】
MICAのN187とC202との間に挿入されたHLARGDDLTY(配列番号102、緊密T−5.3と称される)をコードする配列を有するpKK56を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1882(上の鎖)(配列番号103)およびAV1883(下の鎖X、配列番号104)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0113】
MICAのN187とC202との間に挿入されたYQSWRYSQ(配列番号105、テンダミスタット由来のループ1、緊密T−AMYと称される)をコードする配列を有するpKK84を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1906(上の鎖)(配列番号106)およびAV1907(下の鎖)(配列番号107)をBsmBIで消化したpSW324に連結した。
【0114】
次に、同じ可溶性MICA分子のループ1およびループ3の両方に結合配列を挿入するための構築物について説明する。
【0115】
ループ1およびループ
3の両方に挿入された結合配列を有する可溶性MICA分子をコードする構築物を作製するために、我々はpKK115を作製した。ベクターpKK115は、ループ1の伸長5.1sp(配列番号82)と、他の配列をループ3にクローン化するのに好適である都合のよいBsmBI部位とを含む。ベクターpKK115は、プライマーAV1493(配列番号108)およびAV1494(配列番号109)を用いたpKK46の部位特異的突然変異誘発によって作製した。
【0116】
ループ1の伸長5.1spと、MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSTSRGDHPRTQSGGSGGG(配列番号76)、伸長ループ3.2spと称される)をコードする配列とを有するpKK128を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1864(上の鎖)(配列番号77)およびAV1865(下の鎖)(配列番号78)をBsmBIで消化したpKK115に連結した。
【0117】
ループ1の伸長5.1spと、MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSVTRGDTFTQSSGGSGGG(配列番号82、伸長ループ5.1spと称される)をコードする配列とを有するpKK129を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1868(上の鎖X、配列番号83)およびAV1869(下の鎖)(配列番号84)をBsmBIで消化したpKK115に連結した。
【0118】
ループ1の伸長5.1spと、MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSHLARGDDLTYSGGSGGG(配列番号85、伸長ループ5.3spと称される)をコードする配列とを有するpKK130を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1870(上の鎖)(配列番号86)およびAV1871(下の鎖)(配列番号87)をBsmBIで消化したpKK115に連結した。
【0119】
ループ1の伸長5.1spと、MICAのI249とC259との間に挿入されたSGGSGGGSVTRGDTFTQSSGGSGGG(配列番号82)、非相同伸長ループ5.1spNHと称される)をコードする配列とを有するpKK131を作製するために、リン酸化オリゴヌクレオチドAV1908(上の鎖)(配列番号110)およびAV1909(下の鎖)(配列番号111)をBsmBIで消化したpKK115に連結した。
【0120】
次に、内部結合インサートを有する可溶性MICA分子をコードする上述の作製した構築物の培養ヒト細胞発現と、それらの標的結合のELISAに基づく分析について説明する。
【0121】
プラスミド構築物pKK35−42、pKK44−56、およびpKK128−131の場合、10cm組織培養皿中の培養密度90%の293T細胞(ATCC)の培養物に、Fugene HD遺伝子導入試薬(Roche Applied Science)を使用して、10μgの各プラスミドDNAを遺伝子導入した。3日後、各培養物の培養培地を回収し、Eppendorf 5810R卓上型遠心機にて4000rpmで遠心分離することにより、浮遊している細胞を除去した。Pierce濃縮機の7ml/9K(カタログ番号AV89884A)回転管を使用して、回収された約9.5mlの各サンプルを濃縮した。回転機は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で予め洗浄した。各サンプルを濃縮機に加え、次いで、Eppendorf 5810R卓上型遠心機にて30分間4000rpmで遠心分離した。6mlのPBSで各サンプルを3回洗浄し、濃縮した:各回ともEppendorf 5810R卓上型遠心機にて30分間4000rpm回転させた。可溶性MICAのためのELISAによって、得られた各サンプル溶液中の可溶性MICAの濃度を推定した。捕捉剤は、マウス抗ヒトMICA(R&D Systems 部品番号841612)、検出抗体は、ストレプトアビジン−HRPおよびUltra TMBを用いて展開したビオチン化ヤギ抗ヒトMICA(R&D Systems 部品番号841613)であった。
【0122】
意図する標的タンパク質であるインテグリンαVβ3またはαVβ5をELISAプレート上の捕捉剤として使用して、ELISAより、濃縮した上清の各々において可溶性MICA分子が標的分子に結合する能力を測定した。それぞれのインテグリンがELISAプレートのウェルの底に接着した後、ウェルを洗浄し、本分野で周知のようにブロックした。293T細胞によって生成および分泌された可溶性MICAの各サンプル(100μl)を、αVβ3またはαVβ5を含むウェルに加え、インキュベートし、洗浄した。Ultra TMB−ELISA基質を用いて展開したヒトMICAに対するHRPコンジュゲート抗体により、インテグリンによって捕捉された可溶性MICA分子を検出し、光学密度を読み取った。MICA特異的ELISAにより、各サンプル中の可溶性MICAの量を決定した。結合した可溶性MICA分子から特異的なインテグリンへのシグナル(全MICAのng当たり)が示される。非結合陰性対照MICA(pSW273によって生成した)からのELISAシグナルを各インテグリン結合シグナルから差し引いた。対照とともに、pKK35〜42およびpKK44〜56から生成された単一ペプチドインサートを有するMICA産物の結果を表1に示す。それらの特異的インサートのアミノ酸配列および配列番号を表2に表す。遺伝子操作によってそれらのループのうちの1つのみに挿入された結合ペプチドを有する可溶性MICA分子は、インテグリン標的に結合する。
表1.可溶性MICA中の単一インサートからのインテグリン結合ELISAデータ
【表1】
表2.293細胞において発現されたプラスミドとファージプラスミドの相関関係、それらの慣用名、ループ1、ループ3、またはループ1および3の両方に挿入されたアミノ酸配列、ならびに対応するインサートの配列番号
【表2】
【0123】
対照とともに、pKK128〜131から生成された1つより多くのループに挿入された結合ペプチドを有するMICAの結果を表3に示す。pKK128〜131から生成された可溶性MICA分子のインテグリン標的結合についてのELISAアッセイを以下のように行った。それぞれのインテグリンがELISAプレートのウェルの底に接着した後、ウェルを洗浄し、ブロックした。培養上清の各サンプル(100μl)をαVβ3またはαVβ5を含むウェルに加え、インキュベートし、洗浄した。Ultra TMB−ELISA基質を用いて展開したヒトMICAに対するHRPコンジュゲート抗体により、インテグリンによって捕捉された可溶性MICA分子を検出し、光学密度を読み取った。MICA特異的ELISAにより、各サンプル中の可溶性MICAの量を決定した。特異的インテグリンに結合した1つより多くのインサートを有する可溶性MICA分子のシグナル(全MICAのng当たり)を表3に示す。それらの特異的インサートのアミノ酸配列および配列番号を表2に表す。1つより多くの内部ループに挿入された結合ペプチドを有するこれらの可溶性MICA分子は、単一の内部結合ペプチドのみを有する分子よりも高い結合を示し、分子当たり1つより多くの結合モチーフの結合力効果が示唆された。さらに、可溶性MICA分子がMICA分子当たり1つより多くのαVβ5特異的な内部結合ぺプチドを有する場合に、可溶性MICA分子の意図する標的、例えば、αVβ5への特異性が、密接に関連する標的であるαVβ3よりも高かった。その標的に対する結合力を示すMICA分子には、そのような結合および結合特異性の増加が期待された。よって、複製結合剤および異なる結合剤の両方である二価のMICA結合剤を作製し、二重特異性MICA分子およびその標的に対する親和性を超える結合力を有するMICA分子を生成することができた。
表3.可溶性MICAにおける2つのインサートからのインテグリン結合ELISAデータ
【表3】
【0124】
3.M13ファージ上のMICA−α3ドメインタンパク質の表示
所望の標的結合表現型を有する遺伝子操作したMICA分子をコードする新しい遺伝子の単離のためのシステムを開発するために、α3ドメインのアミノ酸181〜276をコードするDNAをコドン位置198でM13ファージ(M13mp18、Smithベクター型「33」)のカプシド遺伝子IIIに融合し(
図4)、混合された野生型(wt)およびα3−pIIIキメラカプシドを用い、ヘルパーファージM13ファージを用いずに生成した(Bass et al.,1990)。大腸菌からPEG精製したファージ調製物のタンパク質染色SDS−PAGE分析により、集団における融合タンパク質およびwt pIIIタンパク質の両方の存在を確認した(データは示さず)。
【0125】
テンダミスタットは、MICAのα3ドメインの構造に類似した三次元構造を有する細菌タンパク質である(Pflugrath et al.,1986)。ランダムペプチドをテンダミスタットに挿入し、ヒトインテグリンへの結合のためにM13ファージディスプレイによって選択した(McConnell and Hoess,1995;Li et al,2003)。ELISAアッセイのための陽性対照として、テンダミスタットをM13のpIIIに融合した。平行して、ここで、MICAのα3ドメインのループ1または3に挿入された同じデカペプチドのうちのいくつかが、カプシドpIIIに融合されたα3ドメインを表示するM13ファージを、ELISAフォーマットにおいてインテグリンに結合するように同様に誘導することができるかどうかを判定した。
【0126】
次に、ループ1、ループ3、またはループ1およびループ3の両方に異なる結合ペプチドを有するMICAのα3ドメインを表示するM13ファージの構築、発現、およびアッセイについて説明する。
【0127】
M13ファージM13KE(New England BioLabsから得た)を、プライマーAV1887(配列番号112)およびAV1888(配列番号113)を用いたPCR増幅反応における鋳型として使用した。
【0128】
M13KE遺伝子IIIのC末端部分からなるPCR産物をEcoRIおよびHindIIIで消化し、EcoRI/HindIIIで消化したM13ファージベクターM13mp 18(GenBank X02513)に連結してファージベクターpSW326を作製した。
【0129】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND(配列番号114)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK59を作製した。
【0130】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND−3A(配列番号 115)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK60を作製した。
【0131】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND−3B(配列番号116)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK61を作製した。
【0132】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND−5A(配列番号117)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK63を作製した。
【0133】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND−5B(配列番号118)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK64を作製した。
【0134】
EcoRIおよびAvrIIで消化した合成配列TEND−His8(配列番号119、His8は配列番号130)をEcoRI/AvrIIで消化したpSW326に挿入することにより、ファージベクターpKK65を作製した。
【0135】
ファージベクターpKK106を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK29から約320bpの断片を増幅した。次いで、野生型MICAのα3配列(配列番号1〜6、13)を表すこの断片を、EcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0136】
ファージベクターpKK91を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK35から約356bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0137】
ファージベクターpKK92を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK36から約305bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0138】
ファージベクターpKK93を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK37から約311の断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0139】
ファージベクターpKK94を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK38から約308bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0140】
ファージベクターpKK95を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK39から約308bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0141】
ファージベクターpKK96を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK40から約308bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0142】
ファージベクターpKK97を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK41から約302bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0143】
ファージベクターpKK98を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK42から約308bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0144】
ファージベクターpKK100を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK44から約353bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0145】
ファージベクターpKK101を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK45から約353bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0146】
ファージベクターpKK102を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK46から約353bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0147】
ファージベクターpKK103を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK47から約353bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0148】
ファージベクターpKK104を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK48から約356bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0149】
ファージベクターpKK105を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK49から約356bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0150】
ファージベクターpKK107を作製するために、プライマーKK69(配列番号122)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK52から約344bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0151】
ファージベクターpKK108を作製するために、プライマーKK70(配列番号123)およびAV1898配列番号121)を使用して、PCRによりpKK53から約284bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0152】
ファージベクターpKK109を作製するために、プライマーKK71(配列番号124)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK54から約284bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0153】
ファージベクターpKK110を作製するために、プライマーKK72(配列番号125)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK55から約284bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0154】
ファージベクターpKK111を作製するために、プライマーKK73(配列番号126)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK56から約284bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0155】
ファージベクターpKK112を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK84から約278bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0156】
ファージベクターpKK136を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK128から約413bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0157】
ファージベクターpKK137を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK129から約413bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0158】
ファージベクターpKK138を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK130から約413bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0159】
ファージベクターpKK139を作製するために、プライマーAV1897(配列番号120)およびAV1898(配列番号121)を使用して、PCRによりpKK131から約413bpの断片を増幅した。次いで、この断片をEcoRIおよびBsmBIで消化し、MfeI/AvrIIで消化した約7911bpのpKK59の断片に連結した。
【0160】
NEBαF’tet形質転換受容性大腸菌細胞にファージベクターを独立して形質転換した。形質転換細胞によって生成されたファージを滴定し、それらの濃度を1ml当たり10
13に希釈して調製した。意図する標的タンパク質であるインテグリンαVβ3またはαVβ5をELISAプレート上の捕捉剤として使用して、ELISAによりファージ調製物の各々における可溶性MICA分子の能力を測定した。それぞれのインテグリンがELISAプレートのウェルの底に接着した後、ウェルを洗浄し、本分野で周知のようにブロックした。ファージ調製物の各サンプル(100μl)を、αVβ3またはαVβ5を含むウェルに加え、インキュベートし、洗浄した。Ultra TMB−ELISA基質を用いて展開したM13ファージコートに対するHRPコンジュゲート抗体により、インテグリンによって捕捉されたファージを検出し、光学密度を読み取った。M13ファージの力価は、8X10
12〜1.1X10
13/mlの範囲だった。pKK91〜98および100〜112から生成された単一ペプチドインサートを有するα3ドメインを表示するファージの結果を表4に示す。それらの特異的インサートのアミノ酸配列および配列番号を表2に表す。遺伝子操作によってそれらのループのうちの1つのみに挿入された結合ペプチドを有するα3ドメインを表示する、pIIIカプシドタンパク質に融合されたファージは、インテグリン標的に結合する。
表4.MICAのα3−PIIIバクテリオファージディスプレイにおける単一インサートからのインテグリン結合ELISAデータ
【表4】
【0161】
対照とともに、pKK136、138、および139から生成された1つより多くのループに挿入された結合ペプチドを有するα3ドメインを表示するファージの結果を表5に示す。結合ペプチドインサートが1つより多くのループに移植されたα3ドメインを表示するM13ファージのインテグリン標的結合に関するELISAアッセイを以下のように行った。それぞれのインテグリンがELISAプレートのウェルの底に接着した後、ウェルを洗浄し、ブロックした。ファージ調製物の各サンプル(100μl)をαVβ3またはαVβ5を含むウェルに加え、Ultra TMB−ELISA基質を用いて展開したM13ファージコートに対するHRPコンジュゲート抗体により、インテグリンによって捕捉されたファージを検出し、光学密度を読み取った。M13ファージの力価は、8X10
12〜1.1X10
13/mlの範囲だった。pKK136、138、および139から生成された1つより多くのペプチドインサートを有するα3ドメインを表示するファージ、ならびにpKK93、102、もしくは103から生成された1つのインサートを有するか、またはインサートを含まない(pKK106)α3ドメインを表示する対照の結果を示す。それらの特異的インサート(複数可)のアミノ酸配列および配列番号を表2に表す。1つより多くの内部ループに挿入された結合ペプチドを有するこれらのα3ドメインは、単一の内部結合ペプチドのみを有するドメインよりも高いファージの標的結合を伝達し、分子当たり1つより多くの結合モチーフの結合力効果が裏付けられた。さらに、α3ドメインが1つより多くのαVβ5特異的な内部結合ペプチドを有する場合に、α3ドメインのその意図する標的、例えば、αVβ5への特異性が、この場合も、密接に関連する標的であるαVβ3よりも高かった(結合力効果)。
表5.MICAのα3−PIIIバクテリオファージディスプレイにおける移植された2つのインサートからのインテグリン結合ELISAデータ
【表5】
【0162】
4.可溶性の標的MICAは、標的細胞を死滅させるためにNK細胞を動員するための特異的なアダプター分子として作用した。
LIVE/DEAD(登録商標)細胞生存率アッセイを、Chromy et al,2000によって本質的に記載されるように、また、製造業者のプロトコル(Invitrogen、Carlsbad,CA)従って行った。端的に述べると、96ウェル平底培養プレートに、1x10
4細胞/ウェルの密度でヒト標的細胞(MCF7およびHeLa)を播種したところ、2日で80%の培養密度に達した。pKK131を一過性に遺伝子導入した293T細胞の培養上清を、Pierce 9K MWCO 回転機により約100倍に濃縮し、MICA特異的ELISAによってMICAの濃度を決定した。可溶性の標的MICA分子が標的細胞を死滅させるためにヒトNK細胞を動員する能力を証明するために、標的細胞を含む異なるウェルにおいて、異なる濃度の濃縮した可溶性MICAタンパク質を16時間インキュベートした。次いで、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を用いてウェルを2回洗浄することにより、非結合タンパク質を除去した。次いで、可溶性MICAに暴露した標的細胞をカルセイン−AM(2μΜ)を用いて30分間37℃で処理し、全ての生存細胞において緑色蛍光を得た。インキュベーション後、再びPBSを用いて細胞を2回洗浄し、次いで、標的細胞に対して10:1および5:1の比率で生存NK−92MI細胞に暴露した。NK−92MI細胞を標的細胞とともに4時間インキュベートし、次いで、非結合NK−92MI細胞を除去し、PBSを用いて標的細胞を2回洗浄した。次に、30分間37℃でエチジウムホモ二量体(2μΜ)を加え、NK細胞死滅の程度を判定した。細胞を洗浄し、蛍光プレートリーダー(SoftMaxPro)上で分析した。NK細胞の非存在下において、また5:1および10:1の比率ならびに0,64pgおよび128pgで可溶性の標的MICAを加えたウェルからの赤色(エチジウム)および緑色(カルセイン−AM)の蛍光シグナルの平均を使用して、生存細胞および死滅細胞を定量した。
【0163】
標的MICAの非存在下において0、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、(死滅した)MCF細胞からの赤色蛍光シグナルは、12.6±1.1から12.9±2.9、そして12.0±1.0へと変化した。64pgの標的MICAの存在下において、0、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、(死滅した)MCF細胞からの赤色蛍光シグナルは、19.9±2.4から27.0±1.0、そして31.0±1.6へと変化した。標的MICAを128pgで加えた場合、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、(死滅した)MCF細胞からの赤色蛍光シグナルは、25.6±2.2から41.0±6.7へと変化した。標的MICAの非存在下で、0、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、同じウェル内の生存細胞からの対応する蛍光(緑色)シグナルは、5621±372、5535±205および5721±335であった。64pgの標的MICAの存在下において、0、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、生存MCF細胞からの緑色蛍光シグナルは、5028±177から5181±102、そして3697±591へと変化した。標的MICAを128pgで加えた場合、5:1、10:1の比率でNK細胞を加えたところ、生存MCF細胞からの緑色蛍光シグナルは、3459±394から2191±331へと変化した。
【0164】
徐々に増加する量の標的MICAをウェルに加えたところ、標的インテグリンを発現しないHeLa細胞からの蛍光シグナルは、NK−92MI細胞による死滅の増加を示唆しなかった。