(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記摩耗防止部材は、円柱状の資材を長手方向にドリル加工し、前記ドリル加工された資材を所定長さに切断し、前記切断された資材のバリを除去して形成する、請求項7又は8に記載の配線用遮断器の開閉機構用ピンの製造方法。
前記第1過剰圧縮防止突部の突出長さと前記第2過剰圧縮防止突部の突出長さの和は、前記所定間隔と同一である、請求項16に記載の配線用遮断器の開閉機構用ピンの製造方法。
【背景技術】
【0002】
一般に、配線用遮断器は、ハンドルを用いて手動で電気回路を開閉したり、短絡電流や事故電流などの異常電流の発生時にそれを感知して自動で回路を遮断し、負荷機器及び回路を保護する電気機器の一種である。
【0003】
以下、
図12を参照して従来の配線用遮断器について説明する。
【0004】
従来の配線用遮断器は、固定接触子10、固定接触子10に接離するように回動可能に設置される可動接触子20、及び可動接触子20を回動させて回路を開閉する開閉機構30をケース(図示せず)の内部に含む。
【0005】
開閉機構30は、回動可能に設置されるシャフト74と、シャフト74から可動接触子20に駆動力を伝達する伝達リンク90と、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合するピン80とを含む。
【0006】
従来の配線用遮断器は、複数の相で構成され、相毎に一対の固定接触子10及び可動接触子20が備えられる。
【0007】
よって、開閉機構30は、複数の可動接触子20を開閉できる構造に形成されなければならない。
【0008】
このために、伝達リンク90は、相毎に備えられて可動接触子20にヒンジ結合される。
【0009】
また、シャフト74は、シャフト回動軸74aから半径方向に突出するシャフトアーム74bを相毎に備える。シャフトアーム74bは、相毎に備えられて伝達リンク90にヒンジ結合される。
【0010】
さらに、ピン80は、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合すると共に、特定の相から他の相への絶縁破壊が生じることを防止するために、絶縁物質で形成される。
【0011】
このような構成により、開閉機構30のハンドル40が
図12における反時計方向に回動して投入されると、開閉機構30により可動接触子20が固定接触子10に接触して回路が接続される。
【0012】
それに対して、線路に異常電流が発生すると、トリップ機構(図示せず)が動作して開閉機構30のラッチ62の拘束を解除する。
【0013】
ラッチ62の拘束が解除されると、開閉機構30の引張バネ50の付勢力により可動接触子20が固定接触子10から迅速に分離される。
【0014】
一方、異常電流が解消されると、開閉機構30の操作により可動接触子20が固定接触子10に再び接触する。
【0015】
このような過程で、ピン80は、シャフト74からの駆動力が伝達リンク90を介して可動接触子20に伝達されるように、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合する。
【0016】
また、ピン80は、相間絶縁のために、シャフト74と伝達リンク90間を絶縁する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、従来の配線用遮断器においては、絶縁物質で形成されたピン80のほうがシャフト74よりも耐摩耗性が低い。すなわち、ピン80のほうがシャフト74よりも硬度が低い。従って、開閉動作が繰り返されると、ピン80においてシャフト74との接触部が摩耗して破損する。その結果、可動接触子20と固定接触子10との当接圧力が小さくなり、接点抵抗が大きくなるという問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、開閉機構におけるリンクのヒンジ結合及び絶縁のためのピンの絶縁性能及び耐摩耗性を確保することにより、ピンの摩耗及び破損を抑制し、可動接触子と固定接触子との当接圧力の減少及び接点抵抗の増加の問題を解消することのできる配線用遮断器及びその開閉機構用ピンの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明は、固定設置される固定接触子と、前記固定接触子に接離する可動接触子と、前記可動接触子を開閉する開閉機構とを含み、前記開閉機構は、回動可能に設置されるシャフトと、前記シャフトから前記可動接触子に駆動力を伝達する伝達リンクと、前記シャフトと前記伝達リンクをヒンジ結合し、前記シャフトと前記伝達リンク間を絶縁するピンとを含み、前記ピンは、前記シャフトとの接触部に摩耗防止部材が設置される、配線用遮断器を提供する。
【0020】
前記ピンは、円柱状に形成される絶縁部材を含み、前記摩耗防止部材は、パイプ状に形成され、前記絶縁部材における前記シャフトとの接触部に重ねられてもよい。
【0021】
前記摩耗防止部材は、離脱しないように前記絶縁部材に固定設置されてもよい。
【0022】
前記絶縁部材は、前記摩耗防止部材に挿入され、前記摩耗防止部材の少なくとも一方の端部は、前記絶縁部材に食い込むように変形してもよい。
【0023】
前記摩耗防止部材は、前記絶縁部材よりも耐摩耗性の高い材質で形成されてもよい。
【0024】
前記絶縁部材は、ポリエチレン材で形成され、前記摩耗防止部材は、ステンレス鋼材で形成されてもよい。
【0025】
一方、本発明は、絶縁部材を円柱状に形成する段階と、前記絶縁部材の一部を囲むことができるように、摩耗防止部材をパイプ状に形成する段階と、前記摩耗防止部材を前記絶縁部材の一部に配置する段階と、前記摩耗防止部材の両端部を前記絶縁部材に食い込むように変形させ、前記摩耗防止部材を前記絶縁部材の一部に固定する段階とを含む、配線用遮断器の開閉機構用ピンの製造方法を提供する。
【0026】
前記摩耗防止部材を形成する段階において、前記摩耗防止部材は、前記両端部の断面が内周面に対して垂直に形成されてもよい。
【0027】
前記摩耗防止部材は、円柱状の資材を長手方向にドリル加工し、前記ドリル加工された資材を所定長さに切断し、前記切断された資材のバリ(burr)を除去して形成してもよい。
【0028】
前記摩耗防止部材を前記絶縁部材の一部に固定する段階において、前記摩耗防止部材は、前記両端部がプレスにより押圧されて変形してもよい。
【0029】
前記プレスは、前記摩耗防止部材において前記両端部の断面と外周面とがなす角部に接触可能に形成される傾斜面を含んでもよい。
【0030】
前記プレスは、前記傾斜面により、前記摩耗防止部材の両端部の角部を前記摩耗防止部材の軸方向に所定量だけ押圧するようにしてもよい。
【0031】
前記所定量は、前記摩耗防止部材の外周面に屈曲を生じさせない値であってもよい。
【0032】
前記プレスは、固定設置されるダイス(die)と、前記ダイスに対向し、前記ダイス側に移動可能に設置されるパンチとを含んでもよい。
【0033】
前記ダイスは、前記パンチに対向する第1プレス面と、前記摩耗防止部材の一端部から突出した前記絶縁部材の一端部が挿入されるように前記第1プレス面に対して垂直に形成され、前記摩耗防止部材の一端部が係止される第1溝とを含んでもよい。
【0034】
前記パンチは、前記第1プレス面に平行に対向する第2プレス面と、前記摩耗防止部材の他端部から突出した前記絶縁部材の他端部が挿入されるように前記第2プレス面に対して垂直に形成され、前記摩耗防止部材の他端部が係止される第2溝とを含んでもよい。
【0035】
前記第1溝は、前記第1プレス面に垂直方向に陰刻された円柱状に形成される第1挿入部と、前記第1プレス面及び前記第1挿入部の内周面にそれぞれ傾斜して形成される第1面取り部とを含んでもよい。
【0036】
前記第2溝は、前記第2プレス面に垂直方向に陰刻された円柱状に形成される第2挿入部と、前記第2プレス面及び前記第2挿入部の内周面にそれぞれ傾斜して形成される第2面取り部とを含んでもよい。
【0037】
この場合、前記第1面取り部及び前記第2面取り部が前記傾斜面であってもよい。
【0038】
前記ピンは、前記摩耗防止部材の一端部が前記第1面取り部に係止され、前記摩耗防止部材の一端部から突出した前記絶縁部材の一端部が前記第1挿入部に挿入されてもよい。
【0039】
また、前記ピンは、前記摩耗防止部材の他端部が前記第2面取り部に係止され、前記摩耗防止部材の他端部から突出した前記絶縁部材の他端部が前記第2挿入部に挿入されてもよい。
【0040】
前記ダイス及び前記パンチの少なくとも一方は、他方側に突出した過剰圧縮防止突部を含んでもよい。
【0041】
前記過剰圧縮防止突部は、前記ダイスと前記パンチが前記摩耗防止部材の両端部を押圧する際に、前記他方に接触して前記第1プレス面と前記第2プレス面が所定間隔より近接しないようにしてもよい。
【0042】
前記過剰圧縮防止突部は、前記第1プレス面から前記第2プレス面側に突出した第1過剰圧縮防止突部と、前記第2プレス面から前記第1過剰圧縮防止突部に対向して突出した第2過剰圧縮防止突部とを含んでもよい。
【0043】
前記ダイスと前記パンチが前記摩耗防止部材の両端部を押圧する際に、前記第1過剰圧縮防止突部と前記第2過剰圧縮防止突部とが接触するようにしてもよい。
【0044】
前記第1過剰圧縮防止突部の突出長さと前記第2過剰圧縮防止突部の突出長さの和は、前記所定間隔と同一であってもよい。
【0045】
前記第1過剰圧縮防止突部は、前記第1溝を介して互いに反対側に位置するように、一対に形成してもよい。
【0046】
前記第2過剰圧縮防止突部は、前記一対の第1過剰圧縮防止突部に対応し、前記第2溝を介して互いに反対側に位置するように、一対に形成してもよい。
【0047】
前記所定間隔は、前記摩耗防止部材の外周面に屈曲を生じさせない値であってもよい。
【発明の効果】
【0048】
本発明による配線用遮断器及びその開閉機構用ピンの製造方法は、可動接触子を固定接触子に接離させる開閉機構におけるリンクのヒンジ結合及び絶縁のためのピンに摩耗防止部材が設置される。これにより、相間絶縁がなされ、シャフトによるピンの摩耗及び破損が抑制される。その結果、ピンの摩耗及び破損による可動接触子と固定接触子との当接圧力の減少及び接点抵抗の増加の問題を解消することができる。
【0049】
また、摩耗防止部材の少なくとも一方の端部がピンの絶縁部材に食い込むように変形することにより、摩耗防止部材が絶縁部材に固定設置される。これにより、摩耗防止部材が設置部位から離脱することを抑制することができる。
【0050】
さらに、円柱状の資材を長手方向にドリル加工し、ドリル加工された資材を所定長さに切断し、切断された資材のバリを除去することにより、摩耗防止部材の両端部の断面が摩耗防止部材の内周面に対して垂直に形成される。これにより、摩耗防止部材の両端部を離脱抵抗強度に優れた形状となるように変形させることができる。
【0051】
さらに、摩耗防止部材の両端部の角部を摩耗防止部材の軸方向に押圧するプレスにより、摩耗防止部材の両端部が絶縁部材に食い込むように変形する。これにより、摩耗防止部材を絶縁部材に容易に固定することができる。
【0052】
さらに、プレスは、ダイス及びパンチの少なくとも一方から他方側に突出した過剰圧縮防止突部を含む。過剰圧縮防止突部は、ダイスとパンチが所定間隔より近接しないようにし、摩耗防止部材の外周面に屈曲が生じることを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、本発明による配線用遮断器及びその開閉機構用ピン(以下、絶縁ピンという。)の製造方法を、添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0055】
図1は本発明による配線用遮断器を示す断面図であり、
図2は
図1の開閉機構を示す斜視図である。
【0056】
図1及び
図2に示すように、本発明による配線用遮断器は、ケースCの内部に固定設置される固定接触子10と、固定接触子10に接離するように回動可能に設置される可動接触子20と、可動接触子20を回動させて回路を開閉する開閉機構130とを含む。
【0057】
固定接触子10と可動接触子20は、正常状態では互いに接触して電源側からの電源が負荷側に供給されるように通電経路を形成し、異常電流が発生すると分離されて回路を遮断する。
【0058】
固定接触子10は、ケースCの内部に固定設置され、電源側又は負荷側に接続される。
【0059】
可動接触子20は、一側がケースCにヒンジ結合され、中心部が後述する伝達リンク90にヒンジ結合され、負荷側又は電源側に接続される。ここで、ケースCにヒンジ結合される部分が可動接触子回動軸22である。
【0060】
開閉機構130は、使用者が開閉操作できるように備えられたハンドル40と、ハンドル40の位置によって可動接触子20が固定接触子10に接離するように駆動力を発生する引張バネ50と、引張バネ50の駆動力を可動接触子20に伝達するリンク装置(linkage)160とを含む。
【0061】
ハンドル40は、一端部がケースCの内部にヒンジ結合され、他端部がケースCから突出する。
【0062】
また、ハンドル40は、ハンドル回動軸(図示せず)から離隔した一側に第1バネ締結部42を備える。
【0063】
ここで、第1バネ締結部42は、配線用遮断器が投入動作(オン)から遮断動作(オフ又はトリップ)に切り替える際に、後述するロッカ回動軸64と第2バネ締結部68aとがなす軸を中心として一側から一側の反対方向に移動する。
【0064】
引張バネ50は、一端部が第1バネ締結部42に支持され、他端部が第2バネ締結部68aに支持される。
【0065】
リンク装置160は、トリップ動作を行うラッチ62と、リンク装置160全体の主動節の役割を果たすロッカ(rocker)66と、ロッカ66と後述するシャフト74を連結する連結リンク70と、ロッカ66の従動節の役割を果たすと共に可動接触子20の主動節の役割を果たすシャフト74と、シャフト74と可動接触子20を連結する伝達リンク90とを含む。
【0066】
ラッチ62は、一側がケースCの内部にヒンジ結合され、他側が別途のラッチホルダHに係止されるように設置される。
【0067】
ここで、ラッチ62は、配線用遮断器が投入動作(オン)又は人為的な遮断動作(オフ)を行う際には、ラッチホルダHに係止され、リンク装置160の他の構成要素の動作に対する固定支持点の役割を果たす。
【0068】
また、ラッチ62は、配線用遮断器が事故による遮断動作(トリップ)を行う際には、ラッチホルダHから係止解除されて回動し、リンク装置160の他の構成要素と連結された1つのリンク部材の役割を果たす。
【0069】
ロッカ66は、一側がラッチ62に回動可能に設置され、他側が連結リンク70にヒンジ結合される。
【0070】
ここで、ロッカ66と連結リンク70とはピン68によりヒンジ結合され、ピン68には引張バネ50の他端部を支持する第2バネ締結部68aが備えられる。従って、引張バネ50による駆動力がピン68に作用し、ピン68に作用する駆動力によりロッカ66がリンク装置160全体の主動節の役割を果たすことになる。しかし、これに限定されるものではなく、第2バネ締結部68aはロッカ66など他の構成要素に備えられてもよい。
【0071】
シャフト74は、一側がケースCに回動可能に設置され、他側が連結リンク70にヒンジ結合される。
【0072】
また、シャフト74は、一側及び他側から離隔した部分が後述する絶縁ピン180により伝達リンク90にヒンジ結合される。
【0073】
ここで、シャフト74は、連結リンク70を介してロッカ66から受けた駆動力を、伝達リンク90を介して可動接触子20に伝達する。すなわち、シャフト74は、ロッカ66の従動節の役割を果たすと共に可動接触子20の主動節の役割を果たす。
【0074】
連結リンク70は、前述したように、一側がロッカ66の他側にヒンジ結合され、他側がシャフト74の他側にヒンジ結合される。
【0075】
伝達リンク90は、前述したように、一側が絶縁ピン180によりシャフト74の一側及び他側から離隔した部分にヒンジ結合され、他側が可動接触子20の他側にヒンジ結合される。
【0076】
絶縁ピン180は、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合すると共に、シャフト74と伝達リンク90間を絶縁する。
【0077】
なお、説明の便宜上、絶縁ピン180によりヒンジ結合される部分をシャフト接続口74c及び伝達リンク接続口90cという。すなわち、シャフト74の一側及び他側から離隔した部分をシャフト接続口74cといい、伝達リンク90の一側を伝達リンク接続口90cという。
【0078】
図3は
図2の絶縁部材の形成過程を示す断面図であり、
図4は
図2の摩耗防止部材の形成過程を示す斜視図であり、
図5は
図3の絶縁部材と
図4の摩耗防止部材の組立図であり、
図6は
図5の組立後の断面図であり、
図7は
図6の絶縁ピンのプレス加工過程を示す断面図であり、
図8は
図7のプレス加工により製造された
図2の絶縁ピンを示す斜視図であり、
図9は
図8の断面図であり、
図10は
図7のプレスを示す斜視図である。
【0079】
図2及び
図8に示すように、絶縁ピン180は、円柱状に形成される絶縁部材182と、絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部を囲むように設置されるパイプ状の摩耗防止部材184とを含む。
【0080】
ここで、絶縁部材182は、ポリエチレンで形成される。しかし、これに限定されるものではなく、絶縁部材182の材質は、絶縁性能を有する材質であればよい。
【0081】
また、摩耗防止部材184は、ステンレス鋼で形成される。しかし、これに限定されるものではなく、摩耗防止部材184の材質は、絶縁部材182よりも耐摩耗性の高い材質であればよい。
【0082】
絶縁ピン180は次のように製造される。
【0083】
まず、絶縁部材182は、前述したように円柱状に形成する。
【0084】
絶縁部材182は、
図3に示すように、原資材S1が引き抜き用ダイスD1を通過して切断される引き抜き加工で形成してもよい。
【0085】
一方、摩耗防止部材184は、絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部の周囲を囲むように、絶縁部材182の長さより短く、かつ絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部の長さより長いか等しい長さを有する円管状に形成する。
【0086】
摩耗防止部材184の両端部の断面は、初期、すなわちプレス加工前は、
図4〜
図6に示すように、摩耗防止部材184の外周面及び内周面に対して垂直である。
【0087】
つまり、摩耗防止部材184は、プレス加工前は、
図6に示すように絶縁部材182と干渉せず、プレス加工後は、
図9に示すように両端部が離脱抵抗強度に優れた形状に塑性変形する。
【0088】
なお、摩耗防止部材184は、前述したように形成されるのではなく、両端部の断面及び内周面にそれぞれ傾斜した内部面取りが形成された場合、両端部の断面が内周面に対して垂直に形成された場合より、プレス加工後の離脱抵抗強度が低い。
【0089】
次に、摩耗防止部材184の両端部の断面を摩耗防止部材184の外周面及び内周面に対して垂直に形成するために、
図4に示すように、円柱状の資材S2をドリルD2により長手方向にドリル加工し、ドリル加工された資材S2’を所定長さに切断し、切断された資材S2’’のバリBRを除去する。
【0090】
なお、摩耗防止部材184は、円柱状の資材S2を所定長さに切断し、その後切断された資材を軸方向にドリル加工して形成された場合、寸法変形の問題が生じ得る。
【0091】
よって、摩耗防止部材184は、前述したように、円柱状の資材S2を長手方向にドリル加工し、ドリル加工された資材S2’を所定長さに切断し、切断された資材S2’’のバリBRを除去して形成することが好ましい。
【0092】
ここで、所定長さは、絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部の周囲を囲むように、絶縁部材182の長さより短く、かつ絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部の長さより長いか等しい長さである。
【0093】
次に、
図5及び
図6に示すように、絶縁部材182を摩耗防止部材184の内側に挿入する。
【0094】
よって、摩耗防止部材184が絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部に重ねて配置される。
【0095】
次に、コーキング加工などのプレス加工により、摩耗防止部材184の少なくとも一方の端部を、絶縁部材182の外周面から内側、すなわち中心部側に食い込むように塑性変形させる。
【0096】
図7及び
図9を参照すると、本実施形態においては、プレス200を用いたプレス加工により、摩耗防止部材184の両端部を絶縁部材182の外周面から内側に食い込むように塑性変形させる。
【0097】
より具体的には、
図6に示すように絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部に配置された摩耗防止部材184の両端部を、
図7に示すようにプレス200により押圧する。
【0098】
このとき、プレス200は、摩耗防止部材184の両端部を摩耗防止部材184の軸方向に所定量だけ押圧する。
【0099】
プレス200は、
図7及び
図10に示すように、固定設置されるダイス210と、ダイス210に対向してダイス210側に移動可能に設置されるパンチ220とを含む。
【0100】
ダイス210は、パンチ220の後述する第2プレス面222に平行に対向する平面である第1プレス面212と、第1プレス面212に対して垂直に形成される第1溝214とを含んでもよい。
【0101】
第1溝214は、第1プレス面212に垂直方向に陰刻された円柱状に形成される第1挿入部214bを含む。
【0102】
さらに、第1溝214は、第1挿入部214bの内周面及び第1プレス面212にそれぞれ傾斜して形成される第1面取り部214aを含む。
【0103】
このような構成により、摩耗防止部材184が絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部に配置された状態の絶縁ピン(以下、塑性変形前の絶縁ピンという。)180は、摩耗防止部材184の一端部が第1面取り部214aに係止され、摩耗防止部材184の一端部から突出した絶縁部材182の一端部が第1挿入部214bに挿入される。
【0104】
よって、塑性変形前の絶縁ピン180は、その長手方向が第1プレス面212に対して垂直に載置される。
【0105】
パンチ220は、第1プレス面212に平行に対向する平面である第2プレス面222と、第1溝214に対応するように第2プレス面222に対して垂直に形成される第2溝224とを含む。
【0106】
第2溝224は、第2プレス面222に垂直方向に陰刻された円柱状に形成される第2挿入部224bを含む。
【0107】
さらに、第2溝224は、第2挿入部224bの内周面及び第2プレス面222にそれぞれ傾斜して形成される第2面取り部224aを含む。
【0108】
このような構成により、ダイス210に載置された塑性変形前の絶縁ピン180は、パンチ220がダイス210側に移動すると、摩耗防止部材184の他端部が第2面取り部224aに係止され、摩耗防止部材184の他端部から突出した絶縁部材182の他端部が第2挿入部224bに挿入される。
【0109】
ここで、第1面取り部214aは、第1挿入部214bの内周面に傾斜して形成され、第2面取り部224aは、第2挿入部224bの内周面に傾斜して形成される。
【0110】
よって、第1面取り部214a及び第2面取り部224aは、摩耗防止部材184の両端部が圧縮される際に、摩耗防止部材184の両端部が第1面取り部214a及び第2面取り部224aの傾斜面に沿って流動して絶縁部材182に食い込むように、摩耗防止部材184の両端部を変形させることができる。
【0111】
一方、ダイス210及びパンチ220は、摩耗防止部材184の両端部を押圧する際に、第1プレス面212と第2プレス面222が所定間隔より近接しないようにする過剰圧縮防止突部Bを含む。
【0112】
過剰圧縮防止突部Bは、第1プレス面212から第2プレス面222側に突出した第1過剰圧縮防止突部216と、第2プレス面222から第1過剰圧縮防止突部216に対向して突出した第2過剰圧縮防止突部226とを含む。
【0113】
第1過剰圧縮防止突部216の第1プレス面212からの突出長さと第2過剰圧縮防止突部226の第2プレス面222からの突出長さの和は、所定間隔と同一であってもよい。
【0114】
ここで、所定量及び所定間隔は、摩耗防止部材184の外周面に屈曲を生じさせない値であってもよい。屈曲とは、摩耗防止部材184の両端部が過剰に圧縮された場合に摩耗防止部材184の外周面に凹凸が生じる現象をいう。
【0115】
前述したようにプレス200により押圧された摩耗防止部材184は、
図9に示すように、両端部が絶縁部材182の外周面から内側に食い込むように塑性変形する。
【0116】
よって、摩耗防止部材184は、絶縁部材182の長手方向、すなわち絶縁部材182の軸方向に離脱しないように、絶縁部材182におけるシャフト接続口74cとの接触部に固定設置されることになる。
【0117】
以上、絶縁ピン180の製造方法の一実施形態について説明した。
【0118】
しかし、これに限定されるものではなく、絶縁ピン180の製造方法は様々な形態に変形可能である。
【0119】
例えば、本実施形態において、絶縁部材182は、引き抜き加工で形成する。しかし、これに限定されるものではなく、絶縁部材182は、切削加工などで形成してもよい。
【0120】
また、本実施形態において、プレス加工前の摩耗防止部材184の両端部の断面は、摩耗防止部材184の外周面及び内周面に対して垂直に形成するが、上記目的(摩耗防止部材をプレス加工して摩耗防止部材の端部を離脱抵抗強度に優れた形状に塑性変形させる)を達成できれば、他の形態に形成してもよい。
【0121】
さらに、本実施形態において、摩耗防止部材184は、端部が変形して絶縁部材182に固定されるが、接着剤などにより固定されてもよい。
【0122】
さらに、絶縁ピン180は、
図11に示すような方式で形成してもよい。
【0123】
図11は
図2の絶縁ピンの他の例を示す断面図である。
【0124】
図11に示すように、他の例の絶縁ピン280は、突起部を備えた摩耗防止部材284と、突起部に被せられる絶縁部材282とを含む。
【0125】
突起部を備えた摩耗防止部材284は、円柱状に形成されるシャフト接続口接触部284aと、シャフト接続口接触部284aの少なくとも一方の端部からシャフト接続口接触部284aの長手方向に延設された突起部284bとを含む。
【0126】
突起部284bは、シャフト接続口接触部284aの端部の中心からシャフト接続口接触部284aの長手方向に延設される。
【0127】
突起部284bの直径は、シャフト接続口接触部284aの直径より小さい。
【0128】
突起部に被せられる絶縁部材282は、シャフト接続口接触部284aの直径より小さく、かつ突起部284bの直径より大きい直径を有する円柱状に形成される。
【0129】
突起部に被せられる絶縁部材282の一端部の中心には、突起部284bが挿入される凹部282aが形成される。
【0130】
突起部を備えた摩耗防止部材284と突起部に被せられる絶縁部材282とは、突起部284bが凹部282aに挿入されて結合される。
【0131】
ここで、突起部を備えた摩耗防止部材284と突起部に被せられる絶縁部材282とは、突起部284bと凹部282aとの面接触による摩擦力により結合される。
【0132】
しかし、これに限定されるものではなく、突起部を備えた摩耗防止部材284と突起部に被せられる絶縁部材282とは、他の方式で結合されてもよい。
【0133】
例えば、突起部284bの外周面に少なくとも1つの離脱防止突起(図示せず)が円周方向に形成され、凹部282aの内周面に少なくとも1つの離脱防止凹部(図示せず)が円周方向に形成されており、突起部284bが凹部282aに挿入される際に、離脱防止突起が離脱防止凹部に係止され、突起部を備えた摩耗防止部材284と突起部に被せられる絶縁部材282とが結合されるようにしてもよい。
【0134】
一方、本実施形態において、プレス200は、第1プレス面212から第1過剰圧縮防止突部216が突設され、第2プレス面222から第2過剰圧縮防止突部226が突設される。また、プレス加工時、第1過剰圧縮防止突部216と第2過剰圧縮防止突部226が接触し、第1プレス面212と第2プレス面222が所定間隔より近接することを抑制する。
【0135】
しかし、これに限定されるものではない。
【0136】
一例として、プレス200は、第2過剰圧縮防止突部226が形成されず、第1過剰圧縮防止突部216のみ形成されてもよい。
【0137】
この場合、第2プレス面222は、第1過剰圧縮防止突部216に対応する部分まで平坦な面が延びてもよい。
【0138】
また、第1過剰圧縮防止突部216は、第1プレス面212からの突出長さが所定間隔と同一であってもよい。
【0139】
このような構成により、ダイス210とパンチ220が摩耗防止部材184の両端部を押圧する際に、第1過剰圧縮防止突部216が第2プレス面222に接触し、第1プレス面212と第2プレス面222が所定間隔より近接することを抑制する。
【0140】
他の例として、過剰圧縮防止突部Bを省略してもよい。
【0141】
この場合、パンチ220の移動距離を制御することにより、第1プレス面212と第2プレス面222が所定間隔より近接しないようにしてもよい。
【0142】
さらに他の例として、第1過剰圧縮防止突部216は、ダイス210の他の部分(例えば、側面など)から突設され、第2過剰圧縮防止突部226は、パンチ220の他の部分(例えば、側面など)から突設されてもよい。すなわち、第1過剰圧縮防止突部216は、第1プレス面212以外の部分から突設され、第2過剰圧縮防止突部226は、第2プレス面222以外の部分から突設されてもよい。
【0143】
一方、本実施形態において、第1過剰圧縮防止突部216は、第1溝214を介して互いに反対側に位置するように一対に形成され、第2過剰圧縮防止突部226は、一対の第1過剰圧縮防止突部216に対応し、第2溝224を介して互いに反対側に位置するように一対に形成されてもよい。
【0144】
これは、第1過剰圧縮防止突部216と第2過剰圧縮防止突部226が接触する際に、第1プレス面212と第2プレス面222が平行を維持するようにするためである。
【0145】
しかし、第1プレス面212と第2プレス面222が平行を維持できれば、第1過剰圧縮防止突部216及び第2過剰圧縮防止突部226は他の形態に形成されてもよい。
【0146】
例えば、第1過剰圧縮防止突部216及び第2過剰圧縮防止突部226は、互いの接触面が十分に広ければ、それぞれ1つずつ形成されてもよい。
【0147】
次に、絶縁ピン180の製造方法に引き続き、本発明による配線用遮断器の構成要素についてさらに説明する。
【0148】
図2に示すように、本発明による配線用遮断器は、複数の相で構成され、相毎に一対の固定接触子10及び可動接触子20が備えられる。
【0149】
よって、開閉機構130は、複数の可動接触子20を開閉できる構造に形成されなければならない。
【0150】
このために、開閉機構130は、伝達リンク90及び絶縁ピン180が相毎に備えられ、その他の構成要素は1つずつ備えられる。
【0151】
また、シャフト74は、シャフト回動軸74aから半径方向に突出するシャフトアーム74bを相毎に備える。
【0152】
シャフトアーム74bは、相毎に絶縁ピン180により伝達リンク90にヒンジ結合される。
【0153】
一方、1つの相を基準として、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74は、配線用遮断器が事故による遮断動作(トリップ)を行う際に、5節リンク機構を構成する。
【0154】
ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される5節リンク機構は、ラッチ回動軸62aとシャフト回動軸74aを仮想連結したリンクが固定節となり、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74が運動するようになっている。
【0155】
また、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74は、配線用遮断器が投入動作(オン)又は人為的な遮断動作(オフ)を行う際に、4節リンク機構を構成する。
【0156】
ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構は、ラッチ62がラッチホルダHにより固定される。
【0157】
よって、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構は、ロッカ回動軸64とシャフト回動軸74aを仮想連結したリンクが固定節となり、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74が運動するようになっている。
【0158】
以下、説明の便宜上、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構は、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構という。
【0159】
また、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20は、4節リンク機構を構成する。
【0160】
シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20から構成される4節リンク機構は、シャフト74と可動接触子回動軸22を仮想連結したリンクが固定節となり、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20が運動するようになっている。
【0161】
ここで、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20から構成される4節リンク機構は、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される5節リンク機構(又は、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構)とシャフト74を共有する。
【0162】
よって、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20から構成される4節リンク機構は、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される5節リンク機構(又は、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構)に従動するリンク機構となる。
【0163】
同図において、従来と同じ部分には同じ符号を付した。
【0164】
以下、前述した本発明による配線用遮断器及びその開閉機構用絶縁ピンの製造方法の作用効果を説明する。
【0165】
まず、人為的な遮断動作(オフ)状態から投入動作(オン)状態に切り替えられる過程を説明する。
【0166】
図1に示す人為的な遮断動作(オフ)状態で、作業者がハンドル40を
図1の反時計方向に回転させると、引張バネ50が第2バネ締結部68aを中心に
図1の反時計方向に回転する。
【0167】
これにより、引張バネ50の付勢力が第2バネ締結部68aに
図1の左上方に作用する。
【0168】
付勢力は、ロッカ66を
図1の時計方向に回転させ、シャフト74を
図1の時計方向に回転させ、さらに、可動接触子20を
図1の反時計方向に回動させる駆動力として作用する。
【0169】
従って、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される4節リンク機構において、ロッカ66は、
図1の時計方向に回転する。
【0170】
これにより、連結リンク70は、第2バネ締結部68aが備えられたピン68に拘束され、
図1の反時計方向に回転して移動する。
【0171】
これにより、シャフト74は、
図1の時計方向に回転する。
【0172】
従って、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20から構成される4節リンク機構において、伝達リンク90は、絶縁ピン180に拘束され、
図1の反時計方向に回転して移動する。
【0173】
これにより、可動接触子20は、
図1の反時計方向に回転し、固定接触子10に接触する。
【0174】
つまり、配線用遮断器は投入動作(オン)状態となる。
【0175】
一方、投入動作(オン)状態から人為的な遮断動作(オフ)状態に切り替えられる過程は、人為的な遮断動作(オフ)状態から投入動作(オン)状態に切り替えられる過程の反対であるので、詳細な説明は省略する。
【0176】
次に、投入動作(オン)状態から事故による遮断動作(トリップ)状態に切り替えられる過程を説明する。なお、投入動作(オン)状態は図示せず、
図1を参照して説明する。
【0177】
投入動作(オン)状態で、回路に異常電流が発生すると、ラッチホルダHが時計方向に回転し、ラッチ62を係止解除する。
【0178】
すると、ラッチ62がラッチ回動軸62aを中心に回動する。
【0179】
これにより、第2バネ締結部68aに左上方に作用していた付勢力は、ラッチ62を反時計方向に回転させ、シャフト74を反時計方向に回転させ、さらに、可動接触子20を時計方向に回動させる駆動力として作用する。
【0180】
従って、ラッチ62、ロッカ66、連結リンク70及びシャフト74から構成される5節リンク機構において、ラッチ62は、反時計方向に回転する。
【0181】
これにより、ロッカ66は、ロッカ回動軸64に拘束され、反時計方向に回転して移動する。
【0182】
これにより、連結リンク70は、第2バネ締結部68aが備えられたピン68に拘束され、反時計方向に回転して移動する。
【0183】
これにより、シャフト74は、反時計方向に回転する。
【0184】
従って、シャフト74、伝達リンク90及び可動接触子20から構成される4節リンク機構において、伝達リンク90は、絶縁ピン180に拘束され、時計方向に回転して移動する。
【0185】
これにより、可動接触子20は、時計方向に回転し、固定接触子10から分離される。
【0186】
つまり、配線用遮断器は事故による遮断動作(トリップ)状態となる。
【0187】
事故による遮断動作(トリップ)状態では、
図1と比較して、ハンドル40が反時計方向に回転しており、ラッチ62がラッチホルダHから拘束解除されて反時計方向に回転している。
【0188】
一方、事故による遮断動作(トリップ)状態から投入動作(オン)状態に切り替えられる過程では、まず、ラッチ62が再びラッチホルダHに係止されるように、ハンドル40を時計方向に回転させて
図1に示す人為的な遮断動作(オフ)状態に切り替える段階が行われる。その後の過程は、人為的な遮断動作(オフ)状態から投入動作(オン)状態に切り替えられる過程と同様であるので、重複を避けるために詳細な説明は省略する。
【0189】
この過程で、絶縁ピン180は、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合すると共に、シャフト74と伝達リンク90間を絶縁する。
【0190】
すなわち、絶縁ピン180は、
図2に示すように、摩耗防止部材184がシャフト接続口74cにヒンジ結合され、絶縁部材182の両端部が伝達リンク接続口90cにヒンジ結合される。
【0191】
従って、絶縁ピン180は、シャフト74から伝達リンク90に駆動力を伝達することができる。
【0192】
また、絶縁ピン180は、絶縁部材182により、可動接触子20から伝達リンク90に供給される電流がシャフト74に流れないように絶縁する。
【0193】
すなわち、絶縁ピン180は、シャフト74を通して特定の相から他の相への絶縁破壊が生じないように、相間絶縁を行う。
【0194】
また、絶縁ピン180の摩耗防止部材184は、シャフト接続口74cと絶縁部材182におけるシャフト74との接触部間に設置される。
【0195】
よって、摩耗防止部材184は、シャフト74よりも硬度の低い絶縁部材182を保護し、絶縁部材182がシャフト74により摩耗することを防止する。
【0196】
前述したように、本発明による配線用遮断器は、固定接触子10に接離する可動接触子20と、可動接触子20を開閉する開閉機構130とを含む。
【0197】
開閉機構130は、回動可能に設置されるシャフト74と、シャフト74から可動接触子20に駆動力を伝達する伝達リンク90と、シャフト74と伝達リンク90をヒンジ結合し、シャフト74と伝達リンク90間を絶縁する絶縁ピン180とを含む。
【0198】
絶縁ピン180は、円柱状に形成される絶縁部材182と、パイプ状に形成され、絶縁部材182におけるシャフト74との接触部に重ねられる摩耗防止部材184とを備える。
【0199】
摩耗防止部材184は、少なくとも一方の端部が絶縁部材182に食い込むように変形することにより、絶縁部材182に固定設置される。
【0200】
摩耗防止部材184は、ポリエチレンなどの絶縁物質で形成される絶縁部材182よりも耐摩耗性の高いステンレス鋼などの材質で形成される。
【0201】
絶縁ピン180は、絶縁部材182を円柱状に形成する第1段階と、絶縁部材182におけるシャフト74との接触部となる一部を囲むことができるように、摩耗防止部材184をパイプ状に形成する第2段階と、摩耗防止部材184に絶縁部材182を挿入して摩耗防止部材184を絶縁部材182の一部に配置する第3段階と、摩耗防止部材184の両端部を絶縁部材182に食い込むように変形させ、摩耗防止部材184を絶縁部材182の一部に固定する第4段階とを含む配線用遮断器の開閉機構用絶縁ピンの製造方法により製造される。
【0202】
これにより、相間絶縁がなされ、シャフト74による絶縁ピン180の摩耗及び破損が抑制される。その結果、絶縁ピン180の摩耗及び破損による可動接触子20と固定接触子10との当接圧力の減少及び接点抵抗の増加の問題を解消することができる。
【0203】
また、摩耗防止部材184が設置部位、より正確には絶縁部材182におけるシャフト74との接触部から離脱することが抑制される。
【0204】
本発明による配線用遮断器の開閉機構用絶縁ピンの製造方法は、第2段階において、円柱状の資材S2を長手方向にドリル加工し、ドリル加工された資材S2’を所定長さに切断し、切断された資材S2’’のバリBRを除去することにより、摩耗防止部材184の両端部の断面が摩耗防止部材184の内周面に対して垂直に形成される。
【0205】
これにより、摩耗防止部材184の両端部の断面が摩耗防止部材184の内周面に対して垂直に形成されない場合に比べて、第4段階において、摩耗防止部材184の両端部を離脱抵抗強度に優れた形状となるように変形させることができる。
【0206】
本発明による配線用遮断器の開閉機構用絶縁ピンの製造方法は、第4段階において、摩耗防止部材184の両端部の角部を摩耗防止部材184の軸方向に押圧するプレス200により、摩耗防止部材184の両端部を絶縁部材182に食い込むように変形させることができる。
【0207】
これにより、摩耗防止部材184を絶縁部材182に容易に固定することができる。
【0208】
プレス200は、固定設置されるダイス210と、ダイス210に対向してダイス210側に移動可能に設置されるパンチ220とを含み、ダイス210及びパンチ220の少なくとも一方が他方側に突出した過剰圧縮防止突部Bを含むようにしてもよい。
【0209】
これにより、ダイス210とパンチ220が摩耗防止部材184の両端部を押圧する際に、過剰圧縮防止突部Bは、ダイス210とパンチ220が所定間隔より近接しないようにし、摩耗防止部材184の外周面に屈曲が生じることを抑制することができる。