特許第6018087号(P6018087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018087
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20161020BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20161020BHJP
   B41J 2/18 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   B41J2/175 503
   B41J2/19
   B41J2/18
   B41J2/175 501
【請求項の数】6
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-553304(P2013-553304)
(86)(22)【出願日】2013年1月10日
(86)【国際出願番号】JP2013050286
(87)【国際公開番号】WO2013105594
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】特願2012-2785(P2012-2785)
(32)【優先日】2012年1月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貢市
【審査官】 居島 一仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−281532(JP,A)
【文献】 特開2009−51046(JP,A)
【文献】 特開2011−79169(JP,A)
【文献】 特開2011−46131(JP,A)
【文献】 特開2008−30333(JP,A)
【文献】 特開2007−75753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、
特定の色のインクを貯留するインクタンクと、
前記インクを吐出するノズルが形成された複数の記録ヘッドと、
前記インクが流れるインク流路と、
前記インク流路の途中に設けられ、前記インク流路を流れて、前記インクタンクから供給される前記インクを前記複数の記録ヘッドのそれぞれに分配する管状の分配器と、
前記インクタンクから前記複数の記録ヘッドに供給され、且つ、前記インクタンクに回収される前記インクを、前記インク流路及び前記分配器を介して送液する送液部と、を備え、
前記インク流路は、
前記インクタンクと前記分配器とを接続し、前記インクタンクから前記分配器に前記インクを供給するためのインク流入流路と、
前記分配器と前記インクタンクとを接続し、前記分配器に供給された前記インクを前記インクタンクに回収するためのインク回収流路と、
前記分配器と前記複数の記録ヘッドのそれぞれとを接続し、前記分配器に供給された前記インクを、前記複数の記録ヘッドのそれぞれに供給するための複数のインク供給流路と、を含み、
前記分配器は、
前記インク流入流路が接続され、前記インクが流入する流入口部を含む流入部と、
前記インク回収流路が接続され、前記インクが流出する流出口部を含む流出部と、
前記複数のインク供給流路がそれぞれ接続され、前記インクが流出する供給口部をそれぞれ含む複数の供給部と、
前記分配器の内部に形成され、前記流入口部と前記流出口部と前記複数の供給口部とに連続し、前記流入口部から流入する前記インクが流れ、前記インクを前記流出口部及び前記複数の供給口部のそれぞれに供給する共通流路と、を含み、
前記流入部は、管状の前記分配器の第一側の端部に設けられ、
前記流出部は、管状の前記分配器の第二側の端部に設けられ、
前記共通流路は、前記第一側の端部と前記第二側の端部との間に延在し、
前記複数の供給部は、管状の前記分配器の側面部において前記共通流路が延在する方向に配列された状態でそれぞれ設けられ、
前記分配器は、鉛直方向において前記第二側の端部が前記第一側の端部より上側となり、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜し、前記供給口部の開口方向が水平方向より鉛直方向の下向きとなる設置状態となるように前記インクジェット記録装置に設けられる、インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記流入部は、前記インク流入流路が接続され、前記流入口部が形成された第一継手部を含み、
前記流出部は、前記インク回収流路が接続され、前記流出口部が形成された第二継手部を含み、
前記第一継手部は、前記流入口部のうち、前記共通流路の側の所定の範囲が、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜する傾斜角に等しく傾斜した状態で前記第一側の端部に設けられ、
前記第二継手部は、前記流出口部のうち、前記共通流路の側の所定の範囲が前記傾斜角に等しく傾斜した状態で前記第二側の端部に設けられる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記複数のインク供給流路は、前記供給口部から流出し、前記記録ヘッドに供給される前記インクが流れる流路長がそれぞれ等しい長さに設定される、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記複数のインク供給流路のそれぞれの途中に設けられ、前記インク供給流路のそれぞれを開閉する複数の供給側バルブと、
前記複数の供給側バルブがそれぞれ固定される固定面を含む固定部と、を備え、
前記固定部は、前記固定面が、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜する傾斜角に等しく傾斜した状態で前記インクジェット記録装置に設けられ、
前記複数の供給側バルブは、前記設置状態とされた前記分配器において、鉛直方向の上側となる位置に設けられた前記供給部と接続される前記インク供給流路の途中に設けられる前記供給側バルブほど鉛直方向の上側となるように、前記固定面に固定される、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インク回収流路の途中に設けられ、前記インク回収流路を開閉する回収側バルブを備え、
前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録される場合、
前記送液部は、駆動し、
前記回収側バルブは、開放及び閉鎖の何れかとされ、
前記複数の供給側バルブは、それぞれ開放され、
前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録されない場合、
前記送液部は、駆動し、
前記回収側バルブは、開放され、
前記複数の供給側バルブは、それぞれ閉鎖される、請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記回収側バルブは、前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録される場合、前記複数のインク供給流路のそれぞれを流れ、前記複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される前記インクの量に応じた、開放から閉鎖までの間の開度とされる、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な記録媒体に画像を記録するための記録装置として、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、複数のノズルが吐出面に配列された記録ヘッドを備え、各ノズルからインクを吐出させることにより、記録媒体に画像を記録する。ノズルから吐出されるインクは、所定の経路を流れて、記録ヘッドに供給される。
【0003】
特許文献1には、分配タンクを備える画像形成装置が開示されている。分配タンクには、タンクケース内に複数のヘッドにインクを分配する共通流路が形成されている。共通流路の天面は傾斜面に形成されている。共通流路の一端部側に共通流路にインクを供給するインク供給口からのインク供給経路が設けられている。インク供給経路は、共通流路に向かって斜めに下方から上方に向かって立ち上がる形状に形成され、上方の位置の出口で共通流路と連通している。共通流路の天面は傾斜面に形成されている。共通流路の一端部側(天面の上面側)に気泡排出口が設けられ、排出経路に接続されている。特許文献1には、インク供給経路に流入するインクに気泡が混入していた場合、インク供給経路が傾斜していることから、気泡はその浮力によって上昇して、気泡排出口へ排出される、ことが記載されている。
【0004】
特許文献2には、インクの循環経路と、インクの分配器と、複数のインクジェットヘッドと、脱気手段とを有するインクジェット印刷装置が開示されている。分配器は、循環経路に設けられる。複数のインクジェットヘッドは、分配器に設けられる。脱気手段は、循環経路に設けられる。分配器は、インクが送り込まれる分配器入口部と、インクが送り出される分配器出口部を有している。分配器の内部上面は、分配器入口部から分配器出口部へ向かうにつれて高さが高くなるテーパー形状をしている。分配器とインクジェットヘッドとの間にはバルブが設けられている。脱気手段には分配器出口部から送り出されたインクが送り込まれる。脱気手段は、循環経路、分配器、インクジェットヘッドのなかで最も高い位置にある。脱気手段は、インクが通過する中空糸膜と減圧手段とを備える。
【0005】
特許文献3には、複数のヘッドモジュールへの気泡の到達を防止しつつ、安定したインク循環を実現するためのインクジェット記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−46131号公報
【特許文献2】特許第4784129号公報
【特許文献3】特開2011−79169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インクジェット記録装置には、ライン型インクジェット記録装置とシリアル型インクジェット記録装置がある。ライン型インクジェット記録装置は、記録媒体の幅方向に沿ってノズルが配列された複数の記録ヘッドを備える。複数の記録ヘッドは、記録媒体が搬送される所定の領域に固定された状態で設けられる。記録媒体の搬送方向は、記録媒体の幅方向に直交する方向である。ライン型インクジェット記録装置は、記録媒体を搬送方向に搬送させて、搬送される記録媒体に画像を記録する記録装置である。シリアル型インクジェット記録装置は、記録媒体の搬送方向に沿ってノズルが配列された複数の記録ヘッドを備える。複数の記録ヘッドは、記録媒体の幅方向(搬送方向と直交する方向)を往復移動される。シリアル型インクジェット記録装置は、記録ヘッドの往復移動と記録媒体の搬送を繰り返すことで、搬送される記録媒体に画像を記録する記録装置である。
【0008】
ライン型インクジェット記録装置及びシリアル型インクジェット記録装置は、分配器を備える。分配器は、複数の記録ヘッドのそれぞれにインクを供給するための構成である。分配器は、インクタンクに接続されたインク流路の途中に設けられる。分配器には、インク流路を介して、複数の記録ヘッドが接続される。分配器によれば、記録ヘッドの数が多くなったとしても、インクタンクから流出したインクを分配し、複数の記録ヘッドにそれぞれ供給することが可能となる。
【0009】
インクに気泡が含まれ、分配器の内部に気泡を含むインクが流入すると、気泡を含むインクが記録ヘッドに供給されてしまい、インクの吐出不良の原因となる場合がある。このため、分配器の内部に流入したインクに含まれる気泡を除去する必要がある。このとき、分配器自体はシンプルな形状とするとよい。複雑な形状は、その形状とするための加工が困難となる。
【0010】
本発明は、シンプルな分配器としつつ、インクに含まれる気泡を分配器の内部で分離し、分離した気泡を好適に排出することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面のインクジェット記録装置は、記録媒体に画像を記録するためのインクジェット記録装置であって、特定の色のインクを貯留するインクタンクと、前記インクを吐出するノズルが形成された複数の記録ヘッドと、前記インクが流れるインク流路と、前記インク流路の途中に設けられ、前記インク流路を流れて、前記インクタンクから供給される前記インクを前記複数の記録ヘッドのそれぞれに分配する管状の分配器と、前記インクタンクから前記複数の記録ヘッドに供給され、且つ、前記インクタンクに回収される前記インクを、前記インク流路及び前記分配器を介して送液する送液部と、を備え、前記インク流路は、前記インクタンクと前記分配器とを接続し、前記インクタンクから前記分配器に前記インクを供給するためのインク流入流路と、前記分配器と前記インクタンクとを接続し、前記分配器に供給された前記インクを前記インクタンクに回収するためのインク回収流路と、前記分配器と前記複数の記録ヘッドのそれぞれとを接続し、前記分配器に供給された前記インクを、前記複数の記録ヘッドのそれぞれに供給するための複数のインク供給流路と、を含み、前記分配器は、前記インク流入流路が接続され、前記インクが流入する流入口部を含む流入部と、前記インク回収流路が接続され、前記インクが流出する流出口部を含む流出部と、前記複数のインク供給流路がそれぞれ接続され、前記インクが流出する供給口部をそれぞれ含む複数の供給部と、前記分配器の内部に形成され、前記流入口部と前記流出口部と前記複数の供給口部とに連続し、前記流入口部から流入する前記インクが流れ、前記インクを前記流出口部及び前記複数の供給口部のそれぞれに供給する共通流路と、を含み、前記流入部は、管状の前記分配器の第一側の端部に設けられ、前記流出部は、管状の前記分配器の第二側の端部に設けられ、前記共通流路は、前記第一側の端部と前記第二側の端部との間に延在し、前記複数の供給部は、管状の前記分配器の側面部において前記共通流路が延在する方向に配列された状態でそれぞれ設けられ、前記分配器は、鉛直方向において前記第二側の端部が前記第一側の端部より上側となり、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜し、前記供給口部の開口方向が水平方向より鉛直方向の下向きとなる設置状態となるように前記インクジェット記録装置に設けられる、ことを特徴とする。
【0012】
このインクジェット記録装置によれば、分配器に流入したインクは、共通流路が延在する方向を鉛直方向の下側から上側に向けて流れる。傾斜して設けられた分配器において、記録ヘッドに供給されることとなるインクに含まれる気泡は、共通流路をインクの流れに沿って流れ、且つ、浮力によって鉛直方向を上側に移動する。そのため、前述した気泡が水平方向より鉛直方向の下向きに開口した供給口部の側に移動することを抑制し、気泡を好適に分離することができる。気泡を分離させるために特別な形状を有する分配器としなくてもよく、シンプルな分配器にすることができる。鉛直方向を上側に移動した気泡を、スムーズに流出口部から排出させることができる。気泡が分離されたインクを、記録ヘッドに供給することができる。好適なインクの吐出が実現され、好適な画像の記録を実行することができる。シンプルな分配器としつつ、インクに含まれる気泡を分配器の内部で分離し、分離した気泡を好適に排出することが可能なインクジェット記録装置とすることができる。
【0013】
このインクジェット記録装置は、次のようにしてもよい。前記流入部は、前記インク流入流路が接続され、前記流入口部が形成された第一継手部を含み、前記流出部は、前記インク回収流路が接続され、前記流出口部が形成された第二継手部を含み、前記第一継手部は、前記流入口部のうち、前記共通流路の側の所定の範囲が、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜する傾斜角に等しく傾斜した状態で前記第一側の端部に設けられ、前記第二継手部は、前記流出口部のうち、前記共通流路の側の所定の範囲が前記傾斜角に等しく傾斜した状態で前記第二側の端部に設けられる、ようにしてもよい。これによれば、インク流入流路を介して送液されるインクを、共通流路にスムーズに流入させることができる。共通流路に流入されたインクであって、記録ヘッドに供給されずにインクタンクに回収されるインクを共通流路からスムーズに排出させ、インク回収流路に流すことができる。好適なインクの循環を実現することができる。
【0014】
前記複数のインク供給流路は、前記供給口部から流出し、前記記録ヘッドに供給される前記インクが流れる流路長がそれぞれ等しい長さに設定される、ようにしてもよい。これによれば、複数のインク供給流路のそれぞれについて、各供給口部から流出したインクの流れ方を同様にすることができる。異なるインク供給流路を介して複数の記録ヘッドにインクを供給する場合において、各記録ヘッドへのインクの供給を同様の状態で行うことができる。
【0015】
前記複数のインク供給流路のそれぞれの途中に設けられ、前記インク供給流路のそれぞれを開閉する複数の供給側バルブと、前記複数の供給側バルブがそれぞれ固定される固定面を含む固定部と、を備え、前記固定部は、前記固定面が、前記共通流路が延在する方向が水平方向に対して傾斜する傾斜角に等しく傾斜した状態で前記インクジェット記録装置に設けられ、前記複数の供給側バルブは、前記設置状態とされた前記分配器において、鉛直方向の上側となる位置に設けられた前記供給部と接続される前記インク供給流路の途中に設けられる前記供給側バルブほど鉛直方向の上側となるように、前記固定面に固定される、ようにしてもよい。これによれば、複数の供給側バルブをそれぞれ閉鎖することで、インクが複数の記録ヘッドのそれぞれに供給されない状態とすることができる。複数のインク供給流路のそれぞれの途中に設けられる複数の供給側バルブが共通流路が延在する方向に沿った状態で設けられ、且つ、複数の供給側バルブの配列を、インク供給流路を介して接続される供給部の配列に対応させることができる。そのため、インク供給流路の途中に供給側バルブを設けた場合においても、複数のインク供給流路の流路長をそれぞれ等しい長さに設定することができる。換言すれば、複数のインク供給流路について、供給口部から供給側バルブまでの流路長を一致させ、且つ、供給側バルブから記録ヘッドまでの流路長を一致させることができる。
【0016】
前記インク回収流路の途中に設けられ、前記インク回収流路を開閉する回収側バルブを備え、前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録される場合、前記送液部は、駆動し、前記回収側バルブは、開放及び閉鎖の何れかとされ、前記複数の供給側バルブは、それぞれ開放され、前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録されない場合、前記送液部は、駆動し、前記回収側バルブは、開放され、前記複数の供給側バルブは、それぞれ閉鎖される、ようにしてもよい。これによれば、インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録される場合、複数の記録ヘッドのそれぞれにインクを好適に供給することができる。一方、インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録されない場合、インクをインクタンクに回収し、好適に循環させることができる。インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録されない場合にインクを循環させることで、インクに含有される色剤を含む各種の成分の沈降を抑制することができる。
【0017】
前記回収側バルブは、前記インクジェット記録装置で記録媒体に画像が記録される場合、前記複数のインク供給流路のそれぞれを流れ、前記複数の記録ヘッドにそれぞれ供給される前記インクの量に応じた、開放から閉鎖までの間の開度とされる、ようにしてもよい。これによれば、複数の記録ヘッドのそれぞれに供給されるインクの量を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す平面図である。
図2】複数の記録ヘッドを含む記録部の一例を示し、記録部をノズルが形成された記録ヘッドの吐出面の側から視た図である。
図3】記録ヘッドへのインクの供給と、インクの循環とを説明する図である。
図4】分配器の概略構成の一例を示す図である。
図5図4に示すD−D線断面図である。
図6】分配器の概略構成の他の例を示す図である。
図7図6に示すE−F−G−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための実施形態について説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0020】
<インクジェット記録装置>
インクジェット記録装置1について、図1及び図2を参照して説明する。インクジェット記録装置1は、ライン型のインクジェット記録装置である。インクジェット記録装置1によれば、記録媒体2にフルカラーの画像を記録することができる。本実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色によってフルカラーの画像を記録する場合を例に説明する。インクジェット記録装置1は、搬送部10と、記録部20Y,20M,20C,20Kと、制御ボックス30と、インクタンク40Y,40M,40C,40Kと、インク流路50Y,50M,50C,50Kと、分配器60Y,60M,60C,60Kとを備える。
【0021】
搬送部10は、コンベア等のような搬送機構によって構成される。搬送部10は、記録媒体2を、搬送部10の上流側から、記録部20Y,20M,20C,20Kを通過させ、搬送部10の下流側に搬送する。搬送部10は、既に実用化されたインクジェット記録装置が備える搬送部と同様の構成を有する。従って、搬送部10に関するこの他の説明は省略する。
【0022】
記録部20Yは、イエローインクによって画像を記録する記録部である。記録部20Mは、マゼンタインクによって画像を記録する記録部である。記録部20Cは、シアンインクによって画像を記録する記録部である。記録部20Kは、ブラックインクによって画像を記録する記録部である。記録部20Yは、図2に示すように配置された、複数の記録ヘッド22Yを含む。記録ヘッド22Yには、イエローインクを吐出する複数のノズル24Yが形成される。記録部20Mは、図2に示すように配置された、複数の記録ヘッド22Mを含む。記録ヘッド22Mには、マゼンタインクを吐出する複数のノズル24Mが形成される。記録部20Cは、図2に示すように配置された、複数の記録ヘッド22Cを含む。記録ヘッド22Cには、シアンインクを吐出する複数のノズル24Cが形成される。記録部20Kは、図2に示すように配置された、複数の記録ヘッド22Kを含む。記録ヘッド22Kには、ブラックインクを吐出する複数のノズル24Kが形成される。
【0023】
記録部20Y,20M,20C,20Kのそれぞれに含まれる記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kの配置及び総数について、図2では、3個/列×2列の合計6個としているが、これは例示である。記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kの配置及び総数は、諸条件を考慮して適宜決定される。1個の記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kのそれぞれに形成されるノズル24Y,24M,24C,24Kの配置及び総数について、図2では、3個/列×2列の合計6個としているが、これは例示である。ノズル24Y,24M,24C,24Kの配置及び総数は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0024】
記録部20Y,20M,20C,20K及び記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ同一の構成を有する。本実施形態では、記録部20Y,20M,20C,20Kをそれぞれ区別しない場合(インク色をそれぞれ区別しない場合)、又は、これらを総称する場合、「記録部20」という。同様に、記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kは、「記録ヘッド22」という。ノズル24Y,24M,24C,24Kは、「ノズル24」という。
【0025】
各色用の記録部20は、搬送面12の上方の位置に設けられる。各色用の記録部20において、ノズル24が形成された記録ヘッド22の面(吐出面)は、搬送部10の搬送面12にセットされて搬送される記録媒体2の記録面3に対向する。各色用の記録部20は、搬送部10による記録媒体2の搬送方向に隣り合った状態で配列される。各色用の記録部20の配列は、図1及び図2とは異なる順序としてもよい。各色用の記録部20の配列順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。インクジェット記録装置1において画像の記録が行われる場合、各色のインクは、各色用の記録部20にそれぞれ含まれる記録ヘッド22に形成されたノズル24から、搬送面12にセットされて搬送される記録媒体2の記録面3に向けて吐出される。ノズル24から吐出された各色のインクは、記録面3に着弾する。
【0026】
制御ボックス30は、例えば、制御部32と、接続インターフェース(接続I/F)34とを含む。制御部32は、インクジェット記録装置1を制御する。制御部32は、例えば、画像の記録等に関するインクジェット記録方法のための処理を制御する。制御部32は、電子部品が搭載された回路基板及び電気配線等を含む。制御部32に含まれる少なくとも一部の構成は、記録部20の上部に設けられることもある。接続インターフェース34は、インクジェット記録装置1(制御ボックス30)と、パーソナルコンピュータのような外部装置36とを、データ通信可能に接続するためのインターフェースである。例えば、外部装置36からインクジェット記録装置1には、接続インターフェース34を介して、記録される画像に対応した画像データが入力される。制御部32は、この入力された画像データに従いインクジェット記録方法のための処理を制御する。
【0027】
インクタンク40Y,40M,40C,40Kは、画像の記録に用いられる上述した各色のインクをそれぞれ貯留する。インクタンク40Yは、イエローインクを貯留するインクタンクである。インクタンク40Mは、マゼンタインクを貯留するインクタンクである。インクタンク40Cは、シアンインクを貯留するインクタンクである。インクタンク40Kは、ブラックインクを貯留するインクタンクである。インクタンク40Y,40M,40C,40Kは、同様の構成を有する。本実施形態では、インクタンク40Y,40M,40C,40Kをそれぞれ区別しない場合(インク色をそれぞれ区別しない場合)、又は、これらを総称する場合、「インクタンク40」という。
【0028】
インク流路50Y,50M,50C,50Kは、各色のインクが流れる流路である。インク流路50Yは、イエローインクが流れる流路である。インクタンク40Yから流出したイエローインクは、インク流路50Yを流れ、記録部20Yに含まれる複数の記録ヘッド22Yに供給される。インク流路50Mは、マゼンタインクが流れる流路である。インクタンク40Mから流出したマゼンタインクは、インク流路50Mを流れ、記録部20Mに含まれる複数の記録ヘッド22Mに供給される。インク流路50Cは、シアンインクが流れる流路である。インクタンク40Cから流出したシアンインクは、インク流路50Cを流れ、記録部20Cに含まれる複数の記録ヘッド22Cに供給される。インク流路50Kは、ブラックインクが流れる流路である。インクタンク40Kから流出したブラックインクは、インク流路50Kを流れ、記録部20Kに含まれる複数の記録ヘッド22Kに供給される。インク流路50Y,50M,50C,50Kは、同様の構成を有する。本実施形態では、インク流路50Y,50M,50C,50Kをそれぞれ区別しない場合(インク色をそれぞれ区別しない場合)、又は、これらを総称する場合、「インク流路50」という。インク流路50に関するこの他の説明は後述する。図1においてインク流路50Y,50M,50C,50Kは、図示を簡略化している。
【0029】
分配器60Y,60M,60C,60Kは、対応する色のインク流路50Y,50M,50C,50Kの途中の位置にそれぞれ設けられ、各色のインクをそれぞれ、記録ヘッド22Y,22M,22C,22Kに分配する。分配器60Y,60M,60C,60Kは、内部に空間が形成された管状の構成を有する。分配器60Y,60M,60C,60Kは、同様の構成を有する。本実施形態では、分配器60Y,60M,60C,60Kをそれぞれ区別しない場合(インク色をそれぞれ区別しない場合)、又は、これらを総称する場合、「分配器60」という。分配器60に関するこの他の説明は後述する。
【0030】
<インク供給及びインク循環>
インクジェット記録装置1において、各色用のインクタンク40にそれぞれ貯留された各色のインクがインクタンク40から、対応する色の記録部20に含まれる複数の記録ヘッド22に供給される構成と、各色用のインクタンク40にそれぞれ貯留された各色のインクが循環される構成とについて、図3図7等を参照して説明する。インクタンク40から記録ヘッド22へのインクの供給は、インク色に関わりなく、以下に示すような構成によって実現される。従って、以下では、インク色を限定することなく説明する。
【0031】
インクジェット記録装置1は、インクタンク40から、記録部20に含まれる複数の記録ヘッド22に、特定の色のインクを供給し、循環させるための構成として、図3に示すような各部を備える。具体的に、インクジェット記録装置1は、上述したインク流路50及び分配器60の他、ポンプ90と、回収側バルブ92と、複数の供給側バルブ94と、固定部96とを備える。
【0032】
インク流路50は、インク流入流路52と、インク回収流路54と、複数のインク供給流路56とを含む。インク流入流路52、インク回収流路54及びインク供給流路56は、何れも、チューブ又は鋼管等で構成される。インク流入流路52は、インクタンク40と分配器60とを接続し、インクタンク40から分配器60にインクを供給するための流路である。インク回収流路54は、分配器60とインクタンク40とを接続し、分配器60に供給されたインクをインクタンク40に回収するための流路である。
【0033】
インク供給流路56は、分配器60と複数の記録ヘッド22のそれぞれとを接続し、分配器60に供給されたインクを、複数の記録ヘッド22のそれぞれに供給するための流路である。図3では、複数の記録ヘッド22の図示を省略すると共に、複数のインク供給流路56のそれぞれについて、記録ヘッド22の側に向かう途中の位置までの部分を図示している。インク供給流路56は、記録ヘッド22の数に対応した数だけ設けられる。例えば、図2に示すように特定の色の記録部20が6個の記録ヘッド22を含むとする。この場合、インク供給流路56は、6個の記録ヘッド22に対応して6本設けられる。インク供給流路56の数は、1個の記録ヘッド22に対して複数本としてもよい。例えば、1個の記録ヘッド22に対して2本のインク供給流路56としてもよい。この場合、インク供給流路56は、6個の記録ヘッド22に対応して12本設けられる。インク供給流路56の数は、諸条件を考慮して適宜決定される。複数のインク供給流路56は、後述する分配器60に設けられた供給部68の供給口部70から流出し、記録ヘッド22に供給されるインクが流れる流路長がそれぞれ等しい長さに設定される。
【0034】
インク流入流路52、インク回収流路54及びインク供給流路56の各流路の流路径(内径)について、例えば、インク供給流路56の流路径は、インク流入流路52及びインク回収流路54の各流路径よりも小さくなるように設定するとよい。インク流入流路52及びインク回収流路54の各流路径は、同一又は同程度になるように設定するとよい。
【0035】
分配器60は、図3に示すように、流入部61と、流出部64と、共通流路67と、複数の供給部68と、管状部材71を含む。流入部61は、分配器60の第一側の端部(管状部材71の第一側の端部)に設けられる。流入部61は、第一継手部62を含む。第一継手部62は、分配器60の第一側の端部となる位置において、管状部材71にねじ込まれる等して固定される。流入部61には、インク流入流路52が接続される。流入部61とインク流入流路52との接続は、インク流入流路52が第一継手部62に接続されて行われる。第一継手部62は、その内部に形成された内部流路を含む。この内部流路は、インク流入流路52を流れて分配器60に供給されるインクの流入口部として機能する(以下、第一継手部62に形成された内部流路を「流入口部63」という)。即ち、インク流入流路52から供給されるインクは、第一継手部62の内部に形成された流入口部63を通過し、分配器60の内部(共通流路67)に供給される。
【0036】
流出部64は、分配器60の第二側の端部(管状部材71の第二側の端部)に設けられる。流出部64は、第二継手部65を含む。第二継手部65は、分配器60の第二側の端部となる位置において、管状部材71にねじ込まれる等して固定される。流出部64には、インク回収流路54が接続される。流出部64とインク回収流路54との接続は、インク回収流路54が第二継手部65に接続されて行われる。第二継手部65は、その内部に形成された内部流路を含む。この内部流路は、分配器60の内部(共通流路67)を流れて分配器60から流出されるインクの流出口部として機能する(以下、第二継手部65に形成された内部流路を「流出口部66」という)。即ち、分配器60の内部から流出されるインクは、第二継手部65の内部に形成された流出口部66を通過し、インクタンク40に回収される。
【0037】
共通流路67は、分配器60の内部、具体的には管状部材71の内部に形成される。共通流路67は、第一継手部62の流入口部63と、第二継手部65の流出口部66と、後述する複数の供給部68の各供給口部70とに連続する。流入口部63を通過したインクは、共通流路67を流れ、流出口部66及び複数の供給口部70のそれぞれに供給される。共通流路67は、分配器60の第一側の端部と第二側の端部との間に延在する。共通流路67の形状に関し、共通流路67が延在する方向(以下、「延在方向」という)に垂直な断面形状は、延在方向に一定とされる。延在方向に垂直な断面形状は、例えば、図5及び図7に示すように、円形とされる。この場合、共通流路67は、一定の内径の円筒空間とされる。延在方向に垂直な断面形状は、円形の他、例えば、楕円形、又は、多角形としてもよい。
【0038】
供給部68は、管状部材71の側面部によって形成される管状の分配器60の側面部において、延在方向に配列された状態で複数設けられる。供給部68は、記録ヘッド22の数に対応した数だけ設けられる。この点については、上述したインク供給流路56の場合と同様である。この点に関する説明は省略する。各供給部68は、第三継手部69を含む。第三継手部69は、管状の分配器60の側面部において、管状部材71にねじ込まれる等してそれぞれ固定される。複数の供給部68は、分配器60の側面部(延在方向)に対して、例えば直立した状態で固定される。複数の供給部68には、インク供給流路56がそれぞれ接続される。供給部68とインク供給流路56との接続は、インク供給流路56が第三継手部69に接続されて行われる。第三継手部69は、その内部に形成された内部流路を含む。この内部流路は、分配器60の内部(共通流路67)を流れて分配器60から流出されるインクの供給口部(供給口部70)として機能する。即ち、分配器60の内部から流出されるインクは、第三継手部69の内部に形成された供給口部70を通過し、記録ヘッド22に供給される。管状部材71は、ストレート形状をした管状の部材である。管状部材71には、上述したように、両側の端部のそれぞれに第一継手部62及び第二継手部65がねじ込まれ、側面部に複数の第三継手部69がねじ込まれる。管状部材71の内部は、共通流路67を形成する。
【0039】
分配器60の側面部において、複数の供給部68は、例えば、図4に示すように、延在方向の仮想直線L4上に直線的に配列される。図4では、図2に示すように特定の色の記録部20が6個の記録ヘッド22を含む場合に対応させ、6個の供給部68が図示されている(図6において同じ)。この他、複数の供給部68は、例えば、図6に示すように、千鳥状に配列されるようにしてもよい。この場合、複数の供給部68は、半数ずつに分けて、延在方向の2つの仮想直線L5,L6上にそれぞれ配列される。千鳥状の配列は、特定の色の記録部20に含まれる記録ヘッド22の数が多くなった場合、又は、1個の記録ヘッド22に接続するインク供給流路56の数が複数となった場合等において、供給部68を分配器60の側面部に好適に配列させることができる。仮想直線L5上に配列される供給部68、及び、仮想直線L6上に配列される供給部68は、図7に示すように、供給口部70の開口方向が反対向きとなるように、基準線L7を基準として角度θ8だけ傾斜して設けられる。図4及び図6では、分配器60の第一側の端部及び第二側の端部において、流入部61及び流出部64の図示は、省略されている。
【0040】
分配器60は、図3に示すように、延在方向が水平方向に対して傾斜した設置状態となるようにインクジェット記録装置1に設けられる。設置状態では、分配器60は、鉛直方向において、分配器60の第二側の端部が第一側の端部より上側となるようにされる。設置状態では、分配器60は、供給口部70の開口方向が水平方向より鉛直方向の下向きとなるようにされる。水平方向に対する延在方向の傾斜角θ9は、諸条件を考慮して適宜決定される。発明者は、記録ヘッド22に供給されるインクに含まれる気泡を好適に分離するという観点で実験を行った。この実験で、発明者は、傾斜角θ9として、45°が好ましい1つの角度であるという結果を得た。
【0041】
第一継手部62は、図3に示すように、流入口部63のうち、共通流路67の側の所定の範囲(図3において符号「631」が付された範囲参照。以下、この範囲を「範囲631」という)がストレートな形状とされた構造を有する。第一継手部62は、範囲631が水平方向に対して傾斜角θ9で傾斜した状態となるように、分配器60の第一側の端部に設けられる。第二継手部65は、図3に示すように、流出口部66のうち、共通流路67の側の所定の範囲(図3において符号「661」が付された範囲参照。以下、この範囲を「範囲661」という)がストレートな形状とされた構造を有する。第二継手部65は、範囲661が水平方向に対して傾斜角θ9で傾斜した状態となるように、分配器60の第二側の端部に設けられる。
【0042】
共通流路67の断面積(上述した共通流路67の断面の面積)は、流入口部63の断面積より大きくなるように設定するとよい。流入口部63を通過し共通流路67に流入したインクの流速を、共通流路67において低下させることができる。流速を低下させることで、インクに含まれる気泡の分離効率を向上させることができる。流入口部63の断面積は、例えば、流入口部63のうち、共通流路67の側の所定の範囲631において、延在方向に垂直な断面の面積である。1つの供給口部70の開口面積は、共通流路67の断面積より小さくなるようにするとよい。共通流路67を流れるインクに含まれる気泡が、供給口部70に混入することを抑制することができる。
【0043】
ポンプ90は、インクを、インク流路50及び分配器60を介して送液するための送液部として機能する。ポンプ90は、図3に示すように、インク流入流路52の途中の位置に設けられる。ポンプ90が駆動すると、インクタンク40に貯留されたインクは、インクタンク40から流出し、インク流入流路52と、分配器60と、インク供給流路56とを流れて、複数の記録ヘッド22に供給される。また、ポンプ90が駆動してインクタンク40から流出したインクは、インク流入流路52と、分配器60と、インク回収流路54とを流れて、インクタンク40に回収される。この場合、インクは、前述した流路等を介して循環される。
【0044】
回収側バルブ92は、インク回収流路54の途中に設けられ、インク回収流路54を開閉するためのバルブである。回収側バルブ92は、例えば、電磁弁によって構成される。複数の供給側バルブ94は、複数のインク供給流路56のそれぞれの途中に設けられる。インクジェット記録装置1が備える供給側バルブ94の数は、インク供給流路56の数に一致する。供給側バルブ94は、各々が設けられたインク供給流路56を開閉するためのバルブである。供給側バルブ94は、例えば、電磁弁によって構成される。
【0045】
固定部96は、複数の供給側バルブ94を固定するための構成である。固定部96は、例えば板状部材を加工して形成される。固定部96は、例えば、ねじ止め等の方法で、インクジェット記録装置1が備えるフレーム(不図示)に設けられたステー100に取り付けられる。このとき、固定部96は、複数の供給側バルブ94がそれぞれ固定される固定面98が水平方向に対して傾斜角θ9で傾斜した状態とされる。即ち、固定部96は、固定面98が分配器60の側面部に沿った状態となるようにインクジェット記録装置1に設けられる。
【0046】
複数の供給側バルブ94は、インク供給流路56を介して接続される複数の供給部68の配列(配置)に対応した配列状態(配置状態)となるように固定面98に配列されて固定される。従って、複数の供給側バルブ94は、上述した設置状態とされた分配器60において、鉛直方向の上側となる位置に設けられた供給部68と接続されるインク供給流路56の途中に設けられる供給側バルブ94ほど鉛直方向の上側となるように、固定面98に固定される。複数の供給部68が図4及び図5に示すように配列される場合、複数の供給側バルブ94は、仮想直線L4上に直線的に配列される複数の供給部68に対応して、直線的に配列される。複数の供給部68が図6及び図7に示すように配列される場合、複数の供給側バルブ94は、仮想直線L5,L6に基づき千鳥状に配列される複数の供給部68に対応して、千鳥状に配列される。複数の供給側バルブ94は、共通したバルブである。従って、各インク供給流路56の途中に供給側バルブ94が設けられた状態においても、供給口部70から流出し、記録ヘッド22に供給されるインクが流れる流路長(インク供給流路56の長さ)は、等しい長さとなる。固定部96は、固定面98が傾斜角θ9に沿った階段状であってもよい。この場合についても、インク供給流路56の流路長を前述した状態とすることができる。
【0047】
回収側バルブ92及び供給側バルブ94の開閉と、開放される場合の開度とは、制御ボックス30に含まれる制御部32によって制御される。記録ヘッド22にインクが供給される場合、及び、記録ヘッド22にインクが供給されず循環される場合における回収側バルブ92及び供給側バルブ94の開閉について、その概略を説明する。インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録される場合、ポンプ90は、駆動した状態とされる。回収側バルブ92は、開放及び閉鎖の何れかとされる。複数の供給側バルブ94は、それぞれ開放される。このとき、複数の供給側バルブ94は、それぞれが所定の開度で開放される。回収側バルブ92の開閉は、記録ヘッド22への供給総量に応じて制御される。例えば、ノズル24から吐出されるインクの量が多くなり、その結果、各記録ヘッド22に多くのインクが供給される場合、回収側バルブ92は、閉鎖、又は、僅かに開放された状態とされる。一方、ノズル24から吐出されるインクの量が少なく、その結果、各記録ヘッド22に少しのインクが供給される場合、回収側バルブ92は、例えば、全開又は全開に近い状態とされる。各供給側バルブ94の開度は、供給側バルブ94の全てで同一となるようにしてもよい。また、各供給側バルブ94の開度は、供給側バルブ94のそれぞれで異なる量に調整されるようにしてもよい。
【0048】
インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録されない場合、ポンプ90は、駆動した状態とされる。回収側バルブ92は、開放される。複数の供給側バルブ94は、それぞれ閉鎖される。回収側バルブ92及び供給側バルブ94の開閉と、開放される場合の開度とは、色毎に制御されるようにしてもよい。例えば、モノクロの画像が記録媒体2に記録される場合、ブラックインクの供給及び循環のための回収側バルブ92及び供給側バルブ94のみが制御の対象とされる。ブラック以外の色の供給及び循環のための回収側バルブ92及び供給側バルブ94については、インクジェット記録装置1で画像が記録されない場合と同様に制御される。カラーの画像が記録媒体2に記録される場合についても、回収側バルブ92及び供給側バルブ94の開閉と、開放される場合の開度とは、色毎に制御されるようにしてもよい。
【0049】
<本実施形態による効果>
本実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)分配器60を図3に示すような状態(設置状態)となるようにインクジェット記録装置1に設けることとした。設置状態は、上述したように、鉛直方向において分配器60の第二側の端部が第一側の端部より上側となり、延在方向が水平方向に対して傾斜し、供給口部70の開口方向が水平方向より鉛直方向の下向きとなる状態である。分配器60に流入したインクは、延在方向を鉛直方向の下側から上側に向けて、共通流路67を流れる。記録ヘッド22に供給されることとなるインクに含まれる気泡は、共通流路67をインクの流れに沿って流れ、且つ、浮力によって鉛直方向を上側に移動する。そのため、気泡が水平方向より鉛直方向の下向きに開口した供給口部70の側に移動することを抑制し、気泡を好適に分離することができる。気泡を分離させるために特別な形状を有する分配器としなくてもよく、シンプルな分配器60とすることができる。鉛直方向を上側に移動した気泡を、スムーズに流出口部66から排出させることができる。
【0051】
(2)共通流路67に連続する、流入口部63の範囲631及び流出口部66の範囲661を、水平方向に対して、共通流路67の延在方向と同じ傾斜角θ9で傾斜させることとした。そのため、インク流入流路52を介して送液されるインクを、共通流路67にスムーズに流入させることができる。共通流路67に流入されたインクであって、記録ヘッド22に供給されずにインクタンク40に回収されるインクを共通流路67からスムーズに排出させ、インク回収流路54に流すことができる。好適なインクの循環を実現することができる。
【0052】
(3)複数のインク供給流路56は、分配器60の側面部に設けられた供給部68の供給口部70から流出し、記録ヘッド22に供給されるインクが流れる流路長がそれぞれ等しい長さとなるようにした。そのため、複数のインク供給流路56のそれぞれについて、各供給口部70から流出したインクの流れ方を同様にすることができる。異なるインク供給流路56を介して複数の記録ヘッド22にインクを供給する場合において、各記録ヘッド22へのインクの供給を同様の状態で行うことができる。
【0053】
複数のインク供給流路56のそれぞれの途中に供給側バルブ94を設けることとした。複数の供給側バルブ94は、固定面98が水平方向に対して傾斜角θ9で傾斜した固定部96に、次のような状態で固定される。即ち、複数の供給側バルブ94は、インク供給流路56を介して接続される複数の供給部68の配列(配置)に対応した配列状態(配置状態)で固定される。そのため、インク供給流路56の途中に供給側バルブ94を設けた場合においても、複数のインク供給流路56の流路長をそれぞれ等しい長さに設定することができる。換言すれば、複数のインク供給流路56のそれぞれについて、供給口部70から供給側バルブ94までの流路長を一致させ、且つ、供給側バルブ94から記録ヘッド22までの流路長を一致させることができる。
【0054】
(4)インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録される場合、ポンプ90は駆動し、回収側バルブ92は、開放及び閉鎖の何れかとされ、複数の供給側バルブ94は、それぞれ開放されることとした。回収側バルブ92は、複数のインク供給流路56のそれぞれを流れ、複数の記録ヘッド22のそれぞれに供給されるインクの量に応じた、開放から閉鎖までの間の開度とされる。そのため、インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録される場合、複数の記録ヘッド22のそれぞれにインクを好適に供給することができる。複数の記録ヘッド22のそれぞれに供給されるインクの量を調整することができる。インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録されない場合、ポンプ90は駆動し、回収側バルブ92は、開放され、複数の供給側バルブ94は、それぞれ閉鎖されることとした。そのため、インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録されない場合、インクをインクタンク40に回収し、好適に循環させることができる。インクジェット記録装置1で記録媒体2に画像が記録されない場合にインクを循環させることで、インクに含有される色剤を含む各種の成分の沈降を抑制することができる。
【0055】
<変形例>
本実施形態は次のようにすることもできる。
【0056】
(1)上記では、インクジェット記録装置1として、ライン型インクジェット記録装置を例に説明した。インクジェット記録装置は、シリアル型インクジェット記録装置であってもよい。上述したような各部と同様の構成を採用したシリアル型インクジェット記録装置によっても、上述したような効果を得ることができる。
【0057】
(2)上記では、画像の記録に用いるインクの色として、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックを例に説明した。これとは異なる色のインクを用いてもよい。例えば、これら4色に加え、又は、何れかの色に代えて、シアン、マゼンタ、イエローの各色の淡色系であるライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー、及び/又は、クリアを用いてもよい。この場合、インクジェット記録装置1は、追加又は代替される色のインクに対応した上記同様の各構成を備える。これによっても、上述したような効果を得ることができる。
【0058】
(3)上記では、1つの記録部20に対し、1つの分配器60が設けられたインクジェット記録装置1を例に説明した。分配器60は、1つの記録部20に対し、複数設けるようにしてもよい。例えば、図2に示すように特定の色の記録部20が6個の記録ヘッド22を含むとする。この場合、例えば、3個の記録ヘッド22に対応した数の供給部68をそれぞれ含む分配器60を2個設けるようにしてもよい。また、2個の記録ヘッド22に対応した数の供給部68をそれぞれ含む分配器60を3個設けるようにしてもよい。複数の分配器60は、それぞれが所定の方向に並んだ状態で、且つ、上述した設置状態となるようにインクジェット記録装置1に設けられる。
【0059】
インク流入流路52は、所定の位置で、分配器60の数に対応した数に分岐した支流路を含む。インク流入流路52の各支流路は、複数の分配器60にそれぞれ設けられた流入部61に接続される。インク回収流路54は、分配器60の数に対応した数に分岐した支流路を含む。インク回収流路54の各支流路は、複数の分配器60にそれぞれ設けられた流出部64に接続される。各流出部64に接続されたインク回収流路54の支流路は、所定の位置で、合流し、1本の流路となる。分配器60の数に対応した数のインク流入流路52及び/又はインク回収流路54が設けられるようにしてもよい。この場合、複数の分配器60とインクタンク40とは、分配器60の数に対応した数のインク流入流路52、及び/又は、分配器60の数に対応した数のインク回収流路54によって接続される。インク流入流路52が、分配器60の数に対応した数だけ設けられる場合、各インク流入流路52の途中の位置には、ポンプ90又は次に記載するような送液部が設けられる。これによっても、上述したような効果を得ることができる。
【0060】
(4)上記では、インクを、インク流路50及び分配器60を介して送液するための送液部として、ポンプ90を例に説明した。インクの送液は、加圧圧送方式によって行われるようにしてもよい。この場合、インクジェット記録装置1における送液部は、ポンプ90の他、加圧タンク等を含む。加圧圧送方式による送液部の場合、ポンプ90は、上述したような構成による場合と比較し、小型のポンプを採用することができる。加圧タンクは、ポンプ90より分配器60の側となるインク流入流路52の途中の位置に設けられる。ポンプ90が駆動すると、インクタンク40からインクが流出する。流出したインクは、インク流入流路52を流れ、加圧タンクに流入する。加圧タンクは、インク流路50を流れるインクを加圧するためのタンクである。加圧タンクにおけるインクの加圧は、加圧タンクに接続された加圧機構によって行われる。加圧機構は、圧縮されたエアを、加圧タンクの内部に送り込み、加圧タンクの内部圧力を大気圧より高い状態とし、加圧タンクに貯留されているインクを加圧する。このような加圧圧送方式の送液部は、加圧タンクに所定量のインクが貯留された状態で、加圧タンクに圧縮エアが供給されることによって駆動した状態となる。加圧タンクに貯留され、加圧されたインクは、加圧タンクから流出し、再度、インク流入流路52等を、上述したように流れる。これによっても、上述したような効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 インクジェット記録装置
2 記録媒体
3 記録面
10 搬送部
12 搬送面
20,20Y,20M,20C,20K 記録部
22,22Y,22M,22C,22K 記録ヘッド
24,24Y,24M,24C,24K ノズル
30 制御ボックス
32 制御部
34 接続インターフェース
36 外部装置
40,40Y,40M,40C,40K インクタンク
50,50Y,50M,50C,50K インク流路
52 インク流入流路
54 インク回収流路
56 インク供給流路
60 分配器
61 流入部
62 第一継手部
63 流入口部
64 流出部
65 第二継手部
66 流出口部
67 共通流路
68 供給部
69 第三継手部
70 供給口部
71 管状部材
90 ポンプ
92 回収側バルブ
94 供給側バルブ
96 固定部
98 固定面
100 ステー
631,661 範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7