特許第6018175号(P6018175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018175放射性物質を輸送および/または格納するパッケージの製造を改良するための熱伝導要素、パッケージ、製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018175
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】放射性物質を輸送および/または格納するパッケージの製造を改良するための熱伝導要素、パッケージ、製造方法
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/32 20060101AFI20161020BHJP
   G21F 5/008 20060101ALI20161020BHJP
   G21F 5/00 20060101ALI20161020BHJP
   G21F 9/36 20060101ALI20161020BHJP
【FI】
   G21C19/32 W
   G21F5/00 F
   G21F5/00 K
   G21F9/36 501G
   G21F9/36 501J
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-505565(P2014-505565)
(86)(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公表番号】特表2014-515830(P2014-515830A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012055776
(87)【国際公開番号】WO2012143224
(87)【国際公開日】20121026
【審査請求日】2015年2月17日
(31)【優先権主張番号】1153329
(32)【優先日】2011年4月18日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507008552
【氏名又は名称】テーエヌ・アンテルナシオナル
【氏名又は名称原語表記】TN International
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リペール エルヴェ
(72)【発明者】
【氏名】メルシエ エマニュエル
(72)【発明者】
【氏名】ローレ シルヴァン
【審査官】 鳥居 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/017331(WO,A1)
【文献】 特開2003−344581(JP,A)
【文献】 特開2002−267791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/32
G21F 5/00
G21F 9/36
B23K 9/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質を輸送および/または格納するためのパッケージの熱伝導要素(20)であって、
前記パッケージの側方体(14)と接触するための内側部(30)と、
放射線防護手段(22)を保持する前記パッケージの外面エンベロープ(24)の一部分を形成するための外側部(34)と、
前記内側部と前記外側部との間に配置される中間部(32)と、
を含み、
前記内側部、前記外側部、および前記中間部が銅または銅合金の一種からなり、
前記外側部(34)の二つの両端部の各々に鋼からなる接続エリア(36)を備えていることを特徴とする、熱伝導要素。
【請求項2】
各接続エリア(36)が炭素鋼またはステンレス鋼からなることを特徴とする、請求項1に記載の熱伝導要素。
【請求項3】
ほぼUまたはSの形状の横断面を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の熱伝導要素。
【請求項4】
各接続エリア(36)が関連の外側部の円周方向長さ(L)の5%と15%との間に当たる円周方向長さ(I)にわたって延在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の熱伝導要素。
【請求項5】
前記内側部、前記外側部、および前記中間部が単一部材または溶接部により接続される少なくとも二つの部分からなることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱伝導要素。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の複数の熱伝導要素(20)とともに側方体(14)を含み、前記熱伝導要素の前記内側部(30)が前記側方体(14)との接触状態で配置されて、前記熱伝導要素の前記外側部(34)が放射線防護手段(22)を保持する前記パッケージの前記外面エンベロープ(24)の一部を形成し、前記外側部に備えられた前記接続エリア(36)によって、また、一対の前記接続エリアを接続する溶接部(40)によって前記外面エンベロープが補完される、放射性物質を輸送および/または格納するためのパッケージ(2)。
【請求項7】
直接連続する二つの熱伝導要素(20)が、特に溶接接続エリア(36)とともに、放射線防護手段(22)を収容する空洞(50)を画定することを特徴とする、請求項6に記載のパッケージ。
【請求項8】
放射性物質を輸送および/または格納するための、請求項6または7に記載のパッケージ(2)を製造する方法であって、
少なくとも一つの前記放射線防護手段(22)について、前記放射線防護手段(22)が収容されるための空洞(50)を画定するための前記二つの熱伝導要素の一つ(20a)に放射線防護物質が注入され、前記熱伝導要素(20a)が前記パッケージに組み付けられた状態で前記注入が実行されることを特徴とする方法。
【請求項9】
少なくとも一つの前記放射線防護手段(22)について、以下の連続ステップ、すなわち、
前記放射線防護手段(22)が収容されるための前記空洞(50)を画定するための前記二つの熱伝導要素の一方(20a)へ放射線防護物質を注入し、前記熱伝導要素(20a)が前記パッケージに組み付けられた状態で前記注入が実行されるステップと、
前記二つの熱伝導要素の他方(20b)を前記パッケージに組み付けるステップと、
が実施されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記パッケージが水平方向に配向された状態で、前記放射線防護物質を上方から導入することにより、前記空洞(50)が連続的に、好ましくは一つずつ充填されることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも一つの前記放射線防護手段(22)について、前記放射線防護手段(22)が収容されるための前記空洞を画定するための前記二つの熱伝導要素の前記一方(20a)で、前記放射線防護物質の注入が直接行われることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも一つの前記放射線防護手段(22)について、前記放射線防護手段(22)が収容されるための前記空洞(50)を画定するための前記二つの熱伝導要素の前記一方(20a)の上方に取り付けられるツール(72)に設けられる少なくとも一つのオリフィス(70)を通して前記放射線防護物質の注入が行われ、前記ツール(72)が取り除かれた後で前記二つの熱伝導要素の他方(20b)が前記パッケージに組み付けられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一つの前記放射線防護手段(22)について、前記放射線防護手段(22)が収容されるための前記空洞(50)を画定するための前記二つの熱伝導要素の前記一方(20a)の上方に一時的に取り付けられる前記二つの熱伝導要素の前記他方(20b)の前記中間部(32)に設けられる少なくとも一つのオリフィス(70)を通して前記放射線防護物質の注入が行われ、前記二つの熱伝導要素の前記他方(20b)が一旦取り外されてから前記パッケージに最終的に再度組み付けられることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
関連の空洞(50)において前記パッケージの前記放射線防護手段(22)のすべてが注入された後で、一対の前記接続エリア(36)の溶接が実行されることを特徴とする、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未使用または照射済みの核燃料集合体などの放射性物質の輸送および/または格納の分野に関連する。
【0002】
本発明は、側方体との接触状態で配置されるとともに、特に中性子に対する有効なバリアを形成することを目的とする放射線防護ブロックが充填される空洞を一対で包囲する熱伝導要素を包含するタイプの放射性物質のパッケージに関係することが好ましい。
【背景技術】
【0003】
従来、核燃料集合体の輸送および/または格納を行うには、格納「バスケット」または「ラック」とも称される格納装置が使用される。通常は円筒形状であって実質的に円形断面を持つこれらの格納装置は、核燃料集合体を各々が受容できる隣接の複数ハウジングを有する。放射性物質が完全に封入される核燃料集合体を輸送および/または格納するための容器をハウジング空洞とともに形成するため、格納装置はパッケージのためのハウジング空洞に収容されることを目的とする。
【0004】
上述したハウジング空洞は、パッケージの長手方向に延在する側方体により概ね画定され、この側方体は例えば金属製のバレルにより形成される。
【0005】
側方体は、これと接触する複数の熱伝導要素により囲繞される。加えて、特に空洞に収容される燃料集合体により放出される中性子に対するバリアを形成するため、これらの熱伝導要素の間には放射線防護ブロックが配置される。
【0006】
より正確に述べると、各熱伝導要素は、パッケージの側方体と接触することを目的とする内側部と、パッケージの外面エンベロープの一部分を形成することを目的とする外側部とを包含し、この外側部分は径方向外側に防護ブロックを保持している。さらに、内側部と外側部との間にはこれらを相互に保持するために中間部が配置されている。これらの熱伝導要素は、パッケージの長さの全部または一部にわたって延びる形材である。それらは、ほぼUまたはSの形状の横断面を有する。
【0007】
通常、内側部、外側部、および中間部は銅またはその合金の一種から製作される。熱伝導要素が側方体に取り付けられると、銅端部を溶接することにより外側部が端部どうしで組み付けられる。
【0008】
銅‐銅溶接を使用すると、品質を保証することが必ずしも容易ではない溶接部が設けられることになる。
【0009】
加えて、これらの銅/銅溶接部の耐腐食性は低く、一方でパッケージは、特に外気に露出された現場で格納される時に、または使用済み燃料をパッケージに装填する作業の間にこれらの作業が水中で行われる時には、過酷な腐食環境にさらされることがある。そのため多数の溶接部の外側表面が、防食機能を付与できる処理を受けなければならない。これは、ニッケル層の塗布、またはHVOF(「高速酸素燃料熱スプレープロセス」)タイプの熱処理の事例であるとよい。いずれの事例でも、実行される処理は製造プロセスを複雑にし、これは時間と費用の点でプロセスにとって不都合である。
【0010】
また、銅‐銅溶接を実行するため、およそ350°〜400℃での形材の予熱が必要とされる。このような温度は、溶接される伝導要素に保持される放射線防護物質を劣化させやすく、そのためパッケージへの放射線防護ブロックの嵌着は通常、銅端部の溶接の後で行われる。そのためこうして、パッケージの製造方法のステップを連続させる際に制約が生じる。加えて、すでに突合せ溶接された伝導要素により包囲される空洞の長手方向端部の一方または他方または両方からのこの空洞への注入によって放射線防護物質が導入される時には、凝固後のブロックの品質についての目視点検の実行は極めて困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そのため本発明の課題は、先行技術の実施形態に関する上述の欠点を少なくとも部分的に改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
これを行うため、本発明の主題は、放射性物質を輸送および/または格納するためのパッケージのための熱伝導要素であって、
パッケージの側方体と接触することを目的とする内側部と、
放射線防護手段を保持するパッケージの外側エンベロープの一部分を形成することを目的とする外側部と、
内側部と外側部との間に配置される中間部と、
を包含し、
内側部、外側部、および中間部が銅またはその合金の一種から製作される、
熱伝導要素である。
【0013】
本発明によれば、別の熱伝導要素への溶接による接続のためのエリアを外側部が二つの両端部の各々に備え、各接続エリアが鋼で製作される。
【0014】
そのため本発明は、以下の長所を付与する鋼‐鋼タイプの溶接作業を伝導要素の外側部の間で実施することを可能にする。
【0015】
最初に、鋼‐鋼溶接の使用は、銅‐銅溶接よりも複雑でなく低費用である。加えて、銅‐銅溶接により得られるものよりもはるかに高い品質の溶接部を得ることになる。
【0016】
また、接続エリアがステンレス鋼から作られる時には特に、溶接部の実際の性質により防食機能が得られるので、実行されていた溶接部のニッケル処理またはHVOFタイプの熱処理を続行することがもはや必要ではない。このような熱伝導要素を包含するパッケージを製造するための方法がこうして単純化され、そのため低費用である。
【0017】
採用される設計は全体として、パッケージの外部への熱の伝達という主な機能の達成を可能にするため、これらの伝導要素の基本的性質を銅またはその合金の一種とは異なるものにしてパッケージを製造する方法を容易にする。
【0018】
接続エリアの鋼‐鋼溶接は概して、溶接される伝導要素により保持される放射線防護物質の劣化について非常に低い危険性しか存在しない温度であるおよそ180℃で行われる。こうして、本発明は、熱伝導要素を予熱するステップを省略するばかりでなく、鋼エリアの溶接の前にパッケージへ放射線防護ブロックを嵌着することも可能にする。これは、先行技術に見られるパッケージの製造方法のステップの連続性という制約を解消する。
【0019】
これに関して、伝導要素の端部の鋼‐鋼溶接を実行する前に放射線防護ブロックを嵌着するという可能性が得られるので、ブロックが収容される空洞を画定する二つの伝導要素の一方のみで各ブロックに注入を行い、それからこのブロックが得られた後に初めて第2要素を組み付けることも可能である。結果的に、この第2伝導要素の組み付けの前に、第2熱伝導要素により順に被覆されることが予定される自由表面全体にわたるブロックに対する目視点検が、必要に応じて非常に容易に達成されることが分かっている。
【0020】
このような事例では、これらの空洞の長手方向端部を通した放射線防護物質の導入はもはや必ずしも必要ではない。パッケージを水平方向に配向した状態で関連の空洞の一時的開放面において長手方向に離間したいくつかの点で導入を行うことが実際には可能であり、これは充填ミスの危険を抑制する。
【0021】
好ましくは炭素鋼、より一層好ましくはステンレス鋼から各接続エリアが製作される。
【0022】
熱伝導要素はほぼUまたはSの形状の横断面を有することが好ましい。
【0023】
関連の外側部の円周方向長さの5%と15%の間の円周方向長さにわたって各接続エリアが延在することが好ましい。
【0024】
内側部、外側部、および中間部が単一部材として、または溶接により接続される少なくとも二つの部分から製作されることが好ましい。
【0025】
本発明の別の主題は、上記のタイプの複数の熱伝導要素とともに側方体を包含する、放射性物質を輸送および/または格納するためのパッケージであり、熱伝導要素の内側部は側方体との接触状態で配置され、その外側部は、放射線防護手段を保持するパッケージの外側エンベロープの一部を形成し、外側部に備えられる接続エリアにより、またこれら接続エリアを一対で接続する溶接部により、外側エンベロープが補完される。
【0026】
直接連続するいずれか二つの熱伝導要素が、特にその溶接接続エリアとともに、好ましくは注入によりまたは予備組立ブロックにより製作される放射線防護ブロックを収容する空洞を画定することが好ましい。
【0027】
本発明の別の主題は、少なくとも一つの放射線防護ブロックについて、このブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の一つへ放射線防護材料を注入することを包含する、上述した放射性物質を輸送および/または格納するためのパッケージを製造する方法であり、この熱伝導要素がパッケージに組み付けられた状態で注入が実行される。
【0028】
好ましくは、少なくとも一つの放射線防護ブロックについて、この方法は以下の連続ステップを包含することが好ましい。
‐ブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の一つへ放射線防護物質を注入することであって、この熱伝導要素がパッケージに組み付けられた状態で注入が実行されること。
‐二つの熱伝導要素の他方をパッケージに組み付けること。
【0029】
上述したように、このような手法で進めることによって、他の熱伝導要素により後で被覆される予定の自由表面全体にわたって、ブロックの目視点検が非常に容易に行われる。
【0030】
加えて、放射線防護物質の導入は、関連する空洞の一時的開口面において長手方向に離間したいくつかの点で行われることが可能であり、これは充填ミスの危険を抑制する。
【0031】
この特定順序のステップは、溶接される接続エリアの鋼組成ゆえに、ブロック劣化の危険を伴わずに、空洞におけるブロックの形成の後で構成要素の突合せ溶接を実行できることによって可能となる。
【0032】
二つの熱伝導要素の他方をパッケージに組み付けるステップは、例えば溶接またはねじ結合によりその内側部を側方体に固定することを包含することが好ましい。また、パッケージにすでに固定された第1要素の接続エリアと専用の接続エリアを鋼‐鋼溶接して放射線防護ブロックを収容することも包含する。代替的に、二つの熱伝導要素の他方をパッケージに組み付けるステップが上述した鋼‐鋼溶接のみを包含して、その内側部が側方体に固定されずに側方体に接触するのみであってもよい。
【0033】
パッケージが水平方向に配向された状態で空洞が好ましくは一つずつ連続的に充填されて、放射線防護材料を上方から導入することが好ましい。こうして方法、特に放射線防護物質を注入するステップの実施が非常に容易となり、関連する充填ミスの危険が極めて低くなることが証明されている。
【0034】
好適な様々な実施形態が考えられる。
【0035】
好適な第一実施形態によれば、少なくとも一つの放射線防護ブロックについて、ブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の一方で、放射線防護物質の注入が直接行われる。
【0036】
ここで、空洞の全長にわたって、注入後の目視点検が非常に容易に達成可能である。この点検が実施されてしまうと、二つの熱伝導要素の他方をパッケージに取り付けることにより空洞が閉じられる。
【0037】
好適な第二実施形態によれば、少なくとも一つの放射線防護ブロックについて、ブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の一方の上方に取り付けられるツールに設けられた少なくとも一つのオリフィスを通して放射線防護物質の注入が行われ、二つの熱伝導要素の他方は、ツールの取り外しの後にパッケージに組み付けられる。
【0038】
ここで、例えばパッケージの長手方向に分散された溢流オリフィスにより、空洞における放射線防護物質の正確な投入を目視点検するようにツールが容易に設計され得る。
【0039】
好適な第三実施形態によれば、少なくとも一つの放射線防護ブロックについて、ブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の少なくとも一方の上方に一時的に取り付けられる二つの熱伝導要素の他方の中間部に設けられる少なくとも一つのオリフィスを通して、放射線防護物質の注入が行われ、その後で二つの熱伝導要素の他方が取り外されてから最終的にパッケージに再度組み付けられる。
【0040】
第2伝導要素の取り外しとその後の再組み付けは、これら二つのステップの間にブロックの品質についての目視点検を実行できるようにする。この第三実施形態は、第二態様のツールを第2伝導要素で単純に置き換えることから成る。
【0041】
ブロックが収容されることを目的とする空洞を画定することが目的の二つの熱伝導要素の少なくとも一方の上方でパッケージに最終的に取り付けられる二つの熱伝導要素の他方の中間部に設けられる少なくとも一つのオリフィスを通して放射線防護物質の注入を行うことによって、この第三実施形態が代替的に実施される。この代替例は、ブロックに対する目視点検が実行されなくてもよい時に特に採用される。そのためこの第2熱伝導要素が一時的に取り付けられ、取り外されてから、最終的にパッケージに再度取り付けられる必要はもはやない。
【0042】
いかなる実施形態が考案されても、関連の空洞においてパッケージの放射線防護ブロックすべてが注入された後でペアの接続エリアの溶接が実行されることが好ましい。
【0043】
以下の非限定的で詳細な説明において、発明の他の長所および特徴が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
この説明は添付図面に関して行われる。
図1】本発明の好適な実施形態によるパッケージを包含する、核燃料集合体を輸送および/または格納するための容器の斜視図を示す。
図2】やはり本発明の主題であるパッケージの熱伝導要素の一つのさらに詳細な斜視図を示す。
図3図1に示されたパッケージの一部を示す横断面図である。
図3a】本発明の好適な第一実施形態による、前出の図に示されたパッケージを製造する方法の様々なステップを示す。
図3b】本発明の好適な第一実施形態による、前出の図に示されたパッケージを製造する方法の様々なステップを示す。
図3c】本発明の好適な第一実施形態による、前出の図に示されたパッケージを製造する方法の様々なステップを示す。
図4a】本発明の好適な第二実施形態による、図1から3に示されたパッケージを製造するための方法の様々なステップを示す。
図4b】本発明の好適な第二実施形態による、図1から3に示されたパッケージを製造するための方法の様々なステップを示す。
図4c】本発明の好適な第二実施形態による、図1から3に示されたパッケージを製造するための方法の様々なステップを示す。
図5a】本発明の好適な第三実施形態による、図1から3に示されたパッケージを製造するための方法の様々なステップを示す。
図5b】本発明の好適な第三実施形態による、図1から3に示されたパッケージを製造するための方法の様々なステップを示す。
図6】代替的実施形態による図5aの図と同様の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
最初に図1を参照すると、核燃料集合体を輸送および/または格納するための容器1が見られる。これに関して、本発明がこのタイプの核物質の輸送/格納にいかなる点でも限定されないことが記されるべきである。
【0046】
容器1は、格納バスケットとも称される格納装置4が内部に設けられる、本発明の主題であるパッケージ2の全体を包含する。図1に示されているように、装置4はパッケージ2のハウジング空洞6に載置されるように設計されており、同図には、格納装置およびハウジング空洞の長手軸と一致するこのパッケージの長手軸8も見られる。
【0047】
説明を通して、「長手方向」の語は長手軸8に対して平行なものと理解されなければならず、「横方向」の語はこの同じ長手軸8に直交すると理解されなければならない。
【0048】
従来、格納装置4は、軸8に対して平行に配置される複数の隣接ハウジングを包含し、その各々が、方形または矩形の断面を持つ燃料集合体を少なくとも一つ、好ましくは一つのみ受容することができる。容器1およびこの装置4は、集合体の輸送中に通常取られる水平/仰向け位置と異なる、燃料集合体の装填/取出し垂直位置で示されている。
【0049】
大まかに述べると、パッケージ2は最初に、装置4が垂直位置で当接することを目的とする底部10と、蓋部12と、長手方向と平行に長手軸8に沿ってその周囲に延在する側方体14とを有する。こうして底部10と蓋部12とは、軸8に平行なパッケージの長手方向において相互に離間している。
【0050】
概ね円筒形の形状と円形の断面とを持つ側方の内側表面によってハウジング空洞6を画定するのは、この側方体14であり、その軸は軸8と一致する。側方体14は好ましくは鋼で製作された肉厚の金属製バレルの形状を取るとよい。
【0051】
蓋部12で開口する空洞6の底部を画定する底部10は、発明の範囲を逸脱せずに、側方体14の少なくとも一部とともに単一部材で製作されてもよい。
【0052】
パッケージ2はまた、側方体14の外側表面と接触してこれを囲繞し、径方向外側に、また軸8の方向にこの側方体14の長さの大部分に沿って延在する複数の熱伝導要素20も包含する。
【0053】
要素20は、以下の図を参照して下で詳述される本発明に固有の形材である。これらは、格納バスケット4に存在する燃料集合体により放出される熱をパッケージの外部へ排出することを可能にする。
【0054】
これらは、基本的には中性子に対するバリアを形成するように設計された放射線防護ブロック22の収容および保持にも関与する。ブロックは、以下で開示されるように注入によって得られることが好ましく、樹脂など、当業者によって適当であると判断される何らかの材料から製作される。
【0055】
熱伝導要素20は、軸8を中心とするパッケージの外側エンベロープ24を形成することにも関与している。加えて、これは示されていないが、このエンベロープは周囲の空気との熱交換を促進するフィンを備えていてもよい。
【0056】
パッケージには、このパッケージの蓋部12と底部10とをそれぞれ被覆するダンピングキャップ(不図示)とともに、側方体14を囲繞して形材20およびブロック22の長手方向端部にそれぞれ配置される二つのダンピングリング60も設けられている。これらのリング60は、パッケージが水平方向に配向された時に突然の落下の際でも望ましい衝撃エリアを構成するため、エンベロープ24の外部に向かって径方向に突出する。
【0057】
さて図2を参照すると、パッケージの側方体の外側表面と接触することを目的とする2本のアームの一方を下にした略U形状の断面を持つ形材の形状を取る熱伝導要素20の一つが見られる。
【0058】
当該のUのアームは、要素20の径方向内側部30を形成する。これはUの基部を形成する中間部32の一端部に端部の一方で接続され、中間部の他端部はUの他のアームを形成する外側部34に接続されている。この外側部34は、上述したパッケージの外側エンベロープの一部分を形成することを目的とする。
【0059】
各要素20の内側部、外側部、および中間部は、銅またはその合金の一種から例えば単一部材で製作される。
【0060】
本発明の特性の一つは、別の熱伝導要素への溶接による接続のためのエリア36を外側部34が二つの両端部の各々に備えて、各接続エリア36が鋼、好ましくはステンレス鋼から製作されるという事実にある。
【0061】
各エリア36は、外側部の円周方向長さよりもかなり短い円周方向長さにわたって形材20の全長にわたって延在するバーの形状を取る。こうして、各エリア36の円周方向長さ「I」が外側部34の円周方向長さ「L」の5%と15%との間であるような条件とすることが好ましい。
【0062】
二つの接続エリア36の一方はU34のアームの自由端部を延長するのに対して、他のエリア36はこの同じアーム34とUの基部とによって形成される角から延出する。
【0063】
図3を参照すると、例えば溶接またはボルト締結により熱伝導要素20が内側部30によってパッケージ側方体14に固定されて、良好な熱伝達を得るように表面接触が好ましいことが分かる。要素20は、対向する接続エリア36の溶接により端部どうしで固定もされている。得られる溶接部40は、およそ180℃の温度で実行される鋼‐鋼タイプのものである。ステンレス鋼からエリア36が製作される時には特に、これらの溶接部40で防食処理が必要とされないことが好ましい。
【0064】
こうして、パッケージの外側エンベロープ24は、外側部34と接続エリア36と溶接部40とによって形成される。
【0065】
熱伝導要素20は、放射線防護ブロック22が収容される空洞を一対で画定する。より正確に述べると、第1要素20の内側部30により、またパッケージの側方体14の外側表面の一部により、各空洞50が径方向内部で包囲される。この同じ第1要素20の外側部34により、またこのアーム34の自由端部に設けられた接続エリア36により、径方向外部で空洞が包囲される。第2伝導要素20の接続エリア36によって、また第1要素に属する上述のエリア36にこれを接続する溶接部40によっても、径方向外側での包囲が行われる。各空洞50はまた、第1および第2伝導要素20の中間部32のそれぞれによって両方向に、円周方向52にも包囲される。
【0066】
最終的に、図1に示されたダンピングリング60の構造によって、空洞50は長手方向端部で閉じられる。
【0067】
さて図3aから3cを参照して、本発明の好適な第一実施形態による、上記のパッケージ2を製造するための方法の様々なステップが示される。
【0068】
この第一実施形態では、以下のものと同じく、パッケージ2が水平方向に配向された状態で空洞50が連続的に一つずつ上方から充填される。
【0069】
それから、側方体14に組み付けられたばかりの最後の伝導要素20aが実質的に垂直方向上向きに開口し、そのためUが実質的に直線状となるように、パッケージが配置される。図3aに示されたこの時点では、上部に向かって開口している空洞50は空である。また、この空洞を閉じることを目的とする他の伝導要素は、まだパッケージに組み付けられていない。
【0070】
それから、樹脂などの中性子保護物質を注入することによって空洞50が充填される。図3bでは矢印64で模式的に示されたこの注入は、第1要素20aにより、またパッケージのダンピングリングにより包囲されるスペースにおいて、充填されるこのスペースの上方に注入機(不図示)を載置することにより直接行われる。そのため機械から流出する材料は、重力によって専用スペースへ直接的に流入し、Uのアームの二つの自由端部の間に画定される開口部を通過する。この注入は、パッケージの長手方向に沿って分散された幾つかの材料射出点で行われることが好ましい。
【0071】
空洞50で必要な充填レベルに達した時に注入が停止されるが、このレベルは要素20aの上部接続エリア36であるかこれに近いことが好ましい。
【0072】
それから注入機が取り外され、その間に空洞50での重合によって注入材料が凝固する。固体のブロックが得られると、水平方向上向きの配向であるブロックの自由な上部表面で全長にわたって目視点検を実行することが容易に可能である。中性子防護物質の品質についての目視点検は例えば、凝固の後で、物質に顕著なクラックが存在していないかを点検することから成り、これらのクラックは、注入ステップの間の不充分な温度制御に関連する重合問題から、または材料の混合比率についての問題から生じ得る。
【0073】
ブロックの点検の後で、図3cに見られるように、内側部30を側方体にねじ結合または溶接することにより第2伝導要素20bがパッケージに組み付けられる。その中間部32が空洞50を閉じ、底部接続エリア36が第1要素20aの上部接続エリア36と対向し、これら二つのエリア間で任意の接触が行われる。
【0074】
それから、第2伝導要素20bを適当に配向するため、そして説明したばかりのものと同一の方法でこれを充填できるように、この軸8を中心としてパッケージが回転される。
【0075】
それから、伝導要素20およびブロック22によってパッケージ側方体14の全体を被覆するのに必要な回数だけ、この連続作業が繰り返される。また、接続エリア36の溶接が一対で実行されるのはすべてのブロック22の形成の後のみであることが好ましい。これは特に、円周方向に相互に連続するのとは異なる順序で溶接部を製作することを可能にする。
【0076】
さて図4aから4cを参照すると、本発明の好適な第二実施形態による、上述したパッケージ2を製造する方法の様々なステップが示されている。
【0077】
第1ステップはやはり、側方体14に組み付けられたばかりの最終伝導要素20aが実質的に垂直方向上向きに開口するようにパッケージを配置することから成り、そのためUは実質的に直線状である。図4aに示されたこの時点で、上部に向かって開口する空洞50は空である。また、この空洞を閉じることを目的とする他の伝導要素は、パッケージにまだ組み付けられていない。
【0078】
それから、第1要素20aにより包囲されるスペースへ直接注入することによってではなく、例えば図4bで模式的に示されているように上部接続エリア36と当接させることで要素20aの上方に取り付けられるツール72に形成されたオリフィス70を通過させることによって、空洞50が充填される。そのため注入機は、好ましくは長手方向に分散してこのツール72に形成されたオリフィス70を通して、ツールにより一時的に閉じられた空洞へ材料を導入することを可能にする。空洞50において必要な充填レベルに達した時に、図4bで矢印64により模式的に示された注入が停止される。これに関して、充填が完了した瞬間をオペレータに暫定的に指示する「溢流」オリフィスを構成するように、ツール72に他のオリフィスが形成され得る。
【0079】
それから注入機とツールとが取り外され、その間に注入材料が空洞50で凝固する。固体のブロックが得られてこれに対して目視点検が実施されると、好適な第一実施形態について説明したのと同様の手法で、図4cに見られるように内側部30を側方体にねじ結合または溶接することにより、第2伝導要素20bがパッケージに組み付けられる。
【0080】
最終的に、図5aおよび5bに示された好適な第三実施形態では、第2伝導要素20bによってツールが置き換えられ、そのため、第2伝導要素20bの中間部32に設けられたオリフィス70を通して行われる注入64の間に、この伝導要素がパッケージ2に一時的に設置される。
【0081】
注入64の終了時には、例えば側方体14への部分的なボルト締結により一時的に取り付けられた後で第2要素20bが取り外され、それからブロックの点検が実行される。次に、やはりボルト締結または溶接により第2伝導要素20bが最終的に側方体へ再度組み付けられる。
【0082】
第二の方法にも適用可能なこの第三実施形態の変形例によれば、UではなくほぼSの形状の断面を熱伝導要素20が取る。この変形例は図6に示されている。
【0083】
単に非限定的な例として説明したばかりの発明に対して様々な修正が当業者により行われ得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
1:容器、2:パッケージ、4:格納装置、6:ハウジング空洞、8:長手軸、10:底部、12:蓋部、14:側方体、20,20a,20b:熱伝導要素、22:放射線防護ブロック、24:外側エンベロープ、30:径方向内側部、32:中間部、34:外側部、36:接続エリア、40:溶接部、50:空洞、60:ダンピングリング、64:注入方向、70:オリフィス、72:ツール、I:接続エリアの円周方向長さ、L:外側部の円周方向長さ
図1
図2
図3
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図6