特許第6018214号(P6018214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6018214多層複合材料でできている製品及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6018214
(24)【登録日】2016年10月7日
(45)【発行日】2016年11月2日
(54)【発明の名称】多層複合材料でできている製品及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20161020BHJP
   B32B 5/24 20060101ALI20161020BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20161020BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20161020BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20161020BHJP
   B29L 31/30 20060101ALN20161020BHJP
【FI】
   B32B5/26
   B32B5/24 101
   B29C43/18
   B29C67/14 X
   B29K105:08
   B29L31:30
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-537736(P2014-537736)
(86)(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公表番号】特表2015-502270(P2015-502270A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】IB2011054829
(87)【国際公開番号】WO2013064859
(87)【国際公開日】20130510
【審査請求日】2014年10月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】514104852
【氏名又は名称】インダストリアーレスッド ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】ディ サンテ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ビッジョ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ パオラントニオ マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーヴィネ ジャンルカ
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−174073(JP,A)
【文献】 特開平07−214719(JP,A)
【文献】 特開昭62−206087(JP,A)
【文献】 特開2004−017354(JP,A)
【文献】 特開2003−145567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
B29C 39/00−43/58
70/00−70/88
B60R 13/01−13/04
13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の補強層(B)と第2の補強層(B)との間に配置される中心の要素(I)を含み、構造(B)-(I)-(B)を形成している多層複合材料でできている製品であって、前記中心の要素(I)が:
- 第1の構造層(A)及び第2の構造層(A)であって、各々が熱可塑性タイプのニードルパンチ繊維の少なくとも1つのマットを含み、前記構造層(A)が熱硬化性樹脂を含浸させている、前記第1の構造層(A)及び第2の構造層(A);
- 前記2つの構造層(A)の間に配置される第3の補強層(B)
を含み、
前記第1の補強層(B)、第2の補強層(B)及び第3の補強層(B)が、ガラス繊維、天然繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維又はこのような繊維の混合物からなる群より選ばれる1つ以上のタイプの繊維を含む、繊維材料からなる、前記製品。
【請求項2】
前記中心の要素(I)が第1の構造層(A)と第2の構造層(A)との間に配置される少なくとも1つのスペース要素(S)を含み、前記スペース要素(S)が熱硬化性樹脂を含浸させた発泡熱可塑性ポリマーのマットを含む、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記中心の要素(I)が、2つのスペース要素(S)を含む、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
各スペース要素(S)とそれに最も近い構造層(A)との間に、或いは2つの隣接するスペース要素の間に、少なくとも1つの補強層(B)が配置されている、請求項2又は3に記載の製品。
【請求項5】
構造(B)-(I)-(B)の前記第1の補強層(B)又は第2の補強層(B)に適用される少なくとも1つの外側のコーティング層(D)を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の製品であって、前記外側のコーティング層(D)が織物、天然皮革、人工皮革又は不織布の層より選ばれる、前記製品。
【請求項6】
前記補強層(B)の前記繊維材料が、炭素繊維、玄武岩繊維又はアラミド繊維からなる群より選ばれる1つ以上のタイプの繊維と混合されるガラス繊維及び/又は天然繊維を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製品。
【請求項7】
前記ニードルパンチマットの前記熱可塑性繊維が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維又はこれらの混合物より選ばれる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製品。
【請求項8】
前記スペース要素(S)の発泡熱可塑性ポリマーの前記マットが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド又はこれらの混合物からなる群より選ばれるポリマーを含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の製品。
【請求項9】
前記中心の要素(I)の外側の構造層(A)が、ニードルパンチ繊維のマットを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製品。
【請求項10】
前記スペース要素(S)の発泡熱可塑性ポリマーの前記マットが、ポリエステル及び/又はポリウレタンポリマーを含む、請求項2〜9のいずれか1項に記載の製品。
【請求項11】
厚さが異なる多層複合材料の少なくとも2つの部分が共存している、請求項1〜10のいずれか1項に記載の製品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の多層複合材料でできている製品を含む自動車の部品。
【請求項13】
請求項1に記載の多層複合材料でできている製品を調製する方法であって、
(i) 前記構造層(A)と前記補強層(B)を相互の上部に並置して、多層パックを形成する工程;
(ii) 前記多層パックを金型内で熱間圧縮し、多層複合材料でできている前記製品を得る工程
を含む、前記方法。
【請求項14】
工程(ii)が、90℃〜180℃の温度で行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記工程(i)が、また、1つ以上の更なる材料の層の前記多層パックの層間の介在を含み、前記層が:
- 熱硬化性樹脂を含浸させた発泡熱可塑性ポリマーのマットを含むスペース要素(S);
- 織物、天然皮革、人工皮革又は不織布の層より選ばれるコーティング層(D)
より選ばれる、請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層複合材料でできている製品及びその調製方法に関する。
本発明は、詳しくは、特に自動車の部品として用いることができる、例えば、ドアパネル、ダッシュボード、グローブボックス、バンパーのような多層複合材料でできている製品に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術の現状における自動車の部品は、パッセンジャーコンパートメントの内側に用いられるもの(以後「車両内装部品」)もパッセンジャーコンパートメントの外側に用いられるもの(以後「車両外装部品」)も、主に、熱可塑性材料、特にガラス繊維で補強された剛性ウレタンポリマーによって製造される。これらの部品を製造する方法は、強化反応射出成形(r-rim)又は熱可塑性プラスチック射出加工プロセス及び加熱シートと次の金型における冷却の成形を含んでいる。
車両内外装部品を製造する当該技術の現状において用いられる他のポリマー材料は、ガラス繊維で補強されたポリプロピレン、おがくず(Woodstock(登録商標))で補強されたポリプロピレン及びポリカーボネート/ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)の混合物のように、ポリプロピレン、ポリカーボネート/ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ポリアミド、ポリエステル及びポリカーボネートが、おそらく無機充填剤又は天然充填剤で補強されたものである。
車両内装部品は、例えば織物、模造皮革又は天然皮革で、表面被覆され得る。車両外装部品は、一般的には塗装される。
ある種の内部部品、例えばヘッドライナーを製造するために、当該技術の現状においては多層複合材料を用いることも知られている(国際公開第00/17435号パンフレット及び欧州特許出願公開第1199154 A2号明細書)。
【0003】
多層複合材料については、射出成形によって得られたポリマー材料から製造された製品と同じ機械的性質を有する製品を製造することも可能であるが、質量が著しく減少している。
しかしながら、当該技術において既知の多層材料は、良好な機械的性能/質量比を有するが、機械的強度に関して特定の要求を満たす必要がない車両内装部品を製造するのに適しているものだけであるという欠点も有する。
車両内装部品、例えばダッシュボード、ドアパネル又はセントラルコンソールカバーは、自動車産業の国際的な安全性基準によって決められた要求を満たしていないので、例えば、当該技術の現状の多層材料で製造することができない(上述した部品は、例えば、強度及び集中衝突、例えば車両の運転者及び/又は乗客が衝突の場合にパッセンジャーコンパートメント内部にかける衝撃に耐えることができなければならない)。
同じ機械的性能に対して、この分野内で知られているポリマー材料だけでなく、多層材料を超える重さがあることは、熱に感受性があること、一般的には、熱応力(例えば、太陽光に対する直接及び長期にわたる曝露)に対する安定性が不充分なことの更なる欠点を有する。
更に、工業用レベルでポリマー材料から自動車の部品を製造することは、多層材料より高いプラント投資コストを必要とする。
射出成形により製品を製造するための金型は、例えば、多層材料でできている製品を製造するために用いられるものよりも非常に高価である。このことは、射出成形が大量の、成形され、仕上げ加工され且つ被覆されていない製品を製造しなければならない場合にのみ経済的に有利な技術であることを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、当該技術の現状において知られている材料及び方法の欠点を克服することである。
特に、本発明の目的は、高い機械的強度及び、同時に、低質量を有する自動車の部品として用いることができる多層複合材料でできている製品を確認することである。
本発明の更なる目的は、形状及び意図する最終使用の機能として極めて可変的である、それ故に変化しやすい機械的性質を有する製品を製造することが可能である上述した製品を調製する方法を確認することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上述した目的は、第1の補強層(B)と第2の補強層(B)との間に配置される中心の要素(I)を含み、構造(B)-(I)-(B)を形成している多層複合材料でできている製品であって、前記中心の要素(I)が:
- 第1の構造層(A)及び第2の構造層(A)であって、各々が熱可塑性及び/又は天然タイプのニードルパンチ繊維の少なくとも1つのマット或いは発泡熱可塑性ポリマーのマットを含み、前記構造層(A)が熱硬化性樹脂を含浸させている、前記第1の構造層(A)及び第2の構造層(A);
- 前記2つの構造層(A)の間に配置される第3の補強層(B)
を含み、
前記第1の補強層(B)、第2の補強層(B)及び第3の補強層(B)が、ガラス繊維、天然繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ケブラー繊維、アラミド繊維又はこのような繊維の混合物からなる群より選ばれる1つ以上のタイプの繊維を含む、繊維材料からなる、前記製品を製造することによって達成される。
本発明の更なる目的は、多層複合材料でできている上述した製品を調製する方法である。
残りの説明において、本発明の特徴をより良く理解するために、下記の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の多層複合材料のある可能な構造(層の配列)の概略図である。
図2図2は、本発明の多層複合材料のある可能な構造(層の配列)の概略図である。
図3図3は、本発明の多層複合材料のある可能な構造(層の配列)の概略図である。
図4図4は、本発明の多層複合材料のある可能な構造(層の配列)の概略図である。
図5図5は、本発明の多層複合材料のいくつかの実施態様に対する「曲げ弾性率(E)/材料質量」曲線を示すグラフである。
図6図6は、本発明の多層複合材料のいくつかの実施態様に対する「レジリエンス(R)/材料質量」曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
構造的見地から、本発明の多層複合材料でできている製品は、異なる組成の材料の層の並置からなり、各々が製品の最終特性を決定することに関与している。残りの本説明において、材料の並置された異なる層の集合体は、語句「多層パック」によっても示される。
本発明の目的の多層製品は、材料の並置された層の特定の配列からなる多層パックを熱間圧縮(熱成形)によって得られる。
図1に関して、本発明の製品は、少なくとも2つの補強層(B)の間に配置される少なくとも1つの中心の要素(I)を含み、構造(B)-(I)-(B)を形成している。
中心の要素(I)は、補強層(B)が構造(A)(B)(A)を形成するように配置されている少なくとも第1の構造層(A)と第2の構造層(A)を含む多層要素である。
上記の多層パックの一組の層は、「(B)(A)(B)(A)(B)」として示すこともできる。
各構造層(A)は、熱可塑性又は天然タイプのニードルパンチ繊維のマット(以後「ニードルパンチマット」としても示される)又は発泡熱可塑性ポリマーのマットを含み得る。
ニードルパンチマットの熱可塑性繊維は、ポリエステル繊維、ポリアミド、ポリプロピレン又はこのような繊維の混合物より選ばれる。天然繊維は、例えば、ジュート、ココナツ及びサイザル繊維より選ばれる。
【0008】
構造層(A)のマットの繊維のタイプは、熱成形した製品に与えることが望まれる特定の機械的性質の機能として、それ故に、その意図した最終使用の機能として選ばれる。
好ましくは、構造層(A)の少なくとも1つは、ポリエステル繊維のニードルパンチマットである。
好ましくは、マットのニードルパンチ繊維は、更に、熱硬化性樹脂によって一緒に結合される。
述べられたように、構造層(A)は、発泡熱可塑性ポリマー、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン又はポリアミド又は前記ポリマーの混合物のマットであり得る。好ましくは、マットは、発泡ポリエステル又は発泡ポリウレタンから製造される。
圧縮にかけた場合、ニードルパンチマットは発泡熱可塑性材料でできているマットより双方向伸張能力が大きい。
好ましい実施態様において、多層パックが発泡熱可塑性ポリマーの少なくとも1つのマットを含む場合、多層パックには少なくとも1つのニードルパンチマットも含まれる。
更に好ましい実施態様において、中心の要素(I)の外側の構造層(A)は、ニードルパンチ繊維のマットを含んでいる。
【0009】
構造層(A)として用いることができる上記マットは、製造される部品の寸法によっては可変寸法の半硬質シートの形であり且つ市場で利用可能なものである。
ニードルパンチ繊維のマットは、見掛け密度、すなわち質量/容積比を有し、30〜100kg/m3、好ましくは50〜95kg/m3、更により好ましくは60〜85kg/m3に変動する。
その一方で、発泡熱可塑性ポリマーのマットは、50〜200kg/m3、好ましくは80〜120kg/m3に変動する見掛け密度を有する。
ニードルパンチ繊維及び発泡熱可塑性ポリマー双方のマットの厚さは、2〜20mm、好ましくは4〜10mmに変動する。
マットの上述した見掛け密度と厚さの数値は、熱成形にかける前のマットを表している。
多層パックの調製に対して、ニードルパンチ繊維及び発泡熱可塑性ポリマーのマットは、最初に熱硬化性樹脂、好ましくはポリウレタン樹脂を含浸させる。
樹脂は、マットの面の片面又は両面、好ましくは両面上へ適用される。
熱成形の間、金型によって伝達された圧力によって、樹脂が並置された異なる材料の層の間に浸透し、層が永久に一緒に結合され; 金型の熱が樹脂の硬化を行う。
【0010】
マットに適用される樹脂の量は、30-500g/m2、好ましくは80-150g/m2の範囲内で変動する(樹脂の量はマットの単一面上の適用を表している)。
各補強層(B)は繊維材料層であり、その繊維は、ガラス繊維、天然繊維(ジュート、サイザル(リュウゼツラン)及びココナツ繊維)、炭素繊維、玄武岩繊維、ケブラー繊維、アラミド繊維又は上述した繊維の混合物より選ばれる。
出願人は、驚くべきことに、炭素繊維及び/又はケブラー繊維及び/又はアラミド繊維がガラス繊維及び/又は天然繊維に加えて用いられる場合には、少量の最初の3種類の繊維を添加して、多層複合材料でできている製品の最終の機械的性質を著しく変化させるのに充分であることを認めた。
特に、適度の量の炭素繊維及び/又はケブラー繊維及び/又はアラミド繊維を添加することにより、熱成形された製品の曲げ弾性率及びレジリエンスを著しく増加させることが可能になるが、多層複合材料の全体のコストには過剰な影響を及ぼさない。
補強層(B)として用いることができる繊維材料の層は、異なる形式での市場で利用可能である。
好ましくは、多層パックを製造するために、50〜300g/m2の可変表面密度を有するシート(マット)の形のガラス繊維が用いられる。
【0011】
或いは、多層パックを調製するために、ロービング繊維を用いることが可能であり、熱硬化性樹脂を含浸させた後、構造層(A)の片面又は、より好ましくは両面の上に分配されている。
多層パックは、また、1つ以上のコーティング層(D)を含むこともでき、成形された製品の見えている面を形成する(図2)。
コーティング層(D)は、例えば、織物、天然皮革又は人工皮革、或いは不織布の層であり得る。
コーティング層(D)は、多層パックの最も外側の層の上に並置されるのでその表面は見えたままであり、製品に望ましい外見を与える。
コーティング層(D)は、一般的には、多層パックの最も外側の補強層(B)と直接接触させて配置される。
例えば不織布(膜)でできている、1つ以上の更なる保護層(V)もまた、コーティング層(D)とコーティング層(D)に最も近い補強層(B)との間に配置されてもよい(図2)。
層(D)と(V)の接着を、相互に及び多層パックの残りの層との接着を促進するために、異なる層の間に接着剤層を適用することが可能である。
【0012】
接着すべき層の組成の機能として、当業者は、個々の場合に応じて、用いられる接着剤の種類を容易に選び得る。
コーティング層(D)は、熱成形にかける前に、多層パックに挿入され得る。或いは、コーティング層(D)は、多層パックの熱成形後に、製品に適用され得る。
成形された製品の審美的仕上げ加工は、また、熱成形された製品の塗装によって行われ得る。
それ故、本説明のために、仕上げ加工層(D)は、また、塗料層を意味するとみなされ得る。
単に一例として、外側のコーティング層(D)及び2つの保護層(V)を含む可能な多層パックは、図2に概略的に示される並置され且つ接触している一組の層「(D)(V)(B)(A)(B)(A)(B)(V)」によって表され、ここで、(A)、(B)、(V)及び(D)は前に記載された意味を有する。
多層パックにおいて、構造層(A)は、同じ材料から製造され且つ/又は同じ厚さを有し得る。しかしながら、最も適切な方法で最終の熱成形された製品の特性を調整するために、異なる組成及び/又は密度及び/又は厚さ、それ故に、相互に匹敵する質量を有するマットで製造される構造層(A)を用いることも可能である。
【0013】
本発明の製品の好ましい実施態様において、多層パックは、図1に表される配列「(B)(A)(B)(A)(B)」において並置され且つ相互に接触させている層(A)及び(B)からなる。
更に、特に好ましい実施態様において、構造層(A)は、ニードルパンチ繊維、好ましくはポリエステル繊維のマットである。
第2の好ましい実施態様において、多層パックの中心の要素(I)は、第1の構造層(A)と第2の構造層(A)との間に配置される少なくとも1つのスペース要素又は「スペーサー」(S)を含んでいる。スペーサー(S)は、実質的には、構造層(A)と間隔を置く機能を有するので、熱成形された製品の厚さを増加させる。
スペーサー(S)は、発泡熱可塑性ポリマー、例えばポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド又は前記ポリマーの混合物のマット、又は構造層(A)を製造するために前に記載したものと同一タイプのマットを含み得る。好ましくは、スペーサー(S)は、発泡ポリエステル又は発泡ポリウレタンでできているマットである。
多層パックの中心の要素(I)が少なくとも1つのスペーサー(S)を含む場合、少なくとも1つの更なる補強層(B)が前記要素と前記要素に最も近い構造層(A)の各々との間に配置される。従って、このような中心の要素(I)は層の配列「(A)(B)(S)(B)(A)」(ここで、(A)、(B)及び(S)は、前に記載した意味を有する)で表され得る(図3)。
【0014】
好ましい実施態様において、多層パック「(A)(B)(S)(B)(A)」における構造層(A)は、ニードルパンチマット、好ましくはポリエステルからなり、中間要素(S)は、発泡ポリエステル又は発泡ポリウレタンのマットである。
中心の要素(I)の構造層(A)と間隔を置くために、2つ以上のスペーサー(S)を用いることも可能である。この場合には、製品に存在する各スペーサー(S)は、少なくとも1つの補強層(B)の介在によって構造層(A)から又は更なる中間の要素(S)に最も近い更なる中間の要素(S)から分離される。
2つのスペーサー要素を含有する多層パックの一例は、層の配列「(B)(A)(B)(S)(B)(S)(B)(A)(B)」で表され得る(図4)。
構造層(A)の場合のように、スペーサー(S)のマットが多層パック及び熱硬化性樹脂を(片面又は、より好ましくは、両面に)前もって含浸させている相対的な熱成形された製品の調製においても用いられる。
本発明の多層複合材料でできている製品の調製方法は、本質的に、多層パックを調製する第1の工程及びパックを熱成形して、最終の製品を得る次の工程を含んでいる。
方法は、手動でも当業者に知られている装置による自動化方法でも行われ得る。
【0015】
パックを調製する工程は、本質的に、異なる材料の層を望ましい配列で並置して、多層パックをつくることからなる。
層を並置することへ進む前に、ニードルパンチマット及び発泡熱可塑性マットからなる構造層(A)は、熱硬化性樹脂による樹脂コーティングにかける。
熱硬化性樹脂は、噴霧するか又は樹脂浴中にマットを浸漬することによって適用され得るか、好ましくはロール機によって拡散され得る。
樹脂を含浸させたマットの表面は、次に、表面に適用された補強繊維の層(B)、次に、可能な保護層(V)又はコーティング層(D)を望ましい順序に従って有する。
用いられる材料の機能として、必要ならば、コーティング層(D)とコーティング層(D)と接触させた層との間に、熱成形工程の間に層の接着を促進するために少量の接着剤を適用することが可能である。
このようにして得られた多層パックは、次に、90℃〜180℃、好ましくは110℃〜150℃に変動し得る温度に加熱した金型において熱成形にかける。
熱成形の間、熱い金型によって多層パックに伝達される圧力のため、樹脂は並置された異なる材料層の間に浸透し、安定且つ永続的な方法で一緒に結合し; 金型の熱が樹脂の硬化を行う。
【0016】
本発明の多層材料は、自動車の部品、車両内装部品と車両外装部品双方を製造するのに特に適している。
車両内装部品の例は、ドアパネル、ダッシュボード、グローブボックス、セントラルコンソールカバー、フロントシートバッキング、リアシートバッキング、ピラートリム、シートの構造、小物棚(parcel shelves)、トランクライナー及び相対的なトリムである。
車両外装部品の例は、バンパー、外側のロッカーカバー、ホイールアーチライナ及びパネルである。
本発明の目的の多層複合材料でできている製品は、得ることができる機械的性質 - 特に弾性率、レジリエンス及び曲げ剛性に関して - と材料の全質量との間の好ましい比率に特徴を有する。同じ質量の従来の熱可塑性材料(例えば、ガラス繊維で補強されるポリウレタン)でできている製品に対して、本発明の製品は、機械的特性がより良好なだけでなく、熱応力に対する抵抗性が高く且つ遮音及び消音の特性を示す。
本発明の製品の更なる特別な特徴は、同じ製品において異なる機械的性質を有する部分が共存するように容易に熱成形され得ることである(例えばかなり剛性の中心部とより可撓性の側部)。
【0017】
これらの製品は、最終の熱成形された製品において厚さの大きい(よりコンパクトでない)部分と厚さの小さい(よりコンパクトな)部分を決定する容積の異なる空洞を有するように、2つの半金型部分の内部表面を成形することによって得られる。成形の間、実際には、このような空洞は、一方の領域からもう一方の領域まで変化し得る、多層パックの異なる程度の圧縮を生成する。異なる程度の圧縮は、材料のこのような領域に、例えば曲げ弾性率、レジリエンス、遮音/消音、断熱/熱吸収のような異なる特性を与える。
従って、本発明の多層材料を形成するための熱成形技術の組み合わせた使用は、熱成形された製品の適用要求の機能としてその全体積にわたって標的にする方法で製品の機械的性質を調整することを可能にする。
本発明の製品は、また、製品のあらゆる点で一定のままである「表面密度」、すなわち質量/単位面積比(g/m2)を有することを特徴とする。製品の質量は、実際には、多層パックを構成する層の個々の配列によってのみ決定される。
多層材料のより大きな密度の領域とより小さな密度の領域が共存する単体で製品を得る可能性は、この分野において、特に自動車部品の分野において用いられるポリマー材料に対して本発明の材料を特に有利な代替品にする。
【0018】
ポリマー材料については、実際には、例えば射出成形のように、このような材料を加工する技術が、材料の密度を単一成形製品の本体の異なる点で変化させることができないので、その全体の体積において均一な組成を有する自動車の部品のみを得ることが可能である。
それ故、ポリマー材料でできている製品の機械的性質は、主に、各点で材料の厚さに左右される。この特性は、厚さの小さい製品の部分が機械的観点からかなり弱く、それ故、操作(例えば自動車のパッセンジャーコンパートメント内部の取付け)の間に損傷を受けやすいことを意味する。
本発明の多層複合材料については、用いられる材料の同じ組成(それ故、全質量)に対して極めて異なる機械的特性(例えばレジリエンスや弾性係数)を有する製品を製造することも可能である。例えば、同じ多層材料による - すなわち並置された材料層の同じ配列による - このような多用途性のおかげで、熱い熱成形条件による簡単な方法で作用することによって、極めて異なる使用のための製品を製造することが可能である(例えば、自動車のドアの内側のコーティングパネル又はダッシュボード又はバンパー)。
本説明から当業者が容易にわかるように、本発明の多層複合材料の使用は、自動車の部品だけを製造することに限定されず、高い機械的性能及び低質量が必要とされる任意の種類の適用を意図する製品を製造するためにも使用し得る。本発明の他の可能な適用分野は、例えば、電車、飛行機、ボート及び家具の部品の製造である。
【実施例】
【0019】
本発明の多層材料でできている製品の機械的性質は、異なる組成を有するいくつかの熱成形試料の曲げ弾性率(E)及びレジリエンス(R)の値を定量することによって評価した。
下記の材料を調製した。
材料1: 層(B)(A)(B)(A)(B)(ここで、補強層(B)は、ガラス繊維の層であり(マット - 100g/m2)、構造層(A)は、ポリウレタン樹脂を両面に含浸させたニードルパンチポリエステル繊維のマットである)の配列に特徴を有する多層パックを熱間圧縮することによって本発明の一連の製品を調製した。
質量が変動するのにつれて材料の特性の代表的な曲線を得るために、ニードルパンチマット上に全体に適用される樹脂量を変えることによって材料1の一連の試料を調製した(80g/m2〜300g/m2)。
2.5mmの厚さを有するシートが得られるまで、各多層パックを130℃の温度の金型において押圧した。次に、シートを一連の試料に切断して、確認試験を行った。
材料2: ケブラー繊維の層からなる補強層(B)を除いて材料1と同一の多層パック(B)(A)(B)(A)(B)から開始して本発明の一連の第2の製品を製造した(マット - 100g/m2)。
材料1の熱成形と同じ条件下で熱成形を行った。
材料3: 炭素繊維の層からなる補強層(B)を除いて材料1と同一の多層パック(B)(A)(B)(A)(B)から開始して本発明の一連の第3の製品を製造した(マット - 100g/m2)。
材料1の熱成形と同じ条件下で熱成形を行った。
比較するために、当該技術の現状の下記の材料を調製した:
材料4、ガラス繊維で補強したポリプロピレン(質量比ポリプロピレン/ガラス繊維: 70/30);
材料5、おがくず(WOODSTOCK(登録商標)で補強したポリプロピレン、質量比ポリプロピレン/木材: 50/50);
材料6、ポリカーボネート/ABS(BAYBLEND T85(登録商標)、質量比ポリカーボネート(PC)/ABS: 85/15)の混合物;
材料7、ガラス繊維で補強した発泡ポリウレタン(r-rim)(質量比ポリウレタン/ガラス繊維: 70/30)。
【0020】
材料4-7を、射出成形によって形成した。
材料1-7を、幅25mm、長さ50mm及び厚さ2.5mmの寸法の材料の試料を用いて、ISO規格178に準じる曲げ弾性率(ヤング率)を定量する試験にかけた。
材料1-7を、ISO規格179に準じるレジリエンス(シャルピー)を定量する試験にかけた。
異なる材料に対して得られた曲げ弾性率(E)とレジリエンス(R)の値を図5及び図6に示す。
図から、本発明の多層材料(材料1-3)については、弾性率及び/又はレジリエンスに関して、質量が非常に小さいことを除いて、当該技術の現状の熱可塑性材料(材料4-7)と同じ性能を得ることが可能であることは明らかである。或いは、同じ質量に対してより良好な機械的性能を有する製品を得ることが可能である。
表1は、図5及び図6から推定されるあるデータを示すものであり、これによりほぼ同じ機械的特性を有する材料において、本発明の多層材料と当該技術の現状の熱可塑性材料との間の質量の差が強調される。
表1
【0021】
【0022】
材料1、2及び3の弾性率を100℃の温度で測定した。この温度で、材料4-7は弾性率の検出を妨害する剛性の顕著な劣化を有するが、材料1-3については、23℃で定量した値に関して変化は観察されなかった。
実験データは、また、その他の条件を同じに保つ場合、ケブラー繊維又は炭素繊維により製造された補強層(B)の使用は、ガラス繊維でできている補強層(B)を有する対応する製品に対してかなりより高い弾性率値を有する熱成形製品を得ることを可能にすることを示している。
実験データは、本発明の材料及びその調製方法については、多層パックの材料の配列及び成形条件を適切に選ぶことによって、熱成形された製品の機械的性質を広範囲の値で調整することが可能であることを示している。
さらに本発明は以下の態様であり得る。
〔1〕第1の補強層(B)と第2の補強層(B)との間に配置される中心の要素(I)を含み、構造(B)-(I)-(B)を形成している多層複合材料でできている製品であって、前記中心の要素(I)が:
- 第1の構造層(A)及び第2の構造層(A)であって、各々が熱可塑性及び/又は天然タイプのニードルパンチ繊維の少なくとも1つのマット或いは発泡熱可塑性ポリマーのマットを含み、前記構造層(A)が熱硬化性樹脂を含浸させている、前記第1の構造層(A)及び第2の構造層(A);
- 前記2つの構造層(A)の間に配置される第3の補強層(B)
を含み、
前記第1の補強層(B)、第2の補強層(B)及び第3の補強層(B)が、ガラス繊維、天然繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、ケブラー繊維、アラミド繊維又はこのような繊維の混合物からなる群より選ばれる1つ以上のタイプの繊維を含む、繊維材料からなる、前記製品。
〔2〕前記中心の要素(I)が第1の構造層(A)と第2の構造体層(A)との間に配置される少なくとも1つのスペース要素(S)を含み、前記スペース要素(S)が熱硬化性樹脂を含浸させた発泡熱可塑性ポリマーのマットを含む、前記〔1〕に記載の製品。
〔3〕前記中心の要素(I)が、2つのスペース要素(S)を含む、前記〔2〕に記載の製品。
〔4〕各スペース要素(S)とそれに最も近い構造層(A)との間に、或いは2つの隣接するスペース要素の間に、少なくとも1つの補強層(B)が配置されている、前記〔2〕又は〔3〕に記載の製品。
〔5〕構造(B)-(I)-(B)の前記第1の補強層(B)又は第2の補強層(B)に適用される少なくとも1つの外側のコーティング層(D)を含む前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の製品であって、前記外側のコーティング層(D)が織物、天然皮革、人工皮革又は不織布の層より選ばれる、前記製品。
〔6〕前記補強層(B)の前記繊維材料が、炭素繊維、玄武岩繊維、ケブラー繊維又はアラミド繊維からなる群より選ばれる1つ以上のタイプの繊維と混合されるガラス繊維及び/又は天然繊維を含む、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の製品。
〔7〕前記ニードルパンチマットの前記熱可塑性繊維が、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維又はこれらの混合物より選ばれ、好ましくはポリエステル繊維である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の製品。
〔8〕前記構造層(A)又は前記スペース要素(S)の発泡熱可塑性ポリマーの前記マットが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド又はこれらの混合物; 好ましくはポリエステル及び/又はポリウレタンからなる群より選ばれるポリマーを含む、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の製品。
〔9〕前記中心の要素(I)の外側の構造層(A)が、ニードルパンチ繊維のマットを含む、前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の製品。
〔10〕前記スペース要素(S)の発泡熱可塑性ポリマーの前記マットが、ポリエステル及び/又はポリウレタンポリマーを含む、前記〔2〕〜〔9〕のいずれか1項に記載の製品。
〔11〕厚さが異なる多層複合材料の少なくとも2つの部分が共存している、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の製品。
〔12〕前記〔1〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の多層複合材料でできている製品を含む自動車の部品。
〔13〕前記〔1〕に記載の多層複合材料でできている製品を調製する方法であって、
(i) 前記構造層(A)と前記補強層(B)を相互の上部に並置して、多層パックを形成する工程;
(ii) 前記多層パックを金型内で熱間圧縮し、多層複合材料でできている前記製品を得る工程
を含む、前記方法。
〔14〕工程(ii)が、90℃〜180℃、好ましくは110℃〜150℃に変動し得る温度で行われる、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記工程(i)が、また、望ましい並置配列に従って、材料の1つ以上の更なる層の前記多層パックの層間の介在を含み、前記層が:
- 熱硬化性樹脂を含浸させた発泡熱可塑性ポリマーのマットを含むスペース要素(S);
- 織物、天然皮革、人工皮革又は不織布の層より選ばれるコーティング層(D)
より選ばれる、前記〔13〕又は〔14〕に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6