(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018093
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】単一パッケージブリッジ型磁界角度センサ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/16 20060101AFI20161020BHJP
G01D 5/245 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
G01D5/16 G
G01D5/245 N
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-555740(P2013-555740)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-507000(P2014-507000A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】CN2012071879
(87)【国際公開番号】WO2012116659
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年3月2日
(31)【優先権主張番号】201110050747.4
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514116947
【氏名又は名称】江▲蘇▼多▲維▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】MULTIDIMENSION TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ディーク、ジェイムス ジーザ
(72)【発明者】
【氏名】ジン、インシク
(72)【発明者】
【氏名】レイ、シャオフォン
(72)【発明者】
【氏名】シェン、ウェイフォン
(72)【発明者】
【氏名】シュエ、ソンシュン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、シャオジュン
【審査官】
眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−014954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00−5/252
G01D 5/39−5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パッケージリードフレームに接着される1対のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップを備えた単一パッケージ磁気角度センサであって、
前記1対のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップの一方は、他方に対して90度の方向に向けられており、
前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップのそれぞれは、固定抵抗を有する基準抵抗器と、磁界に応じて変化する抵抗を有する検出抵抗器とを含むハーフブリッジであり、
前記基準抵抗器および前記検出抵抗器のそれぞれは、単一の磁気抵抗素子として、横列に並んで相互接続された複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子と、前記磁気抵抗素子にバイアスをかけるために、前記複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子の列の間に配置された複数の棒状永久磁石とを含み、
複数の前記検出抵抗器は、それぞれの磁気抵抗伝達曲線の一部において、抵抗が印加磁界に線形的に比例しており、
前記センサチップの複数のボンドパッドは、2つ以上のワイヤボンドが一連の前記MTJセンサ素子またはGMRセンサ素子のそれぞれの側に取り付けられるように設計されており、
ブリッジセンサを形成するために、前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップは、ワイヤボンディングによって互いに接続されるとともに、前記半導体パッケージリードフレームにも接続されており、
前記半導体パッケージリードフレームおよび前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップがプラスチックに封入されることにより、標準半導体パッケージを形成することを特徴とする単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項2】
半導体パッケージリードフレームに接着される2対のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップからなる、第1のフルブリッジセンサおよび第2のフルブリッジセンサを備えた単一パッケージ磁気角度センサであって、
前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップのそれぞれは、固定抵抗を有する基準抵抗器と、磁界に応じて変化する抵抗を有する検出抵抗器とを含むハーフブリッジであり、
前記基準抵抗器および前記検出抵抗器のそれぞれは、単一の磁気抵抗素子として、横列に並んで相互接続された複数のMTJ磁気抵抗センサ素子またはGMR磁気抵抗センサ素子と、前記磁気抵抗素子にバイアスをかけるために、前記複数のMTJ磁気抵抗センサ素子またはGMR磁気抵抗センサ素子の列の間に配置された複数の棒状永久磁石とを含み、
複数の前記検出抵抗器は、それぞれの磁気抵抗伝達曲線の一部において、抵抗が印加磁界に線形的に比例しており、
前記MTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップの複数のボンドパッドは、2つ以上のワイヤボンドが一連の前記MTJ磁気抵抗センサ素子またはGMR磁気抵抗センサ素子のそれぞれの側に取り付けられるように設計されており、
ブリッジセンサを形成するために、前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップは、ワイヤボンディングによって互いに接続されるとともに、前記半導体パッケージリードフレームにも接続されており、
前記半導体パッケージリードフレームおよび前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップがプラスチックに封入されることにより、標準半導体パッケージを形成することを特徴とする単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項3】
前記複数のフルブリッジセンサのそれぞれは、互いに180度回転した2つのセンサチップを含み、2軸検出を可能にするために、前記複数のフルブリッジセンサは、互いに90度になるように調整されている請求項2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項4】
複数の前記磁気抵抗素子は、楕円形にパターニングされる請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項5】
前記基準抵抗器における複数の前記磁気抵抗素子は、前記検出抵抗器における複数の前記磁気抵抗素子とは異なる形状のアスペクト比でパターニングされる請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項6】
前記基準抵抗器は、1つ以上の磁気遮蔽によって印加磁界から遮蔽されている請求項1に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項7】
前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップは、電圧または電流を用いてバイアスがかけられている請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項8】
前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップは、それぞれの伝達曲線の特徴を一致させるために、組立前に検査および選別される請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項9】
勾配がわずかしかない場合の磁界角度の検出に用いるために、前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップが並んで設置される請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【請求項10】
大きな磁界勾配がある状態で角度を測定する機能を得るために、前記複数のMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップが共通の中心を有するように配置される請求項1または2に記載の単一パッケージ磁気角度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MTJまたはGMR角度センサ素子、特に単一の標準半導体パッケージに搭載される角度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
磁気センサは、磁界強度、電流、位置、運動および配向等を含むがこれらに限定されない物理パラメータを、測定または検出する現代システムにおいて広く用いられている。従来技術には、磁界および他のパラメータを測定するための多様なセンサがある。しかし、これら従来のセンサは全て、例えば、過度の大きさ、不十分な感度および/またはダイナミックレンジ、コスト、信頼性およびその他の要因等の、周知のさまざまな制約を受けている。従って、改良された磁気センサ、特に半導体素子および集積回路と容易に一体化できるセンサ、およびその製造方法が必要とされ続けている。
【0003】
磁気トンネル接合(MTJ)センサには、高感度、小型、低コストおよび省電力という利点がある。MTJ素子は、標準の半導体製造工程に適合するが、低コスト大量生産に対応する十分な歩留まりで高感度素子を製造する方法は、適切に開発されていない。特に、MTJ工程および後処理のパッケージング工程の難しさ、ならびに複数のMTJ素子が組み合わされてブリッジセンサを形成するときに、上記MTJ素子の磁気抵抗反応を一致させることの難しさに起因する歩留まりの問題については、困難であることが証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記課題を改善するために、本発明は、磁界の角度の値を測定するのに用いることができる単一パッケージ磁気角度センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明の一態様は、以下の技術的方式を採用する。2つのハーフブリッジセンサを備えた単一パッケージブリッジ型磁気角度センサであって、各ハーフブリッジセンサはセンサチップを含み、一方のセンサチップは、他方のセンサチップに対して90度回転しており、前記複数のセンサチップは、標準半導体パッケージのリードフレームに接続されており、前記複数のセンサチップのそれぞれは、基準抵抗器としての固定抵抗と、外部磁界に比例して反応が変化する検出抵抗器とを含む。前記基準抵抗器および前記検出抵抗器のそれぞれは、複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子を含む。前記複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子は、1本のブリッジアームとして機能するために、アレイ状に配置され、且つ相互接続されている。前記基準抵抗器のブリッジアームおよび前記検出抵抗器のブリッジアームのそれぞれは、バイアス磁界を供給するために、前記複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子の列の間に配置された複数の帯状永久磁石をさらに含む。前記複数のセンサチップには、前記ブリッジアームのそれぞれの側に複数のボンディング線を取り付けることを可能にするほど大きなボンドパッドが設けられている。前記複数のセンサチップは、ワイヤボンディングによって互いに接続されるとともに、前記リードフレームにも接続されており、最終的に、前記複数のセンサチップおよび前記リードフレームがプラスチックに封入されることにより、標準半導体パッケージを形成する。
【0006】
本発明の他の一態様は、第1のフルブリッジセンサおよび第2のフルブリッジセンサと称する2つのフルブリッジセンサを備えた単一パッケージブリッジ型磁界角度センサであって、各フルブリッジセンサは2つのハーフブリッジセンサからなり、各ハーフブリッジセンサは1つのMTJ磁気抵抗センサチップまたはGMR磁気抵抗センサチップを含む。前記センサチップは、基準抵抗器の固定抵抗と、外部磁界に比例する出力を供給する可変抵抗センサとを含む。前記複数のセンサチップは、リードフレームに接続されてから、標準半導体パッケージに封入される。前記基準抵抗器および前記検出抵抗器のそれぞれは、複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子を含み、前記複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子は、ブリッジアームとしても知られている、単独の磁気抵抗素子として相互接続されている。ブリッジアーム内において、前記複数のMTJセンサ素子またはGMRセンサ素子は、アレイ状に配置されている。前記基準抵抗器および前記検出抵抗器のそれぞれは、前記磁気抵抗素子にバイアス場を供給するために、複数の棒状永久磁石を含む。前記複数の棒状永久磁石は、ブリッジアームにおける磁気抵抗素子の列の間に配置されている。各センサチップは、大きなボンドパッドを有するため、同じボンドパッドに1つ以上のワイヤボンドを取り付けることが可能になる。ブリッジセンサを構成するために、前記複数の磁気抵抗センサチップは、ワイヤボンディングによって互いに電気的に接続されるとともに、前記リードフレームにも接続されている。前記リードフレームおよび前記複数のセンサチップがプラスチックに封入されることにより、標準半導体パッケージを形成する。
【0007】
前記磁気角度センサにおいて、前記第1のフルブリッジセンサおよび前記第2のフルブリッジセンサは、互いに180度回転した2つのセンサチップを含み、前記2つのフルブリッジセンサは、互いに90度回転していることが好ましい。
【0008】
前記複数の磁気抵抗素子は、楕円形であることが好ましい。
【0009】
請求項1および2に記載の前記基準抵抗器における複数の前記磁気抵抗素子は、前記検出抵抗器における複数の前記磁気抵抗素子とは異なる形状のアスペクト比でパターニングされることが好ましい。
【0010】
前記基準抵抗器は、1つ以上の磁気遮蔽によって印加磁界から遮蔽されていることが好ましい。
【0011】
前記磁気角度センサにおいて、前記複数のセンサチップは、電圧または電流を用いてバイアスがかけられていることが好ましい。
【0012】
前記複数のセンサチップは、それぞれの伝達曲線の特徴を良好に一致させるために、組立前に検査および選別されることが好ましい。
【0013】
前記磁気角度センサは、勾配がわずかしかない場合の磁界角度の検出に用いるために、並んで設置された複数のセンサチップを含んでもよい。
【0014】
前記単一パッケージ磁気角度センサは、大きな磁界勾配がある状態で角度を測定する機能を得るために、共通の中心を有するように配置された複数のセンサチップを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、基準層の磁化が負のH方向に向いているスピンバルブ検出素子の磁気抵抗反応の概略図である。
【
図2】
図2は、固定基準抵抗器と検出抵抗器とを備えたハーフブリッジの概略図である。
【
図3】
図3は、磁気抵抗センサチップにおけるハーフブリッジの一実施形態を示す図であり、基準抵抗器および検出抵抗器は、どちらも横列に並んで配置された複数のMTJ素子からなり、複数の棒状永久磁石が上記MTJ素子にバイアスをかけるのに用いられている。
【
図4】
図4は、2つのハーフブリッジを備えた角度センサの概略図である。
【
図5】
図5は、出力電圧を、磁気角度センサに対する磁界の回転角の関数として示す概略図である。
【
図6】
図6は、2つのハーフブリッジ磁気抵抗センサチップを備えた角度センサの一実施形態を示す図である。一方のセンサチップは、他方のセンサチップに対して90度の方向に向けられている。上記チップは、標準半導体パッケージ内に配置される。
【
図7】
図7は、2つのフルブリッジを備えた角度センサの概略図である。
【
図8】
図8は、2つのフルブリッジを備えた角度センサの一実施形態を示す図である。上記フルブリッジのそれぞれは、2つの磁気抵抗センサチップを含むフリップダイである。上記チップは、標準半導体パッケージ内に配置される。
【
図9】
図9は、同一枝路の2本が同じ基準抵抗器を有する、2つのフルブリッジを備えた角度センサの概略図である。
【
図10】
図10は、2つのフルブリッジを備えた別の角度センサを示す図であり、各フルブリッジは、互いに180度回転した2つのチップを含み、上記チップは、標準半導体パッケージ内に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これらのセンサ素子はスピンバルブとして構成されており、複数の磁性層のうち、一方の磁性層は、基準となるために磁化の方向が固定されている。この固定層は、単一の磁性層でもよく、または固定層によって固定されている合成強磁性構造でもよい。スピンバルブにおける他方の磁性層は、いわゆる自由層であるが、印加磁界に応じて回転することができる。スピンバルブの抵抗は、固定層に対する自由層の向きによって変化し、さらに自由層上の磁界によって変化する。MTJ素子において、自由層および固定層は、障壁によって隔てられている。電流は、この障壁を通って流れる。GMR素子において、自由層および固定層は、非磁性金属層によって隔てられている。電流は、多層薄膜の面内を流れることも、当該面に対して垂直に流れることもある。
【0017】
図1は、線形磁界測定に適したGMR磁気センサ素子またはMTJ磁気センサ素子の磁気抵抗伝達曲線の一般的な形状を模式的に示している。図示された伝達曲線は、参照符号1の低い抵抗値R
Lおよび参照符号2の高い抵抗値R
Hのそれぞれにおいて飽和する。これらの飽和状態の間の領域では、伝達曲線は、印加磁界Hに線形的に依存する。理想的でない場合、伝達曲線は、図表におけるH=0の点に対して対称ではない。飽和磁界4および5は、通常、自由層と固定層との層間結合によって決まる量だけずれている。いわゆるネール結合または「オレンジピール」結合と呼ばれる層間結合の主な原因は、GMR構造およびMTJ構造の内部の強磁性膜の粗さに関係があり、材料および製造工程に左右される。
【0018】
飽和磁界4および5の間には、理論上はMTJ抵抗またはGMR抵抗の反応が線形である動作磁界領域がある。MTJ素子の感度、すなわち
図1における伝達曲線の傾き3は、印加磁界に応じた自由層の剛性に依存する。傾き3は、具体的な設計および目的に対する磁界感度を実現するために、MTJ素子の形状によって調整することができる。通常、MTJ素子は、楕円、矩形および菱形等を含むがこれらに限定されない細長い形状にパターニングされ、固定層と直交する方向に配置される。ある場合には、自由層は、固定層に垂直な方向において、永久磁石によってバイアスがかけられる、または安定化されることがある。また、ある場合には、高い磁界感度を得るため、磁界集束装置または磁束ガイドが磁界センサに一体化されて、MTJ素子の自由層に印加される磁界を増幅させることもある。
【0019】
図2は、直列に組み合わされた基準抵抗器13および検出抵抗器14の一端にバイアス電圧15が接続されているハーフブリッジ構成10の概略図である。基準抵抗器13は固定抵抗を有するが、検出抵抗器14の抵抗は印加磁界に反応する。他端は、接地(GND)に接続されている。ゆえに、出力電圧12は、検出抵抗器の両端の電圧差である。
【0020】
図3は、磁気抵抗チップ20におけるハーフブリッジの設計を示す。基準抵抗器23および検出抵抗器24は、それぞれ複数のMTJ素子231および複数のMTJ素子241からなり、上記複数のMTJ素子は、横列に並んで配置されている。上記複数のMTJ素子は、直列接続されて基準抵抗器および検出抵抗器を形成している。MTJ素子の列の間には、固定層に垂直な方向に、MTJ自由層にバイアスをかけるために、棒状永久磁石(PM)26が存在する。この場合、棒状永久磁石は、固定層の磁化方向に配置されている。チップ製造において、永久磁石は、自由層に安定化磁界を提供するために、固定層に垂直な方向に磁化されなければならない。永久磁石は、必ずしもMTJと同一平面内に形成されるとは限らない。しかし、十分なバイアス磁界強度を得るためには、両者は近接している方がよい。基準抵抗器は印加磁界に容易に反応するべきではないので、形状異方性および印加磁界に対する磁気剛性を得るために、基準MTJ素子231は、検出MTJ素子241とは、形状および/または形状のアスペクト比が異なっていてもよい。あるいは、チップ内に磁気遮蔽27を組み込んで、基準MTJ素子に対して磁界/磁束を遮蔽するようにしてもよい。一般に、遮蔽は、基準MTJ素子の上面に配置された一片の軟磁石であり、全ての素子を覆うことによって磁界から素子を保護するものである。また、周縁部における遮蔽のフリンジ磁界もMTJ素子に影響を及ぼさない。
【0021】
図4は、本発明で開示されている磁気角度センサの概略図を示す。磁気角度センサは、センサの向きによって規定される磁界のx成分およびy成分に反応する2つの別々のハーフブリッジを含む。磁気センサに対して角度θをなす磁界Hの下で、出力電圧37および38は、H・cos(θ)およびH・sin(θ)に比例するが、それによって、磁界の強度および方向が求められる。2つのハーフブリッジは、バイアスおよび接地のための同じ端子を共有できる。
図5は、2つの出力端子における、磁界角度に対する出力電圧を示す。
【0022】
回転磁界を発生させる磁気磁石の設計次第で、磁界には、3つの異なるケースに分類される勾配がつけられることになる。すなわち、
低磁界勾配:この場合、センサブリッジの共通の中心を必要とすることなく、複数のセンサチップを並べて配置することができる。
【0023】
中程度磁界勾配:共通の中心を用いて複数のセンサチップを並べて配置することにより、場の勾配による角度の誤差を減少させることができる。
【0024】
高磁界勾配:この場合、共通の中心が必要である。
【0025】
このような分類の根拠とは、複数のセンサチップが共通の中心を持たず、遠く離れて配置される場合、回転磁石によって生じた磁界の勾配に重大な誤差をもたらす可能性があることである。上記チップが互いに近接し、且つセンサブリッジが明確な幾何学的中心を有するように上記チップが配置されると、角度計算の誤差が少なくなる。
【0026】
図6は、
図3に示された、2つの磁気抵抗センサチップ41および42が実装されている角度センサを示す。上記センサチップの一方は、他方に対して90度の方向に向けられている。一方のチップ41において、参照符号43および44は、それぞれ基準抵抗器および検出抵抗器である。他方のチップ42において、参照符号44および45は、それぞれ基準抵抗器および検出抵抗器である。検出電圧は、余弦成分については参照符号47から出力され、正弦成分については参照符号48から出力される。
【0027】
フルブリッジを用いて磁気角度センサを作成することができる。フルブリッジセンサは、ハーフブリッジよりも大きな出力電圧を供給することができるため、磁界に対してより感度が高い。
図7は、2つの別々のフルブリッジを備えた角度センサの概略図を示す。各フルブリッジは2本の枝路を有し、各枝路は基準抵抗器アームおよび検出抵抗器アームを有する。出力は、複数の検出抵抗器における電圧差、すなわち、一方のフルブリッジではV
out1(cos)+およびV
out1(cos)−の差、他方のフルブリッジではV
out2(sin)+およびV
out2(sin)−の差である。2つのフルブリッジは、磁界のx成分(余弦成分)およびy成分(正弦成分)をそれぞれ検出するのに用いられる。
【0028】
図8は、複数のフルブリッジで構成された角度センサ60の一実施形態を示す。複数のフルブリッジのそれぞれは、
図3に示された、2つの磁気抵抗チップを含む。フリップダイ技術を用いることにより、一方のフルブリッジにおいて、磁気抵抗チップ62が磁気抵抗チップ61に対して180度回転している。また、ワイヤボンディングを用いて、対応するパッドが共通のバイアスに接続されるとともに、対応するパッドが共通の接地に接続されている。他方のフルブリッジは、構成要素として、チップ61に対して90度回転した磁気抵抗チップ63およびチップ61に対して90度回転した磁気抵抗チップ64を含む。同様のワイヤボンディング方式を用いることにより、これらのチップがバイアスおよび接地に接続されている。上記複数のフルブリッジは、バイアスおよび接地のための端子を共有してもよい。
【0029】
フルブリッジ角度センサは、
図9に示されているように、別の方法で作成することもできる。基準抵抗器は、フルブリッジの同一枝路に設けられている。従って、検出抵抗器は、磁界の逆方向を検出しなければならない。すなわち、一方の検出抵抗器は、磁界が増加するにつれて増加し、他方の検出抵抗器は、磁界が増加するにつれて減少することを意味する。これは、元のフィルムを裏返すことによって実現できる。
図10に示されているように、磁気抵抗チップ82、84およびチップ83は、面内相対チップ81に対して90度、180度、および270度回転している。磁気抵抗チップ81、84は、x方向の磁界成分を検出するフルブリッジを形成し、磁気抵抗チップ82、83は、y方向の磁界成分を検出するフルブリッジを形成している。
図10に示されているように、リード線により共通の供給電圧Biasおよび共通の接地GNDに接続された後、検出電圧V
out1(cos)+、V
out1(cos)−、V
out2(sin)+、およびV
out2(sin)−が出力される。
【0030】
当業者には、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、提案された発明にさまざまな修正を加え得ることが明らかであろう。さらに、本発明は、本発明の修正および変更が添付の特許請求およびその均等物の範囲内である場合に限り、そのような修正および変更を包含することを意図するものである。