(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸発ガス熱交換器で熱交換された蒸発ガスは、前記蒸発ガス減圧器または前記蒸発ガス圧縮器に供給されることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス処理システム。
前記蒸発ガス熱交換器で熱交換されたフラッシュガスは、燃料を燃焼させるガス燃焼ユニットに供給されて燃焼されることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス処理システム。
前記気液分離器から前記液化ガス貯蔵タンクまで連結され、前記気液分離器で分離される液体状態の蒸発ガスを前記液化ガス貯蔵タンクに回収する液体回収ラインをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の液化ガス処理システム。
前記気体回収ラインから分岐され、前記気液分離器から排出されたフラッシュガスのうち少なくとも一部が前記蒸発ガス熱交換器を迂回されるようにするフラッシュガス迂回ラインをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の液化ガス処理システム。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
【0018】
図1は、従来の液化ガス処理システムの概念図である。
図1に示したように、従来の液化ガス処理システム1は、液化ガス貯蔵タンク10、液化ガス需要先20、ポンプ30、液化ガス熱交換器40を含む。この時、液化ガス需要先20は、高圧液化ガス需要先である気体燃料エンジンまたは低圧液化ガス需要先である二重燃料エンジンでありえるし、ポンプ30は、ブーストポンプ(Boosting Pump;31)と高圧ポンプ(High Pressure Pump;32)とを含んで構成することができる。ここで、液化ガス貯蔵タンク10からポンプ30、液化ガス熱交換器40、液化ガス需要先20まで液化ガス供給ライン21で連結することができる。
【0019】
以下、本明細書では、液化ガスとは、LNGまたはLPG、エチレン、アンモニアなどのように、一般的に液体の状態で保管されるすべてのガス燃料を包括する意味として使用されることができ、加熱や加圧によって液体状態でない場合なども便宜上液化ガスに表現することができる。これは、蒸発ガスをも同様に適用されることができる。また、LNGは、便宜上液体の状態であるNG(Nature Gas)のみならず、超臨界状態などであるNGをすべて包括する意味として使用することができ、蒸発ガスは、気体状態の蒸発ガスのみならず、液化された蒸発ガスを含む意味として使用することができる。
【0020】
従来の液化ガス処理システム1は、液化ガス貯蔵タンク10から液体状態の液化ガスを取り出してブーストポンプ31、高圧ポンプ32を介して加圧した後、液化ガス熱交換器40でグリコールウォーターなどで加熱し、液化ガス需要先20に供給するような方式を使用した。
【0021】
しかし、この場合、液化ガス貯蔵タンク10に保存された液体状態の液化ガスのみを使用するため、外部の熱浸透によって液化ガス貯蔵タンク10内で自然に発生する蒸発ガスは、液化ガス貯蔵タンク10の内圧を下げるために蒸発ガス排出ライン16、(本発明の実施例では、蒸発ガス供給ラインからなる)に沿って外部に排出処理した。このため、従来の液化ガス処理システム1は、蒸発ガスを全く使用せず、エネルギーの無駄が発生するという問題がある。
【0022】
図2は、本発明の第1実施例による液化ガス処理システムの概念図であり、
図3は、本発明の第1実施例による液化ガス処理システムの液化ガス貯蔵タンクの断面図であり、
図4は、一般的な液化ガス処理システムでの蒸発ガス圧縮器の流量に対する消費電力を示したグラフである。
【0023】
図2に示したように、本発明の第1実施例による液化ガス処理システム2は、液化ガス貯蔵タンク10、蒸発ガス圧縮器50、蒸発ガス熱交換器60、混合器70、蒸発ガス減圧器80、気液分離器90を含む。本発明の第1実施例では、液化ガス貯蔵タンク10、液化ガス需要先20などは、従来の液化ガス処理システム1での各構成と便宜上同じ符号を使用したが、必ずしも同一の構成を指すものではない。
【0024】
液化ガス貯蔵タンク10は、液化ガス需要先20に供給されるべき液化ガスを貯蔵する。液化ガス貯蔵タンク10は、液化ガスを液体の状態で保管しなければならないが、このとき液化ガス貯蔵タンク10は、圧力タンクの形態を持つことができる。
【0025】
図3に示したように、液化ガス貯蔵タンク10は、外槽タンク11、内槽タンク12、断熱部13を含む。外槽タンク11は、液化ガス貯蔵タンク10の外壁をなす構造であり、スチールで形成されることができ、断面が多角形の形態でなりうる。
【0026】
内槽タンク12は、外槽タンク11の内部に備えられ、、サポート(Support;14)によって外槽タンク11の内部に支持設置することができる。この時、サポート14は、内槽タンク12の下端に設けることができ、もちろん、内槽タンク12の左右振動を抑制するために、内槽タンク12の側面にも具備することができる。
【0027】
内槽タンク12は、ステンレス材質で形成されることができ、5barないし10bar(例えば6bar)の圧力に耐えられるように設計することができる。内槽タンク12をこのように一定の圧力に耐えられるように設計するのは、内槽タンク12の内部に備えられた液化ガスが蒸発して蒸発ガスが生成されることによって内槽タンクの内圧が上昇するからである。
【0028】
内槽タンク12の内部には、バッフル(Baffle;15)が具備されうる。バッフル15は、格子形態のプレートを意味し、バッフル15が設置されることにより内槽タンク12内部の圧力は均等に分布されて内槽タンク12が一部に集中圧力を受けることを防止することができる。
【0029】
断熱部13は、内槽タンク12と外槽タンク11との間に備えられ、外部の熱エネルギーが内槽タンク12に伝達されることを防止することができる。このとき、断熱部は真空状態でありえる。断熱部を真空に形成することにより液化ガス貯蔵タンク10は、一般的なタンクと比較したとき高い圧力により効率的に耐えることができる。一例として、液化ガス貯蔵タンク10は、真空の断熱部によって5barないし20barの圧力を耐えることができる。
【0030】
このように本実施例では、真空形態の断熱部13を外槽タンク11と内槽タンク12との間に具備する圧力タンク型液化ガス貯蔵タンク10を使用することにより、蒸発ガスの発生を最小限に抑えることができ、内圧が上昇しても液化ガス貯蔵タンク10が破損するなどの問題が起きることを未然に防止することができる。
【0031】
また、本実施例では、液化ガス貯蔵タンク10から発生する蒸発ガスを蒸発ガス圧縮器50に供給し、蒸発ガスの加熱に利用したり、または蒸発ガスを加圧して液化ガス需要先20の燃料として活用することで、蒸発ガスを効率的に利用することができる。
【0032】
ここで、液化ガス貯蔵タンク10の下流には、強制気化器(Forcing Vaporizer;19)が設けられ、強制気化器19は、蒸発ガスの流量が不足している場合に動作し、液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスの流量を増加させることができる。すなわち、強制気化器19は、蒸発ガス供給ライン16で混合器70の上流に設けられ、液化ガス貯蔵タンク10内の液化ガスを気化させて蒸発ガス圧縮器50に気体状態の液化ガスを供給することができる。
【0033】
液化ガス需要先20は、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスとフラッシュガス(Flash Gas)によって駆動されて電力を発生させる。この時、液化ガス需要先20は高圧エンジンであり、気体燃料エンジン(例えば、MEGI)でありえる。
【0034】
液化ガス需要先20は、液化ガスの燃焼によりシリンダ(図示せず)内部のピストン(図示せず)が往復運動することにより、ピストンに連結されたクランク軸(図示せず)が回転し、クランク軸に連結されるシャフト(図示せず)が回転されうる。したがって、液化ガス需要先20の駆動時にシャフトに連結されたプロペラ(図示せず)が回転することにより、船体が前進または後進することになる。
【0035】
もちろん、本実施例では、液化ガス需要先20は、プロペラを駆動するためのエンジンでありえるが、発電のためのエンジンまたはその他の動力を発生させるためのエンジンでありえる。すなわち、本実施例では、液化ガス需要先20の種類を特に限定しない。ただし、液化ガス需要先20は、蒸発ガスとフラッシュガスの燃焼によって駆動力を発生させる内燃機関の場合もある。
【0036】
液化ガス需要先20は、蒸発ガス圧縮器50によって加圧された蒸発ガス、フラッシュガスの供給を受けて駆動力を得ることができる。液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスとフラッシュガスの状態は、液化ガス需要先20が要求する状態に応じて異なる場合がある。
【0037】
または、液化ガス需要先20は、蒸発ガスとオイルが混合されて供給されず、蒸発ガスまたはオイルが選択的に供給される二重燃料エンジンでありえる。二重燃料エンジンがこのように蒸発ガスまたはオイルを選択的に供給を受けるのは、燃焼温度が異なる二つの物質が混合供給されることを遮断し、液化ガス需要先20の効率が低下することを防止するためである。
【0038】
液化ガス貯蔵タンク10と液化ガス需要先20との間には、蒸発ガスを伝達する蒸発ガス供給ライン16を設けることができ、蒸発ガス供給ライン16には、強制気化器19、混合器70、蒸発ガス熱交換器60、蒸発ガス圧縮器50、蒸発ガス減圧器80、気液分離器90などが具備されて蒸発ガスが液化ガス需要先20に供給されるか、または気液分離器90に供給されるようにすることができる。この時、蒸発ガス供給ライン16には、燃料供給弁(図示せず)が設けられ、燃料供給弁の開度調節により蒸発ガスの供給量が調整されることができる。
【0039】
蒸発ガス圧縮器50は、液化ガス貯蔵タンク10から発生された蒸発ガスを加圧する。蒸発ガス圧縮器50は、液化ガス貯蔵タンク10から発生されて排出される蒸発ガスを加圧して蒸発ガス熱交換器60や液化ガス需要先20に供給することができる。
【0040】
蒸発ガス圧縮器50は、複数に具備されて蒸発ガスを多段加圧させることができる。一例として、蒸発ガス圧縮器50は、5つ具備されて蒸発ガスが5段加圧されるようにすることができる。5段加圧された蒸発ガスは、200barないし400barに加圧され、液化ガス需要先20に供給することができる。
【0041】
ここで、蒸発ガス供給ライン16は、蒸発ガス圧縮器50と液化ガス需要先20との間から分岐し、蒸発ガス熱交換器60に連結されることができる。すなわち、蒸発ガス供給ライン16は、蒸発ガス圧縮器50から液化ガス需要先20に連結されるか、または蒸発ガス熱交換器60に連結されることができる。この時、蒸発ガス熱交換器60に分岐される地点の蒸発ガス供給ライン16上には弁(図示せず)が設けられており、弁は、液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスの流量または蒸発ガス圧縮器50により、蒸発ガス熱交換器60に供給される蒸発ガスの流量を制御することができ、三方弁でありえる。
【0042】
複数の蒸発ガス圧縮器50の間には、蒸発ガス冷却器(図示せず)を設けることができる。蒸発ガス圧縮器50によって蒸発ガスが加圧されると、圧力上昇に応じて温度をも上昇することがあるから、本実施例では、蒸発ガス冷却器を使用して蒸発ガスの温度を再び下げることができる。蒸発ガス冷却は、蒸発ガス圧縮器50と同じ数に設けることができ、各蒸発ガス冷却器は各蒸発ガス圧縮器50の下流に設けることができる。
【0043】
蒸発ガス圧縮器50が蒸発ガスを加圧することにより、蒸発ガスは圧力が上昇し、かつ沸点が上昇して相対的に高い温度でも液化されうる状態になる。したがって、本実施例では、蒸発ガス圧縮器50により蒸発ガスの圧力を上げることにより、蒸発ガスが容易に液化されるようにすることができる。
【0044】
蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス供給ライン16上で液化ガス貯蔵タンク10と蒸発ガス圧縮器50との間に設けられ、蒸発ガス圧縮器50で加圧される蒸発ガスと液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスを熱交換させることができる。蒸発ガス熱交換器60で熱交換された蒸発ガスは、蒸発ガス減圧器80、または蒸発ガス圧縮器50に供給すされることができる。すなわち、蒸発ガス圧縮器50で多段で加圧された後、蒸発ガス減圧器80に回収される蒸発ガスと液化ガス貯蔵タンク10から新たに供給される蒸発ガスが蒸発ガス熱交換器60で熱交換される。
【0045】
混合器70は、蒸発ガス供給ライン16上で蒸発ガス熱交換器60の上流に設けられ、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスが流入され、気液分離器90から回収されるフラッシュガスが流入されることができる。このような、混合器70は、蒸発ガスとフラッシュガスが貯蔵されるように空間をなす圧力タンクの形態でなすことができる。ここで、混合器70で混合された蒸発ガスとフラッシュガスは、蒸発ガス熱交換器50に供給される。
【0046】
蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガス圧縮器50で加圧された後、蒸発ガス熱交換器60で熱交換された蒸発ガスを減圧させる。例えば、蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガスを1bar乃至10barに減圧することができ、蒸発ガスが液化されて液化ガス貯蔵タンク10に移送時に1barまで減圧されることができ、減圧時に蒸発ガスは、冷却効果が行われることができる。
【0047】
ここで、蒸発ガス圧縮器50で加圧された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60で液化ガス貯蔵タンク10に供給された蒸発ガスと熱交換して冷却されるが、圧力は蒸発ガス圧縮器50から吐出された吐出圧を維持することができる。本実施例では、蒸発ガス減圧器80を用いて蒸発ガスを減圧させて蒸発ガスが冷却されるようにし、蒸発ガスを液化させることができる。このとき、減圧される圧力範囲が大きいほど、蒸発ガスの冷却効果が増大されることができ、例えば、蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガス圧縮器50によって300barに加圧された蒸発ガスを1barまで減圧させることができる。
【0048】
蒸発ガス減圧器80はジュールトムソン弁からなることができる。これと違って蒸発ガス減圧器80は膨張器からなることもできる。ジュールトムソン弁の場合、減圧により効果的に蒸発ガスを冷却させて少なくとも一部の蒸発ガスが液化されるようにすることができる。
【0049】
その反面、膨張器は、別の電力を使用しなくとも駆動されることができ、特に、発生した動力を蒸発ガス圧縮器50を駆動させる電力として活用することにより、液化ガス処理システム2の効率を向上させることができる。動力伝達は、例えば、ギア連結または電気変換後の伝達等により行うことができる。
【0050】
気液分離器(Separator;90)は、蒸発ガス減圧器80で減圧された蒸発ガスから気体を分離する。気液分離器90で蒸発ガスは、液体と気体に分離され、液体は液化ガス貯蔵タンク10に供給され、気体はフラッシュガスとして蒸発ガス圧縮器50の上流に回収されることができる。
【0051】
ここで、気液分離器90に供給される蒸発ガスは、蒸発ガス減圧器80で減圧されて冷却された状態でありえる。例えば、蒸発ガス圧縮器50で蒸発ガスは、多段加圧されて200barないし400barの圧力を持つことができ、温度は45℃前後で行うことができる。45℃前後の温度に上昇された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60に回収され、液化ガス貯蔵タンク10から供給される−100℃前後の蒸発ガスと熱交換され、−97℃前後の温度に冷却された後、蒸発ガス減圧器80に供給される。この時、蒸発ガス減圧器80で蒸発ガスは減圧によって冷却され、約1barの圧力と約−162.3℃程度の温度を持つことができる。
【0052】
このように、本実施例では、気液分離器90に供給される蒸発ガスが蒸発ガス減圧器80で減圧されて−162℃より低い温度を持つことになるので、約30〜40%の蒸発ガスが液化されることがてきる。また、本実施例では、液化された蒸発ガスを液化ガス貯蔵タンク10に回収させ、気液分離器90から発生したフラッシュガスを捨てずに混合器70に回収させ、蒸発ガスとフラッシュガスとを蒸発ガス圧縮器50によって加圧した後、液化ガス需要先20に供給することができる。
【0053】
気液分離器90で蒸発ガスが液体と気体に分離されると、液化された蒸発ガスとフラッシュガスは、それぞれが液体回収ライン18と気体回収ライン17を介して液化ガス貯蔵タンク10と混合器70に回収されることができる。
【0054】
液体回収ライン18は、気液分離器90から液化ガス貯蔵タンク10まで連結されて液体状態の蒸発ガスを液化ガス貯蔵タンク10に回収し、気体回収ライン17は、気液分離器90から蒸発ガス圧縮器50の上流である混合器70まで連結されてフラッシュガスを蒸発ガス圧縮器50の上流に回収し、フラッシュガスが捨てられて無駄になることを防止することができる。
【0055】
このとき、フラッシュガスは、前述したように、蒸発ガス減圧器80によって減圧されることにより冷却され、−162.3℃になる場合があるが、このようなフラッシュガスと液化ガス貯蔵タンクで発生した−100℃の蒸発ガスは、混合器70で混合されて−110乃至-120℃(約−114℃)の蒸発ガスとして蒸発ガス熱交換器60に流入される。したがって、蒸発ガス圧縮器50と液化ガス需要先20との間で分岐して蒸発ガス熱交換器60に連結された蒸発ガス供給ライン16に沿って回収される45℃の蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60で−110乃至−120℃の蒸発ガスと熱交換することにより冷却されることができる。これは、フラッシュガスの回収のない場合(45℃の蒸発ガスが−100℃の蒸発ガスと熱交換)に対比すると、蒸発ガスの追加的な冷却を具現することができる。
【0056】
これにより、蒸発ガス熱交換器60から吐出されて蒸発ガス減圧器80に流入される蒸発ガスは、フラッシュガスの循環のない場合(約−97℃)よりも低い約−112℃でありえるし、蒸発ガス減圧器80によって減圧されると約−163.7℃に冷却されることができる。この場合、フラッシュガスの循環のない場合よりもさらに多くの蒸発ガスが蒸発ガス減圧器80によって液化されて液化ガス貯蔵タンク10に回収されることができる。
【0057】
したがって、本実施例では、蒸発ガス減圧器80を介して冷却された蒸発ガスのうち気体状態の蒸発ガスを気液分離器90からフラッシュガスに分離して蒸発ガス熱交換器60に供給し、蒸発ガス圧縮器50から蒸発ガス熱交換器60、蒸発ガス減圧器80に回収される蒸発ガスの温度を十分に低くすることで、蒸発ガスの液化効率を60%以上に引き上げることができる。また、本実施例では、液化ガス貯蔵タンク10から出てくる蒸発ガスのみならず、フラッシュガスが蒸発ガスと混合されて蒸発ガス圧縮器50に流入されるため、一定流量以上が蒸発ガス圧縮器50に供給されて駆動効率を向上させることができる。
【0058】
図4のグラフにしめしたように、一般的な蒸発ガス圧縮器は、B区間の場合、流量が増加すれば、比例的に消費電力が増加する。これは、多くの流量の蒸発ガスを圧縮するために大量の消費電力が必要であることを意味する。このときB区間は蒸発ガス圧縮器の仕様、駆動条件等によって決定される既設定値(AとB区間を決定する基準値)より流量の多い区間でありえる。
【0059】
一方、蒸発ガス圧縮器に流入される蒸発ガスの流量が既設定値よりも少ない場合、A区間では、流量が減少しても消費電力は減少しない。これは、蒸発ガス圧縮器に一定の体積の蒸発ガスが流入されない場合には、サージング(surging)が発生する危険性があり、蒸発ガス圧縮器50に流入される蒸発ガスの流量が既設定値よりも少ない時には、蒸発ガスの一部をリサイクルさせて蒸発ガス圧縮器50の蒸発ガス流入体積を一定値以上に維持しなければならないので、リサイクルのための消費電力が発生するからである。
【0060】
しかし、本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、蒸発ガスとともにフラッシュガスが蒸発ガス圧縮器50に流入されることがあるので、蒸発ガスの流量が既設定値以下であるA区間で蒸発ガスの流量が減少しても、フラッシュガスによって蒸発ガス圧縮器50が要求する体積を満足させるので、蒸発ガスの流量の減少に伴い消費電力を節減することができる。すなわち、本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、A区間で流量減少の時に消費電力を比例的に減少することができる。
【0061】
したがって、本実施例では、蒸発ガスの量が少ない場合、フラッシュガスの量を調節して蒸発ガス圧縮器50のリサイクル制御が減るようにし、蒸発ガス圧縮器50の低負荷運転による所要動力を節減することができる。
【0062】
本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、B区間の場合、流量が増加するにつれて消費電力が増加する。これは、より多くの量の蒸発ガスを圧縮するために、多くの消費電力を必要とするからである。ただし、本実施例では、フラッシュガスを循環するような構成が含まれているため、蒸発ガスの流量に応じて蒸発ガス圧縮器50の消費電力が増加することとは関係なく、蒸発ガスの再液化効率を大幅に向上させることができる。
【0063】
このように本実施例では、外部の熱浸透によって液化ガス貯蔵タンク10から発生された蒸発ガスを加圧して液化ガス需要先20に供給したり、フラッシュガスを蒸発ガス圧縮器50に循環させ、蒸発ガスとともに加圧して液化ガス需要先20に供給し、蒸発ガスが捨てられるのを防止して燃料を節減することができるだけでなく、フラッシュガスで蒸発ガスを追加冷却して液化効率を最大化することができ、フラッシュガスを蒸発ガスと混合して使用することで、一定流量以上が蒸発ガス圧縮器50に供給され、リサイクル制御を最小化して駆動効率を向上させることができる。
【0064】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施例について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能なのはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【0065】
図5は、本発明の第2実施例による液化ガス処理システムの概念図であり、
図6は、本発明の第2実施例による液化ガス処理システムの液化ガス貯蔵タンクの断面図である。
【0066】
図5に示したように、本発明の第2実施例による液化ガス処理システム2は、液化ガス貯蔵タンク10、蒸発ガス圧縮器50、蒸発ガス熱交換器60、混合器70、蒸発ガス減圧器80、気液分離器90を含む。本発明の第2実施例では、液化ガス貯蔵タンク10、液化ガス需要先20などは、従来の液化ガス処理システム1での各構成と便宜上同じ符号を使用したが、必ずしも同一の構成を指すものではない。
【0067】
液化ガス貯蔵タンク10は、液化ガス需要先20に供給されるべき液化ガスを貯蔵する。液化ガス貯蔵タンク10は、液化ガスを液体の状態で保管しなければならないが、このとき液化ガス貯蔵タンク10は、圧力タンクの形態を持つことができる。
【0068】
図6に示したように、液化ガス貯蔵タンク10は、外槽タンク11、内槽タンク12、断熱部13を含む。外槽タンク11は、液化ガス貯蔵タンク10の外壁をなす構造であり、スチールで形成されることができ、断面が多角形の形態でなりうる。
【0069】
内槽タンク12は、外槽タンク11の内部に備えられ、、サポート(Support;14)によって外槽タンク11の内部に支持設置することができる。この時、サポート14は、内槽タンク12の下端に設けることができ、もちろん、内槽タンク12の左右流動を抑制するために、内槽タンク12の側面にも具備することができる。
【0070】
内槽タンク12は、ステンレス材質で形成されることができ、5barないし10bar(例えば6bar)の圧力に耐えられるように設計することができる。内槽タンク12をこのように一定の圧力に耐えられるように設計するのは、内槽タンク12の内部に備えられた液化ガスが蒸発して蒸発ガスが生成されることによって内槽タンクの内圧が上昇するからである。
【0071】
内槽タンク12の内部には、バッフル(Baffle;図示せず)が具備されうる。バッフルは、格子形態のプレートを意味し、バッフルが設置されることにより内槽タンク12内部の圧力は均等に分布されて内槽タンク12が一部に集中圧力を受けることを防止することができる。
【0072】
断熱部13は、内槽タンク12と外槽タンク11との間に備えられ、外部の熱エネルギーが内槽タンク12に伝達されることを防止することができる。このとき、断熱部 は真空状態でありえる。断熱部を真空に形成することにより液化ガス貯蔵タンク10は、一般的なタンクと比較したとき高い圧力により効率的に耐えることができる。一例として、液化ガス貯蔵タンク10は、真空の断熱部によって5barないし20barの圧力を耐えることができる。
【0073】
このように本実施例では、真空形態の断熱部を外槽タンク13と内槽タンク11との間に具備する圧力タンク型液化ガス貯蔵タンク10を使用することにより、蒸発ガスの発生を最小限に抑えることができ、内圧が上昇しても液化ガス貯蔵タンク10が破損するなどの問題が起きることを未然に防止することができる。
【0074】
また、本実施例では、液化ガス貯蔵タンク10から発生する蒸発ガスを蒸発ガス圧縮器50に供給し、蒸発ガスの加熱に利用したり、または蒸発ガスを加圧して液化ガス需要先20の燃料として活用することで、蒸発ガスを効率的に利用することができる。
【0075】
ここで、液化ガス貯蔵タンク10の下流には、強制気化器(Forcing Vaporizer;図示せず)が設けられ、強制気化器は、蒸発ガスの流量が不足している場合に動作し、液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスの流量を増加させることができる。すなわち、強制気化器19は、蒸発ガス供給ライン16で混合器70の上流に設けられ、液化ガス貯蔵タンク10内の液化ガスを気化させて蒸発ガス圧縮器50に気体状態の液化ガスを供給することができる。
【0076】
液化ガス需要先20は、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスとフラッシュガス(Flash Gas)によって駆動されて電力を発生させる。この時、液化ガス需要先20は高圧エンジンであり、気体燃料エンジン(例えば、MEGI)でありえる。
【0077】
液化ガス需要先20は、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスによって駆動されて電力を発生させる。この時、液化ガス需要先20は高圧エンジンであり、気体燃料エンジン(例えば、MEGI)でありえる。
【0078】
液化ガス需要先20は、液化ガスの燃焼によりシリンダ(図示せず)内部のピストン(図示せず)が往復運動することにより、ピストンに連結されたクランク軸(図示せず)が回転し、クランク軸に連結されるシャフト(図示せず)が回転されうる。したがって、液化ガス需要先20の駆動時にシャフトに連結されたプロペラ(図示せず)が回転することにより、船体が前進または後進することになる。もちろん、本実施例では、液化ガス需要先20は、プロペラを駆動するためのエンジンでありえるが、発電のためのエンジンまたはその他の動力を発生させるためのエンジンでありえる。すなわち、本実施例では、液化ガス需要先20の種類を特に限定しない。ただし、液化ガス需要先20は、蒸発ガスとフラッシュガスの燃焼によって駆動力を発生させる内燃機関の場合もある。
【0079】
液化ガス需要先20は、蒸発ガス圧縮器50によって加圧された蒸発ガスの供給を受けて駆動力を得ることができる。液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスの状態は、液化ガス需要先20が要求する状態に応じて異なる場合がある。
【0080】
液化ガス貯蔵タンク10と液化ガス需要先20との間には、蒸発ガスを伝達する蒸発ガス供給ライン16を設けることができ、蒸発ガス供給ライン16には、強制気化器19、混合器70、蒸発ガス熱交換器60、蒸発ガス圧縮器50、蒸発ガス減圧器80、気液分離器90などが具備されて蒸発ガスが液化ガス需要先20に供給されるか、または気液分離器90に供給されるようにすることができる。この時、蒸発ガス供給ライン16には、燃料供給弁(図示せず)が設けられ、燃料供給弁の開度調節により蒸発ガスの供給量が調整されることができる。
【0081】
蒸発ガス圧縮器50は、液化ガス貯蔵タンク10から発生された蒸発ガスを加圧する。蒸発ガス圧縮器50は、液化ガス貯蔵タンク10から発生されて排出される蒸発ガスを加圧して蒸発ガス熱交換器60や液化ガス需要先20に供給することができる。
【0082】
蒸発ガス圧縮器50は、複数に具備されて蒸発ガスを多段加圧させることができる。一例として、蒸発ガス圧縮器50は、5つ具備されて蒸発ガスが5段加圧されるようにすることができる。5段加圧された蒸発ガスは、200barないし400barに加圧され、液化ガス需要先20に供給することができる。
【0083】
ここで、蒸発ガス供給ライン16は、蒸発ガス圧縮器50と液化ガス需要先20との間から分岐し、蒸発ガス熱交換器60に連結されることができる。すなわち、蒸発ガス供給ライン16は、蒸発ガス圧縮器50から液化ガス需要先20に連結されるか、または蒸発ガス熱交換器60に連結されることができる。この時、蒸発ガス熱交換器60に分岐される地点の蒸発ガス供給ライン16上には弁(図示せず)が設けられており、弁は、液化ガス需要先20に供給される蒸発ガスの流量または蒸発ガス圧縮器50により、蒸発ガス熱交換器60に供給される蒸発ガスの流量を制御することができ、三方弁でありえる。
【0084】
複数の蒸発ガス圧縮器50の間には、蒸発ガス冷却器(図示せず)を設けることができる。蒸発ガス圧縮器50によって蒸発ガスが加圧されると、圧力上昇に応じて温度をも上昇することがあるから、本実施例では、蒸発ガス冷却器を使用して蒸発ガスの温度を再び下げることができる。蒸発ガス冷却は、蒸発ガス圧縮器50と同じ数に設けることができ、各蒸発ガス冷却器は各蒸発ガス圧縮器50の下流に設けることができる。
【0085】
蒸発ガス圧縮器50が蒸発ガスを加圧することにより、蒸発ガスは圧力が上昇し、かつ沸点が上昇して相対的に高い温度でも液化されうる状態になる。したがって、本実施例では、蒸発ガス圧縮器50により蒸発ガスの圧力を上げることにより、蒸発ガスが容易に液化されるようにすることができる。
【0086】
蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス供給ライン16で液化ガス貯蔵タンク10と蒸発ガス圧縮器50との間に設けられる。蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス圧縮器50で加圧される蒸発ガスと液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスと気液分離器90で分離されたフラッシュガスを熱交換させることができる。すなわち、蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス圧縮器50で加圧されて液化ガス需要先の上流から分岐される蒸発ガス供給ライン16に沿って回収された蒸発ガスと、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスを熱交換させる。そして、蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス圧縮器50で加圧されて蒸発ガス供給ライン16に沿って回収された蒸発ガスと、気体回収ライン17を介して供給されるフラッシュガスを熱交換させる。
【0087】
この時、蒸発ガス熱交換器60は、蒸発ガス供給ライン16に沿って回収される蒸発ガスを液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスで冷却したり、気体回収ライン17を介して供給されるフラッシュガスで冷却することができる。この場合、蒸発ガス供給ライン16に沿って回収される蒸発ガスは、液化ガス貯蔵タンク10から排出された蒸発ガスによって一次冷却され、フラッシュガスによって二次冷却されることができる。
【0088】
蒸発ガス熱交換器60は、液化ガス貯蔵タンク10から供給された蒸発ガスを蒸発ガス圧縮器50に供給し、蒸発ガス及びフラッシュガスによって二次冷却された蒸発ガスを蒸発ガス減圧器80に供給することができる。この場合、蒸発ガス減圧器80に供給される蒸発ガスは蒸発ガスのみならず、フラッシュガスによっても冷却されたため、減圧による液化効率が大幅に増大されることができる。
【0089】
蒸発ガス熱交換器60を経たフラッシュガスは外部に排出することができる。ここで、フラッシュガスは、燃料を燃焼させるガス燃焼ユニット(図示せず)、または別の異種燃料エンジン(DFDE)に供給されることができる。この時、蒸発ガス熱交換器60には、フラッシュガス排出ライン18が形成され、フラッシュガス排出ライン18は、ガス燃焼ユニットまたは異種燃料エンジンまで連結されることができる。これにより、蒸発ガス熱交換器60から蒸発ガス圧縮器50に供給される蒸発ガスは加熱され、気液分離器90に供給される蒸発ガスは冷却され、気液分離器90から供給されて排出されるフラッシュガスは加熱されることができる。
【0090】
蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガス圧縮器50で加圧されて蒸発ガス熱交換器60で熱交換された蒸発ガスを減圧させる。例えば、蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガスを約3barに減圧することができ、減圧時に蒸発ガスは、冷却効果が行われることができる。ここで、蒸発ガス圧縮器50で加圧された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60で液化ガス貯蔵タンク10から供給された蒸発ガスと熱交換して冷却されるが、圧力は蒸発ガス圧縮器50から吐出された吐出圧を維持することができる。
【0091】
本実施例では、蒸発ガス減圧器80を用いて蒸発ガスを減圧させて蒸発ガスが冷却されるようにし、蒸発ガスを液化させることができる。このとき、減圧される圧力範囲が大きいほど、蒸発ガスの冷却効果が増大されることができ、例えば、蒸発ガス減圧器80は、蒸発ガス圧縮器50によって300barに加圧された蒸発ガスを3barまで減圧させることができる。
【0092】
蒸発ガス減圧器80はジュールトムソン弁からなることができる。ジュールトムソン弁の場合、減圧によって効果的に蒸発ガスを冷却させて少なくとも一部の蒸発ガスが液化されるようにすることができる。
【0093】
蒸発ガス減圧器80によって減圧され蒸発ガスは、液化ガス貯蔵タンク10から供給された蒸発ガスによって冷却されると同時に、気液分離器90から供給されたフラッシュガスによっても冷却されたため、十分に再液化が行われることができる。すなわち、本実施例では、フラッシュガスの冷熱を利用することができるので、蒸発ガス間の熱交換を使用することよりも、さらに高い再液化効率を得ることができる。
【0094】
気液分離器(Separator;90)は、蒸発ガス減圧器80で減圧された蒸発ガスから気体を分離する。気液分離器90で蒸発ガスは、液体と気体に分離され、液体は液化ガス貯蔵タンク10に供給され、気体はフラッシュガスとして熱交換器60に回収されることができる。
【0095】
ここで、気液分離器90に供給される蒸発ガスは、蒸発ガス減圧器80で減圧されて冷却された状態でありえる。例えば、蒸発ガス圧縮器50で蒸発ガスは、多段加圧されて200barないし400barの圧力を持つことができ、温度は45℃前後で行うことができる。45℃前後の温度に上昇された蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60に回収され、液化ガス貯蔵タンク10から供給される−100℃前後の蒸発ガス及び−150℃前後のフラッシュガスと熱交換されることで、−97℃前後の温度に冷却されて蒸発ガス減圧器80に供給される。この時、蒸発ガス減圧器80で蒸発ガスは減圧によって冷却され、約3barの圧力と約−150.2℃程度の温度を持つことができる。
【0096】
このとき、蒸発ガスは3barでの沸点よりも低い温度を持つことにより、少なくとも一部が液化されることができ、残りは気体状態であるフラッシュガスとして存在することができる。この場合、フラッシュガスもやはり約−150℃の状態であり、−150℃のフラッシュガスは気液分離器90から蒸発ガス熱交換器60に供給されて蒸発ガスを冷却させるのに使用することができる。
【0097】
このように、本実施例では、気液分離器90に供給される蒸発ガスが蒸発ガス熱交換器60で蒸発ガス及びフラッシュガスによって十分に冷却された後、蒸発ガス減圧器80で3barに減圧されて冷却されるので、蒸発ガスの液化効率が改善されることができる。
【0098】
また、本実施例では、液化された蒸発ガスを液化ガス貯蔵タンク10に回収し、気液分離器90で発生したフラッシュガスを蒸発ガス熱交換器60に回収させて蒸発ガスを熱交換させることができる。
【0099】
気液分離器90で蒸発ガスが液体と気体に分離されると、液化された蒸発ガスとフラッシュガスは、それぞれが液体回収ライン19と気体回収ライン17を介して液化ガス貯蔵タンク10と蒸発ガス熱交換器60に回収されることができる。
【0100】
液体回収ライン19は、気液分離器90から液化ガス貯蔵タンク10まで連結されて液体状態の蒸発ガスを液化ガス貯蔵タンク10に回収し、気体回収ライン17は、気液分離器90から蒸発ガス熱交換器60まで連結されてフラッシュガスを蒸発ガス熱交換器60に回収し、蒸発ガスを熱交換させることができる。
【0101】
本実施例では、外部の熱浸透によって液化ガス貯蔵タンク10から発生した蒸発ガスを加圧して液化ガス需要先20に供給し、蒸発ガスが捨てられるのを防止して燃料を節減することができるだけでなく、フラッシュガスで蒸発ガスを追加冷却して液化効率を最大化することができる。
【0102】
図7は、本発明の第3実施例による液化ガス処理システムの概念図であり、
図8は、一般的な液化ガス処理システムにおいて蒸発ガス圧縮器の流量に対する消費電力を示したグラフである。
図7を参照して液化ガス処理システム3を説明する。本実施例は、第2実施例と混合器70及びフラッシュガス回収ライン18Aのみ異なるように構成される。そして、前述した実施例と同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付与し、これに対する重複説明は省略する。
【0103】
本実施例では、気液分離器90から供給され、蒸発ガス熱交換器60で熱交換されたフラッシュガスを外部に排出させることなく回収して利用することができる。この時、本実施例では、フラッシュガス回収ライン18Aを設けることができ、フラッシュガス回収ライン18Aは、蒸発ガス熱交換器60から混合器70まで連結されることができる。ここで、フラッシュガス回収ライン18Aには、三方弁18Bやチェック弁などのような別の弁が備えられ、フラッシュガスを外部に排出することもできる。この場合、フラッシュガスは、ガス燃焼ユニット(GCU;図示せず)、ボイラー(図示せず)、または異種燃料エンジン(DFDE;図示せず)に供給されて燃焼されることができる。
【0104】
すなわち、蒸発ガス熱交換器60で蒸発ガスを冷却させたフラッシュガスは、一部が混合器70を介して蒸発ガス熱交換器60に再流入され、残りはボイラーなどに供給されて使用することができる。このとき、弁18Bは、外部に排出されるフラッシュガスの流量を調節することにより、蒸発ガス圧縮器50に流入されるフラッシュガスの再循環流量を制御することができる。このように本実施例では、液化ガス需要先20が液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガス以外にも、気液分離器90で分離されたフラッシュガスによって駆動されて動力を発生させることができるようにする。
【0105】
混合器70は、蒸発ガス供給ライン16で蒸発ガス熱交換器60の上流に設けられ、液化ガス貯蔵タンク10から供給される蒸発ガスが流入されて気液分離器90から回収されるフラッシュガスが流入されることができる。このような、混合器70は、蒸発ガスとフラッシュガスが貯蔵されるように空間をなす圧力タンクの形態でなされることができる。ここで、混合器70で混合された蒸発ガスとフラッシュガスは蒸発ガス熱交換器50に供給される。つまり、気液分離器90から発生したフラッシュガスを捨てずに混合器70に回収させ、蒸発ガスとフラッシュガスを蒸発ガス圧縮器50によって加圧した後、液化ガス需要先20に供給することができる。
【0106】
このとき、気液分離器90から供給されるフラッシュガスは、前述したように、蒸発ガス減圧器80によって減圧されて冷却され、−150.2℃になる場合があるが、このようなフラッシュガスと液化ガス貯蔵タンクから発生した−100℃の蒸発ガスは、混合器70で混合されて蒸発ガス熱交換器60に流入される。したがって、蒸発ガス圧縮器50と液化ガス需要先20との間で分岐されて蒸発ガス熱交換器60に連結された蒸発ガス供給ライン16に沿って回収される蒸発ガスは、蒸発ガス熱交換器60から供給される蒸発ガスと気液分離器90から供給されるフラッシュガスと熱交換することにより冷却されることができる。
【0107】
これにより、蒸発ガス熱交換器60から吐出されて蒸発ガス減圧器80に流入される蒸発ガスは、フラッシュガスによって冷却され、蒸発ガス減圧器80によって減圧されると相対的により低い温度で冷却されることができる。単に、蒸発ガス間の熱交換のみを具現する場合よりも、より多くの蒸発ガスが蒸発ガス減圧器80によって液化されて液化ガス貯蔵タンク10に回収されることができる。
【0108】
したがって、本実施例では、蒸発ガス減圧器80により冷却された蒸発ガスのうち気体状態の蒸発ガスを気液分離器90からフラッシュガスに分離して蒸発ガス熱交換器60に供給し、蒸発ガス圧縮器50から蒸発ガス熱交換器60、蒸発ガス減圧器80に回収される蒸発ガスの温度を十分に低くすることで、蒸発ガスの液化の効率を引き上げることができる。
【0109】
また、本実施例では、液化ガス貯蔵タンク10から出てくる蒸発ガスだけでなく、フラッシュガスが蒸発ガスと混合して蒸発ガス圧縮器50に流入されるので、一定流量以上の蒸発ガス圧縮器50に供給されて駆動効率を向上させることができる。
【0110】
図8のグラフに示したように、一般的な蒸発ガス圧縮器は、B区間の場合、流量が増加すると消費電力が増加する。これは、多くの流量の蒸発ガスを圧縮するために、多くの消費電力が必要であることを意味する。このとき、B区間は、蒸発ガス圧縮器の仕様、駆動条件等に応じて決定される既設定値(AとB区間を決定する基準値)よりも流量の多い区間でありえる。
【0111】
反面、蒸発ガス圧縮器50に流入される蒸発ガスの流量が既設定値よりも少ない場合、A区間では、流量が減少しても消費電力は減少しない。これは、蒸発ガス圧縮器50に一定の体積の蒸発ガスが流入されない場合には、サージング(Surging)が発生する危険性があり、蒸発ガス圧縮器50に流入される蒸発ガス流量が既設定値よりも少ない時には、蒸発ガスの一部をリサイクルさせて蒸発ガス圧縮器50の蒸発ガスの流入体積を一定値以上に維持しなければならないので、リサイクルのための消費電力が発生するからである。
【0112】
しかし、本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、蒸発ガスとともにフラッシュガスが蒸発ガス圧縮器50に流入されうるので、蒸発ガス流量が既設定値以下であるA区間で蒸発ガスの流量が減少しても、フラッシュガスによって蒸発ガス圧縮器50が要求する体積を満足させるので、蒸発ガスの流量減少に伴い消費電力を節減することができる。すなわち、本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、A区間で流量減少時の消費電力が比例的に減少することがありえる。
【0113】
したがって、本実施例では、蒸発ガスの量が少ない場合、フラッシュガスの量を調節して蒸発ガス圧縮器50のリサイクル制御が減るようにし、蒸発ガス圧縮器50の低負荷運転による所要動力を節減することができる。
【0114】
本実施例の蒸発ガス圧縮器50は、B区間の場合、流量が増加するにつれて消費電力が増加する。これは、より多くの量の蒸発ガスを圧縮するために多くの消費電力を必要とするからである。ただし、本実施例では、フラッシュガスを循環する構成が含まれているため、蒸発ガスの流量に応じて蒸発ガス圧縮器50の消費電力が増加することとは関係なく、蒸発ガスの再液化効率を大幅に向上させることができる。
【0115】
図9は、本発明のまた第4実施例による液化ガス処理システムの概念図である。
図9に示したように、本発明のまた第4実施例による液化ガス処理システム4は、第4実施例と対比するとき、フラッシュガス迂回ライン17Aが追加されることができる。そして、前述した第4実施例と同一または対応する構成要素は同一の図面番号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。
【0116】
フラッシュガス迂回ライン17Aは、気体回収ライン17から分岐されて気液分離器90から排出されたフラッシュガスのうち少なくとも一部が蒸発ガス熱交換器60を迂回されるようにする。迂回したフラッシュガスは、蒸発ガスから熱が供給されていない低温状態でフラッシュガス回収ライン18Aに沿って混合器70に流入されて蒸発ガスと混合されるか、ボイラー(図示せず)、ガス燃焼ユニット(図示せず)、異種燃料エンジンDFDEなどに排出されることができる。
【0117】
蒸発ガス熱交換器60で蒸発ガスと熱交換されたフラッシュガスは、蒸発ガスを冷却させながら熱の供給を受け、約40℃ほどに加熱されるので、加熱された状態で混合器70に流入される場合、蒸発ガス熱交換器60に流入される蒸発ガスの温度を上昇させることができ、これは、再液化効率の低下につながることができる。
【0118】
したがって、本実施例では、少なくとも一部のフラッシュガスが蒸発ガス熱交換器60を迂回した後、混合器70で蒸発ガスと混合されるようにすることができ、この時、混合器70に流入されるフラッシュガスの温度を液化ガス貯蔵タンク10から発生した蒸発ガスの温度と同一または類似に制御することにより、蒸発ガスを冷却させたフラッシュガスの混合により再液化率が落ちることを防止することができる。このとき、フラッシュガスの迂回流量は、フラッシュガス迂回ライン17Aが気体回収ライン17から分岐する地点に備えられた三方弁17Bによって調節することができる。もちろん、三方弁17Bは、フラッシュガス迂回ライン17Aがフラッシュガス回収ライン18Aに合流する地点に設けられることもでき、三方弁17Bの代わりにフラッシュガス迂回ライン17A上にチェック弁等に代替されることができる。
【0119】
このように本実施例では、外部の熱浸透によって液化ガス貯蔵タンク10から発生された蒸発ガスを加圧して液化ガス需要先20に供給したり、フラッシュガスを蒸発ガス圧縮器50に循環させ、蒸発ガスとともに加圧して液化ガス需要先20に供給することで、蒸発ガスが捨てられるのを防止して燃料を節減することができる。それだけでなく、フラッシュガスで蒸発ガスを追加冷却して液化効率を最大化することができ、フラッシュガスを蒸発ガスと混合して使用することで、一定流量以上が蒸発ガス圧縮器50に供給され、リサイクル制御を最小化して駆動効率を向上させることができる。
【0120】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施例について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能なのはもちろんであり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。