特許第6018188号(P6018188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018188簡単な管理手段を有するアキュムレータの電池システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018188
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】簡単な管理手段を有するアキュムレータの電池システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20161020BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20161020BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20161020BHJP
   B60L 3/00 20060101ALN20161020BHJP
   B60L 11/18 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   H02J7/02 H
   H01M10/44 P
   H01M10/48 P
   !B60L3/00 S
   !B60L11/18 A
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-515160(P2014-515160)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公表番号】特表2014-524227(P2014-524227A)
(43)【公表日】2014年9月18日
(86)【国際出願番号】EP2012061119
(87)【国際公開番号】WO2012171919
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年6月5日
(31)【優先権主張番号】1155181
(32)【優先日】2011年6月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100087893
【弁理士】
【氏名又は名称】中馬 典嗣
(72)【発明者】
【氏名】マルク ベランジェ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ラニエリ
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−100532(JP,A)
【文献】 特開2011−069782(JP,A)
【文献】 特開2010−220377(JP,A)
【文献】 特開2010−110156(JP,A)
【文献】 特開2009−038857(JP,A)
【文献】 特開2009−089453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H01M 10/44
H01M 10/48
B60L 3/00
B60L 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学的アキュムレータの電池システム(1)であって、
− 直列に接続された複数の電気化学的アキュムレータ(4)と、
− 電気負荷(55)または交流充電電源(8)を、前記電気化学的アキュムレータ(4)に接続するようになっている電力接続部(71、72)と、
− 電力接続を介して電気化学的アキュムレータ(4)に接続されている制御装置(52)とを備える電池システム(1)において、
− 複数の測定回路(3)であって、各測定回路は、それぞれの電気化学アキュムレータに取り付けられ、これらの電気化学的アキュムレータの端子における電圧を測定するように構成されている測定回路(3)と、
− 複数の通信回路であって、各通信回路は、それぞれの電気化学アキュムレータに取り付けられ、測定電圧が閾値に達したときには、各電気化学的アキュムレータの端子における電圧降下を誘起するように構成されている通信回路とを備え、かつ
制御装置(52)は、前記電圧降下を識別するように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項2】
測定回路(3)と、前記通信回路には、それぞれの電気化学的アキュムレータ(4)によって電力が供給されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
通信回路(3)は、測定電圧が閾値に達したときには、電圧の降下を示す、10kHz〜1MHzの範囲の周波数の交流信号を誘起するように構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記通信回路は、電気化学的アキュムレータの端子における前記電圧が最大充電電圧に達したとき、または電気化学的アキュムレータの前記端子における前記電圧が最小放電電圧に達したときには、それぞれの電気化学的アキュムレータの端子において、電圧降下を誘起するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記通信回路は、最大充電電圧に対しては、最小放電電圧に対する電圧降下のデューティ比よりも大きいデューティ比を有する電圧降下を誘起するように構成されていることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記通信回路は、明白な電圧降下を生成するように構成され、前記制御装置は、生成された電圧降下に対する通信回路を同定するように構成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記通信回路は、測定回路(3)がその電気化学的アキュムレータの端子における電圧が、閾値に達したことを測定したときには、前記測定回路の識別子を、擬似ランダムによって符号化することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
電力接続に接続されたDC/AC変換器と、該DC/AC変換器と前記制御装置との間に挿入されている寄生素子防止フィルタとを備えていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
直列接続された20個より多くの数の電気化学的アキュムレータを備え、電池(2)の端子における電圧は、50Vより高いことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記通信回路は、測定電圧が閾値に達したときには、それらの電気化学的アキュムレータの端子において、少なくとも、0.1%の電圧降下を誘起するように構成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記通信回路は、前記電気化学的アキュムレータの端子間に電気負荷(33)を接続することにより、前記電気化学的アキュムレータの端子における電圧降下を誘起するようになっていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
電池における直列接続された電気化学的アキュムレータの充電を管理するための方法であって、
− 各電気化学的アキュムレータ(4)に取り付けられた測定回路(3)によって、電気化学的アキュムレータ(4)の端子における電圧を測定するステップと、
− 前記測定回路の1つを使用して、各電気化学的アキュムレータの端子における電圧が閾値に達したことを検出するステップと、
− 閾値に達したことが検出された前記電気化学的アキュムレータに対しては、端子において電圧降下を生成するステップと、
− 電気負荷(55)または充電電源を前記電気化学的アキュムレータに接続している電力接続部(72)を介して、前記電気化学アキュムレータに接続されている制御装置(52)によって、電圧降下を検出するステップとを備えていることを特徴とする方法。
【請求項13】
それぞれの電気化学的アキュムレータによって、前記測定回路へ電力を供給するステップを備えていることを特徴とする、請求項12に記載の、電池における直列接続された電気化学的アキュムレータの充電を管理する方法。
【請求項14】
前記電圧降下の生成は、前記電気化学的アキュムレータの端子における、電圧降下を示す、10kHz〜1MHzの交流を含むことを特徴とする、請求項12または13に記載の、電池における直列接続された電気化学的アキュムレータの充電を管理するための方法。
【請求項15】
前記電圧降下の生成は、前記電気化学的アキュムレータの端子に対する電気素子の接続を備え、前記電気素子は、接続されている間に、前記電気化学的アキュムレータの端子において、少なくとも0.1%の電圧降下を誘起するように構成されていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の、電池における直列接続された電気化学的アキュムレータの充電を管理するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学アキュムレータ電池に関する。この電池は、例えば、電気輸送手段、ハイブリッド輸送手段、またはそれらに組み込まれているシステムの分野で使用される。
【背景技術】
【0002】
電気化学アキュムレータは、通常、次の値の公称電圧を有している。
・NiMH型電池に対して1.2V、
・リチウムイオンリン酸鉄(すなわちLiFePO4)技術に対して3.3V、
・酸化コバルトに基づくリチウムイオン型技術に対して3.7V。
【0003】
しかし、これらの公称電圧は、多くのシステムへの給電の要求条件に対しては、低すぎる。電圧の適切なレベルを得るためには、複数のアキュムレータが直列に接続される。高い値の電力および容量を得るためには、アキュムレータの複数のグループが並列に配置される。段数(アキュムレータのグループの数)および各段の並列接続されたアキュムレータの数は、電池に対して要求される電圧、電流、および容量に応じて変化する。複数のアキュムレータを組み合わせたものは、アキュムレータ電池と呼ばれている。
【0004】
アキュムレータを、充電すると、その端子における電圧は大となる。各アキュムレータは、例えば、所与の充電電流に対するアキュムレータの電圧の時間変化によって定まる適切な充電レベルを有している。
【0005】
アキュムレータは、例えば、所与の電流のもとで、その電気化学過程によって定まる公称電圧レベルに達したときに、充電されたとみなされる。この電圧に達する前に充電を中断すると、アキュムレータは、完全には充電されない。アキュムレータはまた、充電が所定の時間続けられたとき、または、アキュムレータを一定電圧で充電し、充電電流が最小閾値に達したときに、充電が完了したとみなされる。
【0006】
製造上のばらつきによって、個々のアキュムレータは、異なる特性を有する。その差異は、電池が新品のときには小さいが、アキュムレータが不均一に疲労した場合には大となる。同時に製造されたアキュムレータが電池の中に含まれている場合でも、この差異は、存在する。電池の充電は、一般的に、異なるアキュムレータの中で電圧測定を行う制御装置によって監視される。
【0007】
酸化コバルトに基づくリチウムイオン型アキュムレータの電圧の範囲は、典型的には、2.7〜4.2Vである。アキュムレータをこの範囲外で使用と、電池のアキュムレータが不可逆的に劣化する可能性がある。過充電は、アキュムレータの破壊、疲労の加速(電解液の劣化により)、またはサーマルストール現象による爆発につながる。従って、従来技術の制御装置では、各アキュムレータの充電を監視している。これにより、最も高く充電されたアキュムレータが、その動作範囲の上限値に達したときには、全てのアキュムレータの充電は、中断される。従って、十分に充電されていないアキュムレータの電圧は、上限値よりも低い値となる。
【0008】
制御装置はまた、最も充電されていないアキュムレータが動作範囲の下限に達したときには、電池の放電を中断する。
【0009】
従って、各アキュムレータの充電レベルを制御装置が確認できるようにするために、種々のコネクタが存在する。電池の安全性のレベルを高めるために、制御装置が他の作動パラメータ(アキュムレータの温度等)を検証できるようにするコネクタが、しばしば使用される。
【0010】
複数のアキュムレータが存在する場合、従来において、電圧および温度を測定するための回路が、各アキュムレータに設けられている。制御装置は、マスターボードやコンピュータによって管理される複数のスレーブボードを備えている。これらのボードは、グループ分けされている。各スレーブボードは、ポイントツーポイント配線によって、複数(例えば8,または16)の測定回路に接続されている。
【0011】
このような構成では、アキュムレータは、高電圧を達成する電位に保持されなければならない。これにより、電圧測定は、接地から絶縁されているか、または高いレベルの共通電位の下で行われなければならない。自動車では、コンピュータは、一般的に、埋め込まれたネットワークと、その付属品への電力供給に特化されている12Vの電池から給電される。組込みネットワークの電池は、車両のアースに接続されているので、スレーブボードとコンピュータとの間の通信のためには、アースに対する絶縁を十分に行う必要があることが分かる。また、測定回路とスレーブボードとの間のポイントツーポイント接続は、多数の接続を有するため、実質的な配線の長さは、相当に長いものとなる。従って、このような構成では、無視できない、コストと複雑さとが生じる。さらに、ポイントツーポイント配線接続の数が多いと、アキュムレータに直接接続して短絡する危険性が大となる。そのため、注意深い設計と製造が必要となる。これは、特に、保護システム(ヒューズまたはサーキットブレーカ)を統合しなければならないことを意味するものである。
【0012】
特許文献1は、複数の直列接続されたアキュムレータを有する電池、電池の端子における電圧を測定する回路、通信回路、および制御回路に関する説明を記載している。通信回路は、電池の端子における電圧が閾値をよぎったときの電圧変動を、制御回路に通知する。
【0013】
多数のアキュムレータが存在する場合の別の公知の構成においては、電圧および温度を測定するための回路は、各アキュムレータに固定されている。測定回路は、同一の通信バスに接続されている。コンピュータは、測定回路によってこの通信バス上で送信されている情報を取得する。
【0014】
このような構成によって、ポイントツーポイント配線接続の欠点を回避することができる。しかしながら、このような構成によると、配線に高いレベルの電圧がかかるので、接地からの絶縁を有する特別に設計されたバスが必要になる。バスは、電池の中の非常に高い電圧レベルに接続されるので、バスの設計には、特別な注意を払わなければならない。従って、接地から絶縁することは、高価になり、複雑であり、かつ電池の中に、そのようなバスを統合することは、実施面で問題を提起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】日本国特許第JP2009―089453号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、これらの欠点の1つ以上を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従って、本発明は、アキュムレータの電池システムに関する。このアキュムレータの電池システムは、
− 直列に接続された複数の電気化学アキュムレータと、
− 電気負荷または充電電源を前記電気化学アキュムレータに接続する電力接続と、
− 電力接続によって電気化学アキュムレータに接続されている制御装置とを備えている。
【0018】
システムは、更に、
− 複数の測定回路であって、各電気化学アキュムレータに取り付けられ、その各アキュムレータの端子電圧を測定するように構成されている測定回路と、
− 複数の通信回路であって、各電気化学アキュムレータに取り付けられ、測定電圧が閾値に達したときには、各アキュムレータの端子における電圧降下を誘起するように構成されている通信回路とを備えている。
【0019】
制御装置は、電圧における前記降下を識別するように構成されている。
【0020】
1つの変形例においては、測定回路および通信回路は、それぞれのアキュムレータによって給電される。
【0021】
別の変形例においては、通信回路は、測定された電圧が閾値に達したときには、10kHz〜1MHzの範囲の周波数の、電圧降下を示す交流信号を誘起するように構成されている。
【0022】
さらに別の変形例においては、通信回路は、このアキュムレータの端子における電圧が最大充電電圧に達したとき、または、このアキュムレータ端子における電圧が最小放電電圧に達したときには、それらのそれぞれのアキュムレータの端子において、電圧降下を誘起するように構成されている。
【0023】
更に別の変形例においては、通信回路は、最大充電電圧に対しては、最小放電電圧に対する電圧降下のデューティ比よりも大きいデューティ比を有する電圧降下を誘起するように構成されている。
【0024】
ある変形例においては、通信回路は、明白な電圧降下を生成するように構成され、制御装置は、生成された電圧降下に対する通信回線を同定するように構成されている。
【0025】
別の変形例においては、このシステムは、
− 電力接続に接続されたDC/AC変換器と、
− DC/AC変換器と制御装置との間に挿入された寄生素子防止フィルタとを備えている。
【0026】
更に別の変形においては、このシステムは、20より大きい数の、直列接続されたアキュムレータを備え、電池の端子における電圧は、50Vより高い。
【0027】
更に別の変形においては、通信回路は、測定された電圧が閾値をよぎったときには、それらのアキュムレータの端子には、少なくとも0.1%の電圧降下を誘起するように構成されている。
【0028】
1つの変形例においては、通信回路は、アキュムレータの端子の間に電気負荷を接続することにより、アキュムレータの端子における電圧降下を誘起する
【0029】
本発明はまた、電池の、直列接続された電気化学アキュムレータにおける充電を管理するための方法にも関し、この方法は、
− それぞれのアキュムレータに取り付けられた測定回路によって、アキュムレータの端子における電圧を測定するステップと、
− 前記測定回路の1つを使用して、そのそれぞれのアキュムレータの端子における電圧が閾値に達したことを検出するステップと、
− 閾値に達したことが検出されたアキュムレータに対しては、端子において電圧降下を生成するステップと、
− 電気負荷または充電電源を前記アキュムレータに接続している電力接続を介して電気化学アキュムレータに接続されている制御装置によって、電圧降下を検出するステップとを備えている
【0030】
1つの変形例においては、本発明の方法は、各アキュムレータによって測定回路への電力供給を行うステップを含んでいる。
【0031】
別の変形例においては、電圧降下の発生は、10kHz〜1MHzの範囲の周波数を有する、前記アキュムレータの端子における電圧降下を示す交流信号の発生を含んでいる。
【0032】
さらに別の変形例においては、電圧降下の発生は、前記アキュムレータの端子と電気素子との接続を含み、前記電気素子は、接続されている間に、前記アキュムレータの端子において少なくとも0.1%の電圧降下を誘起するように構成されている。
【0033】
本発明の他の特徴および利点は、以下に示す説明を読み、添付の図面を参照することによって、明確になると思う。なお、これらの説明は、決して網羅的でない実施例に関するものである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明におけるアキュムレータの電池システムを示す図である。
図2】測定回路および関連するアキュムレータの等価的電気回路図である。
図3】電池の中の寄生インダクタと寄生キャパシタとのモデルを示す図である。
図4】本発明による測定回路において実現される論理構成の1つの例を示す図である。
図5】フィルタモジュールの1つの例を示す図である。
図6】異なる周波数を有するクロック信号を発生する発振器の一例を示す図である。
図7】1つの符号化例における異なる送信の間で測定された相関を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、異なるセンサによって行われた測定を、キャリア電流を介して、制御装置に送信することを基礎としている。送信は、測定されたアキュムレータの端子における電圧を低下させることによって行われる。測定回路は、アキュムレータに取り付けられ、アキュムレータの端子に負荷を接続することにより、この電圧降下を誘導する。この送信は、直列接続されたアキュムレータの電力接続によって実行される。
【0036】
この電圧によって、システムの接地からの絶縁に関する制約を制限することができ、特に、情報を送信するために必要な接続配線を減らすことによってコストを低減させることができる。
【0037】
図1は、電動モータ55を駆動するようになっている、本発明におけるアキュムレータ電池システム1を示す。アキュムレータ電池システム1は、直列接続された電気化学アキュムレータ4を含む電池2を備えている。電池2は、必要な電圧、および用いられるアキュムレータの種類に応じて、多数のアキュムレータ4(典型的に、は20〜100個のアキュムレータ)を備えている。アキュムレータ4は、接続線71を介して直列接続されている。各アキュムレータ4は、それに接続された回路3を備えている。回路3は、例えば、典型的には、それに関連付けられた要素に固定されている。回路3は、電圧測定機能ならびに通信機能を有している。回路3は、以下においては、一般的な用語「測定回路」と呼ぶことにする。
【0038】
電池2は、接続線72によってフィルタモジュール51に接続されている。EMCフィルタとして知られている電磁寄生素子防止フィルタ53もまた、接続線72を介して、電池2に接続されている。フィルタ53は、フィルタモジュール51とAC/DC変換器54との間に接続されている。AC/DC変換器54もまた、接続線72に接続され、電池2と交流電流の下で働く成分(この場合には、電動モータ55と交流充電源8)との間のインタフェースを形成している。
【0039】
フィルタ53は、モータ55の作動時に、それ自体は公知の方法で、DCネットワーク上の電磁擾乱を除去する。フィルタ53は、特に高いレベルの充電または放電電流に対する電力切り替え回路によって誘導される可能性がある高次高調波をフィルタリングする。フィルタモジュール51は、測定回路3から提供される情報を復調する。フィルタモジュール51は、測定回路3によって送信された信号に対応する低電圧信号を提供する。集中制御装置(この場合には、コンピュータ52により形成されている)は、フィルタモジュール51に接続され、低電圧信号を取得する。コンピュータ52は、低電圧ネットワーク(例えば、自動車の中に埋め込まれたネットワーク)によって給電することができる。変換器54とフィルタモジュール51との間にフィルタ53が存在することにより、測定回路3によって送信される情報は、変換器54またはモータの制御ユニットで行われるチョッピングに連結された高調波によって擾乱を受けることはない。符号化された情報が測定回路によって送信されると、コンピュータ52は、それを復号化して、例えば、送信側の測定回路、および、送信された情報の内容(電圧値、高電圧閾値アラーム、低電圧閾値アラーム、アキュムレータの温度等)を識別する。従って、各測定回路3は、自分自身の符号化(例えば、異なるパルス幅、異なる送信パタン、または異なる送信周波数)を有することができる。システム1は、電池2とコンバータ54との間の電気的接続を選択的に遮断することができる手段を備えている。従って、電池2は、電力供給される電気負荷または充電電源から、選択的に分離されることができる。フィルタモジュール51は、例えば、電池と変換器54との間の電気接続72を開くスイッチを含むことができる。コンピュータ52は、例えば、充電の終了、または放電の最大レベルを検出したときには、スイッチを開く命令を送信する。コンピュータはまた、電池2が放電閾値に達したときには、電源から電気負荷55への給電を突然中断することがないように、電池2から出力される電流の低下を命令することもできる。
【0040】
図2は、測定回路3とその関連するアキュムレータ4の等価的電気回路を示す。測定回路3は、アームを備え、このアームは、直列に接続された電力トランジスタ32および放電抵抗33を備えている。このアームは、ケーブル34によって、アキュムレータ4の端子に並列に接続されている。
【0041】
回路3はまた、アキュムレータ4の端子に接続されたマイクロコントローラ31を備えている。マイクロコントローラ31は、アキュムレータ4の端子における電圧の測定値を提供するように構成されている。マイクロコントローラ31はまた、アキュムレータ4の動作の他のパラメータ(例えば、その温度)を測定するように構成することができる。
【0042】
測定回路3はまた、静的作動モード、および動的作動モードを有し、静的作動モードでは、測定回路3は、アキュムレータ4の端子における電圧を測定し、動的動作モードでは、測定回路3は、コンピュータ52と通信を行う。
【0043】
静的作動モードにおいては、トランジスタ32はオフである。この静的作動モードでは、マイクロコントローラ31は、アキュムレータ4の端子における電圧を測定する。
【0044】
動的作動モードにおいては、トランジスタ32はオンである。この作動モードでは、マイクロコントローラ31は、コンピュータ52と通信し、アキュムレータ4の端子における電圧の低下を検出する。この電圧降下は、コンピュータ52により検出されるのに十分な振幅を有する。このように、マイクロコントローラ31は、電力接続71および72を介してコンピュータ52と、キャリア電流により、通信する。通信は、所定の周波数で、交流電圧における低下により行うことができる。
【0045】
単純化したモデルにおいては、アキュムレータ4は、DC電圧源42に接続されており、このDC電圧源は、1mΩ程度の大きさの内部インピーダンス41と直列に接続されている。電力トランジスタ32および放電抵抗33を含む回路3のアームは、このアームを通して流れる電流が、電池2の充電電流または放電電流と比較して、無視できない程度の大きさにされることが有利である。例えば、抵抗33は、電力トランジスタ32の遮断が、アキュムレータ4における電圧の0.1〜1%の電圧降下を誘起するような大きさにすることができる。アキュムレータ4の端子における0.1%程度の急激な電圧の低下は、容易に検出することができる。アキュムレータ4の端子における電圧は、通常は、比較的遅い変動を受けている。回路3によって誘起される電圧降下も、ボルトで表すことができる。従って、回路3は、容易に検出可能であるように、1〜10mVの範囲の電圧降下を誘起することが有利である。抵抗33は、例えば3Ω程度の抵抗値を有することもできると考えられる。従って、アキュムレータの電流が100Aを超えるときには、抵抗33の電流は、トランジスタ32を遮断したときには、1Aの電流が流れることになる。回路3の電流消費を制限するためには、放電抵抗33は、送信周波数において、アキュムレータ4の内部インピーダンスよりも、少なくとも50倍大きい値を有する必要がある。
【0046】
測定回路3を、直列に接続された抵抗33および電力トランジスタ32を含む図に基づいて説明してきたが、この測定回路3は、任意の適切な手段によって(例えば、アキュムレータ4の中で要求される振幅の電圧降下を生成することができる導電抵抗を有する電力トランジスタ使用して)作ることもできる。
【0047】
単純化した実施形態においては、測定回路3とコンピュータ52との間の通信は、一方向通信である。この実施形態によると、測定回路3の複雑さおよびそれらの静的な電力消費を低減することができる。しかし、測定回路3とコンピュータ52との間で双方向通信を設定することを想定することもできる。
【0048】
測定回路3とコンピュータ52との間のキャリア電流による情報の伝達は、任意の公知の変調技術によって行うことができる。伝送は、ベースバンドでまたはキャリアの変調により行うことができる。
【0049】
互いに独立している測定回路3を使用することにより、複数の測定回路3により、同時にコンピュータ52に情報を送信することができる。これらの送信間の干渉を防ぐために、公知の方法で、冗長機構又は誤り訂正符号を利用することができる。
【0050】
全て直列に接続されているアキュムレータのセットは、図3に示すように、集中定数線路として、高周波でモデル化することができる。2つの直列接続されたアキュムレータの間の電力接続は、インダクタL1のように動作し、各アキュムレータは、車両の接地に対するキャパシタC2のように動作し、また、2つの直列接続されたアキュムレータの間に誘起されるキャパシタC1として表わされている。
【0051】
アキュムレータの間に直列接続される広くて短い導電性ストリップの形のインダクタL1は、次の式で示すことができまる。
L1≒0.5*μo*Lo
ここで、μo=1.26μH/mであり、Loは、ストリップの長さである。
【0052】
これにより、車両の電動モータに電力を供給するための従来の電池の寸法に対して想定されるインダクタL1およびキャパシタC2の値は、それぞれ、100nH、および20pFのオーダーとなる。
【0053】
電池2が、80個の直列接続されたアキュムレータ4を備えていると仮定すると、この電池2は、70Ωの特性インピーダンスおよび100MHz以上の遮断周波数を有する伝送路として働く。
【0054】
測定回路3による情報の伝送に対して選択される周波数は、この値よりもはるかに小さく、例えば、10kHz〜1MHzの範囲にあると有利であると考えられる。この周波数範囲で、高レベルンダクタL1およびコンデンサC2の伝送線路効果は、見落とされる可能性がある。
【0055】
高電力アキュムレータの内部抵抗は、比較的低いので、その端子における測定可能な電圧変化がもたらされることは困難であろうと考えられるかもしれない。しかしながら、本発明者らは、1kHz超える周波数では、このアキュムレータのインダクタンスは、その内部抵抗より優勢であり、従って、インピーダンス計算をすることができるという点に注目した。また、アキュムレータの内部抵抗は、高度に非線形である。この抵抗は、低い充電電流または放電電流に対しては、高い値であり、高い電流下では、急激に減少する。従って、測定電流3は、1kHzより高い周波数に対しては、十分に高い電流になり、これにより、測定可能な電圧変化を誘起することができる。従って、電圧の変動は、単純な積R×Iよりは遙かに大きな値となる(ここで,Rは、アキュムレータの内部抵抗であり,Iは,抵抗33の電流である)。
【0056】
システム1のDCネットワーク上における電圧と電流は,比較的安定であるので、このネットワークにおけるインピーダンスの変動は、限られている。インピーダンスは、予測可能で安定しているので、キャリア電流による伝送の品質は、予測可能であり、信頼性が高い。更に、充電電流および放電電流によって誘起される高調波の周波数は、知られており、予測可能である。従って、フィルタ53は、これらの周波数を減衰させるように特化して設計することができる。測定回路3の送信周波数はまた、これらの外乱周波数から区別することができるように適合させることができる。電動エンジン車両の変換器54のスイッチング周波数は、一般的に25kHz程度であり、これにより、ユーザーに対して不快感を与える雑音が、生成されることはない。
【0057】
結論として、測定回路3の通信周波数は、100kHz〜1MHzの範囲にあるのが有利である。
【0058】
図4は、測定回路3に実装された論理構成の一例を示す。測定回路3は、発振器34を備えている。発振器34は、基準電位の差を定義する。発電機34は、回路3をアキュムレータ4の端子に接続する接続線によって給電されている。発振器34は、校正された電位差を分圧器35の端子に印加する。分圧器35は、比較器36の第1の入力に印加される高閾値電圧、および比較器38の第1の入力に印加される低閾値電圧を規定するように構成されている。アキュムレータ4の端子における電圧は、コンパレータ36および38の第2の入力に印加される。従って、アキュムレータ4の端子における電位の差が高閾値よりも高い場合には、比較器36は、高レベル状態に移る。アキュムレータ4の端子における電位の差が低閾値より低い場合には、比較器38は、高レベル状態に移る。
【0059】
チョッパ回路37および39は、それぞれ、比較器36および比較器38の出力に接続されている。チョッパ回路37および39は、高レベル状態の信号を受信したときには、異なるデューティ比の信号を生成する。例えば、チョッパ回路37は、デューティ比90%の信号を生成することができる。チョッパ回路39は、固定されたデューティ比10%の信号を生成することができる。チョッパ回路37および39の出力は、ORゲート311の入力に接続されている。ORゲート311の出力は、電力トランジスタ32の制御電極に接続されている。従って、アキュムレータ4の端子における電位の差が、電圧閾値のいずれかに達した場合には、電力トランジスタ32は、その到達した閾値に対応するデューティ比を有する所定の周波数で閉じられる。従って、アキュムレータ4の端子における電圧は、このデューティ比で低下する。
【0060】
アキュムレータ4の放電を制限するために、測定回路3は、その動的作動の継続時間を制限することができる。アキュムレータ4の端子の電圧が、低遮断閾値に達したときには、測定回路3による情報の伝送を中断して、既に放電限界に達しているこのアキュムレータの放電の継続を防止することができる。
【0061】
チョッパ回路37のデューティ比を比較的高くして、測定回路3を、既に高電圧閾値に達しているアキュムレータ4の充電電流を放散するために使用し、電池2のアキュムレータ4の充電を平衡させることに参加させると有利である。
【0062】
チョッパ回路39のデューティ比は、非常に低くして、このアキュムレータが、その低閾値電圧に達したときに、アキュムレータ4の電気消費量を大幅に低減させると有利である。
【0063】
測定回路3による情報の送信が、アキュムレータ4による電圧閾値を超えることに限定すれば、測定回路3は、非常に短い期間、動的作動するだけである。そのため、測定回路3の電気消費量は、平均して、極端に低減される。
【0064】
この例では、アナログによる解決策について説明したが、測定回路3を、デジタル回路(例えば、マイクロコントローラによって)とすることもできる
【0065】
測定回路3は、その関連するアキュムレータ4によって常に電力供給されているので、静的作動状態にある場合のこのアキュムレータの電流消費量は、極力低くしなければならない。測定回路3は、低い電流消費(例えば、10〜100μA)を有するように、容易に形成することができる。この値は、通常の電気化学アキュムレータの自己放電電流の程度の大きさに相当する。
【0066】
コンピュータ52に送信するべき情報のコード化の代わりに、異なるデューティ比を使用するこことも可能であることは、言うまでもない。異なる測定回路3からの送信の間の干渉を回避するために、適切なコードに基づいて、コンピュータ52に対して通信を行うことは容易である。
【0067】
従って、測定回路3の制御装置(コンピュータ)52に対する通信に使用される符号化は、この測定回路3の識別、およびコンピュータ52において、この回路の測定の読み取りの両方を可能にしている。このように、複数の測定回路は、相互干渉することなく、同時に、コンピュータ52と通信することができる。
【0068】
特に、擬似ランダムシーケンスに基づいて、拡散コードを使用することが可能である。疑似ランダムシーケンスは、ビット(0または1)の一連のシーケンスであり、このシーケンスは、ランダムのように見えるが、実際には、周期を有する。送信されるシーケンスは、シンボル名を有している。同じ性質に準拠している、可能なシンボルのセットには、コード名が付される。
【0069】
これらのシーケンスは、次に示す2つの特徴を有していると有利である。
(1)各シンボルの自己相関は高い。高い自己相関値を使用することにより、復調器により受信された複数のシンボルの中の1つの送信シンボルを識別することができる。
(2)シンボル間の相互相関は低い。低い相互相関値を使用することにより、シンボル間干渉を防止することができる。従って、復調器は、それらが同時に受信されていても、一義的に信頼度は高く、それらを識別することができる。
【0070】
1つの変形例においては、最大長シーケンス(Gold,Walsh,Kasami等)に基づくコードを使用することができる。これらのコードは、自己相関の点で、非常に高い性能を有する。
【0071】
測定回路3によって送信された信号は取得され、そして、例えば、取得された信号と異なるコードとの間の相関が判定され、測定回路3およびその情報は、信号対雑音比とセル間干渉レベルを考慮に入れて、固定閾値に基づく仮説検定によって同定される。
【0072】
Kasamiコードは、例えば、自己相関と相互相関に関して、非常に良好な特性を有している。この特性を確認するために、特に、63ビットのKasamiコードを使用してテストを行った。このKasamiコードは、異なる16シンボル(4つのアキュムレータ、およびそれぞれに対して送信される情報の3の異なる値に対して十分である)を与える。
テストは、電池の4つのアキュムレータに対して、ビット送信周波数200kHz、シンボル送信周波数2Hz、および取得時のサンプリング周波数5MHz(この周波数は、信号対雑音比の評価への応用として使用されると考えられる周波数より高い)として、実験室で行われた。
【0073】
図7は、コンピュータ52において、200msのタイムスロット上で測定された信号の相関を示す。この図では、3つの異なる測定器3で送信された3シンボルを識別する。各ピークは、明確なシンボルに対応している。シンボル間のゼロでない相互相関によって生成される非常に小さいピークが多く観測されるが、その数は、非常に限られている。オシロスコープで取得した大まかな信号に対して、相関により復調を行うことにより、いずれの増幅やフィルタリングを行わずに、19.6dBの信号対雑音比が推定される。
【0074】
電磁雑音の伝送に対する感度を低減するために、かなり高い周波数キャリア(例えば、1〜30MHz)を、変調して送信することができる。キャリアは、測定回路3の中で、水晶発振器に基づいた回路によって生成することができる。また復調は、XORゲート(排他的論理和)タイプのゲートで行うことができる。ゲートの1つの入力端子は、キャリアを受信し、ゲートの別の入力端子は、ベースバンドにおける符号(例えば、Kasami符号)を受信する。従って、ビット変化時におけるキャリアの180°位相変化を使用する、PSK変調が達成される。
【0075】
最大長系列に基づく符号(m系列タイプ符号)は、利用可能な伝送速度、送信されるべき情報状態の数、または、測定回路3のマイクロコンピュータのメモリに応じて、パラメータ(符合長、相関の性能レベル、シンボル数)が決められると有利である。
【0076】
別の変形例では、直交符号として知られている符号を使用する。この直交符号は、相互相関はゼロであるが、自己相関は低い値を有する。
【0077】
測定回路3のコンピュータ52の基本機能に対する通信を調整する(アキュムレータをバランスさせ、アキュムレータの過充電または過放電に対して保護する)ために、送信されるシンボル間に休止を挿入するのが望ましい。
【0078】
測定回路によって行われる送信によるエネルギーの消費量を制限するために、これらの送信は、電池の動作の特別な条件が検出された時だけ行うようにすることができる。
【0079】
図5および図6は、フィルタモジュール51の例を示す。フィルタモジュール51は、フィルタリングを行って電圧レベルを下げる回路511、サンプリング回路512、および可変デューティ比を有するクロック信号を発生する発振器513を備えている。回路511の入力端子は、電力接続72を介して電池2の端子に接続されている。回路511は、電圧低下変成器TR1を備え、電圧低下変成器TR1の一次巻き線は、それぞれ、キャパシタC9とおよびそれに直列の抵抗R1と、キャパシタC8およびそれに直列の抵抗R16とによって、回路511の入力端子に接続されている。変成器TR1の2次巻き線は、それぞれ、抵抗R2と、抵抗R3とによって、回路511の出力端子に接続されている。キャパシタC10は、回路511の2つの出力端子の間に接続されている。変成器TR1の2次巻き線の中点は、抵抗R10を介して、低電圧電源Vccに接続され、並列に接続された抵抗R9およびキャパシタC4を介して、グラウンドに接続されている。
【0080】
発振器513は、相補クロック信号QおよびIQを選択的に生成し、相補信号QおよびIQは、それぞれ、例えば90%および10%のデューティ比を有している。回路513は、抵抗R4とR5とを備え、R4およびR5は、電圧Vccとグランドとの間に直列に接続されている。回路513は、演算増幅器U4を備え、演算増幅器U4の非反転入力は、抵抗R4とR5の間の中間ノードに接続されている。非反転入力は、抵抗R6を介して演算増幅器U4の出力に接続されている。演算増幅器U4の反転入力は、キャパシタC3を介してグラウンドに接続されている。反転入力は、2つの並列接続されたアームを介して演算増幅器U4の出力に接続されている。第1のアームは、抵抗R7を備え、第2のアームは、直列に接続された抵抗R8およびツェナーダイオードD1(任意の他のタイプのダイオードも使用することができる)を備えている。抵抗器R7は、所望のデューティ比を得るためには、抵抗R8の約10倍より大きい値を有している。ツェナーダイオードD1の電流の方向によって、キャパシタC3は、充電されるか、または放電する。演算増幅器U4の出力は、デューティ比90%のクロック信号Qを出力する。インバータU2は、演算増幅器U4の出力に接続され、10%のデューティ比を有する相補的なクロック信号IQを提供する。
【0081】
サンプリング回路512の入力端子は、回路511の出力端子に接続されている。サンプリング回路512は、スイッチI1、I2、I3およびI4を備えている。スイッチI1およびI2の入力は、回路512の第1の入力端子に接続され、スイッチI3およびI4の入力は、回路512の第2の入力端子に接続されている。スイッチI1およびI3の制御入力は、クロック信号Qに接続されている。スイッチI2およびI4の制御入力は、クロック信号IQに接続されている。スイッチI1およびI4の出力は、直列接続された抵抗R11およびR18を介して、増幅器 U5の非反転入力に接続されている。
スイッチI2およびI3の出力は、直列接続された抵抗R12およびR19を介して増幅器U5の反転入力に接続されている。キャパシタC5は、抵抗R11およびR18の中間ノードと、抵抗R12およびR19の中間ノードとの間を接続している。これらの中間ノードは、キャパシタC6およびC7によって、それぞれ、グランドに接続されている。これらのキャパシタC5〜C7、R11、R12、R18およびR19は、サンプリングされた信号を遮断する回路を形成している。増幅器VU5の反転入力は、抵抗R14を介してその出力に接続されている。増幅器U5の出力における信号は、コンピュータ52に与えられる。
【0082】
発振回路513によって生成されたクロック信号QおよびIQの周波数は、測定回路3が通信に使用する変調周波数に近いが、等しくはない。従って、サンプリング回路512によってサンプリングされた信号は、低い周波数を有し、この周波数は、クロック信号Qの周波数と測定回路3の通信の周波数との差に比例している。この回路51によって、電力接続72に対する擾乱の可能性があるとしても、測定回路3によって生成される信号のデューティ比が判定されることが有利である。コンピュータ52は、増幅器U5の出力における正値信号および負値信号のそれぞれの持続時間を測定することにより、測定回路3により生成される信号のデューティ比を決定することができる。
【0083】
図示の例では、直列接続された各アキュムレータ4は、測定回路3を備えている。本発明はまた、各段が複数の並列接続された電気化学アキュムレータを含む、複数の直列接続された段を含む電池にも、適用することができる。このような構成においては、測定回路3は、各段の端子に接続される。
【0084】
以上説明した本発明においては、測定機能および通信機能は、同じ回路3によって達成されるが、これら2つの機能を、2つの別個の回路で行わせることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 アキュムレータの電池システム
2 電池
3 測定回路
4 電気化学的アキュムレータ
8 交流充電電源
31 マイクロコントローラ
32 電力トランジスタ
33 放電抵抗
34 ケーブル
34 発振器
35 分圧器
36 比較器
37 チョッパ回路
38 比較器
39 チョッパ回路
41 内部インピーダンス
42 DC電圧源
51 フィルタモジュール
52 制御装置(コンピュータ)
53 電磁寄生素子防止フィルタ
54 AC/DC変換器
55 電動モータ
72 接続線
311 ORゲート
511 回路
512 サンプリング回路
513 発振回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7